(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045515
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】半炭化物生成装置
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
C10L5/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153988
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506056882
【氏名又は名称】エスケイ工業有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】古川 承元
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA13
4H015AB01
4H015AB05
4H015BA01
4H015BA09
4H015BB03
4H015BB04
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】固形燃料としての品質が均一な半炭化物を生成できる半炭化物生成装置1を提供することを目的とする。
【解決手段】木質チップを搬送しながら乾燥させる乾燥路3と、木質チップを搬送しながら半炭化させる半炭化路4と、半炭化物を搬送しながら冷却する冷却路5とが並置された半炭化物生成装置1であって、乾燥路3と半炭化路4とを連通する第1連通路6と、半炭化路4と冷却路5とを連通する第2連通路7と、過熱水蒸気を発生させる蒸気発生手段と、過熱水蒸気を乾燥路3及び半炭化路4に導入する蒸気導入路9とを備え、乾燥路3及び半炭化路4は、スクリューフィーダ32,42を軸支するとともに、円弧面が下方へ突出した断面略逆蒲鉾形の筒状の筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)を備え、蒸気導入路9が、筐体の上方の隅角部に接続されたことを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質チップが投入される投入口を有するとともに、前記木質チップをスクリューフィーダによって第1搬送方向へ搬送しながら乾燥させる乾燥路と、
乾燥した前記木質チップを、スクリューフィーダによって第2搬送方向へ搬送しながら半炭化させる半炭化路と、
前記木質チップが半炭化した半炭化物を、スクリューフィーダによって第3搬送方向へ搬送しながら冷却する冷却路とが、この順番で並置された半炭化物生成装置であって、
前記乾燥路における前記第1搬送方向の下流側と前記半炭化路における前記第2搬送方向の上流側とを連通させる第1連通路と、
前記半炭化路における前記第2搬送方向の下流側と前記冷却路における前記第3搬送方向の上流側とを連通させる第2連通路と、
水を加熱して過熱水蒸気を発生させる蒸気発生手段と、
該蒸気発生手段で発生した前記過熱水蒸気を前記乾燥路の内部空間、及び前記半炭化路の内部空間に導入する蒸気導入路とを備え、
前記乾燥路及び前記半炭化路は、
前記スクリューフィーダを軸支するとともに、円弧面が下方へ突出した断面略逆蒲鉾形の筒状の筐体を備え、
前記蒸気導入路が、前記筐体の上方の隅角部に接続された
半炭化物生成装置。
【請求項2】
前記蒸気導入路は、
前記スクリューフィーダへ向けて過熱水蒸気を拡散して噴射する拡散ノズルを備えた
請求項1に記載の半炭化物生成装置。
【請求項3】
前記蒸気導入路は、
前記筐体の外部において、所定の分岐箇所で等分岐した先端が前記筐体の両側の前記隅角部に接続された構成である
請求項1または請求項2に記載の半炭化物生成装置。
【請求項4】
前記乾燥路は、
前記投入口と前記第1連通路との間において、前記第1搬送方向に所定間隔を隔てた位置に前記蒸気導入路がそれぞれ接続された構成であり、
前記半炭化路は、
前記第1連通路と前記第2連通路との間において、前記第2搬送方向に所定間隔を隔てた位置に前記蒸気導入路がそれぞれ接続された構成である
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の半炭化物生成装置。
【請求項5】
前記蒸気導入路は、
前記蒸気発生手段と前記半炭化路とを接続する第1蒸気導入路と、
前記半炭化路と前記乾燥路とを接続する第2蒸気導入路とで構成された
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の半炭化物生成装置。
【請求項6】
前記第1蒸気導入路が接続された前記半炭化路の内部温度が、300℃以上350℃以下の範囲であり、
前記第2蒸気導入路が接続された前記乾燥路の内部温度が、150℃以上200℃以下の範囲である
請求項5に記載の半炭化物生成装置。
【請求項7】
前記蒸気発生手段は、
電磁誘導加熱によって前記過熱水蒸気を発生させる構成である
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の半炭化物生成装置。
【請求項8】
前記半炭化路における前記第1連通路と前記第2連通路との間で、前記第1連通路側の内部温度を検知する入口側温度センサと、
前記半炭化路における前記第1連通路と前記第2連通路との間で、前記半炭化路の前記第2連通路側の内部温度を検知する出口側温度センサと、
前記入口側温度センサ及び前記出口側温度センサが検知した前記半炭化路の内部温度に基づいて、前記半炭化路に導入される過熱水蒸気の流量を制御する半炭化路蒸気流量制御手段とを備えた
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の半炭化物生成装置。
【請求項9】
前記半炭化路の前記入口側温度センサ及び前記出口側温度センサが検知した前記半炭化路の内部温度に基づいて、前記半炭化路の前記スクリューフィーダの回転速度を制御する半炭化路制御手段を備えてもよい。
請求項8に記載の半炭化物生成装置。
【請求項10】
前記乾燥路における前記投入口と前記第1連通路との間で、前記投入口側の内部温度を検知する入口側温度センサと、
前記乾燥路における前記投入口と前記第1連通路との間で、前記第1連通路側の内部温度を検知する出口側温度センサと、
前記入口側温度センサ及び前記出口側温度センサが検知した前記乾燥路の内部温度に基づいて、前記乾燥路に導入される過熱水蒸気の流量を制御する乾燥路蒸気流量制御手段とを備えた
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の半炭化物生成装置。
【請求項11】
前記乾燥路の前記入口側温度センサ及び前記出口側温度センサが検知した前記乾燥路の内部温度に基づいて、前記乾燥路の前記スクリューフィーダの回転速度を制御する乾燥路制御手段を備えた
請求項10に記載の半炭化物生成装置。
【請求項12】
前記冷却路は、
前記スクリューフィーダを軸支する略筒状の筐体と、
該筐体の外周面に設けられ、冷却水が流動するウォータージャケットと、
前記半炭化物を外部に排出する排出口と、
前記第2連通路と前記排出口の間で、前記排出口側の内部温度を検出する冷却路温度センサとで構成され、
前記冷却路の内部温度が所定温度を上回る場合、前記ウォータージャケットに前記冷却水を供給する冷却水供給手段を備えた
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の半炭化物生成装置。
【請求項13】
前記乾燥路の前記投入口に向けて前記木質チップを搬送する搬入路を備え、
該搬入路が、前記木質チップを搬送するスクリューフィーダを備えた
請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の半炭化物生成装置。
【請求項14】
前記乾燥路における前記第1連通路の近傍に、前記乾燥路の内部のガスを遠心力によって、水蒸気を含む気体と、油分を含む液体とに分離するガス分離器が接続された
請求項1から請求項13のいずれか1つに記載の半炭化物生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば過熱水蒸気を用いて木質チップから半炭化物を生成するような半炭化物生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、石炭を燃焼させた際に発生する二酸化炭素ガス、所謂、温室効果ガスの排出量が問題となっているため、石炭に代わる固形燃料として、木材や枝葉などから生成される植物由来のバイオマス燃料が注目されている。
【0003】
この植物由来のバイオマス燃料は、燃焼によって二酸化炭素ガスが排出するものの、原材料の成長過程で二酸化炭素ガスを吸収するため、実質的な二酸化炭素ガスの排出量を低減できるとされている。
【0004】
このような植物由来のバイオマス燃料を生成する装置として、例えば特許文献1のように、過熱水蒸気を用いて、木質チップから固形燃料である半炭化物を生成する半炭化物生成装置が知られている。
【0005】
具体的には、特許文献1には、木質チップを乾燥させる乾燥路(乾燥用スクリューコンベア)と、乾燥させた木質チップを半炭化させて半炭化物を生成する半炭化路(半炭化用スクリューコンベア)と、半炭化物の温度を降温させる冷却路(排出用スクリューコンベア)とが、この順番で並置された半炭化物生成装置が開示されている。
【0006】
さらに、特許文献1は、水蒸気発生装置で発生させた高温の水蒸気を、過熱水蒸気発生装置によってさらに加熱して超高温の過熱水蒸気を発生させ、超高温の過熱水蒸気を、ノズル配管を介して乾燥路及び半炭化路の双方にそれぞれ供給している。
【0007】
ところで、特許文献1の乾燥路及び半炭化路は、スクリューフィーダ(回転スクリュー)の回転によって木質チップを上方へ巻き上げるとともに、ノズル配管から噴射した過熱水蒸気に接触させながら木質チップを搬送している。
【0008】
しかしながら、特許文献1の乾燥路及び半炭化路は、スクリューフィーダとノズル配管とが、上下方向に並置された状態で円筒状の筐体の内部に収容されている。つまり、特許文献1の乾燥路及び半炭化路は、スクリューフィーダの直径よりも大きい直径の円筒状の筐体に、スクリューフィーダ及びノズル配管が収容されていることになる。
【0009】
このため、スクリューフィーダの回転によって木質チップが巻き上げられた際、特許文献1の半炭化物生成装置では、木質チップが遠心力によって筐体の内周面に沿うように移動して、スクリューフィーダよりも上方の空間、すなわち筐体の上部空間に到達しないおそれがある。
【0010】
