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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045580
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ウエブ継ぎ装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/18 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
B65H19/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154088
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】513263282
【氏名又は名称】株式会社山東鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】冨田 俊一
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064AA01
3F064AA03
3F064AA06
3F064BA02
3F064BA13
3F064BB05
3F064BB11
3F064BB18
3F064BB24
(57)【要約】
【課題】ウエブ継ぎ装置において原反ロールからウエブを引き出す作業を容易にする。
【解決手段】巻出装置Tの一の原反ロールTから引き出された旧ウエブWの走行経路の途中に設けられた第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2と、第1貼り付けロール1の走行経路の前段に設けられる切断刃6と、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2とを互いに接近及び離反させる動作装置8,10とを備え、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の回転によって、切断刃6によって切断された旧ウエブWの切断端と新ウエブWの先端とを接合テープV,Vを介して継ぎ合わせるウエブ継ぎ装置において、第2貼り付けロール2は、第1貼り付けロール1と同一径又は第1貼り付けロール1よりも小径であるウエブ継ぎ装置とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原反ロール(T,T)を備えた巻出装置(T)と、
一の前記原反ロール(T)から引き出された旧ウエブ(W)の走行経路の途中に設けられ前記旧ウエブ(W)を挟んで対向する第1貼り付けロール(1)及び第2貼り付けロール(2)と、
前記第1貼り付けロール(1)の前記走行経路の前段に設けられ前記旧ウエブ(W)を切断する切断刃(6)と、
前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)とを互いに接近及び離反させる動作装置(8,10)と、を備え、
他の前記原反ロール(T)から引き出された新ウエブ(W)の先端が前記第2貼り付けロール(2)に吸着されるとともに、前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)の少なくとも一方に接合テープ(V,V)が吸着され、
前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)の回転によって、前記切断刃(6)によって切断された前記旧ウエブ(W)の切断端と前記新ウエブ(W)の先端とを前記接合テープ(V,V)を介して継ぎ合わせるウエブ継ぎ装置において、
前記第2貼り付けロール(2)は、前記第1貼り付けロール(1)と同一径又は前記第1貼り付けロール(1)よりも小径であるウエブ継ぎ装置。
【請求項2】
前記第1貼り付けロール(1)の軸心(P)に対して、前記第2貼り付けロール(2)の軸心(Q)が前記巻出装置(T)側へ偏心している請求項1に記載のウエブ継ぎ装置。
【請求項3】
前記旧ウエブ(W)の前記走行経路は、前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)の対向部から前記巻出装置(T)側へ向かうにつれて前記第2貼り付けロール(2)から遠ざかる側に傾斜している請求項1又は2に記載のウエブ継ぎ装置。
【請求項4】
前記切断刃(6)は板状部材の縁に刃部を備えた板刃であり、前記板刃の板面の方向は、前記旧ウエブ(W)に近づくにつれて前記走行経路の後段側へ向いている請求項1から3のいずれか一つに記載のウエブ継ぎ装置。
【請求項5】
複数の原反ロール(T,T)を備えた巻出装置(T)と、
一の前記原反ロール(T)から引き出された旧ウエブ(W)の走行経路の途中に設けられ前記旧ウエブ(W)を挟んで対向する第1貼り付けロール(1)及び第2貼り付けロール(2)と、
前記第1貼り付けロール(1)の前記走行経路の前段に設けられ前記旧ウエブ(W)を切断する切断刃(6)と、
前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)とを互いに接近及び離反させる動作装置(8,10)と、を備え、
他の前記原反ロール(T)から引き出された新ウエブ(W)の先端が前記第2貼り付けロール(2)に吸着されるとともに、前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)の少なくとも一方に接合テープ(V,V)が吸着され、
前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)の回転によって、前記切断刃(6)によって切断された前記旧ウエブ(W)の切断端と前記新ウエブ(W)の先端とを前記接合テープ(V,V)を介して継ぎ合わせるウエブ継ぎ装置において、
