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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045110
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】染毛用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230327BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230327BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q5/06
A61K8/49
A61K8/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153337
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000112266
【氏名又は名称】ピアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】勝海 由華
(72)【発明者】
【氏名】橋本 佳典
(72)【発明者】
【氏名】久恒 幸也
(72)【発明者】
【氏名】濱田 和彦
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC102
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB24
4C083CC36
4C083EE06
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】 良好な染色性能を有する染毛用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 酸性染料と、モノ飽和アルキルグリセリルエーテルと、環状カーボネートとを含む、染毛用組成物を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性染料と、モノ飽和アルキルグリセリルエーテルと、環状カーボネートとを含む、染毛用組成物。
【請求項2】
さらにセルロース繊維を含む、請求項1に記載の染毛用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、体毛又は頭髪を染色するために使用される染毛用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、体毛又は頭髪を所望の色に染色するための染毛用組成物が知られている。この種の染毛用組成物は、染色剤として例えば酸性染料を含む。
【0003】
この種の染毛用組成物としては、例えば、酸性染料、浸透促進剤としてのグリセリルエーテル系化合物、及び、柔軟性付与剤としてのグリコール酸などを含み、グリセリルエーテル系化合物がモノプロピルグリセリルエーテルなどであり、グリセリルエーテル系化合物の含有率が0.1質量%以上50質量%以下である染毛用組成物が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の染毛用組成物は、やや良好な染色力を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-172134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、良好な染色性能を有する染毛用組成物については、未だ十分に検討されているとはいえない。
【0006】
そこで、本発明は、良好な染色性能を有する染毛用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る染毛用組成物は、酸性染料と、モノ飽和アルキルグリセリルエーテルと、環状カーボネートとを含むことを特徴とする。
【0008】
上記の染毛用組成物は、さらにセルロース繊維を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の染毛用組成物は、良好な染色性能を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る染毛用組成物の一実施形態について説明する。
【0011】
本実施形態の染毛用組成物は、酸性染料(A)と、モノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)と、環状カーボネート(C)とを含む。本実施形態の染毛用組成物は、セルロース繊維(D)をさらに含むことが好ましい。本実施形態の染毛用組成物は、通常、水を含む。
本実施形態の染毛用組成物によれば、体毛又は毛髪に対して良好な染色性能を発揮できる。
【0012】
上記の酸性染料(A)は、一般的な化粧料に配合され得る酸性染料であれば、特に限定されない。上記の酸性染料(A)は、共有結合を新たに生じさせるような反応性を有さず、それ自体で発色可能な化合物である。
上記の酸性染料(A)としては、分子中にアニオン性の親水基を有するものが挙げられる。具体的には、ニトロ染料、アゾ染料、ニトロソ染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、キノリン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料などが挙げられる。より具体的には、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色201号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色207号、橙色402号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、黒色401号などが挙げられる。その他、上記の酸性染料(A)としては、「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年告示、厚生省)により定められた酸性染料であればいずれも使用できる。
