(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000454
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20221222BHJP
F21V 21/096 20060101ALI20221222BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20221222BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20221222BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221222BHJP
【FI】
F21S2/00 230
F21V21/096
F21V23/00 160
F21Y103:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101283
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000111166
【氏名又は名称】DNライティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 旭
(72)【発明者】
【氏名】霜田 俊文
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014BA01
(57)【要約】
【課題】複数のLED発光素子を長さ方向に並べて保持した長尺の基板を、長尺のフレーム内に収容してなるLED照明装置において、基板をフレームの全長に亘って配置可能とする。
【解決手段】フレーム底板21には、幅方向両端から下方に延びて先端縁23aが互いに近付く方向に曲げられて、フレーム底板21の下面21aに板状部材を密接させて保持する板保持部23を左右1対形成する。一方エンドキャップ40は、フレーム20の開口20cを閉じる開口閉塞部41と、上面がフレーム底板21の下面に接し、かつ下面の左右端部が上記先端縁23aに受け止められる状態にして、板保持部23に挿入、保持される挿し込み板42と、この挿し込み板42の上面42aに形成され、開口閉塞部41が開口20cを閉じた状態にあるときフレーム底板21の下面21aに食い込んで、この開口20cを閉じた状態を維持させる爪部43とを備えたものとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLED発光素子を長さ方向に並べて保持した長尺の基板と、
前記基板を収容する長尺のフレームであって、長さ方向に延びるフレーム底板および該フレーム底板の幅方向両端からそれぞれ立ち上がった左右のフレーム側板を有し、前記フレーム底板上に前記基板を支持し、長さ方向の両端の少なくとも一方が開口とされたフレームと、
前記フレーム側板の上端に、前記底板と対向する状態にして取り付けられた透光性カバーと、
前記フレームの開口を閉じるエンドキャップと、
前記LED発光素子に外部電源から電力供給するための被覆付き電線と、
を備えてなるLED照明装置において、
前記フレーム底板の幅方向両端から下方に延びて先端縁が互いに近付く方向に曲げられて、前記フレーム底板の下面に板状部材を密接させて保持する板保持部が左右1対形成され、
前記エンドキャップが、
前記フレームの前記開口を閉じる開口閉塞部と、
この開口閉塞部の下部に略垂直に固設された板状部材であって、上面が前記フレーム底板の下面に接し、かつ下面の左右端部が前記先端縁に受け止められる状態にして、前記板保持部に挿入、保持される挿し込み板と、
この挿し込み板の前記上面に形成され、前記開口閉塞部が前記開口を閉じた状態にあるとき前記フレーム底板の下面に食い込んで、この開口を閉じた状態を維持させる爪部と、
を備えていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記エンドキャップの開口閉塞部が合成樹脂から形成され、
前記エンドキャップの挿し込み板が前記爪部と共に金属から形成され、
前記開口閉塞部と挿し込み板とが一体成型されている、
請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記板保持部に支承されて前記フレームと一体化された平板状の磁石をさらに有する請求項1または2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記エンドキャップの開口閉塞部が、前記被覆付き電線を、前記LED発光素子に向かって延びる素子側部分と、この素子側部分から略下方に折り曲がった電源側部分とに折り曲げて保持し、前記素子側部分を上端が開いた溝内に緊密に通して挟持固定する電線保持部を備えて構成されている請求項1から3のいずれか1項に記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記電線保持部が、前記素子側部分と前記電源側部分とを互いに略直角に折り曲げて保持可能とされている請求項4に記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記電線保持部が、前記電源側部分を、前記素子側部分が延びる方向と交わる方向に案内する電線案内部を有する請求項4または5に記載のLED照明装置。
