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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045603
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
   F25D 19/00 20060101AFI20230327BHJP
   F25D 21/14 20060101ALI20230327BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20230327BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
F25D19/00 550D
F25D19/00 550E
F25D21/14 S
F25D21/14 V
F25D19/00 530D
F25D19/00 540Z
A47F3/04 H
H05K7/20 H
H05K7/20 G
H05K7/20 B
F25D19/00 550B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154127
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】笠原 一樹
【テーマコード(参考)】
3B110
3L048
5E322
【Fターム(参考)】
3B110AA12
3B110BA05
3B110CA20
3L048AA01
3L048AA08
3L048BB02
3L048BC02
3L048CA02
3L048CB03
3L048DA03
3L048DB02
3L048DB03
3L048GA02
3L048GA03
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA11
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA04
5E322BB03
5E322DB02
(57)【要約】
【課題】機械室の前面側に排気口を備えるショーケースにおいて、機械室へ比較的多量の熱交換風を取り込めるようにして、高出力の圧縮機や大型の凝縮器を搭載した場合でもこれらを十分に冷却できるようにする。
【解決手段】前面に開口を有する陳列室5の下方に、該陳列室5を冷却するための圧縮機19と凝縮器20を収容する機械室14を設ける。機械室14を区画する前パネル39の左右中央に、機械室14からの排気のための排気口45を設け、前パネル39の左右両端部と、該前パネル39とともに機械室14を区画する後パネル40、左パネル41および右パネル42のそれぞれに、機械室14へ外気を取り込むための吸気口46を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口を有する陳列室(5)の下方に、該陳列室(5)を冷却するための圧縮機(19)と凝縮器(20)を収容する機械室(14)が設けられているショーケースであって、
機械室(14)を区画する前パネル(39)の左右中央に、機械室(14)からの排気のための排気口(45)が設けられており、
前パネル(39)の左右両端部と、該前パネル(39)とともに機械室(14)を区画する後パネル(40)、左パネル(41)および右パネル(42)のそれぞれに、機械室(14)へ外気を取り込むための吸気口(46(46A~46D))が設けられていることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
機械室(14)の左右それぞれに、該機械室(14)の左右中央へ向けて送風する機械室ファン(22)が設けられており、
左側の機械室ファン(22)の駆動により負圧となる左側の吸気空間(S1)に、前後の両パネル(39・40)の左半部および左パネル(41)に設けられた吸気口(46(46A・46B・46C))が正対しており、
右側の機械室ファン(22)の駆動により負圧となる右側の吸気空間(S2)に、前後の両パネル(39・40)の右半部および右パネル(42)に設けられた吸気口(46(46A・46B・46D))が正対している請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
凝縮器(20)が、左側の吸気空間(S1)の下流側に配置される左側の部分凝縮器(20L)と、右側の吸気空間(S2)の下流側に配置される右側の部分凝縮器(20R)とで構成されている請求項2に記載のショーケース。
【請求項4】
前パネル(39)の排気口(45)へ向かう前向きの空気流を機械室(14)内に形成する排気ファン(51)が設けられている請求項3に記載のショーケース。
【請求項5】
