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  • 特開-圧力検出システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045226
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】圧力検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01L 27/00 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
G01L27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153502
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】517091447
【氏名又は名称】株式会社ハイテックシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 俊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151161
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 彩
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB03
2F055CC02
2F055DD04
2F055EE11
2F055FF45
2F055GG49
(57)【要約】
【課題】複数の被測定部の圧力を、簡易にかつ誤差を抑制して検出することができる圧力検出システムを提供する。
【解決手段】圧力検出システム21は、圧力センサ23a~23h、基準センサ24、気体送出部27、流路制御部28、及び取得演算部29を備える。基準センサ24は、被測定部の圧力を測定する圧力センサ23a~23hの校正に用いる校正基準となる。気体送出部27は基準センサ24と圧力センサ23a~23hとのそれぞれに気体を送出し、流路制御部28は圧力センサ23a~23h及び基準センサ24への気体の送り込みのオンとオフとを制御する。取得演算部29は、気体により加圧された基準センサ24と圧力センサ23a~23hとにより検出された加圧圧力値、及び、加圧を解除された基準センサ24と圧力センサ23a~23hとにより検出された非加圧圧力値に基づいて、圧力センサ23a~23hを校正する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被測定部の圧力をそれぞれ測定する複数の圧力センサと、
前記圧力センサの校正に用いる校正基準となる基準センサと、
前記基準センサと校正される前記圧力センサとのそれぞれに気体を送出する気体送出部と、
前記複数の圧力センサ及び前記基準センサへの前記気体の送り込みのオンとオフとを制御する気体送り制御部と、
前記気体によりそれぞれ目的とする圧力値に加圧した状態の前記基準センサと前記圧力センサとにより検出された加圧圧力値、及び、前記気体による加圧を解除した状態の前記基準センサと前記圧力センサとにより検出された非加圧圧力値に基づいて、前記圧力センサを校正する校正演算部とを備える圧力検出システム。
【請求項2】
前記気体送り制御部と前記校正演算部とを制御する統括コントローラを備える請求項1に記載の圧力検出システム。
【請求項3】
前記基準センサと、前記複数の圧力センサのそれぞれとは、前記気体を案内する案内管により前記気体送出部に対して並列に接続されている請求項1または2に記載の圧力検出システム。
【請求項4】
前記案内管は、前記気体送出部から延びたメインラインと、一端が前記メインラインに接続するとともに他端が前記圧力センサに接続する複数の圧力センサラインとを有し、
一端が前記圧力センサラインに接続し、他端が被測定部に接続する被測定部管と、
前記被測定部管から分岐し、先端が開放した被測定部分岐管と、
前記被測定部分岐管が分岐した前記被測定管の分岐位置よりも前記被測定部側に設けられた第1バルブと、
前記被測定部分岐管に設けられた第2バルブと、
前記圧力センサラインの、前記被測定部管が接続する接続位置よりも前記メインライン側に設けられた第3バルブと
をさらに備える請求項3に記載の圧力検出システム。
【請求項5】
前記気体送出部と、前記基準センサ及び前記複数の圧力センサとの間の前記案内管に互いに直列に設けられ、前記気体送出部から前記基準センサ及び前記複数の圧力センサへ向けた前記気体の送出のオンとオフとを切り替える第1送出バルブ及び第2送出バルブと、
前記第1送出バルブと前記第2送出バルブとの間の前記案内管から分岐し、先端が開放した送出部分岐管と、
前記送出部分岐管に配される分岐バルブと、
を備える請求項3または4に記載の圧力検出システム。
【請求項6】