【請求項7】
前記電線案内部が、前記電源側部分を挿通させる案内孔を有するものである請求項6に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED照明装置、特に詳細には、複数のLED発光素子を長さ方向に並べて保持した長尺の基板を、長尺のフレーム内に収容してなるLED照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、複数のLED発光素子を長さ方向に並べて保持した長尺の基板を、長尺のフレーム内に収容してなるLED照明装置が公知となっている。この種のLED照明装置においては多くの場合、長尺のフレームの長さ方向の端部が開口とされ、その開口を閉じるエンドキャップが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなエンドキャップが設けられる従来のLED照明装置においては、エンドキャップを固定するためのねじ等の構造をフレーム内に設ける必要が有った。そのような構造が設けられていると、基板をフレームの一端から他端まで全長に亘って配置することが不可能になるので、基板はフレームの全長より短く形成せざるを得ず、それがLED照明装置の全光束を高める上で阻害要因となっていた。本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、基板をフレームの全長に亘って配置可能で、それにより高光束が得られるLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるLED照明装置は、
複数のLED発光素子を長さ方向に並べて保持した長尺の基板と、
前記基板を収容する長尺のフレームであって、長さ方向に延びるフレーム底板および該フレーム底板の幅方向両端からそれぞれ立ち上がった左右のフレーム側板を有し、フレーム底板上に前記基板を支持し、長さ方向の両端の少なくとも一方が開口とされたフレームと、
前記フレーム側板の上端に、前記底板と対向する状態にして取り付けられた透光性カバーと、
前記フレームの開口を閉じるエンドキャップと、
LED発光素子に外部電源から電力供給するための被覆付き電線と、
を備えてなるLED照明装置において、
フレーム底板の幅方向両端から下方に延びて先端縁が互いに近付く方向に曲げられて、フレーム底板の下面に板状部材を密接させて保持する板保持部が左右1対形成され、
エンドキャップが、
フレームの前記開口を閉じる開口閉塞部と、
この開口閉塞部の下部に略垂直に固設された板状部材であって、上面がフレーム底板の下面に接し、かつ下面の左右端部が前記先端縁に受け止められる状態にして、前記板保持部に挿入、保持される挿し込み板と、
この挿し込み板の前記上面に形成され、前記開口閉塞部が前記開口を閉じた状態にあるときフレーム底板の下面に食い込んで、この開口を閉じた状態を維持させる爪部と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0006】
なお、上記の説明における「上、下」とは、フレーム底板が下側で透光性カバーが上側になるようにフレームを配置した場合の上、下を意味する。また、長尺の基板の長さ方向に並べて保持される複数のLED発光素子は、1列に限定するものではなく、この方向に並んでいれば複数列に保持されていてもよい。
【0007】
また、上記の説明における「食い込んで」とは、爪部がフレーム底板より硬質の材料から形成されることにより、フレーム底板の下面を変形させてフレーム底板内まで入り、それにより、開口閉塞部が開口を開く方向にエンドキャプを動かすことが不可能あるいは非常に困難になることを意味する。そのような材料の組合せとしては、フレーム底板がアルミニウムで爪部が鋼鉄、フレーム底板が硬質合成樹脂で爪部が鋼鉄等の金属、フレーム底板がアルミニウムで爪部がステンレス鋼等が挙げられるが、勿論、それらの例に限定されるものではない。
【0008】
上記構成を有する本発明のLED照明装置においては、
エンドキャップの開口閉塞部が合成樹脂から形成され、
エンドキャップの挿し込み板が前記爪部と共に金属から形成され、
前記開口閉塞部と挿し込み板とが一体成型されている、
ことが望ましい。
【0009】
また上記構成を有する本発明のLED照明装置は、前記板保持部に支承されてフレームと一体化された平板状の磁石をさらに有することが望ましい。
【0010】
また、エンドキャップの開口閉塞部は、被覆付き電線を、LED発光素子に向かって延びる素子側部分と、この素子側部分から略下方に折り曲がった電源側部分とに折り曲げて保持し、上記素子側部分を上端が開いた溝内に緊密に通して挟持固定する電線保持部を備えていることが望ましい。ここで、上記の「溝内に緊密に通す」とは、溝の幅が、電線の被覆の外径よりも僅かに小さく設定されて、電線が溝内から容易に脱落し得ないことを示す。
【0011】
