(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045538
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 21/22 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
B65G21/22 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154021
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】506179929
【氏名又は名称】ツバキ山久チエイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 敦
(72)【発明者】
【氏名】木崎 文則
(72)【発明者】
【氏名】島田 暁
【テーマコード(参考)】
3F025
【Fターム(参考)】
3F025CA12
3F025CA15
3F025CB05
(57)【要約】
【課題】カーブ部分において、搬送路の幅を容易に変更できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送物を吊下げた状態で搬送する搬送装置において、搬送物を搬送する搬送路5のカーブ部分4を構成する内側コンベア11および外側コンベア16を備え、内側コンベア11は、内側搬送チェーン13と、内側走行レール12とを備え、内側走行レール12が内側搬送チェーン13の走行方向に複数分割された内側分割レール12a~12dで構成されており、外側コンベア16は、内側搬送チェーン13と協働して搬送物を搬送する外側搬送チェーン18と、外側走行レール17とを備え、外側走行レール17が外側搬送チェーン18の走行方向に複数分割された外側分割レール17a~17dで構成されており、内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dが互いに近づく方向および離れる方向に移動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物のフランジを支持して前記搬送物を吊下げた状態で搬送する搬送装置において、
前記搬送物を搬送する搬送路のカーブ部分を構成する内側コンベアおよび外側コンベアであって、これらのコンベアの間に前記搬送路を構成する前記内側コンベアおよび前記外側コンベアを備え、
前記内側コンベアは、内側搬送チェーンと、前記内側搬送チェーンの走行を案内する内側走行レールとを備え、前記内側走行レールが前記内側搬送チェーンの走行方向に複数分割された内側分割レールで構成されており、
前記外側コンベアは、前記内側搬送チェーンと協働して前記搬送物を吊下げて搬送する外側搬送チェーンと、前記外側搬送チェーンの走行を案内する外側走行レールとを備え、前記外側走行レールが前記内側分割レールの各々と対応するように前記外側搬送チェーンの走行方向に複数分割された外側分割レールで構成されており、
前記内側分割レールおよび前記外側分割レールの少なくとも一方の分割レールは、他方の分割レールに対して近づく方向、および、離れる方向に移動可能である
搬送装置。
【請求項2】
前記内側分割レールと前記外側分割レールとは、互いに近づく方向、および、互いに離れる方向に移動可能である
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記搬送路の幅を調整する幅調整ユニットを備え、
互いに対応付けられた前記内側分割レールと前記外側分割レールとが組を構成し、
各組が、前記内側分割レールと前記外側分割レールの移動を案内する案内レールを備え、
各組の案内レールが前記幅調整ユニットを構成する
請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
各組が備える前記内側分割レールと前記外側分割レールとを、同期して、互いに近づく方向、および、互いに離れる方向に移動可能とする連動ユニットを備える
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
移動する分割レールを備えたコンベアは、当該コンベアの走行レールを走行する環状の搬送チェーンのテンションを調整するテンション調整ユニットを備え、
前記テンション調整ユニットは、前記分割レールが前記カーブ部分の内側方向および外側方向の移動に合わせて、前記搬送チェーンのテンションを調整する
請求項1ないし4のうち何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
移動する分割レールにおける互いに対向する端部間は、隙間部を備える
請求項1ないし5のうち何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記内側搬送チェーンおよび前記外側搬送チェーンの各々は、複数のリンク体が前記走行方向に連結して構成されており、
各リンク体は、前記フランジを支持する支持片と、前記内側走行レールおよび前記外側走行レールに沿った走行を案内する案内片を備え、
前記内側分割レール、および、前記外側分割レールは、前記案内片が係合される案内溝を備え、
移動する前記分割レールにおける前記隙間部を構成する2つの端部のうちで前記分割レールを走行する搬送チェーンの前記走行方向の下流側に位置する前記案内溝の端部は、当該端部に走行してくる前記案内片を呼び込む開先部を備える
請求項6に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジを有する搬送物の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フランジを有する搬送物、例えばペットボトルのプリフォーム、シリンジなどを吊下げて搬送する搬送装置がある(特許文献1参照)。この種の搬送装置は、一対のコンベアを備え、一対のコンベアの間に、搬送物の搬送路を構成している。各コンベアは、搬送物を吊下げ支持する環状の搬送チェーンと、走行する搬送チェーンを案内する走行レールを備えている。走行レールには、環状の搬送チェーンを走行させるための駆動スプロケットと従動スプロケットとが設けられている。搬送チェーンは、駆動スプロケットと従動スプロケットとの間に掛け渡され、駆動スプロケットが回転駆動することによって走行される。
【0003】
