(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045446
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】離型フィルムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20230327BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20230327BHJP
【FI】
B32B27/00 L
B32B7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153859
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186484
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 満
(72)【発明者】
【氏名】笠原 康宏
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK42A
4F100AK52B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100CA02B
4F100CC01B
4F100DD07B
4F100EH462
4F100EJ082
4F100JK06
4F100JK07B
4F100JL14B
(57)【要約】
【課題】
製造工程上で安定して使用できる小さな剥離力を示す離型フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】
基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、原子間力顕微鏡を用いて前記離型層面側から測定される前記離型フィルムの弾性率(E)が0.1MPa以上、1.5MPa未満である、離型フィルム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、原子間力顕微鏡を用いて前記離型層面側から測定される前記離型フィルムの弾性率(E)が0.1MPa以上、1.5MPa未満である、離型フィルム。
【請求項2】
前記離型層が複数の層からなり、前記離型層の総厚み(A)が0.05μm以上、2.0μm以下である、請求項1に記載の離型フィルム。
【請求項3】
前記離型層の総厚み(A)に対する、前記複数の層のうち基材と反対側の表層の厚み(B)の比(B/A)が、0.01以上、0.9以下である請求項2に記載の離型フィルム。
【請求項4】
前記複数の層のうち基材と反対側の表層の炭素原子濃度が、前記複数の層のうち基材側の層の炭素原子濃度よりも高く、前記基材と反対側の表層の酸素原子濃度が、前記基材側の層の酸素原子濃度よりも低く、前記基材と反対側の表層のケイ素原子濃度が、前記基材側の層のケイ素原子炭素濃度よりも高い、請求項2または3に記載の離型フィルム。
【請求項5】
前記複数の層のうち基材と反対側の表層の炭素原子濃度が40atm%以上、60atm%以下、酸素原子濃度が15atm%以上、30atm%以下、ケイ素原子濃度が20atm%以上、40atm%以下である、請求項2~4のいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項6】
前記複数の層のうち基材側の層の炭素原子濃度が30atm%以上、60atm%以下、酸素原子濃度が25atm%以上、40atm%以下、ケイ素原子濃度が15atm%以上、35atm%以下である、請求項2~5のいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項7】
前記離型層に粘着テープを貼合し、23℃で24時間放置後、剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の離型フィルムと粘着テープの剥離力が5mN/50mm以上、80mN/50mm以下である、請求項1~6のいずれかに記載の離型フィルム。
【請求項8】
前記離型層の表面粗さ(Sa)が5nm以上、50nm以下である、請求項1~7のいずれか記載の離型フィルム。
【請求項9】
前記離型層の表面粗さ(Sa)に対する前記弾性率(E)の比(E/Sa)が0.002MPa/nm以上、0.3MPa/nm未満である、請求項1~8のいずれか記載の離型フィルム。
【請求項10】
基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムを製造する方法であって、基材フィルムに離型剤を塗布する工程、及び塗布された前記離型剤を硬化させる工程を含み、前記離型剤のうちの少なくとも1つが、IR測定で測定されるスペクトルに、少なくともνC-H、νSi-H、δSi-CH
