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  • 特開-蓄圧式洗浄液吹付け機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045546
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】蓄圧式洗浄液吹付け機
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20230101AFI20230327BHJP
   B60S 3/04 20060101ALI20230327BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
B05B11/00 103B
B60S3/04
B05B1/02 101
B05B11/00 103C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154033
(22)【出願日】2021-09-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】515066210
【氏名又は名称】上海奥一貿易有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI OUYI TRADE ENTERPRISES CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】24D YUHUA BUILDING, NO.366 ZHAO JIABANG ROAD, SHANGHAI, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】王 偉
【テーマコード(参考)】
3D026
4F033
【Fターム(参考)】
3D026AA02
3D026AA12
3D026AA23
3D026AA62
4F033AA04
4F033BA02
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033LA06
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】車等の泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれにも対応可能な蓄圧式洗浄液吹付けを提供する。
【解決手段】洗浄液中に空気を供給する空気供給部13Aの位置を自在に調整するために、空気供給部13Aを設けた噴出管13を着脱自在に噴出部15に取り付ける。対象物を泡沫洗浄するときは、泡沫を発生させるために必要な空気を洗浄液中に取り込む必要があるため、洗浄液の液面より上部位置に空気供給部13Aを存在させるように噴出管13を取り付ける。対象物を水沫洗浄するときは、空気供給部13Aが容器11に収容された洗浄液に浸漬されるように噴出管13を取り付ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡沫洗浄、水沫洗浄のいずれも対応可能であり、洗浄液を収容する容器に取り付けて使用し、対象物にこの洗浄液を吹き付けるための蓄圧式洗浄液吹付け機であって、
空気を前記容器に送出する空気送出部と、
前記容器に収容された洗浄液を外部に噴出する噴出部と、
噴出部から着脱自在に延び、前記洗浄液を前記噴出部に供給する噴出管と、を有し、
前記噴出管の一端には、前記容器中に存在する空気を洗浄液に供給する空気供給部が設けられ、
前記噴出部には、空気を含む洗浄液を泡沫化させる通水性のある発泡性樹脂からなる泡沫発生部が設けられた蓄圧式洗浄液吹付け機。
【請求項2】
上記対象物を泡沫洗浄するときは、前記空気供給部が前記容器に収容された洗浄液に浸漬されないように前記噴出管が前記噴出部に取り付けられ、
