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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045315
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ガス漏洩検知システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/38 20060101AFI20230327BHJP
   G01V 8/12 20060101ALI20230327BHJP
   G01N 21/61 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G01M3/38 K
G01V8/12 A
G01N21/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153656
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503063168
【氏名又は名称】東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】田原 禎之
(72)【発明者】
【氏名】松浪 智広
(72)【発明者】
【氏名】原 毅
(72)【発明者】
【氏名】安部 健
(72)【発明者】
【氏名】福吉 憲三
【テーマコード(参考)】
2G059
2G067
2G105
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059AA05
2G059BB01
2G059EE02
2G059FF01
2G059GG01
2G059HH01
2G059JJ15
2G059KK04
2G059MM09
2G059MM10
2G067AA11
2G067CC04
2G067DD27
2G105AA01
2G105BB16
2G105CC02
2G105DD02
2G105EE06
(57)【要約】
【課題】ガスの漏洩源を特定する。
【解決手段】ガス漏洩検知システム1は、検知エリア内における検知対象のガスの漏洩を検知可能な検知部10と、検知エリア内に設置され、検知エリア内を撮像可能な第1撮像装置12と、検知部10が固定され、検知部10の検知方向を変更可能な可動機構14と、記憶部40と、検知制御部44と、を備え、第1撮像装置12により生成される第1画像における座標、および、検知部10の検知対象となる検知位置が、対応付けられており、ガスが漏洩する可能性が高いと想定される位置を示す対象位置が、第1画像に基づいて特定されており、検知制御部44は、対象位置におけるガスの漏洩の有無を検知部に検知させるように可動機構14を制御し、ガスの漏洩が検知された場合、漏洩が検知された漏洩位置を記憶部40に記憶させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知エリア内における検知対象のガスの漏洩を検知可能な検知部と、
前記検知エリア内に設置され、前記検知エリア内を撮像可能な第1撮像装置と、
前記検知部が固定され、前記検知部の検知方向を変更可能な可動機構と、
記憶部と、
検知制御部と、
を備え、
前記第1撮像装置により生成される第1画像における座標、および、前記検知部の検知対象となる検知位置が、対応付けられており、
前記ガスが漏洩する可能性が高いと想定される位置を示す対象位置が、前記第1画像に基づいて特定されており、
前記検知制御部は、
前記対象位置における前記ガスの漏洩の有無を前記検知部に検知させるように前記可動機構を制御し、
前記ガスの漏洩が検知された場合、漏洩が検知された漏洩位置を前記記憶部に記憶させるガス漏洩検知システム。
【請求項2】
前記可動機構に固定され、前記検知エリア内を撮像可能な第2撮像装置と、
表示部と、
をさらに備え、
前記第2撮像装置により生成される第2画像における座標、前記第1画像における座標、および、前記検知位置が、対応付けられており、
前記検知制御部は、前記ガスの漏洩が検知された場合、前記漏洩位置を前記記憶部に記憶させるとともに、前記漏洩位置を把握可能な指標を前記第2画像に重ねて前記表示部に表示させる請求項1に記載のガス漏洩検知システム。
【請求項3】
前記対象位置を連続して定義した検知ルートが設定されており、
前記検知制御部は、前記検知ルートに沿って検知させるように前記可動機構を制御する請求項1または2に記載のガス漏洩検知システム。
【請求項4】
前記検知ルートの途中に設けられ、前記ガスが検知可能に封入されたチェック部をさらに備え、
