(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045353
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】洗濯補助具
(51)【国際特許分類】
D06F 35/00 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
D06F35/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153703
(22)【出願日】2021-09-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】521415712
【氏名又は名称】有限会社丸元コンフォート
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大輔
【テーマコード(参考)】
3B168
【Fターム(参考)】
3B168AD01
3B168AD08
3B168AE01
3B168BA09
3B168BA10
3B168BA62
3B168FA01
3B168FA02
3B168JM01
3B168JM03
3B168WA03
(57)【要約】
【課題】被洗濯衣類の皺、型崩れ、縮み等の不具合の発生を抑制することができる洗濯補助具を提供する。
【解決手段】洗濯補助具は、被洗濯衣類を間に挟んで保持可能な一組の保持体を備える。前記一組の保持体は、それぞれ、前記被洗濯衣類を囲む形状に形成された外枠と、前記外枠の内側空間を覆うメッシュ部とを有している。前記一組の保持体の間に前記被洗濯衣類が挟まれる場合、前記メッシュ部によって前記被洗濯衣類が挟まれる。前記メッシュ部は、前記被洗濯衣類に面する凹凸部を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗濯衣類を間に挟んで保持可能な一組の保持体を備え、
前記一組の保持体は、それぞれ、前記被洗濯衣類を囲む形状に形成された外枠と、前記外枠の内側空間を覆うメッシュ部とを有しており、
前記一組の保持体の間に前記被洗濯衣類が挟まれる場合、前記メッシュ部によって前記被洗濯衣類が挟まれ、
前記メッシュ部は、前記被洗濯衣類に面する凹凸部を有している、
洗濯補助具。
【請求項2】
前記一組の保持体は、折りたたまない状態の前記被洗濯衣類を保持可能であり、
前記外枠は、折りたたまない状態の前記被洗濯衣類を囲むことができる形状に形成されている、請求項1に記載の洗濯補助具。
【請求項3】
前記一組の保持体は、それぞれ、前記外枠の前記内側空間内に配置される骨構造体をさらに有しており、
前記メッシュ部は、前記骨構造体のうち前記被洗濯衣類と対向する側の対向面に配置されており、
前記一組の保持体によって前記被洗濯衣類が挟まれる場合、前記骨構造体と前記メッシュ部とによって前記被洗濯衣類が挟まれる、請求項1又は2に記載の洗濯補助具。
【請求項4】
前記骨構造体の前記対向面は、保持される前記被洗濯衣類の厚みに応じて凹凸が設けられている、請求項3に記載の洗濯補助具。
【請求項5】
前記一組の保持体の前記外枠同士を回動可能に接続する蝶番をさらに備え、
前記一組の保持体は、前記蝶番を中心に一方の保持体を他方の保持体に対して回動させることにより開閉可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の洗濯補助具。
【請求項6】
前記一組の保持体の前記外枠同士を固定する固定具をさらに備え、
前記固定具は、前記一組の保持体のうちの少なくとも一方の保持体の前記外枠に設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の洗濯補助具。
【請求項7】
被洗濯衣類を挟んで保持可能な一組の保持体を備え、
前記一組の保持体は、それぞれ、前記被洗濯衣類を囲む形状に形成された外枠と、前記外枠の内側空間内に配置される骨構造体とを有しており、