排気ファン(51)が、後パネル(40)に形成された開口(50)に装着されている請求項4に記載のショーケース。
【請求項6】
排気口(45)の左右中央の後方に、部分凝縮器(20L・20R)を通過した熱交換風を受け止める整流板(30)が設けられており、
整流板(30)の左右両側に、一対の排気ファン(51)により前向きの空気流が形成されている請求項4または5に記載のショーケース。
【請求項7】
左右の部分凝縮器(20L・20R)の間に、ショーケースで生じたドレン水を蒸発処理する蒸発処理装置(23)が設けられており、
各機械室ファン(22)が、吸気空間(S1・S2)から部分凝縮器(20L・20R)を経由して蒸発処理装置(23)へ向かう空気流を形成する請求項4から6のいずれかひとつに記載のショーケース。
【請求項8】
蒸発処理装置(23)が前パネル(39)の排気口(45)に正対している請求項7に記載のショーケース。
【請求項9】
蒸発処理装置(23)の後方に圧縮機(19)が配置されており、
排気ファン(51)が圧縮機(19)から蒸発処理装置(23)へ向かう空気流を形成する請求項8に記載のショーケース。
【請求項10】
左パネル(41)または右パネル(42)の吸気口(46C・46D)と吸気空間(S1・S2)との間に、ショーケースの制御基板を内蔵する電装箱(16)が収容されており、
電装箱(16)の外面に、吸気空間(S1・S2)へ向かう空気流に接触する放熱用のヒートシンク(17)が設けられている請求項2から9のいずれかひとつに記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品陳列棚に組み込むのに好適なショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
食品を陳列販売する小売店、特にコンビニエンスストアなどの比較的小規模な店舗において、非冷蔵と要冷蔵の商品を並べて陳列することを目的として、商品陳列棚に冷蔵ショーケースを組み込むことが知られている。これに適した冷蔵ショーケースは、例えば本出願人が先に提案した特許文献1に開示されており、そこではショーケース本体の後面の左右中央に、商品陳列棚の棚柱を受け入れる逃げ凹部が形成されている。冷蔵ショーケースの陳列室の下方には、該陳列室を冷却するための圧縮機や凝縮器などを収容する機械室が設けられている。逃げ凹部の左右両側には、機械室の後端から上方へ伸びる排気通路が形成されており、機械室で圧縮機と凝縮器を空冷した熱交換後の暖気は、排気通路の上端の排気口から外部へ排出される。
【0003】
同様の冷蔵ショーケースは特許文献2にも開示されている。特許文献2の冷蔵ショーケースは、特許文献1よりもその上下寸法が小さく、商品陳列棚の上段の棚板の下方に設置可能とされている。この棚板が機械室からの暖気の排出の妨げとならないように、このショーケースの排気口は機械室の前面に設けられている。具体的には、機械室の前面を構成するカバー部材の右半分の領域に排気口が形成されており、該カバー部材の左端のおよそ4分の1の領域に、機械室へ外気を取り込むための吸気口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-039569号公報
【特許文献2】特開2018-117980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のショーケースのように、機械室の前面側に排気口を設けると、商品陳列棚に妨げられることなく暖気の排出が可能となるため、ショーケースを商品陳列棚に組み込む際の位置の制限を減らして、商品陳列棚の所望の位置にショーケースを組み込むことが容易となる。ただし、特許文献2のショーケースでは、吸気口の形成領域が機械室の前面のおよそ4分の1のみに限られているため、機械室へ取り込める熱交換風は比較的少量となる。そのため、ショーケースに搭載可能な圧縮機と凝縮器が、少量の熱交換風でも冷却可能な低出力や小型のものに限られてしまう。
【0006】
本発明は、機械室の前面側に排気口を備えるショーケースにおいて、機械室へ比較的多量の熱交換風を取り込めるようにして、高出力の圧縮機や大型の凝縮器を搭載した場合でもこれらを十分に冷却できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前面に開口を有する陳列室5の下方に、該陳列室5を冷却するための圧縮機19と凝縮器20を収容する機械室14が設けられているショーケースを対象とする。機械室14を区画する前パネル39の左右中央に、機械室14からの排気のための排気口45が設けられており、前パネル39の左右両端部と、該前パネル39とともに機械室14を区画する後パネル40、左パネル41および右パネル42のそれぞれに、機械室14へ外気を取り込むための吸気口46(46A~46D)が設けられていることを特徴とする。