前記校正演算部は、前記基準センサの加圧圧力に前記圧力センサの加圧圧力を対応させて最大検出圧力とし、前記基準センサの非加圧圧力に前記圧力センサの非加圧圧力を対応させて最小検出圧力とすることにより、前記圧力センサを校正する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の圧力検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばダムにおいては、ダムの安全性を監視するために揚水圧(揚圧力)の測定が行われている。揚水圧は、ダム堤体の監査廊に設けられた複数の排水孔の各々に接続して、圧力計を設けて測定が行われる。
【0003】
揚水圧を測定するためには、排水孔と圧力計とを接続する管に備えられた複数のバルブの開閉作業を行う必要があるとともに、開閉の切り替えから所定時間経過後に圧力計の読針を行わなければならないなど、多大な手間と時間とを要する。
【0004】
揚水圧の測定には、圧力計として、例えばブルドン管式圧力計が多く用いられている。ブルドン管式圧力計の場合には、検出された圧力を示す針を読むいわゆる読針で測定が行われるため、読針を行った作業者等によって誤差が生じやすい。そこで、圧力センサを用いて揚水圧を検出する手法もあるが、圧力センサ毎に誤差があるとともに、圧力センサは経時的にも誤差の変動が生じる。
【0005】
特許文献1には、複数のチャンバの各圧力を圧力センサで検出するために、複数のチャンバの各々にチャンバ圧力センサを設けて、チャンバ圧力センサを校正する方法が記載されている。この方法は、複数のチャンバに気体を送り、複数の第1の圧力測定値の平均値に等しい選択されたチャンバ圧力センサの圧力測定値と複数の第2の圧力測定値の平均値との差を解消するように選択されたチャンバ圧力センサの校正を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-148473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の手法は複数のチャンバに気体を送るものであるので、監査廊の排水孔のような狭小領域等に採用することはできない。また、特許文献1の手法は、複数の第1の圧力測定値の平均値と、複数の第2の圧力測定値とをそれぞれ求める必要があり、校正の処理が煩雑である。
【0008】
そこで、本発明は、複数の被測定部の圧力を、簡易にかつ誤差を抑制して検出することができる圧力検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の圧力検出システムは、複数の圧力センサと、基準センサと、気体送出部と、気体送り制御部と、校正演算部とを備える。複数の圧力センサは、複数の被測定部の圧力をそれぞれ測定する。基準センサは、圧力センサの校正に用いる校正基準となる。気体送出部は、基準センサと校正される圧力センサとのそれぞれに気体を送出する。気体送り制御部は、複数の圧力センサ及び基準センサへの上記気体の送り込みのオンとオフとを制御する。校正演算部は、気体によりそれぞれ目的とする圧力値に加圧した状態の基準センサと圧力センサとにより検出された加圧圧力値、及び、気体による加圧を解除した状態の基準センサと圧力センサとにより検出された非加圧圧力値に基づいて、圧力センサを校正する。
【0010】
圧力検出システムは気体送り制御部と校正演算部とを制御する統括コントローラを備えることが好ましい。
【0011】
基準センサと、複数の圧力センサのそれぞれとは、気体を案内する案内管により気体送出部に対して並列に接続されていることが好ましい。案内管は、気体送出部から延びたメインラインと、一端がメインラインに接続するとともに他端が圧力センサに接続する複数の圧力センサラインとを有することがより好ましく、この場合の圧力検出システムは、被測定部管と、被測定部分岐管と、第1バルブと、第2バルブと、第3バルブとを備える。被測定部管は、一端が圧力センサラインに接続し、他端が被測定部に接続する。被測定部分岐管は、被測定部管から分岐し、先端が開放している。第1バルブは、被測定部分岐管が分岐した被測定管の分岐位置よりも被測定部側に設けられている。第2バルブは、被測定部分岐管に設けられている。第3バルブは、圧力センサラインの、被測定部管が接続する接続位置よりもメインライン側に設けられている。
【0012】
圧力検出システムは、第1送出バルブ及び第2送出バルブと、送出部分岐管と、分岐バルブとを備えることが好ましい。第1送出バルブ及び第2送出バルブは、気体送出部と、基準センサ及び複数の圧力センサとの間の案内管に互いに直列に設けられ、気体送出部から基準センサ及び複数の圧力センサへ向けた気体の送出のオンとオフとを切り替える。送出部分岐管は、第1送出バルブと第2送出バルブとの間の案内管から分岐し、先端が開放している。分岐バルブは、送出部分岐管に配されている。
【0013】
校正演算部は、基準センサの加圧圧力に圧力センサの加圧圧力を対応させて最大検出圧力とし、基準センサの非加圧圧力に圧力センサの非加圧圧力を対応させて最小検出圧力とすることにより、圧力センサを校正することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の被測定部の圧力を、簡易にかつ誤差を抑制して検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ダム堤体及び圧力検出システムの各部の設置位置についての説明図である。
