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特開2023-45475脚立、及び、開き止め機構の規制解除部材
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  • 特開-脚立、及び、開き止め機構の規制解除部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045475
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】脚立、及び、開き止め機構の規制解除部材
(51)【国際特許分類】
   E06C 7/42 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
E06C7/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153908
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】393018130
【氏名又は名称】長谷川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】泉 幸治
(72)【発明者】
【氏名】浅海 拓耶
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044BA05
2E044CB03
2E044CC01
2E044EB01
2E044EB02
(57)【要約】
【課題】従来の開き止め機構を備える脚立に規制解除部材を後付けすることにより構成できる、脚立、及び、開き止め機構の規制解除部材を提供する。
【解決手段】脚立1は、一対の梯子体2の相対変位を規制する開き止め機構7を備え、開き止め機構7は二組のアーム部材を屈曲させる規制解除部材9を備え、規制解除部材9は、支柱3・3のそれぞれに対して搖動可能に組付けられる一対の搖動部91・91と、それぞれの搖動部91・91において開状態のアーム部材の下側近傍の位置に形成される係合部92・92と、一対の搖動部91・91のそれぞれに連結されるとともに天板5に近接して天板の長手方向に沿って配置される操作部93と、を備え、開状態の際に規制解除部材9における操作部93を介して搖動部91・91を搖動させることにより、係合部92が上方に変位して、係合部92がアーム部材を屈曲させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本の支柱と、前記二本の支柱の間に架け渡される一又は複数の踏桟と、前記二本の支柱の上端部を連結する天板と、を備える一対の梯子体が、互いの上端部で相対回転可能に連結され、前記一対の梯子体が所定間隔に離間した開状態において前記一対の梯子体の相対変位を規制する開き止め機構を備える脚立であって、
前記開き止め機構は、前記一対の梯子体の両側において、対向して近接離間するそれぞれの前記支柱にアーム体が回動可能に支持されるとともに、前記アーム体の互いの先端部が相対回転可能に連結される、二組のアーム部材と、前記アーム体の何れかを上方に回動させて二組の前記アーム部材を屈曲させる規制解除部材と、を備え、
開状態の際に、前記アーム部材における前記アーム体の互いの回転連結部が、前記アーム体の両端部よりも下方に位置するとともに当該位置よりも下方への変位が規制され、
開状態の際に前記回転連結部が上方に変位して前記アーム部材が屈曲されることにより、前記一対の梯子体が近接した閉状態とされ、
前記規制解除部材は、一方の前記梯子体を構成する二本の前記支柱のそれぞれに対して搖動可能に組付けられる一対の搖動部と、それぞれの前記搖動部において開状態の前記アーム部材の下側近傍の位置に形成される係合部と、一対の前記搖動部のそれぞれに連結されるとともに前記天板に近接して前記天板の長手方向に沿って配置される操作部と、を備え、
開状態の際に前記規制解除部材における前記操作部を介して前記搖動部を搖動させることにより、前記係合部が上方に変位して、前記係合部が前記アーム部材を屈曲させる、脚立。
【請求項2】
前記規制解除部材には、前記支柱に対する前記規制解除部材の相対角度を規制する規制部が形成される、請求項1に記載の脚立。
【請求項3】
前記規制解除部材は、前記搖動部が前記支柱に対して回動軸を介して回動可能に組付けられる、請求項1又は請求項2に記載の脚立。
【請求項4】
前記規制解除部材は、前記搖動部に固定片が形成され、前記固定片が前記支柱に対して固定され、前記固定片が弾性変形することにより前記搖動部が搖動可能とされる、請求項1又は請求項2に記載の脚立。
【請求項5】
前記規制解除部材は、前記搖動部に軸部が形成され、前記軸部が前記支柱に対して支持部材を介して回動可能に組付けられる、請求項1又は請求項2に記載の脚立。
【請求項6】
二本の支柱と、前記二本の支柱の間に架け渡される一又は複数の踏桟と、前記二本の支柱の上端部を連結する天板と、を備える一対の梯子体が、互いの上端部で相対回転可能に連結され、前記一対の梯子体が所定間隔に離間した開状態において前記一対の梯子体の相対変位を規制する開き止め機構を備える脚立に設けられる、開き止め機構の規制解除部材であって、
前記開き止め機構は、前記一対の梯子体の両側において、対向して近接離間するそれぞれの前記支柱にアーム体が回動可能に支持されるとともに、前記アーム体の互いの先端部が相対回転可能に連結される、二組のアーム部材を備えるとともに、前記規制解除部材によって、前記アーム体の何れかを上方に回動させて二組の前記アーム部材が屈曲され、