【0008】
機械室14の左右それぞれに、該機械室14の左右中央へ向けて送風する機械室ファン22が設けられている。左側の機械室ファン22の駆動により負圧となる左側の吸気空間S1に、前後の両パネル39・40の左半部および左パネル41に設けられた吸気口46(46A・46B・46C)が正対しており、右側の機械室ファン22の駆動により負圧となる右側の吸気空間S2に、前後の両パネル39・40の右半部および右パネル42に設けられた吸気口46(46A・46B・46D)が正対している。
【0009】
凝縮器20が、左側の吸気空間S1の下流側に配置される左側の部分凝縮器20Lと、右側の吸気空間S2の下流側に配置される右側の部分凝縮器20Rとで構成されている。
【0010】
前パネル39の排気口45へ向かう前向きの空気流を機械室14内に形成する排気ファン51が設けられている。
【0011】
排気ファン51が、後パネル40に形成された開口50に装着されている。
【0012】
排気口45の左右中央の後方に、部分凝縮器20L・20Rを通過した熱交換風を受け止める整流板30が設けられており、整流板30の左右両側に、一対の排気ファン51により前向きの空気流が形成されている。
【0013】
左右の部分凝縮器20L・20Rの間に、ショーケースで生じたドレン水を蒸発処理する蒸発処理装置23が設けられており、各機械室ファン22が、吸気空間S1・S2から部分凝縮器20L・20Rを経由して蒸発処理装置23へ向かう空気流を形成する。
【0014】
蒸発処理装置23が前パネル39の排気口45に正対している。
【0015】
蒸発処理装置23の後方に圧縮機19が配置されており、排気ファン51が圧縮機19から蒸発処理装置23へ向かう空気流を形成する。
【0016】
左パネル41または右パネル42の吸気口46C・46Dと吸気空間S1・S2との間に、ショーケースの制御基板を内蔵する電装箱16が収容されており、電装箱16の外面に、吸気空間S1・S2へ向かう空気流に接触する放熱用のヒートシンク17が設けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るショーケースでは、機械室14へ外気を取り込むための吸気口46(46A~46D)を、機械室14を区画する前パネル39の左右両端部と、後パネル40、左パネル41および右パネル42のそれぞれに設けた。このように、吸気口46を前パネル39だけでなく後パネル40、左パネル41および右パネル42にも設けると、機械室14へ比較的多量の熱交換風を取り込むことができるので、機械室14に高出力の圧縮機19や大型の凝縮器20を搭載した場合でも、これらを十分に冷却することができる。また、このように四方に吸気口46を設けると、その一部が商品陳列棚や隣接するショーケースなどで塞がれても、残りの吸気口46から外気を取り込んで、圧縮機19や凝縮器20を的確に冷却することができる。さらに、本発明のように熱交換風の風量を多くすると、機械室14から排出される暖気の温度を比較的低く抑えることができるので、この暖気がショーケースの前方の買い物客に不快感を与えるおそれを減らすことができる。
【0018】
機械室14の左右それぞれに機械室ファン22を設け、左側の機械室ファン22の駆動により負圧となる左側の吸気空間S1に、前後の両パネル39・40の左半部および左パネル41の吸気口46(46A・46B・46C)を正対させるとともに、右側の機械室ファン22の駆動により負圧となる右側の吸気空間S2に、前後の両パネル39・40の右半部および右パネル42の吸気口46(46A・46B・46D)を正対させると、各方向から吸気空間S1・S2へ流入する外気どうしの衝突を抑制して、機械室14へ外気をスムーズに取り込むことができる。一方、各吸気口46に吸気用のファンを配する形態では、該ファンにより加圧された外気どうしが機械室14内で衝突し、これが抵抗となり外気をスムーズに取り込めないおそれがある。
【0019】
凝縮器20を左右一対の部分凝縮器20L・20Rで構成し、各部分凝縮器20L・20Rを吸気空間S1・S2の下流側に配置すると、圧縮機19から吐出された冷媒を2個の部分凝縮器20L・20Rに分散させて、それぞれに吸気空間S1・S2から外気を送給することで、冷媒を効率良く空冷することができる。
【0020】
前パネル39の排気口45へ向かう前向きの空気流を機械室14内に形成する排気ファン51を設けると、部分凝縮器20L・20Rを通過して昇温した吸熱後の空気を、機械室14内に滞留させることなく排気口45からスムーズに排出することができる。排気口45からの排気効率を高めることは、各吸気口46から吸気空間S1・S2への吸気効率を高めることにも寄与する。
【0021】
