(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045530
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】給排水システム
(51)【国際特許分類】
E03C 1/02 20060101AFI20230327BHJP
E03C 1/044 20060101ALI20230327BHJP
E03C 1/122 20060101ALI20230327BHJP
E03B 9/02 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
E03C1/02
E03C1/044
E03C1/122 Z
E03B9/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154012
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】前 健哉
【テーマコード(参考)】
2D060
2D061
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060BA10
2D060BB01
2D060BC30
2D061AA10
2D061AB10
2D061AD03
(57)【要約】
【課題】新たな水栓を簡易に設けることができる給排水システムを提供する。
【解決手段】給排水システム100Aは、既設の水栓11に接続され、接続口21が設けられた接続部材2Aと、接続口21に接続され、水の流通が可能な新設の給水管3と、新設の給水管3に接続される新設の水栓4と、新設の排水部材5と、新設の排水管6と、を備え、新設の水栓4は、設置物43に固定され、接続部材2Aには、吐水が可能な吐水口22が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の水栓に接続され、接続口が設けられた接続部材と、
前記接続口に接続され、水の流通が可能な新設の給水管と、
前記新設の給水管に接続される新設の水栓と、を備え、
前記新設の水栓は、設置物に固定されている給排水システム。
【請求項2】
前記接続部材には、吐水が可能な吐水口が設けられている請求項1に記載の給排水システム。
【請求項3】
前記既設の水栓、前記接続部材及び前記新設の給水管の少なくとも一部を覆うカバーを備える請求項1または2に記載の給排水システム。
【請求項4】
前記カバーには、前記新設の給水管と他の収容物とを区画する区画部が設けられている請求項3に記載の給排水システム。
【請求項5】
前記新設の水栓には、給湯管が接続されている請求項1から4のいずれか一項に記載の給排水システム。
【請求項6】
前記新設の水栓の下方に設置され、新設の排水口が設けられた新設の排水部材と、
前記新設の排水部材の前記新設の排水口に接続された新設の排水管と、を備え、
前記新設の排水管の排水は、既設の排水部材に排水される請求項1から5のいずれか一項に記載の給排水システム。
【請求項7】
前記新設の排水管には、前記既設の排水部材に排水を圧送する圧送ポンプが設けられている請求項6に記載の給排水システム。
【請求項8】
前記既設の水栓は、建物の屋外に設けられている請求項1から7のいずれか一項に記載の給排水システム。
【請求項9】
前記新設の水栓は、建物の屋外に設けられている請求項8に記載の給排水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給排水システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅では、給水管及び排水管は、床下、壁内及び地中等に配置されている。室内や屋外に引き出された給水管に水栓金具が設けられて、吐水が可能とされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水栓の移築及び増築する際には、屋内の場合には床や壁を剥がして、既設の給水管及び排水管を引き出して、新たな給水管及び排水管を接続する。屋外の場合には、地面を掘って、地中の給水管及び排水管に、新たな給水管及び排水管を接続する。いずれの場合も、大掛かりな工事が必要となり、水道工事の施工者でなければできないという問題点がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、新たな水栓を簡易に設けることができる給排水システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る給排水システムは、既設の水栓に接続され、接続口が設けられた接続部材と、前記接続口に接続され、水の流通が可能な新設の給水管と、前記新設の給水管に接続される新設の水栓と、を備え、前記新設の水栓は、設置物に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第一実施形態に係る給排水システムを模式的に示した図。