前記一組の保持体によって前記被洗濯衣類が挟まれる場合、前記骨構造体のうちの前記被洗濯衣類と対向する側の対向面によって前記被洗濯衣類が挟まれる、
洗濯補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、衣類の洗濯の際に用いられる洗濯補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、板状の内挿材と、内挿材を内挿した被洗濯衣類を二つ折りにして収容する洗濯ネットと、被洗濯衣類を収容した洗濯ネットを内挿材とともに折りたたんだ状態に保持する止着用ファスナーとを有する洗濯補助具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、被洗濯衣類は、内挿材を内挿した状態で折りたたまれて洗濯ネットに収容される。しかしながら、特許文献1の技術では、洗濯補助具を用いて被洗濯衣類を洗濯する場合、洗濯中に水流や遠心力等によって洗濯ネット内で被洗濯衣類が移動してしまい、被洗濯衣類に皺や型崩れが生じる可能性がある。また、被洗濯衣類を洗濯ネットから取り出して乾燥させる際に十分に被洗濯衣類を保持できず、被洗濯衣類に縮みが生じる可能性もある。
【0005】
本明細書では、被洗濯衣類の皺、型崩れ、縮み等の不具合の発生を抑制することができる洗濯補助具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される洗濯補助具は、被洗濯衣類を間に挟んで保持可能な一組の保持体を備える。前記一組の保持体は、それぞれ、前記被洗濯衣類を囲む形状に形成された外枠と、前記外枠の内側空間を覆うメッシュ部とを有している。前記一組の保持体の間に前記被洗濯衣類が挟まれる場合、前記メッシュ部によって前記被洗濯衣類が挟まれる。前記メッシュ部は、前記被洗濯衣類に面する凹凸部を有している。
【0007】
上記の洗濯補助具を用いて洗濯を行う場合、メッシュ部によって被洗濯衣類が挟まれる。この際、メッシュ部に設けられた凹凸部が抵抗となるため、洗濯中に被洗濯衣類が洗濯補助具内で移動することが抑制される。その結果、被洗濯衣類に対する皺や型崩れの発生が抑制される。また、洗濯補助具に被洗濯衣類を保持した状態で被洗濯衣類を乾燥させれば、乾燥の間も被洗濯衣類が適切に保持されるため、乾燥時における被洗濯衣類の縮みも抑制される。
【0008】
上記の洗濯補助具を用いることで、例えば水洗いに伴う被洗濯衣類の縮みの発生を効果的に抑制することができる。そのため、上記の洗濯補助具を用いれば、例えば、ドライクリーニングでは落としにくい水溶性の汚れが付着したドライクリーニング指定の衣類を水洗いすること等も可能となる。ドライクリーニング指定の衣類の水溶性の汚れを適切に落とすことができる。対応可能な洗濯の幅が広がる。
【0009】
前記一組の保持体は、折りたたまない状態の前記被洗濯衣類を保持可能であってもよい。前記外枠は、折りたたまない状態の前記被洗濯衣類を囲むことができる形状に形成されていてもよい。
【0010】
被洗濯衣類を折りたたんだ状態で洗濯すると、洗濯液の通過ムラが生じ、被洗濯衣類に洗浄率の低い箇所が生じる可能性が高くなる。この点、上記の洗濯補助具によると、被洗濯衣類を折りたたむことなく、一組の保持体によって挟んで保持して洗濯することができる。そのため、洗濯時における洗濯液の通過ムラが生じ難くなる。被洗濯衣類に洗浄率の低い箇所が生じ難くなる。また、被洗濯衣類に折り皺が生じることや、単一の被洗濯衣類内での色移りも抑制される。
【0011】
前記一組の保持体は、それぞれ、前記外枠の前記内側空間内に配置される骨構造体をさらに有していてもよい。前記メッシュ部は、前記骨構造体のうち前記被洗濯衣類と対向する側の対向面に配置されていてもよい。前記一組の保持体によって前記被洗濯衣類が挟まれる場合、前記骨構造体と前記メッシュ部とによって前記被洗濯衣類が挟まれてもよい。
【0012】
