(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045517
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】雄ボルトと雌ボルトからなるボルトセット
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
F16B35/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021153990
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】392032085
【氏名又は名称】睦技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 睦
(57)【要約】
【課題】連結状態において頭部が固定部材表面を局所的に加圧する圧力を抑制しながら、2つの固定部材を確実に連結する。
【解決手段】ボルトセットは、主雄ネジ部11、21が頭部12、22に一体構造に連結されてなる雄ボルト10と雌ボルト20とからなる。雄ボルト10は、主雄ネジ部11の先端に、雌ボルト20にねじ込まれる連結ネジ部13を主雄ネジ部11と同軸に設けている。雌ボルト20は、主雄ネジ部21の先端面の中心に、連結ネジ部13がねじ込まれる連結ネジ穴23を主雄ネジ部21と同軸に設けている。ボルトセットは、連結ネジ穴23に連結ネジ部13がねじ込まれて雄ボルト10と雌ボルト20とが連結される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主雄ネジ部が頭部に一体構造に連結されてなる雄ボルトと雌ボルトとからなり、
前記雄ボルトは、前記主雄ネジ部の先端に、前記雌ボルトにねじ込まれる連結ネジ部を前記主雄ネジ部と同軸に有し、
前記雌ボルトは、前記主雄ネジ部の先端面の中心に、前記連結ネジ部がねじ込まれる連結ネジ穴を前記主雄ネジ部と同軸に有し、
前記連結ネジ穴に前記連結ネジ部がねじ込まれて、前記雄ボルトと前記雌ボルトとが連結されるボルトセット。
【請求項2】
請求項1に記載のボルトセットであって、
前記雄ボルトが、前記連結ネジ部のネジ径を、前記主雄ネジ部のネジ径よりも細くしており、前記連結ネジ部を前記主雄ネジ部の先端面から突出して設けてなるボルトセット。
【請求項3】
請求項2に記載のボルトセットであって、
前記雄ボルトと前記雌ボルトの前記主雄ネジ部は、ネジ径及びピッチを互いに同一としてなるボルトセット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のボルトセットであって、
前記連結ネジ部と前記連結ネジ穴のピッチが、前記主雄ネジ部のピッチと同じであるボルトセット。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のボルトセットであって、
前記連結ネジ部と前記連結ネジ穴のピッチが、前記主雄ネジ部のピッチと異なるピッチであるボルトセット。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のボルトセットであって、
前記雄ボルトと前記雌ボルトの前記主雄ネジ部の先端面が、互いに嵌合状態に連結されるテーパー状であるボルトセット。
【請求項7】
請求項6に記載のボルトセットであって、
前記雄ボルトの前記主雄ネジ部の先端面が先細りテーパー状で、
前記雌ボルトの前記主雄ネジ部の先端面が、前記雄ボルトの前記主雄ネジ部の先端に嵌合形状のテーパー状であるボルトセット。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のボルトセットであって、
前記雄ボルトと前記雌ボルトが、
一方の前記主雄ネジ部の先端面にリング凸条を有し、
他方の前記主雄ネジ部の先端面に前記リング凸条を案内するリング溝を有するボルトセット。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載のボルトセットであって、
前記連結ネジ部と前記連結ネジ穴は同じ長さで、
前記細ネジが前記連結ネジ穴にねじ込まれて、
前記雄ボルトと雌ボルトの前記主雄ネジ部の先端面が互いに接触する状態で、
前記連結ネジ部の先端が前記連結ネジ穴の底面に接触するボルトセット。
【請求項10】
請求項1に記載のボルトセットであって、
前記雄ボルトは、前記主雄ネジ部と前記連結ネジ部のネジ径とピッチが同じであって、前記主雄ネジ部と前記連結ネジ部の外周面に連続する雄ネジを設けてなるボルトセット。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載のボルトセットであって、
前記連結ネジ部の先端面が先細りテーパー状で、
前記連結ネジ穴の底部が、前記連結ネジ部の先端を案内できるテーパー状であるボルトセット。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載のボルトセットであって、
