(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045143
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】中間駆動装置および中間駆動装置の設置方法
(51)【国際特許分類】
E21F 13/08 20060101AFI20230327BHJP
E21D 9/12 20060101ALI20230327BHJP
B65G 23/32 20060101ALI20230327BHJP
B65G 23/04 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
E21F13/08
E21D9/12 B
B65G23/32
B65G23/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153387
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】592192907
【氏名又は名称】日建リース工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】000228707
【氏名又は名称】日本コンベヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】布村 進
(72)【発明者】
【氏名】添田 良介
(72)【発明者】
【氏名】森野 弘之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕司
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054DA04
(57)【要約】
【課題】高精度な速度制御や位置決め制御が不要で、かつ、中間駆動装置の設置作業を容易化することが可能な中間駆動装置を提供する。
【解決手段】この中間駆動装置100は、間隔をあけて並んで設けられコンベヤベルト5が巻き付けられる一対の駆動プーリー10a、10bと、一対の駆動プーリー10a、10bの各々の回転軸11a、11bを回転可能に支持するフレーム20と、フレーム20を、一対の駆動プーリー10a、10bと一体的に、回転軸11a、11bと平行な中心軸線20a周りに回転可能に支持する架台30と、一対の駆動プーリー10a、10bを回転駆動する駆動部40と、を備える。フレーム20が、駆動部40とは異なる外部駆動機材50により駆動され回転するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル掘削時の掘削ズリを搬送する延伸ベルトコンベヤにおいて、搬送経路の途中に設置されてコンベヤベルトを補助駆動するための中間駆動装置であって、
間隔をあけて並んで設けられ、前記コンベヤベルトが巻き付けられる一対の駆動プーリーと、
前記一対の駆動プーリーの各々の回転軸を回転可能に支持するフレームと、
前記フレームを、前記一対の駆動プーリーと一体的に、前記回転軸と平行な中心軸線周りに回転可能に支持する架台と、
前記一対の駆動プーリーを回転駆動する駆動部と、を備え、
前記フレームが、前記駆動部とは異なる外部駆動機材により駆動され回転するように構成されている、中間駆動装置。
【請求項2】
前記フレームは、前記一対の駆動プーリーに対して前記回転軸に沿った方向の片側に配置され、各々の前記回転軸を片持ち支持するように構成され、
前記一対の駆動プーリーは、前記回転軸に沿って前記フレームとは反対側から前記一対の駆動プーリーの間に、前記コンベヤベルトを差し込み配置可能に構成されている、請求項1に記載の中間駆動装置。
【請求項3】
前記フレームは、
前記回転軸に沿った方向に間隔をあけて向かい合う第1フレーム部および第2フレーム部と、
前記一対の前記回転軸の各々に対して、前記第1フレーム部側に設けられた第1軸受と、前記第2フレーム部側に設けられた第2軸受と、を含む、請求項2に記載の中間駆動装置。
【請求項4】
前記フレームは、前記回転軸に沿った方向から見て、円形状を有し、
前記架台は、円形状の前記フレームの外周部を回転方向に沿って移動可能に支持する支持部材を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の中間駆動装置。
【請求項5】
前記一対の駆動プーリーは、前記回転軸に沿った方向から見て、前記フレームの前記中心軸線の両側に、前記中心軸線から等距離となる位置に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の中間駆動装置。
【請求項6】
前記一対の駆動プーリーの各々は、相互に噛み合う駆動ギヤを有し、
前記駆動部は、前記フレームの回転角度に応じて、いずれかの前記駆動ギヤと噛み合うピニオンギヤを有する、請求項5に記載の中間駆動装置。
【請求項7】
前記フレームは、前記外部駆動機材との接続部を有し、前記外部駆動機材により前記接続部を周方向に牽引することにより回転するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の中間駆動装置。
【請求項8】
前記フレームは、外周に沿って複数の前記接続部を有し、
前記架台が、前記外部駆動機材からの索具の向きを曲げて、複数の前記接続部のいずれかに向けて前記索具を案内する案内部を有する、請求項7に記載の中間駆動装置。
【請求項9】
前記架台は、前記フレームを、少なくとも360度回転可能に支持するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の中間駆動装置。
【請求項10】
延伸ベルトコンベヤを用いたトンネル掘削工事における、コンベヤベルトを補助駆動するための中間駆動装置の設置方法であって、
前記延伸ベルトコンベヤの稼働中に、前記中間駆動装置の設置位置における前記コンベヤベルトの側方に、一対の駆動プーリーの各々の回転軸を側方から片持ち状に支持するフレームと、前記フレームを回転可能に支持する架台と、前記一対の駆動プーリーを回転駆動する駆動部と、を備えた前記中間駆動装置を、仮組立する工程と、
前記延伸ベルトコンベヤを停止させた後、仮組立した前記中間駆動装置を前記コンベヤベルトの側方から横移動させることにより、前記一対の駆動プーリーの間に前記コンベヤベルトを配置させる工程と、
外部駆動機材により前記フレームを回転させることにより、前記一対の駆動プーリーに前記コンベヤベルトを巻き付ける工程と、を備える、中間駆動装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削時の掘削ズリを搬送する延伸ベルトコンベヤにおいて、搬送経路の途中でコンベヤベルトを補助駆動するための中間駆動装置およびその設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル掘削時の掘削ズリ(地山から掘削された岩塊、土砂など)を搬送するための延伸ベルトコンベヤの中間駆動装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、トンネルの掘削現場に合わせてベルトコンベヤを延伸した際、延長した搬送経路の途中部位に、ブースタードライブ(中間駆動装置)を設けることが開示されている。ブースタードライブは、減速機およびスプロケットを介して電動機に接続された第1の軸の基端側を軸受箱によって片持ち支持し、第1の軸の先端側に、駆動ギヤ、揺動アーム、駆動ローラを設けている。揺動アームは、一端側が第1の軸に軸受を介して支持され、他端側で軸受を介して第2の軸を保持している。第2の軸には、駆動ギヤと噛み合う従動側のギヤと、従動側のローラとが設けられている。ブースタードライブは、揺動アームを所定位置で固定する固定具と、揺動アームから従動側のギヤに挿入されてギヤの回転を止めるための固定ピンとを備える。
【0004】
ブースタードライブを設置する際、固定具を外し、固定ピンを取り付けた状態で電動機を駆動すると、駆動力が第1の軸、駆動ギヤ、従動側のギヤの順に伝達されることで、揺動アームが第1の軸を中心に回動する。第1の軸(駆動ローラ)と第2の軸(従動側のローラ)とが水平になる角度で、電動機の駆動が停止される。この状態で、コンベヤベルトが、従動側のローラの上側位置、駆動ローラと従動側のローラとの間の位置、駆動ローラの下側位置、を順に通過するように挿入される。そして、電動機を逆転駆動し、揺動アームを固定具の設置位置まで反対方向に回動させる。この結果、駆動ローラと従動側のローラとの間を通過させたコンベヤベルトが駆動ローラと従動側のローラとにS字を描くように巻き付けられる。この状態で揺動アームを固定具により固定し、従動側のギヤから固定ピンを抜き取る。これにより、電動機の駆動力によって駆動ギヤと従動側のギヤが回転し、回転される駆動ローラと従動側のローラによってコンベヤベルトを駆動できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、上記特許文献1の中間駆動装置では、中間駆動装置の設置時に、揺動アームを回動させる際、揺動アームの回動速度制御が必要になる。また、従動側のギヤ(ギヤの固定ピン取付穴)の回転位置を固定ピン挿入位置に正確に位置合わせするための位置決め制御が必要になる。しかし、通常のコンベヤベルト駆動用の電動機では、速度制御や位置決め制御を精度良く行うことは困難である。上記のコンベヤベルトの巻き付け作業は、原則、中間駆動装置を設置する際の1回しか行われないため、電動機として、速度制御や位置決め制御が可能なサーボモータを導入することは、制御の複雑化やコストの観点から妥当でない。