この洗濯補助具によると、骨構造体とメッシュ部の両方で被洗濯衣類を挟んで保持することができる。被洗濯衣類がより強固に保持される。そのため、洗濯中に被洗濯衣類が洗濯補助具内で移動すること、及び、乾燥中の皺の発生がより適切に抑制される。
【0013】
前記骨構造体の前記対向面は、保持される前記被洗濯衣類の厚みに応じて凹凸が設けられていてもよい。
【0014】
この洗濯補助具によると、被洗濯衣類の厚みに応じて対向面に凹凸が設けられているため、被洗濯衣類を型崩れさせることなく保持しながら洗濯することができる。被洗濯衣類の型崩れ、皺、縮み等の発生を適切に抑制することができる。
【0015】
前記一組の保持体の前記外枠同士を回動可能に接続する蝶番をさらに備えていてもよい。前記一組の保持体は、前記蝶番を中心に一方の保持体を他方の保持体に対して回動させることにより開閉可能であってもよい。
【0016】
この洗濯補助具によると、蝶番で回動可能に接続されているため、被洗濯衣類を一組の保持体の間に挟んで保持する際における保持体同士の位置合わせを容易に行うことができる。
【0017】
前記一組の保持体の前記外枠同士を固定する固定具をさらに備えてもよい。前記固定具は、前記一組の保持体のうちの少なくとも一方の保持体の前記外枠に設けられていてもよい。
【0018】
この洗濯補助具によると、固定具によって一組の保持体の外枠同士を確実に固定することができる。洗濯中に外枠同士の固定が緩み、被洗濯衣類が動くことを抑制することができる。
【0019】
本明細書で開示されるもう一つの洗濯補助具は、被洗濯衣類を挟んで保持可能な一組の保持体を備える。前記一組の保持体は、それぞれ、前記被洗濯衣類を囲む形状に形成された外枠と、前記外枠の内側空間内に配置される骨構造体とを有している。前記一組の保持体によって前記被洗濯衣類が挟まれる場合、前記骨構造体のうちの前記被洗濯衣類と対向する側の対向面によって前記被洗濯衣類が挟まれる。
【0020】
上記の洗濯補助具を用いて洗濯を行う場合、骨構造体によって被洗濯衣類が挟まれる。この際、骨構造体が抵抗となるため、洗濯中に被洗濯衣類が洗濯補助具内で移動することが抑制される。その結果、被洗濯衣類に対する皺や型崩れの発生が抑制される。また、洗濯補助具に被洗濯衣類を保持した状態で被洗濯衣類を乾燥させれば、乾燥の間も被洗濯衣類が適切に保持されるため、乾燥時における被洗濯衣類の縮みも抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1の洗濯補助具の使用状態を示す斜視図(1)。
【
図3】
図1の洗濯補助具の使用状態を示す斜視図(2)。
【
図4】
図1の洗濯補助具のメッシュ部を除いた様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施例)
図1~
図5を参照して、第1実施例の洗濯補助具2について説明する。本実施例の洗濯補助具2は、被洗濯衣類Cを洗濯液(水、溶剤等)によって洗濯する際に用いられる補助部材である。具体的には、洗濯補助具2は、洗濯及び乾燥の際に被洗濯衣類Cを保持するためのバインダである。
図1は本実施例の洗濯補助具2の概要を示す。
図2、
図3は洗濯補助具2の使用状態を示す。この例では被洗濯衣類Cはジャケットである。被洗濯衣類Cは他の衣類であってもよい。
図1~
図3に示されるように、洗濯補助具2は、間に被洗濯衣類Cを挟んで保持することができる一組の保持体10a、10bを備える。一組の保持体10a、10bは、蝶番50を中心に保持体10aと保持体10bとが相対回動するように接続されている。一組の保持体10a、10bは、一方の保持体10aを他方の保持体10bに対して回動させることにより開閉可能である。
【0023】
保持体10aと保持体10bは基本的に共通の構成を有する。保持体10aは、外枠20aと、骨構造体30aと、メッシュ部40aと、固定具60aとを有する。同様に、保持体10bも、外枠20bと、骨構造体30bと、メッシュ部40bと、固定具60bとを有する。
【0024】