前記頭部が、外形を多角形とする柱状、又は先端面に非円形穴を有するボルトセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナットを使用することなく複数の固定部材を連結できる雄ボルトと雌ボルトからなるボルトセットに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のボルトは、連結される2つの固定部材の貫通穴に挿通し、固定部材から突出するネジ部の先端にナットをねじ込んで2つの固定部材を固定する。この構造で2つの固定部材を連結するボルトは、2つの固定部材の連結状態で、固定部材の一方の表面にはボルトの頭部が配置され、他方の表面には突出するボルトのネジ部とナットが露出するので、固定部材の両面を類似するデザインにできず、ネジ部とナットが露出する側は、頭部に比較して外観が悪くなる欠点がある。この弊害は、
図14に示すように、ボルト91に連結されるナットを、内面に連結ネジ穴93を設けている筒部94に頭部95に連結している筒ナット92として解消できる。しかしながら、ボルト91にナットや筒ナット92をねじ込んで2つの固定部材を連結する構造では、頭部やナットが2つの固定部材の両面を挟着して固定するので、ナットや頭部が固定部材表面を局所的に強い圧力で加圧して、ナットや頭部の外形が2つの固定部材の連結強度を制限してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の欠点を解消することを目的に開発されたもので、本発明の大切な目的は、連結状態において頭部が固定部材表面を局所的に加圧する圧力を抑制しながら、2つの固定部材を確実に連結できるボルトセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
本発明のボルトセットは、主雄ネジ部が頭部に一体構造に連結されてなる雄ボルトと雌ボルトとからなる。雄ボルトは、主雄ネジ部の先端に、雌ボルトにねじ込まれる連結ネジ部を主雄ネジ部と同軸に設けている。雌ボルトは、主雄ネジ部の先端面の中心に、連結ネジ部がねじ込まれる連結ネジ穴を主雄ネジ部と同軸に設けている。以上のボルトセットは、連結ネジ穴に連結ネジ部がねじ込まれて雄ボルトと雌ボルトとが連結される。
【0006】
以上のボルトセットは、雄ボルトと雌ボルトの両方が、頭部に主雄ネジ部を一体構造に連結しており、雄ボルトは、主雄ネジ部の先端に連結ネジ部を設けており、雌ボルトは主雄ネジ部に連結ネジ部をねじ込む連結ネジ穴を設けているので、連結ネジ部を連結ネジ穴にねじ込んで雄ボルトと雌ボルトを連結でき、さらに主雄ネジ部を固定部材にねじ込んで、主雄ネジ部を固定部材に連結できるので、雄ボルトと雌ボルトの主雄ネジ部を固定部材にねじ込んで雄ボルトと雌ボルトの一方又は両方を連結し、固定部材に連結してなる雄ボルトと雌ボルトを連結ネジ部と連結ネジ穴で連結できる。互いに連結される雄ボルトと雌ボルトは、いずれか一方又は両方が固定部材にねじ込んで連結できる。主雄ネジ部がねじ込まれて連結される固定部材は、頭部の圧力のみでなく、固定部材にねじ込まれた主雄ネジ部が固定部材に連結される。このため、主雄ネジ部がねじ込まれた固定部材は、頭部が固定部材表面を局所的に加圧する圧力を従来よりも小さくしながら、2つの固定部材を確実に連結できる。
【0007】
本発明の他の実施形態にかかるボルトセットは、雄ボルトが、連結ネジ部のネジ径を、主雄ネジ部のネジ径よりも細くしており、連結ネジ部を主雄ネジ部の先端面から突出して設けている。このボルトセットは、雄ボルトの主雄ネジ部を太くして、雄ボルトと固定部材のネジ穴との連結強度を強固にできる。
【0008】
本発明の他の実施形態にかかるボルトセットは、雄ボルトと雌ボルトの主雄ネジ部同士のネジ径及びピッチを互いに同一としている。このボルトセットは、連結する固定部材の同一ネジ穴に雄ボルトと雌ボルトをねじ込むことができる。
【0009】
本発明の他の実施形態にかかるボルトセットは、連結ネジ部と連結ネジ穴のピッチを、主雄ネジ部のピッチと同一とすることができる。このボルトセットは、主雄ネジ部を固定部材のネジ穴にねじ込みながら、連結ネジ部を連結ネジ穴にねじ込んで、雄ボルトと雌ボルトを連結できる。
【0010】
本発明の他の実施形態にかかるボルトセットは、連結ネジ部と連結ネジ穴のピッチを、主雄ネジ部のピッチと異なるピッチとすることができる。このボルトセットは、雄ボルトと雌ボルトの両方の主雄ネジ部を固定部材のネジ穴にねじ込んで、2つの固定部材の間隔を調整して連結できる。とくに、このボルトセットは、
図7に示すように、2つの固定部材の間にスペーサを挟むことなく、所定の間隔に保持して連結できる。
【0011】
本発明の他の実施形態にかかるはボルトセットは、雄ボルトと雌ボルトの主雄ネジ部の先端面を、互いに嵌合構造で連結されるテーパー状とすることができる。このボルトセットは、主雄ネジ部の先端面を嵌合構造で定位置に配置して雄ボルトと雌ボルトを連結できる。とくに、雄ボルトと雌ボルトの主雄ネジ部の先端面同士を嵌合構造で連結することで、これらの連結部分に水等が浸入するのを有効に防止して優れた防さび効果を実現できる。
【0012】
本発明の他の実施形態にかかるボルトセットは、雄ボルトの主雄ネジ部の先端を先細りテーパー状として、雌ボルトの主雄ネジ部の先端を、雄ボルトの主雄ネジ部の先端に嵌合形状のテーパー状とすることができる。このボルトセットは、雄ボルトの主雄ネジ部の先端に設けている連結ネジ部を、雌ボルトの主雄ネジ部の中心に設けている連結ネジ穴に案内して、雄ボルトと雌ボルトとをスムーズに連結できる。