前記第1貼り付けロール(1)、前記第2貼り付けロール(2)、前記切断刃(6)及び前記動作装置(8,10)でウエブ継ぎユニットを構成し、前記ウエブ継ぎユニットは、前記走行経路に沿って前段側に位置する第1ウエブ継ぎユニット(A)と後段側に位置する第2ウエブ継ぎユニット(B)とを有し、前記第1ウエブ継ぎユニット(A)における前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)の上下方向への位置と、前記第2ウエブ継ぎユニット(B)における前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)の上下方向への位置は互いに逆に配置されているウエブ継ぎ装置。
【請求項6】
前記第1貼り付けロール(1)、前記第2貼り付けロール(2)、前記切断刃(6)及び前記動作装置(8,10)はウエブ継ぎユニットに備えられ、前記ウエブ継ぎユニットは、前記走行経路に沿って前段側に位置する前記第1ウエブ継ぎユニット(A)と後段側に位置する前記第2ウエブ継ぎユニット(B)とを有し、前記第1ウエブ継ぎユニット(A)における前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)の上下方向への位置と、前記第2ウエブ継ぎユニット(B)における前記第1貼り付けロール(1)及び前記第2貼り付けロール(2)の上下方向への位置は互いに逆に配置されている請求項1から4のいずれか一つに記載のウエブ継ぎ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、又は金属泊等の各種のシート状物を対象とするウエブ継ぎ装置(スプライス装置)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、金属泊、その他各種の可撓性のある素材からなるシート状物(以下、ウエブと称する。)を継ぐ際に、各種のウエブ継ぎ装置が用いられている。この種のウエブ継ぎ装置はスプライス装置とも呼ばれ、走行する長手状のウエブ(以下、今、送り込まれているウエブを「旧ウエブ」という。)に対して、前後方向(走行方向)に延びる新しいウエブ(以下、「新ウエブ」と称する。)の先端を、接合テープを介して接続する(継ぐ)ものである。
【0003】
例えば、特許文献1のウエブ継ぎ装置Cでは、図11に示すように、2つの原反ロールT,Tを備えた巻出装置Tを併設している。巻出装置Tに備えられた一方の原反ロールTから供給される旧ウエブWの走行経路の途中に、上下方向に対向する第1貼り付けロール(特許文献1では、上側貼り付けロール1と表記)及び第2貼り付けロール(特許文献1では、下側貼り付けロール2と表記)が設けられ、上側貼り付けロール1よりも走行経路の前段側に旧ウエブW用の切断刃6が設けられている。他方の原反ロールTから供給される新ウエブWの先端が、下側貼り付けロール2に吸着されるとともに、上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の少なくとも一方に接合テープが吸着される。上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2との間に旧ウエブWを介在して両者を接圧するとともに、切断刃6によって旧ウエブWを接圧点の前段で切断する。その後、上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2を走行方向へ回転させて、接合テープを旧ウエブWの切断端(後端)及び新ウエブWの先端に接着することで、旧ウエブWの切断端と新ウエブWの先端とを継いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5865401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図11に示す従来のウエブ継ぎ装置Cでは、一方の原反ロールTから繰り出される旧ウエブWが終端に近づいたら、他方の原反ロールTから新ウエブWを引き出して、適宜の箇所で切断された旧ウエブWの後端と、新ウエブWの先端とを継いでいる。このウエブの切り替えの際に、新ウエブWの原反ロールTからウエブ素材の先端を引っ張って、ウエブ継ぎ装置C側へ引き込む必要がある。
【0006】
この作業の際、ウエブ継ぎ装置Cを挟んで巻出装置Tの反対側、すなわち、ウエブの送り方向終端側(図11中の左側)に作業者が位置し、その作業者が、上側貼り付けロール1と下側貼り付けロール2の間に手を挿し入れて、ウエブの送り方向始端側(図11中の右側)の原反ロールTから新ウエブWを引き出す必要がある。上側貼り付けロール1と下側貼り付けロール2の間の空間は狭いので、作業者が原反ロールTまで手を伸ばすのは煩雑な作業である。また、上側貼り付けロール1と下側貼り付けロール2との対向部から原反ロールTまでの距離は遠いので、作業者は無理な姿勢を強いられるとともに、場合によっては、上側貼り付けロール1と下側貼り付けロール2との間に、肩や上半身を入り込ませる必要が生じる場合もある。このため、新ウエブWを引き出す作業は煩雑である。
【0007】
また、従来のウエブ継ぎ装置Cでは、ウエブを継ぐ際に、上方に旧ウエブWが、下方に新ウエブWが位置していなければならない。このため、巻出装置Tは、旧ウエブWの後端に新ウエブWの先端を継いだ後、その新ウエブWを供給している他方の原反ロールTを上方へ移動させるとともに、次なる新ウエブに備えて新たな原反ロールを下方に設置する必要がある。原反ロールを上下方向に移動できる巻出装置Tとして、軸回り回転自在に支持されたターレット(円形部材)の周方向に沿って、原反ロールを支える軸を2つ備えた二軸ターレット巻出装置(二軸ターレット自動巻き出し装置)が一般的である。このような巻出装置Tは大掛かりなものとなるので、装置を設置するために広いスペースを必要としているのが現状である。