そうすると、特許文献1の半炭化物生成装置では、ノズル配管から噴射された過熱水蒸気に木質チップが接触し難くなり、木質チップが万遍なく加熱されないことで、固形燃料としての品質のバラツキが大きい半炭化物が生成されるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の問題に鑑み、固形燃料としての品質が均一な半炭化物を生成できる半炭化物生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、木質チップが投入される投入口を有するとともに、前記木質チップをスクリューフィーダによって第1搬送方向へ搬送しながら乾燥させる乾燥路と、乾燥した前記木質チップを、スクリューフィーダによって第2搬送方向へ搬送しながら半炭化させる半炭化路と、前記木質チップが半炭化した半炭化物を、スクリューフィーダによって第3搬送方向へ搬送しながら冷却する冷却路とが、この順番で並置された半炭化物生成装置であって、前記乾燥路における前記第1搬送方向の下流側と前記半炭化路における前記第2搬送方向の上流側とを連通させる第1連通路と、前記半炭化路における前記第2搬送方向の下流側と前記冷却路における前記第3搬送方向の上流側とを連通させる第2連通路と、水を加熱して過熱水蒸気を発生させる蒸気発生手段と、該蒸気発生手段で発生した前記過熱水蒸気を前記乾燥路の内部空間、及び前記半炭化路の内部空間に導入する蒸気導入路とを備え、前記乾燥路及び前記半炭化路は、前記スクリューフィーダを軸支するとともに、円弧面が下方へ突出した断面略逆蒲鉾形の筒状の筐体を備え、前記蒸気導入路が、前記筐体の上方の隅角部に接続されたことを特徴とする。
【0014】
上記木質チップとは、樹木のカスケード利活用が可能な幹、枝条、小枝、及び梢端から生成されたものをいう。なお、樹木としては、針葉樹、広葉樹、早生樹、及び流木などのことをいう。
上記乾燥路と半炭化路と冷却路とがこの順番で並置されたとは、第1搬送方向及び第3搬送方向が同一方向で、第2搬送方向が第1搬送方向とは逆方向となるように、上方からのこの順番で並置された状態のことをいう。あるいは、第1搬送方向、第2搬送方向、及び第3搬送方向が同一方向となるように、上方からこの順番で階段状に並置された状態のことをいう。
上記断面略逆蒲鉾形とは、上方の開口が閉塞した断面略U字形、あるいは上方の開口が閉塞した断面略逆釣鐘形などのことをいう。
【0015】
この発明によれば、半炭化物生成装置は、木質チップを万遍なく加熱することができるため、固形燃料としての品質が均一な半炭化物を生成することができる。
【0016】
具体的には、筐体が断面略逆蒲鉾形の筒状に形成されているため、乾燥路及び半炭化路は、筐体の上方の隅角部に、スクリューフィーダの上部に対して水平方向で隣接する内部空間を形成することができる。このような筐体の隅角部に蒸気導入路が接続されているため、乾燥路及び半炭化路は、蒸気導入路の先端がスクリューフィーダに干渉することがない。
【0017】
これにより、半炭化物生成装置は、乾燥路及び半炭化路において、筐体の上面をスクリューフィーダの上端に近づけて、蒸気導入路の先端と筐体の底部との間隔を短くすることができる。このため、半炭化物生成装置は、乾燥路及び半炭化路において、筐体の底部にまで過熱水蒸気を均一に行き渡らせることができる。
【0018】
さらに、巻き上げられた木質チップが、スクリューフィーダの上部に水平方向で隣接する内部空間を通るため、半炭化物生成装置は、木質チップを過熱水蒸気に効率よく、かつ確実に接触させることができる。
したがって、半炭化物生成装置は、木質チップを万遍なく加熱することができるため、固形燃料としての品質が均一な半炭化物を生成することができる。
【0019】
この発明の態様として、前記蒸気導入路は、前記スクリューフィーダへ向けて過熱水蒸気を拡散して噴射する拡散ノズルを備えてもよい。
この構成によれば、過熱水蒸気を筐体の内部に拡散して噴射できるため、半炭化物生成装置は、乾燥路の底部、及び半炭化路の底部にまで過熱水蒸気をより行き渡らせることができる。
【0020】
このため、半炭化物生成装置は、乾燥路の内部温度、及び半炭化路の内部温度をより均一にできるとともに、木質チップに過熱水蒸気をより確実に接触させることができる。
これにより、半炭化物生成装置は、木質チップをより万遍なく加熱することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記蒸気導入路は、前記筐体の外部において、所定の分岐箇所で等分岐した先端が前記筐体の両側の前記隅角部に接続された構成であってもよい。
この構成によれば、筐体の外部で等分岐しているため、蒸気導入路が、筐体の二つの隅角部に接続されることになる。
【0022】
このため、半炭化物生成装置は、蒸気導入路が一方の隅角部にのみ接続された場合に比べて、乾燥路の内部及び半炭化路の内部に過熱水蒸気をより万遍なく充填させることができる。
この際、蒸気導入路が等分岐しているため、半炭化物生成装置は、過熱水蒸気の噴射圧力がばらつくことを抑えることができる。
【0023】
これにより、半炭化物生成装置は、乾燥路及び半炭化路において、筐体の底部にまでムラなく過熱水蒸気を行き渡らせることができるため、木質チップをより均一に加熱することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記乾燥路は、前記投入口と前記第1連通路との間において、前記第1搬送方向に所定間隔を隔てた位置に前記蒸気導入路がそれぞれ接続された構成であり、前記半炭化路は、前記第1連通路と前記第2連通路との間において、前記第2搬送方向に所定間隔を隔てた位置に前記蒸気導入路がそれぞれ接続された構成であってもよい。
【0025】
この構成によれば、半炭化物生成装置は、乾燥路の内部を投入口から第1連通路へ向けて搬送される木質チップ、及び半炭化路の内部を第1連通路から第2連通路へ向けて搬送される木質チップを連続して加熱することができる。
これにより、半炭化物生成装置は、固形燃料としての品質がより均一な半炭化物生成することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記蒸気導入路は、前記蒸気発生手段と前記半炭化路とを接続する第1蒸気導入路と、前記半炭化路と前記乾燥路とを接続する第2蒸気導入路とで構成されてもよい。
【0027】
この構成によれば、蒸気発生手段で発生した過熱水蒸気を第1蒸気導入路を介して半炭化路に直接的に導入できるため、半炭化物生成装置は、半炭化路の内部温度を所望される温度に容易に制御することができる。このため、半炭化物生成装置は、半炭化路において、所望される品質の半炭化物を生成することができる。
【0028】
さらに、半炭化路と乾燥路とが第2蒸気導入路で接続されているため、蒸気発生手段で発生した過熱水蒸気は、第1蒸気導入路、半炭化路、及び第2蒸気導入路を通って乾燥路に導入される。
【0029】
この際、半炭化路の内部で降温した過熱水蒸気が、第2蒸気導入路に流入するため、半炭化物生成装置は、乾燥路に導入される過熱水蒸気の温度を、過熱水蒸気の温度を調整する調整部を別途設けることなく、半炭化路に導入される過熱水蒸気の温度よりも低温にすることができる。
【0030】
これにより、半炭化物生成装置は、乾燥路の内部で木質チップが半炭化または炭化することを防止しながら、木質チップをより確実に乾燥させることができる。
よって、半炭化物生成装置は、部品点数の増加及び装置の大型化を抑えるとともに、より一層安定した品質の半炭化物を生成することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記第1蒸気導入路が接続された前記半炭化路の内部温度が、300℃以上350℃以下の範囲であり、前記第2蒸気導入路が接続された前記乾燥路の内部温度が、150℃以上200℃以下の範囲であってもよい。
【0032】
この構成によれば、木質チップの半炭化に適した半炭化路の温度範囲に対して、木質チップの乾燥に適した乾燥路の温度範囲が低いため、半炭化物生成装置は、半炭化路で降温した過熱水蒸気を、再度昇温させることなく木質チップの乾燥に利用することができる。このため、半炭化物生成装置は、乾燥路及び半炭化路において、木質チップを効率よく加熱することができる。
【0033】
さらに、例えば半炭化路における木質チップの搬送速度または/および過熱水蒸気の流量を制御することによって、半炭化物生成装置は、第2蒸気導入路から乾燥路に導入される過熱水蒸気の温度を調整できるため、乾燥路の内部を150℃以上200℃以下の範囲に容易に制御することができる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記蒸気発生手段は、電磁誘導加熱によって前記過熱水蒸気を発生させる構成であってもよい。
この構成によれば、半炭化物生成装置は、水の加熱温度を容易に、かつ精度よく制御できるため、温度バラツキの少ない過熱水蒸気を蒸気導入路へ連続して供給することができる。
よって、半炭化物生成装置は、木質チップを安定して加熱することができるため、固形燃料としての品質のバラツキをさらに抑えた半炭化物を生成することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記半炭化路における前記第1連通路と前記第2連通路との間で、前記第1連通路側の内部温度を検知する入口側温度センサと、前記半炭化路における前記第1連通路と前記第2連通路との間で、前記半炭化路の前記第2連通路側の内部温度を検知する出口側温度センサと、前記入口側温度センサ及び前記出口側温度センサが検知した前記半炭化路の内部温度に基づいて、前記半炭化路に導入される過熱水蒸気の流量を制御する半炭化路蒸気流量制御手段とを備えてもよい。
【0036】
この構成によれば、半炭化物生成装置は、第1連通路と第2連通路との間において、半炭化路の内部温度を所望される温度に維持することができる。このため、半炭化物生成装置は、半炭化路の内部において、木質チップの自然発火を防止しながら、木質チップを安定して加熱することができる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記半炭化路の前記入口側温度センサ及び前記出口側温度センサが検知した前記半炭化路の内部温度に基づいて、前記半炭化路の前記スクリューフィーダの回転速度を制御する半炭化路制御手段を備えてもよい。
【0038】
この構成によれば、スクリューフィーダの回転速度を制御する半炭化路制御手段により、木質チップの搬送速度を調整できるため、半炭化物生成装置は、木質チップの加熱時間を、半炭化路の内部温度に基づいて容易に変更することができる。このため、半炭化物生成装置は、木質チップをより確実に加熱することができる。
さらに、半炭化物生成装置は、例えば含水率や形状が異なる木質チップを投入する場合、木質チップの加熱時間を変更することで、過熱水蒸気の温度を変更することなく木質チップから半炭化物を生成することができる。
【0039】
またこの発明の態様として、前記乾燥路における前記投入口と前記第1連通路との間で、前記投入口側の内部温度を検知する入口側温度センサと、前記乾燥路における前記投入口と前記第1連通路との間で、前記第1連通路側の内部温度を検知する出口側温度センサと、前記入口側温度センサ及び前記出口側温度センサが検知した前記乾燥路の内部温度に基づいて、前記乾燥路に導入される過熱水蒸気の流量を制御する乾燥路蒸気流量制御手段とを備えてもよい。
【0040】
