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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045227
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】周波数変換回路
(51)【国際特許分類】
   H03D 7/00 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
H03D7/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153505
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】旭 保彰
(57)【要約】
【課題】スプリアスを抑制できる周波数変換回路を提供する。
【解決手段】周波数変換回路は、第1ミキサと、前記第1ミキサに接続された第1発振器と、前記第1ミキサの出力側に接続されたスイッチと、前記スイッチに並列接続された第1および第2バンドパスフィルタと、前記第1および第2バンドパスフィルタに接続された第2ミキサと、前記第2ミキサに接続された第2発振器と、コントローラと、を備え、前記第1ミキサの入力波に対応し、一定の周波数を有する出力波を前記第2ミキサから出力する。前記コントローラは、前記第1ミキサの出力が前記第1または前記第2バンドパスフィルタに入力されるように前記スイッチを制御し、前記第1発振器の特定の発振周波数において、前記第1発振器から前記第1ミキサに入力されるローカル信号が、前記特定の発振周波数から前記一定の周波数の2倍を減じた周波数を有するように、前記第1発振器を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ミキサと、
前記第1ミキサに接続された周波数可変の第1発振器と、
前記第1ミキサの出力側に接続されたスイッチと、
前記スイッチに接続された第1バンドパスフィルタと、
前記第1バンドパスフィルタと並列に前記スイッチに接続された第2バンドパスフィルタと、
前記第1バンドパスフィルタおよび前記第2バンドパスフィルタの出力側に接続された第2ミキサと、
前記第2ミキサに接続された第2発振器と、
前記第1発振器および前記スイッチを制御するコントローラと、
を備え、
前記第1ミキサの入力波に対応し、一定の周波数を有する出力波を、前記第2ミキサから出力する周波数変換回路であって、
前記第1バンドパスフィルタの通過帯域は、前記第2発振器の発振周波数と前記一定の周波数の和に等しい中心周波数を有し、
前記第2バンドパスフィルタの通過帯域は、前記第2発振器の発振周波数から前記一定の周波数を減じた中心周波数を有し、
前記コントローラは、前記第1発振器の発振周波数を掃引し、前記第1ミキサの出力が前記第1バンドパスフィルタに入力されるように前記スイッチを制御し、前記第1発振器の特定の発振周波数において、前記第1発振器から前記第1ミキサに入力されるローカル信号が、前記特定の発振周波数から前記一定の周波数の2倍を減じた周波数を有するように、前記第1発振器を制御し、前記ローカル信号と前記入力波を混合した前記第1ミキサの出力が前記第2バンドパスフィルタに入力されるように前記スイッチを制御する、周波数変換回路。
【請求項2】
前記入力波は、第1周波数と、前記第1周波数よりも高い第2周波数と、の間の帯域を有し、
前記第1発振器は、前記第1周波数に前記第2発振器の前記発振周波数と前記一定の周波数との和を加えた下限周波数と、前記第2周波数に前記第2発振器の前記発振周波数と前記一定の周波数との和を加えた上限周波数と、の間で掃引される請求項1記載の周波数変換回路。
【請求項3】
前記第1ミキサは、前記第1発振器から入力される前記ローカル信号の周波数から前記入力波の周波数を減じた周波数を有する出力を、前記スイッチを介して前記第1バンドパスフィルタまたは前記第2バンドパスフィルタに入力するように設けられる請求項1または2に記載の周波数変換回路。
【請求項4】