【0008】
そこで、この発明は、ウエブ継ぎ装置において原反ロールからウエブを引き出す作業を容易にすることを第1の課題とし、ウエブ継ぎ装置をコンパクトにしてその設置スペースを縮小することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の第1の課題を解決するために、この発明は、複数の原反ロールを備えた巻出装置と、一の前記原反ロールから引き出された旧ウエブの走行経路の途中に設けられ前記旧ウエブを挟んで対向する第1貼り付けロール及び第2貼り付けロールと、前記第1貼り付けロールの前記走行経路の前段に設けられ前記旧ウエブを切断する切断刃と、前記第1貼り付けロール及び前記第2貼り付けロールとを互いに接近及び離反させる動作装置と、を備え、他の前記原反ロールから引き出された新ウエブの先端が前記第2貼り付けロールに吸着されるとともに、前記第1貼り付けロール及び前記第2貼り付けロールの回転によって、前記切断刃によって切断された前記旧ウエブの切断端と前記新ウエブの先端とを接合テープを介して継ぎ合わせるウエブ継ぎ装置において、前記第2貼り付けロールは、前記第1貼り付けロールと同一径又は前記第1貼り付けロールよりも小径であるウエブ継ぎ装置を採用した。
【0010】
ここで、前記第1貼り付けロールの軸心に対して、前記第2貼り付けロールの軸心が前記巻出装置側へ偏心している構成を採用できる。
【0011】
また、前記旧ウエブの前記走行経路は、前記第1貼り付けロール及び前記第2貼り付けロールの対向部から前記巻出装置側へ向かうにつれて前記第2貼り付けロールから遠ざかる側に傾斜している構成を採用できる。
【0012】
さらに、これらの各態様において、前記切断刃は板状部材の縁に刃部を備えた板刃であり、前記板刃の板面の方向は、前記旧ウエブに近づくにつれて前記走行経路の後段側へ向いている構成を採用できる。
【0013】
また、上記の第2の課題を解決するために、この発明は、複数の原反ロールを備えた巻出装置と、一の前記原反ロールから引き出された旧ウエブの走行経路の途中に設けられ前記旧ウエブを挟んで対向する第1貼り付けロール及び第2貼り付けロールと、前記第1貼り付けロールの前記走行経路の前段に設けられ前記旧ウエブを切断する切断刃と、前記第1貼り付けロール及び前記第2貼り付けロールとを互いに接近及び離反させる動作装置と、を備え、他の前記原反ロールから引き出された新ウエブの先端が前記第2貼り付けロールに吸着されるとともに、前記第1貼り付けロール及び前記第2貼り付けロールの回転によって、前記切断刃によって切断された前記旧ウエブの切断端と前記新ウエブの先端とを接合テープを介して継ぎ合わせるウエブ継ぎ装置において、前記第1貼り付けロール、前記第2貼り付けロール、前記切断刃及び前記動作装置でウエブ継ぎユニットを構成し、前記ウエブ継ぎユニットは、前記走行経路に沿って前段側に位置する第1ウエブ継ぎユニットと後段側に位置する第2ウエブ継ぎユニットとを有し、前記第1ウエブ継ぎユニットにおける前記第1貼り付けロール及び前記第2貼り付けロールの上下方向への位置と、前記第2ウエブ継ぎユニットにおける前記第1貼り付けロール及び前記第2貼り付けロールの上下方向への位置は互いに逆に配置されているウエブ継ぎ装置を採用した。
【0014】
なお、前記ウエブ継ぎユニットを複数並列させ、それらを上下逆向きに配置する構成は、上述の各態様においても適用できる。すなわち、前記第1貼り付けロール、前記第2貼り付けロール、前記切断刃及び前記動作装置はウエブ継ぎユニットに備えられ、前記ウエブ継ぎユニットは、前記走行経路に沿って前段側に位置する前記第1ウエブ継ぎユニットと後段側に位置する前記第2ウエブ継ぎユニットとを有し、前記第1ウエブ継ぎユニットにおける前記第1貼り付けロール及び前記第2貼り付けロールの上下方向への位置と、前記第2ウエブ継ぎユニットにおける前記第1貼り付けロール及び前記第2貼り付けロールの上下方向への位置は互いに逆に配置されている構成を、上述の各態様において採用できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、ウエブ継ぎ装置において原反ロールからウエブを引き出す作業を容易にでき、また、ウエブ継ぎ装置をコンパクトにしてその設置スペースを縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の第1の実施形態を示す側面図
図2図1の要部拡大図
図3】第1の実施形態におけるウエブ継ぎの工程を示す模式図
図4】第1の実施形態におけるウエブ継ぎの工程を示す模式図
図5】第1の実施形態におけるウエブ継ぎの工程を示す模式図
図6】第1の実施形態におけるウエブ継ぎの工程を示す模式図
図7】ベンドロールの詳細図
図8】この発明の第2の実施形態を示す側面図
図9】この発明の第2の実施形態を示す側面図
図10】この発明の第2の実施形態を示す側面図
図11】従来例の側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の第1の実施形態を図1図7に基づいて説明する。ウエブ継ぎ装置Cは、図1に示すように、2つの原反ロールT,Tを備えた巻出装置T(実施形態では、2軸ターレット自動巻き出し装置)を備えている。また、ウエブ継ぎ装置Cの後段には、図示しないアキューム装置やダンサーローラ装置等を介して、フィルム洗浄装置等の別の装置が設置されている。ここで扱うフィルムを総称して、以下「ウエブW」と称する。
【0018】