上記対象部を水沫洗浄するときは、前記空気供給部が前記容器に収容された洗浄液に浸漬されるように前記噴出管が前記噴出部に取り付けられる請求項1に記載の蓄圧式洗浄液吹付け機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄圧式洗浄液吹付け機、具体的には、車や窓等、洗浄が必要な対象物の泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれにも対応可能な蓄圧式洗浄液吹付け機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗車等の際に、液体洗剤を泡立てて車等に噴射する機器がある。このような機器には、据付型洗車機に組み込まれる大型のものや、人手で操作するガンタイプのものがある、このうち、ガンタイプの洗浄液吹付け機(フォームガン)には、外部からのエアコンプレッサーや水圧を用いた高圧式のものと、簡易のハンディアタイプの蓄圧式のものがある。
蓄圧式の洗浄液吹付け機(蓄圧式洗浄液吹付け機)では、例えば、特許文献1に記載のような手動のポンプを用いて、手動で圧力を高めるものや、特許文献2のように電池を使って圧力を高めるものなど様々なものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-328512号公報
【特許文献2】特許第6882813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から存在する蓄圧式洗浄液吹付け機(特許文献1、特許文献2も同様)では、泡沫洗浄か水沫洗浄の一方でしか使用できなかった。泡沫洗浄専用の蓄圧式洗浄液吹付け機を用いて水洗浄を行う場合には、洗浄液に空気を取り込む部分から洗浄液が漏れ出すため、単位時間あたりの放出水量は少なくなる。逆に、水沫洗浄専用の蓄圧式洗浄液吹付け機を用いて泡沫洗浄を行う場合には、泡沫を生成することができない。このため、泡沫洗浄を行うには、泡沫洗浄専用の蓄圧式洗浄液吹付け機を準備しなければならない。また、水沫洗浄を行うには、水沫洗浄専用の蓄圧式洗浄液吹付け機を準備する必要がある。
【0005】
さらに、市販されている蓄圧式洗浄液吹付け機では、いわゆる噴出管(容器内の洗浄液を噴出部に供給するための管)に空気孔が形成された物も存在するが、この場合においても、空気孔から洗浄液が漏れ出すため、単位時間あたりの放出水量は少なくなるだけでなく、安定した洗浄液の噴出はできなかった。
【0006】
そこで、発明者は、泡沫を生成するために洗浄液に空気を供給する部分(空気供給部)に着目し、洗浄液の種類によって空気供給部の位置を変更できるように構成することで、水沫洗浄と泡沫洗浄のいずれにも対応可能となることを知見し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、車等の泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれにも対応可能な蓄圧式洗浄液吹付け機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、泡沫洗浄、水沫洗浄のいずれも対応可能であり、洗浄液を収容する容器に取り付けて使用し、対象物にこの洗浄液を吹き付けるための蓄圧式洗浄液吹付け機であって、空気を前記容器に送出する空気送出部と、前記容器に収容された洗浄液を外部に噴出する噴出部と、噴出部から着脱自在に延びる前記洗浄液を前記噴出部に供給する噴出管と、を有し、前記噴出管の一端には、前記容器中に存在する空気を洗浄液に供給する空気供給部が設けられ、前記噴出部には、空気を含む洗浄液を泡沫化させる通水性のある発泡性樹脂からなる泡沫発生部が設けられた蓄圧式洗浄液吹付け機である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記対象物を泡沫洗浄するときは、前記空気供給部が前記容器に収容された洗浄液に浸漬されないように前記噴出管が前記噴出部に取り付けられ、上記対象部を水沫洗浄するときは、前記空気供給部が前記容器に収容された洗浄液に浸漬されるように前記噴出管が前記噴出部に取り付けられる請求項1に記載の蓄圧式洗浄液吹付け機である。
【0010】
本発明に係る蓄圧式洗浄液吹付け機は、泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれにも対応可能なものである。吹付け機として、機能させるためには、容器と、空気送出部と、噴出部と噴出管とを備えていることが必要である。それぞれの部材においては、機能を発揮できるものであれば、形状や材質、大きさについては特に問わない。
なお、洗浄対象物は、水洗浄、泡洗浄のいずれもが禁忌でなければどのようなものでも対応可能である。
