(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045148
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/10 20220101AFI20230327BHJP
F24H 15/355 20220101ALI20230327BHJP
【FI】
F24H1/10 303Z
F24H1/10 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153399
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直矢
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼上 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】西村 和裕
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 久貴
【テーマコード(参考)】
3L034
【Fターム(参考)】
3L034EA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加熱して出湯した湯水を戻して再加熱可能に構成されている場合に、出湯した湯水が通る湯水配管を覆う保温材の劣化の進行を判定することができる給湯装置を提供する。
【解決手段】複数の燃焼段を有する燃焼部と、燃焼用空気を供給する燃焼ファンと、燃料を供給する燃料供給部と、熱交換部と、熱交換部に湯水を供給する給水部と、加熱運転により燃焼部で燃料を燃焼させた燃焼熱を利用して熱交換部で加熱した湯水を出湯する出湯部と、加熱運転を制御する制御部を備えた給湯装置10において、出湯部の湯水を給水部に戻して熱交換部で加熱する再加熱運転が可能なように構成された場合に、制御部は、再加熱運転中に燃焼部の最小燃焼能力の燃焼段のみで加熱する時間を時間データとして記憶し、時間データが経年的に増加傾向にある場合に、出湯部から湯水が供給される湯水配管2,4を覆う保温材7の劣化の進行を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求される熱量に応じて燃焼能力を切り替えるために複数の燃焼段を有する燃焼部と、前記燃焼部に燃焼用空気を供給する燃焼ファンと、前記燃焼部に燃料を供給する燃料供給部と、熱交換部と、前記熱交換部に湯水を供給する給水部と、加熱運転により前記燃焼部で燃料を燃焼させた燃焼熱を利用して前記熱交換部で加熱した湯水を出湯する出湯部と、前記加熱運転を制御する制御部を備えた給湯装置において、
前記出湯部の湯水を前記給水部に戻して前記熱交換部で加熱する再加熱運転が可能なように構成された場合に、前記制御部は、前記再加熱運転中に前記燃焼部の最小燃焼能力の燃焼段のみで加熱する時間を時間データとして記憶し、この時間データが経年的に増加傾向にある場合に、前記出湯部から湯水が供給される湯水配管を覆う保温材の劣化の進行を判定することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記制御部は、通信網を介して外部サーバに通信可能に接続され、前記時間データを前記外部サーバに送信し、前記制御部の代わりに前記外部サーバが蓄積した前記時間データに基づいて前記保温材の劣化の進行を判定することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記制御部は、外気温度に応じて前記時間データを補正することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼式の給湯装置に関し、特に給湯栓を開くとすぐに加熱された湯水が給湯される即湯循環システムに使用される給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱運転により燃料の燃焼熱を利用して加熱した湯水を給湯する燃焼式の給湯装置が広く利用されている。この給湯装置は、給湯栓が開いてから燃焼を開始させるので、加熱された湯水が実際に給湯されるまで時間がかかり、給湯装置と給湯栓の間の給湯配管が長いほどその時間が長くなる。それ故、一般家庭、宿泊施設、医療施設等において、給湯栓を開くとすぐに加熱された湯水が給湯される即湯機能の要求がある。