外枠20a、20bは、折りたたまない状態の被洗濯衣類Cの周囲を囲むことができる形状に形成されている。本実施例では外枠20a、20bは四角形の枠体である。変形例では外枠20a、20bは、折りたたまない状態の被洗濯衣類Cの周囲を囲むことができる形状であれば任意の多角形又は円形の枠体であってもよい。外枠20a、20bは硬質樹脂によって形成される。外枠20a、20bは、一定の圧力が付加される状態で形状を保持可能であれば、軟質樹脂、金属、木材、竹材等の任意の材料で形成されていてもよい。外枠20a、20bは断面矩形の板状部材を枠状に形成した形状を有する。変形例では外枠20a、20bは断面円形や断面多角形状の部材を枠状に形成した形状を有していてもよい。外枠20aと外枠20bとは同サイズ同形状に形成されている。そのため、
図3に示されるように、保持体10a、10bが閉じられる際には外枠20aと外枠20bはぴったりと対向する。
【0025】
骨構造体30a、30bは、それぞれ、外枠20a、20bの内側空間内に配置される構造体である。
図4、
図5を参照して骨構造体30a、30bについて詳しく説明する。
図4は、洗濯補助具2のメッシュ部40a、40bを除いた様子を示す斜視図である。
図5は、
図2のV-V間の断面図である。
図4、
図5に示されるように、骨構造体30a、30bは、複数個の縦板材32a、32bと複数個の横板材34a、34bとを組み合わせて形成される格子状の構造体である。各格子の一辺の長さは例えば10mm~300mm程度である。格子の一辺の長さは被洗濯衣類Cの種類に応じて決められていてもよい。骨構造体30a、30bは、それぞれ、外枠20a、20bと同様の硬質樹脂によって形成されている。骨構造体30a、30bが外枠20a、20bと異なる素材(例えば軟質樹脂、金属、木材、竹材等)で形成されていてもよい。
【0026】
図4、
図5に示されるように、骨構造体30a、30bは、それぞれ、一組の保持体10a、10bで被洗濯衣類Cを挟む際に被洗濯衣類Cと対面する側の面である対向面35a、35bを有する。対向面35a、35bには、被洗濯衣類Cの厚みに応じて凹凸が設けられている。
図5に示されるように、本実施例では、被洗濯衣類Cがジャケットであるため、対向面35a、35bのうちのジャケットの肩パットに対向する位置に凹部36a、36bが形成されている。
図5はあくまで一例であり、被洗濯衣類Cの種類に応じて対向面35a、35bには異なる形状の凹凸が形成される。
【0027】
図1、
図2、
図5に示されるように、メッシュ部40a、40bは、それぞれ、外枠20a、20bの内部空間を覆う網状部材である。メッシュ部40a、40bを形成する網状部材は、硬質の樹脂繊維によって形成されている。メッシュ部40a、40bは、一組の保持体10a、10bで被洗濯衣類Cを挟む際に被洗濯衣類Cと接触する部材である。メッシュ部40aは骨構造体30aの対向面35a上に熱圧着されて接着されている。同様に、メッシュ部40bは骨構造体30bの対向面35b上に熱圧着されて接着されている。メッシュ部40a、40bの網目の大きさ(開口径)は、例えば直径数十μm~数mm程度である。メッシュ部40a、40bの網目の大きさは、被洗濯衣類Cの種類に応じて異なっていてもよい。
【0028】
図5によく示されるように、メッシュ部40a、40bには、凹凸部42a、42bが形成されている。凹凸部42a、42bは、メッシュ部40a、40bを構成する網状部材自体が厚み方向(表裏方向)に凹凸に成形されることによって形成される。凹凸部42a、42bの凹凸量は厚み方向に1~15mm程度であり、例えば3~5mm程度が好ましい。凹凸部42a、42bは、硬質の樹脂繊維製の網材を金型によって変形させることで形成される。メッシュ部40a、40bは、通常状態(即ち、挟まれる被洗濯衣類Cによって加圧されていない無負荷状態)では
図5に示す形状を保持している。メッシュ部40a、40bは、負荷が加わると負荷に応じて弾性変形する。
【0029】