【0007】
また、上記特許文献1では、コンベヤベルトの巻き付け作業において、コンベヤベルトを、従動側のローラの上側位置から、駆動ローラと従動側のローラとの間の位置を通って、駆動ローラの下側位置へ通過するように挿入する必要があり、巻き付けを適切に行うためにはコンベヤベルトに張力を付与しておく必要もある。そのため、コンベヤベルトの巻き付け作業が煩雑で作業難度が高いという課題もある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、高精度な速度制御や位置決め制御が不要で、かつ、中間駆動装置の設置作業を容易化することが可能な中間駆動装置および中間駆動装置の設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明による中間駆動装置は、トンネル掘削時の掘削ズリを搬送する延伸ベルトコンベヤにおいて、搬送経路の途中に設置されてコンベヤベルトを補助駆動するための中間駆動装置であって、間隔をあけて並んで設けられ、コンベヤベルトが巻き付けられる一対の駆動プーリーと、一対の駆動プーリーの各々の回転軸を回転可能に支持するフレームと、フレームを、一対の駆動プーリーと一体的に、回転軸と平行な中心軸線周りに回転可能に支持する架台と、一対の駆動プーリーを回転駆動する駆動部と、を備え、フレームが、駆動部とは異なる外部駆動機材により駆動され回転するように構成されている。
【0010】
第1の発明による中間駆動装置では、上記のように構成することによって、一対の駆動プーリーの各々の回転軸を回転可能に支持するフレームを、架台により支持した状態で回転させることができる。そのため、コンベヤベルトが延びる方向に合わせて、一対の駆動プーリーがコンベヤベルトの表面側と裏面側とにそれぞれ配置されるようにフレームの回転角度を予め調整した状態で、一対の駆動プーリーの間にコンベヤベルトを挿入できる。そして、コンベヤベルトを挿入した後、それぞれの駆動プーリーにコンベヤベルトが十分に巻き付くまでフレームを回転させるだけで、一対の駆動プーリーにコンベヤベルトを巻き付ける作業を簡単に行える。また、フレームが、一対の駆動プーリーを回転駆動する駆動部とは異なる外部駆動機材により駆動され回転するので、駆動部には、高精度な速度制御や位置決め制御が要求されない。これらにより、高精度な速度制御や位置決め制御が不要で、かつ、中間駆動装置の設置作業を容易化することができる。
【0011】
上記第1の発明による中間駆動装置において、好ましくは、フレームは、一対の駆動プーリーに対して回転軸に沿った方向の片側に配置され、各々の回転軸を片持ち支持するように構成され、一対の駆動プーリーは、回転軸に沿ってフレームとは反対側から一対の駆動プーリーの間に、コンベヤベルトを差し込み配置可能に構成されている。このように構成すれば、コンベヤベルトが延びる方向に合わせてフレーム(一対の駆動プーリー)の回転角度を予め調整した状態で、コンベヤベルトの側方から中間駆動装置を回転軸に沿ってスライド移動させるだけで、一対の駆動プーリーの間にコンベヤベルトを挿入することができる。したがって、フレームを回転させる作業と、中間駆動装置をスライド移動させる作業と、を行うだけで、一対の駆動プーリーにコンベヤベルトを巻き付ける作業を短時間で容易に行うことができる。
【0012】
この場合、好ましくは、フレームは、回転軸に沿った方向に間隔をあけて向かい合う第1フレーム部および第2フレーム部と、一対の回転軸の各々に対して、第1フレーム部側に設けられた第1軸受と、第2フレーム部側に設けられた第2軸受と、を含む。このように構成すれば、各駆動プーリーの回転軸を片持ち支持する場合でも、回転軸を軸方向に沿った複数箇所で支持できる。その結果、片持ち支持構造であっても、掘削ズリ搬送中のコンベヤベルトの張力を支持するための剛性を容易に確保できる。
【0013】
上記第1の発明による中間駆動装置において、好ましくは、フレームは、回転軸に沿った方向から見て、円形状を有し、架台は、円形状のフレームの外周部を回転方向に沿って移動可能に支持する支持部材を含む。このように構成すれば、フレームの外周部を支持する構造によって、一対の駆動プーリーを支持するフレームを360度以上回転可能に支持する構成を容易に実現できる。
【0014】
上記第1の発明による中間駆動装置において、好ましくは、一対の駆動プーリーは、回転軸に沿った方向から見て、フレームの中心軸線の両側に、中心軸線から等距離となる位置に配置されている。このように構成すれば、たとえば一方の駆動プーリーをフレームの中心軸線と同軸で配置し、他方の駆動プーリーを中心軸線から離して配置する場合と比べて、駆動プーリー間の間隔が同じであれば、フレームの中心軸線から各駆動プーリーまでの距離(半径)を小さくすることができる。このため、一対の駆動プーリーを支持するフレームを小型化することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、一対の駆動プーリーの各々は、相互に噛み合う駆動ギヤを有し、駆動部は、フレームの回転角度に応じて、いずれかの駆動ギヤと噛み合うピニオンギヤを有する。このように構成すれば、フレームの中心軸線から各駆動プーリーまでの距離が等しいことを利用して、いずれかの駆動ギヤがピニオンギヤと噛み合う位置までフレームを回転させるだけの簡単な構成で、駆動部と各駆動ギヤとを動力伝達可能に接続できる。
【0016】
上記第1の発明による中間駆動装置において、好ましくは、フレームは、外部駆動機材との接続部を有し、外部駆動機材により接続部を周方向に牽引することにより回転するように構成されている。このように構成すれば、接続部に作用する牽引力によってフレームを回転させることができる。これにより、外部駆動機材として、大がかりな装置ではなく簡易な牽引機構を用いることができるので、中間駆動装置の設置作業に必要なスペースや設備の制約を効果的に緩和できる。
【0017】
この場合、好ましくは、フレームは、外周に沿って複数の接続部を有し、架台が、外部駆動機材からの索具の向きを曲げて、複数の接続部のいずれかに向けて索具を案内する案内部を有する。このように構成すれば、外部駆動機材といずれかの接続部とを索具で接続して牽引することで、フレームを回転させることができる。この際、架台に設けた案内部と接続部との位置関係によって接続部に作用する牽引力の方向が決まるので、外部駆動機材の位置(牽引方向)や、外部駆動機材から架台までの距離の制約なしで、フレームを回転駆動することができる。
【0018】
上記第1の発明による中間駆動装置において、好ましくは、架台は、フレームを、少なくとも360度回転可能に支持するように構成されている。このように構成すれば、フレームを1回転(360度)以上に亘って自由に回転させることができる。そのため、コンベヤベルトがどのような方向に延びていたとしても、コンベヤベルトが延びる方向に合わせて一対の駆動プーリーの回転位置を予め調整する作業や、一対の駆動プーリーの間に挿入したコンベヤベルトを巻き付けるためにフレームを回転させる作業を、容易に行うことができる。
【0019】
第2の発明による中間駆動装置の設置方法は、延伸ベルトコンベヤを用いたトンネル掘削工事における、コンベヤベルトを補助駆動するための中間駆動装置の設置方法であって、延伸ベルトコンベヤの稼働中に、中間駆動装置の設置位置におけるコンベヤベルトの側方に、一対の駆動プーリーの各々の回転軸を側方から片持ち状に支持するフレームと、フレームを回転可能に支持する架台と、一対の駆動プーリーを回転駆動する駆動部と、を備えた中間駆動装置を、仮組立する工程と、延伸ベルトコンベヤを停止させた後、仮組立した中間駆動装置をコンベヤベルトの側方から横移動させることにより、一対の駆動プーリーの間にコンベヤベルトを配置させる工程と、外部駆動機材によりフレームを回転させることにより、一対の駆動プーリーにコンベヤベルトを巻き付ける工程と、を備える。
【0020】