前記第1バンドパスフィルタまたは前記第2バンドパスフィルタの出力の周波数から前記第2発振器の前記発振周波数を減じた周波数を有する前記一定の周波数の前記出力波が前記第2ミキサから出力される請求項1乃至3のいずれか1つに記載の周波数変換回路。
【請求項5】
前記第1発振器と前記第1ミキサとの間に設けられた逓倍器をさらに備えた請求項1乃至4のいずれか1つに記載の周波数変換回路。
【請求項6】
前記特定の周波数において、前記第1ミキサから前記第1バンドパスフィルタを介して前記第2ミキサに至る経路を介した前記出力波はスプリアスを含む請求項1乃至5のいずれか1つに記載の周波数変換回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、周波数変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波の広帯域受信に用いられる周波数変換回路は、ローカル周波数を広範囲に変化させるミキサを含む。このため、周波数変換回路の出力周波数帯域内には、ミキサで発生する不要なスプリアスが含まれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-120822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、スプリアスを抑制できる周波数変換回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る周波数変換回路は、第1ミキサと、前記第1ミキサに接続された周波数可変の第1発振器と、前記第1ミキサの出力側に接続されたスイッチと、前記スイッチに接続された第1バンドパスフィルタと、前記第1バンドパスフィルタと並列に前記スイッチに接続された第2バンドパスフィルタと、前記第1バンドパスフィルタおよび前記第2バンドパスフィルタの出力側に接続された第2ミキサと、前記第2ミキサに接続された第2発振器と、前記第1発振器および前記スイッチを制御するコントローラと、を備える。前記周波数変換回路は、前記第1ミキサの入力波に対応し、一定の周波数を有する出力波を、前記第2ミキサから出力する。前記第1バンドパスフィルタの通過帯域は、前記第2発振器の発振周波数と前記一定の周波数の和に等しい中心周波数を有する。前記第2バンドパスフィルタの通過帯域は、前記第2発振器の発振周波数から前記一定の周波数を減じた中心周波数を有する。前記コントローラは、前記第1発振器の発振周波数を掃引し、前記第1ミキサの出力が前記第1バンドパスフィルタに入力されるように前記スイッチを制御する。また、前記コントローラは、前記第1発振器の特定の発振周波数において、前記第1発振器から前記第1ミキサに入力されるローカル信号が、前記特定の発振周波数から前記一定の周波数の2倍を減じた周波数を有するように、前記第1発振器を制御し、前記ローカル信号と前記入力波を混合した前記第1ミキサの出力が前記第2バンドパスフィルタに入力されるように前記スイッチを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る周波数変換回路を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る周波数変換回路を示す別のブロック図である。
図3】実施形態の変形例に係る周波数変換回路を示すブロック図である。
図4】実施形態の変形例に係る周波数変換回路の特性を示すグラフである。
図5】実施形態の変形例に係る周波数変換回路の別の特性を示すグラフである。
図6】実施形態の変形例に係る周波数変換回路の出力特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
図1は、実施形態に係る周波数変換回路1を示すブロック図である。周波数変換回路1は、広帯域のマイクロ波を一定の周波数を有する出力波に変換し、例えば、A/D変換回路を介して、デジタル信号処理回路(図示しない)に入力するように構成される。
【0009】
図1に示すように、周波数変換回路1は、第1発振器10と、第1ミキサ20と、スイッチ30Aと、スイッチ30Bと、コントローラ40と、第1バンドパスフィルタ50Aと、第2バンドパスフィルタ50Bと、第2ミキサ60と、第2発振器70と、を備える。