3およびνSi-O-Siの吸収が存在し、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析で、下記式(1)が検出されるとともに、下記一般式(2)および下記一般式(3)の熱分解物が検出され、
1H NMRスペクトルから算出される置換基Si-CH
3、Si-H、Si-CH=CH
2、Si-Ph、Si-OCH
3のモル比が、それぞれ93.0以上99.0以下、0.3以上3.0以下、0.1以上2.0以下、0.1以上1.5以下、0.05以上1.0以下である、離型フィルムの製造方法。
【化1】
【化2】
(nは、1~20の整数を表す)
【化3】
(mは、1~10の整数を表す)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型フィルムおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粘着シートの被着体と接触させる面を保護するために、基材フィルムの表面に離型層を設けた離型フィルムが使用されている。
【0003】
特許文献1~3には、離型フィルムの一例が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示される離型フィルムは、バインダーと静電気防止剤を含有した静電気防止層を含む、離型フィルムであって、前記離型層は、シリコーン離型層であることが開示されている。
【0005】
また、特許文献2に開示される離型フィルムは、架橋された熱可塑性樹脂から形成された架橋樹脂層を備える、離型フィルムであって、未架橋の前記熱可塑性樹脂の融点がTm(℃)であるとき、Tm(℃)における当該離型フィルムの貯蔵弾性率に対する、Tm+20(℃)における当該離型フィルムの貯蔵弾性率の割合が50%以上である離型フィルムが開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に設けられた剥離剤層とを備えた剥離シートであって、前記基材が、プラスチックフィルムから構成され、前記剥離剤層が、重量平均分子量が5000以上、100000以下であるポリオルガノシロキサンを含有する剥離剤組成物から形成され、前記剥離剤層の厚みが、0.3μm以上、1.0μm以下、原子間力顕微鏡を用いて、前記剥離剤層における前記基材とは反対の面側から測定される前記剥離シートの弾性率は、1.5MPa以上、5.0MPa以下である剥離シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-140008号公報
【特許文献2】特開2013-189493号公報
【特許文献3】特開2017-149048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年、液晶テレビ、スマートフォンやタブレットなどの薄膜化がさらに進み、これらの液晶テレビ、スマートフォンやタブレットを構成する各種電子部材を薄くする必要が生じている。上述の電子部材の一つである偏光板についても薄膜化が急速に進んでいる。偏光板を用いた液晶テレビ等の製造において、保護フィルム、偏光板、粘着剤、および粘着剤の粘着面上に離型フィルムの離型面を貼り合わせたのち、離型フィルムの離型層を粘着面から剥離する工程がある。これまで偏光板が厚い場合は、粘着面と離型層の剥離が良好に行われてきたが、偏光板の厚みを薄くしようとすると、偏光板にこしがなくなるため、離型フィルムを粘着面からはがす際に、保護フィルムや偏光板も剥離してしまうという問題が生じる。
【0009】
特許文献1~3で開示されるような従来の離型フィルムは、上記のような状況に対応するに十分に小さな剥離力を示すものとはいえず、安定的に上記工程で使用できる離型フィルムではなかった。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決するために、製造工程上で安定して使用できる小さな剥離力を示す離型フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
(1)基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、原子間力顕微鏡を用いて前記離型層面側から測定される前記離型フィルムの弾性率(E)が0.1MPa以上、1.5MPa未満である、離型フィルム。
(2)前記離型層が複数の層からなり、前記離型層の総厚み(A)が0.05μm以上、2.0μm以下である、上記(1)に記載の離型フィルム。
(3)前記離型層の総厚み(A)に対する、前記複数の層のうち基材と反対側の表層の厚み(B)の比(B/A)が、0.01以上、0.9以下である上記(2)に記載の離型フィルム。
(4)前記複数の層のうち基材と反対側の表層の炭素原子濃度が、前記複数の層のうち基材側の層の炭素原子濃度よりも高く、前記基材と反対側の表層の酸素原子濃度が、前記基材側の層の酸素原子濃度よりも低く、前記基材と反対側の表層のケイ素原子濃度が、前記基材側の層のケイ素原子炭素濃度よりも高い、上記(2)または(3)に記載の離型フィルム。