この構成によれば、半炭化物生成装置は、投入口と第1連通路との間において、乾燥路の内部温度を所望される温度に維持することができる。このため、半炭化物生成装置は、乾燥路の内部において、木質チップが半炭化する、または炭化することを防止しながら、木質チップを安定して乾燥させることができる。
【0041】
またこの発明の態様として、前記乾燥路の前記入口側温度センサ及び前記出口側温度センサが検知した前記乾燥路の内部温度に基づいて、前記乾燥路の前記スクリューフィーダの回転速度を制御する乾燥路制御手段を備えてもよい。
【0042】
この構成によれば、スクリューフィーダの回転速度を制御する乾燥路制御手段により、木質チップの搬送速度を調整できるため、半炭化物生成装置は、木質チップの加熱時間を、乾燥路の内部温度に基づいて容易に変更することができる。このため、半炭化物生成装置は、木質チップを確実に乾燥させることができる。
さらに、半炭化物生成装置は、例えば含水率や形状が異なる木質チップを投入する場合、木質チップの加熱時間を変更することで、過熱水蒸気の温度を変更することなく木質チップを所望される含水率まで乾燥させることができる。
【0043】
またこの発明の態様として、前記冷却路は、前記スクリューフィーダを軸支する略筒状の筐体と、該筐体の外周面に設けられ、冷却水が流動するウォータージャケットと、前記半炭化物を外部に排出する排出口と、前記第2連通路と前記排出口の間で、前記排出口側の内部温度を検出する冷却路温度センサとで構成され、前記冷却路の内部温度が所定温度を上回る場合、前記ウォータージャケットに前記冷却水を供給する冷却水供給手段を備えてもよい。
【0044】
上記所定温度とは、例えば半炭化物の自然発火温度、または半炭化物の自然発火温度よりも低い温度などのことをいう。
この構成によれば、冷却水で間接的に半炭化物の温度を降温できるため、半炭化物生成装置は、自然冷却で半炭化物の温度を降温させる場合に比べて、効率よく確実に半炭化物を冷却することができる。
【0045】
さらに、冷却路における排出口側の内部温度を検出しているため、半炭化物生成装置は、半炭化物が十分に冷却されないまま外部に排出され、自然発火することを防止できる。
これにより、半炭化物生成装置は、均一な品質の半炭化物を安全に外部に排出することができる。このため、半炭化物生成装置は、搬送過程で半炭化物を自然冷却する場合に比べて、冷却路の全長を抑えることができる。
【0046】
またこの発明の態様として、前記乾燥路の前記投入口に向けて前記木質チップを搬送する搬入路を備え、該搬入路が、前記木質チップを搬送するスクリューフィーダを備えてもよい。
【0047】
この構成によれば、半炭化物生成装置は、例えばブロック状に固められた木質チップであっても、搬入路のスクリューフィーダによって木質チップの塊をほぐしながら、乾燥路の投入口へ向けて搬送することができる。
このため、半炭化物生成装置は、乾燥路の内部において、木質チップを過熱水蒸気により万遍なく接触させることができる。
【0048】
さらに、例えば乾燥路の筐体、半炭化路の筐体、及び冷却路の筐体よりも小径の搬入路に形成した場合、半炭化物生成装置は、小径の搬入路の内部を閉塞することなく搬送された木質チップを乾燥路に投入することができる。このため、半炭化物生成装置は、搬入路よりも大径の乾燥路、半炭化路、及び冷却路が木質チップによって閉塞されることを防止できる。
【0049】
加えて、木質チップの詰まりによる閉塞が小径の搬入路で生じ易くなるため、半炭化物生成装置は、閉塞を生じさせ易い大きさの木質チップが、乾燥路に投入されることを搬入路の閉塞によって阻止できるとともに、万一、閉塞が生じた場合であっても、閉塞場所の特定を容易にすることができる。
【0050】
またこの発明の態様として、前記乾燥路における前記第1連通路の近傍に、前記乾燥路の内部のガスを遠心力によって、水蒸気を含む気体と、油分を含む液体とに分離するガス分離器が接続されてもよい。
上記ガスは、例えば木質チップの乾燥に伴い揮発した油分を含む気体と、過熱水蒸気とが混合した気体のことをいう。
【0051】
この構成によれば、乾燥路の内部のガスを、水蒸気を含む気体と油分を含む液体とに分離できるため、半炭化物生成装置は、乾燥路の内部のガスを安全に外部に排出することができる。
さらに、半炭化物生成装置は、ガス分離器において、油分を含む液体を、油分と水分とにさらに分離することで、ガスをより安全に外部に排出することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明により、固形燃料としての品質が均一な半炭化物を生成できる半炭化物生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図5】前後方向に沿った鉛直断面における乾燥路及び半炭化路の概略を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態の半炭化物生成装置1は、杉や流木などの木質チップを過熱水蒸気で加熱して、固形燃料となる半炭化物を生成する装置である。このような半炭化物生成装置1ついて、
図1から
図6を用いて説明する。
【0055】
なお、
図1は半炭化物生成装置1の概略の正面図を示し、
図2は半炭化物生成装置1の概略の平面図を示し、
図3は半炭化物生成装置1のブロック図を示している。
さらに、
図4は半炭化物生成装置1の要部概略の正面図を示し、
図5は前後方向Xに沿った鉛直断面における乾燥路3及び半炭化路4の概略の断面図を示し、
図6は蒸気導入路9の概略図を示している。
【0056】
また、図示を明確にするため、
図1及び
図4中において、搬入路2、乾燥路3、半炭化路4、及び冷却路5を幅方向Yに沿った鉛直断面で図示している。
また、図中の上側を半炭化物生成装置1の上方とし、図中の下側を半炭化物生成装置1の下方として、図中の矢印Xは半炭化物生成装置1の前後方向(以下、前後方向Xとする)を示し、矢印Yは半炭化物生成装置1の幅方向(以下、幅方向Yとする)を示している。
【0057】
また、幅方向Yのうち、
図1中の左側へ向かう方向を幅方向Yの一方側とし、
図1中の右側へ向かう方向を幅方向Yの他方側とする。
また、本実施形態の木質チップは、微細部が4mm未満、主要部が4~26mm、粗大部が26~45mm、最大長が85mm未満の大きさで、含水率が33%以下のものとする。この木質チップは、樹木のカスケード利活用が可能な幹、枝条、小枝、及び梢端から生成されている。なお、樹木としては、針葉樹、広葉樹、早生樹、及び流木などとする。
【0058】
まず、半炭化物生成装置1は、
図1に示すように、木質チップの投入を受付けて、下方から斜め上方へ向かう搬送方向(
図1中の矢印T1参照)に搬送する搬入路2と、搬入路2から排出された木質チップを幅方向Yへ搬送する乾燥路3、半炭化路4、及び冷却路5とを備えている。
【0059】
さらに、半炭化物生成装置1は、
図1に示すように、乾燥路3の内部空間を半炭化路4の内部空間に連通させる第1連通路6と、半炭化路4の内部空間を冷却路5の内部空間に連通させる第2連通路7とを備えている。
【0060】
さらにまた、半炭化物生成装置1は、
図1及び
図2に示すように、純水を加熱して過熱水蒸気を発生させる蒸気発生器8と、過熱水蒸気を乾燥路3及び半炭化路4に導入する蒸気導入路9と、乾燥路3のガスを気体及び液体に分離するガス分離器10とを備えている。
加えて、半炭化物生成装置1は、
図1及び
図3に示すように、搬入路2、乾燥路3、半炭化路4、及び蒸気発生器8の動作を制御する制御装置11を備えている。
【0061】
詳述すると、搬入路2は、
図1に示すように、木質チップの搬送方向(下方から斜め上方)に延びる搬送路筐体21と、搬送路筐体21の内部に収容されたスクリューフィーダ22と、スクリューフィーダ22を回転させる駆動モーター23とを備えている。
【0062】
搬入路2の搬送路筐体21は、
図1に示すように、木質チップの搬送方向へ向けて延びる円筒状であって、搬送方向の両端が閉塞された形状に形成されている。なお、詳細な図示を省略するが、搬送路筐体21は、後述する乾燥路筐体31の円弧面の直径よりも小径に形成されている。
この搬送路筐体21には、上方から木質チップの投入を受け付ける投入口24が下端部に設けられ、搬送した木質チップを下方へ排出する排出口25が上端部に設けられている。
【0063】
また、搬入路2のスクリューフィーダ22は、木質チップの搬送方向に延びる軸体であって、搬送方向の両端が搬送路筐体21に回転自在に支持されている。このスクリューフィーダ22は、搬送方向に延びて搬送路筐体21に軸支される軸部(符号省略)と、軸部の外周面に立設され、搬送方向に沿って延びる螺旋状のスクリュー羽根(符号省略)とで構成されている。
【0064】
また、搬入路2の駆動モーター23は、搬送路筐体21の上端に取付けられるとともに、スクリューフィーダ22の上端側が連結されている。この駆動モーター23は、
図3に示すように、制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続され、制御装置11からの制御信号に基づいて駆動して、スクリューフィーダ22を回転させる。
【0065】
また、乾燥路3、半炭化路4、及び冷却路5は、
図1に示すように、搬入路2の排出口25の下方において、上方から下方へ向けてこの順番で並置されている。
具体的には、乾燥路3は、
図4の矢印T3で示すように、搬入路2の排出口25から排出された木質チップを、過熱水蒸気によって乾燥させながら、幅方向Yの一方側に向かう第1搬送方向T3へ搬送可能に構成されている。
【0066】
この乾燥路3は、
図4に示すように、幅方向Yに延びる乾燥路筐体31と、乾燥路筐体31の内部に収容されたスクリューフィーダ32と、スクリューフィーダ32を回転させる駆動モーター33と、乾燥路筐体31の内部温度を検知する入口側温度センサ34及び出口側温度センサ35とを備えている。
【0067】
具体的には、乾燥路3の乾燥路筐体31は、
図4及び
図5に示すように、幅方向Yに延びるとともに、幅方向Yの両端が閉塞された筒状体であって、前後方向Xに沿った鉛直断面における断面形状が、下方へ向けて突出した断面略逆蒲鉾形に形成されている。
【0068】
この乾燥路筐体31には、
図4に示すように、第1搬送方向T3の下流側(幅方向Yの一方側)における端部近傍の下面に第1連通路6が接続され、第1連通路6よりも幅方向Yの一方側の側面にガス分離器10が接続されている。
さらに、乾燥路筐体31には、
図4に示すように、搬入路2が排出した木質チップを受け付けるホッパー36と、内部で発生した凝縮水を排水する排水路37が接続されている。
【0069】
より詳しくは、ホッパー36は、
図4に示すように、第1搬送方向T3の上流側(幅方向Yの他方側)の端部近傍において、乾燥路筐体31の上面に接続されている。このホッパー36は、上方が開口した筒状体であって、乾燥路筐体31の内部空間と外部とを連通させている。
排水路37は、
図4に示すように、ガス分離器10が接続される箇所よりも幅方向Yの一方側において、乾燥路筐体31の下面に接続されている。