排気ファン51を後パネル40に形成された開口50に装着すると、該開口50から機械室14へ外気を取り込めるようにして、排気ファン51が形成する前向きの空気流の風量を多くすることができ、これにより排気口45からの排気効率をさらに高めることができる。
【0022】
排気口45の左右中央の後方に、部分凝縮器20L・20Rを通過した熱交換風を受け止める整流板30を設け、整流板30の左右両側に排気ファン51で前向きの空気流を形成すると、左右からの熱交換風どうしが衝突する前にこれを整流板30で受け止め、各排気ファン51の作用で前向きに変向させて、排気口45の左右両部からスムーズに排出することができる。
【0023】
左右の部分凝縮器20L・20Rの間に蒸発処理装置23を設け、吸気空間S1・S2から部分凝縮器20L・20Rを経由して蒸発処理装置23へ向かう空気流を形成すると、部分凝縮器20L・20Rと熱交換して昇温した熱交換風を蒸発処理装置23へ送給して、ドレン水の蒸発促進効果を高めることができる。
【0024】
蒸発処理装置23が前パネル39の排気口45に正対していると、蒸発処理装置23を通過した吸湿後の熱交換風を排気口45から機械室14の外へ速やかに排出して、機械室14の湿度の上昇を防止することができる。
【0025】
蒸発処理装置23の後方に圧縮機19を配置し、圧縮機19から蒸発処理装置23へ向かう空気流を形成すると、圧縮機19と熱交換して昇温した空気を蒸発処理装置23へ送給して、ドレン水の蒸発促進効果を高めることができる。
【0026】
左パネル41または右パネル42の吸気口46C・46Dと吸気空間S1・S2との間に電装箱16を収容し、その外面に吸気空間S1・S2へ向かう空気流に接触するヒートシンク17を設けると、機械室ファン22が形成する空気流を利用して電装箱16からの放熱を促すことができるので、別途ファンなどを不要として機械室14の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係るショーケースの機械室における空気の流れに関する説明図である。
図2】同ショーケースの正面図である。
図3】同ショーケースの縦断側面図であり、図2におけるA-A線断面図である。
図4】同ショーケースの機械室の平面図である。
図5】同ショーケースに搭載される冷凍サイクルの構成図である。
図6】同ショーケースの後方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態) 本発明を冷蔵オープンショーケースに適用した実施形態を図1ないし図6に示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1ないし図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2および図3において冷蔵オープンショーケース(以下、単にショーケースと記す。)は、前面に開口を有する断熱箱体からなるケース本体1と、ケース本体1の下面を支持する基台2とを備える。ケース本体1で囲まれる庫内3は、側面視コ字状の内ケース4で陳列室5と循環通路6に区画されており、前方へ開口する陳列室5には、陳列対象である冷蔵商品を載置するための棚板7が上下多段状に設置されている。
【0029】
ケース本体1と内ケース4の間に、陳列室5を三方から取り囲むように側面視コ字状の循環通路6が形成されている。この循環通路6には、同通路6内に空気流を形成するための循環ファン9と、同通路6を流れる空気を冷却するための蒸発器10とが設けられている。循環通路6の上部前端には下向きの吹出口11が設けられ、同通路6の下部前端には上向きの吸込口12が設けられている。循環ファン9が駆動することにより、蒸発器10で冷却された冷気が吹出口11から吸込口12へ下向きに吹き出されて、陳列室5の前面に冷気のエアカーテンが形成される。このエアカーテンは、陳列室5内の空気を冷却するとともに、陳列室5への外気の侵入を遮断する。蒸発器10は、ケース本体1の左半部と右半部にそれぞれ設置された一対の部分蒸発器10L・10Rで構成される。もちろん、一対の部分蒸発器10L・10Rに代えて、ケース本体1の左右中央に1台の蒸発器10が設けられていてもよい。
【0030】
基台2の内側に画成された機械室14には、庫内3を冷却するための冷凍機ユニット15と、ショーケースの制御基板などを内蔵する電装箱16とが収容されている。図4に示す平面視において、冷凍機ユニット15は左右方向に長く形成されて、機械室14の過半部を占めている。冷凍機ユニット15の左右中心は機械室14の左右中心よりも右側に偏倚しており、冷凍機ユニット15の左方に電装箱16が設置されている。電装箱16の外面(本実施形態では上面)には、放熱用のヒートシンク17が設けられている。
【0031】