(5)前記複数の層のうち基材と反対側の表層の炭素原子濃度が40atm%以上、60atm%以下、酸素原子濃度が15atm%以上、30atm%以下、ケイ素原子濃度が20atm%以上、40atm%以下である、上記(2)~(4)のいずれかに記載の離型フィルム。
(6)前記複数の層のうち基材側の層の炭素原子濃度が30atm%以上、60atm%以下、酸素原子濃度が25atm%以上、40atm%以下、ケイ素原子濃度が15atm%以上、35atm%以下である、上記(2)~(5)のいずれかに記載の離型フィルム。
(7)前記離型層に粘着テープを貼合し、23℃で24時間放置後、剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の離型フィルムと粘着テープの剥離力が5mN/50mm以上、80mN/50mm以下である、上記(1)~(6)のいずれかに記載の離型フィルム。
(8)前記離型層の表面粗さ(Sa)が5nm以上、50nm以下である、上記(1)~(7)のいずれか記載の離型フィルム。
(9)前記離型層の表面粗さ(Sa)に対する前記弾性率(E)の比(E/Sa)が0.002MPa/nm以上、0.3MPa/nm未満である、上記(1)~(8)のいずれか記載の離型フィルム。
(10)基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムを製造する方法であって、基材フィルムに離型剤を塗布する工程、及び塗布された前記離型剤を硬化させる工程を含み、前記離型剤のうちの少なくとも1つが、IR測定で測定されるスペクトルに、少なくともνC-H、νSi-H、δSi-CH3およびνSi-O-Siの吸収が存在し、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析で、下記式(1)が検出されるとともに、下記一般式(2)および下記一般式(3)の熱分解物が検出され、1H NMRスペクトルから算出される置換基Si-CH3、Si-H、Si-CH=CH2、Si-Ph、Si-OCH3のモル比が、それぞれ93.0以上99.0以下、0.3以上3.0以下、0.1以上2.0以下、0.1以上1.5以下、0.05以上1.0以下である、離型フィルムの製造方法。
【0012】
【0013】
【0014】
(nは、1~20の整数を表す)
【0015】
【0016】
(mは、1~10の整数を表す)
【発明の効果】
【0017】
本発明の離型フィルムは、製造工程上で安定して使用できる小さな剥離力を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の離型フィルムの一例の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の離型フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、原子間力顕微鏡を用いて前記離型層面側から測定される前記離型フィルムの弾性率(E)が0.1MPa以上、1.5MPa未満である、離型フィルムである。
【0020】
本発明における基材フィルムは、プラスチックフィルムから構成される。かかるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニルなどのプラスチックフィルムが挙げられる。これらのプラスチックフィルムは、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。これらの中でもポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、加工時、使用時等において、埃等が発生しにくいため、例えば、埃等による塗工不良等を効果的に防止することができる。
【0021】
また、所望により基材フィルムの離型層を積層する面または両面に、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。かかる処理を施すことにより、基材フィルムと離型層との密着性が向上しやすくなる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線照射処理などが挙げられる。また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれる。効果及び操作性の面からは、コロナ放電処理法が好ましい。
【0022】
基材フィルムの厚みは、10μm以上であることが好ましく、特に15μm以上であることが好ましく、さらには20μm以上であることが好ましい。また、当該厚みは、300μm以下であることが好ましく、特に200μm以下であることが好ましく、さらには125μm以下であることが好ましい。基材フィルムの厚みを、10μm以上とすることにより、搬送時または後工程で熱が掛かった際にシワが入りにくくなるため作業性が向上しやすくなる。また、基材フィルムの厚みを300μm以下とすることにより、フィルムのコシが強くなり過ぎず、作業性が向上しやすくなる。