【0013】
上記の染毛用組成物に、酸性染料(A)の1種が単独で配合されてもよく、複数種が組み合わされて配合されてもよい。
【0014】
本実施形態の染毛用組成物は、酸性染料を総量で0.01質量%以上含むことが好ましく、0.10質量%以上含むことがより好ましく、0.50質量%以上含むことがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。
また、本実施形態の染毛用組成物は、酸性染料を総量で10質量%以下含むことが好ましく、5質量%以下含むことがより好ましく、3質量%以下含むことがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物において、酸性染料をより確実に溶解させることができる。
【0015】
モノ飽和アルキルグリセリルエーテル(別名:グリセリンモノ飽和アルキルエーテル)は、グリセリンの末端ヒドロキシ基に1価飽和アルキルアルコールがエーテル結合した分子構造を有する。上記の1価飽和アルキルアルコールは、直鎖状の1価飽和アルキルアルコールであってもよく、分岐鎖状の1価飽和アルキルアルコールであってもよく、又は、環状の1価飽和アルキルアルコールであってもよい。換言すると、モノ飽和アルキルグリセリルエーテルの飽和アルキル部分は、飽和炭化水素であればよく、例えば、飽和直鎖状炭化水素であってもよく、飽和分岐鎖状炭化水素であってもよく、飽和環状炭化水素であってもよい。
【0016】
モノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)の総炭素数は、8以上15以下であってもよく、7以上11以下であってもよい。
モノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)としては、例えば、1-n-ヘキシルグリセリルエーテル、1-シクロヘキシルグリセリルエーテル、1-ヘプチルグリセリルエーテル、1-(2-エチルヘキシル)グリセリルエーテル(別名:グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル)、1-オクチルグリセリルエーテル、1-デシルグリセリルエーテル、又は1-ドデシルグリセリルエーテルなどが挙げられる。なかでも、1-(2-エチルヘキシル)グリセリルエーテル(別名:グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル)が好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。
【0017】
上記の染毛用組成物に、モノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)の1種が単独で配合されてもよく、複数種が組み合わされて配合されてもよい。
【0018】
本実施形態の染毛用組成物は、モノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)を0.01質量%以上含むことが好ましく、0.10質量%以上含むことがより好ましく、0.50質量%以上含むことがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能(染毛性能)を発揮することができる。
また、本実施形態の染毛用組成物は、モノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)を20質量%以下含むことが好ましく、15質量%以下含むことがより好ましく、10質量%以下含むことがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物の安全性がより高くなり得る。また、染毛用組成物に必要以上のモノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)を配合しなくても染色性能を発揮できる。
【0019】
環状カーボネート(C)は、アルキレンジオールと炭酸とのエステルであり環状構造を有する。エステル化前のアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。環状カーボネート(C)の総炭素数は、通常、3以上5以下である。
【0020】
環状カーボネート(C)としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、又は、炭酸ブチレン(4-エチル-1,3-ジオキソラン-2-オン)などが挙げられる。環状カーボネート(C)としては、炭酸プロピレンが好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。
【0021】
上記の染毛用組成物に、環状カーボネート(C)の1種が単独で配合されてもよく、複数種が組み合わされて配合されてもよい。
【0022】
本実施形態の染毛用組成物は、環状カーボネート(C)を0.1質量%以上含むことが好ましく、1.0質量%以上含むことがより好ましく、5.0質量%以上含むことがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。
また、本実施形態の染毛用組成物は、環状カーボネート(C)を30質量%以下含むことが好ましく、25質量%以下含むことがより好ましく、20質量%以下含むことがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物の安全性がより高くなり得る。また、染毛用組成物に必要以上のモノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)を配合しなくても染色性能を発揮できる。
【0023】
セルロース繊維(D)は、セルロースで形成された繊維状物を含む。斯かる繊維状物は、通常、水不溶性であるため、水を含む溶媒に分散し得る。セルロース繊維(D)は、複数の繊維状物で形成され、各繊維状物では、束になった複数の糖鎖が、繊維状物の繊維長方向に延びている。