上記の通り、蝶番50は、外枠20aと外枠20bとを回動可能に接続している。一組の保持体10a、10bは、蝶番50を中心に一方の保持体10aを他方の保持体10bに対して回動させることにより開閉可能である。
【0030】
固定具60aは外枠20aのうちの蝶番50と反対側の縁に備えられている。同様に、固定具60bは外枠20bのうちの蝶番50と反対側の縁に備えられている。固定具60aと固定具60bとは一組の固定具である。例えば、固定具60a、60bは一組の留め具である。
図4に示されるように、保持体10a、10bが閉じられる場合に、固定具60a、60bを組み合わせることにより、外枠20aと外枠20bを閉じた状態で固定することができる。図の例では固定具60a、60bは、それぞれ外枠20a、20bの一箇所にのみ設けられている。他の例では、固定具60a、60bは、それぞれ外枠20a、20bの二箇所以上に設けられていてもよい。
【0031】
(洗濯補助具2の使用方法)
続いて、本実施例の洗濯補助具2の使用方法について説明する。まず、
図1に示されるように、蝶番50を中心に保持体10aを回動させ、保持体10a、10bを開く。
【0032】
続いて、
図2、
図5に示されるように、折りたたまない状態の被洗濯衣類Cを保持体10bのメッシュ部40b上に載せる。この際、被洗濯衣類C(ジャケット)の肩パット部分を骨構造体30bの凹部36bに合わせて配置する。
【0033】
続いて、
図3に示されるように、蝶番50を中心に保持体10aを回動させ、保持体10a、10bを閉じる。外枠20aと外枠20bが密に対向する。メッシュ部40aとメッシュ部40bも密に対向する。骨構造体30aの対向面35aと骨構造体30bの対向面35bも近接して対向する。被洗濯衣類Cは保持体10a、10bの間に挟まれる。詳しくは、被洗濯衣類Cはメッシュ部40a及び骨構造体30aと、メッシュ部40b及び骨構造体30bとの間に挟まれる。被洗濯衣類Cにはメッシュ部40a、40bが密に接触する。この際、メッシュ部40aに形成されている凹凸部42aとメッシュ部40bに形成されている凹凸部42bとが被洗濯衣類Cに適度に食い込む。この結果、凹凸部42a、42bが抵抗となり、洗濯補助具2内での被洗濯衣類Cの位置、姿勢、形状が確実に保持される。被洗濯衣類Cが保持体10a、10bの間に挟まれる際、肩パット部分が凹部36a、36bに合わせて配置される(
図5参照)。これにより、肩パット部分が潰れることが防止され、被洗濯衣類Cの型崩れが防止される。
【0034】
保持体10a、10bの間に被洗濯衣類Cが挟まれて保持された状態で、固定具60a、60bを組み合わせることにより、外枠20aと外枠20bを閉じた状態で固定する。これにより、洗濯補助具2内での被洗濯衣類Cの位置、姿勢、形状が保持された状態で固定される。
【0035】
その後、被洗濯衣類Cを保持した洗濯補助具2を洗濯機の洗濯槽内に投入する。洗濯機は、家庭用洗濯機、業務用洗濯機のいずれであってもよい。洗濯槽内に投入された洗濯補助具2は洗濯槽内に固定されてもよいし、固定されなくてもよい。洗濯補助具2が洗濯槽に投入された状態で、洗濯液を用いた洗濯を行う。洗濯液には、水洗いの場合には水が用いられ、ドライクリーニングの場合には溶剤が用いられる。
【0036】
所定の洗濯工程(洗濯、すすぎ、脱液)が終了した後で、被洗濯衣類Cを保持した洗濯補助具2を洗濯槽から取り出す。その後、被洗濯衣類Cを保持した洗濯補助具2を乾燥機に投入し、洗濯補助具2で保持されたままの被洗濯衣類Cを乾燥させることができる。乾燥機に代えて業務用の乾燥室を用いてもよい。乾燥工程の終了後に、保持体10a、10bを開き、乾燥が終了した被洗濯衣類Cを取り出すことができる。なお、洗濯工程の後で、洗濯補助具2で被洗濯衣類Cを保持したままで乾燥工程を行うことは必須ではなく、洗濯工程の終了後に洗濯補助具2から被洗濯衣類Cを取り出してもよい。
【0037】
(本実施例の洗濯補助具2の作用効果)