一方の前記梯子体を構成する二本の前記支柱のそれぞれに対して搖動可能に組付けられる一対の搖動部と、それぞれの前記搖動部において開状態の前記アーム部材の下側近傍の位置に形成される係合部と、一対の前記搖動部のそれぞれに連結されるとともに前記天板に近接して前記天板の長手方向に沿って配置される操作部と、を備え、
開状態の際に前記規制解除部材における前記操作部を介して前記搖動部が搖動されることにより、前記係合部が上方に変位して、前記係合部が前記アーム部材を屈曲させる、開き止め機構の規制解除部材。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脚立に関し、詳細には、脚立の開き止め機構における規制解除部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の梯子体の端部を回動可能に連結する構成の脚立が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。このような脚立においては、一対の梯子体を構成する支柱の間に設けられた開き止め機構により、脚立状態における梯子体の相対変位を規制する構成が用いられる。特許文献1に記載の脚立の場合、脚立状態で開き止め機構を操作することにより規制を解除し、脚立を折りたたんだ閉状態とすることができる。
【0003】
一方、脚立を構成する梯子体間に設けられた開き止め機構を操作することにより、脚立を折りたたんだ閉状態とすることのできる脚立が用いられている(例えば、特許文献2を参照)。このような脚立においては、梯子体間の開き止め機構における操作部を使用者が持ち上げることにより、一対の梯子体を互いに近接させて脚立を閉状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-33305号公報
【特許文献2】特開2013-119745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の脚立によれば、一方の梯子体を構成する二本の支柱のそれぞれに開き止め機構が連結されている。このため、脚立の使用者は、脚立状態から閉状態とする際に、両手を用いて二個の開き止め機構を操作するか、片手でそれぞれの開き止め機構を操作する必要があった。このため、使用者が道具を持っている等、両手を使用することが困難な状況では、容易に脚立状態から閉状態とすることができなかった。
【0006】
一方、前記特許文献2に記載の脚立によれば、使用者は片手で操作部を持ち上げるだけで、脚立状態から閉状態とすることができる。しかし、このように一対の梯子体を開き止め機構で連結する構成は、特許文献1に記載の脚立のような従来型の脚立に後付けで設けることができなかった。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、従来の開き止め機構を備える脚立に規制解除部材を後付けすることにより構成可能な、脚立、及び、開き止め機構の規制解除部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
本発明に係る脚立は、二本の支柱と、前記二本の支柱の間に架け渡される一又は複数の踏桟と、前記二本の支柱の上端部を連結する天板と、を備える一対の梯子体が、互いの上端部で相対回転可能に連結され、前記一対の梯子体が所定間隔に離間した開状態において前記一対の梯子体の相対変位を規制する開き止め機構を備える脚立であって、前記開き止め機構は、前記一対の梯子体の両側において、対向して近接離間するそれぞれの前記支柱にアーム体が回動可能に支持されるとともに、前記アーム体の互いの先端部が相対回転可能に連結される、二組のアーム部材と、前記アーム体の何れかを上方に回動させて二組の前記アーム部材を屈曲させる規制解除部材と、を備え、開状態の際に、前記アーム部材における前記アーム体の互いの回転連結部が、前記アーム体の両端部よりも下方に位置するとともに当該位置よりも下方への変位が規制され、開状態の際に前記回転連結部が上方に変位して前記アーム部材が屈曲されることにより、前記一対の梯子体が近接した閉状態とされ、前記規制解除部材は、一方の前記梯子体を構成する二本の前記支柱のそれぞれに対して搖動可能に組付けられる一対の搖動部と、それぞれの前記搖動部において開状態の前記アーム部材の下側近傍の位置に形成される係合部と、一対の前記搖動部のそれぞれに連結されるとともに前記天板に近接して前記天板の長手方向に沿って配置される操作部と、を備え、開状態の際に前記規制解除部材における前記操作部を介して前記搖動部を搖動させることにより、前記係合部が上方に変位して、前記係合部が前記アーム部材を屈曲させるものである。
【0010】