図2】圧力検出システムの構成図である。
図3】圧力検出システムにおける揚水圧測定のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態を、水力発電所のダムの揚水圧(揚圧力)を検出する圧力検出システムを例にして説明する。圧力検出システムは、複数箇所の圧力を検出することができる。圧力検出システムは、ダムの揚水圧を測定するために限られず、例えば、石油や天然ガス等のパイプラインの流路を流れる石油や天然ガスの圧力、天然ガスの採掘場における配管やタンクの内部の圧力、石油プラントにおける配管やタンク及び蒸留塔の内部の圧力、酒の製造における発酵槽の内部の圧力などを検出するためにも用いることができ、本例のように静圧を検出する場合に好適である。
【0017】
ダム堤体13には、複数の排水孔14a~14hが監査廊18の延びた方向において間隔を空けて設けられている。排水孔14a~14hの各々は、一端がダム堤体13下の地盤(岩盤)17に開口し、他端が監査廊18において開口している。圧力検出システムは揚水圧を検出するための圧力センサを複数備え、圧力センサは、各排水孔14a~14hの監査廊18側の開口に接続して設けられる。これにより、ダム堤体13における各箇所の揚水圧が検出される。検出された揚水圧は、監査廊18に設けられた後述の統括コントローラを介して、ダムを管理する管理棟19内に設けられた外部コントローラに送信される。このように、圧力検出システムによれば、管理棟19に、検出した揚水圧が報知される。なお、以降の説明において排水孔14a~14hを区別しない場合には排水孔14と記載する。
【0018】
図1に示す本例では、排水孔14が8つであるダムにおいて圧力検出システムを設けているので圧力センサの数は8つとしている。しかし、圧力センサの数は揚水圧を検出する検出箇所の数に応じて適宜設定すればよい。図1においては、圧力センサの設置位置に符号PSa~PShを、統括コントローラの設置位置には符号PCを、個々の圧力センサの校正に用いる校正ユニットの設置位置には符号PUを付している。校正ユニットの設置位置は特に限定されないが、本例の校正ユニットは圧力センサを校正する基準センサを備えており、基準センサは、大気圧及びその変動の影響が最も抑えられている位置として、監査廊18の中でも最も低い位置に配してある。なお、管理棟19は、図1に示す本例ではダム堤体13の最も上である天端13uと概ね等しい高さに設けられているが、管理棟19の位置はダムによって異なる。
【0019】
図2において、圧力検出システム21は、圧力センサ23a,23b,23c,・・・,23hの校正を行い、校正された圧力センサ23a,23b,23c,・・・,23hを用いて揚水圧を測定するためのものである。圧力検出システム21は、圧力センサ23a,23b,23c,・・・,23hと、基準圧力センサ(以下、基準センサと称する)24と、気体送出部27と、流路制御部28と、取得演算部29とを備える。圧力検出システム21は、さらに、統括コントローラ31と、外部コントローラ32とを備えることが好ましく、本例でもそのようにしている。
【0020】
圧力センサ23a~23hと基準センサ24との各々は取得演算部29と例えば光ケーブルなどにより接続されており、検出した圧力を取得演算部29に出力する。取得演算部29は、圧力センサ23a~23h及び基準センサ24から圧力の検出値を取得して、圧力センサ23a~23hの校正や統括コントローラ31への出力等、所定の処理を行う。気体送出部27と、各圧力センサ23a~23h及び基準センサ24と、排水孔14a~14hとを接続する各管TA、TB、TC、TDに設けられた第1~第9バルブV1~V9及び気体送出部27は、例えば光ケーブルなどにより接続されている流路制御部28により制御される。統括コントローラ31は、流路制御部28及び取得演算部29を統括的に制御する。外部コントローラ32は、統括コントローラ31と例えば光ケーブルなどで接続されており、統括コントローラ31に対して各種の制御の指示を適宜行う。統括コントローラ31には入力部35が、外部コントローラ32には入力部36が、それぞれ設けられており、入力部35、36による入力操作に基づいて、統括コントローラ31及び外部コントローラ32の制御の各設定などをすることができるようになっている。また、統括コントローラ31には表示部37が、外部コントローラ32には表示部38が、それぞれ設けられており、入力部35、36での入力操作のための画像や、各部の状態、圧力センサ23a~23hによって検出した圧力検出値等が表示されるようになっている。表示画像は、統括コントローラ31、外部コントローラ32によってそれぞれ生成される。以下、圧力検出システム21の各部について詳細を説明する。
【0021】