【0013】
本発明の他の実施形態にかかるボルトセットは、雄ボルトと雌ボルトが、一方の主雄ネジ部の先端面にリング凸条を有し、他方の主雄ネジ部の先端面にリング凸条を案内するリング溝を有している。このボルトセットは、一方の主雄ネジ部の先端面に設けているリング凸条を、他方の主雄ネジ部の先端面に設けているリング溝に案内して、雄ボルトと雌ボルトとを確実に連結できる。
【0014】
本発明の他の実施形態にかかるのボルトセットは、連結ネジ部と連結ネジ穴の全長を、雄ボルトと雌ボルトの主雄ネジ部の先端面が互いに接触する状態で、連結ネジ部の先端が連結ネジ穴の底面に接触する長さとすることができる。
【0015】
本発明の他の実施形態にかかるのボルトセットは、雄ボルトが、主雄ネジ部と連結ネジ部のネジ径とピッチを同じとして、主雄ネジ部と連結ネジ部の外周面に連続する雄ネジを設けている。雄ボルトは、主雄ネジ部と連結ネジ部とを外径の等しい一つの雄ネジ部とする簡単な構造とすることで製造コストを低減できる。
【0016】
本発明の他の実施形態にかかるボルトセットは、連結ネジ部の先端面を先細りテーパー状として、連結ネジ穴の底部を、連結ネジ部先端を案内するテーパー状とすることができる。
【0017】
本発明の他の実施形態にかかるボルトセットは、頭部の外形を多角形とする柱状とし、あるいは先端面に非円形穴を有する形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるボルトセットの一部拡大分解断面図である。
【
図2】本発明の他の実施形態にかかるボルトセットの一部拡大断面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態にかかるボルトセットの一部拡大分解断面図である。
【
図4】
図1に示すボルトセットで2つの固定部材を連結する一例を示す断面図である。
【
図5】
図1に示すボルトセットで2つの固定部材を連結する工程を示す断面図である。
【
図6】
図1に示すボルトセットで2つの固定部材を連結する他の一例を示す断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態にかかるボルトセットで2つの固定部材を連結する一例を示す断面図である。
【
図8】
図7に示すボルトセットで2つの固定部材を連結する工程を示す断面図である。
【
図9】
図1に示すボルトセットで2つの固定部材を連結する他の一例を示す断面図である。
【
図10】
図1に示すボルトセットで2つの固定部材を連結する他の一例を示す断面図である。
【
図11】本発明の他の実施形態にかかるボルトセットで2つの固定部材を連結する一例を示す断面図である。
【
図12】本発明の他の実施形態にかかるボルトセットで2つの固定部材を連結する一例を示す断面図である。
【
図13】本発明の他の実施形態にかかるボルトセットの分解側面図である。
【
図14】従来のボルトと筒ナットの一例を示す分解側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0020】
(実施の形態1)
図1の断面図に示すボルトセット100は、ねじ込んで連結する雄ボルト10と雌ボルト20からなる。雄ボルト10と雌ボルト20は、頭部12、22に主雄ネジ部11、21を一体構造に連結している。頭部12、22は、回転してねじ込みできるように、外形を六角形などの多角形とする角柱状、又は先端面に非円形穴(図示せず)を設けている。
【0021】
雄ボルト10は、主雄ネジ部11の先端に、雌ボルト20にねじ込まれる連結ネジ部13を主雄ネジ部11と同軸に設けている。
図1に示す雄ボルト10は、連結ネジ部13のネジ径を、主雄ネジ部11のネジ径よりも細くしており、連結ネジ部13を主雄ネジ部11の先端面から突出して設けている。雌ボルト20は、主雄ネジ部21の先端面の中心に、連結ネジ部13がねじ込まれる連結ネジ穴23を主雄ネジ部21と同軸に設けている。このボルトセット100は、雄ボルト10と雌ボルト20の両方、又は一方の主雄ネジ部11、21を、連結する固定部材50のネジ穴51にねじ込み、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んで、2つの固定部材50を連結する。
【0022】
さらに、
図1に示す雄ボルト10と雌ボルト20は、連結する固定部材50の同一ネジ穴51にねじ込むことができるように、雄ボルト10の主雄ネジ部11と、雌ボルト20の主雄ネジ部21のネジ径を同一とし、さらにピッチも同一としている。ただ、雄ボルト10と雌ボルト20は、詳細には後述するが、雄ボルト10の主雄ネジ部11と、雌ボルト20の主雄ネジ部21のネジ径を異なるネジ径とし、また、互いに異なるピッチとすることもできる。
【0023】
雄ボルト10は、連結ネジ部13の先端面を先細り状のテーパー状として円錐凸部14を設けている。雌ボルト20は、連結ネジ穴23の底部を、円錐凸部14を案内して嵌合するテーパー状として、すり鉢状の円錐凹部24を設けている。さらに、
図1の拡大断面図に示す雄ボルト10の連結ネジ部13は、先端に設けている円錐凸部14を二段のテーパー状として、外周面に沿って突出する段差凸部15をリング状に設けている。また、