ここで上記の電線保持部は、上記素子側部分と上記電源側部分とを互いに略直角に折り曲げて保持可能であることが望ましい。また、この電線保持部は、上記電源側部分を、上記素子側部分が延びる方向と交わる方向に案内する電線案内部を有していることが望ましい。そのような電線案内部は、上記電源側部分を挿通させる案内孔を有するものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるLED照明装置においては、エンドキャップをフレームに対して押し込むだけの簡単な操作により、エンドキャップをフレームに固定することができる。したがって、エンドキャップを固定するためのねじ等の構造をフレーム内に設けることが不要となるので、基板をフレームの一端から他端まで配置可能となる。それにより、フレームの全長に亘って発光する高光束のLED照明装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態によるLED照明装置を示す一部破断斜視図
【
図2】上記LED照明装置の要部を分解して示す斜視図
【
図3】上記LED照明装置に用いられたエンドキャップを示す斜視図
【
図5】上記エンドキャップとフレームとの組み合わせを説明する斜視図
【
図6】上記エンドキャップとフレームとの組み合わせが完了した状態を示す斜視図
【
図7】上記LED照明装置をフレーム長さ方向の一部で切断した状態を示す断面図
【
図8】上記LED照明装置を
図7とは異なる位置で切断した状態を示す断面図
【
図9】上記LED照明装置の組み立て方法を説明する概略図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるLED照明装置1を示す一部破断斜視図である。このLED照明装置1は基本的に、後述する複数のLED発光素子を長さ方向に並べて保持した長尺の基板10と、この基板10を内部に収容した長尺のフレーム20と、このフレーム20に取り付けられた透光性カバー30と、フレーム20の両端に形成された開口を閉じるエンドキャップ40と、上記LED発光素子に外部電源から電力供給するための被覆付き電線50とから構成されている。なお
図1および後述する
図2では、基板10およびフレーム20の長さ方向を、図中矢印Lで示しており、以下では長さ方向Lと言う。
【0015】
図1では、フレーム20を途中で切断して、その長さ方向の両端のうち一方のみを示しているが、実際のフレーム20は図中の切断部よりも手前側(図中で左下側)にさらに延びている。つまり、フレーム20の長さ方向の両端のうち図示外の他方にも、上記エンドキャップ40と同様のエンドキャップが取り付けられている。また基板10も、その長さ方向の途中で切断して示している。
【0016】
フレーム20は、長さ方向に延びるフレーム底板21および、このフレーム底板21の幅方向両端からそれぞれ立ち上がった左右のフレーム側板22を有している。透光性カバー30は、左右のフレーム側板22の先端側に取り付けられている。以下では、この
図1における表示状態と同じように、透光性カバー30が上側、フレーム底板21が下側となるようにフレーム20を配した場合を想定して、「上」、「下」という説明を用いる。
【0017】
図2は、本実施形態のLED照明装置1を組み立てる前の要部を分解して示す斜視図である。以下、この
図2も参照して説明を続ける。なおこの
図2において、既に説明したものと同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は、特に必要の無い限り省略する(以下、同様)。基板10は、その一面側に複数のLED発光素子11を長さ方向に並べて保持している。また基板10は上記一面側に、上記被覆付き電線50の一端側を接続するための2つの電線接続部分12を有している。なお本実施形態のLED照明装置1では、複数のLED発光素子11が基板10の長さ方向Lに1列に保持されているが、複数のLED発光素子11が長さ方向Lに2列以上に保持されてなるLED照明装置に対しても本発明は適用可能である。
【0018】
フレーム20は、上述したフレーム底板21および左右のフレーム側板22に加えてさらに、フレーム底板21の幅方向両端からフレーム側板22と反対側つまり下方に延びた左右1対の板保持部23を有する。各板保持部23の先端縁23aは、互いに近付く方向に曲げられており、それにより1対の板保持部23は、フレーム底板21の下面に板状部材を密接させて保持可能とされている。
【0019】
左右のフレーム側板22の上端部の内面には、
図2に示すような断面形状の凹部22aが、長さ方向Lの全長に亘って形成されている。例えば合成樹脂からなる透光性カバー30は、その幅方向の下端部をこれらの凹部22aに嵌合することによって、フレーム底板21と対向する状態にしてフレーム側板22に取り付けられる。
【0020】
フレーム底板21、フレーム側板22および板保持部23を有するフレーム20は、例えばアルミニウムを押出し成形して、長さ方向Lの両端が開口20cとなる状態に形成されている。これに限られるものではないが、一例としてフレーム20の全幅(左右のフレーム側板22の各外面間の距離)は8mm程度、また全高(フレーム側板22の上端から板保持部23の先端縁23aまでの距離)は10mm程度とされる。またフレーム20の全長は、全光束つまり複数のLED発光素子11の設置個数に応じて、40mm~1500mm程度とされ、商品としてはそれらの数値の間に有るいくつかのものが用意されているのが好ましい。