また、本発明に係る脚立において、前記規制解除部材には、前記支柱に対する前記規制解除部材の相対角度を規制する規制部が形成されることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る脚立において、前記規制解除部材は、前記搖動部が前記支柱に対して回動軸を介して回動可能に組付けられることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る脚立において、前記規制解除部材は、前記搖動部に固定片が形成され、前記固定片が前記支柱に対して固定され、前記固定片が弾性変形することにより前記搖動部が搖動可能とされることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る脚立において、前記規制解除部材は、前記搖動部に軸部が形成され、前記軸部が前記支柱に対して支持部材を介して回動可能に組付けられることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る開き止め機構の規制解除部材は、二本の支柱と、前記二本の支柱の間に架け渡される一又は複数の踏桟と、前記二本の支柱の上端部を連結する天板と、を備える一対の梯子体が、互いの上端部で相対回転可能に連結され、前記一対の梯子体が所定間隔に離間した開状態において前記一対の梯子体の相対変位を規制する開き止め機構を備える脚立に設けられる、開き止め機構の規制解除部材であって、前記開き止め機構は、前記一対の梯子体の両側において、対向して近接離間するそれぞれの前記支柱にアーム体が回動可能に支持されるとともに、前記アーム体の互いの先端部が相対回転可能に連結される、二組のアーム部材を備えるとともに、前記規制解除部材によって、前記アーム体の何れかを上方に回動させて二組の前記アーム部材が屈曲され、一方の前記梯子体を構成する二本の前記支柱のそれぞれに対して搖動可能に組付けられる一対の搖動部と、それぞれの前記搖動部において開状態の前記アーム部材の下側近傍の位置に形成される係合部と、一対の前記搖動部のそれぞれに連結されるとともに前記天板に近接して前記天板の長手方向に沿って配置される操作部と、を備え、開状態の際に前記規制解除部材における前記操作部を介して前記搖動部が搖動されることにより、前記係合部が上方に変位して、前記係合部が前記アーム部材を屈曲させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る脚立、及び、開き止め機構の規制解除部材によれば、従来の開き止め機構を備える脚立に規制解除部材を後付けすることにより構成できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】脚立状態の脚立を示す斜視図。
図2】梯子体の連結構成を示す左側面図。
図3】(a)及び(b)は規制解除部材、及び、その組付構成を示す斜視図。
図4】梯子体の連結構成を示す右側面断面図。
図5】開き止め機構の規制を解除した状態を示す右側面断面図。
図6】(a)及び(b)は第一変形例に係る規制解除部材、及び、その組付構成を示す斜視図。
図7】梯子体の連結構成を示す右側面断面図。
図8】開き止め機構の規制を解除した状態を示す右側面断面図。
図9】(a)及び(b)は第二変形例に係る規制解除部材、及び、その組付構成を示す斜視図。
図10】梯子体の連結構成を示す右側面断面図。
図11】開き止め機構の規制を解除した状態を示す右側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[脚立1]
以下では図1から図5を用いて、本発明の一実施形態に係る脚立1について説明する。本実施形態においては、各図中に示す矢印の方向で、後述する開状態(脚立状態)における脚立1の方向を規定する。即ち、図1に示す回動軸A(図1中の一点鎖線を参照)の軸方向(踏桟4の架設方向)を脚立1の左右方向とする。また、水平方向において左右方向と直交する方向(梯子体2・2の開閉方向)を脚立1の前後方向とし、左右方向及び前後方向と直交する方向を脚立1の上下方向と規定する。
【0018】
図1に示す如く本実施形態に係る脚立1は、互いに共通の構成を有する一対の梯子体2・2を備える。梯子体2・2は側面視で略ハ字状に下端部が互いに離間して広がるように配置され、それぞれの上端部が回転金具であるヒンジ6・6により回動可能に連結される。
【0019】
図2に示す如く、ヒンジ6は第一ヒンジ部6aと第二ヒンジ部6bとが回動支持部6cで回動可能に連結されている。そして、第一ヒンジ部6aと第二ヒンジ部6bとが、左右方向について同じ側にある(対向して近接離間する)支柱3・3の上端部にそれぞれ固定部材である四個のリベットを介して固定される。これにより、ヒンジ6が対向する支柱3・3を相対的に回動可能に連結する。即ち、梯子体2・2が互いに近接離間する方向(図1においては脚立1の前後方向)に回動可能とされる。
【0020】
それぞれの梯子体2は長尺体である一対の支柱3・3を備える。支柱3・3は互いの距離が上側より下側で大きくなるように(正面視で略ハ字状に)配置されている。本実施形態に係る脚立1は4本の支柱3を備えている。各支柱3は、強度の確保等を目的として、長手方向に沿った二箇所で折り曲げられる。そして、支柱3は長手方向と直交する断面の形状が略コ字状になるように、背板3bと背板3bに隣接して互いに対向する二枚の側板3s・3sとを備えて形成される(図3(b)を参照)。また、それぞれの支柱3の下端部には端具3aが固定される。
【0021】
梯子体2における一対の支柱3・3の間には、所定の間隔を隔てて中空の筒状部材である複数の踏桟4・4・・・が架け渡される。踏桟4は所定の横断面形状をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断されて形成される。それぞれの踏桟4はリベットにより支柱3において対向する内側面の間に固定されている。本実施形態に係る脚立1において、各支柱3、踏桟4及び天板5はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる軽金属製の部材である。なお、踏桟4をボルト・ナット等の他の締結部品を用いて支柱3に固定することも可能である。