前記検知制御部は、前記チェック部における前記ガスが検知されるか否かに基づいて自己診断する請求項3に記載のガス漏洩検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス漏洩検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、対象空間をレーザー光によって走査し、レーザー光による散乱光に基づいて対象空間における水素ガスを検知する技術が開示されている。かかる技術では、水素ガスの検出結果が、対象空間の背景画像に重畳されて表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-232374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象空間全体に対してガスを検知する態様では、ガスが漏洩していること自体は把握し易いが、ガスがどこから漏れているかの具体的な漏洩源を特定し難い。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、ガスの漏洩源を特定することが可能なガス漏洩検知システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のガス漏洩検知システムは、検知エリア内における検知対象のガスの漏洩を検知可能な検知部と、検知エリア内に設置され、検知エリア内を撮像可能な第1撮像装置と、検知部が固定され、検知部の検知方向を変更可能な可動機構と、記憶部と、検知制御部と、を備え、第1撮像装置により生成される第1画像における座標、および、検知部の検知対象となる検知位置が、対応付けられており、ガスが漏洩する可能性が高いと想定される位置を示す対象位置が、第1画像に基づいて特定されており、検知制御部は、対象位置におけるガスの漏洩の有無を検知部に検知させるように可動機構を制御し、ガスの漏洩が検知された場合、漏洩が検知された漏洩位置を記憶部に記憶させる。
【0007】
また、ガス漏洩検知システムは、可動機構に固定され、検知エリア内を撮像可能な第2撮像装置と、表示部と、をさらに備え、第2撮像装置により生成される第2画像における座標、第1画像における座標、および、検知位置が、対応付けられており、検知制御部は、ガスの漏洩が検知された場合、漏洩位置を記憶部に記憶させるとともに、漏洩位置を把握可能な指標を第2画像に重ねて表示部に表示させるようにしてもよい。
【0008】
また、対象位置を連続して定義した検知ルートが設定されており、検知制御部は、検知ルートに沿って検知させるように可動機構を制御するようにしてもよい。
【0009】
また、ガス漏洩検知システムは、検知ルートの途中に設けられ、ガスが検知可能に封入されたチェック部をさらに備え、検知制御部は、チェック部におけるガスが検知されるか否かに基づいて自己診断するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガスの漏洩源を特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態にかかるガス漏洩検知システムの構成を示す概略図である。
図2図2は、第1画像の一例を示す図である。
図3図3は、検知対象ガスの漏洩が発生していないときの、表示部の画面表示の一例を示す図である。
図4図4は、検知対象ガスの漏洩を検知したときの、表示部の画面表示の一例を示す図である。
図5図5は、検知制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態にかかるガス漏洩検知システム1の構成を示す概略図である。ガス漏洩検知システム1は、検知部10、第1撮像装置12、可動機構14、第2撮像装置16および制御装置18を備える。
【0014】
検知部10は、所定の検知エリア内における検知対象のガスの漏洩を検知可能な構成となっている。以後、検知対象のガスを、検知対象ガスと呼ぶ場合がある。検知対象ガスは、例えば、メタンガスなどであるが、メタンガスに限らず、任意のガスとしてもよい。検知エリアは、例えば、検知対象ガスが利用される施設内などであるが、検知対象ガスの漏洩が生じる可能性がある任意の場所としてもよい。
【0015】
検知部10は、第1レーザー照射部20、受光部22および第2レーザー照射部24を有する。第1レーザー照射部20は、第1レーザー26を照射可能となっている。第1レーザー26は、検知対象ガスを検知するためのセンシング用のレーザーである。具体的には、第1レーザー26は、検知対象ガスの吸収波長と同程度の波長(例えば、赤外線)のレーザーである。
【0016】
受光部22は、第1レーザー26の後方散乱光を受光可能となっている。検知部10は、受光部22によって受光された第1レーザー26の後方散乱光に基づいて、第1レーザー26が照射された位置における検知対象ガスの濃度を検出する。例えば、検知対象ガスの濃度が高くなると、検知対象ガスによる第1レーザー26の吸収量が多くなるため、第1レーザー26の後方散乱光の強度が低くなる。受光部22は、受光した第1レーザー26の後方散乱光の強度が低くなるに従って検知対象ガスの濃度が高くなるように、検知対象ガスの濃度を出力する。受光部22による検知対象ガスの濃度が、予め設定された所定の濃度よりも高ければ、第1レーザー26が照射された位置において検知対象ガスが漏洩していることがわかる。
【0017】
