(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045483
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】クレンジングクリーム
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20230327BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230327BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230327BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230327BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A61K8/67
A61Q19/10
A61K8/34
A61K8/39
A61K8/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153923
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
(72)【発明者】
【氏名】新間 優子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC122
4C083AC442
4C083AD092
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB04
4C083BB13
4C083CC23
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】
適度な転相速度を有し、マッサージ性とメイク落とし効果を兼ね備え、洗い流し後の保湿効果に優れたクレンジングクリームを提供する。
【解決手段】
下記成分(A)~(G)を含有するクレンジングクリームを提供する。
(A)25℃で液体状の油を20~60質量%
(B)HLB値12以上のノニオン界面活性剤を2~8質量%
(C)HLB値8以下のノニオン界面活性剤を0.5~5質量%
(D)炭素数が8~30の高級アルコールを0.5~6質量%
(E)トコフェリルリン酸エステル及び/又はその塩
(F)多価アルコール及び
(G)水
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(G)を含有するクレンジングクリーム。
(A)25℃で液体状の油を20~60質量%
(B)HLB値12以上のノニオン界面活性剤を2~8質量%
(C)HLB値8以下のノニオン界面活性剤を0.5~5質量%
(D)炭素数が8~30の高級アルコールを0.5~6質量%
(E)トコフェリルリン酸エステル及び/又はその塩
(F)多価アルコール及び
(G)水
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジングクリームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚上の皮脂汚れやメイクアップ化粧料を除去するためのクレンジング化粧料としては、液状油等を主成分とするオイル状のもの、油性成分を界面活性剤により乳化したクリーム状、乳液状、ゲル状のもの、さらには油成分を全く配合しないか又は微量配合したローション状、水性ジェル状等のタイプまで様々なものがある。これらのうち、油性成分を乳化したタイプのクレンジング化粧料としては、使用感を良好にするためにペースト状の油分を配合したクレンジング化粧料(特許文献1、2)やクレンジング効果を高めるために油性成分を比較的多量に配合したクレンジング化粧料(特許文献3~5)等が提案されている。
【0003】
油性成分を比較的多量に配合したクリーム状、ジェル状のO/W型の乳化型のものには、最初手に取ったときは保形性を有しているが、肌の上に伸ばしてメイクアップ化粧料となじませている間にO/W型がW/O型に転相するという現象が起きる場合があった。この転相が起こると、内包されていた油性成分が出てくるため、メイクアップ化粧料とのなじみが良くなり、またメイクアップ化粧料となじんだタイミングもわかりやすいという利点を有している。係る転相に着目したクレンジングクリームとして、ソルビタン系非イオン界面活性剤、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、液状油、水と、さらにジペンタエリスリトールとヒドロキシ脂肪酸又はポリヒドロキシ脂肪酸のエステルを組み合わせたクレンジング化粧料(特許文献6)や、特定の分岐飽和脂肪酸の割合が高いデキストリン脂肪酸エステルと特定の油剤および界面活性剤を含有する水中油型乳化化粧料(特許文献7)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-212031号公報
【特許文献2】特開2003-95917号公報
【特許文献3】特開2007-119393号公報
【特許文献4】特許3781711号公報
【特許文献5】特許4185441号公報
【特許文献6】特開2014-76970号公報
【特許文献7】特開2016-185927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献5、6に示されたクレンジング化粧料は、マッサージ性とメイク落とし効果には優れていたが、洗い流した後のしっとり感に課題を有するものであった。そこで本発明は、適度な転相速度を有し、マッサージ性とメイク落とし効果を兼ね備え、洗い流し後の保湿効果に優れたクレンジングクリームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
下記成分(A)~(G)を含有するクレンジングクリーム。
(A)25℃で液体状の油を20~60質量%
(B)HLB値12以上のノニオン界面活性剤を2~8質量%
(C)HLB値8以下のノニオン界面活性剤を0.5~5質量%
(D)炭素数が8~30の高級アルコールを0.5~6質量%
(E)トコフェリルリン酸エステル及び/又はその塩
(F)多価アルコール及び
(G)水
【発明の効果】
【0007】
本発明のクレンジングクリームは、適度な転相速度を有し、マッサージ性とメイク落とし効果を兼ね備え、洗い流し後の保湿効果に優れるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本発明のクレンジングクリームは、化粧品、医薬部外品のいずれの用途にも用いられ得る。
【0010】
本発明のクレンジングクリームには成分(A)液状油性成分を20~60質量%配合する。液状油としては、通常の化粧料に用いられ、25℃で液状のものであれば、特に制限されずに使用することができる。係る液状油性成分としてはアブラナ油、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、ククイナッツ油、ゴマ油、コムギ胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、コメ油、サフラワー油、サンフラワー油、ダイズ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ホホバ油、グレープシード油、マカデミアナッツ油、メドウホーム油、メンジツ油、ヤシ油等の植物油;
液状馬油、ミンク油、液状ラノリン等の動物油;
流動パラフィン、軽質イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐鎖の炭化水素油;
オレイン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸;
イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等の高級アルコール;