【0070】
ここで、乾燥路筐体31についてさらに詳述する。乾燥路筐体31は、
図5に示すように、前後方向Xに沿った鉛直断面において、下方へ突出した半円状の底面部31aと、底面部31aの両端から上方へ立設された側面部31bと、側面部31bの上端を連結する平板状の上面部31cとで断面略逆蒲鉾形に形成されている。
【0071】
この乾燥路筐体31の上面部31cには、
図5に示すように、側面部31bの近傍に隣接するとともに、蒸気導入路9(後述する第2蒸気導入路92)が接続される一対の接続部31dが上方へ向けて突設されている。
【0072】
換言すると、乾燥路筐体31は、側面部31bと上面部31cとで形成される上方の隅角部に、蒸気導入路9(後述する第2蒸気導入路92)が接続されている。
なお、乾燥路筐体31の底面部31aは、スクリューフィーダ32よりも僅かに大径で、スクリューフィーダ32と同心円の半円状に形成されている。
【0073】
また、乾燥路3のスクリューフィーダ32は、
図4に示すように、幅方向Yに延びる軸体であって、幅方向Yの両端が乾燥路筐体31に回転自在に支持されている。なお、スクリューフィーダ32は、乾燥路筐体31の底面部31aに対して同軸上に配置されている。
【0074】
具体的には、スクリューフィーダ32は、
図4及び
図5に示すように、幅方向Yに延びて乾燥路筐体31に軸支される軸部32aと、軸部32aの外周面に立設され、幅方向Yに沿って延びる螺旋状のスクリュー羽根32bとで構成されている。
【0075】
このスクリュー羽根32bは、第1連通路6よりも幅方向Yの他方側が、木質チップを第1搬送方向T3(幅方向Yの一方側)へ搬送可能に形成され、第1連通路6よりも幅方向Yの一方側が、木質チップを第1搬送方向T3とは逆方向(幅方向Yの他方側)へ搬送可能に形成されている。
【0076】
また、乾燥路3の駆動モーター33は、幅方向Yの他方側における乾燥路筐体31の端部に取付けられるとともに、スクリューフィーダ32の軸部32aが連結されている。この駆動モーター33は、
図3に示すように、制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続され、制御装置11からの制御信号に基づいて駆動して、スクリューフィーダ32を回転させる。
【0077】
また、乾燥路3の入口側温度センサ34及び出口側温度センサ35は、
図3に示すように、制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続され、乾燥路3の内部温度を検知するとともに、検知した内部温度を示す信号を制御装置11に出力するように構成されている。
【0078】
具体的には、入口側温度センサ34は、
図4に示すように、ホッパー36と第1連通路6との間におけるホッパー36側に配置されている。
一方、出口側温度センサ35は、
図4に示すように、ホッパー36と第1連通路6との間における第1連通路6側に配置されている。
【0079】
また、半炭化路4は、
図4の矢印T5で示すように、乾燥路3で乾燥した木質チップを、過熱水蒸気によってさらに加熱しながら、幅方向Yの他方側に向かう第2搬送方向T5へ搬送可能に構成されている。
なお、半炭化路4の内部を搬送される木質チップは、加熱によって半炭化し、半炭化物として冷却路5へ搬出される。
【0080】
この半炭化路4は、
図4に示すように、幅方向Yに延びる炭化路筐体41と、炭化路筐体41の内部に収容されたスクリューフィーダ42と、スクリューフィーダ42を回転させる駆動モーター43と、炭化路筐体41の内部温度を検知する入口側温度センサ44及び出口側温度センサ45とを備えている。
なお、半炭化路4の炭化路筐体41及びスクリューフィーダ42は、乾燥路3の乾燥路筐体31及びスクリューフィーダ32と略同じ大きさに形成されている。
【0081】
具体的には、半炭化路4の炭化路筐体41は、
図4及び
図5に示すように、幅方向Yに延びるとともに、幅方向Yの両端が閉塞された筒状体であって、前後方向Xに沿った鉛直断面における断面形状が、下方へ向けて突出した断面略逆蒲鉾形に形成されている。
【0082】
この炭化路筐体41には、
図4に示すように、第2搬送方向T5の上流側(幅方向Yの一方側)における端部近傍の上面に第1連通路6が接続され、第2搬送方向T5の下流側(幅方向Yの他方側)における端部近傍の下面に第2連通路7が接続されている。
【0083】
さらに、炭化路筐体41には、
図4に示すように、内部で発生した凝縮水を排水する排水路46が接続されている。この排水路46は、第1連通路6よりも幅方向Yの一方側において、炭化路筐体41の下面に接続されている。
【0084】
ここで、炭化路筐体41についてさらに詳述する。炭化路筐体41は、
図5に示すように、前後方向Xに沿った鉛直断面において、下方へ突出した半円状の底面部41aと、底面部41aの両端から上方へ立設された側面部41bと、側面部41bの上端を連結する平板状の上面部41cとで断面略逆蒲鉾形に形成されている。
【0085】
この炭化路筐体41の上面部41cには、
図5に示すように、側面部41bの近傍に隣接するとともに、蒸気導入路9(後述する第1蒸気導入路91)が接続される一対の接続部41dが上方へ向けて突設されている。
【0086】
換言すると、炭化路筐体41は、乾燥路3と同様に、側面部41bと上面部41cとで形成される上方の隅角部に、蒸気導入路9(後述する第1蒸気導入路91)が接続されている。
なお、炭化路筐体41の底面部41aは、スクリューフィーダ42よりも僅かに大径で、スクリューフィーダ42と同心円の半円状に形成されている。
【0087】
また、半炭化路4のスクリューフィーダ42は、
図4に示すように、幅方向Yに延びる軸体であって、幅方向Yの両端が炭化路筐体41に回転自在に支持されている。なお、スクリューフィーダ42は、炭化路筐体41の底面部41aに対して同軸上に配置されている。
【0088】
具体的には、スクリューフィーダ42は、
図4及び
図5に示すように、幅方向Yに延びて炭化路筐体41に軸支される軸部42aと、軸部42aの外周面に立設され、幅方向Yに沿って延びる螺旋状のスクリュー羽根42bとで構成されている。
【0089】
このスクリュー羽根42bは、第2連通路7よりも幅方向Yの一方側が、木質チップを第2搬送方向T5(幅方向Yの他方側)へ搬送可能に形成され、第2連通路7よりも幅方向Yの他方側が、木質チップを第2搬送方向T5とは逆方向(幅方向Yの一方側)へ搬送可能に形成されている。
【0090】
また、半炭化路4の駆動モーター43は、幅方向Yの他方側における炭化路筐体41の端部に取付けられるとともに、スクリューフィーダ42の軸部42aが連結されている。この駆動モーター43は、
図3に示すように、制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続され、制御装置11からの制御信号に基づいて駆動して、スクリューフィーダ42を回転させる。
【0091】
また、半炭化路4の入口側温度センサ44及び出口側温度センサ45は、
図3に示すように、制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続され、半炭化路4の内部温度を検知するとともに、検知した内部温度を示す信号を制御装置11に出力するように構成されている。
【0092】
具体的には、入口側温度センサ44は、
図4に示すように、第1連通路6と第2連通路7との間における第1連通路6側に配置されている。
一方、出口側温度センサ45は、
図4に示すように、第1連通路6と第2連通路7との間における第2連通路7側に配置されている。
【0093】
また、冷却路5は、
図4の矢印T7で示すように、第2連通路7を介して半炭化路4から供給された半炭化物を、冷却水によって自然発火しない温度まで冷却しながら、幅方向Yの一方側に向かう第3搬送方向T7へ搬送可能に構成されている。
【0094】
この冷却路5は、
図4に示すように、幅方向Yに延びる冷却路筐体51と、冷却路筐体51の内部に収容されたスクリューフィーダ52と、スクリューフィーダ52を回転させる駆動モーター53とを備えている。
【0095】
さらに、冷却路5は、冷却路筐体51の外周面に設けたウォータージャケット54と、冷却路筐体51の内部温度を検知する冷却路温度センサ55とを備えている。
なお、冷却路5のスクリューフィーダ52は、乾燥路3のスクリューフィーダ32と略同じ大きさに形成されている。
【0096】
具体的には、冷却路5の冷却路筐体51は、
図4に示すように、スクリューフィーダ52よりも僅かに大径で、スクリューフィーダ52と同心円の円筒状であって、幅方向Yの両端が閉塞された形状に形成されている。
【0097】
この冷却路筐体51には、
図4に示すように、第3搬送方向T7の上流側(幅方向Yの他方側)における端部近傍の上面に第2連通路7が接続され、第3搬送方向T7の下流側(幅方向Yの一方側)における端部近傍の下面に、冷却した半炭化物を下方に排出する排出口56が接続されている。
【0098】
また、冷却路5のスクリューフィーダ52は、
図4に示すように、幅方向Yに延びる軸体であって、幅方向Yの両端が冷却路筐体51に回転自在に支持されている。このスクリューフィーダ52は、
図4に示すように、幅方向Yに延びて冷却路筐体51に軸支される軸部52aと、軸部52aの外周面に立設され、幅方向Yに沿って延びる螺旋状のスクリュー羽根52bとで構成されている。
【0099】
このスクリュー羽根52bは、排出口56よりも幅方向Yの他方側が、半炭化物を第3搬送方向T7(幅方向Yの一方側)へ搬送可能に形成され、排出口56よりも幅方向Yの一方側が、半炭化物を第3搬送方向T7とは逆方向(幅方向Yの他方側)へ搬送可能に形成されている。
【0100】
また、冷却路5の駆動モーター53は、幅方向Yの他方側における冷却路筐体51の端部に取付けられるとともに、スクリューフィーダ52の軸部52aが連結されている。この駆動モーター53は、
図3に示すように、制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続され、制御装置11からの制御信号に基づいて駆動して、スクリューフィーダ52を回転させる。
【0101】
また、冷却路5のウォータージャケット54は、
図4に示すように、第2連通路7と排出口56との間において、冷却路筐体51の外周面とで閉断面をなすように形成されている。このウォータージャケット54は、
図4に示すように、第2連通路7側に接続された給水管54aを介して、冷却水が内部に注水されるとともに、排出口56側に接続された排水管54bを介して、冷却水が外部に排水される。
【0102】
なお、給水管54aには、
図6に示すように、圧送ポンプ57及び注水弁58が、水源側からウォータージャケット54へ向けてこの順番で設けられている。
具体的には、圧送ポンプ57は、
図3に示すように、制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続されたポンプである。この圧送ポンプ57は、制御装置11からの制御信号に基づいて、ウォータージャケット54へ向けた冷却水の圧送と、圧送の停止とを切替え可能に構成されている。