【0011】
容器は、所定量の洗浄液を収容できる容積を備えている。ただし、泡沫洗浄の場合には、使用時に容器内にある空気を洗浄液に取り込まなければならないため、洗浄液の体積よりも容器の容積が大きい必要がある。
【0012】
空気送出部は、外部の空気を容器内に送出される送出手段であり、その機能を発揮させるためのものであれば、どのようなものでもよい。通常はコンパクトでかつ取り扱いを容易とするため、手動エアポンプであるが、電力源など、何らかの動力源がコンパクトに取り付け可能であれば、その動力源を採用してもよい。
【0013】
噴出部は、容器内に収容された洗浄液を外部に噴出し、対象物に洗浄液を吹き付けるものである。噴出部には、ノズルが着脱自在に接続されていてもよい。
【0014】
噴出管は、容器内に収容された洗浄機を噴出部に供給するための管である。噴出管の管長は、洗浄液の使用後の残量を最適化できる程度の長さであれば特に問わない。また、泡沫洗浄用の洗浄機の場合、洗浄液には界面活性剤が含まれることから、水沫洗浄よりも粘度が高いことが一般的である。このため、噴出管の管径は、粘度の高い洗浄液であっても、また、水のように粘度の低い洗浄液であっても、噴出管に供給可能な程度のものであることが必要である。
【0015】
泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれにも対応可能とするためには、空気供給部と泡沫発生部がさらに必要となる。
【0016】
空気供給部は、容器中に存在する空気を洗浄液に供給する部材であり、噴出管の一端に取り付けられる。このとき、空気供給部の位置が、洗浄液中に浸漬可能な位置そして、洗浄液の液面より上部位置のいずれも可能とするために、噴出管が着脱自在に噴出部に取り付けられていることが必要となる。このような構成を採用することにより、対象物を泡沫洗浄するときは、泡沫を発生させるために必要な空気を洗浄液中に取り込む必要があるため、空気供給部が容器に収容された洗浄液に浸漬されないように、つまり、洗浄液の液面より上部位置に空気供給部を存在させるように噴出管を取り付けることが可能となる。また、対象物を水沫洗浄するときは、洗浄液に空気を取り込む必要がないため、空気供給部が容器に収容された洗浄液に浸漬されるように噴出管を取り付けることが可能となる。このため、泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれも対応が可能となる。
【0017】
空気供給部においては、空気を取り込むための空気取り込み孔が設けられている。空気取り込み孔の孔径は、泡沫洗浄時において、洗浄液が空気供給部から漏れ出すおそれのない程度のものであれば特に問わない。
【0018】
泡沫発生部は、泡沫洗浄時において、空気を含む洗浄液を泡沫化させるための部材であり、通水性のある発泡性樹脂から構成されている。泡沫発生部に洗浄液を通過させることにより泡沫が発生する。なお、水沫洗浄の場合、洗浄液への空気の取り込みがないため、洗浄液が泡沫発生部を通過しても泡沫を発生することはない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、空気供給部の位置が、洗浄液中に浸漬可能な位置そして、洗浄液の液面より上部位置のいずれも可能とするために、噴出管が着脱自在に噴出部に取り付けられていることが必要となる。本発明の構成を採用することにより、対象物を泡沫洗浄するときは、泡沫を発生させるために必要な空気を洗浄液中に取り込む必要があるため、空気供給部が容器に収容された洗浄液に浸漬されないように、つまり、洗浄液の液面より上部位置に空気供給部を存在させるように噴出管を取り付けることが可能となる。また、対象物を水沫洗浄するときは、洗浄液に空気を取り込む必要がないため、空気供給部が容器に収容された洗浄液に浸漬されるように噴出管を取り付けることが可能となる。このため、泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれも対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例に係る蓄圧式洗浄液吹付け機の全体構造を示す分解構成図である。