以上のように構成された搬送装置において、直線部分の搬送路は、各コンベアが直線状に構成されている。そして、搬送路にカーブ部分を設けるときには、一方の直線部分から次の直線部分に移動させる乗り換えユニットを設けるようにしている。乗り換えユニットは、接続する2つの直線部分の端部に高低差を設け、高低差のある端部同士をカーブレールで接続する。カーブレールは、搬送物を、一方の直線部分から次の直線部分にスライド降下させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、同一設備で搬送物を変更する場合には、新たな搬送物の大きさに応じて、搬送路の幅を変更する必要が生じる。搬送路の直線部分では、直線形状の一対のコンベアの間隔を、新たな搬送物の大きさに応じて変更すればよい。すなわち、各コンベアを平行移動させるだけで良い。
【0006】
しかしながら、カーブ部分では、カーブレールを内側方向および外側方向に移動させると、移動の前後で、カーブ半径が変わってしまう。このため、カーブ部分では、カーブレールの長さが短過ぎたり、長過ぎたりして、直線部分の端部とカーブレールの端部とを接続することができなくなってしまう。このため、新たな搬送物の大きさに合わせた搬送幅のカーブレールを備えた新たな乗り換えユニットに付け替える必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための搬送装置は、搬送物のフランジを支持して前記搬送物を吊下げた状態で搬送する搬送装置において、前記搬送物を搬送する搬送路のカーブ部分を構成する内側コンベアおよび外側コンベアであって、これらのコンベアの間に前記搬送路を構成する前記内側コンベアおよび前記外側コンベアを備え、前記内側コンベアは、内側搬送チェーンと、前記内側搬送チェーンの走行を案内する内側走行レールとを備え、前記内側走行レールが前記内側搬送チェーンの走行方向に複数分割された内側分割レールで構成されており、前記外側コンベアは、前記内側搬送チェーンと協働して前記搬送物を吊下げて搬送する外側搬送チェーンと、前記外側搬送チェーンの走行を案内する外側走行レールとを備え、前記外側走行レールが前記内側分割レールの各々と対応するように前記外側搬送チェーンの走行方向に複数分割された外側分割レールで構成されており、前記内側分割レールおよび前記外側分割レールの少なくとも一方の分割レールは、他方の分割レールに対して近づく方向、および、離れる方向に移動可能である。
【0008】
上記構成によれば、カーブ部分を構成している走行レールを、少なくとも一方の分割レールを、他方の分割レールに対して近づく方向、および、離れる方向に移動することで、直線レールとともに容易に搬送路の幅を変更することができる。
【0009】
上記搬送装置において、前記内側分割レールと前記外側分割レールとは、互いに近づく方向、および、互いに離れる方向に移動可能な構成としてもよい。上記構成によれば、搬送路の幅方向中央を搬送方向に延びる仮想中心線の位置を変更させることなく、搬送路の幅を変更することができる。
【0010】
上記搬送装置によれば、前記搬送装置は、前記搬送路の幅を調整する幅調整ユニットを備え、互いに対応付けられた前記内側分割レールと前記外側分割レールとが組を構成し、各組が、前記内側分割レールと前記外側分割レールの移動を案内する案内レールを備え、各組の案内レールが前記幅調整ユニットを構成するようにしてもよい。
【0011】
上記構成によれば、各組において、内側分割レールおよび外側分割レールを共通の案内レールで支持することで、容易に内側分割レールおよび外側分割レールを移動させることができる。
【0012】
上記搬送装置において、各組が備える前記内側分割レールと前記外側分割レールとを、同期して、互いに近づく方向、および、互いに離れる方向に移動可能とする連動ユニットを備える構成としてもよい。上記構成によれば、各組の内側分割レールと外側分割レールとが連動することで、搬送路の幅を組ごとに調整する必要がなくなり、作業が簡素化される。
【0013】
上記搬送装置において、移動する分割レールを備えたコンベアは、当該コンベアの走行レールを走行する環状の搬送チェーンのテンションを調整するテンション調整ユニットを備え、前記テンション調整ユニットは、前記分割レールが前記カーブ部分の内側方向および外側方向の移動に合わせて、前記搬送チェーンのテンションを調整する構成としてもよい。
【0014】
上記構成によれば、テンション調整ユニットは、分割レールが内側方向に移動したときにも外側方向に移動したときにも、搬送チェーンを適当なテンションに維持することができる。
【0015】
上記搬送装置において、移動する分割レールにおける互いに対向する端部間は、隙間部を備える構成としてもよい。上記構成によれば、分割レールは、カーブ部分を内側方向に移動するとき、対向する端部同士が近づくことになるが、隙間部が設けられていることで、内側方向への移動が可能となる。分割レールは、隙間部が無くなるまでの範囲で、内側方向に移動することができる。
【0016】
上記搬送装置において、前記内側搬送チェーンおよび前記外側搬送チェーンの各々は、複数のリンク体が前記走行方向に連結して構成されており、各リンク体は、前記フランジを支持する支持片と、前記内側走行レールおよび前記外側走行レールに沿った走行を案内する案内片を備え、前記内側分割レール、および、前記外側分割レールは、前記案内片が係合される案内溝を備え、移動する前記分割レールにおける前記隙間部を構成する2つの端部のうちで前記分割レールを走行する搬送チェーンの前記走行方向の下流側に位置する前記案内溝の端部は、当該端部に走行してくる前記案内片を呼び込む開先部を備える構成としてもよい。
【0017】
上記構成によれば、案内溝は、隙間部の位置で、途切れることになるが、開先部が設けられていることで、案内溝の途切れた位置から次の案内溝の入り口に円滑に進入することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、搬送路にカーブ部分を含んでいても、一対のコンベアの間に構成される搬送路の幅を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態で説明する搬送装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示す搬送装置の内側走行レールを構成する第1内側直線分割レール、および、第2内側直線分割レールの端面図である。
【
図3】(a)は、
図1に示す搬送装置の内側コンベアおよび外側コンベアの斜視図である。(b)は、搬送チェーンの要部斜視図である。