【0003】
即湯機能の提供のため、給湯装置と給湯栓との間で湯水を常時循環させ、湯水の温度維持のために給湯装置で適宜再加熱する即湯循環を行うように構成される場合がある。一般家庭では、給湯から湯水温度維持のための加熱まで1台の給湯装置で燃焼能力を調整して対応することができる。
【0004】
一方、宿泊施設等では、複数の給湯栓が同時に使用されて一度に大量に給湯する場合がある。そのため、複数の給湯装置が配設され、給湯量に応じて加熱運転を行う給湯装置の台数と各給湯装置の燃焼能力を調整することにより、大量の給湯から湯水温度維持のための加熱まで対応可能なように構成される。
【0005】
湯水を循環させる湯水配管は、外気温度、風の影響を受けて湯水温度が下がることを防ぐために、通常、例えば発泡樹脂によって形成された保温材で覆われている。しかし、長期間の使用により、保温材が劣化し、保温性能が低下する場合がある。
【0006】
保温性能の低下によって湯水配管に湯水を循環させたときの湯水温度の低下が大きくなるので、循環する湯水の湯水温度維持のための加熱時間(加熱頻度)が増加し、燃料消費が増え、加熱コストが増加する。そして、保温材の劣化は目立たず、保温性能の低下に気づかないことが多いので、燃料消費が増え、加熱コストが増加した状態が続いてしまう虞があり、好ましくない。
【0007】
保温性能の低下を検知する技術として、特許文献1のように、例えば温水暖房装置と給湯装置の間の循環通路の凍結防止のために、循環ポンプ駆動前の湯水温度と循環ポンプ駆動時の湯水の最低温度に基づいて循環通路の保温材剥離を判定する技術が知られている。また、特許文献2のように、保温用の断熱材を備えた貯湯タンクの湯水を上水と混合して出湯する給湯装置において、1日の出湯量に対する上水の給水量が過去実績よりも減少した場合に、貯湯タンクの湯水温度が以前よりも低下しているとして断熱材の能力低下を検知する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3149012号公報
【特許文献2】特許第4287852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1では、循環通路内の位置によって放熱性が異なることを利用して、凍結防止のための湯水循環時の湯水温度の変動に基づいて循環通路の保温材の剥離を検出するので、即湯機能のために加熱された湯水が常時循環する構成への適用は容易ではない。また、上記特許文献2では、ある熱量の貯湯タンクからの出湯量と給水量の関係に基づき断熱材の能力低下を検知するので、即湯機能のために加熱された湯水が再加熱される構成への適用は困難である。それ故、即湯機能のための循環通路に適用可能な保温材の劣化判定技術が求められている。
【0010】
本発明の目的は、即湯機能のために加熱して出湯した湯水を戻して再加熱可能に構成されている場合に、出湯した湯水が通る湯水配管を覆う保温材の劣化の進行を判定することができる給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明の給湯装置は、要求される熱量に応じて燃焼能力を切り替えるために複数の燃焼段を有する燃焼部と、前記燃焼部に燃焼用空気を供給する燃焼ファンと、前記燃焼部に燃料を供給する燃料供給部と、熱交換部と、前記熱交換部に湯水を供給する給水部と、加熱運転により前記燃焼部で燃料を燃焼させた燃焼熱を利用して前記熱交換部で加熱した湯水を出湯する出湯部と、前記加熱運転を制御する制御部を備えた給湯装置において、前記出湯部の湯水を前記給水部に戻して前記熱交換部で加熱する再加熱運転が可能なように構成された場合に、前記制御部は、前記再加熱運転中に前記燃焼部の最小燃焼能力の燃焼段のみで加熱する時間を時間データとして記憶し、この時間データが経年的に増加傾向にある場合に、前記出湯部から湯水が供給される湯水配管を覆う保温材の劣化の進行を判定することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、給湯装置は、加熱運転によって加熱した湯水を出湯部から出湯する。給湯栓を開くとすぐに加熱された湯水が給湯される即湯機能のために、出湯された湯水を給水部に戻して再加熱可能に構成される場合に、出湯された湯水の通路が放熱防止用の保温材で覆われる。これにより放熱を抑制し、循環する湯水を再加熱する再加熱運転では、燃焼部の最小燃焼能力の燃焼段のみ燃焼させて加熱しながら湯水を一巡させることで、湯水の温度を維持することができる。そして、最小燃焼能力の燃焼段のみでの加熱時間が増加することは、出湯された湯水の温度が循環中にすぐに下がって再加熱の頻度が増加することなので、制御部は、最小燃焼能力の燃焼段のみでの加熱時間の増加傾向によって保温材の劣化の進行を判定することができる。