【0023】
本発明の離型フィルムは、原子間力顕微鏡を用いて前記離型層面側から測定される前記離型フィルムの弾性率(E)が0.1MPa以上、1.5MPa未満である。前記離型フィルムの弾性率(E)は、好ましくは、1.0MPa以上、1.4MPa以下である。前記離型フィルムの弾性率(E)が、0.1MPa未満となるとブロッキングが発生して作業性が悪くなり、1.5MPa以上となると剥離力が重くなって作業性が悪くなる。なお、本発明において、前記離型フィルムの弾性率(E)は、後述の方法によって測定される。本発明において、離型フィルムの弾性率(E)を上述の範囲にする方法としては、例えば、離型層を形成する樹脂の架橋密度を調整する方法や離型層塗工液に低分子樹脂を含有させる方法、離型層の総厚み(A)を調整する方法などが挙げられる。
【0024】
本発明の離型フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する。離型層を形成するための材料としては、例えば、アルキッド樹脂系離型剤、ポリオレフィン系離型剤、長鎖アルキル基含有樹脂系離型剤、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体などを含む共重合樹脂系離型剤などが挙げられる。これらのうち、優れた離型性や耐熱性を示すことから、シリコーン系離型剤が好ましい。シリコーン系離型剤は、反応形態で分けると、付加反応型や縮合反応型などの加熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型、熱と紫外線の併用硬化型などがあるが、いずれのシリコーン系離型剤も使用し得る。
【0025】
本発明で用いられるアクリル-シリコーン系グラフト共重合体は、アクリル基及び/又はメタクリル基を有する(以下、(メタ)アクリル基ともいう)オルガノポリシロキサン化合物と1分子中に1個のラジカル重合性基を有するラジカル重合性モノマーとの共重合体である。
【0026】
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、トルエンを展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略)の測定結果からポリスチレン換算で100~100,000であり、好ましくは1,000~50,000であり、より好ましくは2,000~30,000である。重量平均分子量が100未満では残留接着率が低下し、100,000を超えるとオルガノポリシロキサン組成物への分散性が低下する。
【0027】
本発明において、離型層は、複数の層からなることが好ましい。複数の層からなる離型層は、異なる種類の離型剤を2回以上塗布することにより形成された離型層でもいいし、1種類の離型剤を1回塗布することで形成したものが複数の層に分離した離型層でもいい。
【0028】
本発明の離型フィルムは、離型層と基材フィルムの間に、プライマー層を有してもよい。プライマー層の種類を選択することにより、離型層が基材フィルムから脱落することを防止したり、離型層と基材フィルムの密着性を向上させたり、基材フィルムからのオリゴマーなどの析出物を離型層表面に析出させないようにすることができる。
【0029】
プライマー層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート含有樹脂およびこれらの共重合体、および天然ゴムや合成ゴムを主成分とするコート剤等が挙げられる。これらの樹脂は、1種が単独で含有されていてもよいし、異なる2種が組み合わせて含有されていてもよい。プライマー層は、基材フィルムに離型層を形成する場合に、併せて1回の塗工でもよいし、複数回の塗工でもよい。
【0030】
本発明の離型フィルムにおいて、離型層が複数の層からなる場合の一例の模式断面図を
図1に示す。
図1の離型フィルム5において、基材フィルム3の一方の面に離型層4を有し、離型層4は基材側の層2、及び基材と反対側の表層1を含む。
【0031】
本発明の離型フィルムにおいて、離型層の総厚み(A)が、0.05μm以上、2.0μm以下であることが好ましい。本発明において、離型層の総厚み(A)とは、離型層が1層のみからなる場合は、1層の離型層の厚みを指す。また、離型層が複数の層からなる場合は、離型層に含まれる全ての層の合計厚みを指す。離型層の総厚み(A)は、さらに好ましくは、0.1μm以上、1.0μm以下である。離型層の総厚み(A)が0.05μm以上であると剥離力が軽くなりやすく作業性が向上し、2.0μm以下であると剥離時に離型層が割れにくくなる。
【0032】