上記の通り、本実施例の洗濯補助具2では、被洗濯衣類Cが保持体10a、10bの間に挟まれる場合、被洗濯衣類Cにメッシュ部40a、40bが密に接触する。この際、メッシュ部40aに形成されている凹凸部42aとメッシュ部40bに形成されている凹凸部42bとが被洗濯衣類Cに適度に食い込む。この結果、凹凸部42a、42bが抵抗となり、洗濯補助具2内での被洗濯衣類Cの位置、姿勢、形状が確実に保持される。洗濯補助具2で被洗濯衣類Cを保持して洗濯を行う場合、洗濯中に被洗濯衣類Cが洗濯補助具2内で移動することが抑制される。その結果、被洗濯衣類Cに対する皺や型崩れの発生が抑制される。また、洗濯補助具2に被洗濯衣類Cを保持した状態で被洗濯衣類Cを乾燥させる場合にも、被洗濯衣類Cが適切に保持されるため、乾燥時における被洗濯衣類Cの縮みも抑制される。
【0038】
本実施例の洗濯補助具2によると、洗濯の間、被洗濯衣類Cは保持体10a、10bに挟まれて保持される。そのため、例えば、被洗濯衣類Cを従来の洗濯ネットに入れて洗濯する場合に比べ、衣類に加わる物理的力(ストレス)が大幅に軽減される。被洗濯衣類Cが通常洗い時に破損する可能性の高い装飾(例えば、飾りボタン、リボン、金属チェーン、バッジ等)を有している場合であっても、装飾の破損が防止される。また、長時間の漬け込み漂白等、洗浄時間が長い場合であっても被洗濯衣類Cへのダメージを最小限に留めることができる。また、洗濯槽内で被洗濯衣類Cと他の衣類が直接触れることも回避することができるため、毛玉の付着や移染を抑制することができる。色分け洗いを行わずに済む。
【0039】
本実施例の洗濯補助具2を用いることで、水洗いに伴う被洗濯衣類Cの縮み等の発生が効果的に抑制される。そのため、本実施例の洗濯補助具2を用いれば、例えば、ドライクリーニングでは落としにくい水溶性の汚れが付着したドライクリーニング指定の衣類を通常の水洗いと同様に洗濯することも可能となる。ドライクリーニング指定の衣類の水溶性の汚れを適切に落とすことができる。対応可能な洗濯の幅が広がる。
【0040】
本実施例の洗濯補助具2は、折りたたまない状態の被洗濯衣類Cを保持可能である(
図2、
図3参照)。仮に被洗濯衣類Cを折りたたんだ状態で洗濯すると、洗濯液の通過ムラが生じ、被洗濯衣類Cに洗浄率の低い箇所が生じる可能性が高くなる。この点、本実施例の洗濯補助具2によると、被洗濯衣類Cを折りたたむことなく、一組の保持体10a、10bによって挟んで保持して洗濯することができる。そのため、洗濯時における洗濯液の通過ムラが生じ難くなる。被洗濯衣類Cに洗浄率の低い箇所が生じ難くなる。また、被洗濯衣類Cに折り皺が生じることや、単一の被洗濯衣類内での色移りも抑制される。
【0041】
本実施例の洗濯補助具2は、メッシュ部40a、40bに加え、骨構造体30a、30bをさらに備える。即ち、洗濯補助具2は、骨構造体30a、30bとメッシュ部40a、40bの両方で被洗濯衣類Cを挟んで保持することができる。被洗濯衣類Cが強固に保持される。そのため、洗濯中に被洗濯衣類Cが洗濯補助具2内で移動すること、及び、乾燥中の皺の発生がより適切に抑制される。
【0042】
また、本実施例では、被洗濯衣類Cの厚みに応じて骨構造体30a、30bに凹凸が設けられている(
図5参照)。そのため、被洗濯衣類Cを型崩れさせることなく保持しながら洗濯することができる。被洗濯衣類Cの型崩れ、皺、縮みの発生を適切に抑制することができる。
【0043】
また、一組の保持体10a、10bの外枠20a、20b同士が蝶番50によって回動可能に接続されている。そのため、被洗濯衣類Cを一組の保持体10a、10bの間に挟んで保持する際における保持体10a、10b同士の位置合わせを容易に行うことができる。
【0044】
また、外枠20a、20b同士を固定する固定具60a、60bがさらに備えられている。固定具60a、60bにより、外枠20a、20b同士を確実に固定することができる。洗濯中に外枠20a、20b同士の固定が緩み、被洗濯衣類Cが洗濯補助具2内で動くことが適切に抑制される。
【0045】
(第2実施例)
図6、