【0013】
請求項2の発明の給湯装置は、請求項1の発明において、前記制御部は、通信網を介して外部サーバに通信可能に接続され、前記時間データを前記外部サーバに送信し、前記制御部の代わりに前記外部サーバが蓄積した前記時間データに基づいて前記保温材の劣化の進行を判定することを特徴としている。
上記構成によれば、制御部は時間データを外部サーバに送信する。外部サーバは、制御部の代わりに蓄積した時間データに基づいて保温材の劣化の進行を判定する。従って、制御部の処理負荷を増加させずに保温材の劣化の進行を判定することができ、処理能力が高い制御部を必要としないので、給湯装置の製造コスト上昇を抑制することができる。
【0014】
請求項3の発明の給湯装置は、請求項1の発明において、前記制御部は、外気温度に応じて前記時間データを補正することを特徴としている。
上記構成によれば、外気温度に応じて時間データを補正することにより、外気温度が高く最小燃焼能力の燃焼段のみでの加熱時間が短い時期と、外気温度が低く最小燃焼能力の燃焼段のみでの加熱時間が長い時期の時間データを外気温度に応じて平均化して、保温材の劣化の進行を容易に判定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の給湯装置によれば、即湯機能のために加熱して出湯した湯水を戻して再加熱可能に構成されている場合に、出湯した湯水が通る湯水配管を覆う保温材の劣化の進行を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係る給湯装置を備えた即湯循環システムの説明図である。
【
図2】本発明の実施例に係る給湯装置の構成を示す図である。
【
図3】燃焼能力と使用燃焼段の対応テーブルである。
【
図6】月平均気温と1段燃焼時間の関係を例示する図である。
【
図7】複数の給湯装置を備えた即湯循環システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0018】
最初に、即湯機能を提供する即湯循環システム1について説明する。
図1に示すように、例えば一般家庭の台所、浴室等で使用される複数の給湯栓F1~F3が装備された給湯配管2に、燃焼式の給湯装置10が接続されている。この給湯装置10には給水配管3が接続され、矢印Wで示すように給水配管3から供給される上水が給湯装置10の加熱運転によって加熱されて、給湯配管2を介して複数の給湯栓F1~F3に供給される。
【0019】
給湯栓F1~F3を開くとすぐに加熱された湯水が給湯される即湯機能のために、給湯装置10で加熱されて給湯配管2に供給された湯水が、給湯配管2から給水配管3に接続された戻り配管4を介して給湯装置10に戻るように即湯循環システム1構成されている。戻り配管4は、途中で2つに分岐した分岐配管部分に夫々循環ポンプ5a,5bが介装され、分岐配管部分が合流して給水配管3に接続されている。この戻り配管4が分岐する分岐点には、湯水を循環させる循環ポンプ5a,5bを切り替えるための流路切替弁6が装備されている。湯水を常時循環させるために、循環ポンプ5a,5bのうち、常時何れか一方が駆動され、周期的に駆動する循環ポンプが切り替えられる。
【0020】
給湯配管2と戻り配管4は、給湯装置10から湯水が供給される湯水配管であり、循環する湯水の放熱を防ぐために保温材7で覆われている。保温材7は、例えば発泡樹脂によって形成されている。循環する湯水が予め設定された再加熱開始温度未満になった場合には、湯水を循環させながら給湯装置10の加熱運転によって再度加熱する再加熱運転を行うことにより、循環する湯水の温度を維持する。
【0021】