巻出装置Tの原反ロールTから長手状のウエブWを送り出していくと、いずれそのウエブWの終端部に至る。このとき、別の原反ロールTから新しいウエブWを繰り出し、旧いウエブWの後端と新しいウエブの先端とを接合テープVで継ぐことになる。この新旧のウエブWの接続をウエブ継ぎ装置Cで行う。以下、今、ウエブ継ぎ装置Cに送り込まれているウエブWを旧ウエブWと称し、新しいウエブWを新ウエブWと称する。また、旧ウエブWの走行経路を、単に、ウエブ走行経路と称する。さらに、実施形態では、接合テープVを表裏2枚使うことから、これを接合テープV,Vと称する。接合テープV,Vは、旧ウエブW又は新ウエブWに接する円筒状ロールの外周面の所定位置に吸着され、その円筒状ロールの回転とともに、旧ウエブWの後端及び新ウエブWの先端に貼着されるようになっている。図中では、ウエブ継ぎ装置Cを通過した後の旧ウエブW又は新ウエブWを、符号Wで表示している。
【0019】
まず、ウエブ継ぎ装置Cの基本構成について説明する。
【0020】
ウエブ継ぎ装置Cは、図1及び図2に示すように、四角枠状のフレームFに支持されている。原反ロールTから引き出された旧ウエブWの走行経路の途中には、その旧ウエブWを挟んで上方に第1貼り付けロール1が、下方に第2貼り付けロール2が、互いに対向して設けられている。第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2はそれぞれ断面円形の筒状部材(前記円筒状ロール)で構成され、その周面の一部が多数の貫通孔を有するパンチングメタルによって形成されて、その部分が接合テープV,Vの吸着部となっている。吸着部に接合テープV,Vを置くと、筒状部材の内部空間の負圧によって、その接合テープV,Vはそれぞれ対応する第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2に吸着される。第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の内部空間は、それぞれ図示しない吸気手段(負圧発生手段)に接続されており、吸気手段の吸引により筒状部材の内部は負圧になり、吸着部での吸引力を生じさせる。
【0021】
第1貼り付けロール1は、その周面が金属(例えば、鉄又はステンレス等)、あるいは軟質樹脂やゴム等による弾性面となっている。また、上側貼り付けロール1の軸には回転停止位置調整用のウエイト又はマグネットが取付けられており、第1貼り付けロール1は、常時、軸回り所定の回転位置で停止するようになっている。その停止位置は、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の接圧点から所要角度θ1(図2参照)だけ後退した位置に、接合テープV,Vの中心、すなわち、ロールの円周方向に対する接合テープV,Vの中心が位置するように設定されている。なお、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2への接合テープV,Vの供給は、手作業で行ってもよいし、別に設けられた接合テープ供給装置を用いて自動的に行うようにしてもよい。
【0022】
第1貼り付けロール1に対してウエブ走行経路の前段側には、バキュームボックス5が設けられている。このバキュームボックス5に隣接して切断刃6が設けられている。切断刃6は、第1貼り付けロール1とバキュームボックス5との間であることが望ましい。上側貼り付けロール1は、支持ブロック7とともにエアシリンダ8によって昇降可能である。また、支持ブロック7には、第1貼り付けロール1を軸回り回転及び停止するロータリーアクチュエータが取り付けられている。なお、第1貼り付けロール1は自由に回転するフリーロールとしてもよい。さらに、バキュームボックス5及び切断刃6は、支持ブロック7とともに昇降可能である。支持ブロック7が下降すると、第1貼り付けロール1、バキュームボックス5及び切断刃6がウエブ走行経路に接し、そのバキュームボックス5によって旧ウエブWが吸着されて動かないように固定支持される。その固定された状態で、操作側から駆動側へ切断刃6が横断(トラバース走行)することによって旧ウエブWが切断される。
【0023】
第2貼り付けロール2は、第1貼り付けロール1と同じくその周面が金属(例えば、鉄又はステンレス等)、あるいは軟質樹脂やゴム等による弾性面となっている。ただし、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の周面の素材は、いずれか一方が軟質樹脂やゴム等の弾性体、他方が金属とすることが望ましい。第2貼り付けロール2は、旧ウエブWと新ウエブWとを継ぐ前段の待機位置で、吸着部に吸着された接合テープVの先端が、接圧点から前段側へ(図中時計回り方向へ)所要角度θ2(図2参照)に位置するようになっている。第1貼り付けロール1の回転角度θ1及び第2貼り付けロール2の回転角度θ2(図2参照)は、その第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2が回転した際に、接合テープV,Vが接圧点で重なり合うように、すなわち、接圧点xから接合テープV,Vまでの第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の外周面弧長(ロール周長)が同じとなるように設定されている。この実施形態では、第1貼り付けロール1の外径:125mm、第2貼り付けロール2の外径:125mmとしたため、θ1及びθ2をともに接圧点から137.5度の位置としている。θ1及びθ2は、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の外径に応じて適宜に設定することができる。
【0024】