イソステアリルグリセリルエーテル等のアルキルグリセリルエーテル;
ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル等の直鎖脂肪酸と低級アルコールとのエステル油;
カプリン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル等の直鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル油;
ラウリン酸シソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノール酸オクチルドデシル等の直鎖脂肪酸と分岐鎖を有するアルコールとのエステル油;
イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル等の分岐鎖を有する脂肪酸と低級アルコールとのエステル油;
2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル等の分岐鎖を有する脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル油;
ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル酸・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸ジプロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、リイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット等の脂肪酸と多価アルコールとのエステル油;
ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソペラルゴン酸2-エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルドデシル等の分岐鎖を有する脂肪酸と分岐鎖を有するアルコールとのエステル油、
乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルドデシル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル等の水酸基を有するエステル油;
コハク酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル等の二塩基酸のエステル油;
ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性シリコーン油等のシリコーン油;
フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。本発明においてはこれらの液状油の1種を単独で、若しくは2種以上を併用して用いる。
【0011】
これらの液状油性成分の中でも2-エチルヘキサン酸セチル、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ピバリン酸イソステアリル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸セチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、スクワランから選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0012】
液状油性成分の配合量は、クレンジングクリーム全量に対し20~60質量%配合する。20質量%未満の配合では、良好なクレンジング効果が得られない場合がある。60質量%を超えて配合すると、経時での乳化安定性が保てない場合がある。
【0013】
本発明のクレンジングクリームには、(B)HLB値12以上のノニオン界面活性剤を2~8質量%配合する。
【0014】
ここで、本発明におけるHLB値(Hydphile-Lipophile Balance)とは、親水性-親油性のバランスを示す指標であり、小田・寺村らによる下記(式1)で計算されるものである。
HLB値=「無機性値(IV)/有機性値(OV)」×10・・・(式1)
(甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、11~17頁、三共出版、1984年発行参照)
【0015】
本発明で用いるHLB値が12以上のノニオン界面活性剤としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良い。具体的にはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
【0016】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸POE(80)ソルビタン(HLB値19.0)、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値16.9)、モノラウリン酸POE(6)ソルビタン(HLB値15.5)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(HLB値15.6)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値14.9)等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸ヘキサグリセリル(HLB値14.5)、モノラウリン酸デカグリセリル(HLB値15.5)等が挙げられる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸POE(10)(HLB値12.5)、モノステアリン酸POE(25)(HLB値15.0)、モノステアリン酸POE(240)(HLB値17.5)等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、POE(9)ラウリルエーテル(HLB値14.5)、POE(10)セチルエーテル(HLB値13.5)、POE(20)フィトステロールエーテル(HLB値15.5)、POE(30)フィトステロールエーテル(HLB値18.0)等が挙げられる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、POE(40)硬化ヒマシ油(HLB値12.5)、POE(60)硬化ヒマシ油(HLB値14.0)等が挙げられる。
【0017】
本発明のクレンジングクリームには、成分(C)HLB値8以下のノニオン界面活性剤を0.5~5質量%配合する。成分(C)HLB値が8以下であるノニオン性界面活性剤は、クレンジング力と製剤安定性を向上させる。成分(C)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤等のエーテル型ノニオン界面活性剤、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
【0018】