次に、給湯装置10について説明する。
図2に示すように、給湯装置10は、燃焼部11と、燃焼部11に燃料を供給する燃料供給部12と、燃焼部11に燃焼用空気を供給する燃焼ファン13と、燃焼部11の燃焼熱を利用して湯水を加熱する熱交換部14を有する。燃焼部11は、設定された温度の湯水の出湯に要求される熱量に応じて燃焼能力を切り替えるために、複数の燃焼段11a~11dを有する。通常、複数の燃焼段11a~11dのうち、最初に点火される燃焼段11aが最小燃焼能力の燃焼段である。
【0022】
熱交換部14に湯水を供給する給水部15には給水配管3が接続されている。熱交換部14で加熱された湯水を出湯する出湯部16は、給湯配管2に接続されている。給水部15は、給水温度センサ17と、流量センサ18を備えている。出湯部16は、第1出湯温度センサ19と第2出湯温度センサ20を備え、熱交換部14で加熱された湯水に流量調整弁21を備えたバイパス通路22を介して給水部15からの湯水を混合することにより、温度を調整して出湯する。
【0023】
給湯装置10は、燃焼ファン13の駆動、流量調整弁21の駆動、燃焼部11の燃焼能力の調整を行って加熱運転を制御する制御部24を備えている。燃焼部11の燃焼能力の調整は、
図3に示すように、複数の燃焼段11a~11dのうち使用する燃焼段の組み合わせによって行うことができ、燃料供給部12による燃料供給量の調整も可能である。例えば最小燃焼能力の1段の場合には燃焼段11aのみ使用し、最小燃焼能力の燃焼段11aのみで燃焼させることを1段燃焼と呼ぶ。
【0024】
制御部24は、給水温度センサ17、流量センサ18、第1、第2出湯温度センサ19,20の検知信号を受信して、熱交換部14で加熱された湯水の温度を設定された温度に調整する。この制御部24は、
図1のように給湯温度等を設定することができる給湯リモコン25が接続され、給湯リモコン25と通信接続された通信装置31を介して、例えばインターネット等の通信網32に接続された外部サーバ35と通信可能に接続されている。
【0025】
複数の給湯栓F1~F3のうち、例えば給湯栓F1を開いて給湯が開始されると、給水温度センサ17が低温の上水の流入を検知して、又は流量センサ18が循環時よりも大きい流量を検知して、加熱運転が開始される。給湯が行われていないときには、循環する湯水が徐々に放熱し、給水温度センサ17の検知温度が再加熱開始温度以下に低下した場合に、例えば最小燃焼能力の燃焼段11aのみで燃焼(1段燃焼)させて再加熱運転を行う。そして、給水温度センサ17の検知温度が予め設定された加熱終了温度以上になった場合に、再加熱運転を停止する。再加熱運転により、循環する湯水の温度が例えば給湯リモコン25で設定された給湯温度近傍の一定の範囲内に維持される。
【0026】
制御部24は、再加熱運転を含む加熱運転時に、最小燃焼能力の燃焼段11aのみで加熱する時間(1段燃焼時間)を時間データとして、この時間データ含む加熱運転データを記憶し、蓄積する。そして、経年的に1段燃焼時間(時間データ)が増加傾向にある場合に、加熱した湯水が供給される湯水配管(給湯配管2、戻り配管4)を覆う保温材7の劣化が進行していると判定する。循環する湯水の温度維持には1段燃焼で十分対応可能であり、1段燃焼の加熱運転の大部分が循環する湯水の温度を維持するための再加熱運転である。
【0027】
1段燃焼時間(時間データ)の増加は、出湯された湯水の温度が循環する間にすぐに下がってしまい、再加熱運転の頻度が増加していることを示している。従って、制御部24は、1段燃焼時間の増加によって保温材7の劣化の進行を判定することができる。判定の結果、保温材7の交換修理が必要な場合には、交換修理を促す報知を例えば給湯装置10の給湯リモコン25での表示によって行うことができる。
【0028】
例えば
図4のように、先月の1段燃焼時間の合計と、前年同月の1段燃焼時間の合計を比較して、前年比α%増の場合に保温材7が劣化していると判定することができる。保温材7の劣化判定の基準となるαの値は、実験等に基づいて適宜設定することができ、給湯装置10を設置した1年目の時間データと比較するようにしてもよい。
【0029】
また、例えば