本発明の離型フィルムの離型層が複数の層からなる場合において、前記離型層の総厚み(A)に対する、前記複数の層のうち基材と反対側の表層の厚み(B)の比(B/A)が、0.01以上、0.9以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.02以上0.8以下である。前記B/Aが、0.01以上あるいは、0.9以下であると、前記離型フィルムの弾性率(E)が上述の範囲に入りやすくなる。なお、本発明において、基材と反対側の表層とは、離型層が複数の層からなる場合において、離型層中の各層のうち、基材フィルムから最も遠い1層を指す。本発明において、前記B/Aを上述の範囲にする方法としては、例えば、離型層塗工液中の低分子成分の含有量を調整することが挙げられる。
【0033】
本発明の離型フィルムにおいて、前記複数の層のうち基材と反対側の表層の炭素原子濃度が、前記複数の層のうち基材側の層の炭素原子濃度よりも高く、前記基材と反対側の表層の酸素原子濃度が、前記基材側の層の酸素原子濃度よりも低く、前記基材と反対側の表層のケイ素原子濃度が、前記基材側の層のケイ素原子炭素濃度よりも高いことが好ましい。基材と反対側の表層および基材側の層の炭素原子濃度、酸素原子濃度およびケイ素原子濃度を上述の関係とすることにより、離型フィルムの弾性率(E)を上述の範囲に調整しやすくなり、その結果、後述する離型フィルムと粘着テープの剥離力を目的の範囲にしやすくすることができる。なお、本発明において、基材側の層とは、離型層が複数の層からなる場合において、前記複数の層のうち、基材フィルムから最も遠い1層以外の層を指す。すなわち、基材側の層とは、離型層が複数の層からなる場合において、前記複数の層のうち、基材と反対側の表層以外の層を指す。本発明において、各原子濃度を上述の関係にする方法としては、例えば、離型層塗工液中の低分子量成分と高分子量成分の含有割合を調整することが挙げられる。
【0034】
本発明の離型フィルムにおいて、前記複数の層のうち基材と反対側の表層の炭素原子濃度が40atm%以上、60atm%以下、酸素原子濃度が15atm%以上、30atm%以下、ケイ素原子濃度が20atm%以上、40atm%以下であることが好ましい。基材と反対側の表層の炭素原子濃度、酸素原子濃度およびケイ素原子濃度を上述の範囲とすることにより、離型フィルムの弾性率(E)を上述の範囲に調整しやすくなり、その結果、後述する離型フィルムと粘着テープの剥離力を目的の範囲にしやすくすることができる。本発明において、各原子濃度を上述の範囲にする方法としては、例えば、離型層塗工液中の低分子量成分と高分子量成分の含有割合を調整することが挙げられる。
【0035】
本発明の離型フィルムにおいて、前記複数の層のうち基材側の層の炭素原子濃度が30atm%以上、60atm%以下、酸素原子濃度が25atm%以上、40atm%以下、ケイ素原子濃度が15atm%以上、35atm%以下であることが好ましい。基材側の層の炭素原子濃度、酸素原子濃度およびケイ素原子濃度を上述の範囲とすることにより、離型フィルムの弾性率(E)を上述の範囲に調整しやすくなり、その結果、後述する離型フィルムと粘着テープの剥離力を目的の範囲にしやすくすることができる。なお、本発明において、炭素原子濃度、酸素原子濃度およびケイ素原子濃度は、後述の方法により測定する。本発明において、各原子濃度を上述の範囲にする方法としては、例えば、離型層塗工液中の低分子量成分と高分子量成分の含有割合を調整することが挙げられる。
【0036】
本発明において、前記離型層に粘着テープを貼合し、23℃で24時間放置後、剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の離型フィルムと粘着テープの剥離力が5mN/50mm以上、80mN/50mm以下であることが好ましい。前記剥離力は、さらに好ましくは、5mN/50mm以上、60mN/50mm以下である。前記剥離力が5mN/50mmより少なくなると、搬送時に離型フィルムが剥がれやすくなる。また、前記剥離力が80mN/50mmを超えると作業性が悪くなりやすい。なお、本発明において、前記剥離力は、後述の方法により測定する。
【0037】
本発明おいて、前記離型層の表面粗さ(Sa)が5nm以上、50nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、10nm以上、40nm以下である。5nm以上とすることにより、搬送時及び製品としてロール状態にした際に帯電が発生しにくくなるため作業性が向上しやすくなる。また、50nm以下とすることにより粘着剤へ打痕が付きにくくなるため、外観欠点が生じにくくなる。なお、本発明において、離型層の表面粗さは、後述の方法で測定する。本発明において、離型層の表面粗さ(Sa)を上述の範囲にする方法としては、例えば、基材フィルムの滑り性やブロッキング防止として添加する粒子サイズや添加量を調整することが挙げられる。
【0038】