図2】(1)本発明の実施例に係る蓄圧式洗浄液吹付け機を用いて泡沫洗浄するとの空気供給部の位置を示す上部材の正面図ある。(2)本発明の実施例に係る蓄圧式洗浄液吹付け機を用いて水沫洗浄するとの空気供給部の位置を示す上部材の正面図ある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例に係る蓄圧式洗浄液吹き付け機10(以下、「洗浄液吹付け機10」と単に記載する。)を以下説明する。
この洗浄液吹付け機10は、容器11と、上部材12、噴出管13とにより構成されている。
【0022】
容器11は、高さ25cm、容積が2.5Lであるプラスチック製の部材である。容器11の開口部には螺子が形成され、後述する上部材12が容器11に螺合されることで、密閉空間が形成される。なお、この洗浄液吹付け機10に収容される洗浄液は最大2Lである。
【0023】
上部材11は、ピストン14Aとシリンジ14Bから構成される空気送出部14と、噴出部15、開閉ボタン16Aが設けられた把持部16とにより構成されている。
【0024】
空気送出部14は、外部空気を密閉空間内に送出するための部材であり、ピストン14Aとシリンジ14Bから構成されている。シリンジ14Bの先端はゴム製の蓋材が設けられている。この蓋材により、外部空気を密閉空間内に空気を送出することはできるものの、内部空間からシリンジ14Bを介して外部へ空気が漏出することはできない。
【0025】
噴出部15は、密閉空間から外部に空気や液体を噴出するためのものである。噴出部15は後述する開閉ボタンにより開閉可能な開閉手段(図示せず)が設けられ、この開閉手段により、噴出部15からの洗浄液の噴出の開始/終了を制御することができる。また、開閉手段より出口側(下流側)には着脱自在なノズル15Aが設けられ、噴出の状態を自由に調整することができる。つまり、ノズル15Aには泡沫洗浄用ノズル(図面では泡用ノズルと記載)と、水沫洗浄用ノズル(図面では水用ノズルと記載)とを有し、ノズル15Aを交換することにより使い分けが可能となる。さらに、開閉手段とノズルとの間には、泡沫生成部材15Bが着脱自在に取り付けられている。泡沫生成部材15Bは、泡沫を生成し、通水性を有するスポンジ(発泡ウレタン樹脂)がプラスチック製の固定部材により固定されたものである。このように構成することにより、容器に収容された洗浄液は、開閉手段、スポンジ、ノズルを介して対象物に吹き付けることができる。
【0026】
噴出部15の入口側には、着脱自在に取り付け可能な噴出管13が容器11の下方、つまり、洗浄液が収容されているときには、洗浄液中にまで延びるように設けられている。噴出管13の長さは28cm、内径は3mm程度とした。噴出管13の長さは、容器11の容積と直径により適宜調整は可能であるが、内径については3mm程度とすることにより、水でも界面活性剤が含まれた洗浄液でも密閉空間内の圧力だけで噴出部15に供給することが可能となる。また、噴出管13は噴出部15に挿入することにより取り付けることができる。このため、噴出管13の外径は、噴出部15に挿入することができ、容易に抜け落ちることがない程度のものであれば特に問わない。噴出管13の一端には、空気取り込み孔(図示しない)が形成された空気供給部13Aが設けられている。なお、噴出管13の他端には何も取り付けられていない。
【0027】
空気供給部13Aは、噴出管13の一端に設けられている。空気供給部13Aは、噴出部15に挿入することが可能な管形状である。また、空気供給部13Aには、密閉空間内の空気を取り込む空気取り込み孔が形成されている。空気取り込み孔の径は0.5mm程度である。空気取り込み径が大きければ、たとえ界面活性剤が含まれた洗浄液であっても空気取り込み孔から漏洩するため、空気を取り込むことができるが、所定の粘度を有する洗浄液が漏洩することがない程度の径であれば特に問わない。
【0028】
さらに上部材12には、洗浄液を吹き付ける際に、洗浄液吹付け機10が持ちやすいように把持部16が設けられている。また、把持部16には、噴出部15に設けられた開閉手段による開閉をコントロールする開閉ボタン16Aが設けられている。開閉ボタン16Aを押しているときは、開閉手段により洗浄液の噴出が可能となり、開閉ボタン16Aを押していないときは、洗浄液の噴出ができない状態となる。
【0029】