図1の拡大断面図に示す雌ボルト20の連結ネジ穴23は、円錐凹部24を二段のテーパー状として、段差凸部15を嵌合状態で案内する段差凹部25を内周に沿って設けている。以上のボルトセット100は、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んで連結する状態で、円錐凸部14を円錐凹部24に嵌合させ、また段差凸部15を段差凹部25に嵌合させて、緩み難い状態で連結できる。
【0024】
雄ボルト10と雌ボルト20は、連結ネジ部13と連結ネジ穴23を、好ましくは同じ長さとする。ここで、連結ネジ穴23を、連結ネジ部13と同じ長さとするとは、連結ネジ穴23の深さを連結ネジ部13の突出量と等しくするという意味である。このボルトセット100は、細ネジを連結ネジ穴23の底までねじ込む状態で、雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21の先端面を互いに密接できる。ただ、雄ボルト10と雌ボルト20は、
図2の一部拡大断面図に示すように、主雄ネジ部11、21の先端面にワッシャやスプリングワッシャ60を挟んで固定することもできるので、この状態で使用される雄ボルト10と雌ボルト20は、主雄ネジ部11、21の先端面が、ワッシャやスプリングワッシャ60を介して密接する状態で、連結ネジ部13の先端が連結ネジ穴23の底に密接する長さとする。ただし、本発明のボルトセットは、連結ネジ部13を連結ネジ穴23よりも長く、あるいは短くして、連結ネジ部13を部分的に連結ネジ穴23にねじ込み、あるいは連結ネジ穴23の一部に連結ネジ部13をねじ込んで連結することもできる。
【0025】
図1に示す雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21は、先端面を互いに嵌合状態に連結できるテーパー状としている。この図のボルトセット100は、雄ボルト10の主雄ネジ部11の先端面を先細り状のテーパー状として傾斜接合部16を設けている。雌ボルト20の主雄ネジ部21の先端面は、傾斜接合部16を案内して嵌合するテーパー状として、すり鉢状の傾斜凹部26を設けている。以上のボルトセット100は、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んで連結する状態で、雄ボルト10の傾斜接合部16を雌ボルト20の傾斜凹部26に嵌合することで、連結ネジ部13を連結ネジ穴23の中心に案内し、さらに雄ボルト10と雌ボルト20の軸方向の位置ずれを防止して確実に連結できる。とくに、傾斜接合部16の外周面を傾斜凹部26の内周面に対して広い面積で密着させて、緩み難い状態で連結できる。
【0026】
また、
図2に示すボルトセット200は、雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21の先端面を互いに対向する平面状としている。図に示すボルトセット200は、雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21の対向する先端面の間にスプリングワッシャ60を挟んで連結する状態を示している。このボルトセット200は、スプリングワッシャ60により雄ボルト10と雌ボルト20が緩み難くできる。ただ、主雄ネジ部11、21の対向する先端面を平面状とする雄ボルト10と雌ボルト20は、必ずしも間にワッシャやスプリングワッシャ60を配置する必要はなく、対向する先端面同士を互いに密着させて連結することもできる。
【0027】
雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21は、
図3の拡大断面図に示すように、一方の主雄ネジ部21の先端面に、リング凸条27を設けて、他方の主雄ネジ部11の先端面には、リング凸条27を案内するリング溝17を設けることができる。リング凸条27とリング溝17は、主雄ネジ部11、21の中心と同心のリング状で、リング凸条27をリング溝17に嵌合構造で案内でき、かつ連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込む状態では、リング凸条27をリング溝17に沿って摺動させながら密着できる形状に成形される。
図3のボルトセット300は、リング凸条27を雌ボルト20の主雄ネジ部21の先端面に設けて、リング溝17を雄ボルト10の主雄ネジ部11の先端面に設けている。
【0028】
図3のボルトセット300は、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んで連結する状態で、雌ボルト20のリング凸条27を雄ボルト10のリング溝17に嵌合して、連結ネジ部13を連結ネジ穴23の中心に案内し、さらに雄ボルト10と雌ボルト20の軸方向の位置ずれを防止して確実に連結できる。以上のボルトセット300は、リング凸条27を雌ボルト20の主雄ネジ部21に設けて、リング溝17を雄ボルト10の主雄ネジ部11に設けているが、ボルトセットは、図示しないがリング凸条を雄ボルトの主雄ネジ部に設けて、リング溝を雌ボルトの主雄ネジ部に設けることもできる。
【0029】