圧力センサ23aは、排水孔14aにおける圧力(排水孔14aから出てくる水または気体の圧力)を揚水圧として検出するためのものであり、第1~第3バルブV1~V3等とともに検出ユニットSUaを構成している。同様に、圧力センサ23b~23hは、排水孔14b~14hにおける圧力を揚水圧として検出するためのものである。圧力センサ23b~23hも、検出ユニットSUaの第1~第3バルブV1~V3と同じ第1~第3バルブV1~V3等とともに検出ユニットSUb~SUhを構成している。ただし、検出ユニットSUb~SUhの各々については、検出ユニットSUaと同様の構成であるので、第1~第3バルブV1~V3の図示は略してある。
【0022】
この例の圧力センサ23a~23hは、排水孔14における水の圧力である揚水圧を被測定部の圧力として検出するが、前述のように、ダムの揚水圧とは異なる圧力を被測定部の圧力として検出することができる。本例の圧力センサ23a~23hは、大気圧を基準としたいわゆるゲージ圧を検出する圧力センサとしている。また、本例の圧力センサ23a~23hは半導体圧力センサ(半導体隔膜式圧力センサ)であるが、他の圧力センサ、例えば歪ゲージ式圧力センサや、薄膜式圧力センサなどであってもよい。ただし、複数の圧力センサ23a~23hは、互いに同じ圧力センサであり、同じレンジ(測定レンジ)であることが好ましい。本例では圧力センサ23a~23hとして、横河電機株式会社製の高精度小形圧力伝送器FP201を用いている。圧力センサ23a~23hは、検出した圧力検出値を取得演算部29に出力する。
【0023】
基準センサ24は、圧力センサ23a~23hの各々の校正に用いる校正基準となる圧力センサである。基準センサ24は、校正基準となる圧力センサであるから、できるだけ誤差が小さく、圧力を精緻に検出できるものであることが好ましい。このような基準センサ24を用いることにより、圧力センサ23a~23hは基準センサ24で精緻な校正がなされた上で圧力を検出するので、基準センサ24ほどの精緻さで検出することができるものでなくても十分に機能する。したがって、各排水孔14に圧力センサが既に設けられている場合には、それらの圧力センサを圧力センサ23a~23hとして用いればよい。
【0024】
基準センサ24は、圧力センサと同様にゲージ圧を検出する圧力センサとしている。基準センサ24に用いる圧力センサは、圧力センサ23a~23hと同じレンジのものが好ましいと共に、精度が圧力センサ23a~23hよりも1桁以上良く、高品質なものが好ましい。また、本例の基準センサ24は半導体圧力センサ(半導体隔膜式圧力センサ)であるが、圧力センサ23a~23hと同様に、例えば歪ゲージ式圧力センサや、薄膜式圧力センサ等の他の圧力センサを用いてもよい。本例では基準センサ24として、横河電機株式会社製の圧力伝送器EJX430Jを用いている。基準センサ24は、気体送出部27及び第4~第9バルブV4~V9等とともに校正ユニットCUを構成しており、検出した圧力検出値を取得演算部29に出力する。
【0025】
校正ユニットCUを基準センサ24とともに構成している気体送出部27は、圧力センサ23a~23hの校正を行うに際して、基準センサ24及び圧力センサ23a~23hのそれぞれを加圧するためのものである。気体送出部27は、加圧に用いる気体(加圧気体)の一例としてのエア(空気)を基準センサ24及び圧力センサ23a~23hのそれぞれに送出する。気体送出部27と基準センサ24及び圧力センサ23a~23hとはエアを案内する案内管TAで接続されており、この案内管TAにより、気体送出部27から送出されたエアは基準センサ24及び圧力センサ23a~23hのそれぞれへ案内される。
【0026】
気体送出部27は、コンプレッサ(圧縮機)41とエアフィルタ42とレギュレータ43とを有する。コンプレッサ41は、流路制御部28の制御の下で、取り込んだエアを圧縮して圧力を上昇させて送出する。エアフィルタ42は、コンプレッサ41から送られてきたエアを除塵して清浄化する。エアフィルタ42はなくてもよいが、エアの送り方向における下流側の各バルブや機器に対する粉塵の混入を防ぐために有る方が好ましい。レギュレータ43は、エアの送り方向におけるエアフィルタ42よりも下流に配されており、コンプレッサ41からのエアの圧力を減少させる圧力調整を行う。なお、コンプレッサ41とエアフィルタ42とレギュレータ43とは一体に形成されていてもよい。コンプレッサ41の代わりに、コンプレッサ41よりも低い圧力のエアを送出するブロアやファン等の他の送風機器を用いてもよく、ブロアやファンを用いた場合にはレギュレータ43は備えられていなくてもよい。
【0027】
この例のコンプレッサ41は、取り込んだエアを加圧して送出するいわゆるエアコンプレッサであるが、エア以外の気体を加圧して送出するコンプレッサでもよい。エア以外の気体としては例えば窒素や希ガス(ヘリウム、アルゴン等)等の不活性ガスがある。また、エア以外の上記の気体を圧縮して収容し、送出流量を調節することができるボンベ等をコンプレッサ41の代わりに用いてもよい。
【0028】
気体送出部27は、基準センサ24及び圧力センサ23a~23hの各々と、コンプレッサ41から送出されるエアを案内する案内管TAとにより接続されている。これにより、コンプレッサ41から送出されたエアが、基準センサ24及び圧力センサ23a~23hに対して、無駄なく確実に送られるとともに、管という容積が非常に小さい空間で案内されるので迅速に送られ、校正処理に迅速に進む。