【
図4】
図1に示す搬送装置の内側コンベアおよび外側コンベアにおいて、分割レール間に設けられる隙間部と搬送チェーンとの関係を示す拡大平面図である。
【
図5】
図1に示す搬送装置において、内側分割レールおよび外側分割レールが基準位置にある状態を示す要部平面図である。
【
図6】
図1に示す搬送装置において、搬送路を狭めた状態を示す要部平面図である。
【
図7】
図1に示す搬送装置において、搬送路を広げた状態を示す要部平面図である。
【
図8】搬送チェーンを構成するリンク体を上下反転させた状態における第1内側直線分割レール、および、第2内側直線分割レールの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明が適用された搬送装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、搬送装置1は、上部に、フランジ6aを有する搬送物6(
図2参照)を搬送する装置である。上部にフランジを有する搬送物6としては、ペットボトル、ペットボトルのプリフォーム、シリンジ、点滴容器、流動食品用容器などである。
【0021】
〔全体構成〕
搬送装置1は、搬送物6の搬送路5のうちで、第1直線部分2と、第2直線部分3と、直線部分2,3を繋ぐカーブ部分4とを備える装置である。なお、本実施形態では、カーブ部分4の両端とカーブ円弧の中心Oとを結ぶカーブ中心角度θ1は、60°である(
図5参照)。搬送装置1は、間に搬送路5を構成する内側コンベア11および外側コンベア16を備えている。また、搬送装置1は、搬送路5の幅を調整する幅調整ユニット31を備えている。さらに、搬送装置1は、搬送路5の幅を連動して移動させる連動ユニット41を備えている。さらに、搬送装置1は、内側コンベア11を構成する内側搬送チェーン13のテンションを調整する内側テンション調整ユニット51と、外側コンベア16を構成する外側搬送チェーン18のテンションを調整する外側テンション調整ユニット52とを備えている。
【0022】
〔コンベア〕
内側コンベア11は、搬送路5の内側に位置するコンベアであって、外側コンベア16は、搬送路5の外側に位置するコンベアであり、内側コンベア11および外側コンベア16は、同じ構成を有している。
【0023】
内側コンベア11は、内側走行レール12と、内側走行レール12に案内される環状の内側搬送チェーン13とを備えている。内側走行レール12は、カーブ部分4の両側に位置する第1内側直線分割レール12aと第2内側直線分割レール12bと、を備えている。さらに、第1内側直線分割レール12aと連結される第1内側曲線分割レール12cと、第2内側直線分割レール12bと連結される第2内側曲線分割レール12dと、を備えている。第1内側曲線分割レール12cおよび第2内側曲線分割レール12dの各々は、一例として、同じ曲率のレールであって、各レールの両端部とカーブ円弧の中心Oとを結ぶ直線の中心角である分割角度θ2が30°である(
図5参照)。
【0024】
第1内側直線分割レール12aには、内側搬送チェーン13を駆動するための内側駆動モータ14と、内側駆動モータ14によって回転駆動される駆動スプロケット(図示せず)を備えている。また、第2内側直線分割レール12bには、従動スプロケット(図示せず)を備えている。内側搬送チェーン13は、駆動スプロケットと従動スプロケットの間に掛け渡され、駆動スプロケットが回転駆動することで所定方向に走行される。
【0025】
外側コンベア16は、外側走行レール17と、外側走行レール17に案内される環状の外側搬送チェーン18と、を備えている。外側走行レール17は、カーブ部分4の両側に位置する第1外側直線分割レール17aと、第2外側直線分割レール17bと、を備えている。さらに、第1外側直線分割レール17aと連結される第1外側曲線分割レール17cと、第2外側直線分割レール17bと連結される第2外側曲線分割レール17dと、を備えている。第1外側曲線分割レール17cおよび第2外側曲線分割レール17dの各々は、一例として、同じ曲率のレールであって、各レールの両端部とカーブ円弧の中心Oとを結ぶ直線の中心角である分割角度θ2が30°である(
図5参照)。
【0026】
第1内側曲線分割レール12cおよび第2内側曲線分割レール12dは、同じ構成を有している。また、第1外側曲線分割レール17cおよび第2外側曲線分割レール17dは、同じ構成を有している。そして、これら曲線分割レール12c,12d,17c,17dは、カーブ円弧の中心O(
図5参照)が一致している。第1内側曲線分割レール12cおよび第2内側曲線分割レール12dの曲率半径は、第1外側曲線分割レール17cおよび第2外側曲線分割レール17dの曲率半径よりも小さく設定されている。
【0027】
第1外側直線分割レール17aには、外側搬送チェーン18を駆動するための外側駆動モータ19と、外側駆動モータ19によって回転駆動される駆動スプロケット(図示せず)を備えている。また、第2外側直線分割レール17bには、従動スプロケット(図示せず)を備えている。外側搬送チェーン18は、駆動スプロケットと従動スプロケットの間に掛け渡され、駆動スプロケットが回転駆動することで所定方向に走行される。内側搬送チェーン13および外側搬送チェーン18は、搬送路5を構成する領域において、同方向に走行する。
【0028】
ここで、第1内側直線分割レール12aと第1外側直線分割レール17aとが対応関係を有する1つの組を構成し、第2内側直線分割レール12bと第2外側直線分割レール17bとが対応関係を有する1つの組を構成している。さらに、第1内側曲線分割レール12cと第1外側曲線分割レール17cとが対応関係を有する1つの組を構成し、第2内側曲線分割レール12dと第2外側曲線分割レール17dとが対応関係を有する1つの組を構成している。各組の内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dは、搬送路5の幅を変更するために、カーブ円弧の中心Oからの放射方向である、内側方向および外側方向に平行移動可能に構成されている。すなわち、内側分割レール12a~12dと外側分割レール17a~17dの各組は、搬送路5の幅を拡幅するとき、互いに離れる方向に移動する。搬送路5の幅を狭めるときには、互いに近づく方向に移動する。
【0029】
〔分割レール〕