第2貼り付けロール2は、エアシリンダ10によって昇降自在なベース9に取り付けられている。第2貼り付けロール2は、ベース9とともに図3に示す高さxに相当する範囲で昇降する。また、ベース9には、第2貼り付けロール2を軸回り回転及び停止するロータリーアクチュエータ又はサーボモータが取り付けられている。なお、第2貼り付けロール2に対してウエブ走行経路の前段側に、エアシリンダ等によって昇降可能な待機位置用バキュームボックスが設けられる場合もある。ここで、第1貼り付けロール1を昇降させるエアシリンダ8及び第2貼り付けロール2を昇降させるエアシリンダ10は、特許請求の範囲に規定する動作装置8,10、すなわち、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2同士を互いに接近及び離反させる動作装置8,10を構成している。なお、第2貼り付けロール2側のエアシリンダ10のみを、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2同士を互いに接近及び離反させる動作装置10としてもよい。また、各動作装置8,10は、実施形態のような圧縮空気を用いてロッドを軸方向に進退させるエアシリンダに限定されず、例えば、油圧による動作機構、モータによる動作機構等、他の手段を採用してもよい。
【0025】
第2貼り付けロール2に対してフレームFの前面(図1において左側面)側に、準備ロール16が設けられている。準備ロール16はアームを介してアクチュエータ17に接続されており、アームは、アクチュエータ17の動作によって起伏自在である。この起伏動作により、準備ロール16は第2貼り付けロール2に対して接圧及び退避可能となっている。準備ロール16は、常時は第2貼り付けロール2から退避している。アクチュエータ17によってアームが倒伏することによって、準備ロール16は、下側貼り付けロール2に対して新ウエブWを介在して接圧する。また、新ウエブWをさらに引き出して準備ロール16に巻き付け、準備ロール16内を吸気して新ウエブWを吸着させる。準備ロール16にはロール幅方向に沿って溝が彫られており、溝に合わせて新ウエブWの先端を切断することで、旧ウエブW及び新ウエブWを隙間なく繋ぎ合わせられるように準備を行うことができる。
【0026】
つぎに、ウエブ継ぎ装置Cの作用とこの発明の特徴点について説明する。
【0027】
図3に示すように、ウエブ継ぎ装置Cに対して図中右側から旧ウエブWが送り出され、旧ウエブWは一方向へ(図中左側へ)走行している。なお、図中の符号11,13,14,15はいずれも送りロールを示している。この走行状態において、今走行している旧ウエブWの終端が近くなると、又は、終端が近くなる前の適宜の時点で、原反ロールTから新ウエブWを引き出す。このとき、接合テープVは第2貼り付けロール2上に設置されている。ここで、第2貼り付けロール2の内部空間を吸気することで、接合テープVはその非貼着面がロール側に吸着され、粘着力を有する貼着面がロールの外径側となっている。
【0028】
新ウエブWの先端縁をその幅全長に亘って手作業で切断し、新ウエブWの幅方向(図中の奥行方向)へのセンタリングを手動によって行いつつ、新ウエブWの先端を第2貼り付けロール2上の接合テープVに重ね、その状態で新ウエブWが吸着される。ここで、新ウエブWの先端は準備ロール16によって第2貼り付けロール2に押え付けられる。この後、第2貼り付けロール2を押し戻して、新ウエブWの先端の位置は、接圧点からθ2だけ前段側の定位置に設定される。
【0029】
また、第1貼り付けロール1の内部空間を吸気することで、接合テープVは、同じくその非貼着面がロール側に吸着され、粘着力を有する貼着面がロールの外径側となっている。この後、第1貼り付けロール1を押し戻して、接合テープVの中心が接圧点からθ1だけ前段側の定位置に設定される。この定位置への設定はウエイトの作用によって第1貼り付けロール1を回転させて自動的に行うことができる。
【0030】
以上の作用によって、旧ウエブW及び新ウエブWの継ぎ合わせ(スプライス)の準備は完了する(図3の状態)。この時点まで、旧ウエブWの走行は継続している。継ぎ合わせの準備が完了した後、継ぎ合わせ準備の完了スイッチを押す(ONする)と、図4に示すように、第2貼り付けロール2が高さhだけ上昇する。その後、準備ロール16が退避する。また、巻出装置Tが停止し、旧ウエブWの走行が停止する。ここで、ウエブ走行経路の途中に、後段のアキューム装置等からの旧ウエブWへの引っ張り力の作用を阻止するストッパを備えれば、ウエブ継ぎ装置C内の旧ウエブWへのテンションを解放できる。
【0031】
続いて、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2が旧ウエブWを介在して接圧(ニップ)する。この接圧時、第2貼り付けロール2は、弾性表面を有する上側貼り付けロール1に食い込んで、旧ウエブWを確実にニップする。なお、第2貼り付けロール2の表面のみを弾性表面とすることができ、また、第1貼り付けロール1の表面のみを弾性表面とすることもできる。
【0032】
第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の接圧と同時に又はその接圧後、図5に示すように、バキュームボックス5が吸気されて旧ウエブWを支持するとともに、切断刃6によって旧ウエブWを切断する。このとき、旧ウエブWは、バキュームボックス5によって支持されているため、その切れ端が垂れ下がることなく、その切断が円滑に成される。ここで、前述のように、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の接圧点から旧ウエブWの切断線までの距離は、その接圧点から第1貼り付けロール1の接合テープVの中心までのロール周長(第1回転周長と称する)、及び、接圧点から第2貼り付けロール2の接合テープVの中心までのロール周長(第2回転周長と称する)とほぼ同じに設定されている。