【0029】
基準センサ24と圧力センサ23a~23hの各々とは、気体送出部27に対して案内管TAにより並列に接続されていることが好ましく、本例でもそのようにしている。案内管TAは、コンプレッサ41から延びたメインラインTAmと、一端がメインラインTAmに接続する基準センサラインTAr及び複数の圧力センサラインTAsとを備える。圧力センサラインTAsは、圧力センサ23a~23h毎に設けられ、本例では8ラインとなっている。なお、基準センサラインTArとメインラインTAmとが接続する位置を接続位置P21、圧力センサラインTAsとメインラインTAmとが接続する位置を接続位置P22とする。
【0030】
気体送出部27と、基準センサ24及び圧力センサ23a~23hとの間のメインラインTAmには、第4バルブV4と第5バルブV5とが互いに直列に設けられており、これらのうち、気体送出部27からのエアの送り方向における上流側を第4バルブV4、下流側を第5バルブV5とする。第4バルブV4と第5バルブV5とは、基準センサ24及び圧力センサ23a~23hへ向けたエアの送出のオン(送出)とオフ(非送出)とを切り替えるための第1送出バルブと第2送出バルブとの各一例であり、流路制御部28の制御の下でメインラインTAmを開閉する。第4バルブV4と第5バルブV5とは、本例では電磁弁としている。
【0031】
第4バルブV4と第5バルブV5との間のメインラインTAmからは、先端が開放した送出部分岐管TBが分岐し、分岐している位置を分岐位置P23とする。送出部分岐管TBには第6バルブV6が配されており、第6バルブV6は流路制御部28の制御の下で送出部分岐管TBを開閉する。気体送出部27からエアが送出されている間は、第6バルブV6が閉状態の場合には、エアの全量が基準センサ24及び圧力センサ23a~23hへ案内される。気体送出部27からのエアの送出がオフの間は、第6バルブV6が開状態の場合には、コンプレッサ41の二次側が開放されて残圧が解除し、大気圧に戻される。第6バルブV6が閉状態とすることにより、メインラインが気密になる。
【0032】
気体送出部27と第4バルブV4との間には、メインラインTAmの開度を調節するための第7バルブV7が設けられていることが好ましく、本例でもそのようにしている。第7バルブV7は、気体送出部27からのエアの流量の調節をするためのものである。第7バルブV7はメインラインTAmの開度を調節することができるものならば特に限定されず、本例では手動のニードルバルブとしている。
【0033】
送出部分岐管TBの第6バルブV6よりも先端側には、送出部分岐管TBの開度を調節するための第8バルブV8が設けられていることが好ましく、本例でもそのようにしている。第8バルブV8は、コンプレッサ41における上述の残圧解除の速度を調節するためのものである。第8バルブV8は送出部分岐管TBの開度を調節することができるものならば特に限定されず、本例では手動のニードルバルブとしている。
【0034】
基準センサラインTArには、基準センサラインTArを開閉する第9バルブV9が設けられていることが好ましく、本例でもそのようにしている。第9バルブV9は、基準センサ24を点検(保守のための点検等)する際及び圧力センサ23を校正する際に、基準センサラインTArを閉状態にしてメインラインTAmから分離するためのものである。第9バルブV9は基準センサラインTArを開閉することができるものならば特に限定されず、本例では手動のバルブとしている。
【0035】
検出ユニットSUaにおいては、メインラインTAmから圧力センサ23aに延びた各圧力センサラインTAsに第3バルブV3が設けられている。第3バルブV3は、圧力センサ23aへのエアの送出のオンとオフとを切り替えるためのものであり、流路制御部28の制御の下で圧力センサラインTAsを開閉する。
【0036】
検出ユニットSUaにおいては、圧力センサラインTAsに一端が接続し、排水孔14aに他端が接続する被測定部管TCと、被測定部管TCから分岐して先端が開放した被測定部分岐管TDとが設けられている。被測定部管TCと圧力センサラインTAsとが接続する位置を接続位置P24とし、被測定部管TCの被測定部分岐管TDが分岐している位置を分岐位置P25とする。上記の第3バルブV3は、圧力センサラインTAsの、接続位置P24よりもメインラインTAm側に設けられている。
【0037】
被測定部管TCの分岐位置P25よりも排水孔14a側には第1バルブV1が設けられている。第1バルブV1は、流路制御部28の制御の下で被測定部管TCを開閉する。
【0038】
被測定部分岐管TDには第2バルブV2が設けられている。第2バルブV2は、流路制御部28の制御の下で被測定部分岐管TDを開閉する。
【0039】
検出ユニットSUb~SUhにおいても、圧力センサラインTAsと被測定部管TCと被測定部分岐管TDと第1~第3バルブV1~V3とが同様の構成で設けられている。なお、第1~第3バルブV1~V3は、本例ではV3は電磁弁としV1とV2はモーターバルブとしている。
【0040】