【0010】
第1発振器10は、第1ミキサ20に接続され、第1ローカル信号を供給する。第1発振器10は、発振周波数を掃引できる可変発振器である。スイッチ30Aは、第1ミキサ20の出力側に接続される。コントローラ40は、第1発振器10の発振周波数を制御し、スイッチ30Aの切り替えを制御する。
【0011】
第1バンドパスフィルタ50Aおよび第2バンドパスフィルタ50Bは、スイッチ30Aおよび30Bに並列に接続される。第1ミキサ20の出力は、スイッチ30Aを介して、第1バンドパスフィルタ50Aおよび第2バンドパスフィルタ50Bのいずれかに入力される。第1バンドパスフィルタ50Aおよび第2バンドパスフィルタ50Bの出力は、スイッチ30Bを介して、第2ミキサ60に入力される。コントローラ40は、スイッチ30Aおよび30Bを同時に制御し、スイッチ30Aにより選択された第1バンドパスフィルタ50Aまたは第2バンドパスフィルタ50Bの出力を第2ミキサ60に入力する。
【0012】
第2ミキサ60は、スイッチ30Bを介して、第1バンドパスフィルタ50Aおよび第2バンドパスフィルタ50Bの出力側に接続される。第2発振器70は、第2ミキサ60に接続され、第2ローカル信号を供給する。第2発振器70の発振周波数は固定される。
【0013】
周波数変換回路1は、第1ミキサ20の入力波に対応する信号を第2ミキサ60から出力する。周波数変換回路1は、第2ミキサ60の出力が一定の周波数fOUTを有するように構成される。
【0014】
コントローラ40は、第1発振器10の発振周波数を掃引すると共にスイッチ30Aおよび30Bを切り替える。コントローラ40は、第1発振器10を、例えば、2つのモード、Aモード(周波数シフト無し)およびBモード(周波数シフト有り)にて動作させる。第1発振器10は、Aモードにおいて、所定の周波数範囲内で発振するように制御される。また、第1発振器10は、Bモードにおいて、Aモードの発振周波数から出力波の周波数fOUTの2倍を差し引いた周波数で発振するように制御される。
【0015】
第1発振器10から第1ミキサ20に入力される第1ローカル信号の周波数(以下、第1ローカル周波数fLI)は、Aモードの周波数範囲内で掃引される。コントローラ40は、その範囲内の特定の周波数において、発振器10がBモードで動作するように制御する。スイッチ30Aは、第1発振器10がAモードで動作している間、第1バンドパスフィルタ50Aに第1ミキサ20の出力を入力するように制御される。また、スイッチ30Aは、特定の周波数において、第1ミキサ20の出力を、第2バンドパスフィルタ50Bに入力するように制御される。
【0016】
第1ミキサ20は、第1発振器10のAモードにおいて、第1ローカル周波数fLIから入力波の周波数fINを差し引いた周波数(fLI-fIN)を有する出力を、第1バンドパスフィルタ50Aに入力する。
【0017】
また、第1ミキサ20は、第1発振器10のBモードにおいて、第1ローカル周波数fLIから入力波の周波数fINおよび出力波の周波数fOUTの2倍を差し引いた周波数(fLI-fIN-2×fOUT)を有する出力を、スイッチ30Aを介して、第2バンドパスフィルタ50Bに入力する。
【0018】
第1バンドパスフィルタ50Aの通過帯域は、第2発振器70から第2ミキサ60に出力される第2ローカル信号の周波数(以下、第2ローカル周波数fLO)と、出力波の周波数fOUTの和に等しい中心周波数を有する。また、第2バンドパスフィルタ50Bの通過帯域は、第2ローカル周波数fLOから周波数fOUTを差し引いた中心周波数を有する。
【0019】
例えば、入力波の周波数帯域をminfIN≦fIN≦maxfINとすれば、第1バンドパスフィルタ50Aは、fLI-maxfINからfLI-minfINまで周波数が変化する第1ミキサ20の出力のうちの周波数fLO+fOUTを有する信号を出力する。第2バンドパスフィルタ50Bは、fLI-maxfIN-2×fOUTからfLI-minfIN-2×fOUTまで周波数が変化する第1ミキサ20の出力のうちの周波数fLO-fOUTを有する信号を出力する。
【0020】
コントローラ40は、第1発振器10の発振周波数を、例えば、次式(1)に示す周波数範囲において掃引する。