第2の発明による中間駆動装置の設置方法では、上記のように構成することによって、中間駆動装置を仮組み立てした後、コンベヤベルトの側方から中間駆動装置を回転軸に沿ってスライド移動させるだけで、一対の駆動プーリーの間にコンベヤベルトを配置することができる。その後、フレームを回転させることで、一対の駆動プーリーにコンベヤベルトを巻き付けることができる。フレームが、外部駆動機材により駆動され回転するので、駆動部には、高精度な速度制御や位置決め制御が要求されない。これらにより、高精度な速度制御や位置決め制御が不要で、かつ、中間駆動装置の設置作業を容易化することができる。
【0021】
また、延伸ベルトコンベヤの稼働中に、中間駆動装置の仮組み立てと、コンベヤベルトが延びる方向に合わせたフレーム(一対の駆動プーリー)の回転角度の調整とを予め実施しておくことができる。そして、延伸ベルトコンベヤを停止させた後には、中間駆動装置をスライド移動させる作業と、フレームを回転させる作業とを行うだけで、一対の駆動プーリーにコンベヤベルトを巻き付けることができる。そのため、中間駆動装置を設置するために要する延伸ベルトコンベヤの停止期間を効果的に短縮することができる。これにより、トンネル工事の効率化にも寄与することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記のように、高精度な速度制御や位置決め制御が不要で、かつ、中間駆動装置の設置作業を容易化することが可能な中間駆動装置および中間駆動装置の設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】中間駆動装置を設置した延伸ベルトコンベヤの全体構成を示した模式図である。
【
図2】中間駆動装置の全体構成を説明するための模式図である。
【
図3】1つの駆動プーリーおよび軸受構造を示した、回転軸に沿った模式的な部分断面図である。
【
図4】駆動プーリーの回転軸に沿った中間駆動装置の模式的な断面図である。
【
図5】駆動プーリー側から回転軸に沿った方向に見た、フレームおよび架台の模式図である。
【
図6】駆動ギヤ側から回転軸に沿った方向に見た、フレームおよび架台の模式図である。
【
図7】一対の駆動プーリーへのコンベヤベルトの巻き付け手順(A)~(D)を示した模式図である。
【
図8】フレームの回転手順(A)~(C)を示した模式図である。
【
図9】中間駆動装置の設置方法を説明するための第1の図である。
【
図10】中間駆動装置の設置方法を説明するための第2の図である。
【
図11】中間駆動装置の設置方法を説明するための第3の図である。
【
図12】中間駆動装置の設置方法を説明するための第4の図である。
【
図13】中間駆動装置の設置方法を説明するための第5の図である。
【
図14】中間駆動装置の設置方法を説明するための第6の図である。
【
図15】中間駆動装置の設置方法を説明するための第7の図である。
【
図16】中間駆動装置の設置方法を説明するための第8の図である。
【
図21】中間ヘッドプーリーの断面図(A)および軸方向から見た側面図(B)である。
【
図22】変形例によるフレームおよび架台の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1~
図8を参照して、一実施形態による中間駆動装置100の構成について説明する。中間駆動装置100は、
図1に示すトンネル掘削時の掘削ズリEMを搬送する延伸ベルトコンベヤ200において、搬送経路の途中に設置されてコンベヤベルト5を補助駆動するための駆動装置である。まず、延伸ベルトコンベヤ200の概要について説明する。
【0026】
(延伸ベルトコンベヤの概要)
図1に示すように、延伸ベルトコンベヤ200は、トンネル掘削時の掘削ズリEMを搬送する搬送装置であって、トンネル掘削工事の進行に伴って搬送距離を延長可能なコンベヤ装置である。掘削ズリEMは、トンネルの掘削時に地山から掘削された岩塊、土砂などである。トンネルの入口開口を坑口1といい、掘削中のトンネルの先端(最奥部)を切羽2という。
【0027】
なお、以下の説明では、上下方向(鉛直方向)をZ方向とし、トンネルの掘進方向に沿った前後方向をX方向とする。X方向のうち、掘進方向前側(切羽2側)をX1方向とし、掘進方向後側(坑口1側)をX2方向とする。
【0028】
延伸ベルトコンベヤ200は、中間駆動装置100と、移動式破砕機110と、テールピース台車120と、ベルトストレージ130と、主駆動装置140と、ヘッドプーリー装置150とを備える。
【0029】
延伸ベルトコンベヤ200は、掘進方向前側(X1側)に配置されるテールピース台車120と、掘進方向後側(X2側)に配置されるヘッドプーリー装置150との間で、掘削ズリEMの運搬用のコンベヤベルト5を巻回した運搬システムである。ヘッドプーリー装置150が固定設置されるのに対して、テールピース台車120が移動可能に設けられ、切羽2の前進に伴って移動する。コンベヤベルト5は、環状の無端ベルトである。コンベヤベルト5は、延伸ベルトコンベヤ200の設置初期における搬送長さ(テールピース台車120のテールプーリー121からヘッドプーリー装置150のヘッドプーリー151までの経路長)よりも長く形成されており、本明細書では、コンベヤベルト5の余りの長さ部分を余長部と呼ぶ。余長部がベルトストレージ130に操出可能に貯蔵されている。
【0030】
トンネル掘削面(切羽2)の掘削により発生した掘削ズリEMは、ホイールローダ等の運搬車両Hによって回収され、移動式破砕機110に投入される。移動式破砕機110は、大型の掘削ズリEMを搬送可能なサイズまで細かく破砕した後、破砕された掘削ズリEMをテールピース台車120に投入する。
【0031】
掘削ズリEMは、テールピース台車120においてコンベヤベルト5上に積載される。主駆動装置140の駆動力によってコンベヤベルト5が循環駆動されることにより、テールプーリー121から、坑口付近に配置されたヘッドプーリー151まで、コンベヤベルト5上の掘削ズリEMが搬送される。
【0032】
トンネルの掘削が進行すると、切羽2の位置が移動するので、移動式破砕機110およびテールピース台車120が掘進方向前方(X1方向)へ移動される。そして、テールピース台車120が前進した分だけ、ベルトストレージ130から、貯蔵しているコンベヤベルト5の余長部が繰り出される。
【0033】
ベルトストレージ130が貯蔵している余長部が全て繰り出されると、延伸ベルトコンベヤ200の稼働が一時停止され、既存のコンベヤベルト5の一部が切断され、切断部に新しいコンベヤベルト5が継ぎ足された後、延伸ベルトコンベヤ200の稼働が再開される。新しいコンベヤベルト5は余長部としてベルトストレージ130に貯蔵される。テールピース台車120の前進と、新しいコンベヤベルト5の継ぎ足しとが繰り返されることにより、延伸ベルトコンベヤ200の搬送距離が増大していく。
【0034】
延伸ベルトコンベヤ200の搬送距離が増大すると、主駆動装置140だけでは駆動力が不足したり、ベルト張力が過大になったりする。そのため、
図1に示すように、搬送経路の途中位置に、中間駆動装置100が設置される。中間駆動装置100の設置位置は、切羽2側のテールピース台車120と、ベルトストレージ130、主駆動装置140およびヘッドプーリー装置150とを含む坑口1側の装置群との間の位置である。このように、
図1は、トンネルの掘進がある程度進行して、中間駆動装置100が設置された状態の延伸ベルトコンベヤ200を示している。
【0035】
中間駆動装置100の設置工事の一部の工程は、延伸ベルトコンベヤ200の稼働を一時停止させて行われる。本実施形態の中間駆動装置100は、設置作業を容易化し、延伸ベルトコンベヤ200の稼働停止期間を短縮することが可能な構成を有する。
【0036】
(中間駆動装置)
次に、本実施形態の中間駆動装置100の構造について説明する。中間駆動装置100は、上記のように、トンネル掘削時の掘削ズリEMを搬送する延伸ベルトコンベヤ200において、搬送経路の途中に設置されてコンベヤベルト5を補助駆動するためのベルト駆動装置である。
【0037】
図2に示すように、中間駆動装置100は、駆動プーリー10と、フレーム20と、架台30と、駆動部40とを、主要構造として備えている。なお、以下の説明では、駆動プーリー10の回転軸11に沿った方向(回転軸11の延びる方向)を、単に「軸方向」という。中間駆動装置100の設置状態では、軸方向Ax(
図3参照)は、コンベヤベルト5の幅方向と平行である。
【0038】
〈駆動プーリー〉
中間駆動装置100によるコンベヤベルト5の駆動は、駆動プーリー10にコンベヤベルト5を巻き付け、駆動プーリー10の表面摩擦を利用してコンベヤベルト5を引っ張る仕組みで行われる。中間駆動装置100は、大きい駆動力に対応した摩擦力を発生させるため、一対(2つ)の駆動プーリー10a、10bを備え、一対の駆動プーリー10a、10bによる「タンデム駆動」方式を採用している。
【0039】