【0022】
それぞれの梯子体2は、上端部に中空の筒状部材である天板5・5が設けられる。天板5は所定の横断面形状をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断されて形成される。天板5はリベットにより支柱3・3の上端部において対向する内側面の間に固定されている。換言すれば、天板5はそれぞれの梯子体2において、二本の支柱3・3の上端部を連結するように設けられる。なお、天板5をボルト・ナット等の他の締結部品を用いて支柱3に固定することも可能である。天板5・5の間には使用者が手を挿入することのできる隙間が形成されている。
【0023】
脚立1は、一対の梯子体2・2のなす角度(詳細には、梯子体2・2の相対的な回動によって近接離間する支柱3・3が側面視においてなす角度、以下同じ)に応じて、主に以下の開状態又は閉状態とすることができる。
【0024】
開状態は、図1に示す如く梯子体2・2のなす角度を約30度として、4本の支柱3で脚立1を支える形態である。本明細書においては、以下、開状態を「脚立状態」と記載する。脚立状態における脚立1は、地面や床に自立させた状態で用いられる。閉状態は、梯子体2・2のなす角度を約0度に近接させる形態である。脚立1の閉状態は、主に収納時や搬送時に採用される。
【0025】
脚立1は第三の形態として、梯子体2・2のなす角度を約180度として、一側の2本の支柱3で脚立1を支える梯子状態とすることも可能である。即ち、本実施形態に係る脚立1は梯子兼用脚立として構成されている。なお、本発明は梯子兼用脚立にのみ採用されるものではなく、専用脚立を含めた他の構成の脚立全般に採用することが可能である。
【0026】
脚立1は、脚立状態において、梯子体2・2のなす角度を規定するとともに互いの相対変位(回転)を規制する、開き止め機構7を備える。開き止め機構7は、梯子体2・2の上端部における左右両側に、合計二組設けられている。開き止め機構7は、互いに連結される一対の梯子体2・2において、左右方向について同じ側に配置されて互いに近接離間する支柱3同士を連結する。
【0027】
より詳細には、開き止め機構7は、梯子体2・2において対向して近接離間するそれぞれの支柱3・3の一方(図2における左側の支柱3)に回動可能に支持される。そして、開き止め機構7は、脚立1が脚立状態において支柱3・3の他方(図2における右側の支柱3)に係合可能とされる。それぞれの開き止め機構7は同じ構成であるため、本実施形態においては左側の開き止め機構7を中心に説明する。
【0028】
図2に示す如く、開き止め機構7は、第一アーム体7aと第二アーム体7bとが連結されて構成されるアーム部材である。脚立1の左側に設けられた開き止め機構7において、第一アーム体7aは基端部(図2における左側端部)が後側の支柱3の上部において回動軸7cで回動可能に軸支されている。第二アーム体7bはその先端部が第一アーム体7aの先端部と回転連結部7dで回転可能に連結されている。なお、脚立1の右側に設けられた開き止め機構7において、第一アーム体7aは基端部が前側の支柱3の上部において回動軸7cで回動可能に軸支されている。
【0029】
第二アーム体7bの基端部には、係合端部7eが形成されている。係合端部7eはねじりバネ7hにより付勢された係合部材7fと、係合部材7fの変位によって拡大・縮小が可能な係合孔7gと、を備えている。係合部材7fはねじりバネ7hによって、係合孔7gを縮小する方向(閉じる方向)に付勢されている。脚立1を脚立状態とする場合は図1に示す如く、梯子体2・2のなす角度を約30度に開いた状態で、係合端部7eを他方の支柱3に形成された第一ロックピンP1に係合させる。この際、係合孔7gに第一ロックピンP1が挿入され、係合部材7fがねじりバネ7hにより付勢されることにより、係合端部7eと第一ロックピンP1との係合状態が維持される。なお、第二アーム体7bに形成する係合端部の構成は、本実施形態に限定されるものではなく、他の構成で第一ロックピンP1(第二ロックピンP2も同様)と係合させることも可能である。
【0030】
このように、脚立1において、第一アーム体7aの基端部は一方の支柱3に回動可能に支持され、第二アーム体7bの先端部は第一アーム体7aの先端部に回転可能に連結されるとともに基端部が他方の支柱3に係合可能とされる。換言すれば、開き止め機構7は、対向して近接離間するそれぞれの支柱3・3に第一アーム体7a及び第二アーム体7bの基端部が回動可能に支持されるとともに、第一アーム体7a及び第二アーム体7bの互いの先端部が相対回転可能に連結される。本実施形態において、一方の支柱3に形成された回動軸7cと、他方の支柱3に形成された第一ロックピンP1とは、同じ上下位置に形成されている。
【0031】
第二アーム体7bは図示しないストッパにより第一アーム体7aに対する角度領域が規制されている。具体的には、第二アーム体7bは、回転連結部7dを中心として第一アーム体7aに近接した状態から反時計回り方向の角度が約185度に開く状態まで回動可能とされている。そして、脚立状態の脚立1において、第一アーム体7a及び第二アーム体7bは自然状態においては自重により回転連結部7dが下方に位置するため、図2に示す如く相対角度が約185度となる。これにより、回転連結部7dは第一アーム体7a及び第二アーム体7bの両端部(回動軸7c及び第一ロックピンP1)よりも下方に位置するとともに、当該位置よりも下方への変位が規制される。