第2レーザー照射部24は、第1レーザー照射部20と同方向に、第2レーザー28を照射可能となっている。第2レーザー28は、例えば、可視光のレーザーである。ここで、第1レーザー26は、例えば、赤外線のレーザーであるため、視認することは困難である。第2レーザー照射部24は、視認することが困難な第1レーザー26の照射方向を、第2レーザー28によって代替して視認可能とするために設けられる。つまり、第2レーザー28は、第1レーザー26の照射位置を指し示すためのレーザーである。
【0018】
なお、検知対象ガスの検知方法は、レーザーによる方法に限らず、例えば、音波や振動に基づいて検知する方法としてもよいし、検知エリア内のガスを吸引してガス成分を分析する方法としてもよい。
【0019】
第1撮像装置12は、検知エリア内に固定して設置され、図1の一点鎖線の四角で示す領域30のように、検知エリア内の全体を撮像可能な構成となっている。第1撮像装置12は、例えば、検知エリア内を俯瞰するように、検知エリア内の柱の上部などに設置される。第1撮像装置12は、検知エリア内の全体を撮像した第1画像を生成する。
【0020】
可動機構14は、例えば、雲台であり、第1撮像装置12の図1中の上方に配置される。検知部10は、可動機構14に固定される。可動機構14は、検知部10の検知方向を変更可能な構成となっている。例えば、可動機構14は、水平方向の角度(アジマス)や鉛直方向の角度(エレベーション)を変更することができる。
【0021】
第2撮像装置16は、検知エリア内の一部を撮像可能な構成となっている。第2撮像装置16は、図1の破線の四角で示す領域32のように、第1撮像装置12よりも撮像範囲を絞って撮像する。これにより、第2撮像装置16は、第1撮像装置12よりも狭い範囲を、解像度が低下することなく拡大して撮像することができる。第2撮像装置16は、検知エリア内の一部を撮像した第2画像を生成する。第2撮像装置16は、第2撮像装置16の撮像方向が検知部10の検知方向と同方向となるように、可動機構14に固定される。可動機構14は、検知部10の検知方向と第2撮像装置16の撮像方向とを同期して変更可能な構成となっている。
【0022】
なお、可動機構14は、雲台に限らず、検知部10の検知方向および第2撮像装置16の撮像方向を変更可能であり、その検知方向を特定できる構成であればよい。例えば、可動機構14は、ロボットアームやドローンなどであってもよい。
【0023】
また、第2撮像装置16は省略されてもよい。そのような場合、可動機構14は、検知部10の検知方向を変更可能であればよいため、例えば、ガルバノミラーやポリゴンミラーなどであってもよい。
【0024】
制御装置18は、記憶部40、表示部42および検知制御部44を含む。記憶部40は、例えば、不揮発性の記憶素子から構成される。記憶部40には、検出結果などが記憶される。表示部42は、検知制御部44の制御の下、第1画像、第2画像および検知結果などを表示することができる。
【0025】
検知制御部44は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成されるコンピュータである。検知制御部44は、ガス漏洩検知システム1全体を制御する。例えば、検知制御部44は、可動機構14を制御することで、検知部10の検知方向を制御する。検知制御部44の動作については、後に詳述する。
【0026】
ここで、ガス漏洩検知システム1では、第1撮像装置12により生成される第1画像における座標、第2撮像装置16により生成される第2画像における座標、および、検知部10の検知対象となる検知位置が、対応付けられている。また、第1画像における座標、第2画像における座標、および、検知位置は、可動機構14におけるアジマスやエレベーションなどのパラメータと対応付けられてもよい。すなわち、座標変換の前後において実質的に等しい位置を表すことができればよい。
【0027】
図2は、第1画像の一例を示す図である。ガス漏洩検知システム1では、検知対象ガスが漏洩する可能性が高いと想定される位置を示す対象位置が、第1画像に基づいて特定されている。検知対象ガスが漏洩する可能性が高い位置は、例えば、ガス配管50、ガス配管50の端部のフランジ、ガス配管50に設けられる弁などであるが、これらに限らず、任意に設定することができる。
【0028】
対象位置の設定時、図2で示すように、表示部42に第1画像が表示される。図2の黒丸印52のように、ユーザは、第1画像中におけるガス配管50の屈曲部などの位置を、代表的な対象位置として設定する。そうすると、設定された対象位置の座標が検知制御部44に登録される。
【0029】
ユーザは、代表的な対象位置の座標を複数登録すると、図2の矢印54で示すように、登録した対象位置を結ぶように検知ルートを設定する。検知ルートは、登録された代表的な対象位置を含んでおり、検知対象ガスが漏洩する可能性が高いと想定される対象位置を連続して定義したものである。検知ルートは、例えば、ガス配管50に沿って設定される。また、検知ルートは、複数のガス配管50に亘って設定されてもよい。図2の二重丸56は、検知ルートの始点の一例を示しており、図2の三重丸58は、検知ルートの終点の一例を示している。
【0030】