各繊維状物の太さは、通常、0.001μm(1nm)以上10μm以下である。各繊維状物の太さは、1μm未満(1000nm未満)であってもよく、500nm以下であってもよく、300nm以下であってもよい。
【0024】
セルロース繊維(D)は、例えば木材パルプから得ることができる。セルロース繊維は、例えば木材パルプに対して機械的処理又は化学的処理が施されて解繊されることによって、得られる。機械的処理方法としては、高圧ホモジナイザー法、マイクロフルイダイザー法、ボールミル粉砕法などが挙げられる。化学的処理方法としては、TEMPO酸化法、カルボキシメチル化法、リン酸エステル化法等が挙げられる。セルロース繊維は、セルロース分子の一部が化学修飾され且つ機械的な解繊処理が施されたものであってもよい。
【0025】
セルロース繊維(D)としては、市販されている製品を用いることができる。セルロース繊維を含む市販品として、例えば、製品名「レオクリスタ」(第一工業製薬社製)、製品名「セレンピアシリーズ」(日本製紙社製)、「ELLEXシリーズ」(大王製紙社製)、製品名「AUROVISCOシリーズ」(王子ホールディングス社製)などを採用できる。
【0026】
本実施形態の染毛用組成物は、固形物換算でセルロース繊維(D)を0.1質量%以上含むことが好ましく、0.5質量%以上含むことがより好ましく、1.0質量%以上含むことがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。また、より高い製剤安定性を有することができ、適度な粘性を有することができる。
また、本実施形態の染毛用組成物は、固形物換算でセルロース繊維(D)を7.0質量%以下含むことが好ましく、5.0質量%以下含むことがより好ましく、3.0質量%以下含むことがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物において、セルロース繊維がより良好に分散できる。また、染毛用組成物の粘度が高まり過ぎることを抑えることができる。よって、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を発揮することができる。
【0027】
本実施形態の染毛用組成物では、酸性染料(A)の総量に対する、モノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)の質量比が、0.1以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、3.0以上であることがさらに好ましい。また、斯かる質量比が、10.0以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。
【0028】
本実施形態の染毛用組成物では、酸性染料(A)の総量に対する、環状カーボネート(C)の質量比が、0.1以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、3.0以上であることがさらに好ましい。また、斯かる質量比が、20.0以下であることが好ましく、15.0以下であることがより好ましく、10.0以下であることがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。
【0029】
本実施形態の染毛用組成物では、酸性染料(A)の総量に対する、セルロース繊維(D)の質量比が、固形物換算で0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましい。また、斯かる質量比が、5.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。
【0030】
本実施形態の染毛用組成物では、モノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)に対する、環状カーボネート(C)の質量比が、0.02以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。また、斯かる質量比が、50.0以下であることが好ましく、15.0以下であることがより好ましく、4.0以下であることがさらに好ましく、2.0以下であることが特に好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。
【0031】
本実施形態の染毛用組成物では、モノ飽和アルキルグリセリルエーテル(B)に対する、セルロース繊維(D)の質量比が、固形物換算で0.02以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましく、0.20以上であることがさらに好ましい。また、斯かる質量比が、15以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。
【0032】
本実施形態の染毛用組成物では、環状カーボネート(C)に対する、セルロース繊維(D)の質量比が、固形物換算で0.02以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.10以上であることがさらに好ましい。また、斯かる質量比が、15.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。これにより、本実施形態の染毛用組成物は、より良好な染色性能を有することができる。
【0033】
上記の染毛用組成物は、さらに、pH調整剤、界面活性剤、酸化防止剤、増粘剤、防腐剤などを含んでもよい。
上記の染毛用組成物は、酸性であることが好ましく、上記の染毛用組成物のpHは、2以上4以下であることがより好ましい。上記の染毛用組成物が酸性であることによって、タンパク質を含む毛髪などに対して、酸性染料がより吸着しやすくなり、染色性能をより発揮できる。
【0034】
本実施形態の染毛用組成物の性状や外観は、特に限定されない。本実施形態の染毛用組成物は、例えば、液状、半固形状(ジェル状、クリーム状等)、固形状(粉末状、錠剤、又は、シート状等)であってもよい。本実施形態の染毛用組成物は、エアゾール製品の内容物に含まれた状態であってもよい。