【0032】
このように、脚立1を脚立状態とする場合は、支柱3・3を開き止め機構7により連結することにより、梯子体2・2のなす角度を約30度で固定する。この際、梯子体2・2に対して、梯子体2・2を近接させる回動方向に力が加わった場合でも、回転連結部7dが第一アーム体7a及び第二アーム体7bの両端部よりも下方に位置するとともに、回転連結部7dの当該位置よりも下方への変位が規制されているため、梯子体2・2は相対回転しない。
【0033】
また、梯子体2・2に対して、梯子体2・2を離間させる回動方向に力が加わった場合も、支柱3・3が開き止め機構7で連結されているため、梯子体2・2は相対回転しない。このため、梯子体2・2のなす角度は約30度のままであり、脚立1は脚立状態を維持する。なお、係合端部7eと第一ロックピンP1との係合状態を解除する際には、使用者が係合部材7fをねじりバネ7hの付勢力に抗して変位させることにより、第一ロックピンP1から係合端部7eを離脱させることができるようになる。
【0034】
脚立1を閉状態とする場合は、開き止め機構7の係合端部7eを第一ロックピンP1に係合させた状態で、第一アーム体7a又は第二アーム体7bを、第一アーム体7aと第二アーム体7bとの下側に形成される角度が180度以下となるように回動させる。具体的には、回転連結部7dに対して下方から力を加え、回転連結部7dが上方に変位するように第一アーム体7aと第二アーム体7bとを相対回転させる。これにより、梯子体2・2の角度規制が解除され、梯子体2・2のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体2・2を回動させることができる。そして、梯子体2・2のなす角度を約0度とすることにより、脚立1が閉状態となる。このように、脚立状態の際に回転連結部7dを上方に変位させて、第一アーム体7aと第二アーム体7bとからなるアーム部材を屈曲することにより、脚立1は梯子体2・2が近接した閉状態となる。
【0035】
なお、脚立1を梯子状態とする場合は、開き止め機構7における係合端部7eの第一ロックピンP1への係合を解除し、梯子体2・2のなす角度を約180度に開いた状態で、係合端部7eを支柱3の上端部に形成された第二ロックピンP2に係合させる。このように、支柱3・3を開き止め機構7により連結することにより、梯子体2・2のなす角度を約180度で固定するのである。この際、梯子体2・2に対して、梯子体2・2のなす角度が変わる方向に力が加わった場合でも、回動軸7c、回転連結部7d、及び係合端部7eが一直線上に配置されているため、第一アーム体7aと第二アーム体7bとは相対回転しない。このため、梯子体2・2のなす角度は約180度のままであり、脚立1は梯子状態を維持する。
【0036】
上記の如く、本実施形態に係る脚立1は梯子兼用脚立として構成されているため、開き止め機構7における第二アーム体7bの基端部に係合端部7eを設け、第二アーム体7bを支柱3の第一ロックピンP1及び第二ロックピンP2に対して着脱可能としている。但し、脚立1を専用脚立として構成した場合は、第二アーム体7bの基端部を支柱3における第一ロックピンP1の位置に回動可能かつ着脱不能に連結する構成とすることも可能である。
【0037】
[規制解除部材9]
本実施形態に係る脚立1において、開き止め機構7は、脚立1が脚立状態の際に梯子体2・2における相対変位の規制を解除する、規制解除部材9を備える。図2図4、及び図5に示す如く、本実施形態において規制解除部材9は前側の梯子体2の上部に設けられる。
【0038】
図3に示す如く、本実施形態における規制解除部材9は、一対の搖動部91・91と、搖動部91・91のそれぞれに形成される係合部92・92と、搖動部91・91のそれぞれに連結される操作部93と、が一体的に構成される。本実施形態において、規制解除部材9は樹脂製部材により構成している。なお、本実施形態及び以下に記載する変形例において、複数個の部材を組み合わせて規制解除部材を構成することもできる。その際、樹脂製素材以外に金属製部材等、他の素材を採用して規制解除部材を構成することも可能である。
【0039】
本実施形態における規制解除部材9において、搖動部91は側面視で上下方向中央部が前側に突出するブーメラン形状(「く」の字形状)に形成される。図2及び図4に示す如く、搖動部91・91は、前側の梯子体2を構成する二本の支柱3・3のそれぞれに対して、開き止め機構7を構成するアーム部材の近傍(より詳細には、天板5と最上段の踏桟4との間)に組付けられる。
【0040】
図3(b)に示す如く、搖動部91・91の中央部は、前側の梯子体2を構成する二本の支柱3・3のそれぞれの背板3b・3bに対して、ねじ部材で形成された回動軸91aを介して回動可能に組付けられる。これにより、搖動部91・91は二本の支柱3・3のそれぞれに対して搖動可能に組付けられる。
【0041】
それぞれの係合部92は搖動部91の下端部から左右方向外側に延出するように形成される。規制解除部材9を梯子体2に組付けた際には、係合部92は図2及び図4に示す如く、開状態のアーム部材における第一アーム体7a又は第二アーム体7bの下側近傍の位置に突出して形成される。より詳細には、規制解除部材9の左側に形成される係合部92は、左側に設けられた開き止め機構7の第一アーム体7aの下方に配置される。一方、規制解除部材9の右側に形成される係合部92は、右側に設けられた開き止め機構7の第二アーム体7bの下方に配置される。