【0033】
旧ウエブWの切断が完了すれば、バキュームボックス5への吸気を停止し、第2貼り付けロール2を図中の反時計回り方向へ回転させ、この回転に伴って第1貼り付けロール1は時計回りに回転する。第2貼り付けロール2の回転時、バキュームボックス5の吸気力は旧ウエブWの走行に支障がない程度であるため、バキュームボックス5への吸気を停止しなくてもよく、旧ウエブWがバキュームボックス5から離れた後に吸気を停止してよい。第2貼り付けロール2の回転に伴い、旧ウエブW及び新ウエブWは、互いに接圧する第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2によって送り出される。このため、旧ウエブWの後端の切断端と新ウエブWの先端とが突き合って接続した状態となる。
【0034】
旧ウエブWの後端と新ウエブWの先端が突き合い、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2が回転すると、新ウエブWの先端に貼着された接合テープVの前半分が旧ウエブWの後端下面に貼着されるとともに、第1貼り付けロール1に吸着されていた接合テープVが、新ウエブWの先端及び旧ウエブWの後端表面に、突き合わせ線を境にして前後に跨って貼着される。このため、表裏両方の接合テープV,Vによって、旧ウエブW及び新ウエブWが接合され、継ぎ合わせされる。このとき、旧ウエブW及び新ウエブWの突き合わせ部分はピッタリでなくてもよく、接合テープV,Vが旧ウエブW及び新ウエブWに跨って貼着される限りにおいて、若干の間隙があってもよい。この隙間の大きさは、第2貼り付けロール2の準備位置を事前にずらすことで、補正することが可能である。また、その隙間を極力0mmに近づけることもできる。さらに、接合テープとして両面テープを使用することで、突合せだけでなく重ね合わせも可能である。
【0035】
旧ウエブW及び新ウエブWの継ぎ合わせが完了すれば、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の吸気を停止するとともに、図6に示すように、第2貼り付けロール2を降下させる。旧ウエブW及び新ウエブWが継がれた後のウエブWが走行するとともに、新ウエブWの弛みが除去される。また、第1貼り付けロール1、バキュームボックス5及び切断刃6は上昇して、ウエブ走行経路から離脱した初期位置に復帰する。切断線よりも巻出装置T側に残存した旧ウエブWは、適宜の時期に巻出装置Tによって巻き取られる。その後、巻出装置Tは、新巻出軸と旧巻出軸が上下に反転して、前者が旧巻出軸に移行し、後者が新巻出軸に移行する。以後、旧巻出軸側へ移行した原反ロールTから旧ウエブWが繰り出される。また、新巻出軸には、次なる新ウエブW用として新しい原反ロールTが準備される。
【0036】
ところで、従来のウエブ継ぎ装置Cでは、図11に示すように、第2貼り付けロール2の直径Sが第1貼り付けロール1の直径Rよりも大きかったため、原反ロールTからの新ウエブWの引き出し地点Z及び原反ロールTの軸心Uの位置が、第2貼り付けロール2の軸心から巻き出し装置T側へ遠く離れた位置にあった(図11の距離d’、距離e’参照)。また、第2貼り付けロール2の直径Sが大きいため、第2貼り付けロール2が降下した際における、第1貼り付けロール1と第2貼り付けロール2との間の間隔(図11の距離x’参照)を広く確保できなかった。このため、図11に示すフレームFの前面側にいる作業者は、交換用の新基材である原反ロールTに手が届きにくく、その作業は煩雑であった。
【0037】
それに対して、この実施形態では、図2に示すように、第2貼り付けロール2の直径Sを第1貼り付けロール1の直径Rと同一径としたことにより、原反ロールTからの新ウエブWの引き出し地点Z及び原反ロールTの軸心Uの位置を、従来よりも第2貼り付けロール2の軸心側へ近づけることができる(図4の距離d、距離e参照)。新ウエブWと第2貼り付けロール2との距離が近づけば、フレームFの前面側にいる作業者は、交換用の新基材である原反ロールTに手が届きやすくなる。また、第2貼り付けロール2の直径Sを第1貼り付けロール1の直径Rと同一径としたことにより、第2貼り付けロール2が降下した際における、第1貼り付けロール1と第2貼り付けロール2との間の間隔(図3の距離x参照)を、従来よりも広く確保できる。このため、第1貼り付けロール1と第2貼り付けロール2との間の作業空間が広くなり、フレームFの前面側にいる作業者が新ウエブWの先端を引き出す作業が容易になる。なお、第2貼り付けロール2の直径Sを第1貼り付けロール1の直径Rよりも小径としても、同じ効果が期待できる。
【0038】
ところで、従来のウエブ継ぎ装置Cにおいて、比較的直径の大きい第2貼り付けロール2を採用していたのは、接合テープVを構成するシート状の素材がロールに沿ってベンド(曲がる)ことで、その素材が第2貼り付けロール2の周面に馴染んで吸着しやすくすることを考慮したものであった。この実施形態において、第2貼り付けロール2の直径Sを第1貼り付けロール1の直径Rと同一径又は第1貼り付けロール1の直径Rよりも小径とするに際し、図7に示すようなベンドロール22を別途取り付けることで、接合テープVの素材を第2貼り付けロール2の周面に沿って馴染みやすくできる。すなわち、ベンドロール22が第2貼り付けロール2に接触した状態で、その第2貼り付けロール2が回転することで、ベンドロール22は、接合テープVを構成するシート状の素材を第2貼り付けロール2の周面に沿って押し付ける機能を発揮する。ベンドロール22の周面は、樹脂やゴム等の弾性体が望ましい。なお、ベンドロール22は、第2貼り付けロール2の周面に常に接触した状態としてもよいし、図7に矢印で示す方向へ昇降して、第2貼り付けロール2に対して接触したり離反したりするようにしてもよい。