図2は、内側走行レール12を構成する第1内側直線分割レール12a、および、第2内側直線分割レール12bの端面図である。さらに、外側走行レール17を構成する第1外側直線分割レール17a、および、第2外側直線分割レール17bの端面図である。
【0030】
図1および
図2に示すように、各分割レール12a~12d,17a~17dは、その間に、搬送路5が構成される。第1内側直線分割レール12a、および、第2内側直線分割レール12bは、それぞれ第1ブロック21aと第2ブロック21bとを備えている。第1ブロック21aと第2ブロック21bとは、連結片22によって連結されている。
【0031】
第1外側直線分割レール17a、および、第2外側直線分割レール17bも、第1ブロック21aと第2ブロック21bとを備えている。第1ブロック21aと第2ブロック21bとは、連結片22によって連結されている。第1ブロック21aおよび第2ブロック21bにおいて、搬送チェーン13,18の走行方向に延びる側面であって、かつ、連結片22とは反対側の側面には、案内溝23,24を備えている。内側走行レール12を構成する第1ブロック21aおよび第2ブロック21bに設けられる2つの案内溝が内側案内溝23であって、外側走行レール17を構成する第1ブロック21aおよび第2ブロック21bに設けられる2つの案内溝が外側案内溝24である。
【0032】
なお、第1内側曲線分割レール12cおよび第2内側曲線分割レール12dも、内側案内溝23を備えている。また、第1外側曲線分割レール17cおよび第2外側曲線分割レール17dも、外側案内溝24を備えている。
【0033】
〔搬送チェーン〕
図3(a)および(b)に示すように、内側搬送チェーン13と外側搬送チェーン18も同様な構成を有している。搬送チェーン13,18は、複数のリンク体26を備え、リンク体26は、連結軸によって連結されることで、環状の無端のチェーンを構成している。各リンク体26は、搬送物6のフランジ6aを支持する支持片27を備えている。支持片27は、リンク体26の下端から突出している。内側搬送チェーン13と外側搬送チェーン18は、互いに平行であり、各搬送チェーン13,18は、搬送路5に臨む部分において、搬送路5の方向に突出する。内側搬送チェーン13の支持片27と外側搬送チェーン18の支持片27とは、協働して搬送物6のフランジ6aを下側から支持する。
【0034】
リンク体26は、さらに上側案内片26aと下側案内片26bとを備えている。上側案内片26aは、上側の案内溝23,24に係合し、下側案内片26bも、下側の案内溝23,24に係合する。各搬送チェーン13,18は、上側案内片26aが上側の案内溝23,24に係合することで、支持片27でフランジ6aを支持しているときに搬送物6の自重で、搬送路5の方向に倒れることが抑制される。
【0035】
内側搬送チェーン13は、内側走行レール12の駆動スプロケットと従動スプロケットとの間に掛け渡される。外側搬送チェーン18は、外側走行レール17の駆動スプロケットと従動スプロケットとの間に掛け渡される。内側搬送チェーン13および外側搬送チェーン18は、搬送路5を構成する部分において、同方向に走行する。
【0036】
〔幅調整ユニット〕
図1に示すように、分割レールの各組は、搬送路5の幅を変更するために、内側方向および外側方向に平行移動可能に構成されている。具体的に、各組の分割レール12a~12d,17a~17dは、各組が備えている幅調整ユニット31によって、カーブ円弧の中心Oからの放射方向である、内側方向および外側方向に平行移動可能に構成されている。
【0037】
1つの組を構成する第1内側直線分割レール12aおよび第1外側直線分割レール17aの幅調整ユニット31は、第1案内レール32を備えている。第1案内レール32は、第1内側直線分割レール12aおよび第1外側直線分割レール17aを案内するレールであって、互いに平行な2本のレール部材で構成されている。2本の第1案内レール32は、第1内側直線分割レール12aおよび第1外側直線分割レール17aに対して交差するように跨いで配置されている。各第1案内レール32は、第1内側直線分割レール12aを内側方向および外側方向に移動させるとともに、第1外側直線分割レール17aを内側方向および外側方向に移動させる駆動部を備えている。
【0038】
駆動部は、一例としてボールねじを使用して、第1内側直線分割レール12aおよび第1外側直線分割レール17aを内側方向および外側方向に移動させる。ボールねじは、ねじ軸とナットを含むハウジングを主たる構成要素としている。ねじ軸は、第1内側直線分割レール12aを移動させる第1ねじ溝と第1外側直線分割レール17aを移動させる第2ねじ溝とを備え、これらのねじ溝は、一例として、ねじ溝が互いに逆向きに構成されている。そして、第1ねじ溝に配置されるハウジングは、第1内側直線分割レール12aに固定され、第2ねじ溝に配置されるハウジングは、第1外側直線分割レール17aに固定されている。
【0039】
したがって、第1内側直線分割レール12aおよび第1外側直線分割レール17aは、ねじ軸が一方向に回転されたとき、互いに近づく方向に移動し、ねじ軸が他方に回転されたとき、互いに離れる方向に移動する。すなわち、第1内側直線分割レール12aが内側方向に移動するとき、第1外側直線分割レール17aは、外側方向に移動し、これとは逆に、第1内側直線分割レール12aが外側方向に移動するとき、第1外側直線分割レール17aは、内側方向に移動する。そして、第1内側直線分割レール12aおよび第1外側直線分割レール17aとは、搬送路5の幅方向中央を搬送方向に延びる仮想中心線5aの位置を移動の前後で変更しないように内側方向および外側方向に移動する。
【0040】
1つの組を構成する第2内側直線分割レール12bおよび第2外側直線分割レール17bの幅調整ユニット31は、第2案内レール33を備えている。第2案内レール33第2内側直線分割レール12bおよび第2外側直線分割レール17bを案内するレールであって、互いに平行な2本のレールで構成されている。2本の第2案内レール33は、第2内側直線分割レール12bおよび第2外側直線分割レール17bに対して交差するように跨いで配置されている。各第2案内レール33は、第2内側直線分割レール12bを内側方向および外側方向に移動させるとともに、第2外側直線分割レール17bを内側方向および外側方向に移動させる駆動部を備えている。駆動部は、第1案内レール32と同様、ボールねじを使用して構成されている。
【0041】