このように構成された洗浄液吹付け機10の使用方法について以下、説明する。泡沫洗浄、水沫洗浄いずれも、洗浄液を容器11内に収容し、上部材12を容器11に螺合させる。次に、ピストン14Aを用いて、密閉空間内に空気を送出し、密閉空間内の圧力を高める。そして、開閉ボタン16Aを押圧することにより洗浄液の噴出が可能となる。
【0030】
(対象物を泡沫洗浄する場合)
噴出部15と空気供給部13Aとを連結し、ノズル15Aを泡沫洗浄用ノズルとして取り付けたうえで、上部材12を容器11に螺合させる。そして、容器11内に収容する洗浄液は、泡沫洗浄専用の洗浄液を用いる。対象物を泡沫洗浄するときは開閉ボタン16Aを押圧する。このとき、内部圧力により、洗浄液が噴出管13から噴出部15に向かって流動する。噴出部13に流動する直前に、空気取り込み孔によって、密閉容器内の空気が洗浄液に供給され、空気を含んだ洗浄液が生成される。噴出部15では、スポンジを通過することにより泡沫が生成し、ノズル15Aを介して泡沫が噴出し、対象物に泡沫を吹き付けることができる。
【0031】
(対象物を泡沫洗浄する場合)
噴出部15と噴出管13とを連結し(つまり、空気供給部13Aは洗浄液中に浸漬された状態となる)、ノズル15Aを水沫洗浄用ノズルとして取り付けた上で、上部材12を容器に螺合させる。そして、容器11内に収容する洗浄液は、水沫洗浄専用の洗浄液を用いる。対象物を水沫洗浄するときは開閉ボタン16Aを押圧する。このとき、内部圧力により、洗浄液が空気供給部から取り込まれ、噴出部15に向かって流動する。噴出部15では、スポンジを通過するが、洗浄液には空気が含まれていないことから、スポンジを通過しても泡沫を生成することはない。このため、ノズル15Aを介して水沫が噴出し、対象物に水沫を吹き付けることができる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡沫洗浄、水沫洗浄のいずれにも対応可能であり、洗浄液を収容する容器に取り付けて使用し、対象物にこの洗浄液を吹き付けるための蓄圧式洗浄液吹付け機であって、
空気を前記容器に送出する空気送出部と、
前記容器に収容された洗浄液を外部に噴出する噴出部と、
噴出部から着脱自在に延び、前記洗浄液を前記噴出部に供給する噴出管と、を有し、
前記噴出管の一端には、前記容器中に存在する空気を洗浄液に供給する空気供給部が設けられ、
前記噴出部には、空気を含む洗浄液を泡沫化させる通水性のある発泡樹脂からなる泡沫発生部が設けられ
上記対象物を泡沫洗浄するときは、前記空気供給部が前記容器に収容された洗浄液に浸漬されないように前記噴出管が前記噴出部に取り付けられ、
上記水沫洗浄するときは、前記空気供給部が前記容器に収容された洗浄液に浸漬されるように前記噴出管が前記噴出部に取り付けられる蓄圧式洗浄液吹付け機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄圧式洗浄液吹付け機、具体的には、車や窓等、洗浄が必要な対象物の泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれにも対応可能な蓄圧式洗浄液吹付け機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗車等の際に、液体洗剤を泡立てて車等に噴射する機器がある。このような機器には、据付型洗車機に組み込まれる大型のものや、人手で操作するガンタイプのものがある、このうち、ガンタイプの洗浄液吹付け機(フォームガン)には、外部からのエアコンプレッサーや水圧を用いた高圧式のものと、簡易のハンディアタイプの蓄圧式のものがある。
蓄圧式の洗浄液吹付け機(蓄圧式洗浄液吹付け機)では、例えば、特許文献1に記載のような手動のポンプを用いて、手動で圧力を高めるものや、特許文献2のように電池を使って圧力を高めるものなど様々なものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-328512号公報
【特許文献2】特許第6882813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から存在する蓄圧式洗浄液吹付け機(特許文献1、特許文献2も同様)では、泡沫洗浄か水沫洗浄の一方でしか使用できなかった。泡沫洗浄専用の蓄圧式洗浄液吹付け機を用いて水洗浄を行う場合には、洗浄液に空気を取り込む部分から洗浄液が漏れ出すため、単位時間あたりの放出水量は少なくなる。逆に、水沫洗浄専用の蓄圧式洗浄液吹付け機を用いて泡沫洗浄を行う場合には、泡沫を生成することができない。このため、泡沫洗浄を行うには、泡沫洗浄専用の蓄圧式洗浄液吹付け機を準備しなければならない。また、水沫洗浄を行うには、水沫洗浄専用の蓄圧式洗浄液吹付け機を準備する必要がある。