冷凍機ユニット15は、蒸発器10と共に冷凍サイクルを構成する圧縮機19、凝縮器20およびアキュムレータ21と、機械室14の左右中央へ向けて送風する機械室ファン22と、庫内3で生じたドレン水を蒸発処理する蒸発処理装置23と、これらの機器19~23が搭載されるユニットベース24などで構成される。凝縮器20は、ユニットベース24の左右両端部に設置された一対の部分凝縮器20L・20Rで構成されており、これら部分凝縮器20L・20Rのそれぞれに機械室ファン22が前後3個ずつ付設されている。左右の部分凝縮器20L・20Rの間すなわちユニットベース24の左右中央の前半部に蒸発処理装置23が設置され、その後方に圧縮機19とアキュムレータ21が設置されている。
【0032】
図3および図4において蒸発処理装置23は、循環通路6の底部から流出するドレン水を受ける左右に長いドレン受皿26と、ドレン受皿26内のドレン水を加熱する加熱管27と、該ドレン水の蒸発を促進する左右一対の蒸発促進部材28などで構成される。加熱管27は、ドレン受皿26の内底面に沿って蛇行するように配置されており、圧縮機19から高温高圧のガス冷媒の供給を受けてドレン水を加熱する。各蒸発促進部材28は、毛細管作用を発揮する多数枚の蒸発板29をその厚み方向に等間隔に配置して、全体としてブロック状に形成されており、各蒸発板29の下端部がドレン水に浸漬する状態でドレン受皿26上に立設されている。左右一対の蒸発促進部材28の間には、ドレン受皿26の上端面で支持される整流板30が設けられている。この整流板30の作用については後述する。
【0033】
図5においてショーケースの冷凍サイクルは、圧縮機19の吐出側で分岐してアキュムレータ21の上流側で合流する並列配管32を備える。並列配管32の一方には、蒸発処理装置23を構成する加熱管27、左側の部分凝縮器20L、膨張器33および左側の部分蒸発器10Lが、上流側から記載順に配置されており、並列配管32の他方には、加熱管27、右側の部分凝縮器20R、膨張器33および右側の部分蒸発器10Rが、上流側から記載順に配置されている。圧縮機19から吐出された高温高圧のガス冷媒は、二手に分かれてまず加熱管27でドレン水により冷却され、次いで部分凝縮器20L・20Rで空冷されて凝縮する。凝縮した液状冷媒は、膨張器33で減圧されたのち部分蒸発器10L・10Rへ至り、循環通路6を流れる空気と熱交換してこれを冷却したのち、合流してアキュムレータ21に回収される。一対の部分蒸発器10L・10Rに代えて1台の蒸発器10を設ける場合は、部分凝縮器20L・20Rの出口側で冷媒を合流させ、その後、1個の膨張器33、蒸発器10、アキュムレータ21の順に冷媒を流すとよい。
【0034】
図4において基台2は、ケース本体1の左右両側を支持する左フレーム35および右フレーム36と、両フレーム35・36の下端どうしを連結するとともに冷凍機ユニット15および電装箱16を支持する前後一対の下フレーム37と、機械室14の四方を区画する前パネル39、後パネル40、左パネル41および右パネル42などで構成される。左右の各フレーム35・36は、前後一対の縦枠とその下端どうしを繋ぐ横枠とで逆門形に形成される。下フレーム37は左右に伸びる形材からなり、その左右両端部を含む複数個所に脚部材43が固定されている(図3参照)。
【0035】
基台2の前パネル39には、機械室14からの排気のための排気口45と、機械室14へ外気を取り込むための前吸気口46A(吸気口46)とが設けられている。詳しくは、前パネル39の左右中央に排気口45が設けられ、その左右両側に非開口部47を挟んで前吸気口46Aが設けられている。排気口45は機械室14内の蒸発処理装置23に正対し、非開口部47は左側または右側の部分凝縮器20L・20Rと機械室ファン22に正対し、前吸気口46Aは部分凝縮器20L・20Rの左右外方の吸気空間S1・S2に正対する。排気口45と前吸気口46Aはそれぞれ、上下に長い一群の小孔で構成される。
【0036】
基台2の後パネル40、左パネル41および右パネル42には、機械室14へ外気を取り込むための吸気口46のみが設けられる。詳しくは、左パネル41には、電装箱16を介して左側の吸気空間S1に正対する左吸気口46C(吸気口46)が設けられている。電装箱16が左吸気口46Cからの吸気を大きく妨げないように、電装箱16の上下寸法は左パネル41の上下寸法の約半分に設定される(図2参照)。右パネル42には、右側の吸気空間S2に正対する右吸気口46D(吸気口46)が設けられている。左右の吸気口46C・46Dはそれぞれ、左右に長い一群の小孔で構成される。
【0037】
図4および図6において後パネル40は、機械室14の半分弱の左右寸法を有する左右一対の分割パネル40L・40Rで構成される。各分割パネル40L・40Rには、機械室14の左右端寄りに、吸気空間S1・S2に正対する後吸気口46B(吸気口46)が設けられている。後吸気口46Bは、上下に長い一群の小孔で構成される。さらに各分割パネル40L・40Rには、機械室14の左右中央寄りに開口50が設けられ、その内面側に排気ファン51が装着されている。