したがって、第2内側直線分割レール12bおよび第2外側直線分割レール17bも、ねじ軸が一方向に回転されたとき、互いに近づく方向に移動し、ねじ軸が他方に回転されたとき、互いに離れる方向に移動する。すなわち、第2内側直線分割レール12bが内側方向に移動するとき、第2外側直線分割レール17bは、外側方向に移動し、これとは逆に、第2内側直線分割レール12bが外側方向に移動するとき、第2外側直線分割レール17bは、内側方向に移動する。そして、第2内側直線分割レール12bおよび第2外側直線分割レール17bは、搬送路5の幅方向中央を搬送方向に延びる仮想中心線5aの位置を移動の前後で変更しないように内側方向および外側方向に移動する。
【0042】
1つの組を構成する第1内側曲線分割レール12cおよび第1外側曲線分割レール17cの幅調整ユニット31は、第3案内レール34を備えている。第3案内レール34は、第1内側曲線分割レール12cおよび第1外側曲線分割レール17cを案内する1本のレールである。第3案内レール34は、第1内側曲線分割レール12cおよび第1外側曲線分割レール17cに対して交差するように跨いで配置されている。第3案内レール34は、第1内側曲線分割レール12cを内側方向および外側方向に移動させるとともに、第1外側曲線分割レール17cを内側方向および外側方向に移動させる駆動部を備えている。駆動部は、第1案内レール32および第2案内レール33と同様、ボールねじを使用して構成されている。
【0043】
したがって、第1内側曲線分割レール12cおよび第1外側曲線分割レール17cも、ねじ軸が一方向に回転されたとき、互いに近づく方向に移動し、ねじ軸が他方に回転されたとき、互いに離れる方向に移動する。すなわち、第1内側曲線分割レール12cが内側方向に移動するとき、第1外側曲線分割レール17cは、外側方向に移動し、これとは逆に、第1内側曲線分割レール12cが外側方向に移動するとき、第1外側曲線分割レール17cは、内側方向に移動する。そして、第1内側曲線分割レール12cおよび第1外側曲線分割レール17cは、搬送路5の幅方向中央を搬送方向に延びる仮想中心線5aの位置を移動の前後で変更しないように内側方向および外側方向に移動する。
【0044】
1つの組を構成する第2内側曲線分割レール12dおよび第2外側曲線分割レール17dの幅調整ユニット31は、第4案内レール35を備えている。第4案内レール35は、第2内側曲線分割レール12dおよび第2外側曲線分割レール17dを案内する1本のレールである。第4案内レール35は、第2内側曲線分割レール12dおよび第2外側曲線分割レール17dに対して交差するように跨いで配置されている。第4案内レール35は、第2内側曲線分割レール12dを内側方向および外側方向に移動させるとともに、第2外側曲線分割レール17dを内側方向および外側方向に移動させる駆動部を備えている。駆動部は、第1案内レール32、第2案内レール33および第3案内レール34と同様、ボールねじを使用して構成されている。
【0045】
したがって、第2内側曲線分割レール12dおよび第2外側曲線分割レール17dも、ねじ軸が一方向に回転されたとき、互いに近づく方向に移動し、ねじ軸が他方に回転されたとき、互いに離れる方向に移動する。すなわち、第2内側曲線分割レール12dが内側方向に移動するとき、第2外側曲線分割レール17dは、外側方向に移動し、これとは逆に、第2内側曲線分割レール12dが外側方向に移動するとき、第2外側曲線分割レール17dは、内側方向に移動する。そして、第2内側曲線分割レール12dおよび第2外側曲線分割レール17dは、搬送路5の幅方向中央を搬送方向に延びる仮想中心線5aの位置を移動の前後で変更しないように内側方向および外側方向に移動する。
【0046】
〔連動ユニット〕
各第1案内レール32、各第2案内レール33、第3案内レール34、および、第4案内レール35は、別々に、ボールねじを回転して搬送路5の幅を調整してもよいが、そうすると、仮想中心線5aの位置を揃えることに熟練を必要とし、作業が大変である。そこで、各第1案内レール32、各第2案内レール33、第3案内レール34、および、第4案内レール35は、連動ユニット41によって連動して、各分割レール12a~12dおよび各分割レール17a~17dを移動できるようにしている。
【0047】
図1に示すように、連動ユニット41は、第1連結チェーン42と、第2連結チェーン43と、第3連結チェーン44と、第4連結チェーン45と、第5連結チェーン46と、を備えている。さらに、1つの第1案内レール32の駆動部は、操作部を構成するハンドル47を備えている。ハンドル47は、1つの第1案内レール32の駆動部を構成するねじ軸を回転する。
【0048】
第1連結チェーン42は、2本の第1案内レール32の各駆動部と連結された第1伝達ギヤ48aおよび第2伝達ギヤ48bと、第1テンションギヤ49aと、に掛け渡されている。
【0049】
第2連結チェーン43は、第2伝達ギヤ48bと、第3案内レール34の駆動部と連結された第3伝達ギヤ48cと、第2テンションギヤ49bと、に掛け渡されている。第3連結チェーン44は、第3伝達ギヤ48cと、第4案内レール35の駆動部と連結された第4伝達ギヤ48dと、第3テンションギヤ49cと、に掛け渡されている。
【0050】
第4連結チェーン45は、第4伝達ギヤ48dと、2本の第2案内レール33のうちの1つの第2案内レール33の駆動部と連結された第5伝達ギヤ48eと、第4テンションギヤ49dと、に掛け渡されている。
【0051】
第5連結チェーン46は、2本の第2案内レール33の各駆動部と連結された第5伝達ギヤ48eおよび第6伝達ギヤ48fと、第5テンションギヤ49eと、に掛け渡されている。
【0052】
以上のような連動ユニット41により、ハンドル47が一方向に回転されると、連結チェーン42~46によって、案内レール32~35の駆動部に駆動力が伝達される。これにより、各内側分割レール12a~12dおよび各外側分割レール17a~17dは、同期して、互いに近づく方向に移動する。また、ハンドル47が他方向に回転されると、各内側分割レール12a~12dおよび各外側分割レール17a~17dは、同期して、互いに離れる方向に移動する。
【0053】
〔テンション調整ユニット〕
図1に示すように、環状の内側搬送チェーン13が掛け渡される従動スプロケットには、内側テンション調整ユニット51が接続されている。内側テンション調整ユニット51は、従動スプロケットを駆動スプロケットに対して近づける方向、および、離れる方向に移動するエアシリンダ機構などで構成されている。
【0054】