【0005】
さらに、市販されている蓄圧式洗浄液吹付け機では、いわゆる噴出管(容器内の洗浄液を噴出部に供給するための管)に空気孔が形成されたものも存在するが、この場合においても、空気孔から洗浄液が漏れ出すため、単位時間あたりの放出水量は少なくなるだけでなく、安定した洗浄液の噴出はできなかった。
【0006】
そこで、発明者は、泡沫を生成するために洗浄液に空気を供給する部分(空気供給部)に着目し、洗浄液の種類によって空気供給部の位置を変更できるように構成することで、水沫洗浄と泡沫洗浄のいずれにも対応可能となることを知見し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、車等の泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれにも対応可能な蓄圧式洗浄液吹付け機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、泡沫洗浄、水沫洗浄のいずれにも対応可能であり、洗浄液を収容する容器に取り付けて使用し、対象物にこの洗浄液を吹き付けるための蓄圧式洗浄液吹付け機であって、空気を前記容器に送出する空気送出部と、前記容器に収容された洗浄液を外部に噴出する噴出部と、噴出部から着脱自在に延び、前記洗浄液を前記噴出部に供給する噴出管と、を有し、前記噴出管の一端には、前記容器中に存在する空気を洗浄液に供給する空気供給部が設けられ、前記噴出部には、空気を含む洗浄液を泡沫化させる通水性のある発泡樹脂からなる泡沫発生部が設けられ、上記対象物を泡沫洗浄するときは、前記空気供給部が前記容器に収容された洗浄液に浸漬されないように前記噴出管が前記噴出部に取り付けられ、上記水沫洗浄するときは、前記空気供給部が前記容器に収容された洗浄液に浸漬されるように前記噴出管が前記噴出部に取り付けられる蓄圧式洗浄液吹付け機である。
【0009】
本発明に係る蓄圧式洗浄液吹付け機は、泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれにも対応可能なものである。吹付け機として、機能させるためには、容器と、空気送出部と、噴出部と噴出管とを備えていることが必要である。それぞれの部材においては、機能を発揮できるものであれば、形状や材質、大きさについては特に問わない。
なお、洗浄対象物は、水洗浄、泡洗浄のいずれもが禁忌でなければどのようなものでも対応可能である。
【0010】
容器は、所定量の洗浄液を収容できる容積を備えている。ただし、泡沫洗浄の場合には、使用時に容器内にある空気を洗浄液に取り込まなければならないため、洗浄液の体積よりも容器の容積が大きい必要がある。
【0011】
空気送出部は、外部の空気を容器内に送出される送出手段であり、その機能を発揮させるためのものであれば、どのようなものでもよい。通常はコンパクトでかつ取り扱いを容易とするため、手動エアポンプであるが、電力源など、何らかの動力源がコンパクトに取り付け可能であれば、その動力源を採用してもよい。
【0012】
噴出部は、容器内に収容された洗浄液を外部に噴出し、対象物に洗浄液を吹き付けるものである。噴出部には、ノズルが着脱自在に接続されていてもよい。
【0013】
噴出管は、容器内に収容された洗浄液を噴出部に供給するための管である。噴出管の管長は、洗浄液の使用後の残量を最適化できる程度の長さであれば特に問わない。また、泡沫洗浄用の洗浄液の場合、洗浄液には界面活性剤が含まれることから、水沫洗浄よりも粘度が高いことが一般的である。このため、噴出管の管径は、粘度の高い洗浄液であっても、また、水のように粘度の低い洗浄液であっても、噴出管に供給可能な程度のものであることが必要である。
【0014】
泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれにも対応可能とするためには、空気供給部と泡沫発生部がさらに必要となる。
【0015】