【0103】
一方、注水弁58は、
図3に示すように、制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続された電磁弁である。この注水弁58は、制御装置11からの制御信号に基づいて、ウォータージャケット54への注水と、注水の停止とを切替え可能に構成されている。
【0104】
また、冷却路5の冷却路温度センサ55は、
図3に示すように、制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続され、冷却路5の内部温度を検知するとともに、検知した内部温度を示す信号を制御装置11に出力するように構成されている。この冷却路温度センサ55は、
図4に示すように、ウォータージャケット54と排出口56との間における排出口56側に配置されている。
【0105】
また、蒸気発生器8は、図示を省略した純水生成器から供給された純水を加熱して、300℃以上700℃以下の過熱水蒸気を発生させる装置である。この蒸気発生器8は、
図6に示すように、図示を省略した純水生成器と蒸気導入路9とを接続する配管部81と、配管部81を流動する純水を加熱して飽和水蒸気を発生させる飽和蒸気発生部82とを備えている。
【0106】
さらに、蒸気発生器8は、
図6に示すように、配管部81を流動する飽和水蒸気を、さらに過熱して過熱水蒸気を発生させる過熱蒸気発生部83と、過熱蒸気発生部83よりも下流側の配管部81に設けた流量調整弁84とを備えている。
【0107】
より詳しくは、飽和蒸気発生部82は、配管部81を流動する純水を、電磁誘導加熱によって加熱して飽和水蒸気を発生させている。一方、過熱蒸気発生部83は、配管部81の内部を流動する飽和水蒸気を、電磁誘導加熱によって加熱して過熱水蒸気を発生させている。
【0108】
この飽和蒸気発生部82及び過熱蒸気発生部83は、
図3に示すように、それぞれ制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続され、制御装置11からの制御信号に基づいて動作するように構成されている。
【0109】
また、蒸気発生器8の流量調整弁84は、
図3に示すように、制御装置11(後述する制御部11d)に電気的に接続された電磁弁である。この流量調整弁84は、制御装置11からの制御信号に基づいて開度が調整され、蒸気導入路9へ向かう飽和水蒸気の流量を調整可能に構成されている。
【0110】
また、蒸気導入路9は、
図5及び
図6に示すように、蒸気発生器8の配管部81を半炭化路4に接続する第1蒸気導入路91と、半炭化路4を乾燥路3に接続する三つ一組の第2蒸気導入路92とで構成されている。
【0111】
第1蒸気導入路91は、
図5及び
図6に示すように、蒸気発生器8を半炭化路4に連通させる配管部93と、配管部93の先端に設けた拡散ノズル94とで構成されている。
【0112】
第1蒸気導入路91の配管部93は、一端が蒸気発生器8に接続され、乾燥路3と半炭化路4との間で幅方向Yに分岐し、さらに半炭化路4の近傍で前後方向Xに分岐したのち、半炭化路4の接続部41dに接続されている。
【0113】
具体的には、配管部93は、
図5及び
図6に示すように、蒸気発生器8に一端が接続された1つの導入配管93aと、導入配管93aから3つに分岐した第1分岐配管93bと、第1分岐配管93bの各端部から2つに分岐した第2分岐配管93cとで構成されている。
【0114】
配管部93の導入配管93aは、
図5及び
図6に示すように、蒸気発生器8に接続された一端から乾燥路3と半炭化路4との間へ向けて延設されている。なお、導入配管93aは、第1連通路6と第2連通路7との間における幅方向Yの略中央に先端が位置するように配設されている。
【0115】
また、配管部93の第1分岐配管93bは、
図2、
図4、及び
図6に示すように、乾燥路3と半炭化路4との間において、導入配管93aの先端から下方側と、幅方向Yの一方側と、幅方向Yの他方側との三方向へ向けて分岐している。
なお、第1分岐配管93bは、幅方向Yの一方側へ向けて分岐した部分と、幅方向Yの他方側へ向けて分岐した部分とが、略等長となるように形成されている。
【0116】
この第1分岐配管93bのうち、幅方向Yの一方側へ向けて分岐した部分は、
図4及び
図6に示すように、第1連通路6と入口側温度センサ44との間において、下方へ屈曲する形状に形成されている。
【0117】
一方、第1分岐配管93bのうち、幅方向Yの他方側へ向けて分岐した部分は、
図4及び
図6に示すように、出口側温度センサ45と第2連通路7との間において、下方へ屈曲する形状に形成されている。
【0118】
また、配管部93の第2分岐配管93cは、
図5及び
図6に示すように、第1分岐配管93bの先端から前後方向Xへ2つに等分岐され、炭化路筐体41の接続部41dに接続されている。なお、第2分岐配管93cは、第1分岐配管93bの先端から半炭化路4に至る長さが等長となるように形成されている。
【0119】
また、第1蒸気導入路91の拡散ノズル94は、
図5に示すように、炭化路筐体41における接続部41dの内部に配置され、接続部41dの内部に突出した第2分岐配管93cの先端に接続されている。この拡散ノズル94は、蒸気発生器8から送られた過熱水蒸気を、多方向へ向けて拡散噴射して、炭化路筐体41の内部へ導入するように構成されている。
【0120】
より詳しくは、拡散ノズル94は、炭化路筐体41の底面部41aに対向する下面に、前後方向X及び幅方向Yの多方向へ向けて開口した複数の噴射口(図示省略)を有する形状に形成されている。なお、拡散ノズル94の噴射口は、炭化路筐体41の底面部41aにまで過熱水蒸気が行き渡るように最適化されている。
【0121】
また、蒸気導入路9の三つ一組の第2蒸気導入路92は、
図5及び
図6に示すように、半炭化路4の内部空間を乾燥路3の内部空間に連通させる一対三組の配管部95と、配管部95に設けた流量調整弁96と、配管部95の先端に設けた拡散ノズル97とを備えている。
【0122】
具体的には、第2蒸気導入路92の配管部95は、
図5及び
図6に示すように、第1蒸気導入路91の第2分岐配管93cに隣接する位置において、前後方向Xに対向配置されている。この配管部95は、
図5に示すように、上下方向に延びる配管であって、下端が半炭化路4の側面部41bに接続され、上端が乾燥路3の接続部31dに上方から接続されている。
【0123】
また、第2蒸気導入路92の流量調整弁96は、作業員の操作によって開度を調整可能な手動式の弁である。この流量調整弁96は、半炭化路4から乾燥路3へ向けて配管部95を流動する過熱水蒸気の流量を調整するために設けている。
【0124】
また、第2蒸気導入路92の拡散ノズル97は、
図5に示すように、乾燥路筐体31における接続部31dの内部に配置され、接続部31dの内部に突出した配管部95の先端に接続されている。
【0125】
この拡散ノズル97は、第1蒸気導入路91の拡散ノズル94と同様の構成であって、半炭化路4から送られた過熱水蒸気を、多方向へ向けて拡散噴射して、乾燥路筐体31の内部へ導入するように構成されている。
【0126】
なお、拡散ノズル97は、第1蒸気導入路91の拡散ノズル94と同じ構成のため、その詳細な説明を省略するが、乾燥路筐体31の底面部31aにまで過熱水蒸気が行き渡るように最適化されている。
【0127】
また、ガス分離器10は、
図6に示すように、乾燥路3における幅方向Yの一方側端部に設けた開口に接続され、乾燥路3の内部のガスを遠心力によって分離して外部に排出するように構成されている。
なお、乾燥路3の内部のガスは、例えば木質チップの乾燥に伴い揮発した油分を含む気体と、過熱水蒸気とが混合した気体とする。
【0128】
このガス分離器10は、
図6に示すように、粉末分離器と同様の構成であって、乾燥路3の開口に接続された接続管10aと、水蒸気を含む気体と油分を含む液体とにガスを分離する第1分離部10bとを備えている。
【0129】
さらに、ガス分離器10は、
図6に示すように、第1分離部10bの内部で分離した気体を外部に排出する煙突部10cと、第1分離部10bの内部で分離した液体をさらに油分と水分とに分離する第2分離部10dとを備えている。
【0130】
具体的には、第1分離部10bは、
図6に示すように、下方へ向かうほど先細の漏斗状であって、その上部に接続管10aが接続されている。この第1分離部10bは、接続管10aを介して導入したガスを内周面に沿って旋回させ、ガスの流れを渦巻き状に変化させるように形成されている。
【0131】
第2分離部10dは、
図6に示すように、第1分離部10bの下方に配置され、遠心力によって分離した油分を含む液体を一時貯留して、油分と水分とに分離可能に構成されている。
【0132】
また、制御装置11は、
図3に示すように、各種情報を記憶する記憶部11aと、各種情報を表示する表示部11bと、作業員の各種操作を受付ける操作受付部11cと、これらの動作を制御する制御部11dとを備えている。
さらに、制御部11dは、
図3に示すように、搬入路2、乾燥路3、半炭化路4、冷却路5、及び蒸気発生器8に接続され、それぞれの動作を制御する機能を有している。
【0133】
具体的には、記憶部11aは、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。この記憶部11aは、表示部11bに表示される画面に関する情報などが記憶されている。
表示部11bは、例えば液晶ディスプレイなどで構成され、作業者に対して各種情報を表示する機能を有している。
【0134】
操作受付部11cは、例えば搬入路2、乾燥路3、半炭化路4、冷却路5、及び蒸気発生器8を操作するためのボタン、スイッチ、あるいはタッチパネルなどで構成されている。この操作受付部11cは、作業者の各種操作を受付ける機能と、受付けた操作を示す情報を制御部11dへ出力する機能とを有している。
【0135】
制御部11dは、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成され、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0136】
さらに、制御部11dは、搬入路2の駆動モーター23と、乾燥路3の駆動モーター33、入口側温度センサ34、及び出口側温度センサ35と、半炭化路4の駆動モーター43、入口側温度センサ44、及び出口側温度センサ45との各種信号の授受に係る処理機能を有している。
【0137】
加えて、制御部11dは、冷却路5の冷却路温度センサ55、圧送ポンプ57、及び注水弁58と、蒸気発生器8の飽和蒸気発生部82、過熱蒸気発生部83、及び流量調整弁84との各種信号の授受に係る処理機能を有している。
なお、制御部11dは、PID制御によって流量調整弁84の開度を調整する
【0138】