【
図2】第二実施形態に係る給排水システムを模式的に示した図。
【
図3】第三実施形態に係る給排水システムを模式的に示した図。
【
図4】第四実施形態に係る給排水システムの新設の水栓を模式的に示した図。
【
図5】第五実施形態に係る給排水システムのカバーを模式的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第一実施形態)
以下、第一実施形態に係る給排水システムについて、図面に基づいて説明する。
図1に示す給排水システム100は、建物の屋外に設置されるものである。例えば、庭、駐車場、バルコニー、ベランダ等の屋外スペースのほか、ガーデンルーム(サンルームとも称することがある)等の屋外に設置されて一部の空間が屋外と壁部等で区画された居室のようなスペースにも給排水システム100を設置可能である。給排水システム100は、既設の水栓11とは別の箇所に新設の水栓4を設けるものである。給排水システム100は、建物等の屋内に設置されていてもよい。
【0009】
既設の給排水システム10について説明する。既設の給排水システム10は、既設水栓(既設の水栓)11と、既設排水部材(既設の排水部材)16と、を備える。
【0010】
既設水栓11は、既設給水管12に接続されている。既設給水管12は、例えば地中に埋設された部分(不図示)と、埋設された部分から立ち上げられた部分(以下、「立水栓部」と称する)12aと、を有している。既設水栓11は、給水管12の立水栓部12aに接続されている。
【0011】
既設排水部材16は、既設水栓11の鉛直下方に配置されている。既設排水部材16は、例えば排水口(不図示)が設けられた排水パンである。排水口には、既設排水管19が接続されている。
【0012】
給排水システム100は、接続部材2と、新設給水管(新設の給水管)3と、新設水栓(新設の水栓)4と、新設排水部材(新設の排水部材)5と、新設排水管(新設の排水管)6を備える。
【0013】
接続部材2は、既設水栓11に接続されている。接続部材2は、例えば既設水栓11の吐水口11aに嵌め込みや螺子固定等の周知の固定方法で固定されている。接続部材2の内部には、水の流通が可能な流路(不図示)が形成されている。接続部材2の流路の先端には、接続口21が設けられている。既設水栓11は、常時開いた状態とされている。
【0014】
新設給水管3は、接続部材2に接続されている。新設給水管3の内部には、水の流通が可能である。接続部材2が既設水栓11に接続された状態で、既設水栓11から吐水される水が、接続部材2の流路を流通して、接続口21から新設給水管3に導入される。新設給水管3は、地面G上に設置されている。新設給水管3は、建物の壁に固定されていて壁に沿って配置されていたりして、地面G中や壁内に配置する必要はない。
【0015】
新設水栓4は、新設給水管3に接続されている。新設水栓4は、シャワー水栓である。新設水栓4は、単水栓、立水栓、ミストシャワー装置等、水栓の種類は適宜設定可能である。新設水栓4には、水栓の開閉及び水量の調整等の操作が可能な操作部41が設けられている。新設水栓4は、建物の壁等の設置物43に固定具44を介して固定されている。本明細書でいう「設置物」とは、建物の屋外に設置されている有体物であって、少なくとも水栓を取り付けることができる面積を有するものをいう。設置物は、例えば住宅の外壁やガーデンルーム内の内壁等である。給排水システム100が屋内に設置される場合には、設置物は、例えば住宅の壁、間仕切、カウンター等である。
【0016】
新設排水部材5は、新設水栓4の鉛直下方に配置されている。新設排水部材5は、例えば排水口51が設けられた排水パンである。新設排水部材5は、地面Gに設置された床53上に設置されている。新設排水部材5の上面52aは、排水口51に向かって下方に傾斜している。新設排水部材5は、シンクや手洗いボウル等、新設水栓4の種類に応じて適宜設定可能である。
【0017】
新設排水管6は、新設排水部材5の排水口51に接続されている。新設排水管6の先端は、既設排水部材16に接続されている。新設排水管6には、排水を既設排水部材16に向けて圧送する圧送ポンプ61が設けられている。新設水栓4で使用された水は、新設排水部材5の上面52aに沿って流れて、排水口51に集約され、新設排水管6内を流れる。新設排水管6は、既設排水部材16に接続されず、建物の排水桝に接続されていてもよい。新設排水管6が所望の排水勾配を確保できるならば、圧送ポンプ61を設けなくてもよい。新設排水管6は、地面G上に設置されていたり、建物の壁に固定されていて壁に沿って配置されていたりする。新設排水管6は、地面G中や壁内に配置する必要はない。