【0039】
また、この実施形態では、図2に示すように、第1貼り付けロール1の軸心Pに対して、第2貼り付けロール2の軸心Qが巻出装置T側へ偏心して配置されている。すなわち、図2に示す接圧状態において、第1貼り付けロール1の軸心Pと第2貼り付けロール2の軸心Qとを結ぶ接圧方向線Dは、鉛直方向線Eに対して巻出装置T側へ角度α(90>α>0)を成している。このため、新ウエブWと第2貼り付けロール2との距離をさらに近づけることができる。また、第2貼り付けロール2の軸心Qが巻出装置T側に近づくので、作業者は、より巻出装置Tに近い位置に踏み込んで作業できるようになる。
【0040】
さらに、その軸心Pと軸心Qとの偏心に合わせて、ウエブ走行経路は、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の対向部(接圧点)から、巻出装置T側へ向かって上り勾配となっている。すなわち、ウエブ走行経路は、接圧点から巻出装置T側へ向かうにつれて、第2貼り付けロール2から遠ざかる側に傾斜している。このため、新ウエブWの引き出し作業時に旧ウエブWが邪魔になりにくく、また、交換用の新基材である新ウエブWの原反ロールTを、より上方へ配置できる。原反ロールTがより上方に位置することで、フレームFの前面側にいる作業者の手が、新ウエブWの先端にさらに届きやすくなる。
【0041】
また、切断刃6は、図2に示すように、板状部材の縁に刃部を備えた板刃であり、前記板刃の板面の方向は、旧ウエブWに近づくにつれて、ウエブ走行経路の後段側へ向いている。このため、旧ウエブWの切断部をより接圧点に近づけることができる。これにより、前述の第1回転周長及び第2回転周長が縮小できるので、従来のウエブ継ぎ装置Cと比較して高速動作が可能となる。このように、旧ウエブWの切断部をより接圧点に近づけることができたのは、第2貼り付けロール2の直径Sを従来よりも小さくしたことによるものである。すなわち、従来のように直径の大きい第2貼り付けロール2では第2回転周長が長くなるため、切断刃6は、接圧点から前段側へ大きく離れた位置にならざるを得なかったことによるものである。
【0042】
この第1の実施形態では、巻出装置Tとして、2つの原反ロールT,Tを備えた2軸ターレット自動巻き出し装置を採用したが、巻出装置Tの構成はこの実施形態には限定されず、複数の原反ロールT,Tを上下に入れ替え可能な各種の巻出装置Tを採用できる。
【0043】
この発明の第2の実施形態を図8図10に基づいて説明する。
【0044】
この実施形態は、前述の第1の実施形態における第1貼り付けロール1、第2貼り付けロール2、切断刃6及び動作装置8,10を備えたウエブ継ぎユニットを2つ並列して備えるとともに、その2つのウエブ継ぎユニットを上下逆向きに配置することで、巻出装置Tにおける原反ロールT,Tの上下の入替を不要としたものである。すなわち、2つの原反ロールT,Tのうち、上方を旧ウエブWに下方を新ウエブWにも設定できるし、下方を旧ウエブWに上方を新ウエブWにも設定できる。
【0045】
ウエブ走行経路に沿って前段側に位置するウエブ継ぎユニットを、第1ウエブ継ぎユニットAと称し、後段側に位置するウエブ継ぎユニットを、第2ウエブ継ぎユニットBと称する。第1ウエブ継ぎユニットA及び第2ウエブ継ぎユニットBの構成は、それぞれ第1の実施形態におけるウエブ継ぎ装置Cと基本的に同様である。第1ウエブ継ぎユニットA及び第2ウエブ継ぎユニットBが備える部材及び装置には、それぞれ第1の実施形態におけるウエブ継ぎ装置Cが備える部材及び装置に付された符号に、小文字の符号a又はbを付している。
【0046】
すなわち、第1ウエブ継ぎユニットAは、第1貼り付けロール1a、第2貼り付けロール2a、バキュームボックス5a、切断刃6a、支持ブロック7a、エアシリンダ(動作装置)8a、ベース9a、エアシリンダ(動作装置)10a、準備ロール16a、アクチュエータ17aを備えている。また、第2ウエブ継ぎユニットBは、第1貼り付けロール1b、第2貼り付けロール2b、バキュームボックス5b、切断刃6b、支持ブロック7b、エアシリンダ(動作装置)8b、ベース9b、エアシリンダ(動作装置)10b、準備ロール16b、アクチュエータ17bを備えている。図8に示すように、第1ウエブ継ぎユニットAにおける第1貼り付けロール1a、第2貼り付けロール2a、バキュームボックス5a、切断刃6a、及び、その他部材の上下方向への位置と、第2ウエブ継ぎユニットBにおける第1貼り付けロール1b、第2貼り付けロール2b、バキュームボックス5b、切断刃6b、及び、その他部材の上下方向への位置は、互いに逆に配置されている。なお、図中の符号12u,12d,13u,13d,14u,14d,18,20はいずれも送りロールを示し、符号19は、送りロール20を昇降させる昇降装置を示している。なお、前述の実施形態の図7で示したベンドロールを第1ウエブ継ぎユニットA及び第2ウエブ継ぎユニットBに備えてもよい。
【0047】
ただし、第2ウエブ継ぎユニットBには、第2貼り付けロール2bの前段に併設して昇降用バキュームボックス4bが備えられている。第2貼り付けロール2bが第1貼り付けロール1bに向かって降下する際に、昇降用バキュームボックス4bは新ウエブWを吸着して保持するようになっている。なお、第1ウエブ継ぎユニットAの第2貼り付けロール2aの前段に併設して、あるいは、第1の実施形態における第2貼り付けロール2の前段に併設して、このような昇降用バキュームボックスを設けてもよい。
【0048】