【数1】
【0021】
第2ミキサ60は、第1バンドパスフィルタ50Aの出力の周波数(fLO+fOUT)から第2ローカル周波数fLOを差し引いた周波数fOUTを有する信号を出力する。また、第2ミキサ60は、第2ローカル周波数fLOから第1バンドパスフィルタ50Aの出力の周波数(fLO-fOUT)を差し引いた周波数fOUTを有する信号を出力する。このように、第1バンドパスフィルタ50Aおよび第2バンドパスフィルタ50Bは、第2ミキサ60から一定の周波数fOUTを有する信号が出力されるように構成される。
【0022】
コントローラ40は、第1発振器10の発振周波数を式(1)に示す周波数範囲において掃引することにより、入力波の周波数帯域内における信号強度の変化に対応した出力波を第2ミキサ60から出力させる。
【0023】
図2は、実施形態に係る周波数変換回路1を示す別のブロック図である。図2は、周波数変換回路1の1つの具体例を表している。
【0024】
この例では、第1ミキサ20の入力波は、2~10GHzの周波数帯域を有する。第1発振器10は、発振周波数23~31GHzのAモード、および、発振周波数21~29GHzのBモードで動作する。
【0025】
第1バンドパスフィルタ50Aの通過帯域の中心周波数は、21GHzである。第2バンドパスフィルタ50Bの通過帯域の中心周波数は、19GHzである。第2ローカル周波数fLOは、20GHzである。第2ミキサ60の出力の周波数fOUTは、1GHzである。周波数変換回路1は、例えば、2~10GHzのマイクロ波帯域における信号強度の変化を、周波数1GHzの信号に変換して出力する。
【0026】
図3は、実施形態の変形例に係る周波数変換回路2を示すブロック図である。周波数変換回路2では、第1ミキサ20と第1発振器80との間に逓倍器90が設けられる。
【0027】
第1発振器80は、可変発振器である。逓倍器90は、第1発振器80から出力される第1ローカル信号の周波数fOBを、例えば、2倍の第1ローカル周波数fLIに変換して、第1ミキサ20に入力する。
【0028】
第1発振器80は、11.5~15.5GHの周波数範囲で掃引されるAモードと、10.5~14.5GHの周波数範囲で動作するBモードと、を有する。コントローラ40は、特定の周波数において、Aモードの発振周波数から周波数fOUTを減じた周波数で発振するように、第1発振器80を制御する。
【0029】
この例では、周波数変換回路1と同じ第1ローカル周波数fLIを有する逓倍器90の出力が第1ミキサ20に入力される。周波数変換回路2では、第1発振器80が高周波動作とならないように、第1ミキサ20の直前に逓倍器90を挿入する。
【0030】
図4(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る周波数変換回路2の特性を示すグラフである。図4(a)および(b)は、第1ミキサ20の出力が第1バンドパスフィルタ50Aに入力されるように、スイッチ30Aを制御した場合の特性を表している。
【0031】
例えば、第1ミキサ20に第1ローカル信号を入力すると、その漏れやその高調波成分も合成され、所謂スプリアスが第1ミキサ20から出力される。また、2倍の逓倍器90を用いた場合、1倍波や3倍波以上の高調波成分も第1ミキサ20で合成され出力される。
【0032】
図4(a)は、表1に示すとおり、Bモードにおける特性を示すグラフである。横軸は、入力波の周波数fINである。縦軸は、出力波の周波数fOUTである。図中の符号A、B、C、Dは、出現する各スプリアスSP_A、SP_B、SP_C、SP_Dを表している。
【表1】

ここで、周波数fOUTは、次式(2)で表される。fOBは、第1発振器80の発振周波数である。
【数2】
【0033】
各スプリアスSP_A、SP_B、SP_C、SP_Dは、式(3)で表される。
【数3】
【0034】
図4(a)に示すように、出力周波数帯域を横切るように、各スプリアスが出現する。スプリアスが出現する周波数は、入力波の周波数fINに依存する。
【0035】