【0018】
給排水システム100は、既設水栓11に接続部材2を接続する。接続部材2の接続口21に新設給水管3を接続する。新設給水管3に新設水栓4を接続する。新設水栓4を設置物43に固定する。これによって、新設水栓4を既設水栓11と異なる箇所に簡易に設けることができる。従来であれば、地面を掘って、地中の既設の給水管に新たな給水管を接続するため、大掛かりな工事を行う必要があったが、本実施形態では新設給水管3と既設給水管12との接続工事が不要であり、作業が簡易である。
【0019】
給排水システム100は、新設水栓4の鉛直下方に新設排水部材5を設置する。新設排水部材5の排水口51に新設排水管6を接続する。新設排水管6を既設排水部材16まで延ばす。新設水栓4で使用された水は、既設排水部材16に排水される。従来であれば、地面を掘って、地中の既設の排水管に新たな排水管を接続するため、大掛かりな工事を行う必要があったが、本実施形態では、新設排水管6と既設排水管との接続工事が不要であり、作業が簡易である。
【0020】
新設排水管6には、既設排水部材16は、排水する圧送ポンプ61を備えている。これによって、新設排水管6に勾配を設けなくても、強制的に既設排水部材16に排水することができる。
【0021】
住宅の屋外に設けられた既設水栓11を利用して、屋外に新設水栓4を設置する。これによって、屋外に新たな水栓を移築や増築することができ、利便性が高い。
【0022】
(第二実施形態)
第二実施形態に係る給排水システムについて、主に
図2を用いて説明する。以下の実施形態おいて、前述した実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0023】
図2に示すように、給排水システム100Aの接続部材2Aは、接続口21と、吐水口22と、操作部23と、を備えている。吐水口22は、既設水栓11の吐水口11aの鉛直下方に配置されている。吐水口22の位置は、既設水栓11の吐水口11aの近傍であればよい。接続部材2Aが既設水栓11に接続された状態で、既設水栓11から吐水される水が、接続部材2Aの流路を流通して、吐水口22から吐水される。操作部23を操作することによって、吐水口22の開閉及び水量の調整等の操作が可能である。
【0024】
給排水システム100Aでは、新設水栓4を既設水栓11と異なる箇所に簡易に設けることができる。従来であれば、地面を掘って、地中の既設の給水管に新たな給水管を接続するため、大掛かりな工事を行う必要があったが、本実施形態では、新設給水管3と既設給水管12との接続工事が不要であり、作業が簡易である。
【0025】
給排水システム100Aでは、既設水栓11に接続された接続部材2Aには吐水口22が設けられている。これによって、既設水栓11の吐水口11aの近傍に位置する接続部材2Aの吐水口22から吐水が可能となる。
【0026】
(第三実施形態)
第三実施形態に係る給排水システムについて、主に
図3を用いて説明する。
図3に示すように、給排水システム100Bは、カバー7を備えている。カバー7は、筒状をしている。カバー7は、既設水栓11、接続部材2Aの一部及び新設給水管3の一部を覆っている。新設給水管3は、接続部材2Aと接続される端部から延在方向の途中までをカバー7で覆われている。カバー7には、カバー開口71が形成されている。カバー開口71から接続部材2Aの吐水口22及び操作部23がカバー7の外側に露出している。操作部23の操作及び吐水口22からの吐水が可能とされている。カバーは、新設給水管3の一部のみを覆う構成であってもよい。
【0027】
給排水システム100Bでは、新設水栓4を既設水栓11と異なる箇所に簡易に設けることができる。従来であれば、地面を掘って、地中の既設の給水管に新たな給水管を接続するため、大掛かりな工事を行う必要があったが、本実施形態では、新設給水管3と既設給水管12との接続工事が不要であり、作業が簡易である。
【0028】
給排水システム100Bでは、既設水栓11、接続部材2A及び新設給水管3の少なくとも一部は、カバー7で覆われている。これによって、既設水栓11、接続部材2A及び新設給水管3の少なくとも一部の露出が抑制され見栄えが良いとともに、使用者が新設給水管3に接触したり踏んだりすることが抑制される。
【0029】
(第四実施形態)
第四実施形態に係る給排水システムについて、主に