図5のように、先月の加熱運転の累計加熱時間に占める1段燃焼時間の割合と、前年同月の加熱運転の累計加熱時間に占める1段燃焼時間の割合を比較して、前年比β%増の場合に保温材7が劣化していると判定することもできる。保温材7の劣化判定の基準となるβの値は、実験等に基づいて適宜設定することができる。
【0030】
外気温度が低いほど、循環する湯水の温度は低下し易くなる。例えば
図6のように、月平均気温が低いほど、再加熱運転の頻度が増加し、1段燃焼時間の累計が増加する。この例では月平均気温が1℃下がると1段燃焼時間の累計が2時間ほど増加する傾向があるので、外気温度に基づいて時間データの補正を行うこともできる。
【0031】
例えば、外気温度が高く1段燃焼時間が短い時期と、外気温度が低く1段燃焼時間が長い時期の時間データを外気温度に依存しないように平均化する補正を行う。外気温度は、例えば通信網32を介して気象データを提供する図示外の気象サーバから取得することができ、給湯装置10が図示外の外気温度センサを備えている場合にはその検知温度を外気温度とすることができる。時間データの補正によって、前年同月との比較だけでなく、任意の月同士で比較して保温材7の劣化の進行を容易に判定することができる。尚、
図6の関係は、即湯循環システム毎に異なるので、時間データの補正を行うためには即湯循環システム毎に時間データを含む燃焼運転データの蓄積が必要である。
【0032】
制御部24は、加熱運転時に新たに記憶した1段燃焼時間(時間データ)を含む加熱運転データを外部サーバ35に周期的に送信し、制御部24の代わりに外部サーバ35が、蓄積した時間データが経年的に増加傾向にある場合に保温材7の劣化が進行していると判定することもできる。制御部24に長期間の加熱運転データを蓄積する必要がなく、制御部24の処理負担を増加させずに保温材7の劣化の進行を判定することができる。それ故、能力が高い制御部24を必要とせず、給湯装置10の製造コストの上昇が抑制される。
【0033】
図7のように、ある程度規模が大きい例えば宿泊施設等では、複数の給湯栓F1~Fnからの大量の給湯に対応できるように複数の給湯装置10が給水配管3と給湯配管2の間に並列に設置されて即湯循環システム1Aが構成される。そして、給湯使用がないときに、循環する湯水の温度維持のための再加熱運転は、何れか1台の給湯装置10で1段燃焼させることによって十分に加熱することができる場合が多い。従って、複数の給湯装置10によって即湯機能を提供する場合でも、1台の給湯装置10の場合と同様にして、保温材7の劣化の進行を判定することができる。
【0034】
上記実施例に係る給湯装置10の作用、効果について説明する。
給湯装置10は、加熱運転によって加熱した湯水を出湯部16から出湯する。給湯栓F1~F3を開くとすぐに加熱された湯水が給湯される即湯機能のために、出湯された湯水を給水部15に戻して再加熱可能に構成される場合に、出湯された湯水が通る湯水配管(給湯配管2、戻り配管4)が放熱防止用の保温材7で覆われる。これにより、循環する湯水を再加熱する再加熱運転では、燃焼部11の最小燃焼能力の燃焼段11aのみで燃焼(1段燃焼)させて加熱しながら湯水を一巡させることで湯水の温度を維持することができる。そして、最小燃焼能力の燃焼段11aのみでの加熱時間(時間データ)が増加することは、出湯された湯水の温度が循環中にすぐに下がって再加熱の頻度が増加することなので、制御部24は、時間データの増加傾向によって保温材7の劣化の進行を判定することができる。
【0035】
制御部24は最小燃焼能力の燃焼段11aのみでの加熱時間(時間データ)を外部サーバ35に送信する。そして、制御部24の代わりに外部サーバ35が、蓄積した時間データに基づいて保温材7の劣化の進行を判定する。制御部24の処理負荷を増加させずに保温材7の劣化の進行を判定することができるので、処理能力が高い制御部24を必要とせず、給湯装置10の製造コスト上昇を抑制することができる。
【0036】
また、制御部24は外気温度に応じて時間データを補正することにより、外気温度が高く最小燃焼能力の燃焼段11aのみでの加熱時間が短い時期と、外気温度が低く最小燃焼能力の燃焼段11aのみでの加熱時間が長い時期の時間データを外気温度に応じて平均化して、保温材7の劣化の進行を容易に判定することができる。
【0037】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。