第1ウエブ継ぎユニットA及び第2ウエブ継ぎユニットBの作用も、それぞれ第1の実施形態におけるウエブ継ぎ装置Cと基本的に同様である。図8は、第1ウエブ継ぎユニットAを用いて、巻出装置Tが備える上方の原反ロールTから引き出された旧ウエブWに対して、下方の原反ロールTから引き出された新ウエブWを継ぐ工程を示している。図8において、新ウエブWの先端は、第2貼り付けロール2aに対して接合テープ(図8に図示せず)を介して吸着されている。
【0049】
図9は、第2ウエブ継ぎユニットBを用いて、巻出装置Tが備える下方の原反ロールTから引き出された旧ウエブWに対して、上方の原反ロールTから引き出された新ウエブWを継ぐ工程を示している。図9において、新ウエブWの先端は、第2貼り付けロール2bに対して接合テープ(図9に図示せず)を介して吸着されている。
【0050】
図10は、図9の詳細図である。図10に示すように、第1ウエブ継ぎユニットAにおいて、第2貼り付けロール2aの直径Saは第1貼り付けロール1aの直径Raと同一径となっている。これにより、原反ロールTからの新ウエブWの引き出し地点及び原反ロールTの軸心の位置を、従来よりも第2貼り付けロール2の軸心側へ近づけることができる点は、第1の実施形態と同様である。また、第2貼り付けロール2aの直径Saを第1貼り付けロール1aの直径Raと同一径としたことにより、第2貼り付けロール2aが降下した際における、第1貼り付けロール1aと第2貼り付けロール2aとの間の間隔を、従来よりも広く確保できる点についても、第1の実施形態と同様である。なお、第2貼り付けロール2aの直径Saを第1貼り付けロール1aの直径Raよりも小径としてもよい。また、この実施形態において、第2貼り付けロール2aの直径Saを、第1貼り付けロール1の直径Raと同一径、又は、第1貼り付けロール1aの直径Raよりも小径とするに際し、ベンドロールを別途取り付ければ、接合テープVの素材を第2貼り付けロール2aの周面に沿って馴染みやすくできる点も同様である。
【0051】
また、第1ウエブ継ぎユニットAにおいて、第1貼り付けロール1aの軸心Paに対して、第2貼り付けロール2aの軸心Qaが巻出装置T側へ偏心して配置されている。すなわち、接圧状態において、第1貼り付けロール1aの軸心Paと第2貼り付けロール2aの軸心Qaとを結ぶ接圧方向線Daは、鉛直方向線Eaに対して巻出装置T側へ角度α(90>α>0)を成している。このため、新ウエブWと第2貼り付けロール2との距離をさらに近づけることができる。
【0052】
さらに、第1ウエブ継ぎユニットAにおいて、軸心Paと軸心Qaとの偏心に合わせて、ウエブ走行経路は、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の対向部(接圧点)から、巻出装置T側へ向かって上り勾配となっている。すなわち、ウエブ走行経路は、接圧点から巻出装置T側へ向かうにつれて、第2貼り付けロール2から遠ざかる側に傾斜している。このため、新ウエブWの引き出し作業時に旧ウエブWが邪魔になりにくく、また、交換用の新基材である新ウエブWの原反ロールTをより上方へ配置できる。さらに、第1ウエブ継ぎユニットAにおいて、切断刃6は、板状部材の縁に刃部を備えた板刃であり、前記板刃の板面の方向は、旧ウエブWに近づくにつれて、ウエブ走行経路の後段側へ向いている点も同様である。
【0053】
また、第2ウエブ継ぎユニットBも第1ウエブ継ぎユニットAと同様に、第2貼り付けロール2bの直径Sbが、第1貼り付けロール1bの直径Rbと同一径又は第1貼り付けロール1bの直径Rbよりも小径となっている。また、第1貼り付けロール1bの軸心Pbに対して、第2貼り付けロール2bの軸心Qbが巻出装置T側へ偏心して配置されている点も同様である。図9に示す接圧状態において、第1貼り付けロール1の軸心Pbと第2貼り付けロール2の軸心Qbとを結ぶ接圧方向線Dbは、鉛直方向線Ebに対して巻出装置T側へ角度β(90>β>0)を成している。この角度βは、第1ウエブ継ぎユニットAにおける角度αと同一の角度に設定されているが、これを互いに異なる角度に設定してもよい。
【0054】
さらに、この実施形態では、図10に示すように、軸心Pbと軸心Qbとの偏心に合わせて、ウエブ走行経路は、第1貼り付けロール1及び第2貼り付けロール2の対向部(接圧点)から、巻出装置T側へ向かって下り勾配となっている。この第2ウエブ継ぎユニットBにおける旧ウエブWの勾配方向は、第1ウエブ継ぎユニットAにおける旧ウエブWの勾配方向とは逆勾配であるが、いずれもウエブ走行経路が、接圧点から巻出装置T側へ向かうにつれて、第2貼り付けロール2から遠ざかる側に傾斜している点では共通している。すなわち、第1貼り付けロール1と第2貼り付けロール2との間に挟まれた作業空間が、フレームFの前面側から巻出装置T側に向かって徐々に広くなっている点において共通する。このため、第2ウエブ継ぎユニットBのウエブ走行経路における勾配の設定も、ウエブWの継ぎ作業時の作業性向上に寄与している。
【0055】
また、上記の実施形態では、ウエブW(シート状物)として、プラスチックフィルム、プラスチックシート等を想定して発明の構成を説明したが、それ以外にも、各種の樹脂素材、各種の可撓性のある素材からなるシートやフィルム等のように、ロール状に巻き取り可能な薄手状の素材であれば、この発明を適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1,1a,1b 第1貼り付けロール
2,2a,2b 第2貼り付けロール
6,6a,6b 切断刃
8,10 エアシリンダ(動作装置)
C ウエブ継ぎ装置(スプライス装置)
T 巻出装置(二軸ターレット自動巻き出し装置)
,T 原反ロール
V,V,V 接合テープ
W ウエブ
旧ウエブ
新ウエブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11