内側テンション調整ユニット51は、各内側分割レール12a~12dが内側方向に移動するとき、内側搬送チェーン13の緩みを調整すべく、従動スプロケットを駆動スプロケットから離す方向に移動し、緩みの発生を抑える。また、各内側分割レール12a~12dが外側方向に移動するとき、内側搬送チェーン13の緊張を調整すべく、従動スプロケットを駆動スプロケットに対して近づく方向に移動し、緊張し過ぎることを抑える。
【0055】
環状の外側搬送チェーン18が掛け渡される従動スプロケットには、外側テンション調整ユニット52が接続されている。外側テンション調整ユニット52は、従動スプロケットを駆動スプロケットに対して近づける方向および離れる方向に移動するエアシリンダ機構などで構成されている。
【0056】
外側テンション調整ユニット52は、各外側分割レール17a~17dが内側方向に移動するとき、外側搬送チェーン18の緩みを調整すべく、従動スプロケットを駆動スプロケットから離す方向に移動し緩みの発生を抑える。また、各外側分割レール17a~17dが外側方向に移動するとき、外側搬送チェーン18の緊張を調整すべく、従動スプロケットを駆動スプロケットに対して近づく方向に移動し、緊張し過ぎることを抑える。
【0057】
テンション調整ユニット51,52は、搬送チェーン13,18のテンションを、テンション検知センサで検出する。テンション検知センサは、常時、テンションを検出するように構成してもよいし、所定期間ごとにテンションを検出するようにしてもよい。テンション調整ユニット51,52を制御する制御部は、テンション検知センサが検出したテンション値が設定範囲を外れたとき、従動スプロケットを移動させることによって、設定範囲内となるようにテンションを調整する。
【0058】
〔隙間部〕
図4は、第1内側直線分割レール12aと第1内側曲線分割レール12cとの間、および、第1外側直線分割レール17aと第1外側曲線分割レール17cとの間に設けられる隙間部56を示している。このような隙間部56は、第1内側曲線分割レール12cと第2内側曲線分割レール12dとの間、および、第2内側曲線分割レール12dと第2内側直線分割レール12bとの間にも設けられている。さらに、第1外側曲線分割レール17cと第2外側曲線分割レール17dとの間、および、第2外側曲線分割レール17dと第2外側直線分割レール17bとの間にも設けられている。
【0059】
内側分割レール12a~12dが基準位置から外側方向に移動するとき、内側分割レール12a~12dのレール間の隙間部56は、広がり、内側方向に移動するとき、狭まる。一例として、内側分割レール12a~12dは、隙間部56が無くなり、内側分割レール12a~12dの端部同士が突き当たるまで内側方向に移動可能である。
【0060】
また、外側分割レール17a~17dも基準位置から外側方向に移動するとき、外側分割レール17a~17dのレール間の隙間部56は、広がり、内側方向に移動するとき、狭まる。一例として、外側分割レール17a~17dは、隙間部56が無くなり、外側分割レール17a~17dの端部同士が突き当たるまで内側方向に移動可能である。
【0061】
以上のような隙間部56の間隔は、一例として、内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dが最も外側方向に移動したときに、案内片26a,26bが案内溝23,24から外れない間隔に設定される。
【0062】
〔開先部〕
図3および
図4に示すように、内側の隙間部56を構成する内側分割レール12a~12dのレール間に臨む2つの端部において、上側の案内溝23は、テーパ面で構成された開先部61を備えている。下側の案内溝23も、テーパ面で構成された開先部61を備えている。上側の開先部61は、隙間部56を通過して上側の案内溝23に進入してくる上側案内片26aを呼び込む。下側の開先部61は、隙間部56を通過して下側の案内溝23に進入してくる下側案内片26bを呼び込む。
【0063】
外側の隙間部56を構成する外側分割レール17a~17dのレール間に臨む2つの端部において、上側の案内溝24も、テーパ面で構成された開先部61を備えている。下側の案内溝24も、テーパ面で構成された開先部61を備えている。上側の開先部61は、隙間部56を通過して上側の案内溝24に進入してくる上側案内片26aを呼び込む。下側の開先部61は、隙間部56を通過して下側の案内溝24に進入してくる下側案内片26bを呼び込む。
【0064】
特に、搬送チェーン13,18は、搬送物6を支持しているとき、下方に荷重が加わることによって、上側案内片26aが上側の案内溝23,24に係合した状態の中でも搬送路5の方向に傾倒する。このため、上側の案内溝23,24の途切れた隙間部56の位置から次の上側の案内溝23,24の入り口で引っかかる可能性が高まる。搬送チェーン13,18の走行方向の下流側、すなわち入り口側に位置する上側の案内溝23,24の端部に設けられた開先部61は、次の入り口となる上側の案内溝23で引っかかることを抑制する点で有効である。
【0065】
〔搬送装置の動作(実施形態の作用)〕
次に、搬送路5の幅を広げる場合の動作と幅を狭めるときの動作について説明する。
図5は、内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dが基準位置にある状態を示している。そして、
図6は、搬送路5を狭めた状態を示している。
図7は、搬送路5を広めた状態を示している。
【0066】
搬送路5を狭めるには、ハンドル47を一方向に回転する。すると、連結チェーン42~46によって、案内レール32~35の駆動部に駆動力が伝達される。これにより、各内側分割レール12a~12dおよび各外側分割レール17a~17dは、同期して、互いに近づく方向に移動する。すなわち、各内側分割レール12a~12dは、外側方向に移動する。これにより、隙間部56は、その隙間が広がることになる。内側テンション調整ユニット51は、内側搬送チェーン13のテンションを緊張し過ぎないように調整する。
【0067】
また、外側分割レール17a~17dは、内側方向に移動する。これにより、隙間部56は、その隙間が狭まることになる。外側テンション調整ユニット52は、外側搬送チェーン18のテンションを緩まないように調整する。
【0068】
この結果、各内側分割レール12a~12dおよび各外側分割レール17a~17dは、移動の前後で、仮想中心線5aの位置を変更することなく、搬送路5を狭めることができる。そして、内側搬送チェーン13および外側搬送チェーン18は、適当なテンションで、搬送物6を吊下げ支持しながら搬送する。