また、コンベヤベルト5の摩擦力を大きくするため、個々の駆動プーリー10へのコンベヤベルト5の巻き付け角度は、180度以上、好ましくは270度前後である。なお、コンベヤベルト5の巻き付け角度は、コンベヤベルト5が駆動プーリー10の表面と接触する部分が形成する円弧の円弧開き角のことである。
【0040】
一対の駆動プーリー10a、10bは、間隔をあけて並んで設けられている。一対の駆動プーリー10a、10bは、回転軸11(11a、11b)が互いに平行に延びている。一対の駆動プーリー10a、10bの各々には、同一のコンベヤベルト5が一対の駆動プーリー10a、10bに掛け渡されるように巻き付けられる。
【0041】
一対の駆動プーリー10a、10bの各々は、必ずしも限定しなくてもよいが、同一構造を有する。そのため、1つの駆動プーリー10の構造について説明する。
図3は、1つの駆動プーリー10の軸受け構造を示す拡大図である。
【0042】
駆動プーリー10は、軸方向Axに延びる円筒形状を有する。駆動プーリー10は、コンベヤベルト5のベルト幅以上の長さを有する。駆動プーリー10は、回転軸11の一端P側に設けられている。駆動プーリー10は、回転軸11と溶接等により一体化されている。つまり、駆動プーリー10は、回転軸11と一体回転する。
【0043】
回転軸11は、駆動プーリー10とは反対の他端Q側で、第1軸受12aおよび第2軸受12bにより回転支持されている。第1軸受12aおよび第2軸受12bは、筒状の軸受箱13に収納され、軸シール14a、14b等により保持されている。軸受箱13は、フレーム20に組み付けられている。
【0044】
回転軸11の他端Qは、フレーム20(軸受箱13)を貫通して、フレーム20に対して駆動プーリー10とは反対側へ突出している。回転軸11の他端Qには、駆動ギヤ15が取り付けられている。
【0045】
中間駆動装置100には、このような構成の駆動プーリー10、回転軸11、軸受箱13(第1軸受12a、第2軸受12b、軸シール14a、14b)および駆動ギヤ15のセットが、2セット(一対)設けられている。以下では、駆動プーリー10aの回転軸11、軸受箱13、駆動ギヤ15を、それぞれ回転軸11a、軸受箱13a、駆動ギヤ15aと呼ぶ。駆動プーリー10bの回転軸11、軸受箱13、駆動ギヤ15を、それぞれ回転軸11b、軸受箱13b、駆動ギヤ15bと呼ぶ。
【0046】
〈フレームおよび架台〉
図4に示すように、フレーム20は、一対の駆動プーリー10a、10bの各々の回転軸11a、11bを回転可能に支持する支持部材である。本実施形態のフレーム20は、回転軸11a、11bを中心に回転可能に支持しながら、フレーム20自体が中心軸線20a周りに回転可能となっている。そして、後述するが、フレーム20は、駆動部40とは異なる外部駆動機材50(
図8参照)により駆動され回転するように構成されている。なお、フレーム20の中心軸線20aは、駆動プーリー10の軸方向Axと平行である。
【0047】
フレーム20は、軸方向Ax(回転軸11に沿った方向)から見て、円形状(
図2参照)を有する。フレーム20は、
図3に示したように、軸方向Axに間隔をあけて向かい合う第1フレーム部21および第2フレーム部22を含む。第1フレーム部21および第2フレーム部22は、軸方向Axに延びる連結部23によって互いに固定されている。上記の通り、フレーム20には、2つの軸受箱13a、13b(
図4参照)が設置されている。
【0048】
図4に示すように、2つの軸受箱13a、13bの各々は、軸方向Axの一端側が第1フレーム部21に接続し、軸方向Axの他端側が第2フレーム部22に接続している。そして、各第1軸受12aは、軸受箱13a、13b内の一端部に設けられ、各第2軸受12bは、軸受箱13a、13b内の他端部に設けられている。つまり、フレーム20は、一対の回転軸11a、11bの各々に対して、第1フレーム部21側に設けられた第1軸受12aと、第2フレーム部22側に設けられた第2軸受12bと、を含む。
【0049】
フレーム20は、一対の駆動プーリー10a、10bに対して回転軸11a、11bに沿った片側に配置され、各々の回転軸11a、11bを片持ち支持するように構成されている。言い換えると、一対の駆動プーリー10a、10bは、フレーム20から、一端P側へ軸方向Axに突出するように設けられている。一対の駆動プーリー10a、10bの一端P側は、支持構造が設けられておらず自由端となっている。そのため、一対の駆動プーリー10a、10bの間には、他端Q側がフレーム20により遮られ、一端P側が開放された隙間SPが設けられている。これにより、一対の駆動プーリー10a、10bは、回転軸11a、11bに沿ってフレーム20とは反対側(一端P側)から一対の駆動プーリー10a、10bの間に、コンベヤベルト5を差し込み配置可能に構成されている。
【0050】
図5に示すように、2つの回転軸11a、11bは、フレーム20の中心軸線20aに対して等距離となる位置に設置されている。軸方向Axから見て、回転軸11a、11bは、フレーム20の中心軸線20aに対して対称に配置されている。したがって、一対の駆動プーリー10a、10bは、回転軸11に沿った方向(軸方向Ax)から見て、フレーム20の中心軸線20aの両側に、中心軸線20aから等距離となる位置に配置されている。
【0051】
図4において、駆動プーリー10a、10bのそれぞれの回転軸11a、11bの他端Qには、上記の通り、駆動ギヤ15a、15bが設置されている。
図6に示すように、軸方向Axから見て、それぞれの駆動ギヤ15a、15bは、軸受中心間の距離が等しくなる位置(つまり、回転軸11a、11bの中間点)で、減速比1:1で互いに噛み合っている。
【0052】
このように、一対の駆動プーリー10a、10bの各々は、相互に噛み合う駆動ギヤ15a、15bを有している。したがって、駆動ギヤ15a、15bのいずれか一方を駆動すれば、駆動プーリー10a、10bは、等速で互いに反対方向に回転する。駆動ギヤ15a、15bの各々は、互いの噛み合い位置とは反対側となるフレーム20の外周側の位置で、後述するピニオンギヤ44と噛み合うことができる。
【0053】
図5に示すように、フレーム20は、架台30に支持されている。架台30は、フレーム20を、一対の駆動プーリー10a、10bと一体的に、回転軸11a、11bと平行な中心軸線20a周りに回転可能に支持するように構成されている。フレーム20の回転角度範囲に制限が設けられる場合、架台30は、フレーム20を少なくとも270度回転可能に支持することが好ましい。より好ましくは、架台30は、フレーム20を、少なくとも360度回転可能に支持する。本実施形態では、架台30は、フレーム20を回転自在に支持しており、フレーム20を何回転(720度、960度など)でもさせることができる(フレーム20の回転角度範囲が無制限である)。
【0054】
架台30は、円形状のフレーム20を取り囲む円環状の支持部31と、支持部31が設置された基台部32とを含む。架台30は、円形状のフレーム20の外周部を回転方向に沿って移動可能に支持する支持プレート33を含む。これにより、フレーム20は、円形状の外周部が、架台30に回転支持されている。支持プレート33は、特許請求の範囲の「支持部材」の一例である。
【0055】
支持プレート33は、フレーム20の外周部を滑り支持(たとえば摺動可能に支持)するように構成されている。支持プレート33は、円環状の支持部31の内周面に設けられている。支持プレート33は、フレーム20の外周部に沿って周方向の複数箇所に設けられている。
【0056】
また、フレーム20には、フレーム20が架台30に対して回転可能な状態と、フレーム20が架台30に固定された状態とに、フレーム20の固定状態を切り替えるための構造が設けられている。
【0057】
具体的には、
図6に示すように、フレーム20の外周部には、円環状の固定用フランジ24が設けられている。なお、
図4に示したように、固定用フランジ24は、第1フレーム部21および第2フレーム部22のそれぞれの外周部に、1つずつ設けられている。固定用フランジ24は、フレーム20(第1フレーム部21および第2フレーム部22)の外周部から半径方向外側に向けて突出するように設けられている。固定用フランジ24は、各フレーム部(第1フレーム部21および第2フレーム部22)と架台30とに跨がるように設けられている。
【0058】
図6に示すように、固定用フランジ24には、内周側と外周側との2列のボルト挿通孔(図示せず)が周方向に沿って複数設けられている。内周側のボルト挿通孔に挿入される内列ボルト25aにより、フレーム20(第1フレーム部21または第2フレーム部22)と固定用フランジ24とが固定される。外周側のボルト挿通孔に挿入される外列ボルト25bにより、固定用フランジ24と架台30とが固定される。なお、フレーム20(第1フレーム部21および第2フレーム部22)と架台30との各々には、ボルト挿通孔と同じピッチで、ボルト固定用の複数のねじ孔(図示せず)が形成されている。内列ボルト25aと外列ボルト25bとにより、フレーム20が固定用フランジ24を介して架台30に固定される。外列ボルト25bを取り外すことにより、フレーム20が架台30に対して回転可能な状態となる。