なお、ユーザが、第1画像を見て検知ルートを設定する態様に限らない。例えば、検知制御部44は、第1画像を画像解析して、ガス配管50の屈曲部、ガス配管50の端部のフランジ、ガス配管50に設けられる弁などを、第1画像中から抽出してもよい。そして、検知制御部44は、抽出したガス配管50の屈曲部、フランジ、弁などを代表的な対象位置として検知ルートを設定してもよい。
【0031】
対象位置の設定が完了すると、検知制御部44は、検知対象ガスの漏洩を検知するガス漏洩検知処理を定期的に実行する。例えば、検知制御部44は、1日毎、1時間毎、10分毎など、任意のタイミングでガス漏洩検知を実行してもよい。
【0032】
ガス漏洩検知処理が開始されると、検知制御部44は、対象位置における検知対象ガスの漏洩の有無を検知部10に検知させるように、可動機構14を制御する。より詳細には、検知制御部44は、図2の二重丸56で示す始点から、図2の三重丸58で示す終点にかけて、図2の矢印54で示す検知ルートに沿って検知させるように可動機構14を制御する。
【0033】
検知制御部44は、検知ルートの途中において、検知部10による検知結果である検知対象ガスの濃度が、所定値以上となった場合、検知対象ガスが漏洩していると判断する。所定値は、検知エリア内に検知対象ガスが一般的に存在することと、検知エリア内において検知対象ガスが漏洩したこととを、区別可能な値に設定される。
【0034】
図3は、検知対象ガスの漏洩が発生していないときの、表示部42の画面表示の一例を示す図である。表示部42の画面は、座標表示エリア60と、濃度表示エリア62と、第2画像表示エリア64とに区分される。
【0035】
座標表示エリア60には、検知ルート上の各座標が表示される。例えば、座標表示エリア60には、対象位置の設定時に登録された代表的な対象位置の座標が表示されてもよい。濃度表示エリア62には、検知ルートの現在の座標における、検知部10により検知された検知対象ガスの濃度が表示される。第2画像表示エリア64には、第2撮像装置16により生成された、現在の第2画像が表示される。
【0036】
図4は、検知対象ガスの漏洩を検知したときの、表示部42の画面表示の一例を示す図である。図4における第2画像表示エリア64の丸印66は、漏洩位置を示し、丸印66を含むクロスハッチの領域は、検知対象ガスの濃度が高い領域を示す。すなわち、丸印66は、漏洩位置を把握可能な指標である。
【0037】
検知対象ガスの漏洩を検知した場合、検知制御部44は、漏洩が検知された漏洩位置、および、漏洩が検知されたときの第2画像を、記憶部40に記憶させる。
【0038】
そして、検知制御部44は、図4の丸印66で示すように、漏洩位置を把握可能な指標を第2画像に重ねて、第2画像表示エリア64に表示させる。この際、検知制御部44は、丸印66を含むクロスハッチの領域で示すように、検知対象ガスの濃度が高い領域を表示させてもよい。また、検知制御部44は、濃度表示エリア62の背景を、図4のハッチングで例示するように、例えば、赤色表示するなど、検知対象ガスが漏洩していないときと異なる表示態様で表示させてもよい。
【0039】
なお、検知対象ガスの漏洩を検知した場合、検知制御部44は、表示部42への表示に限らず、警報音または警告灯によって報知してもよい。また、検知対象ガスの漏洩を検知した場合、検知制御部44は、漏洩が発生したことや漏洩位置などを、例えば、管理者の通信端末などに送信してもよい。また、図4では、漏洩位置の指標が第2画像に重ねて表示されていた。しかし、検知制御部44は、漏洩位置の指標を第1画像に重ねて表示させてもよい。
【0040】
また、検知ルートの途中で検知対象ガスの漏洩が検知されても、検知制御部44は、ガス漏洩検知処理を検知ルートの終点まで行う。
【0041】
また、検知ルートの途中で検知対象ガスの漏洩が検知されて、検知ルートの終点に到達しても、再度、始点からガス漏洩検知処理を行って、漏洩の時間変化を把握できるようにしてもよい。
【0042】
図5は、検知制御部44の動作の流れを説明するフローチャートである。検知制御部44は、所定制御周期で訪れる所定の割込みタイミングとなると、図5の一連の処理を実行する。所定制御周期は、例えば、1日毎、1時間毎、10分毎など、任意に設定することができる。
【0043】
所定制御周期で訪れる所定の割込みタイミングとなると、検知制御部44は、検知位置を検知ルートの始点に初期化し、検知ルートに沿った検知を開始させる(S10)。より詳細には、検知制御部44は、可動機構14を制御することで、第1レーザー26の照射方向を、始点に向かう方向から、検知ルートに沿って移動させる。次に、検知制御部44は、検知位置が検知ルートの終点に到達したか否かを判断する(S11)。
【0044】
検知位置が検知ルートの終点に到達していない場合(S11におけるNO)、検知制御部44は、検知部の検知結果である検知対象ガスの濃度を取得する(S12)。そして、検知制御部44は、取得した検知対象ガスの濃度に基づいて、検知対象ガスが漏洩しているか否かを判定する(S13)。具体的には、検知制御部44は、検知対象ガスの濃度が、予め設定された所定値以上である場合、検知対象ガスが漏洩していると判定する。
【0045】