図4の断面図は、2つの固定部材50に雄ボルト10と雌ボルト20をねじ込んで、固定部材50をボルトセット100で連結する具体例を示している。この固定構造は、ボルトセット100で2つの固定部材50A、50Bを所定の隙間を設けて連結する。雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21は、ねじ込む固定部材50の厚さよりも長く、各々の固定部材50のネジ穴51を貫通して、先端を隙間に突出する状態でねじ込まれて固定部材50A、50Bを連結する。雄ボルト10と雌ボルト20は、連結ネジ部13のピッチと主雄ネジ部11、21のピッチを同一とし、あるいは連結ネジ部13のピッチを主雄ネジ部11、21のピッチよりも小さくする。連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んた状態で、決定される固定部材50A、50B間の間隔は、連結ネジ部13と主雄ネジ部11、21のピッチで調整でき、また、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込むタイミングで調整できる。なお、
図4においては、固定部材50にねじ込まれる雄ボルト10と雌ボルト20の頭部12、22と固定部材50の表面との間には、スプリングワッシャ60を挟んだ状態を示している。ただ、スプリングワッシャに代わってワッシャを配置することも、これらを省略することもできる。
【0030】
図5の(1)と(2)は、
図4に示すようにボルトセット100で2つの固定部材50A、50Bを連結する工程を示している。この図は、連結ネジ部13と主雄ネジ部11、21を同一ピッチとする雄ボルト10と雌ボルト20で2つの固定部材50A、50Bを連結する断面を示している。この固定構造は、
図4の断面図に示すように、雄ボルト10と雌ボルト20の両方を各々の固定部材50のネジ穴51にねじ込む状態で、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んで、2つの固定部材50A、50Bを一定の間隔で連結している。このボルトセット100は、
図5(1)に示すように、図において上方に位置する雌ボルト20の主雄ネジ部21を固定部材50Aのネジ穴51にねじ込んで固定部材50に固定した後、上下の固定部材50A、50Bを一定の間隔に配置し、あるいは固定部材50A、50Bの間に弾性的に変形できる弾性材55を配置して、
図5(2)に示すように、雄ボルト10の主雄ネジ部11を固定部材50Bのネジ穴51にねじ込みながら、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んで、固定部材50A、50Bを連結する。
【0031】
連結ネジ部13のピッチを主雄ネジ部11のピッチと同一とする雄ボルト10は、主雄ネジ部11が固定部材50Bにねじ込まれて固定部材50Bに対して移動する長さ(L1)と、連結ネジ部13が連結ネジ穴23にねじ込まれて、雄ボルト10が雌ボルト20に対して移動する長さ(L2)は同一となる。連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込みを開始するタイミングは、雄ボルト10の頭部12と固定部材50Bとの間隔が、連結ネジ部13が連結ネジ穴23にねじ込まれるねじ込み寸法(L2)となるようにする。このタイミングで、連結ネジ部13が連結ネジ穴23にねじ込みを開始するように、雄ボルト10の頭部12と固定部材50Bの表面との間隔と、固定部材50A、50Bの間隔を調整する。この状態で雄ボルト10の主雄ネジ部11を固定部材50Bにねじ込むと、主雄ネジ部11は固定部材50Bのネジ穴51にねじ込まれて、頭部12は固定部材50Bの表面に密着し、連結ネジ部13は連結ネジ穴23にねじ込まれて連結ネジ部13の先端が連結ネジ穴23の底面に密着して、雄ボルト10と雌ボルト20とで固定部材50A、50Bは連結される。この連結構造は、雄ボルト10と雌ボルト20の頭部12、22が固定部材50A、50Bの表面に密着し、連結ネジ部13の先端は連結ネジ穴23の底に密着し、さらに雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21の先端面同士も密着して、ふたつの固定部材50A、50Bはボルトセット100で連結される。
【0032】
図5の(1)と(2)は、雌ボルト20を先に固定部材50Aにねじ込んだ後、雄ボルト10を固定部材50Bにねじ込んで固定部材50A、50Bをボルトセット100で連結する状態を示しているが、
図4の固定構造は、雄ボルト10の主雄ネジ部11を先に固定部材50Bにねじ込んで固定した後、雌ボルト20の主雄ネジ部21を固定部材50Aに、かつ連結ネジ穴23に連結ネジ部13をねじ込んで、ふたつの固定部材50A、50Bを連結することもできる。
【0033】
以上のように、雄ボルト10と雌ボルト20の両方の主雄ネジ部11、21を固定部材50のネジ穴51にねじ込んで固定する連結構造は、雄ボルト10と雌ボルト20の両方を強固に固定部材50に連結しながら、連結ネジ部13と連結ネジ穴23とでふたつの固定部材50を連結できる特長がある。また、ふたつの固定部材50を所定の間隔で連結できる特長も実現できる。また、この連結構造は、ふたつのの固定部材50の間に、ゴム状弾性体などの弾性材55を挟んで固定することもできる。