引き続き、上述した構成の半炭化物生成装置1において、搬入路2の投入口24に投入された木質チップの搬送過程と、蒸気発生器8が発生させた過熱水蒸気の流れとを説明する。
【0139】
まず、搬入路2の投入口24に投入された木質チップの搬送過程について説明する。作業者が搬入路2の投入口24に木質チップを投入すると、木質チップは、
図1の矢印T1で示すように、搬入路2のスクリューフィーダ22によって下方から斜め上方へ向けて搬送される。
この際、搬入路2のスクリューフィーダ22は、木質チップを適度にほぐしながら、乾燥路3へ向けて搬送する。
【0140】
その後、木質チップは、
図1の矢印T2で示すように、搬入路2の排出口25から、乾燥路3のホッパー36へ向けて搬出される。
乾燥路3に搬出された木質チップは、
図4に示すように、乾燥路3のスクリューフィーダ32によって、第1搬送方向T3(幅方向Yの他方側から一方側)へ向けて搬送される。
【0141】
この際、木質チップCは、
図5に示すように、スクリューフィーダ32によって上方へ巻き上げられるとともに、乾燥路3に供給された過熱水蒸気によって乾燥しながら搬送される。
その後、木質チップは、
図4の矢印T4で示すように、第1連通路6を介して乾燥路3から半炭化路4に搬出される。
【0142】
第1連通路6から半炭化路4に搬出された木質チップは、
図4に示すように、半炭化路4のスクリューフィーダ42によって、第2搬送方向T5(幅方向Yの一方側から他方側)へ向けて搬送される。
【0143】
この際、木質チップCは、
図5に示すように、スクリューフィーダ42によって上方へ巻き上げられるとともに、半炭化路4に供給された過熱水蒸気によって加熱され、半炭化物となりながら搬送される。
【0144】
その後、木質チップが半炭化した半炭化物は、
図4の矢印T6で示すように、第2連通路7を介して半炭化路4から冷却路5に搬出される。
第2連通路7から冷却路5に搬出された半炭化物は、
図4に示すように、冷却路5のスクリューフィーダ52によって、第3搬送方向T7(幅方向Yの他方側から一方側)へ向けて搬送される。
【0145】
この際、半炭化物は、自然冷却、またはウォータージャケット54の冷却水との熱交換による間接的な冷却によって、その温度が降温しながら搬送される。その後、半炭化物は、
図4の矢印T8で示すように、冷却路5の排出口56を介して外部に排出される。
【0146】
次に、蒸気発生器8が発生させた過熱水蒸気の流れについて説明する。蒸気発生器8が発生させた300℃以上700℃以下の過熱水蒸気は、
図5及び
図6の矢印W1で示すように、蒸気発生器8から第1蒸気導入路91を介して半炭化路4に供給される。この際、半炭化路4には、内部温度を300℃以上350℃以下に保つ流量の過熱水蒸気が供給される。
【0147】
その後、過熱水蒸気は、半炭化路4の内部において、木質チップの加熱に用いられたのち、第2蒸気導入路92を介して乾燥路3に供給される(
図5及び
図6の矢印W2参照)。この際、乾燥路3には、内部温度を150℃以上200℃以下に保つ流量の過熱水蒸気が供給される。
【0148】
乾燥路3に導入された過熱水蒸気は、乾燥路3の内部において、木質チップの乾燥に用いられたのち、木質チップの乾燥に伴って揮発した油分などを含むガスとなってガス分離器10へ流動する(
図6の矢印W3参照)。
【0149】
その後、ガス分離器10へ流動したガスは、
図6の矢印W4で示すように、第1分離部10bによって渦巻き状に旋回開始し、旋回による遠心力で油分を含む液体成分と水蒸気を含む気体成分とに分離して外部に排出される。
【0150】
具体的には、水蒸気を含む気体成分は、煙突部10cを介して外部に排出される。一方、油分を含む液体成分は、第1分離部10bの内周面に付着したのち、下方へ移動して第2分離部10dに一時貯留されるとともに、第2分離部10dで油分と水分とに分離される。
分離した油分と水分のうち、油分は、廃油ポンプ(図示省略)を介して外部に排出され、水分は、水素イオン指数が調整されたのち外部に排出される。
【0151】
また、半炭化路4の内部において、過熱水蒸気が凝縮した凝縮水は、
図6の矢印W5で示すように、排水路46を介して外部に排水される。同様に、乾燥路3の内部において、過熱水蒸気が凝縮した凝縮水は、
図6の矢印W6で示すように、排水路37を介して外部に排水される。
【0152】
次に、上述した搬入路2の投入口24に投入された木質チップの搬送と、蒸気発生器8が発生させた過熱水蒸気の流れとを実現する半炭化物生成装置1において、制御装置11の制御部11dの動作について説明する。
【0153】
制御装置11の操作受付部11cが、過熱水蒸気を発生させる作業者の操作を受付けると、制御装置11の制御部11dは、蒸気発生器8に制御信号を出力して、300℃以上700℃以下の過熱水蒸気を発生させる。
【0154】
具体的には、蒸気発生器8は、飽和蒸気発生部82が電磁誘導加熱によって、配管部81の純水を加熱して飽和水蒸気を発生させ、過熱蒸気発生部83が電磁誘導加熱によって、配管部81の飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を発生させる。
【0155】
さらに、制御装置11の制御部11dは、蒸気発生器8の流量調整弁84を開弁して、過熱水蒸気を半炭化路4の内部に導入させる。この際、制御部11dは、半炭化路4の入口側温度センサ44及び出口側温度センサ45が検知した内部温度に基づいて、半炭化路4の内部温度が300℃以上350℃以下の範囲になるように、半炭化路4へ向かう過熱水蒸気の流量を流量調整弁84によって調整する。
【0156】
なお、作業者は、乾燥路3の内部温度が150℃以上200℃以下となるように、第2蒸気導入路92の流量調整弁96の開度を手動によって調整する。
また、制御装置11の操作受付部11cが、半炭化物の生成を開始する作業者の操作を受付けると、制御装置11の制御部11dは、搬入路2、乾燥路3、半炭化路4、及び冷却路5をそれぞれ動作させる。
【0157】
具体的には、制御部11dは、搬入路2の駆動モーター23、乾燥路3の駆動モーター33、半炭化路4の駆動モーター43、及び冷却路5の駆動モーター53に制御信号を出力して、それぞれ所定の回転速度で回転駆動させる。
【0158】
さらに、制御部11dは、冷却路5の圧送ポンプ57に制御信号を出力して圧送ポンプ57を作動させるとともに、冷却路5の注水弁58に制御信号を出力して、注水弁58を閉弁させる。
【0159】
その後、制御装置11の制御部11dは、半炭化路4の入口側温度センサ44及び出口側温度センサ45が検知した内部温度に基づいて、半炭化路4の内部温度が300℃以上350℃以下となるように、過熱水蒸気の流量を流量調整弁84によって調整する。
【0160】
この際、制御部11dは、300℃以上350℃以下の温度範囲における低温側の閾値と入口側温度センサ44が検知する内部温度とを比較判定し、高温側の閾値と出口側温度センサ45が検知した内部温度とを比較判定して、流量調整弁84の開度を決定する。
【0161】
例えば、低温側の閾値を300℃とし、高温側の閾値を350℃として、半炭化路4の入口側温度センサ44が検知した温度が300℃未満の場合、制御部11dは、流量調整弁84の開度を大きくし、半炭化路4に導入される過熱水蒸気の流量を増量させる。
【0162】
一方、半炭化路4の出口側温度センサ45が検知した温度が350℃を上回る場合、制御部11dは、流量調整弁84の開度を小さくし、半炭化路4に導入される過熱水蒸気の流量を減量させる。
【0163】
さらにまた、制御装置11の制御部11dは、冷却路5の冷却路温度センサ55が検知した冷却路5の内部温度に基づいて注水弁58の状態を決定し、冷却水による半炭化物の冷却と、半炭化物の冷却の停止とを行わせる。
【0164】
例えば、冷却路5の冷却路温度センサ55が検知した内部温度が80℃以上の場合、制御部11dは、注水弁58を開弁させ、圧送ポンプ57で圧送された冷却水をウォータージャケット54に注水する。
【0165】
一方、冷却路5の冷却路温度センサ55が検知した温度が80℃未満の場合、制御部11dは、注水弁58を閉弁させ、ウォータージャケット54への冷却水の注水を停止する。
このようにして、半炭化物生成装置1は、半炭化路4の内部温度を制御しながら、木質チップを過熱水蒸気によって加熱して半炭化させることで、良好な量のガスを発生させる半炭化物を生成できる。
【0166】
例えば、半炭化物生成装置1は、半炭化路4の内部温度を300℃に維持した場合、40×103L/400minのガスが発生する半炭化物を生成でき、半炭化路4の内部温度を350℃に維持した場合、25×103L/400minのガスが発生する半炭化物を生成できる。
【0167】
以上のように、本実施形態の半炭化物生成装置1は、木質チップが投入されるホッパー36を有するとともに、木質チップをスクリューフィーダ32によって第1搬送方向T3へ搬送しながら乾燥させる乾燥路3を備えた装置である。
さらに、半炭化物生成装置1は、乾燥した木質チップを、スクリューフィーダ42によって第2搬送方向T5へ搬送しながら半炭化させる半炭化路4を備えた装置である。
【0168】
加えて、半炭化物生成装置1は、木質チップが半炭化した半炭化物を、スクリューフィーダ52によって第3搬送方向T7へ搬送しながら冷却する冷却路5を備え、乾燥路3、半炭化路4、及び冷却路5が上方からこの順番で並置された装置である。
【0169】
このような半炭化物生成装置1は、乾燥路3における第1搬送方向T3の下流側と半炭化路4における第2搬送方向T5の上流側とを連通させる第1連通路6と、半炭化路4における第2搬送方向T5の下流側と冷却路5における第3搬送方向T7の上流側とを連通させる第2連通路7とを備えたものである。
【0170】
さらに、半炭化物生成装置1は、純水を加熱して過熱水蒸気を発生させる蒸気発生手段(蒸気発生器8、制御部11d)と、蒸気発生器8で発生した過熱水蒸気を乾燥路3の内部空間及び半炭化路4の内部空間に導入する蒸気導入路9とを備えたものである。
【0171】
さらにまた、半炭化物生成装置1は、乾燥路3が、スクリューフィーダ32を軸支するとともに、円弧面が下方へ突出した断面略逆蒲鉾形の筒状の筐体(乾燥路筐体31)を備えたものである。
【0172】
加えて、半炭化物生成装置1は、半炭化路4が、スクリューフィーダ42を軸支するとともに、円弧面が下方へ突出した断面略逆蒲鉾形の筒状の筐体(炭化路筐体41)を備えたものである。
そして、半炭化物生成装置1は、蒸気導入路9が、筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)の上方の隅角部に接続されたものである。
【0173】
この構成によれば、半炭化物生成装置1は、木質チップを万遍なく加熱することができるため、固形燃料としての品質が均一な半炭化物を生成することができる。
具体的には、筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)が断面略逆蒲鉾形の筒状に形成されているため、乾燥路3及び半炭化路4は、筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)の上方の隅角部に、スクリューフィーダ32,42の上部に対して前後方向Xで隣接する内部空間を形成することができる。