【0021】
次にエンドキャップ40について、それを個別に示す
図3の斜視図および
図4の平面図も参照して詳しく説明する。エンドキャップ40は、フレーム20の前記開口20cを閉じる開口閉塞部41と、この開口閉塞部41の下部に略垂直に固設された挿し込み板42と、この挿し込み板42の上面42aに形成された爪部43とを有している。
【0022】
より詳しくは、爪部43は挿し込み板42の一部を切り欠き、上方に折り曲げて形成されている。爪部43は上からの押し込みに弾力的に抗し得ること、そしてある程度高い硬度が求められる。そこで挿し込み板42および爪部43は、一例として鋼板(好ましくはステンレス鋼鈑)から形成されている。他方開口閉塞部41は一例として合成樹脂から形成され、左右1対の側板44と、それらの側板44の連結部としても作用する基部45と、この基部45から、側板44との間に縦溝47を形成する状態にして立ち上がった凸部46と、1対の側板44の後方を閉じる背板48とを有している。
図4の平面図に明示されるように、背板48に接続する基部45の部分には、左右1対の電線案内孔49が設けられている。
【0023】
以上の通り開口閉塞部41はかなり複雑な立体形状とされ、また高い絶縁性や光透過性を備えていることが望まれるが、その点から合成樹脂は好適な材料である。また本実施形態では、この合成樹脂からなる開口閉塞部41と、鋼板からなる挿し込み板42とが一体成型されている。そこで、LED照明装置1の組み立てに際して、エンドキャップ40を構成する2つの部品を組み合わせるような工程は不要になる。
【0024】
開口閉塞部41は、フレーム20に対して
図2表示のように配してから、フレーム20に向かってフレーム長さ方向Lに押し込まれる。このように押し込まれると開口閉塞部41は、フレーム20の開口20cを閉じた状態で該フレーム20と一体化される。この開口閉塞部41が押し込まれる前の状態と、押し込まれた後の状態を、挿し込み板42の下側から見てそれぞれ
図5、
図6に示す。
【0025】
図2では、各部を分解して示しているので、2本の被覆付き電線50が電線接続部分12に接続した状態を示していないが、実際は後述する通りこの接続がなされる。また、
図1および
図2で下方に延びている2本の被覆付き電線50の先端側は図示を省略しているが、この先端側には、図示外の外部電源に接続している他の電線と接続するためのコネクタが取り付けられている。以上の構成により、複数のLED発光素子11に給電可能となっている。
【0026】
なお本実施形態のLED照明装置1は特に、
図1および
図2の表示状態と上下逆に、透光性カバー30が下側でフレーム底板21が上側に位置する状態にフレーム20を配置して使用できるように構成されている。そのために、フレーム底板21の
図1および
図2の下面(外面)を、例えばスチール製の天井板やスチール製物置の天板下面に磁力吸着させるための磁石60が、LED照明装置1に取り付けられている。
【0027】
この磁石60は
図5および
図6に示すように概略平板状であるが、より詳しくは、長さ方向の断面形状が概略台形状とされたものである。この磁石60は、上記断面形状で下底の左右端部となる両端部61を前記1対の板保持部23の間、より詳しくは先端縁23a(
図2参照)に保持させることによって、フレーム20に取り付けられる。このように1対の先端縁23aに抱えられた磁石60は、フレーム20から簡単に脱落することがない。なお磁石60はフレーム20の全長に応じて、1個または複数取り付けられる。
【0028】
フレーム20に対して前述のように押し込まれるエンドキャップ40も、その挿し込み板42が、上記と同様に1対の板保持部23の間、より詳しくは先端縁23a(
図2参照)の間に位置する状態にして押し込まれる。このとき、押し込みの方向の前方端が挿し込み板42と同じ高さ位置にあり、後方端が挿し込み板42から高い位置に有る爪部43は、後方端がフレーム底板21の下面21aを弾力的に押圧しながら、この下面21aに沿って移動する。こうして最後には、開口閉塞部41の基部45の前端面(挿し込み方向前側の端面)が、フレーム20の開口20cの周囲部となっているフレーム底板21およびフレーム側板22の各端面に当接する。
図6は、このときの状態を示している。
【0029】
上記当接がなされた状態では、フレーム20の開口20cはエンドキャップ40の開口閉塞部41によって概略閉じられ、その後エンドキャップ40の押し込みは停止される。この状態では、フレーム底板21の下面21aを弾力的に押圧している爪部43の後方端が該下面21aに食い込んで、開口閉塞部41を上記押し込みと反対の方向(開口20cを開く方向)に移動させることを不可能あるいは非常に困難にする。つまり、上記フレーム底板21の下面21aへの爪部43の食い込みにより、エンドキャップ40がフレーム20の開口20cを閉じている状態が維持される。
【0030】