【0059】
また、フレーム20の外周部には、外部駆動機材50(
図8参照)との接続部26が設けられている。フレーム20は、外部駆動機材50により接続部26を周方向に牽引することにより回転するように構成されている。フレーム20は、外周に沿って複数の接続部26を有している。
【0060】
一例では、接続部26は、索具55(
図8参照)を接続するための接続用フックである。接続部26は、具体的には、固定用フランジ24の外周部に設けられている。接続部26は、固定用フランジ24の周方向に間隔をあけて複数設けられている。
図8の例では、4つの接続部26a~26dが、90度間隔で配置されている。
【0061】
また、
図5において、架台30の基台部32には、索具55(
図8参照)を案内するための案内部34が設けられている。案内部34は、外部駆動機材50(
図8参照)からの索具55の向きを曲げて、複数の接続部26のいずれかに向けて索具55を案内する。本実施形態では、案内部34は、中心軸周りに回転可能な滑車である。案内部34は、フレーム20の軸方向Axから見て、フレーム20の下方であって、フレーム20の中心と、水平方向におけるフレーム20の最外周部との間に配置されている。
【0062】
〈駆動部〉
図4に示すように、駆動部40は、一対の駆動プーリー10a、10bを回転駆動する。駆動部40は、フレーム20の回転角度に応じて、いずれかの駆動ギヤ15a、15bと噛み合うピニオンギヤ44(
図6参照)を有する。
図4では、駆動部40は、駆動用モータ41、カップリング42、減速機43、ピニオンギヤ44を含む。
【0063】
駆動用モータ41にカップリング42を介して連結された減速機43の出力軸にピニオンギヤ44が装着されている。ピニオンギヤ44は、駆動ギヤ15a、15bのいずれか一方と噛み合う。
図4の状態では、駆動用モータ41の動力は、カップリング42、減速機43、ピニオンギヤ44を介して、駆動プーリー10の駆動ギヤ15bへ伝達され、駆動ギヤ15bと噛み合った駆動ギヤ15aにも伝達される。これにより、駆動ギヤ15a、15bと連結された一対の駆動プーリー10a、10bが互いに反対方向に回転するタンデム駆動となる。
【0064】
駆動用モータ41、カップリング42、減速機43は、軸方向Axにおいて、ピニオンギヤ44および駆動ギヤ15a、15bのギヤ列に対して、フレーム20とは反対側に配置されている。
【0065】
なお、
図4、
図6ではピニオンギヤ44と駆動ギヤ15bとが噛み合うが、フレーム20の回転角度によっては、(
図6からフレーム20を180度回転させると)ピニオンギヤ44と駆動ギヤ15aとが噛み合う。
【0066】
〈駆動プーリーへのコンベヤベルトの巻き付け〉
図7(A)~
図7(D)を参照して、一対の駆動プーリー10a、10bへのコンベヤベルト5の巻き付け手順を説明する。
図7では、便宜的に駆動プーリー10bにハッチングを付している。
【0067】
図7(A)に示すように、コンベヤベルト5に対して、一対の駆動プーリー10a、10bが巻き付け開始位置に配置される。巻き付け開始位置は、軸方向Axから見て、コンベヤベルト5が一対の駆動プーリー10a、10bの間に配置される位置である。コンベヤベルト5の表面側に駆動プーリー10a、10bの一方が配置され、コンベヤベルト5の裏面側に駆動プーリー10a、10bの他方が配置される。一対の駆動プーリー10a、10bがコンベヤベルト5と直交する方向(コンベヤベルト5の厚み方向)に並ぶように、フレーム20の回転角度が調整されるので、巻き付け開始位置における一対の駆動プーリー10a、10bの回転方向位置は任意である。
【0068】
一対の駆動プーリー10a、10bが巻き付け開始位置に配置された後、
図7(B)、
図7(C)に示すように、フレーム20が回転されることによって、一対の駆動プーリー10a、10bが、フレーム20の中心軸線20a(
図5参照)周りに旋回される。旋回によって、一対の駆動プーリー10a、10bがそれぞれコンベヤベルト5と接触し、外表面にコンベヤベルト5を巻き付ける。
【0069】
図7(D)に示すように、一対の駆動プーリー10a、10bが所定の巻き付け完了位置に配置されると、フレーム20の回転が停止される。巻き付け完了位置は、一対の駆動プーリー10a、10bと連結された一対の駆動ギヤ15a、15bのいずれかが、駆動部40のピニオンギヤ44と噛み合うことが可能な位置である。
図6ではピニオンギヤ44が一対の駆動ギヤ15a、15bと水平に並ぶ位置で噛み合うので、巻き付け完了位置は、一対の駆動プーリー10a、10bが水平方向に並ぶ位置である。
【0070】
巻き付け開始位置によるが、一対の駆動プーリー10a、10b(フレーム20)は、巻き付け開始位置から巻き付け完了位置まで、180度よりも大きく360度よりも小さい角度で回転される。たとえば、一対の駆動プーリー10a、10b(フレーム20)は、
図7(A)の巻き付け開始位置から巻き付け完了位置までに、概ね270度回転される。
【0071】
〈フレームの回転〉
次に、
図8(A)~
図8(C)を参照して、フレーム20を回転させる手順を説明する。
【0072】
フレーム20を回転させる際、予め、フレーム20が架台30に対して回転可能な状態にされる。具体的には、固定用フランジ24に内列ボルト25aを装着してフレーム20と固定用フランジ24を結合する一方、固定用フランジ24に外列ボルト25bは装着しない状態とする。すなわち、固定用フランジ24と架台30との間は結合しない状態とする。
【0073】
次に、フレーム20の回転方向に応じたいずれかの接続部26に、架台30の案内部34を経由して、索具55の一端部が装着される。
図8(A)の例では、初期位置にある1つの接続部26aに索具55の一端部が接続されている。索具55の他端部が、フレーム20を旋回するための外部駆動機材50に接続される。
図8の例では、架台30の付近に、フレーム20を旋回するための外部駆動機材50が設置されている。
【0074】
図8の例では、外部駆動機材50は、たとえばレバーブロック(登録商標)である。外部駆動機材50は、レバーブロックの他、チエーンブロックでもよく、電動または手動ウインチでもよく、油圧シリンダ等でもよく、特に限定を必要としない。索具55は、牽引用ワイヤーロープであるが、チェーンでもよく、繊維ロープでもよい。外部駆動機材50は、手動の機材でもよいし、電力や油圧力などの駆動源を用いる機材でもよく、特に限定を必要としない。外部駆動機材50がレバーブロックである場合、レバーブロックの一方側に索具55の他端部が装着され、レバーブロックの他方側が固定設置されたアンカー51に接続される。外部駆動機材50の牽引反力はアンカー51により支持される。
【0075】
図8(B)に示すように、外部駆動機材50により索具55が巻き上げられると、接続部26aが引っ張られる。これにより、フレーム20が中心軸線20a周りに、牽引方向(ここでは時計方向)に向けて回転する。
【0076】
図8(C)は、フレーム20が約90度回転し、接続部26aが最下点付近に到達した状態を示す。この状態で、索具55の一端部が、接続部26aから外され、初期位置に位置する接続部26dに繋ぎ変えられる。その後、外部駆動機材50により索具55が再び巻き上げられる。いずれかの接続部26への索具55の装着と外部駆動機材50による索具55の巻き上げとが繰り返されることにより、フレーム20が所望の角度まで回転される。
図7に示したように、巻き付け開始位置から巻き付け完了位置まで、概ね270度フレーム20を回転させると、コンベヤベルト5を駆動プーリー10a、10bに所定角度巻き付けることができる。
【0077】
本手順によると、外部駆動機材50による牽引であることから、フレーム20の回転移動量の調節が容易であり精度も高い。また、
図8(C)において二点鎖線で示すように、索具55を接続部26bに繋ぐと、逆回転方向への回転も容易にできる。このため、従来のようにベルトコンベヤの駆動用の電動モータにより駆動プーリーを旋回させる方式に比べ、飛躍的に旋回量の調節精度が向上する。
【0078】
一対の駆動プーリー10a、10bが巻き付け完了位置に配置されるまでフレーム20が回転された後は、固定用フランジ24に外列ボルト25bが装着されて固定用フランジ24と架台30とが固定される。固定用フランジ24を介して、架台30とフレーム20がボルト結合されるため、高い剛性が得られる。
【0079】
(本実施形態の中間駆動装置の効果)