【0174】
このような筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)の隅角部に蒸気導入路9が接続されているため、乾燥路3及び半炭化路4は、蒸気導入路9の先端がスクリューフィーダ32,42に干渉することがない。
【0175】
これにより、半炭化物生成装置1は、乾燥路3及び半炭化路4において、筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)の上面部31c,41cをスクリューフィーダ32,42の上端に近づけて、蒸気導入路9の先端と筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)の底面部31a,41aとの間隔を短くすることができる。
【0176】
このため、半炭化物生成装置1は、乾燥路3及び半炭化路4において、筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)の底面部31a,41aにまで過熱水蒸気を均一に行き渡らせることができる。
【0177】
さらに、巻き上げられた木質チップが、スクリューフィーダ32,42の上部に前後方向Xで隣接する内部空間を通るため、半炭化物生成装置1は、木質チップを過熱水蒸気に効率よく、かつ確実に接触させることができる。
したがって、半炭化物生成装置1は、木質チップを万遍なく加熱することができるため、固形燃料としての品質が均一な半炭化物を生成することができる。
【0178】
また、蒸気導入路9は、スクリューフィーダ32,42へ向けて過熱水蒸気を拡散して噴射する拡散ノズル94,97を備えたものである。
この構成によれば、過熱水蒸気を筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)の内部に拡散して噴射できるため、半炭化物生成装置1は、乾燥路3の底面部31a、及び半炭化路4の底面部41aにまで過熱水蒸気をより行き渡らせることができる。
【0179】
このため、半炭化物生成装置1は、乾燥路3の内部温度、及び半炭化路4の内部温度をより均一にできるとともに、木質チップに過熱水蒸気をより確実に接触させることができる。
これにより、半炭化物生成装置1は、木質チップをより万遍なく加熱することができる。
【0180】
また、蒸気導入路9は、筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)の外部において、所定の分岐箇所で等分岐した先端が筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)の両側の隅角部に接続された構成である。
【0181】
この構成によれば、筐体(乾燥路筐体31、炭化路筐体41)の外部で等分岐しているため、蒸気導入路9が、筐体の二つの隅角部に接続されることになる。
このため、半炭化物生成装置1は、蒸気導入路が一方の隅角部にのみ接続された場合に比べて、乾燥路3の内部及び半炭化路4の内部に過熱水蒸気をより万遍なく充填させることができる。
【0182】
この際、蒸気導入路9が等分岐しているため、半炭化物生成装置1は、過熱水蒸気の噴射圧力がばらつくことを抑えることができる。
これにより、半炭化物生成装置1は、乾燥路3及び半炭化路4において、筐体の底面部31a,41aにまでムラなく過熱水蒸気を行き渡らせることができるため、木質チップをより均一に加熱することができる。
【0183】
また、乾燥路3は、ホッパー36と第1連通路6との間において、第1搬送方向T3に所定間隔を隔てた位置に蒸気導入路9がそれぞれ接続された構成である。さらに、半炭化路4は、第1連通路6と第2連通路7との間において、第2搬送方向T5に所定間隔を隔てた位置に蒸気導入路9がそれぞれ接続された構成である。
【0184】
この構成によれば、半炭化物生成装置1は、乾燥路3の内部をホッパー36から第1連通路6へ向けて搬送される木質チップ、及び半炭化路4の内部を第1連通路6から第2連通路7へ向けて搬送される木質チップを連続して加熱することができる。
これにより、半炭化物生成装置1は、固形燃料としての品質がより均一な半炭化物を生成することができる。
【0185】
また、蒸気導入路9は、蒸気発生器8と半炭化路4とを接続する第1蒸気導入路91と、半炭化路4と乾燥路3とを接続する第2蒸気導入路92とで構成されたものである。
【0186】
この構成によれば、蒸気発生器8で発生した過熱水蒸気を第1蒸気導入路91を介して半炭化路4に直接的に導入できるため、半炭化物生成装置1は、半炭化路4の内部温度を所望される温度に容易に制御することができる。このため、半炭化物生成装置1は、半炭化路4において、所望される品質の半炭化物を生成することができる。
【0187】
さらに、半炭化路4と乾燥路3とが第2蒸気導入路92で接続されているため、蒸気発生器8で発生した過熱水蒸気は、第1蒸気導入路91、半炭化路4、及び第2蒸気導入路92を通って乾燥路3に導入される。
【0188】
この際、半炭化路4の内部で降温した過熱水蒸気が、第2蒸気導入路92に流入するため、半炭化物生成装置1は、乾燥路3に導入される過熱水蒸気の温度を、過熱水蒸気の温度を調整する調整部を別途設けることなく、半炭化路4に導入される過熱水蒸気の温度よりも低温にすることができる。
【0189】
これにより、半炭化物生成装置1は、乾燥路3の内部で木質チップが半炭化または炭化することを防止しながら、木質チップをより確実に乾燥させることができる。
よって、半炭化物生成装置1は、部品点数の増加及び装置の大型化を抑えるとともに、より一層安定した品質の半炭化物を生成することができる。
【0190】
また、第1蒸気導入路91が接続された半炭化路4の内部温度が、300℃以上350℃以下の範囲である。さらに、第2蒸気導入路92が接続された乾燥路3の内部温度が、150℃以上200℃以下の範囲である。
【0191】
この構成によれば、木質チップの半炭化に適した半炭化路4の温度範囲に対して、木質チップの乾燥に適した乾燥路3の温度範囲が低いため、半炭化物生成装置1は、半炭化路4で降温した過熱水蒸気を、再度昇温させることなく木質チップの乾燥に利用することができる。このため、半炭化物生成装置1は、乾燥路3及び半炭化路4において、木質チップを効率よく加熱することができる。
【0192】
さらに、例えば半炭化路4における木質チップの搬送速度または/および過熱水蒸気の流量を制御することによって、半炭化物生成装置1は、第2蒸気導入路92から乾燥路3に導入される過熱水蒸気の温度を調整できるため、乾燥路3の内部を150℃以上200℃以下の範囲に容易に制御することができる。
【0193】
また、蒸気発生器8は、電磁誘導加熱によって過熱水蒸気を発生させる構成である。
この構成によれば、半炭化物生成装置1は、純水の加熱温度を容易に、かつ精度よく制御できるため、温度バラツキの少ない過熱水蒸気を蒸気導入路9へ連続して供給することができる。
よって、半炭化物生成装置1は、木質チップを安定して加熱することができるため、固形燃料としての品質のバラツキをさらに抑えた半炭化物を生成することができる。
【0194】
また、半炭化物生成装置1は、半炭化路4における第1連通路6と第2連通路7との間で、第1連通路6側の内部温度を検知する入口側温度センサ44と、半炭化路4における第1連通路6と第2連通路7との間で、第2連通路7側の内部温度を検知する出口側温度センサ45とを備えたものである。
【0195】
さらに、半炭化物生成装置1は、入口側温度センサ44及び出口側温度センサ45が検知した半炭化路4の内部温度に基づいて、半炭化路4に導入される過熱水蒸気の流量を制御する半炭化路蒸気流流量制御手段(流量調整弁84、制御部11d)を備えたものである。
【0196】
この構成によれば、半炭化物生成装置1は、第1連通路6と第2連通路7との間において、半炭化路4の内部温度を所望される温度に維持することができる。このため、半炭化物生成装置1は、半炭化路4の内部において、木質チップの自然発火を防止しながら、木質チップを安定して加熱することができる。
【0197】
また、冷却路5は、スクリューフィーダ52を軸支する略筒状の冷却路筐体51と、冷却路筐体51の外周面に設けられ、冷却水が流動するウォータージャケット54と、半炭化物を外部に排出する排出口56と、第2連通路7と排出口56の間で、排出口56側の内部温度を検出する冷却路温度センサ55とで構成されたものである。
【0198】
そして、半炭化物生成装置1は、冷却路5の内部温度が所定温度を上回る場合、ウォータージャケット54に冷却水を供給する冷却水供給手段(給水管54a、圧送ポンプ57、注水弁58、制御部11d)を備えたものである。
【0199】
この構成によれば、冷却水で間接的に半炭化物の温度を降温できるため、半炭化物生成装置1は、自然冷却で半炭化物の温度を降温させる場合に比べて、効率よく確実に半炭化物を冷却することができる。
【0200】
さらに、冷却路5における排出口56側の内部温度を検出しているため、半炭化物生成装置1は、半炭化物が十分に冷却されないまま外部に排出され、自然発火することを防止できる。
【0201】
これにより、半炭化物生成装置1は、均一な品質の半炭化物を安全に外部に排出することができる。このため、半炭化物生成装置1は、搬送過程で半炭化物を自然冷却する場合に比べて、冷却路5の全長を抑えることができる。
【0202】
また、半炭化物生成装置1は、乾燥路3のホッパー36に向けて木質チップを搬送する搬入路2を備えている。この搬入路2は、木質チップを搬送するスクリューフィーダ22を備えたものである。
【0203】
この構成によれば、半炭化物生成装置1は、例えばブロック状に固められた木質チップであっても、搬入路2のスクリューフィーダ22によって木質チップの塊をほぐしながら、乾燥路3のホッパー36へ向けて搬送することができる。
このため、半炭化物生成装置1は、乾燥路3の内部において、木質チップを過熱水蒸気により万遍なく接触させることができる。
【0204】
さらに、例えば乾燥路3の乾燥路筐体31、半炭化路4の炭化路筐体41、及び冷却路5の冷却路筐体51よりも小径の搬入路2に形成したことにより、小径の搬入路2の内部を閉塞することなく搬送された木質チップを乾燥路3に投入することができる。このため、半炭化物生成装置1は、搬入路2よりも大径の乾燥路3、半炭化路4、及び冷却路5が木質チップによって閉塞されることを防止できる。
【0205】
加えて、木質チップの詰まりによる閉塞が小径の搬入路2で生じ易くなるため、半炭化物生成装置1は、閉塞を生じさせ易い大きさの木質チップが、乾燥路3に投入されることを搬入路2の閉塞によって阻止できるとともに、万一、閉塞が生じた場合であっても、閉塞場所の特定を容易にすることができる。
【0206】
また、半炭化物生成装置1は、乾燥路3における第1連通路6の近傍に、乾燥路3の内部のガスを遠心力によって、水蒸気を含む気体と、油分を含む液体とに分離するガス分離器10が接続されたものである。