ここで、上記の「食い込み」について詳しく説明する。爪部43は、フレーム底板21の材料であるアルミニウムより硬質の鋼板から形成されているので、爪部43の後方端のエッジ部がフレーム底板21の下面21aを変形させてフレーム底板21内まで入り込む。それにより、開口閉塞部41の上記移動が不可能あるいは非常に困難になる。この食い込みを実現するために爪部43は、硬度の他にも高い弾性および強度を備えていることが必要であるが、鋼板はその点からも好適な材料である。
【0031】
以上のように、フレーム20の長さ方向Lの両端の開口20cがエンドキャップ40によって閉じられた後、
図2に示す通りの断面形状を有する透光性カバー30が、フレーム側板22を弾性変形させながら、その左右方向(幅方向)両端の下端部をそれぞれ凹部22aに嵌合させて、フレーム20に取り付けられる。この透光性カバー30は、2つのエンドキャップ40の各背板48の間に配される。それにより、各エンドキャップ40の側板44の上方に開いている開口も、透光性カバー30によって閉じられる。
【0032】
透光性カバー30がフレーム側板22に取り付けられた状態にあるLED照明装置1の長さ方向の断面形状を、
図7および
図8に示す。
図7は前述した磁石60が見えない位置で断面化したものであり、
図8は磁石60が見える位置で断面化したものである。
【0033】
以上説明した通り本実施形態のLED照明装置1においては、エンドキャップ40をフレーム20に対して押し込むだけの簡単な操作により、エンドキャップ40をフレーム20に固定することができる。したがって、エンドキャップ40を固定するためのねじ等の構造をフレーム20内に設けることが不要となり、さらには爪部43を引っ掛けるための穴、凹凸、段差等をフレーム20側に設ける必要もないので、基板10をフレーム20の一端から他端まで配置可能となる。よって、フレーム20の両端部も含む全長に亘って発光する高光束のLED照明装置1が実現される。
【0034】
ここで、2本の被覆付き電線50の保持について説明する。
図4、5および6に示した開口閉塞部41の電線案内孔49を下から上に通過させた被覆付き電線50は、前記縦溝47の底面に沿うように略直角に折り曲げられる(
図2参照)。この折り曲げにより基板10側つまりLED発光素子11側に向かうようになった被覆付き電線50の部分(素子側部分)は、その被覆外径よりもやや小さい幅とされた縦溝47内に上から押し込まれて、該縦溝47内に緊密に収容される。それにより被覆付き電線50の素子側部分は、縦溝47内に挟持固定される。
【0035】
こうして縦溝47内に挟持固定された被覆付き電線50の素子側部分は、その長さ方向に引っ張るような外力が作用しても、簡単に縦溝47内から抜け出してしまうことがない(いわゆる張力止め)。またLED照明装置1において一般には、被覆付き電線50を引っ張るような外力は、上記折り曲げの箇所より外部電源に近い方の部分(電源側部分)に作用する。そのような外力が被覆付き電線50の電源側部分に作用しても、この電源側部分に対して被覆付き電線50の上記素子側部分は略直角に折れ曲がっているので、この素子側部分には、縦溝47内から抜け出すような力は作用し難い。この点から、上記張力止めはより確実になされ得る。
【0036】
ここで、以上述べた構成を有する本実施形態のLED照明装置1を組み立てる方法について、
図9の(1)~(4)を参照して時間を追う形で説明する。なおこの
図9では、各要素の側面形状を右半分に、そして正面形状を左半分に示している。ただし特に(2)においては、基板10の側面形状の直下に、併せて平面形状を示している。
【0037】
まず同図(1)に示すように、エンドキャップ40の開口閉塞部41をフレーム20から離しておいて、被覆付き電線50を、前記素子側部分の端部を先頭側にしてエンドキャップ40の開口閉塞部41を(より詳しくは電線案内孔49を)下から上に通過させる。次に同図(2)に示すように、開口閉塞部41を通過した被覆付き電線50の素子側部分の端部を、基板10の電線接続部分12に半田Sを用いて接続させる。この時点で被覆付き電線50の素子側部分は、後の工程を容易にするために、電線接続部分12と開口閉塞部41との間で多少緩んでいる状態としておく。
【0038】
次に同図(3)に示すように、上記の接続がなされた基板10をフレーム底板21上に接着して保持させ、次いで挿し込み板42を、上面がフレーム底板21の下面に接する状態にして板保持部23(
図2参照)に挿入、保持させる。次に同図(4)に示すように、被覆付き電線50を前記素子側部分と前記電源側部分とに折り曲げると共に、素子側部分を前記縦溝47内に通して挟持固定する。なお、被覆付き電線50の上記折り曲げと挟持固定は、どちらを先に行っても構わない。
【符号の説明】
【0039】
1 LED照明装置
10 基板
11 LED発光素子
12 電線接続部分
20 フレーム
21 フレーム底板
22 フレーム側板
22a フレーム側板の凹部
23 板保持部
23a 板保持部の先端縁
30 透光性カバー
40 エンドキャップ
41 開口閉塞部
42 挿し込み板
43 爪部
44 開口閉塞部の側板
45 開口閉塞部の基部
46 開口閉塞部の凸部
47 開口閉塞部の縦溝
48 開口閉塞部の背板
49 開口閉塞部の電線案内孔
50 被覆付き電線
60 磁石