成分(C)の具体例を以下に列挙する。なお、化合物名POEの括弧中の数値はE.O.の付加モル数を示す。また、本発明においてHLB値は、後述する実測値により求められる値を採用するが、日光ケミカルズ社カタログ(2014年)記載の数値等を参考値として記載する。(C)成分の具体例として、例えば、POE(3)アルキル(C12~14)エーテル(HLB値:8)、POE(2)セチルエーテル(HLB値:8.0)、POE(2)ミリスチルエーテル(HLB値:5.8)、POE(3)ミリスチルエーテル(HLB値:7.7)、POE(2)ヘキシルデシルエーテル(HLB値:5.3)、POE(2)ステアリルエーテル(HLB値:8.0)、POE(2)オレイルエーテル(HLB値:4.9)、POE(3)オレイルエーテル(HLB値:6.6)、POE(2)オクチルドデシルエーテル(HLB値:4.6)、POE(2)ベヘニルエーテル(HLB値:4.3)、POE(3)ベヘニルエーテル(HLB値:5.8)、POE(5)ベヘニルエーテル(HLB値:7.0)、親油型モノオレイン酸グリセリル(HLB値:2.5)、親油型モノステアリン酸グリセリル(HLB値:4.0)、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB値:6.0)、モノミリスチン酸グリセリル(HLB値:3.5)、モノステアリン酸ポリグリセリル(HLB値:5.0)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB値:4.3)、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB値:3.7)、トリオレイン酸ソルビタン(HLB値:1.7)、モノステアリン酸ソルビタン(HLB値:4.7)、モノパルミチン酸ソルビタン(HLB値:6.7)等が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0019】
成分(C)の具体例としては、モノステアリン酸グリセリル(HLB値:3.0)、モノイソステアリン酸グリセリル(HLB値:4.0)、モノオレイン酸グリセリル(HLB値:2.5)、モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB値:5.0)、セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB値:5.5)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB値:4.3)、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB値:3.7)、トリオレイン酸ソルビタン(HLB値:1.7)等を挙げることができる。本発明においては、成分(C)として、モノステアリン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタンから選択される1種又は2種を用いることがクレンジングクリームの安定性の観点から好ましい。
【0020】
本発明のクレンジングクリームには、成分(D)炭素数が8~30の高級アルコールを0.5~6質量%配合する。係る高級アルコールは、直鎖もしくは分岐鎖状で、飽和もしくは不飽和の炭化水素の1価アルコールであり、1種を単独で、もしくは2種以上を併用して用いる。具体的には、カプリリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナービルアルコール、セリルアルコールなどが例示される。これらの高級アルコールの中でも、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールから選択される1種または2種以上が好ましく用いられ、さらには、ベヘニルアルコールが乳化安定性の観点から最も好ましい。
【0021】
係る高級アルコールの配合量は、クレンジングクリーム全量に対し、0.5~6質量である。0.5質量%より少ない場合には経時安定性を保つことができず、6質量%を越える場合は洗い流し時にべたつきがある。
【0022】
本発明のクレンジングクリームには、成分(E)トコフェリルリン酸エステル及び/又はその塩を配合する。本発明に用いるトコフェリルリン酸エステル及び/又はその塩としては、トコフェロールから常法により合成でき、特公昭61-20583及び特公平3-32558も参考にできる。これらは、α、β、γ、δ型や、d、l、dl型を選択できる。
【0023】
また、本発明においては、トコフェリルリン酸エステルに加え、トコフェリルリン酸エステルの塩も使用可能であり、塩の種類は限定されないが、一般的にはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩が用いられる。特に、トコフェリルリン酸エステルナトリウム塩であるTPNa(登録商標)(製造元:昭和電工株式会社)を用いることが好ましい。
【0024】
本発明に用いられる成分(E)トコフェリルリン酸エステル及び/又はその塩の配合量は、剤型や期待する効果の程度により異なるが、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1~10質量%程度配合するのが良い。0.01質量%未満では十分な転相速度調整効果が得られない場合がある。
【0025】
本発明のクレンジングクリームには、成分(F)多価アルコールを配合する。多価アルコールとしては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良い。具体的な多価アルコールとしては、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-ブタンジオール(BG)、3-メチル-1,3-ブタンジオール(イソプレングリコール)、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン等のほか、スクロース、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、グリコシルトレハロース等の糖類が挙げられる。この中でも、グリセリン1,3-ブタンジオール、グリコシルトレハロース及びジプロピレングリコールから選択される1種又は2種以上を含有することが好ましい。
【0026】
本発明のクレンジングクリームは、成分(F)と成分(G)をあわせて30~65質量%配合することが好ましい。成分(F)と成分(G)の配合量が30質量%未満の場合は、使用感がべたついたり、安定なクレンジングクリームが得られない場合がある。また、65質量%を超えて配合すると良好なクレンジング効果が得られない場合がある。
【0027】
本発明のクレンジングクリームには、前記の必須成分、任意成分以外に本発明の目的を損なわない範囲で、通常の化粧料、医薬部外品に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、上記以外の油性成分、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【実施例0028】
本発明のクレンジングクリームの実施例を示す。実施例はあくまでも本発明の一例であり、これによって本発明が限定されるものではない。なお、配合量は断りのない限り質量%で示す。
【0029】
本発明の実施例、比較例の評価方法を示す。
【0030】
表1、表2に示す実施例及び比較例のクレンジングクリームを、常法により製造した。かかる実施例及び比較例について、下記の通り評価を行った。その結果を表1、2に示す。
[評価項目及び判定基準]
専門パネラー3名による、顔での使用テストを行い、下記の評価基準に従って、各項目について、絶対評価をし、合議により下記判定基準に基づき判定した。なおパネラーは、予め統一されたクリームファンデーションと口紅を塗布した状態で評価を行った。
<転相速度のほどよさ>
クレンジングクリームを用いてクレンジングする際の、転相速度のほどよさを評価した。
<マッサージ性>
クレンジングクリームを用いてクレンジングする際の、マッサージ性を評価した。
<メイク落とし効果>
クレンジングクリームを用いてクレンジングする際の、メイク落とし効果を評価した。<保湿性>
クレンジングクリームを洗い流した後の、保湿感を評価した。
<判定基準>
極めて良好 ◎
良好 〇
やや悪い △
悪い ×
【0031】
【0032】
【0033】
表1、2に示した通り、本発明のクレンジングクリームは、適度な転相速度を有し、マッサージ性とメイク落とし効果を兼ね備え、洗い流し後の保湿効果に優れるものであった。