【0069】
次に、搬送路5の幅を広げる場合を説明する。
図7は、搬送路5を広げた状態を示している。ハンドル47が他方向に回転する。すると、連結チェーン42~46によって、案内レール32~35の駆動部に駆動力が伝達される。これにより、各内側分割レール12a~12dおよび各外側分割レール17a~17dは、同期して、互いに離れる方向に移動する。すなわち、各内側分割レール12a~12dは、内側方向に移動する。これにより、隙間部56は、その隙間が狭まることになる。内側テンション調整ユニット51は、内側搬送チェーン13のテンションを緩まないように調整する。
【0070】
また、外側分割レール17a~17dは、外側方向に移動する。これにより、隙間部56は、その隙間が広がることになる。外側テンション調整ユニット52は、外側搬送チェーン18の緊張し過ぎないようにテンションを調整する。
【0071】
この結果、各内側分割レール12a~12dおよび各外側分割レール17a~17dは、移動の前後で、仮想中心線5aの位置を変更することなく、搬送路5を広げることができる。そして、内側搬送チェーン13および外側搬送チェーン18は、適当なテンションで、搬送物6を吊下げ支持しながら搬送する。
【0072】
〔搬送装置の効果(実施形態の効果)〕
以上のような搬送装置1は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(1)搬送路5の幅を変更する場合において、カーブ部分4を構成している内側曲線分割レール12c,12dおよび外側曲線分割レール17c,17dは、内側直線分割レール12a,12bおよび外側直線分割レール17a,17bとともに内側方向および外側方向に移動する。これにより、搬送路5の幅を容易に調整することができる。そして、従来のような新たな乗り換えユニットの入れ替え作業が不要となる。
【0073】
(2)搬送路5の幅を変更する場合において、内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dは、互いに近づく方向および互いに離れる方向に移動するので、搬送路5の幅方向中央を搬送方向に延びる仮想中心線5aの位置を変更させることなく、搬送路5の幅を変更することができる。
【0074】
(3)内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dの中で対を構成する各組は、幅調整ユニット31を構成する案内レール32~35によって案内支持される。したがって、内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dを互いに近づく方向、および、互いに離れる方向に容易に移動することができる。
【0075】
(4)内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dの中で対を構成する各組は、連動ユニット41によって、連動して互いに近づく方向、および、互いに離れる方向に連動して移動することができる。すなわち、内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dを同期して移動することができる。これにより、搬送路5の幅を組ごとに調整する必要がなくなり、作業が簡素化される。
【0076】
(5)内側テンション調整ユニット51は、内側分割レール12a~12dが内側方向に移動したときにも外側方向に移動したときにも、内側搬送チェーン13を適当なテンションに維持することができる。また、外側テンション調整ユニット52は、外側分割レール17a~17dが内側方向に移動したときにも外側方向に移動したときにも、外側搬送チェーン18を適当なテンションに維持することができる。
【0077】
(6)内側分割レール12a~12dは、カーブ部分4を内側方向に移動するとき、対向する端部同士が近づくことになるが、隙間部56が設けられていることで、内側方向への移動が可能となる。内側分割レール12a~12dは、隙間部56が無くなるまでの範囲で、内側方向に移動することができる。
【0078】
同様に、外側分割レール17a~17dもカーブ部分4を内側方向に移動するとき、対向する端部同士が近づくことになるが、隙間部56が設けられていることで、内側方向への移動が可能となる。外側分割レール17a~17dは、隙間部56が無くなるまでの範囲で、内側方向に移動することができる。
【0079】
(7)内側案内溝23は、隙間部56の位置で、途切れることになるが、開先部61が設けられている。したがって、案内片26a,26bは、内側案内溝23の途切れた位置から次の内側案内溝23の入り口に円滑に進入することができる。
【0080】
外側案内溝24は、隙間部56の位置で、途切れることになるが、開先部61が設けられている。したがって、外側案内溝24の途切れた位置から次の外側案内溝24の入り口に円滑に進入することができる。
【0081】
(8)内側コンベア11および外側コンベア16の各々において、カーブ部分4と直線部分2,3を含んだ部分に、1つの駆動モータ14,19を設けるだけでよい。すなわち、内側コンベア11および外側コンベア16の各々は、第1直線部分2、カーブ部分4、第2直線部分3の範囲において、1つの駆動モータ14,19が必要となるだけである。したがって、駆動モータを削減できることで、構成が簡素化されるとともに、製造コストを削減できる。
【0082】
なお、搬送装置1は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・案内溝23,24に設けられている開先部61の中では、少なくとも、搬送チェーン13,18の走行方向の下流側、すなわち入り口側に位置する上側の案内溝23,24の端部に設けることが好ましい。搬送チェーン13,18は、搬送物6を支持しているとき、下方に荷重が加わることによって、上側案内片26aが上側の案内溝23,24に係合した状態の中でも搬送路5の方向に傾倒する。このため、上側の案内溝23,24の途切れた隙間部56の位置から次の入り口となる上側の案内溝23,24で引っかかるおそれがあるからである。
【0083】
上側の案内溝23,24の各レールの端部に設けられる開先部61は、上側の案内溝23,24の出口側の端部に設けることを省略してもよい。また、下側の案内溝23,24の端部に設けられる開先部61は、下側の案内溝23,24の出口側の端部に設けることを省略してもよい。
【0084】