本実施形態の中間駆動装置100では、以下のような効果を得ることができる。
【0080】
本実施形態の中間駆動装置100は、上記のように、コンベヤベルト5が巻き付けられる一対の駆動プーリー10a、10bと、一対の駆動プーリー10a、10bの各々の回転軸11a、11bを回転可能に支持するフレーム20と、フレーム20を、一対の駆動プーリー10a、10bと一体的に、回転軸11a、11bと平行な中心軸線20a周りに回転可能に支持する架台30と、一対の駆動プーリー10a、10bを回転駆動する駆動部40と、を備え、フレーム20が、駆動部40とは異なる外部駆動機材50により駆動され回転するように構成されている。
【0081】
上記のように構成することによって、一対の駆動プーリー10a、10bの各々の回転軸11a、11bを回転可能に支持するフレーム20を、架台30により支持した状態で回転させることができる。そのため、コンベヤベルト5が延びる方向に合わせて、一対の駆動プーリー10a、10bがコンベヤベルト5の表面側と裏面側とにそれぞれ配置されるようにフレーム20の回転角度を予め調整した状態で、一対の駆動プーリー10a、10bの間にコンベヤベルト5を挿入できる。そして、コンベヤベルト5を挿入した後、それぞれの駆動プーリー10にコンベヤベルト5が十分に巻き付くまでフレーム20を回転させるだけで、一対の駆動プーリー10a、10bにコンベヤベルト5を巻き付ける作業を簡単に行える。また、フレーム20が、一対の駆動プーリー10a、10bを回転駆動する駆動部40とは異なる外部駆動機材50により駆動され回転するので、駆動部40には、高精度な速度制御や位置決め制御が要求されない。これらにより、高精度な速度制御や位置決め制御が不要で、かつ、中間駆動装置100の設置作業を容易化することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、フレーム20は、一対の駆動プーリー10a、10bに対して軸方向Axの片側に配置され、各々の回転軸11a、11bを片持ち支持するように構成され、一対の駆動プーリー10a、10bは、軸方向Axに沿ってフレーム20とは反対側から一対の駆動プーリー10a、10bの間に、コンベヤベルト5を差し込み配置可能に構成されている。これにより、コンベヤベルト5が延びる方向に合わせてフレーム20(一対の駆動プーリー10a、10b)の回転角度を予め調整した状態で、コンベヤベルト5の側方から中間駆動装置100を軸方向Axに沿ってスライド移動させるだけで、一対の駆動プーリー10a、10bの間にコンベヤベルト5を挿入することができる。したがって、フレーム20を回転させる作業と、中間駆動装置100をスライド移動させる作業と、を行うだけで、一対の駆動プーリー10a、10bにコンベヤベルト5を巻き付ける作業を短時間で容易に行うことができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、フレーム20は、軸方向Axに間隔をあけて向かい合う第1フレーム部21および第2フレーム部22と、一対の回転軸11a、11bの各々に対して、第1フレーム部21側に設けられた第1軸受12aと、第2フレーム部22側に設けられた第2軸受12bと、を含む。これにより、各駆動プーリー10の回転軸11a、11bを片持ち支持する場合でも、回転軸11a、11bを軸方向Axに沿った複数箇所で支持できる。その結果、片持ち支持構造であっても、掘削ズリ搬送中のコンベヤベルト5の張力を支持するための剛性を容易に確保できる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、フレーム20は、軸方向Axから見て、円形状を有し、架台30は、円形状のフレーム20の外周部を回転方向に沿って移動可能に支持する支持プレート33を含む。これにより、フレーム20の外周部を支持する構造によって、一対の駆動プーリー10a、10bを支持するフレーム20を360度以上回転可能に支持する構成を容易に実現できる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、一対の駆動プーリー10a、10bは、軸方向Axから見て、フレーム20の中心軸線20aの両側に、中心軸線20aから等距離となる位置に配置されている。これにより、たとえば一方の駆動プーリー10aをフレーム20の中心軸線20aと同軸で配置し、他方の駆動プーリー10bを中心軸線20aから離して配置する場合と比べて、駆動プーリー10a、10b間の間隔が同じであれば、フレーム20の中心軸線20aから各駆動プーリー10a、10bまでの距離(半径)を小さくすることができる。このため、一対の駆動プーリー10a、10bを支持するフレーム20を小型化することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、一対の駆動プーリー10a、10bの各々は、相互に噛み合う駆動ギヤ15(15a、15b)を有し、駆動部40は、フレーム20の回転角度に応じて、いずれかの駆動ギヤ15と噛み合うピニオンギヤ44を有する。これにより、フレーム20の中心軸線20aから各駆動プーリー10までの距離が等しいことを利用して、いずれかの駆動ギヤ15がピニオンギヤ44と噛み合う位置までフレーム20を回転させるだけの簡単な構成で、駆動部40と各駆動ギヤ15a、15bとを動力伝達可能に接続できる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、フレーム20は、外部駆動機材50との接続部26を有し、外部駆動機材50により接続部26を周方向に牽引することにより回転するように構成されている。この結果、接続部26に作用する牽引力によってフレーム20を回転させることができる。これにより、外部駆動機材50として、大がかりな装置ではなく簡易な牽引機構を用いることができるので、中間駆動装置100の設置作業に必要なスペースや設備の制約を効果的に緩和できる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、フレーム20は、外周に沿って複数の接続部26(26a~26d)を有し、架台30が、外部駆動機材50からの索具55の向きを曲げて、複数の接続部26a~26dのいずれかに向けて索具55を案内する案内部34を有する。これにより、外部駆動機材50といずれかの接続部26とを索具55で接続して牽引することで、フレーム20を回転させることができる。この際、架台30に設けた案内部34と接続部26との位置関係によって接続部26に作用する牽引力の方向が決まるので、外部駆動機材50の位置(牽引方向)や、外部駆動機材50から架台30までの距離の制約なしで、フレーム20を回転駆動することができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、架台30は、フレーム20を、少なくとも360度回転可能に支持するように構成されている。これにより、フレーム20を1回転(360度)以上に亘って自由に回転させることができる。そのため、コンベヤベルト5がどのような方向に延びていたとしても、コンベヤベルト5が延びる方向に合わせて一対の駆動プーリー10a、10bの回転位置を予め調整する作業や、一対の駆動プーリー10a、10bの間に挿入したコンベヤベルト5を巻き付けるためにフレーム20を回転させる作業を、容易に行うことができる。
【0090】
(中間駆動装置の設置方法)
次に、
図9~
図21を参照して、中間駆動装置100の設置方法を説明する。本実施形態の中間駆動装置100の設置方法は、延伸ベルトコンベヤ200を用いたトンネル掘削工事における、コンベヤベルト5を補助駆動するための中間駆動装置100の設置方法である。
【0091】
本実施形態の中間駆動装置100の設置方法は、少なくとも、以下の工程を備えている。
(工程1)延伸ベルトコンベヤ200の稼働中に、中間駆動装置100の設置位置におけるコンベヤベルト5の側方に、一対の駆動プーリー10a、10bの各々の回転軸11を側方から片持ち状に支持するフレーム20と、フレーム20を回転可能に支持する架台30と、一対の駆動プーリー10a、10bを回転駆動する駆動部40と、を備えた中間駆動装置100を、仮組立する工程。
(工程2)延伸ベルトコンベヤ200を停止させた後、仮組立した中間駆動装置100をコンベヤベルト5の側方から横移動させることにより、一対の駆動プーリー10a、10bの間にコンベヤベルト5を配置させる工程。
(工程3)外部駆動機材50によりフレーム20を回転させることにより、一対の駆動プーリー10a、10bにコンベヤベルト5を巻き付ける工程。
【0092】
以下では、中間駆動装置100だけでなく中間駆動装置100に付随する付属機器の設置も含めた一連の設置方法について説明する。
図9~
図16は、設置方法の流れを時系列的に説明する図である。なお、