本発明において、前記離型層の表面粗さ(Sa)に対する前記弾性率(E)の比(E/Sa)が0.002MPa/nm以上、0.3MPa/nm未満であることが好ましい。前記E/Saは、さらに好ましくは、0.005MPa/nm以上、0.2MPa/nm以下である。前記E/Saが、0.002MPa/nm以上であるとブロッキングの発生を抑制しやすくなり、0.3MPa/nm未満であるとロール状態での打痕の発生を抑制しやすくなる。本発明において、E/Saを上述の範囲にする方法としては、例えば、離型層を形成する樹脂の架橋密度を調整や低分子樹脂の含有量を調整し、かつ基材フィルムの滑り性やブロッキング防止として添加する粒子サイズや添加量を調整することが挙げられる。
【0039】
本発明の離型フィルムの製法方法は、基材フィルムの少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムを製造する方法であって、基材フィルムに離型剤を塗布する工程、及び塗布された前記離型剤を硬化させる工程を含み、前記離型剤のうちの少なくとも1つが、IR測定で測定されるスペクトルに、少なくともνC-H、νSi-H、δSi-CH3およびνSi-O-Siの吸収が存在し、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析で、下記式(1)が検出されるとともに、下記一般式(2)および下記一般式(3)の熱分解物が検出され、1H NMRスペクトルから算出される置換基Si-CH3、Si-H、Si-CH=CH2、Si-Ph、Si-OCH3のモル比が、それぞれ93.0以上99.0以下、0.3以上3.0以下、0.1以上2.0以下、0.1以上1.5以下、0.05以上1.0以下である。本発明において、IR測定、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(以下、熱分解GC/MS測定という場合がある)、及び1H NMRスペクトルの測定結果を上述のとおりとする方法としては、例えば、離型層を形成する樹脂の主骨格の調整や低分子樹脂の含有量を調整することが挙げられる。
【0040】
【0041】
【0042】
(nは、1~20の整数を表す)
【0043】
【0044】
(mは、1~10の整数を表す)
本発明の離型フィルムの製造方法は、基材フィルムに離型剤を塗布する工程、及び塗布された前記離型剤を硬化させる工程を含む。
【0045】
本発明の離型フィルムの製造方法において、基材フィルムに離型剤を塗布する工程としては、一般的なコーティング方式を利用することができる。たとえば、グラビアコート、グラビアリバースコート、リップコート、ダイコート、マイクログラビアコート、マイヤーバーコート、多段リバースコートなどの塗布方式を使用することができる。
【0046】
本発明の離型フィルムの製造方法において、塗布された前記離型剤を硬化させる工程としては、特に限定されるわけではないが、60~200℃で3~40秒間、好ましくは80~180℃で3~40秒間、熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
【0047】
本発明の離型フィルムの製法方法において、前記離型剤のうちの少なくとも1つは、IR測定で測定されるスペクトルに、少なくともνC-H、νSi-H、δSi-CH3およびνSi-O-Siの吸収が存在する。IR測定で測定されたスペクトルのνC-Hの吸収とは、2963cm-1付近、νSi-Hの吸収とは、2168cm-1付近、δSi-CH3の吸収とは、1411cm-1付近、νSi-O-Siの吸収とは、1096cm-1付近の吸収のことをいう。本発明において、IR測定とは、赤外分光法のことをいい、後述の方法により測定される。
【0048】
本発明の離型フィルムの製法方法において、熱分解GC/MS測定は、後述の方法により測定される。
【0049】
本発明の離型フィルムの製法方法において、1H NMRスペクトルから算出される置換基Si-CH3、Si-H、Si-CH=CH2、Si-Ph、Si-OCH3のモル比は、それぞれ93.0以上99.0以下、0.3以上3.0以下、0.1以上2.0以下、0.1以上1.5以下、0.05以上1.0以下であることが好ましい。1H NMRスペクトルから算出された置換基Si-CH3のピークとは、-0.2~0.4ppm付近、Si-Hのピークとは、4.6~4.9ppm付近、Si-CH=CH2のピークとは、5.6~6.2ppm付近、Si-Phのピークとは、7.2~7.7ppm付近、Si-OCH3のピークとは、3.4~3.5ppm付近のことをいう。なお、本発明において、1H NMRスペクトルは、後述の方法により測定する。
【0050】
離型層を形成する少なくとも1つの離型剤に、IR測定で測定されたスペクトルの吸収、熱分解GC/MS測定での検出物、1H NMRスペクトルから算出された置換基のモル比が、上述の状態、範囲となる離型剤を用いて離型層を形成することで、本発明の目的である原子間力顕微鏡を用いて、前記離型層面側から測定される前記離型フィルムの弾性率(E)が本発明の目的とする範囲にとなる離型フィルムを製造することができる。
【実施例0051】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