空気供給部は、容器中に存在する空気を洗浄液に供給する部材であり、噴出管の一端に取り付けられる。このとき、空気供給部の位置が、洗浄液中に浸漬可能な位置そして、洗浄液の液面より上部位置のいずれも可能とするために、噴出管が着脱自在に噴出部に取り付けられていることが必要となる。このような構成を採用することにより、対象物を泡沫洗浄するときは、泡沫を発生させるために必要な空気を洗浄液中に取り込む必要があるため、空気供給部が容器に収容された洗浄液に浸漬されないように、つまり、洗浄液の液面より上部位置に空気供給部を存在させるように噴出管を取り付けることが可能となる。また、対象物を水沫洗浄するときは、洗浄液に空気を取り込む必要がないため、空気供給部が容器に収容された洗浄液に浸漬されるように噴出管を取り付けることが可能となる。このため、泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれも対応が可能となる。
【0016】
空気供給部においては、空気を取り込むための空気取り込み孔が設けられている。空気取り込み孔の孔径は、泡沫洗浄時において、洗浄液が空気供給部から漏れ出すおそれのない程度のものであれば特に問わない。
【0017】
泡沫発生部は、泡沫洗浄時において、空気を含む洗浄液を泡沫化させるための部材であり、通水性のある発泡性樹脂から構成されている。泡沫発生部に洗浄液を通過させることにより泡沫が発生する。なお、水沫洗浄の場合、洗浄液への空気の取り込みがないため、洗浄液が泡沫発生部を通過しても泡沫を発生することはない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、空気供給部の位置が、洗浄液中に浸漬可能な位置、そして、洗浄液の液面より上方位置のいずれも可能とするために、噴出管が着脱自在に噴出部に取り付けられていることが必要となる。本発明の構成を採用することにより、対象物を泡沫洗浄するときは、泡沫を発生させるために必要な空気を洗浄液中に取り込む必要があるため、空気供給部が容器に収容された洗浄液に浸漬されないように、つまり、洗浄液の液面より上方位置に空気供給部を存在させるように噴出管を取り付けることが可能となる。また、対象物を水沫洗浄するときは、洗浄液に空気を取り込む必要がないため、空気供給部が容器に収容された洗浄液に浸漬されるように噴出管を取り付けることが可能となる。このため、泡沫洗浄と水沫洗浄のいずれにも対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例に係る蓄圧式洗浄液吹付け機の全体構造を示す分解構成図である。
図2】(1)本発明の実施例に係る蓄圧式洗浄液吹付け機を用いて泡沫洗浄するときの空気供給部の位置を示す上部材の正面図ある。(2)本発明の実施例に係る蓄圧式洗浄液吹付け機を用いて水沫洗浄するときの空気供給部の位置を示す上部材の正面図ある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例に係る蓄圧式洗浄液吹き付け機10(以下、「洗浄液吹付け機10」と単に記載する。)を以下説明する。
この洗浄液吹付け機10は、容器11と、上部材12、噴出管13とにより構成されている。
【0021】
容器11は、高さ25cm、容積が2.5Lであるプラスチック製の部材である。容器11の開口部には螺子が形成され、後述する上部材12が容器11に螺合されることで、密閉空間が形成される。なお、この洗浄液吹付け機10に収容される洗浄液は最大2Lである。
【0022】
上部材12は、ピストン14Aとシリンジ14Bから構成される空気送出部14と、噴出部15、開閉ボタン16Aが設けられた把持部16とにより構成されている。
【0023】
空気送出部14は、外部空気を密閉空間内に送出するための部材であり、ピストン14Aとシリンジ14Bから構成されている。シリンジ14Bの先端はゴム製の蓋材が設けられている。この蓋材により、外部空気を密閉空間内に送出することはできるものの、内部空間からシリンジ14Bを介して外部へ空気が漏出することはできない。
【0024】