図7を参照して、第2実施例の洗濯補助具102について説明する。本実施例の洗濯補助具102も、その基本的な構成は第1実施例の洗濯補助具2と共通する。
図6、
図7では、第1実施例と同様の構成は
図1~
図5と同じ符号を用いて示し、詳しい説明を省略する。
【0046】
本実施例の洗濯補助具102も、間に被洗濯衣類Cを挟んで保持することができる一組の保持体10a、10bを備える。保持体10a、10bは、蝶番50を中心に相対回動するように接続されている。保持体10a、10bは、外枠20a、20bと、骨構造体30a、30bと、固定具60a、60bと、を有する。ただし、本実施例では、保持体10a、10bはメッシュ部(
図1の符号40a、40b参照)を有していない。
【0047】
本実施例でも、骨構造体30a、30bは、複数個の縦板材32a、32bと複数個の横板材34a、34bを組み合わせて形成される格子状の構造体である。骨構造体30a、30bは、それぞれ、一組の保持体10a、10bで被洗濯衣類Cを挟む際に被洗濯衣類Cと対面する側の面である対向面35a、35bを有する。本実施例でも、対向面35a、35bには、被洗濯衣類Cの厚みに応じて凹凸が設けられている。
図6に示されるように、対向面35a、35bのうちの被洗濯衣類C(ジャケット)の肩パットに対向する位置に凹部36a、36bが形成されている。
図6はあくまで一例であり、被洗濯衣類Cの種類に応じて対向面35a、35bには異なる形状の凹凸が形成される。
【0048】
本実施例の洗濯補助具102の使用方法も、第1実施例の洗濯補助具2の使用方法と基本的には同様である。ただし、本実施例では、保持体10a、10bを閉じた際、被洗濯衣類Cは骨構造体30aと骨構造体30bとの間に挟まれる。被洗濯衣類Cには骨構造体30a、30bの対向面35a、35bが密に接触する。この際、被洗濯衣類Cに接触する骨構造体30a、30bが被洗濯衣類Cに適度に食い込む。この結果、骨構造体30a、30bが抵抗となり、洗濯補助具2内での被洗濯衣類Cの位置、姿勢、形状が確実に保持される。
【0049】
従って、本実施例の洗濯補助具102で被洗濯衣類Cを保持して洗濯を行う場合も、第1実施例と同様に、洗濯中に被洗濯衣類Cが洗濯補助具102内で移動することが抑制される。その結果、被洗濯衣類Cに対する皺や型崩れの発生が抑制される。また、洗濯補助具2に被洗濯衣類Cを保持した状態で被洗濯衣類Cを乾燥させる場合における被洗濯衣類Cの縮みも抑制される。この他、本実施例の洗濯補助具102による場合も、第1実施例の洗濯補助具2とほぼ同様の作用効果を発揮することができる。
【0050】
以上、本明細書で開示する技術の実施例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を含んでもよい。
【0051】
(変形例1)第1実施例の洗濯補助具2において、保持体10a、10bが骨構造体30a、30bを備えていなくてもよい。その場合、外枠20a、20bの内側空間にはメッシュ部40a、40bのみが備えられていてもよい。本変形例では、保持体10a、10bを閉じた際、被洗濯衣類Cはメッシュ部40a、40bのみによって挟まれる。この場合も凹凸部42a、42bが被洗濯衣類Cに適度に食い込むことで抵抗となるため、洗濯補助具2内での被洗濯衣類Cの位置、姿勢、形状が確実に保持される。
【0052】
(変形例2)上記の各実施例の洗濯補助具2、102において、一組の保持体10a、10bは、折りたたんだ状態の被洗濯衣類Cを保持可能な形状および大きさに形成されていてもよい。すなわち、外枠20a、20bは、折りたたんだ状態の被洗濯衣類Cの周囲を囲むことができる任意の形状および大きさに形成されていてもよい。
【0053】
(変形例3)上記の各実施例の洗濯補助具2、102において、骨構造体30a、30bの対向面35a、35bに凹凸が形成されていなくてもよい。
【0054】