流路制御部28は、気体送出部27から基準センサ24及び圧力センサ23a~23hの各々へのエアの送り込みを制御する気体送り制御部の一例である。流路制御部28は、統括コントローラ31の制御により、基準センサ24及び圧力センサ23a~23hを目的とする圧力値を検出する加圧状態と、加圧状態が解除された非加圧状態とにそれぞれするためのエアの流路が形成されるように、所定のタイミングで、第1~第6バルブV1~V6の各開閉を制御するとともに、気体送出部27のコンプレッサ41の駆動のオンとオフとを切り替え、エアの送出を制御する。流路制御部28は、また、統括コントローラ31の制御により、所定のタイミングで、第1~第3バルブV1~V3を開閉することにより排水孔14よりも監査廊18側の圧力センサラインTAsと被測定部管TCと被測定部分岐管TDとをそれぞれ開閉して、排水孔14からの水の案内路を形成する。
【0041】
取得演算部29は、基準センサ24と圧力センサ23a~23hにより検出された圧力の検出圧力値を取得する取得部であるとともに、検出圧力値に基づいて圧力センサを校正する校正演算部の一例である。例えば、圧力センサ23a~23hを校正する場合には、取得演算部29は、非加圧状態である基準センサ24及び圧力センサ23a~23hで検出された非加圧圧力の検出圧力値(以下、非加圧圧力値と称する)と、加圧状態の基準センサ24及び圧力センサ23a~23hで検出された加圧圧力の検出圧力値(以下、加圧圧力値)とが入力され、非加圧圧力値と加圧圧力値とに基づき、圧力センサ23a~23hを校正する。この例の基準センサ24及び圧力センサ23a~23hは検出した検出圧力に応じた検出電流を出力するものであり、この検出電流の値を加圧圧力値及び非加圧圧力値等の検出圧力値として取得演算部29に出力している。取得演算部29は、圧力センサ23a~23hの各々の非加圧圧力値を、基準センサ24の非加圧圧力値に対応付けてこの非加圧圧力値を最小検出圧力(ゼロ点)とし、圧力センサ23a~23hの各々の加圧圧力値を、基準センサ24の加圧圧力値に対応付けてこの加圧圧力値を最大検出圧力とする。そして、取得演算部29は、圧力センサ23a~23hのそれぞれについて最大検出圧力と最小検出圧力との差を、各々のレンジに合わせる演算を行う。このようにして圧力センサ23a~23hの校正を行い、校正前の検出圧力値と校正後の検出圧力値との対応付けをして記憶部(図示無し)に記憶する。なお、基準センサ24及び圧力センサ23a~23hは検出した圧力に応じた検出電圧を加圧圧力値及び非加圧圧力値等の検出圧力値として取得演算部29に出力するものでもよい。
【0042】
また、揚水圧を測定する場合には、取得演算部29は、圧力センサ23a~23hから検出圧力値が入力されると、上記の記憶部に記憶された校正前の検出圧力値を特定する。そして、特定した検出圧力値に対応付けられた校正後の検出圧力値を、揚水圧の値として統括コントローラ31に出力する。なお、取得演算部29は、タイムカウンタを有しており、検出圧力値が入力された場合に、検出圧力値を日時に関連付けて統括コントローラ31に出力する。
【0043】
統括コントローラ31は、流路制御部28と取得演算部29とを、予め設定されたシーケンスに基づいて制御する。シーケンス及びシーケンスの実行のタイミングは、予めアプリケーションプログラムとして設定されていてもよいし、入力部35により設定されてもよい。アプリケーションプログラムは、統括コントローラ31に組み込まれていてもよいし、統括コントローラ31に加えて、または代わりに、外部コントローラ32に組み込まれてもよい。外部コントローラ32のみに組み込まれている場合には、統括コントローラ31は、外部コントローラ32の制御の下で機能し、シーケンスを各部に実行させる。また、外部コントローラ32のみに組み込まれている場合には、シーケンスの実行のタイミングは、入力部36により設定されてもよい。
【0044】
統括コントローラ31は、入力部35によりシーケンス等を設定するための画像(入力画像)、圧力検出システム21の各部の状態や基準センサ24及び圧力センサ23a~23hから入力された圧力検出値などの各種データ等を表示するデータ画像等の各種の表示画像を生成して、表示部に表示させることができる。統括コントローラ31はまた、圧力センサ23a~23hから入力された過去の圧力検出値を入力された日時とともに履歴データとして記憶する記憶部(図示無し)を備えてもよく、本例でもそのようにしている。そして、本例の統括コントローラ31は、これらの履歴データを一覧(リスト)表示するリスト表示画像と、履歴データを経時データとしてグラフ化してグラフ表示画像とを生成し、リスト表示画像とグラフ表示画像とを表示部37に表示させることもできる。
【0045】
本例の統括コントローラ31は、外部コントローラ32に接続している。これにより、統括コントローラ31は、入力された圧力検出システム21の各部の状態や各種データ、生成した各種の表示画像のデータ等を外部コントローラ32に出力することができるように構成されている。そのため、外部コントローラ32から統括コントローラ31にこれらのデータの送信指示が入力された場合には、この送信指示に基づいて統括コントローラ31から外部コントローラ32にこれらデータが送信され、表示部37に表示させることができる。なお、送信指示は、例えば入力部36における入力操作により外部コントローラ32に入力される。