図4を用いて説明する。本実施形態では、接続部材2及び新設給水管3の構成は第一実施形態と同じであり、
図4では図示を省略している。
【0030】
図4に示すように、給湯器8の接続口81に、給湯接続部材82が接続されている。給湯接続部材82には、給湯管83が接続されている。給湯接続部材82は、例えば給湯器8の接続口81に嵌め込みや螺子固定等の周知の固定方法で固定されている。
【0031】
新設給水管3及び給湯管83が接続される新設水栓4Cは、湯水の吐水が可能な混合水栓である。新設水栓4Cは、カウンター等の設置物43Cに固定されている。
【0032】
給排水システム100Cでは、新設水栓4Cを既設水栓11と異なる箇所に簡易に設けることができる。従来であれば、地面を掘って、地中の既設の給水管に新たな給水管を接続するため、大掛かりな工事を行う必要があったが、本実施形態では、新設給水管3と既設給水管12との接続工事が不要であり、作業が簡易である。
【0033】
給排水システム100Cでは、新設水栓4Cには給湯管83が接続されているため、新設水栓4Cから湯の吐水が可能である。
【0034】
(第五実施形態)
第五実施形態に係る給排水システムについて、主に
図5を用いて説明する。本実施形態では、接続部材2、新設給水管3及び新設水栓4Cの構成は第四実施形態と同じであり、
図5では図示を省略している。
【0035】
図5に示すように、カバー7Dは、壁18に固定されている。カバー7Dは、固定部73と、カバー部74と、区画部75と、を有している。
【0036】
固定部73は、固定板部73aと、立設板部73bと、を有している。固定板部73aは、壁18に沿って配置されている。固定板部73aは、螺子73cで壁18に固定されている。立設板部73bは、固定板部73aの上下の端部から壁18から離れる水平方向に延びている。
【0037】
カバー部74は、第一カバー部74aと、第二カバー部74bと、を有している。第一カバー部74aは、壁18と対向して配置されている。第二カバー部74bは、第一カバー部74aの上下の端部から壁18側に延びている。第二カバー部74bは、固定部73の立設板部73bの外側に配置されている。第二カバー部74bは、立設板部73bと螺子74cで固定されている。
【0038】
区画部75は、カバー部74の第一カバー部74aから壁18側に延びている。区画部75は、上下に離れて2箇所に配置されている。上側の第二カバー部74bと上側の区画部75との間には、電気配線(他の収容物)17が配置されている。上下の区画部75,75の間には、給湯管(他の収容物)83及び新設給水管3が配置されている。下側の区画部75と下側の第二カバー部74bとの間には、新設排水管(他の収容物)6が配置されている。カバー7Dの内部には、新設給水管3と他に一つの部材が収容されていればよい。
【0039】
給排水システム100Dでは、新設水栓4Cを既設水栓11と異なる箇所に簡易に設けることができる。従来であれば、地面を掘って、地中の既設の給水管に新たな給水管を接続するため、大掛かりな工事を行う必要があったが、本実施形態では、新設給水管3と既設給水管12との接続工事が不要であり、作業が簡易である。
【0040】
給排水システム100Dでは、カバー7Dには、電気配線17と、給湯管83及び新設給水管3と、新設排水管6とを区画する区画部75が設けられている。これによって、電気配線17が上側に配置されているため、漏電を抑制することができる。給湯管83及び新設給水管3が新設排水管6よりも上方に配置されているため、万が一新設排水管6から漏水しても給湯管83及び新設給水管3に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0041】
上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0042】
例えば、上記に示す実施形態では、新設排水部材5を備えているが、これに限られない。庭等に直接排水する場合には、新設排水部材5を設置しなくてもよい。
【符号の説明】
【0043】
2,2A…接続部材、3…新設給水管(新設の給水管)、4,4C…新設水栓(新設の水栓)、5…新設排水部材(新設の排水部材)、6…新設排水管(新設の排水管、他の収容物)、7,7D…カバー、10…既設の給排水システム、11…既設水栓(既設の水栓)、11a…吐水口、12…既設給水管、16…既設排水部材(既設の排水部)、17…電気配線(他の収容物)、21…接続口、22…吐水口、23…操作部、41…操作部43,43C…設置物、51…排水口、61…圧送ポンプ、75…区画部、83…給湯管(他の収容物)、100,100A,100B,100C,100D…給排水システム