本発明で用いた測定方法は次のとおりである。
[測定方法]
(1)原子間力顕微鏡による離型フィルムの弾性率(E)の測定
実施例および比較例で作製した離型フィルムの基材フィルム側の面を、両面粘着テープを用いてステンレス製の試料台に貼り合せた。続いて、シリコーンプローブ(Team nanotec社製,製品名「LRCH」,曲率半径:250nm,バネ定数:0.2N/m)を装着したプローブ顕微鏡(島津製作所社製,製品名「SPM-9700」)を用いて、離型フィルムの離型層側の面を600nm/sでタッピングを行い、フォースカーブを得た。得られたフォースカーブの形状から、JKR2点法により、離型フィルムの弾性率(E)(MPa)を算出した。
【0053】
(2)離型層の総厚み(A)および基材と反対側の表層の厚み(B)
離型フィルムを樹脂に包埋後、断面方向にFIB法で透過型電子顕微鏡用の小片を取り出し、透過型電子顕微鏡(TEM、メーカー:日本電子(株)製、タイプ名:JEM-F200、加速電圧200V、倍率200,000倍)を用いて、前記小片の断面を観察して得られたTEM観察画像の離型層の総厚み、基材と反対側の表層の厚みを3か所測定し、得られた値の平均値をそれぞれの厚みとした。
【0054】
(3)基材と反対側の表層およびの基材側の層の炭素原子濃度、酸素原子濃度、ケイ素原子濃度
上記(2)と同様にして、離型フィルムの断面を観察し、基材と反対側の表層および基材側の層を走査透過型電子顕微鏡により、各層の炭素、酸素、ケイ素の原子濃度を3点ずつ測定し、その平均値を各原子の原子濃度とした。
【0055】
(4)離型フィルムと粘着テープの剥離力
離型フィルムの離型層側の面に、粘着テープとしてポリエステル粘着テープ(日東電工(株)No.31Bテープ、50mm幅)を、5kgローラーで圧着しながら貼り合わせ、23℃で24時間放置後、引張り試験機で剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の剥離強度を測定した。
【0056】
(5)表面粗さ(Sa)
離型層側の面及び非離型層側の面を菱化システム製非接触表面・層断面形状測定システムVertScan R5300GL-Lite-ACを、対物レンズ50倍を用いて、1mm角の測定面積に設定し、ISO 25178-3.2(2010)に準じて測定した。
【0057】
(6)離型剤のIR測定で測定されたスペクトルの吸収
離型剤をIR測定装置(Thermo Fisher SCIENTIFIC株式会社製iS5 サンプルスキャン回数を64回、バックグラウンドスキャン回数を64回、分解能8.0)で測定し、得られたスペクトルの吸収を下記とした。下記の吸収がすべて確認された場合を〇、1つでも確認されなかった場合を×とした。
【0058】
νC-Hの吸収:2963cm-1付近
νSi-Hの吸収:2168cm-1付近
δSi-CH3の吸収:1411cm-1付近
νSi-O-Siの吸収:1096cm-1付近の吸収
(7)離型剤の熱分解GC/MS測定での検出物
離型剤を、Agliment Technologies社製ガスクロマトグラフ7890A(条件 Column:“Ultra Alloy”(登録商標)―5(MS/HT)、Column温度:40℃(3分)-320℃(18分)(Rate20℃/分)、Injestion温度:300℃)、日本電子株式会社製質量分析計JMS-Q1050GC(条件 Ionization Mode:EI+、Scan Range:m/z 10.0-800.0、Scan Rate:05秒/scan)を用いて、熱分解総合分析システム(フロンティア・ラボ株式会社製 Pyrolyzer PY-2020iD 温度600℃)で測定、分析を行った。下記式(1)、一般式(2)および一般式(3)がすべて検出された場合を〇、1つでも検出されなかった場合を×とした。
【0059】
【0060】
【0061】
(nは、1~20の整数を表す)
【0062】
【0063】
(mは、1~10の整数を表す)
(8)1H NMRスペクトルから算出された置換基
離型剤について、NMR測定装置(jeol RESONANCE株式会社製ECA-400)を用いて、1H NMRスペクトルを測定し、置換基Si-CH3、Si-H、Si-CH=CH2、Si-Ph、Si-OCH3のモル比を算出した。
【0064】
(9)ブロッキング評価
実施例および比較例で作製した離型フィルムを、基材側と離型層側とが接触するように10枚積層した後、5cm×5cmに裁断した。続いて、積層した方向に1.5kgf/cm2の圧力をかけた状態で、23℃で24時間静置した。その後、この積層体におけるブロッキングの発生について目視で観察し、下記に示す基準に従って評価した。
【0065】
○:ブロッキングが全く発生してなかった。
【0066】
×:部分的又は全体的にブロッキングが発生した。
【0067】
〔実施例1〕