【0046】
上記構成の作用を説明する。圧力検出システム21は、定常状態においては、第1~第3バルブV1~V3は開状態、第4~第6バルブV4~V6は閉状態とされ、気体送出部27のコンプレッサ41の駆動をオフにされる。上記の各バルブの状態により、排水孔14の監査廊18側の一端は開放状態となり、水が排出される状態とされている。揚水圧の測定と圧力センサ23a~23hを校正する校正処理とは、監査廊18に配された統括コントローラ31または管理棟19に配された外部コントローラ32の制御により行われる。このように、圧力検出システム21は、監査廊18の複数の排水孔14の各箇所において作業者が校正処理と揚水圧の検出とを行う必要がない。
【0047】
揚水圧を測定する場合には、圧力検出システム21は、揚水圧の検出の前に圧力センサ23a~23hの校正処理を行う。ただし、校正処理を行うタイミングは、統括コントローラ31または外部コントローラ32により適宜設定してもよい。例えば、揚水圧を検出する毎に行うように設定してもよいし、例えば1か月毎や2週間毎、1秒毎等の所定の時間間隔で行うように設定してもよいし、あるいは入力部35または入力部36により目的とするタイミングで行うように設定してもよい。なお、基準センサ24と圧力センサ23a~23hの各々からは、本例では、所定の時間間隔で、検出圧力値が取得演算部29に出力するようにしてある。
【0048】
揚水圧の検出の前に圧力センサ23a~23hの校正処理を行う場合には、流路制御部28は、図3に示すように、まず、第4~第6バルブV4~V6を開状態にして(S1)、取得演算部29は、その後、基準センサ24と圧力センサ23a~23hとの各々から取得した(S2)検出圧力値を非加圧圧力値として記憶部に記憶する。
【0049】
次に、流路制御部28は、第1、第2、第6バルブV1、V2、V6を閉状態にし(S3)、続いて、コンプレッサ41の駆動をオンにする(S4)ことによりエアの送出を開始して、基準センサ24及び圧力センサ23a~23hを加圧する。基準センサ24が目的とする圧力値を検出して、取得演算部29が、基準センサ24及び圧力センサ23a~23hの検出圧力値が安定したか否かを判定し(S5)、安定していないと判定した場合にはエアの送り込みによる加圧を継続し、安定したと判定した場合には、安定したことを示す肯定判定結果を、統括コントローラ31を介して流路制御部28に出力する。流路制御部28はこの肯定判定結果が入力されると、第5バルブV5を閉状態にして(S6)、案内管TAを気密にする。
【0050】
流路制御部28は、コンプレッサ41の駆動をオフにし(S7)、第6バルブV6を開状態にする(S8)。なお、S7とS8との順序は逆であってもよい。取得演算部29は、その後、基準センサ24と圧力センサ23a~23hとの各々から取得した(S9)検出圧力値を加圧圧力値として記憶部に記憶する。そして、取得演算部29は、記憶部に記憶されている非加圧圧力値と加圧圧力値とに基づき、圧力センサ23a~23hのそれぞれの校正処理を行う(S10)。例えば、基準センサ24の非加圧圧力値が0kPaとして取得され、圧力センサ23aの非加圧圧力値が0.1kPaの圧力値として取得されたときには、圧力センサ23aの非加圧圧力値を基準センサ24の非加圧圧力値に合わせて0kPaの最小検出圧力として校正する。圧力センサ23b~23hについても同様に、非加圧圧力値を基準センサ24の非加圧圧力値に合わせて0kPaとして校正する。また、加圧圧力値の校正は、上述のS4、S5、S6、S7、S8の各ステップにより最大圧力にまで加圧したときの最大検出圧力値(フルスケール値)の校正である。例えば、フルスケール値が300kPaの基準センサ24と圧力センサ23aとを用いている場合には、ステップS4においては上述の目的とする圧力値を300kPaとして基準センサ24を加圧する。同様に加圧された圧力センサ23a~23hの加圧圧力値が285kPaとして取得された場合には、その加圧圧力値を基準センサ24の加圧圧力値に合わせて300kPaの最大検出圧力として校正する。つまり圧力センサ23aは0.1kPaから285kPaのレンジを0kPaから300kPaまでのレンジに校正される。圧力センサ23b~23hについても同様に、加圧圧力値を基準センサ24の加圧圧力値に合わせて300kPaとして校正される。
【0051】
取得演算部29は、基準センサ24と圧力センサ23a~23hとにより検出された加圧圧力値及び非加圧圧力値に基づいて、圧力センサ23a~23hを校正し、加圧圧力値及び非加圧圧力値を得るための基準センサ24と圧力センサ23a~23hには、統括コントローラ31の制御によってエアの送り込みのオンとオフとが切り替えられる。これにより、校正処理に際して作業者が監査廊18の圧力センサ23a~23hにおいて校正のためのバルブの開閉を行う必要は無く簡易である。また、圧力センサ23a~23hからは検出圧力値が取得演算部29を介して統括コントローラ31及び外部コントローラ32に送られるから、加圧圧力値及び非加圧圧力値と、揚水圧とはそれぞれ、監査廊18における設置位置PCまたは管理棟19に報知される。したがって、揚水圧の検出結果を、監査廊18内で作業することなく知ることができるとともに、ブルドン管式圧力計等を用いた場合のように読針に起因するような検出の誤差が防止される。さらに、圧力センサ23a~23hは校正された上で揚水圧を検出するので、誤差が抑制されている。また、校正に際して、基準センサ24の加圧圧力値を、基準センサ24で検出される最大の圧力値とすれば、エアによる基準センサ24の加圧の制御は、基準センサ24を最大限に加圧すればよいので、エアの送出流量などを精緻に制御する必要がなく、簡易である。