【0034】
図6は、雌ボルト20のみを固定部材50Aのネジ穴51にねじ込んで、固定部材50Bを連結する構造を例示する断面図で、この連結構造は、雄ボルト10の主雄ネジ部11は固定部材50Bにねじ込むことなく、固定部材50の貫通穴52に挿通している。この連結構造は、雌ボルト20の主雄ネジ部21を固定部材50Aのネジ穴51にねじ込んで、主雄ネジ部21の先端をネジ穴51から突出させた状態で、雄ボルト10の主雄ネジ部11を固定部材50Bの貫通穴52に挿通し、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んで、2つの固定部材50A、50Bを密着して連結する。この図は、雌ボルト20を固定部材50Aにねじ込んで固定した後、雄ボルト10の連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んで連結しているが、雄ボルト10の主雄ネジ部11を固定部材50Aのネジ穴51にねじ込んで先端をネジ穴51から突出させる状態で、雌ボルト20を固定部材50Bの貫通穴52に挿通して、連結ネジ穴23に連結ネジ部13をねじ込んで連結することもできる。この連結構造は、ふたつの固定部材50A、50Bを密着して連結して、雌ボルト20と雄ボルト10の一方の主雄ネジ部11、21を固定部材50Aのネジ穴51にねじ込んで、確実に固定できる特長がある。
【0035】
図7は、雄ボルト10と雌ボルト20の両方の主雄ネジ部11、21を固定部材50にねじ込んで固定しながら、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んで、2つの固定部材50A、50Bを連結する断面図を例示する。このボルトセット400は、連結ネジ部13のピッチを主雄ネジ部11、21のピッチよりも小さくしている。この連結構造は、
図7に示すように、雌ボルト20の主雄ネジ部21を固定部材50Aのネジ穴51にねじ込んで固定する状態で、雄ボルト10の主雄ネジ部11を固定部材50Bのネジ穴51にねじ込みながら、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んでふたつの固定部材50A、50Bを連結する。連結ネジ部13と主雄ネジ部11とのピッチが異なる雄ボルト10は、1回転で主雄ネジ部11が固定部材50Bにねじ込まれる寸法と、連結ネジ部13が連結ネジ穴23にねじ込まれる寸法が同一でない。
図8のボルトセット400は、連結ネジ部13のピッチを主雄ネジ部11のピッチの1/2としている。このボルトセット400は、雄ボルト10を固定部材50Bのネジ穴51にねじ込んで移動する寸法(L3)が、連結ネジ部13が連結ネジ穴23にねじ込まれる寸法(L4)の2倍となる。したがって、連結ネジ部13の先端を連結ネジ穴23の開口部に案内する状態で、雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21の間隔を、雄ボルト10の頭部12とこれがねじ込まれる固定部材50Bの表面との間隔の1/2以下として、雄ボルト10を固定部材50Bにねじ込んで連結する。この連結構造は、好ましくは、連結ネジ部13の先端が連結ネジ穴23の底に密着し、雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21の先端も密着し、さらに雄ボルト10と雌ボルト20の頭部12、22も固定部材50の表面に密着する状態でふたつの固定部材50A、50Bを連結する。
【0036】
さらに、ボルトセット100は、
図9の断面図に示すように、雄ボルト10と雌ボルト20の頭部12、22を固定部材50の表面に密着し、かつ雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21の先端面を密着し、連結ネジ部13の先端を連結ネジ穴23の底部に密着しない状態でふたつの固定部材50A、50Bを連結することができる。さらに、図示しないが、ボルトセットは、雄ボルトと雌ボルトの頭部を固定部材の表面に密着し、かつ連結ネジ部の先端と連結ネジ穴の底部とを密着して、雄ボルトと雌ボルトの主雄ネジ部の先端面を密着しない状態で連結することもできる。
【0037】
さらに、本発明のボルトセットは、
図10の断面図に示すように、雄ボルト10と雌ボルト20の両方の主雄ネジ部11、21を固定部材50にねじ込むことなく貫通穴52に挿通して、連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込んで、ふたつの固定部材50A、50Bを密着して連結することもできる。この連結構造は、好ましくは、頭部12、22が固定部材50の表面に密着する状態で、図に示すように連結ネジ部13の先端を連結ネジ穴23の底面に密着して連結するが、雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21の先端面を密着しない状態とし、また、連結ネジ部13の先端が連結ネジ穴23の底面に密着しない状態で、ふたつの固定部材50を密着して連結することもできる。
【0038】
さらに、