さらに、搬送チェーン13,18の走行方向の下流側、すなわち入り口側に位置する上側の案内溝23,24の端部に設ける開先部61を省略してもよい。隙間部56を狭く設定しているときには、案内溝23,24の途切れた部分で、案内片26a,26bが引っかかる可能性が低くなるからである。
【0085】
・隙間部56は、内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dが最も外側方向に移動したときに、最も大きくなる。隙間部56が最大となったときに、案内片26a,26bが案内溝23,24から外れなければよい。分割レール12a~12d,17a~17dの移動量を大きくするためには、隙間部56の幅を大きく設定する必要がある。そうすると、案内片26a,26bが隙間部56で引っかかるおそれが高まる。このような場合には、案内片26a,26bが案内溝23,24から外れないようにするため、他の案内手段を設けるようにすればよい。
【0086】
・テンション調整ユニット51,52の構成は特に限定されるものではなく、例えばエアシリンダ機構を備えたものではなく、油圧シリンダ機構やスプリング機構などを備えたものであってもよい。
【0087】
・テンション調整ユニット51,52は、駆動スプロケット側に設けてもよいし、駆動スプロケットと従動スプロケットの間に設けるようにしてもよい。さらに、テンション調整ユニット51,52は、内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dが移動することに伴うテンション調整機能を省略してもよい。このような場合、搬送路5の幅を変更したときに、その都度、その幅に合わせて内側搬送チェーン13のテンションと外側搬送チェーン18のテンションを調整することになる。
【0088】
・連動ユニット41は、連結チェーン42~46によって案内レール32~35を連結した構成に限定されるものではない。一例として、ギヤ列で連結してもよいし、さらに、案内レール32~35の各駆動部を電動モータで駆動するようにし、各モータを電気制御によって同期して駆動させる構成としてもよい。さらに、連結チェーン42~46は、外側コンベア16に並んで設けているが、これとは別の場所に設けるようにしてもよい。例えば、連動ユニット41を構成する伝達ギヤ48a~48f、中間ギヤ49a~49e、および、連結チェーン42~46は、コンベア11,16が配置される平面に配置するのではなく、当該平面に垂直な側面に配置するようにしてもよい。
【0089】
・ハンドル47は、電動モータを用いて回転するようにしてもよい。さらにボールねじに対して、ハンドル47の代わりに電動モータを接続してもよい。
・さらに、連動ユニット41を省略してもよい。この場合、内側分割レール12a~12dおよび外側分割レール17a~17dの中で対を構成する各組について、別々に、搬送路5の幅を調整することになる。
【0090】
・幅調整ユニット31において、案内レール32~35の駆動部は、ボールねじを使用した機構に限定されるものではない。例えば、リニアモータ機構を用いたものであってもよいし、ラックとピニオンを用いたラック・アンド・ピニオン機構であってもよい。
【0091】
・内側コンベア11を移動不能、すなわち固定とし、外側コンベア16だけを内側方向および外側方向に移動可能な構成としてもよい。これとは逆に、外側コンベア16を移動不能、すなわち固定とし、内側コンベア11だけを内側方向および外側方向に移動可能な構成としてもよい。
【0092】
・カーブ部分4のカーブ中心角度θ1は、60°に限定されるものではなく、30°の内側曲線分割レール12c,12dおよび外側曲線分割レール17c,17dを3つにして90°としてもよい。
【0093】
内側曲線分割レール12c,12dおよび外側曲線分割レール17c,17dの分割角度θ2は、30°以外であってもよい。例えば、分割角度θ2は、15°、45°、60°、90°などであってもよい。また、内側曲線分割レール12c,12dおよび外側曲線分割レール17c,17dは、異なる分割角度θ2のものを組み合わせてもよい。例えば、分割角度θ2が30°のものと15°のものを組み合わせて45°としてもよい。
【0094】
内側曲線分割レール12c,12dおよび外側曲線分割レール17c,17dにおいて、カーブ円弧の中心Oは、一致せず、異なっていてもよい。このような場合、カーブ半径の異なるカーブが繋がったカーブ部分4、すなわち曲率の異なるカーブが繋がったカーブ部分4を構成することができる。
【0095】
・内側分割レール12a~12dの中の1つと外側分割レール17a~17dの中の1つとが1つの組を構成している場合を説明したが、この組は、このような例に限定されるものではない。例えば、内側分割レール12a~12dと外側分割レール17a~17dとは、複数本のレール同士が1つの組を構成してもよい。また、内側および外側の一方のレールが複数本で他方のレールが1本であってもよい。例えば、内側分割レール12a~12dの中の1本と外側分割レール17a~17dの中の2本が1つの組を構成してもよい。これとは逆に、外側分割レール17a~17dの中の1本と内側分割レール12a~12dの中の2本が1つの組を構成するようにしてもよい。
【0096】
・上述のように、搬送チェーン13,18は、支持片27が下側の端部から突出し、搬送物6のフランジ6aを下側から支持している(
図2および
図3参照)。
図8に示すように、リンク体26は、
図2および
図3のリンク体26を上下を反転にして使用することもできる。この場合、リンク体26の上側から支持片27が突出し、搬送物6のフランジ6aを下側から支持する構成となる。
【符号の説明】
【0097】
2,3…直線部分
4…カーブ部分
5…搬送路
11…内側コンベア
12…内側走行レール
12a,12b…内側直線分割レール
12c,12d…内側曲線分割レール
13…内側搬送チェーン
14…内側駆動モータ
16…外側コンベア
17…外側走行レール
17a,17b…外側直線分割レール
17c,17d…外側曲線分割レール
18…外側搬送チェーン
19…外側駆動モータ
21a…第1ブロック
21b…第2ブロック
22…連結片
23,24…案内溝
26…リンク体
26a,26b…案内片
27…支持片
31…幅調整ユニット
32~35…案内レール
41…連動ユニット
42~46…連結チェーン
47…ハンドル
48a~48f…伝達ギヤ
49a~49e…テンションギヤ
51,52…テンション調整ユニット
56…隙間部
61…開先部