図9~
図16では、図中のX1方向およびX2方向の向きが
図1とは逆になっている。
【0093】
図9に示すように、トンネル掘進中(すなわち、延伸ベルトコンベヤ200の稼働中)に、中間駆動装置100を仮組立する(工程1)。まず、延伸ベルトコンベヤ200の稼働中に、設置台60、仮設揚重機61および張出架台62などを組み立てる。
【0094】
次に、トンネル内を搬送された中間駆動装置100を仮設揚重機61で吊り上げ、仮設置する。
図9は、中間駆動装置100を仮設揚重機61で吊り上げている状態を示している。この工程において、中間駆動装置100以外の付属機器も全て設置台60へ仮設置する。なお、仮設揚重機61は、中間駆動装置100の設置工事が完了した後で撤去する。
【0095】
仮組立の工程中、延伸ベルトコンベヤ200は、切羽方向(X1方向)側から坑口方向(X2方向)に向けて掘削ズリEMを搬送している。
図9は、延伸ベルトコンベヤ200のうち、中間駆動装置100の設置予定位置付近のコンベヤ中間部分MPを示している。コンベヤ中間部分MPは、図示しないニーブレスによりトンネルの坑壁に支持されている。
【0096】
図17に示すように、設置台60には、コンベヤベルト5の位置から、コンベヤベルト5の側方にずれた位置まで張り出す張出架台62が仮設される。中間駆動装置100および付属機器は、張出架台62において、コンベヤベルト5から側方にずれた準備位置P1へ仮組立される。張出架台62は、機器を仮設置するために設けられ、中間駆動装置100等の本設置後には設置台60から撤去する。
【0097】
仮組立の工程の後、延伸ベルトコンベヤ200を停止させる工程を実施する。これにより、主駆動装置140(
図1参照)が停止されるので、コンベヤベルト5が停止される。
【0098】
図10~
図16では、説明に必要な機器を除いて仮設置した機器の図示を省略している。以下の説明において、環状のコンベヤベルト5のうち、坑口側(X2方向)へ掘削ズリEMを搬送する部分をキャリア側ベルト5aと呼び、掘削ズリEMの搬送後に切羽2側(X1方向)へ戻される部分をリターン側ベルト5bと呼ぶ。
【0099】
図10に示すように、延伸ベルトコンベヤ200の停止後、中間駆動装置100の設置区間に存在する延伸ベルトコンベヤ200の一部(コンベヤ中間部分MP)を撤去する工程を実施する。
【0100】
次に、中間駆動装置100の駆動プーリー10a、10bにコンベヤベルト5を案内するためのプーリーを設置する工程を実施する。具体的には、ベルトハンドリング冶具63を設置して、ベルトハンドリング冶具63によりリターン側ベルト5b(破線部)を退避させながら、リターンベントプーリ64aを設置する。続いて、ベルトハンドリング冶具63を切羽側(X1方向)に移動し、同様にリターン側ベルト5bを退避させながら、リターンベントプーリ64bを設置する。リターン側ベルト5bからベルトハンドリング冶具63を除去すると、リターン側ベルト5bはリターンベントプーリ64aとリターンベントプーリ64bとに掛け渡される。
【0101】
次に、
図11および
図18に示すように、キャリア側ベルト5aをベルトハンドリング冶具63により退避させながら、中間ヘッドプーリー65を設置する。キャリア側ベルト5aからベルトハンドリング冶具63を除去すると、キャリア側ベルト5aは中間ヘッドプーリー65に掛け渡される。
【0102】
次に、
図12に示すように、中間ヘッドプーリー65よりも坑口側(X2側)のキャリア側ベルト5aを、ベルトハンドリング冶具63により切羽方向(X1方向)に引き込み、キャリアベントプーリー66aを設置する。キャリア側ベルト5aからベルトハンドリング冶具63を除去すると、キャリア側ベルト5aは中間ヘッドプーリー65からキャリアベントプーリー66aに掛け渡される。
【0103】
次に、仮組立した中間駆動装置100の一対の駆動プーリー10a、10bの間にコンベヤベルト5を配置させる(工程2)。具体的には、中間ヘッドプーリー65とキャリアベントプーリー66aとの間のキャリア側ベルト5aに対して、
図19に示すように、予め仮設置しておいた中間駆動装置100をベルトの側方からスライド移動する。なお、中間駆動装置100をスライド移動する前に、駆動プーリー10a、10bが巻き付け開始位置(
図7(A)参照)に配置されるように、フレーム20の回転角度が予め調整される。中間駆動装置100は、張出架台62においてコンベヤベルト5の側方に隣り合う準備位置P1から、コンベヤベルト5に向けて矢印80に示す方向に並進移動される。移動の結果、中間駆動装置100は、組み付け位置P2(
図20参照)に配置される。
【0104】
これにより、
図13に示すように、駆動プーリー10a、10bの間に、キャリア側ベルト5a(コンベヤベルト5)が差し込まれる(正確には、駆動プーリー10a、10bが、キャリア側ベルト5aの上面側、下面側にそれぞれ差し込まれる)。
【0105】
次に、
図14に示すように、一対の駆動プーリー10a、10bにコンベヤベルト5を巻き付ける(工程3)。具体的には、中間駆動装置100のフレーム20を回転させ、駆動プーリー10a、10bにキャリア側ベルト5a(コンベヤベルト5)を巻き付ける。なお、コンベヤベルト5の巻き付け手順は
図7(A)~
図7(D)を用いて上述した通りである。巻き付け完了位置に配置された駆動プーリー10a、10bは、ピニオンギヤ44と噛み合わされる(
図6参照)。これにより、中間駆動装置100がコンベヤベルト5を駆動可能となる。
【0106】
その後、
図15に示すように、中間駆動装置100の坑口側(X2側)に、キャリアベントプーリー66bを設置する工程を実施する。この結果、キャリア側ベルト5a、リターン側ベルト5bの両方が、正規の状態(コンベヤベルト5を循環駆動可能な状態)となる。
【0107】
続いて、中間駆動装置100の付属機器を設置する工程を実施する。
図16に示すように、ヘッドシュート67、乗継ホッパおよび乗継コンベヤ部68等が、中間ヘッドプーリー65の位置に設置される。ヘッドシュート67は、切羽側から中間ヘッドプーリー65まで搬送された掘削ズリEMを受け入れ、受け入れた掘削ズリEMを乗継ホッパおよび乗継コンベヤ部68に供給する筒状部材である。乗継ホッパおよび乗継コンベヤ部68は、掘削ズリEMを分散させつつ坑口側のキャリア側ベルト5a上に供給する装置である。乗継コンベヤ部68は、インパクトローラおよびコンベヤローラ、整流板などから構成される。この他、蛇行検知器などの監視機器(図示省略)も設置される。また、中間ヘッドプーリー65と中間駆動装置100の間には、スクレーパや水洗クリーナ等のベルト洗浄機器(図示省略)も設置される。最後に、切羽側(X1方向側)のコンベヤフレーム69を設置する工程を実施する。
【0108】
以上の各工程により、中間駆動装置100および付属機器が延伸ベルトコンベヤ200に設置される。切羽側のコンベヤフレーム69を設置する工程が完了すると、停止されていた延伸ベルトコンベヤ200の稼働が再開される。したがって、トンネルの掘削工事が再開される。稼働再開後は、主駆動装置140と中間駆動装置100とによって、コンベヤベルト5が循環駆動される。
【0109】
図21を参照して、中間ヘッドプーリー65の軸受構造を説明する。プーリー部70の内部に、軸受71が軸方向Axに沿って2つ設けられている。中間ヘッドプーリー65には、軸受71を保護するシール等の外部防護機器も装備されている。中間ヘッドプーリー65は、これらの2つの軸受71を介して、軸72により回転支持されている。軸72は、設置台60に固定される。すなわち、中間ヘッドプーリー65は、軸72が固定され、固定の軸72に対してプーリー部70が軸受71を介して回転するフリープーリである。
【0110】
このような構造により、中間ヘッドプーリー65は、設置台60に片持ち支持される。この他のリターンベントプーリ64a、64b、キャリアベントプーリー66a、66bも、
図21に示した中間ヘッドプーリー65と同様の構造により、設置台60に片持ち支持される。このため、これらのプーリーは、上記中間駆動装置100と同様に、コンベヤベルト5に対して側方からプーリーの先端側を差し込むように配置するだけで、所定の支持位置に設置される。
【0111】
(本実施形態の中間駆動装置の設置方法の効果)
本実施形態の中間駆動装置100の設置方法では、以下のような効果を得ることができる。
【0112】
本実施形態の中間駆動装置100の設置方法は、上記のように、延伸ベルトコンベヤ200の稼働中に、中間駆動装置100を仮組立する工程と、延伸ベルトコンベヤ200を停止させた後、仮組立した中間駆動装置100をコンベヤベルト5の側方から横移動させることにより、一対の駆動プーリー10a、10bの間にコンベヤベルト5を配置させる工程と、外部駆動機材50によりフレーム20を回転させることにより、一対の駆動プーリー10a、10bにコンベヤベルト5を巻き付ける工程と、を備える。