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランであるBY24-846B(東レ・ダウコーニング(株)製、含有量98重量%)3重量部、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランであるBY24-846C(東レ・ダウコーニング(株)製、含有量99重量%)1重量部、ビス(エチルアセトアセテート)(2,4-ペンタンジオネート)アルミニウムであるBY24-846E(東レ・ダウコーニング(株)製、含有量38重量%)2重量部をトルエン50重量部、イソプロピルアルコール(IPA)50重量部に混合したプライマー塗工液を作製した。
【0068】
付加反応型の硬化性シリコーン樹脂であるX62-2888(信越化学工業(株)製)8重量部、硬化剤である白金系触媒PL-50T(信越化学工業(株)製)0.08重量部をトルエン28重量部、n-ヘプタン64重量部に混合した離型層塗工液1を作製した。
【0069】
厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー”(登録商標)XF60R)にプライマー塗工液を乾燥後の塗布厚みが0.05μmとなるようにマイヤーバーNo.3で塗布し100℃で5秒乾燥硬化した後、連続して離型層塗工液1を離型層厚みが0.21μmとなるようにマイヤーバーNo.10で塗布し160℃で20秒乾燥硬化し、離型層の総厚み0.26μmの離型フィルムを得た。弾性率、離型層の総厚み、剥離力及び表面粗さ等を測定し、その結果を表1-1、表1-2、表2に示した。搬送性、作業性が良い離型フィルムが得られた。
〔実施例2〕
離型層の総厚みを変えた以外は、実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。弾性率、離型層の総厚み、剥離力及び表面粗さ等を測定し、その結果を表1-1、表1-2、表2に示した。搬送性、作業性が良い離型フィルムが得られた。
【0070】
〔実施例3及び4〕
離型層の総厚みを変えたこと、及び厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー”(登録商標)S28)を用いた以外は、実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。弾性率、離型層の総厚み、剥離力及び表面粗さ等を測定し、その結果を表1-1、表1-2、表2に示した。搬送性、作業性が良い離型フィルムが得られた。
【0071】
〔比較例1〕
実施例1において離型層塗工液1の代わりに、熱硬化性樹脂であるメラミン化合物(三羽研究所(株)製 RP-50、固形分50質量%)1質量部、トルエン、アノン、メタノール(4.5/3.6/0.9)混合液9質量部を混合して作製した離型層塗工液2を用いて、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー”(登録商標)U483)を用いた以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
【0072】
弾性率、離型層の総厚み、剥離力及び表面粗さ等を測定し、その結果を表1-1、表1-2、表2に示した。弾性率、剥離力及び作業性が悪い結果となった。
【0073】
〔比較例2〕
離型層の総厚みを変えた以外は、実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
弾性率、離型層の総厚み、剥離力及び表面粗さ等を測定し、その結果を表1-1、表1-2、表2に示した。弾性率が高いと剥離力が重く悪い結果となった。
【0074】
〔比較例3〕
厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー”(登録商標)XF60R)を用いた以外は、比較例1と同様にして、離型フィルムを得た。弾性率、離型層の総厚み、剥離力及び表面粗さ等を測定し、その結果を表1-1、表1-2、表2に示した。弾性率が高いと剥離力が重く悪い結果となった。
【0075】
〔比較例4〕
離型層の総厚みを変えた以外は、実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。弾性率、離型層の総厚み、剥離力及び表面粗さ等を測定し、その結果を表1-1、表1-2、表2に示した。弾性率は低く、剥離力も軽いが、剥離時に離型層が割れてしまい、作業性が悪い結果となった。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
表2に示される通り、実施例に係る離型フィルムは、比較例に係る離型フィルムと比較して、剥離力が非常に小さかった。さらに、実施例に係る離型フィルムについては、ブロッキングも生じ難いことがわかった。
本発明の離型フィルムは、工程的に安定して使用できる小さな剥離力を有することから、薄膜化が進む液晶テレビ、スマートフォンやタブレットを構成する、薄膜化された各種電子部材の製造に好適に使用することができる。