検知対象ガスが漏洩していると判定しなかった場合(S13におけるNO)、検知制御部44は、取得した濃度を、表示部42の濃度表示エリア62に表示させ、当該濃度を取得したタイミングにおける第2画像を、表示部42の第2画像表示エリア64に表示させる(S14)。そして、検知制御部44は、ステップS11の処理に戻り、検知位置が検知ルートの終点に到達するまで、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0046】
ステップS13において、検知対象ガスが漏洩していると判定した場合(S13におけるYES)、検知制御部44は、ステップS12で濃度を取得したタイミングにおける検知対象ガスの検知位置を、漏洩位置として、記憶部40に記憶させる(S20)。検知制御部44は、ステップS12で濃度を取得したタイミングにおける第2画像を、記憶部40に記憶させる(S21)。検知制御部44は、当該漏洩位置を把握可能な指標を当該第2画像に重ねた合成画像を生成する(S22)。そして、検知制御部44は、取得した濃度を表示部42の濃度表示エリア62に表示させ、当該合成画像を表示部42の第2画像表示エリア64に表示させる(S14)。そして、検知制御部44は、ステップS11の処理に戻り、検知位置が検知ルートの終点に到達するまで、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0047】
なお、図5の例では、検知制御部44は、検知位置が検知ルートの終点に到達した場合、ガス漏洩検知処理を一旦終了して、次の所定の割込みタイミングとなるまで待機する。しかし、検知制御部44は、検知位置が検知ルートの終点に到達した場合、検知位置を検知ルートの始点に初期化し、図5に示すガス漏洩検知処理を遅滞なく再開させてもよい。すなわち、検知制御部44は、ガス漏洩検知処理を連続的に繰り返してもよい。
【0048】
以上のように、本実施形態のガス漏洩検知システム1では、検知対象ガスが漏洩する可能性が高い位置を示す対象位置が、第1画像に基づいて特定されている。そして、本実施形態の検知制御部44は、対象位置における検知対象ガスの漏洩の有無を検知部10に検知させるように可動機構14を制御し、検知対象ガスの漏洩が検知された場合、漏洩が検知された漏洩位置を、記憶部に記憶させる。
【0049】
これにより、本実施形態のガス漏洩検知システム1では、検知エリア内の余分な空間の検知結果を含まず、検知対象ガスが漏洩する可能性が高いと想定される対象位置に絞って検知するため、検知対象ガスの漏洩源を特定することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態のガス漏洩検知システム1では、検知エリア内の余分な空間を含む広い空間を走査する態様と比べ、検知対象ガスが漏洩する可能性が高いと想定される対象位置に絞って検知するため、検知制御部44の処理負荷を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態のガス漏洩検知システム1では、第1画像における座標、第2画像における座標、および、検知位置が対応付けられている。このため、本実施形態のガス漏洩検知システム1では、検知部10の設置位置を基準とした検知エリアの奥行方向の座標が反映された漏洩源を特定することが可能となる。このため、本実施形態のガス漏洩検知システム1では、漏洩に対処するメンテナンスを迅速に行うことができる。
【0052】
なお、本実施形態のガス漏洩検知システム1において、検知ルートの途中に所定のチェック部を設けてもよい。チェック部は、例えば、中空の容器などで形成され、検知対象ガスが検知可能に封入された部材である。チェック部の容器の一部には、ガラス窓のような露出部が設けられる。露出部は、チェック部内の検知対象ガスのチェック部外への漏洩を防止しつつ、第1レーザー26がチェック部内へ透過可能な素材で形成される。露出部の大きさは、検知ルート上にけるガス配管50などの対象物の幅よりも小さくなっている。
【0053】
このようなチェック部を設ける構成において、検知制御部44は、チェック部内の検知対象ガスを、露出部を通じて意図的に検知する。そして、検知制御部44は、チェック部内の検知対象ガスが検知されるか否かに基づいて、ガス漏洩検知処理が正常に行われているか(換言すると、ガス漏洩検知処理に関する異常の有無)を自己診断してもよい。検知ルートに沿って正常にガス漏洩検知処理が行われていれば、検知制御部44は、チェック部内の検知対象ガスを検知する。しかし、チェック部内の検知対象ガスが検知できなかった場合、検知ルートに沿ったガス漏洩検知処理が行われなくなったと認識でき、可動機構14を校正することができる。また、可動機構14や検知部10の故障を発見することもできる。また、チェック部の露出部が、ガス配管などの対象物の幅よりも小さいため、実際の検知ルートが正常な検知ルートから外れた際の故障の発見精度を向上させることができる。
【0054】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0055】
1 ガス漏洩検知システム
10 検知部
12 第1撮像装置
14 可動機構
16 第2撮像装置
40 記憶部
42 表示部
44 検知制御部
図1
図2
図3
図4
図5