噴出部15は、密閉空間から外部に空気や液体を噴出するためのものである。噴出部15は後述する開閉ボタンにより開閉可能な開閉手段(図示せず)が設けられ、この開閉手段により、噴出部15からの洗浄液の噴出の開始/終了を制御することができる。また、開閉手段より出口側(下流側)には着脱自在なノズル15Aが設けられ、噴出の状態を自由に調整することができる。つまり、ノズル15Aには泡沫洗浄用ノズル(図面では泡用ノズルと記載)と、水沫洗浄用ノズル(図面では水用ノズルと記載)とを有し、ノズル15Aを交換することにより使い分けが可能となる。さらに、開閉手段とノズルとの間には、泡沫生成部材15Bが着脱自在に取り付けられている。泡沫生成部材15Bは、泡沫を生成し、通水性を有するスポンジ(発泡ウレタン樹脂)がプラスチック製の固定部材により固定されたものである。このように構成することにより、容器に収容された洗浄液は、開閉手段、スポンジ、ノズルを介して対象物に吹き付けることができる。
【0025】
噴出部15の入口側には、着脱自在に取り付け可能な噴出管13が容器11の下方、つまり、洗浄液が収容されているときには、洗浄液中にまで延びるように設けられている。噴出管13の長さは28cm、内径は3mm程度とした。噴出管13の長さは、容器11の容積と直径により適宜調整は可能であるが、内径については3mm程度とすることにより、水でも界面活性剤が含まれた洗浄液でも密閉空間内の圧力だけで噴出部15に供給することが可能となる。また、噴出管13は噴出部15に挿入することにより取り付けることができる。このため、噴出管13の外径は、噴出部15に挿入することができ、容易に抜け落ちることがない程度のものであれば特に問わない。噴出管13の一端には、空気取り込み孔(図示しない)が形成された空気供給部13Aが設けられている。なお、噴出管13の他端には何も取り付けられていない。
【0026】
空気供給部13Aは、噴出管13の一端に設けられている。空気供給部13Aは、噴出部15に挿入することが可能な管形状である。また、空気供給部13Aには、密閉空間内の空気を取り込む空気取り込み孔が形成されている。空気取り込み孔の径は0.5mm程度である。空気取り込み径が大きければ、たとえ界面活性剤が含まれた洗浄液であっても空気取り込み孔から漏洩するため、空気を取り込むことができるが、所定の粘度を有する洗浄液が漏洩することがない程度の径であれば特に問わない。
【0027】
さらに上部材12には、洗浄液を吹き付ける際に、洗浄液吹付け機10が持ちやすいように把持部16が設けられている。また、把持部16には、噴出部15に設けられた開閉手段による開閉をコントロールする開閉ボタン16Aが設けられている。開閉ボタン16Aを押しているときは、開閉手段により洗浄液の噴出が可能となり、開閉ボタン16Aを押していないときは、洗浄液の噴出ができない状態となる。
【0028】
このように構成された洗浄液吹付け機10の使用方法について以下、説明する。泡沫洗浄、水沫洗浄のいずれも、洗浄液を容器11内に収容し、上部材12を容器11に螺合させる。次に、ピストン14Aを用いて、密閉空間内に空気を送出し、密閉空間内の圧力を高める。そして、開閉ボタン16Aを押圧することにより洗浄液の噴出が可能となる。
【0029】
(対象物を泡沫洗浄する場合)
噴出部15と空気供給部13Aとを連結し、ノズル15Aを泡沫洗浄用ノズルとして取り付けたうえで、上部材12を容器11に螺合させる。そして、容器11内に収容する洗浄液は、泡沫洗浄専用の洗浄液を用いる。対象物を泡沫洗浄するときは開閉ボタン16Aを押圧する。このとき、内部圧力により、洗浄液が噴出管13から噴出部15に向かって流動する。噴出部13に流動する直前に、空気取り込み孔によって、密閉容器内の空気が洗浄液に供給され、空気を含んだ洗浄液が生成される。噴出部15では、スポンジを通過することにより泡沫が生成し、ノズル15Aを介して泡沫が噴出し、対象物に泡沫を吹き付けることができる。
【0030】
(対象物を泡沫洗浄する場合)
噴出部15と噴出管13とを連結し(つまり、空気供給部13Aは洗浄液中に浸漬された状態となる)、ノズル15Aを水沫洗浄用ノズルとして取り付けた上で、上部材12を容器に螺合させる。そして、容器11内に収容する洗浄液は、水沫洗浄専用の洗浄液を用いる。対象物を水沫洗浄するときは開閉ボタン16Aを押圧する。このとき、内部圧力により、洗浄液が空気供給部から取り込まれ、噴出部15に向かって流動する。噴出部15では、スポンジを通過するが、洗浄液には空気が含まれていないことから、スポンジを通過しても泡沫を生成することはない。このため、ノズル15Aを介して水沫が噴出し、対象物に水沫を吹き付けることができる。