【0042】
図3(a)に示す如く、操作部93は、その両端部が一対の搖動部91・91の上端部のそれぞれに連結される。操作部93は、天板5に近接して天板5の長手方向(左右方向)に沿って配置される。なお、それぞれの搖動部91・91の上端部から中央方向に延出する操作部を形成し、各操作部が搖動部91・91の間で左右方向に重複して配置される構成とすることも可能である。
【0043】
本実施形態に係る脚立1においては図3(b)に示す如く、規制解除部材9を支柱3・3の間に挿入して、回動軸91aであるねじ部材により搖動部91・91を支柱3・3の背板3b・3bに組付ける。このように、規制解除部材9は別途ブラケット等の組付部材を用いることなく梯子体2に組付可能とされる。即ち、簡易な構成で規制解除部材9を梯子体2に組付けることができるため、部材コストの抑制及び製造工程の簡素化を図ることが可能となる。
【0044】
本実施形態に係る脚立1においては、脚立状態において規制解除部材9を操作することにより、脚立1を閉状態とすることができる。具体的には図5中の仮想線に示す如く、使用者が天板5の下側から手を差し入れて、規制解除部材9の操作部93を天板5の側に引き寄せて搖動部91・91を搖動させる。これにより、図5に示す如く係合部92・92が上方に変位するため、係合部92・92が第一アーム体7a及び第二アーム体7bを上方に回動させてアーム部材を屈曲させる。
【0045】
上記の如く、係合部92を上方に変位させることにより、回転連結部7dが上方に変位するように第一アーム体7aと第二アーム体7bとを相対回転させる。これにより、梯子体2・2の角度規制が解除され、梯子体2・2のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体2・2を回動させることができる。そして、使用者が天板5を持ち上げることにより、梯子体2・2は自重により互いに近接してその相対角度が約0度となり、脚立1が閉状態となる。
【0046】
このように、本実施形態に係る脚立1においては、開状態の際に規制解除部材9における操作部93を天板5の側に変位させて搖動部91・91を搖動させることにより、係合部92・92を上方に変位させてアーム部材を屈曲させ、脚立1を閉状態とすることができる。また、使用者は操作部93を引き寄せる動作に連続して天板5を持ち上げることができる。即ち、脚立1の使用者は脚立状態から閉状態にする動作と、閉状態の脚立1を持ち上げる動作とをほぼ同時にワンタッチで行うことが可能となる。なお、脚立1の使用者は天板5・5の間から手を差し入れて、天板5の上側から操作部93を操作することも可能である。
【0047】
また、本実施形態に係る脚立1は、従来の開き止め機構を備える脚立に対して規制解除部材9を後付けすることで構成できる。即ち、規制解除部材9を梯子体2に後付けで組付けることができるため、規制解除部材を備えない脚立に対して規制解除部材9を取付けることにより本実施形態に係る脚立1を構成することが可能となる。
【0048】
なお、本実施形態に係る脚立1において、規制解除部材9が設けられた梯子体2が上側となる梯子状態とした場合に、規制解除部材9が自重で下方に変位する。このため、操作部93は近接する天板5の上端面よりも下側に位置する(図5において天地を逆にした状態)。これにより、使用者が脚立1を梯子状態で使用する場合でも、操作部93が天板5の上側で使用の障害とならないように構成している。
【0049】
一方、脚立1を、規制解除部材9が設けられた梯子体2が下側となる梯子状態とした場合は、操作部93は図4に示す如く近接する天板5よりも下側に位置する。即ち、この場合でも、操作部93が天板5の使用の障害となることはない。
【0050】
上記の如く、本実施形態に係る脚立1において、開き止め機構7が備える規制解除部材9は、脚立1が脚立状態の際に梯子体2・2における相対変位の規制を解除する。これにより、使用者が片手で規制解除部材9を操作するだけで、脚立1を脚立状態から閉状態に変形することが可能となる。即ち、使用者が道具を持っている等、両手を使用することが困難な状況でも、脚立1を容易に脚立状態から閉状態に変形することができる。
【0051】
なお、規制解除部材9の係合部92は、第一アーム体7a又は第二アーム体7bの何れの下方に配置する構成とすることも可能である。即ち、係合部92が上方に変位してアーム部材を屈曲させる構成であれば、第一アーム体7a又は第二アーム体7bの何れの下方に係合部92を配置する構成でも差し支えない。
【0052】
また、本実施形態に係る脚立1によれば、規制解除部材9は、搖動部91・91、係合部92・92、及び操作部93が一体的に構成される。これにより、脚立1の使用者は操作部93を一回操作するだけで、左右両側の開き止め機構7の規制を解除することができる。即ち、使用者が片手で規制解除部材9を操作するだけで脚立状態から閉状態とすることができるため、脚立1をより容易に脚立状態から閉状態とすることができる。
【0053】
また、図3に示す如く、本実施形態に係る規制解除部材9において、搖動部91には支柱3に対する規制解除部材9の相対角度を規制する規制部91bが左右方向外側に突出して形成されている。図5に示す如く、使用者が規制解除部材9を回転させた際に、規制部91bは支柱3の側板3sに当接する。これにより、支柱3に対する規制解除部材9の相対的な回転角度を規制している。
【0054】