図4(b)は、入力波の周波数fINに対するスプリアスの有無を表す模式図である。横軸は、入力波の周波数fINである。ここで、出力波の周波数fOUTは、1GHzである。 図4(b)に示すように、fINの周波数帯域2~10GHzの間に、8回のスプリアスが現れる。
【0036】
図5(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る周波数変換回路2の別の特性を示すグラフである。図5(a)および(b)は、第1ミキサ20の出力が第2バンドパスフィルタ50Bに入力されるように、スイッチ30Aを制御した場合の特性を表している。
【0037】
図5(a)は、表2に示すとおり、Aモードにおける特性を示すグラフである。横軸は、入力波の周波数fINである。縦軸は、出力波の周波数fOUTである。図中の符号A、B、C、Dは、各スプリアスSP_A、SP_B、SP_C、SP_Dをそれぞれ表している。
【表2】
【0038】
図5(a)に示すように、出力周波数帯域を横切るように、各スプリアスが出現する。図4(a)と同様に、スプリアスが出現する出現する入力波の周波数fINに依存する。
【0039】
図5(b)は、入力波の周波数fINに対するスプリアスの有無を表すグラフである。横軸は、入力波の周波数fINである。ここで、出力波の周波数fOUTは、1GHzである。
【0040】
この例でも、入力波の周波数fINの周波数帯域2~10GHzの間に、8回のスプリアスが現れる。スプリアスが出現する入力波の周波数fINは、図4(b)に示す例とは異なる。すなわち、第1ミキサ20の出力を第1バンドパスフィルタ50Aに入力する場合にスプリアスが出現する周波数fINは、第1ミキサ20の出力を第2バンドパスフィルタ50Bに入力する場合にスプリアスが出現する周波数fINとは異なる。
【0041】
図6は、実施形態の変形例に係る周波数変換回路2の出力特性を示すグラフである。横軸は、入力波の周波数fINであり、縦軸は、スプリアスの有無を表している。ここで、出力波の周波数fOUTは、1GHzである。
【0042】
周波数変換回路2において、コントローラ40(図3参照)は、第1ミキサ20の出力を第1バンドパスフィルタ50Aに入力するようにスイッチ30Aを制御し、第1発振器80をAモードで動作させる。すなわち、第1発振器80の発振周波数fOBを11.5GHzから15.5GHzへ掃引する。
【0043】
コントローラ40は、第1発振器80の発振周波数fOBを掃引している間において、2×fOB-fLO-fOUTの値と、図4(b)中に示すスプリアス有の周波数fINと、が一致する特定の周波数となった時、第1発振器80の動作をBモードに切り替え、第1ミキサ20の出力が第2バンドパスフィルタ50Bに入力されるようにスイッチ30Aを制御する。
【0044】
続いて、コントローラ40は、2×fOB-fLO-fOUTの値が、図4(b)中に示すスプリアス無しの周波数fINと一致する時、第1発振器80の動作をAモードに切り替え、第1ミキサ20の出力が第1バンドパスフィルタ50Aに入力されるようにスイッチ30Aを制御する。
【0045】
このように、第1発振器80およびスイッチ30Aおよび30Bを制御することにより、出力波に含まれるスプリアスの周波数を動かすことができる。例えば、出力の周波数帯域内に可能な限りスプリアスが混入しないように、AモードまたはBモードを選択する。これにより、入力波の周波数fINの帯域2~10GHzの間に現れるスプリアスの回数を、例えば、5回(図6参照)に抑制できる。
【0046】
実施形態に係る周波数変換回路1および2では、第1発振器10および80をAモードおよびBモードで動作させ、それぞれのモードに対応して、第1ミキサ20の出力を第1バンドパスフィルタ50Aまたは第2バンドパスフィルタ50Bに入力することにより、出力波中に含まれるスプリアスを抑制する。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1、2…周波数変換回路、 10、80…第1発振器、 20…第1ミキサ、 30A、30B…スイッチ、 40…コントローラ、 50A…第1バンドパスフィルタ、 50B…第2バンドパスフィルタ、 60…第2ミキサ、 70…第2発振器、 90…逓倍器
図1
図2
図3
図4
図5
図6