【0113】
上記のように構成することによって、中間駆動装置100を仮組み立てした後、コンベヤベルト5の側方から中間駆動装置100を回転軸11に沿ってスライド移動させるだけで、一対の駆動プーリー10a、10bの間にコンベヤベルト5を配置することができる。その後、フレーム20を回転させることで、一対の駆動プーリー10a、10bにコンベヤベルト5を巻き付けることができる。フレーム20が、外部駆動機材50により駆動され回転するので、駆動部40には、高精度な速度制御や位置決め制御が要求されない。これらにより、高精度な速度制御や位置決め制御が不要で、かつ、中間駆動装置100の設置作業を容易化することができる。
【0114】
また、延伸ベルトコンベヤ200の稼働中に、中間駆動装置100の仮組み立てと、コンベヤベルト5が延びる方向に合わせたフレーム20(一対の駆動プーリー10a、10b)の回転角度の調整とを予め実施しておくことができる。そして、延伸ベルトコンベヤ200を停止させた後には、中間駆動装置100をスライド移動させる作業と、フレーム20を回転させる作業とを行うだけで、一対の駆動プーリー10a、10bにコンベヤベルト5を巻き付けることができる。そのため、中間駆動装置100を設置するために要する延伸ベルトコンベヤ200の停止期間を効果的に短縮することができる。これにより、トンネル工事の効率化にも寄与することができる。
【0115】
さらに、本実施形態では、中間ヘッドプーリー65、リターンベントプーリ64a、64b、キャリアベントプーリー66a、66b等の各種プーリーも、駆動プーリー10a、10bと同様に片持ち支持構造とした。これにより、中間駆動装置100のみならず中間駆動装置100に付随するベルト案内用の各種プーリーについても、コンベヤベルト5に対し片側方向から差し込むだけで延伸ベルトコンベヤ200に組み付けることができる。
【0116】
このように、延伸ベルトコンベヤ200の稼働中に、設置台60および張出架台62を延伸ベルトコンベヤ200の側方に事前組立てをし、中間駆動装置100、中間ヘッドプーリー65、リターンベントプーリ64a、64b、キャリアベントプーリー66a、66b等の付属機器を全て仮組立てしておき、その後で延伸ベルトコンベヤ200を稼働停止して、仮組み立てした中間駆動装置100および付属機器を速やかに組み付けできる。その結果、本組立を完了するまでのトンネル掘進停止期間(延伸ベルトコンベヤ200の稼働停止期間)を最小限にすることができる。
【0117】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0118】
たとえば、上記実施形態では、円環状の支持部31と基台部32とを含む架台30を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば
図22に示すように、架台30に円環状の支持部31を設けなくてもよい。
図22では、架台230が、基台部32によって円形状のフレーム20の下部を支持する例を示す。
図22では、架台230は、円形状のフレーム20の外周部を回転方向に沿って移動可能に支持する支持ローラ233を含む。支持ローラ233は、フレーム20の外周部を転がり支持するように構成されている。支持ローラ233は、特許請求の範囲の「支持部材」の一例である。
【0119】
また、上記実施形態では、円環状の固定用フランジ24をフレーム20に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。
図22の例では、フレーム20に固定用フランジ24が設けられていない。固定用フランジ24を設ける代わりに、架台230に固定用ブラケット235が複数設けられている。固定用ブラケット235にはボルト挿通孔(図示せず)が設けられており、接合ボルト236bにより固定用ブラケット235が基台部32に固定されている。フレーム20を所定の回転角度に配置した時に、固定用ブラケット235のボルト挿通孔に接合ボルト236aを挿入してフレーム20のねじ孔(図示せず)に固定することができる。これにより、フレーム20が固定用ブラケット235を介して基台部32に固定される。なお、この変形例では、フレーム20の周囲に接続部26が設けられている。架台230には、実施形態と同様に案内部34が設けられており、フレーム20の回転動作は上記実施形態と同様に行うことができる。
【0120】
また、上記実施形態では、フレーム20が、一対の駆動プーリー10a、10bの各々の回転軸11a、11bを片持ち支持する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の中間駆動装置100では、フレーム20とは反対側である回転軸11a、11bの一端P側を支持する構造を設けてもよい。この場合、一対の駆動プーリー10a、10bの間にコンベヤベルト5を差し込む際には回転軸11a、11bの一端P側を支持する構造を中間駆動装置100から取り外し、一対の駆動プーリー10a、10bの間にコンベヤベルト5を配置した後で回転軸11a、11bの一端P側を支持する構造を中間駆動装置100に取り付けるようにしてもよい。
【0121】
また、上記実施形態では、回転軸11に対して、第1フレーム部21側に設けられた第1軸受12aと、第2フレーム部22側に設けられた第2軸受12bとを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1フレーム部21および第2フレーム部22を設ける代わりにフレームを単一の平板構造としてもよい。この場合、たとえば駆動プーリー10の外周部を回転可能に支持する大径の軸受構造をフレームに設けてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、一対の駆動プーリー10a、10bを、フレーム20の中心軸線20aの両側に、中心軸線20aから等距離となる位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば一対の駆動プーリー10a、10bの一方をフレーム20の中心軸線20a上に配置し、他方を中心軸線20aから所定距離だけ離れた位置に配置してもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、駆動ギヤ15a、15bを、それぞれ回転軸11a、11bの各他端に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、軸方向Axんにおいて、駆動ギヤ15a、15bをそれぞれの駆動プーリー10a、10bと、フレーム20との間の位置(回転軸の中間位置)に設けてもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、一対の駆動プーリー10a、10bが巻き付け完了位置においてピニオンギヤ44と噛み合う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえばピニオンギヤ44(駆動部40)の位置を変更可能にすることによって、任意の回転位置で一対の駆動プーリー10a、10bのいずれかとピニオンギヤ44とが噛み合い可能なように中間駆動装置100を構成してもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、外部駆動機材50により接続部26を周方向に牽引することによりフレーム20が回転する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえばフレーム20の外周部に沿って複数の係合片(突起)を設けて、油圧シリンダなどの直動機構からなる外部駆動機材50によって係合片を周方向に向けて押し出すことによりフレーム20を回転させてもよい。シリンダ1ストローク分のピッチで係合片を配置し、1ストローク毎に押し出す係合片を変更することにより、フレーム20を自由に回転させることができる。この場合、索具55を使用しないので、索具55を案内する案内部34を架台30に設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0126】
5 コンベヤベルト
10(10a、10b) 駆動プーリー
11(11a、11b) 回転軸
12a 第1軸受
12b 第2軸受
15(15a、15b) 駆動ギヤ
20 フレーム
20a 中心軸線
21 第1フレーム部
22 第2フレーム部
26(26a~26d) 接続部
30、230 架台
33 支持プレート(支持部材)
34 案内部
40 駆動部
44 ピニオンギヤ
50 外部駆動機材
55 索具
100 中間駆動装置
200 延伸ベルトコンベヤ
233 支持ローラ(支持部材)
Ax 軸方向(回転軸に沿った方向)