本実施形態に係る脚立1によれば、一方の梯子体2にのみ規制解除部材9を設ける構成としたが、梯子体2・2の両方に規制解除部材9を設けることも可能である。この場合、前側と後側の何れの梯子体2においても規制解除部材9を操作することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る脚立1によれば、規制解除部材9を操作せずに、使用者が直接的に開き止め機構7を操作して、脚立1を脚立状態から閉状態とすることも可能である。具体的には、使用者が自らの手で回転連結部7dに対して下方から力を加え、回転連結部7dが上方に変位するように第一アーム体7aと第二アーム体7bとを相対回転させる。これにより、梯子体2・2の角度規制が解除され、梯子体2・2のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体2・2を回動させることができ、脚立1が閉状態となる。このように、本実施形態に係る脚立1の使用者は、規制解除部材9と開き止め機構7との何れを操作した場合でも、脚立1を脚立状態から閉状態へと変形させることができる。
【0056】
[規制解除部材19(第一変形例)]
次に、図6から図8を用いて、前記実施形態に係る脚立1において規制解除部材9に代えて採用可能な、第一変形例に係る規制解除部材19について説明する。なお、本変形例以降に記載する各変形例において、前記実施形態と同様の構成については同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
図6から図8に示す如く、本変形例における規制解除部材19は、一対の搖動部191・191と、搖動部191・191のそれぞれに形成される係合部192・192と、搖動部191・191のそれぞれに連結される操作部193と、が一体的に構成される。本変形例において、規制解除部材19は弾性変形可能な樹脂製部材により構成している。
【0058】
本実施形態における規制解除部材19において、搖動部191は側面視で上下方向中央部が前側に突出するブーメラン形状(「く」の字形状)に形成される。図6から図8に示す如く、搖動部191・191は、前側の梯子体2を構成する二本の支柱3・3のそれぞれに対して、開き止め機構7を構成するアーム部材の近傍(より詳細には、天板5と最上段の踏桟4との間)に組付けられる。
【0059】
図6(b)に示す如く、搖動部191・191の中央部には固定片191a・191aが形成され、固定片191a・191aが支柱3の側板3sに対して固定される。本変形例においては図8に示す如く、固定片191a・191aの下部は弾性変形可能に構成される。固定片191a・191aの下部が弾性変形することにより、搖動部191・191は二本の支柱3・3のそれぞれに対して搖動可能に組付けられる。
【0060】
それぞれの係合部192は搖動部191の下端部から左右方向外側に延出するように形成される。また、操作部193は、一対の搖動部191・191の上端部のそれぞれに連結される。本変形例における係合部192及び操作部193の構成は、前記実施形態における係合部92及び操作部93の構成と同様である。
【0061】
本変形例においては、脚立状態において規制解除部材19を操作することにより、脚立を閉状態とすることができる。具体的には図8中の仮想線に示す如く、使用者が天板5の下側から手を差し入れて、規制解除部材19の操作部193を天板5の側に引き寄せる。これにより、固定片191a・191aの下部が弾性変形するため、搖動部191・191が搖動する。さらに、図8に示す如く係合部192・192が上方に変位するため、係合部192・192が第一アーム体7a及び第二アーム体7bを上方に回動させてアーム部材を屈曲させる。
【0062】
上記の如く、係合部192を上方に変位させることにより、回転連結部7dが上方に変位するように第一アーム体7aと第二アーム体7bとを相対回転させる。これにより、梯子体2・2の角度規制が解除され、梯子体2・2のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体2・2を回動させることができる。そして、使用者が天板5を持ち上げることにより、梯子体2・2は自重により互いに近接してその相対角度が約0度となり、脚立が閉状態となる。
【0063】
このように、本変形例においては、開状態の際に規制解除部材19における操作部193を天板5の側に変位させて搖動部191・191を搖動させることにより、係合部192・192を上方に変位させてアーム部材を屈曲させ、脚立を閉状態とすることができる。また、使用者は操作部193を引き寄せる動作に連続して天板5を持ち上げることができる。即ち、脚立の使用者は脚立状態から閉状態にする動作と、閉状態の脚立を持ち上げる動作とをほぼ同時にワンタッチで行うことが可能となる。なお、脚立の使用者は天板5・5の間から手を差し入れて、天板5の上側から操作部193を操作することも可能である。
【0064】
また、本変形例に係る脚立は、従来の開き止め機構を備える脚立に対して規制解除部材19を後付けすることで構成できる。即ち、規制解除部材19を梯子体2に後付けで組付けることができるため、規制解除部材を備えない脚立に対して規制解除部材19を取付けることにより本実施形態に係る脚立を構成することが可能となる。
【0065】
[規制解除部材29(第二変形例)]