(変形例4)上記の各実施例の洗濯補助具2、102において、保持体10a、10bは蝶番50で連結されていなくてもよい。保持体10aと保持体10bが別個に設けられていてもよい。
【0055】
(変形例5)上記の各実施例の洗濯補助具2、102において、固定具60a、60bが省略されてもよい。その場合、保持体10a、10bは外枠20a、20bとは別個に設けられた固定手段(例えば固定バンド等)によって固定されてもよい。
【0056】
(変形例6)上記の各実施例では、骨構造体30a、30bは、複数個の縦板材32a、32bと複数個の横板材34a、34bを組み合わせて形成される格子状の構造体である。これに限られず、骨構造体30a、30bは、外枠20a、20bの内部空間を補強可能な構造体であれば、ハニカム構造、網構造等、任意の形状を有する構造体であってもよい。
【0057】
(変形例7)骨構造体30a、30bを構成する部材も硬質樹脂の板材には限られない。骨構造体30a、30bは、任意の素材による任意の形状の部材によって形成されていてもよい。従って、例えば、骨構造体30a、30bは、金属製の線材(もしくは針金等)によって形成されていてもよい。その場合、線材は適宜曲げられて凹凸等が形成されていてもよい。また、骨構造体30a、30bは、外枠20a、20bと異なる素材、異なる形状の部材によって形成されていてもよい。
【0058】
(変形例8)第1実施例では、メッシュ部40a、40bを形成する網状部材は、硬質の樹脂繊維によって形成されている。これに限られず、メッシュ部40a、40bを形成する網状部材は、金属線を編んだ網状部材であってもよいし、他の素材の線材を編んだ網状部材であってもよい。不織布など、繊維による網状部材であってもよい。
【0059】
また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0060】
2:洗濯補助具
10a、10b:保持体
20a、20b:外枠
30a、30b:骨構造体
35a、35b:対向面
40a、40b:メッシュ部
42a、42b:凹凸部
50:蝶番
60a、60b:固定具
102:洗濯補助具
C:被洗濯衣類
【手続補正書】
【提出日】2022-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗濯衣類を間に挟んで保持可能な一組の保持体を備え、
前記一組の保持体は、それぞれ、前記被洗濯衣類を囲む形状に形成された外枠と、前記外枠の内側空間を覆うメッシュ部と、前記外枠の前記内側空間内に配置される骨構造体と、を有しており、
前記メッシュ部は、前記骨構造体のうち前記被洗濯衣類と対向する側の対向面に接着されており、
前記一組の保持体の間に前記被洗濯衣類が挟まれる場合、前記外枠同士が密に対向し、前記メッシュ部同士が密に対向し、前記骨構造体の前記対向面同士が近接して対向することにより、前記骨構造体と前記メッシュ部とによって前記被洗濯衣類が挟まれ、
前記メッシュ部は、前記被洗濯衣類に面する凹凸部を有している、
洗濯補助具。
【請求項2】
前記一組の保持体は、折りたたまない状態の前記被洗濯衣類を保持可能であり、
前記外枠は、折りたたまない状態の前記被洗濯衣類を囲むことができる形状に形成されている、請求項1に記載の洗濯補助具。
【請求項3】
前記骨構造体の前記対向面は、保持される前記被洗濯衣類の厚みに応じて凹凸が設けられている、請求項1又は2に記載の洗濯補助具。
【請求項4】
前記一組の保持体の前記外枠同士を回動可能に接続する蝶番をさらに備え、
前記一組の保持体は、前記蝶番を中心に一方の保持体を他方の保持体に対して回動させることにより開閉可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯補助具。
【請求項5】
前記一組の保持体の前記外枠同士を固定する固定具をさらに備え、
前記固定具は、前記一組の保持体のうちの少なくとも一方の保持体の前記外枠に設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の洗濯補助具。