【0052】
また、基準センサ24と圧力センサ23a~23hの各々とは、気体送出部27に対して案内管TAにより並列に接続されているから、基準センサ24と圧力センサ23a~23hの各々とは、コンプレッサ41からのエアが送りこまれた場合に、互いに等しい圧力に加圧される。また、圧力センサ23a~23hのうちの任意の一部のみを校正する場合には当該一部のみにエアを送り込んで校正することができるとともに、すべての圧力センサ23a~23hに送りこむ場合に比べて当該一部を基準センサ24と同じ圧力に迅速に加圧することができる。
【0053】
圧力検出システムは第4~第6バルブV4~V6を備えているから、気体送出部27の二次側を急激な圧力変化から保護するとともに、基準センサ24及び圧力センサ23a~23hの加圧及び加圧の解除を迅速に行うことができる。また、第4~第6バルブV4~V6は、基準センサ24及び気体送出部27とともにユニット化されて校正ユニットCUを構成しているから、監査廊18内を作業者は動き回ることなく、基準センサ24の近傍で第4~第6バルブV4~V6とともに基準センサ24の点検や保守作業を行うことができる。
【0054】
校正処理(S10)の後、流路制御部28は、第4バルブV4を閉状態にして(S11)コンプレッサ41を保護してから、第5バルブV5を開状態にする(S12)。ステップS12においては、第5バルブV5の開度を全開よりも小さい開状態として、案内管TAの圧力を漸減させることがより好ましい。その場合には、流路制御部28は、バルブV5の開度を制御することができるものとする。続いて、基準センサ24と圧力センサ23a~23hとの差異測定により異常判定を行う(S13)。ステップS13の異常判定は、例えば以下のように行うことができる。まず、ステップS12の後に、案内管TAの圧力が最大圧力の概ね3/4、2/4、1/4の各圧力になったことを基準センサ24により検出し、これら各時点での圧力センサ23a~23hの各々における圧力値を検出する。そして、基準センサ24により検出された圧力値と、圧力センサ23a~23hの各々により検出された圧力値とを対比し、基準センサ24と圧力センサ23a~23hとの誤差が閾値(本例では1%)以上であるか否かを、圧力センサ23a~23hの異常判定として判定する。閾値以上である場合には異常、閾値未満である場合には正常として判定し、異常と判定された圧力センサについては、揚水圧の測定には用いない、あるいは測定したとしてもその測定結果を採用しない。なお、上記誤差は、基準センサ24での圧力値をP24、圧力センサ23a~23hでの各圧力値をP23とするときに、{|P24-P23|/P24}×100で求めている。
【0055】
次に、第1、第2バルブV1、V2を開状態にし、第3、第5、第6バルブV3、V5、V6を閉状態にした(S14)後、第5、第6バルブV5、V6を開状態にする(S15)。その後、第2バルブV2を閉状態にし(S16)て、非測定部管TCの流路を排水孔14と連通させる。第2バルブV2を閉状態にしてからの経過時間が、予め設定していた所定時間(例えば60分)以上となったか否かを統括コントローラ31は判定し(S17)、否定判定の場合には所定時間以上となるまで時間の経過を待ち、肯定判定の場合には、取得演算部29に対して圧力センサ23a~23hからの圧力検出値を揚水圧として特定して統括コントローラ31に出力する出力指示を送る。取得演算部29はこの出力指示に応答して揚水圧を取得し(S18)、日時とともに統括コントローラ31に出力する。統括コントローラ31は揚水圧が入力されると、日時とともに揚水圧データとして記憶部に記憶するとともに、入力部35による表示指示等に応答して表示部37に表示させる。
【0056】
その後、流路制御部28は、第2バルブV2を開状態にした(S19)後、第3バルブV3を開状態にし、第5、第6バルブV5、V6を閉状態にする(S20)。これにより、第1~第6バルブV1~V6は、校正処理及び揚水圧を測定する前の初期状態、すなわち定常状態に戻る。
【符号の説明】
【0057】
14a~14h 排水孔
21 圧力検出システム
23a~23h 圧力センサ
24 基準センサ
27 気体送出部
28 流路制御部
29 取得演算部
31 統括コントローラ
P21,P22,P24 接続位置
P23,P25 分岐位置
TA 案内管
TAm メインライン
TAr 基準センサライン
TAs 圧力センサライン
TB 送出部分岐管
TC 被測定部管
TD 被測定部分岐管
V1~V9 第1~第9バルブ
図1
図2
図3