【0035】
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、体毛又は頭髪に塗布されて使用される。上記の染毛用組成物は、例えば、まゆ毛、まつ毛、ひげ(くちひげ、あごひげ、ほおひげ)、腋毛、胸毛、陰毛等の体毛に塗布されて使用される。また、上記の染毛用組成物は、例えば、頭髪に塗布されて使用される。本実施形態の染毛用組成物は、貼付剤に配合されて使用されてもよい。上記の染毛用組成物は、薬機法上の化粧品、医薬部外品、医薬品等の分類には特に拘束されず、いくつかの分野に適用される。
【0036】
本実施形態の染毛用組成物は、まゆ毛に塗布されて使用されることが好ましい。換言すると、本実施形態の染毛用組成物は、まゆ毛に塗布する用途で使用されることが好ましい。
所望の色に設計された本実施形態の染毛用組成物を、まゆ毛に塗布することによって、まゆ毛を所望の色に染色できるため、例えば、まゆ毛のメークアップに利用できる。また、例えば、まゆ毛の白髪染めの用途で使用できる。
従来の眉用化粧品(眉マスカラ、パウダー等)をまゆ毛に適用しても、クレンジング又は洗顔によって色が落ちやすいが、本実施形態の染毛用組成物でまゆ毛を染色することによって、クレンジング又は洗顔の後でもまゆ毛の染色が持続し得る。よって、まゆ毛の白髪染めの用途であれば、日数が経過しても、まゆ毛において白髪が目立つことを抑えることができる。
【0037】
本実施形態の染毛用組成物は、例えば、以下のようにして使用される。
例えば、染毛用組成物をブラシ等で毛髪(体毛又は頭髪等)に塗布し、一定時間放置させる。その後、水またはぬるま湯で染毛用組成物を洗い流し、毛髪を乾燥させる。このような操作を1回実施することで毛髪は染色されるが、上記のような操作を複数回繰り返すことによって、酸性染料が毛髪へ蓄積していくため、より高い染色性能を発揮させることができる。
【0038】
本発明の染毛用組成物は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の実施形態に限定されるものではない。また、本発明では、一般の染毛用組成物、化粧料、及び、医薬品等において採用される種々の形態を、本発明の効果を損ねない範囲で採用することができる。
【実施例0039】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
以下のようにして、実施例及び比較例の染毛用組成物を製造し、各染毛用組成物について性能評価などを行った。
【0041】
<染毛用組成物の配合成分の詳細>
(A)酸性染料
橙色205号、紫色401号、黒色401号の混合物
(B)モノ飽和アルキルグリセリルエーテル
(B-1)
・モノ2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(別名:エチルヘキシルグリセリン)
総炭素数11 (市販品)
(B-2)
・モノn-ヘキシルグリセリルエーテル
総炭素数9 (市販品 ADEKA社製)
(B-3)
・モノシクロヘキシルグリセリルエーテル
総炭素数9 (市販品 ADEKA社製)
(C)環状カーボネート
(C-1)炭酸プロピレン 市販品
(C-2)炭酸エチレン 市販品
(D)セルロース繊維
・セルロース繊維粉末 製品名「セレンピアCS-01C」(日本製紙社製)
繊維径:1nm以上500nm以下程度
【0042】
(実施例1~17)/(比較例1~5)
表1~表4に示す各配合組成で、各組成物をそれぞれ製造した。具体的には、各配合成分を混合し、ホモディスパ―にて1,000rpmで約2分間撹拌することによって、各組成物を製造した。なお、セルロース繊維粉末は、あらかじめ水に十分に分散させた後に配合した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
<染色性能(染毛性能)の評価>
以下のようにして毛に対する染色性能を評価した。
1.ヤギ毛(ヘアカラー評価用 10cm 1g、スタッフス社製)に各染毛用組成物を1g塗布し、10分間放置した。
2.ヤギ毛を水道水で洗浄し、その後ドライヤーで乾燥した。
3.染色されたヤギ毛のL*a*b*値を測色計で測定した。L*値(明度)が低いほど、良好に染色(濃く染色)されたことになる。
結果を表1に示す。なお、上記のようなヤギ毛は、ヒトの毛髪に対する染色性能を評価するときに一般的に使用されている。
【0048】
表1乃至表4に示すように、酸性染料と、モノ飽和アルキルグリセリルエーテルと、環状カーボネートとを組み合わせることによって、良好な染色性能が発揮された。また、酸性染料と、グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテルと、炭酸プロピレンとを組わせることによって、より良好な染色性能が発揮された。さらに、セルロース繊維を組み合わせることによって、さらに良好な染色性能が発揮された。
酸性染料に加え、モノ飽和アルキルグリセリルエーテル及び環状カーボネートを染毛用組成物に配合することによって、毛髪内部への酸性染料の浸透を促進させることができる。さらに、セルロース繊維を染毛用組成物に配合することで、酸性染料の毛髪への染色性能をより高めることができる。また、セルロース繊維が有する高いチキソトロピー性により、塗布時には、染毛用組成物の粘性が一時的に低下して、染毛用組成物の伸びがよく塗りやすい状態となる一方で、塗布後には、染毛用組成物の粘性が復活して高まり、塗布された染毛用組成物が毛髪から垂れ落ちにくくなる。このような性質をセルロース繊維が染毛用組成物に付与できる。
【0049】
以上のように、実施例の染毛用組成物は、酸性染料と、モノ飽和アルキルグリセリルエーテルと、環状カーボネートとを含むため、体毛又は頭髪の染色性能が良好であった。セルロース繊維がさらに配合されることによって、染色性能がさらに良好となった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の染毛用組成物は、例えば、まゆ毛、まつ毛などの体毛を所望の色に染色するため、又は、頭髪を所望の色に染色するために、体毛や頭髪に塗布されて使用される。