【0207】
この構成によれば、乾燥路3の内部のガスを、水蒸気を含む気体と油分を含む液体とに分離できるため、半炭化物生成装置1は、乾燥路3の内部のガスを安全に外部に排出することができる。
さらに、半炭化物生成装置1は、ガス分離器10において、油分を含む液体を、油分と水分とにさらに分離することで、ガスをより安全に外部に排出することができる。
【0208】
また、例えば搬送方向の一端が閉塞された長尺形状のノズル配管を筐体の内部に設け、搬送方向に所定間隔を隔てて開口したノズル配管の噴射口から過熱水蒸気を噴射する構成の場合、噴射口が設けられていないノズル配管の先端内部に凝縮水が発生し易い。
【0209】
これに対して、半炭化物生成装置1は、蒸気導入路9の先端が閉塞されておらず、かつ先端から過熱水蒸気が噴射されるため、蒸気導入路9の内部に凝縮水が発生することを抑えられる。仮に蒸気導入路9の内部で凝縮水が発生した場合であっても、半炭化物生成装置1は、発生した凝縮水を過熱水蒸気とともに噴射することができる。このため、半炭化物生成装置1は、凝縮水の発生による意図しない不具合が蒸気導入路9に発生することを防止できる。
【0210】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の投入口は、実施形態のホッパー36に対応し、
以下同様に、
蒸気発生手段は、蒸気発生器8及び制御部11dに対応し、
乾燥路の筐体は、乾燥路筐体31に対応し、
半炭化路の筐体は、炭化路筐体41に対応し、
半炭化路蒸気流量制御手段は、流量調整弁84及び制御部11dに対応し、
冷却路の筐体は、冷却路筐体51に対応し、
冷却水供給手段は、給水管54a、圧送ポンプ57、注水弁58、及び制御部11dに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0211】
例えば、上述した実施形態において、下方から斜め上方へ向けて木質チップを搬送する搬入路2を備えた半炭化物生成装置1としたが、これに限定せず、幅方向Yに木質チップを搬送する搬入路を備えた半炭化物生成装置であってもよい。
あるいは、搬入路2を設けず、乾燥路3のホッパー36に直接的に木質チップを投入する半炭化物生成装置であってもよい。
【0212】
また、乾燥路3、半炭化路4、及び冷却路5が上方からこの順番で並置された半炭化物生成装置1としたが、これに限定しない。例えば、乾燥路における搬送方向、半炭化路における搬送方向、及び冷却路における搬送方向が同一方向となるように、乾燥路、半炭化路、及び冷却路が、上方からこの順番で階段状に並置された構成であってもよい。
【0213】
また、含水率33%以下の木質チップとしたが、これに限定せず、例えば含水率が50%以上の木質チップであってもよい。この場合、乾燥路3のスクリューフィーダ32の回転速度、半炭化路4のスクリューフィーダ42の回転速度、及び蒸気発生器8の流量調整弁84の開度を制御部11dが制御することで、木質チップの加熱時間を調整する。
【0214】
また、
図1中の矢印T1で示す搬送方向へ木質チップを搬送可能に回転するスクリューフィーダ22を有する搬入路2としたが、これに限定せず、搬入路2のスクリューフィーダ22は、制御部11dからの制御信号に基づいて、回転方向を切替え可能にしてもよい。これにより、例えば搬入路2の内部で木質チップが詰まった場合、スクリューフィーダ22を逆回転させることで、木質チップの詰まりを容易に解消することができる。
【0215】
また、搬入路2、乾燥路3、半炭化路4、冷却路5、及び蒸気発生器8が、制御装置11の制御部11dによって動作する構成としたが、これに限定せず、制御部11dとは別体の制御部によって動作する構成であってもよい。
【0216】
また、1つの冷却路温度センサ55を備えた冷却路5としたが、これに限定せず、第2連通路7と排出口25との間において、第2連通路7側に入口側温度センサを備え、排出口25側に出口側温度センサを備えた冷却路5としてもよい。
【0217】
また、乾燥路3の内部温度が150℃以上20℃以下となるように、乾燥路3に導入される過熱水蒸気の流量を調整したが、これに限定せず、さらに乾燥路3のスクリューフィーダ32の回転速度を調整して、乾燥路3の内部温度を維持してもよい。
同様に、半炭化路4の内部温度が300℃以上350℃以下となるように、半炭化路4に導入される過熱水蒸気の流量を調整したが、これに限定せず、さらに半炭化路4のスクリューフィーダ42の回転速度を調整して、半炭化路4の内部温度を維持してもよい。
【0218】
また、半炭化路4に導入される過熱水蒸気の流量を、蒸気発生器8の流量調整弁84で調整したが、これに限定せず、蒸気発生器8の流量調整弁84に加えて、蒸気導入路9の第1蒸気導入路91に過熱水蒸気の流量を調整する流量調整弁を設けてもよい。
【0219】
例えば、第1蒸気導入路91の第1分岐配管93bにおいて、幅方向Yの一方側へ向けて分岐した部分、及び幅方向Yの他方側へ向けて分岐した部分に、それぞれ流量調整弁を設けてもよい。
【0220】
あるいは、第1蒸気導入路91の第2分岐配管93cにおいて、前後方向Xに分岐した部分に、それぞれ流量調整弁を設けてもよい。
【0221】
この場合、流量調整弁は、作業員の操作によって開度を調整可能な手動式の弁、または制御装置11に電気的に接続された電磁弁のいずれかでよいが、半炭化路4の内部温度の維持が容易となる電磁弁である方が望ましい。
【0222】
また、蒸気導入路9の第2蒸気導入路92の流量調整弁96を、作業員の操作によって開度を調整可能な手動式の弁としたが、これに限定せず、制御装置11に電気的に接続された電磁弁であってもよい。
【0223】
この場合、制御装置11の制御部11dは、乾燥路3の入口側温度センサ34及び出口側温度センサ35が検知した内部温度に基づいて、乾燥路3の内部温度が150℃以上200℃以下となるように、半炭化路4から乾燥路3へ向かう過熱水蒸気の流量を流量調整弁によって調整する。
【0224】
この際、制御部11dは、150℃以上200℃以下の温度範囲における低温側の閾値と入口側温度センサ34が検知する内部温度とを比較判定し、高温側の閾値と出口側温度センサ35が検知した内部温度とを比較判定して、流量調整弁の開度を決定する。
【0225】
例えば、低温側の閾値を145℃とし、高温側の閾値を155℃として、乾燥路3の入口側温度センサ34が検知した温度が145℃未満の場合、制御部11dは、流量調整弁の開度を大きくし、乾燥路3に導入される過熱水蒸気の流量を増量させる。
【0226】
一方、乾燥路3の出口側温度センサ35が検知した温度が155℃を上回る場合、制御部11dは、流量調整弁の開度を小さくし、乾燥路3に導入される過熱水蒸気の流量を減量させる。
【0227】
このように、半炭化物生成装置1は、入口側温度センサ34及び出口側温度センサ35が検知した乾燥路3の内部温度に基づいて、乾燥路3に導入される過熱水蒸気の流量を制御する乾燥路蒸気流量制御手段(流量調整弁、制御部11d)を備えてもよい。
【0228】
この構成によれば、半炭化物生成装置1は、ホッパー36と第1連通路6との間において、乾燥路3の内部温度を所望される温度に維持することができる。このため、半炭化物生成装置1は、乾燥路3の内部において、木質チップが半炭化する、または炭化することを防止しながら、木質チップを安定して乾燥させることができる。
【0229】
また、乾燥路3の駆動モーター33及び半炭化路4の駆動モーター43が、それぞれ所定の回転速度で駆動する構成としたが、これに限定しない。例えば乾燥路3において、入口側温度センサ34及び出口側温度センサ35が検知した内部温度に基づいて、制御装置11の制御部11dが、駆動モーター33の回転速度を制御する構成であってもよい。
【0230】
この際、制御部11dは、木質チップが所望される乾燥状態となるように、入口側温度センサ34及び出口側温度センサ35が検知した内部温度に基づいて、駆動モーター33の回転速度を決定する。
【0231】
このように、半炭化物生成装置1は、乾燥路3の入口側温度センサ34及び出口側温度センサ35が検知した乾燥路3の内部温度に基づいて、乾燥路3のスクリューフィーダ32の回転速度を制御する乾燥路制御手段(駆動モーター33、制御部11d)を備えてもよい。
【0232】
この構成によれば、スクリューフィーダ32の回転速度を制御する乾燥路制御手段により、木質チップの搬送速度を調整できるため、半炭化物生成装置1は、木質チップの加熱時間を、乾燥路3の内部温度に基づいて容易に変更することができる。このため、半炭化物生成装置1は、木質チップを確実に乾燥させることができる。
さらに、半炭化物生成装置1は、例えば含水率や形状が異なる木質チップを投入する場合、木質チップの加熱時間を変更することで、過熱水蒸気の温度を変更することなく木質チップを所望される含水率まで乾燥させることができる。
【0233】
同様に乾燥路3において、入口側温度センサ44及び出口側温度センサ45が検知した内部温度に基づいて、制御装置11の制御部11dが、駆動モーター43の回転速度を制御する構成であってもよい。
【0234】
この際、制御部11dは、木質チップから所望される品質の半炭化物が生成されるように、入口側温度センサ44及び出口側温度センサ45が検知した内部温度に基づいて、駆動モーター43の回転速度を決定する。
【0235】
このように、半炭化物生成装置1は、半炭化路4の入口側温度センサ44及び出口側温度センサ45が検知した半炭化路4の内部温度に基づいて、半炭化路4のスクリューフィーダ42の回転速度を制御する半炭化路制御手段(駆動モーター43、制御部11d)を備えてもよい。
【0236】
この構成によれば、スクリューフィーダ42の回転速度を制御する半炭化路制御手段により、木質チップの搬送速度を調整できるため、半炭化物生成装置1は、木質チップの加熱時間を、半炭化路4の内部温度に基づいて容易に変更することができる。このため、半炭化物生成装置1は、木質チップをより確実に加熱することができる。
さらに、半炭化物生成装置1は、例えば含水率や形状が異なる木質チップを投入する場合、木質チップの加熱時間を変更することで、過熱水蒸気の温度を変更することなく木質チップから半炭化物を生成することができる。
【符号の説明】
【0237】
1…半炭化物生成装置
2…搬入路
3…乾燥路
4…半炭化路
5…冷却路
6…第1連通路
7…第2連通路
8…蒸気発生器
9…蒸気導入路
10…ガス分離器
11d…制御部
22,32,42,52…スクリューフィーダ
31…乾燥路筐体
33,43…駆動モーター
34,44…入口側温度センサ
35,45…出口側温度センサ
36…ホッパー
41…炭化路筐体
51…冷却路筐体
54…ウォータージャケット
54a…給水管
55…冷却路温度センサ
56…排出口
57…圧送ポンプ
58…注水弁
84…流量調整弁
91…第1蒸気導入路
92…第2蒸気導入路
94,97…拡散ノズル
C…木質チップ
T3…第1搬送方向
T5…第2搬送方向
T7…第3搬送方向
Y…幅方向