図11の断面図に示すボルトセット500は、雄ボルト10の主雄ネジ部11と、雌ボルト20の主雄ネジ部21のネジ径を異なるネジ径とする例を示している。図に示すボルトセット500は、雄ボルト10の主雄ネジ部11のネジ径を、雌ボルト20の主雄ネジ部21のネジ径よりも小さくしている。
図11に示すボルトセット500は、雄ボルト10の主雄ネジ部11のネジ径を、雌ボルト20の主雄ネジ部21のネジ径よりも小さくするが、ボルトセットは、雄ボルトの主雄ネジ部のネジ径を、雌ボルトの主雄ネジ部のネジ径よりも大きくすることもできる。また、図に示す雄ボルト10と雌ボルト20は、雄ボルト10の主雄ネジ部11と、雌ボルト20の主雄ネジ部21のピッチを等しくするが、主雄ネジ部11、21同士のピッチは異なるピッチとすることもできる。
【0039】
図11の断面図は、2つの固定部材50に雄ボルト10と雌ボルト20をねじ込んで、固定部材50をボルトセット500で連結する例を示している。図に示すボルトセット500は、雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21の外径が異なるので、これらがねじ込まれる固定部材50のネジ穴51の内径も異なる構造としている。このように、雄ボルト10や雌ボルト20がねじ込まれるネジ穴51の内径は、ねじ込まれる主雄ネジ部11、21の外径により特定される。言い換えると、雄ボルト10と雌ボルト20は、主雄ネジ部11、21と固定部材50との連結強度を考慮してその外径を特定することができる。したがって、雄ボルト10及び雌ボルト20は、連結する固定部材50の厚さや材質等に応じて主雄ネジ部11、21の外径を変更することができる。
【0040】
さらに、
図12に示すボルトセット600は、雄ボルト10の主雄ネジ部11と連結ネジ部13のネジ径とピッチを等しくして、主雄ネジ部11と連結ネジ部13の外周面に連続する雄ネジを設けている。具体的には、
図12の雄ボルト10は、主雄ネジ部11と連結ネジ部13の外径を等しくして、主雄ネジ部11と連結ネジ部13とを1つの雄ネジ部で構成している。このボルトセット600も、雄ボルト10の主雄ネジ部11の先端に設けた連結ネジ部13を雌ボルト20の連結ネジ穴23にねじ込んで互いに連結される。
【0041】
図12の断面図は、2つの固定部材50に雄ボルト10と雌ボルト20をねじ込んで、固定部材50をボルトセット600で連結する例を示している。図に示すボルトセット600は、雄ボルト10の主雄ネジ部11と連結ネジ部13とをネジ径の等しい一つの雄ネジ部で構成するので、雄ボルト10は、雌ボルト20の主雄ネジ部21の先端面に当接する先端面を備えていない。このため、このボルトセット600は、
図12に示すように、雌ボルト20の主雄ネジ部21の先端面を、これと対向する固定部材50Bを当接させて位置決めする位置決面としながら固定部材50Bを定位置に配置できる。例えば、雌ボルト20は、主雄ネジ部21がねじ込まれる固定部材50Aの内側面に突出する主雄ネジ部21の突出量が、対向する固定部材50A、50Bの間隔(D)となるように、主雄ネジ部21の全長を設計することで、固定部材50Aと固定部材50Bの間隔(D)を所定の間隔に保持しながら連結できる。さらに、雌ボルト20の先端面に対して定位置に配置される固定部材50Bのネジ穴51にねじ込まれる雄ボルト10の連結ネジ部13が雌ボルト20の先端面に設けた連結ネジ穴23にねじ込まれることで、雄ボルト10を雌ボルト20に強固に連結しながら、固定部材50を確実に連結する。ただ、固定部材50Bは、必ずしも雌ボルト20の主雄ネジ部21の先端面に当接させる必要はなく、固定部材50Bを雌ボルト20の先端面から離れた位置に連結することもできる。
【0042】
図12に示す固定部材50Bは、雄ボルト10がねじ込まれる穴をネジ穴51としているが、固定部材50Bは、雄ボルト10がねじ込まれる穴を雌ネジのない貫通穴とすることもできる。この場合は、固定部材50Bの貫通孔に挿通された雄ボルト10を雌ボルト20にねじ込むことで、固定部材50Bを確実に連結する。とくに、雌ボルト20の主雄ネジ部21の先端面と雄ボルト10の頭部12とで固定部材50Bを挟着する状態で、固定部材50Bを定位置に配置しながら確実に連結できる。また、図に示す雄ボルト10と雌ボルト20は、連結ネジ部13が連結ネジ穴23の底までねじ込まれた状態で固定部材50Bを定位置に連結する状態を示しているが、固定部材50Bを定位置に連結する状態で、連結ネジ部13は必ずしも連結ネジ穴23の底までねじ込まれる構造とする必要はない。例えば、連結される固定部材50Bの厚さに応じて連結ネジ部13を連結ネジ穴23にねじ込む量を変化させることもできる。例えば、雌ボルト20は、
図12の鎖線で示すように、連結ネジ穴23の深さを深く設計することにより、種々の厚さの固定部材50Bに対応しながら連結ネジ部13の最適なねじ込み量となるように連結ネジ穴23にねじ込んで連結できる。
【0043】
さらに、
図13は、以上に示すボルトセットの使用時における応用例であって、雄ボルト10と雌ボルト20の間に中間連結具30を連結する例を示している。図に示す中間連結具30は、雄ボルト10及び雌ボルト20と同軸に配置される柱状の本体部31を備えている。柱状の本体部31は、一方の端面の中心に、雄ボルト10の連結ネジ部13がねじ込まれる中間ネジ穴36を設けると共に、他方の端面には、雌ボルト20の連結ネジ穴23にねじ込まれる中間ネジ部33を突出して設けている。図に示す本体部31は、中間ネジ部33と中間ネジ穴36を同軸に設けている。