次に、図9から図11を用いて、第二変形例に係る規制解除部材29について説明する。図9から図11に示す如く、本変形例における規制解除部材29は、一本の金属製の棒状部材を折り曲げることにより、一対の搖動部291・291と、搖動部291・291のそれぞれに形成される係合部292・292と、搖動部291・291のそれぞれに連結される操作部293と、が一体的に連続して構成される。
【0066】
図9(a)に示す如く、規制解除部材29において搖動部291・291は上側が少し後方に向かって傾斜するように形成される。搖動部291・291の上端部は左右方向に沿って配置される操作部293によって連結される。搖動部291・291の下端部には左右方向外側に向かって延出される軸部291a・291aが形成される。軸部291a・291aの外側端部には後方に向かって延出される規制部291b・291bが形成される。規制部291b・291bの後端部には左右方向外側に向かって延出される係合部292・292が形成される。
【0067】
図9(b)に示す如く、規制解除部材29は支持部材294・294を介して支柱3・3に組付けられる。具体的には、規制解除部材29における軸部291a・291aが支持部材294・294を介して支柱3の側板3sに回動可能に組付けられる。このように、搖動部291・291が軸部291a・291aを中心に回動可能とされることにより、規制解除部材29が二本の支柱3・3のそれぞれに対して搖動可能に組付けられる。
【0068】
支持部材294には後方に延出される支持部294aが形成されている。規制解除部材29は規制部291bが支持部294aの上面に載置されることにより後方への回転(転倒)が規制される。
【0069】
規制解除部材29を梯子体2に組付けた際には、係合部292は図10に示す如く、開状態のアーム部材における第一アーム体7a又は第二アーム体7bの下側近傍の位置に突出して形成される。より詳細には、規制解除部材29の左側に形成される係合部292は、左側に設けられた開き止め機構7の第一アーム体7aの下方に配置される。一方、規制解除部材29の右側に形成される係合部92は、右側に設けられた開き止め機構7の第二アーム体7bの下方に配置される。
【0070】
また、図10に示す如く、操作部293は、天板5に近接して天板5の長手方向(左右方向)に沿って配置される。本変形例において、操作部293は二個の天板5・5の間に位置するように配置されている。
【0071】
本変形例においては、脚立状態において規制解除部材29を操作することにより、脚立を閉状態とすることができる。具体的には図11中の仮想線に示す如く、使用者が天板5の下側から手を差し入れて、規制解除部材29の操作部293を天板5の側に引き寄せて搖動部291・291を搖動させる。これにより、図11に示す如く係合部292・292が上方に変位するため、係合部292・292が第一アーム体7a及び第二アーム体7bを上方に回動させてアーム部材を屈曲させる。
【0072】
上記の如く、係合部292を上方に変位させることにより、回転連結部7dが上方に変位するように第一アーム体7aと第二アーム体7bとを相対回転させる。これにより、梯子体2・2の角度規制が解除され、梯子体2・2のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体2・2を回動させることができる。そして、使用者が天板5を持ち上げることにより、梯子体2・2は自重により互いに近接してその相対角度が約0度となり、脚立が閉状態となる。
【0073】
このように、本変形例においては、開状態の際に規制解除部材29における操作部293を天板5の側に変位させて搖動部291・291を搖動させることにより、係合部292・292を上方に変位させてアーム部材を屈曲させ、脚立を閉状態とすることができる。また、使用者は操作部293を引き寄せる動作に連続して天板5を持ち上げることができる。即ち、脚立の使用者は脚立状態から閉状態にする動作と、閉状態の脚立を持ち上げる動作とをほぼ同時にワンタッチで行うことが可能となる。なお、脚立の使用者は天板5・5の間から手を差し入れて、天板5の上側から操作部293を操作することも可能である。
【0074】
また、本変形例に係る脚立は、従来の開き止め機構を備える脚立に対して規制解除部材29を後付けすることで構成できる。即ち、規制解除部材29を梯子体2に後付けで組付けることができるため、規制解除部材を備えない脚立に対して規制解除部材29を取付けることにより本実施形態に係る脚立を構成することが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
1 脚立 2 梯子体
3 支柱 3a 端具
3b 背板 3s 側板
4 踏桟 5 天板
6 ヒンジ(回転金具) 6a 第一ヒンジ部
6b 第二ヒンジ部 6c 回動支持部
7 開き止め機構 7a 第一アーム体
7b 第二アーム体 7c 回動軸
7d 回転連結部 7e 係合端部
7f 係合部材 7g 係合孔
7h ねじりバネ 9 規制解除部材
19 規制解除部材(第一変形例)
29 規制解除部材(第二変形例)
91 搖動部 91a 回動軸
91b 規制部 92 係合部
93 操作部
191 搖動部 191a 固定片
192 係合部 193 操作部
291 搖動部 291a 軸部
291b 規制部 292 係合部
293 操作部 294 支持部材
294a 支持部
A 回動軸 P1 第一ロックピン
P2 第二ロックピン


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11