【0044】
本体部31の中間ネジ部33は、先端面を先細り状のテーパー状として円錐凸部34を設けており、雌ボルト20の連結ネジ穴23の底部に設けたすり鉢状の円錐凹部24に嵌合する形状としている。さらに、図の本体部31の中間ネジ部33は、先端に設けている円錐凸部34を二段のテーパー状として、外周面に沿って突出する段差凸部35をリング状に設けている。以上の中間連結具30は、雄ボルト10の連結ネジ部13を本体部31の中間ネジ穴36にねじ込んで連結する状態で、円錐凸部14を円錐凹部34に嵌合させ、また段差凸部15を段差凹部35に嵌合させて、緩み難い状態で連結する。
【0045】
また、本体部31は、中間ネジ穴36の底部を、雄ボルト10連結ネジ部13の円錐凸部14を案内して嵌合するテーパー状として、すり鉢状の円錐凹部37を設けている。さらに、本体部31の中間ネジ穴36は、円錐凹部37を二段のテーパー状として、連結ネジ部13の円錐凸部14に設けた段差凸部15を嵌合状態で案内する段差凹部38を内周に沿って設けている。以上の中間連結具30は、雌ボルト20の連結ネジ部13を中間ネジ穴36にねじ込んで連結する状態で、円錐凸部14を円錐凹部37に嵌合させ、また段差凸部15を段差凹部38に嵌合させて、緩み難い状態で連結する。
【0046】
図に示す本体部31は、両端面を平面状としており、これと対向する雄ボルト10の主雄ネジ部11の先端面、及び雌ボルト20の主雄ネジ部21の先端面に対して、面接触状態で当接する形状としている。図示しないが、本体部の両端面は、前述のように、対向する雄ボルト及び雌ボルトの主雄ネジ部の先端面と嵌合する構造とすることもできる。すなわち、中間連結具と雄ボルトの対向面、及び中間連結具と雌ボルトの対向面は、一方をテーパー状の傾斜接合部とし、他方をすり鉢状の傾斜凹部とすることも、一方にリング凸条を設けて、他方にリング凸条を案内するリング溝を設けることもできる。
【0047】
さらに、中間連結具30は、本体部31の外径を、雄ボルト10や雌ボルト20がねじ込まれる固定部材50のネジ穴51の内径よりも小さくすることが好ましい。これにより、雌ボルト20の先端に中間連結具30を固定した状態で、雌ボルト20を固定部材50のネジ穴51にねじ込むことができ、あるいは、雄ボルトの先端に中間連結具30を固定した状態で、雄ボルト10を固定部材50のネジ穴51にねじ込むことができる。ただ、中間連結具30は、本体部31の外径を、固定部材50のネジ穴51の内径よりも大きくしてもよい。この中間連結具30は、雄ボルト10と雌ボルト20のいずれかを固定部材50のネジ穴51にねじ込んだ後、その先端に連結される。
【0048】
さらにまた、中間連結具30は、本体部31の横断面における外形を、好ましくは、非円形状であって、多角形状とする。中間連結具30の本体部31は、好ましくは、その外形を正多角柱状とする。
図13に示す中間連結具30は、本体部31の外形を複数の平面部31Aからなる正六角柱状としている。この形状の中間連結具30は、雄ボルト10や雌ボルト20に連結する際に、本体部31の対向する平面部31Aに合致する内形を有するレンチやスパナ等の工具を使用し、本体部31を非回転状態に保持した状態でねじ込むことで確実に連結できる。ただ、中間連結具30は、本体部31の外形を必ずしも正多角柱状とする必要はなく、部分的に対向する平面部を有する円柱状とすることもできる。
【0049】
以上のように、雄ボルト10と雌ボルト20の間に中間連結具30を連結する構成によると、連結する固定部材50の間隔を中間連結具30によって調整できる特長がある。すなわち、連結される固定部材50同士が所望の間隔となるように、連結する中間連結具30の長さを調整することで、固定部材50を最適な間隔で連結できる。このため、雄ボルト10と雌ボルト20の主雄ネジ部11、21の長さを変更することなく、単一の雄ボルト10と雌ボルト20を使用しながら、最適な長さの中間連結具30を選択することで固定部材50を最適な間隔で連結できるので、雄ボルト10と雌ボルト20の製造コストを低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のボルトセットは、雄ボルトと雌ボルトのいずれか一方又は両方を固定部材に確実に連結しながら、複数の固定部材を連結する用途に最適に使用できる。
【符号の説明】
【0051】
100、200、300、400、500、600…ボルトセット
10…雄ボルト
11…主雄ネジ部
12…頭部
13…連結ネジ部
14…円錐凸部
15…段差凸部
16…傾斜接合部
17…リング溝
20…雌ボルト
21…主雄ネジ部
22…頭部
23…連結ネジ穴
24…円錐凹部
25…段差凹部
26…傾斜凹部
27…リング凸条
30…中間連結具
31…本体部
31A…平面部
33…中間ネジ部
34…円錐凸部
35…段差凸部
36…中間ネジ穴
37…円錐凹部
38…段差凹部
50、50A、50B…固定部材
51…ネジ穴
52…貫通穴
55…弾性体
60…スプリングワッシャ
91…ボルト
92…筒ナット
93…連結ネジ穴
94…筒部
95…頭部