【0038】
以上のように機械室14には、送風手段として機械室ファン22と排気ファン51が設けられる。図1に示すように機械室ファン22は、機械室14の左右両端から左右中央へ向かう空気流を形成する。詳しくは、左側の部分凝縮器20Lに付設された機械室ファン22は、左側の吸気空間S1から部分凝縮器20Lへ右向きの空気流を形成し、右側の部分凝縮器20Rに付設された機械室ファン22は、右側の吸気空間S2から部分凝縮器20Rへ左向きの空気流を形成する。各部分凝縮器20L・20Rは、左右方向の空気の流通を許容すべく、フィンが並ぶ方向(各フィンの厚み方向)が前後方向となるように設置されている(図4参照)。
【0039】
機械室ファン22が駆動すると、吸気空間S1・S2が負圧となり、同空間S1・S2に正対する各吸気口46A~46Dからの外気の流入が促される。このとき、左吸気口46Cから流入した外気は、電装箱16の上面のヒートシンク17に接触してこれを空冷する。電装箱16からの放熱に機械室ファン22が形成する空気流を利用すると、別途ファンなどを不要として機械室14の構成を簡素化することができる。左側(右側)の吸気空間S1(S2)に流入した外気は、左側(右側)の部分凝縮器20L(20R)を空冷しながら通過して、機械室14の左右中央へ至る。
【0040】
機械室14の左右中央には、排気ファン51により排気口45へ向かう前向きの空気流が形成されている。そのため、部分凝縮器20L・20Rを通過して機械室14の左右中央へ至った熱交換風は、排気ファン51の作用により前向きに変向されながら、機械室14の左右中央に配置された圧縮機19を空冷し、あるいは蒸発処理装置23において各蒸発板29に吸い上げられたドレン水の蒸発を促進する。凝縮器20(部分凝縮器20L・20R)を蒸発処理装置23の上流側に配置し、凝縮器20と熱交換して昇温した熱交換風を蒸発処理装置23へ送給すると、ドレン水の蒸発促進効果を高めることができる。蒸発処理装置23は排気口45に正対しているため、蒸発処理装置23を通過した吸湿後の熱交換風は排気口45から機械室14の外へ速やかに排出されて、機械室14の湿度の上昇が防止される。
【0041】
先述のように、蒸発処理装置23の左右一対の蒸発促進部材28の間には、前後方向および上下方向に伸びる整流板30が設けられている。整流板30は排気口45の左右中央の後方に配置されており、整流板30の左右両側に一対の排気ファン51により前向きの空気流が形成されている。以上の構成によれば、部分凝縮器20L・20Rを通過した左右からの熱交換風どうしが衝突する前にこれを整流板30で受け止め、各排気ファン51の作用で前向きに変向させて、排気口45の左右両部からスムーズに排出することができる。
【0042】
排気ファン51の作用により開口50から機械室14へ流入する外気は、排気口45へ向かって整流板30の左右両側を前向きに流れる。この外気も蒸発処理装置23におけるドレン水の蒸発の促進に寄与する。蒸発処理装置23の各蒸発促進部材28は、前後方向の空気の流通を許容すべく、蒸発板29が並ぶ方向(各蒸発板29の厚み方向)が左右方向となるように設置されている(図4参照)。また、特に左側の開口50から機械室14へ流入する外気は、蒸発処理装置23に至る前に圧縮機19に接触してこれを空冷する。圧縮機19を蒸発処理装置23の上流側に配置し、圧縮機19と熱交換して昇温した空気を蒸発処理装置23へ送給すると、ドレン水の蒸発促進効果を高めることができる。
【0043】
以上のように、本実施形態に係るショーケースでは、機械室14へ外気を取り込むための吸気口46(46A~46D)を、機械室14を区画する前パネル39の左右両端部と、後パネル40(分割パネル40L・40R)、左パネル41および右パネル42のそれぞれに設けた。このように、吸気口46を前パネル39だけでなく後パネル40、左パネル41および右パネル42にも設けると、機械室14へ比較的多量の熱交換風を取り込むことができるので、機械室14に高出力の圧縮機19や大型の凝縮器20(左右一対の部分凝縮器20L・20R)を搭載した場合でも、これらを十分に冷却することができる。また、このように四方に吸気口46を設けると、その一部が商品陳列棚や隣接するショーケースなどで塞がれても、残りの吸気口46から外気を取り込んで、圧縮機19や凝縮器20を的確に冷却することができる。
【0044】
機械室14の左右それぞれに機械室ファン22を設け、左側の機械室ファン22の駆動により負圧となる左側の吸気空間S1に、前パネル39の左半部、後パネル40を構成する左側の分割パネル40Lおよび左パネル41の吸気口46(46A・46B・46C)を正対させるとともに、右側の機械室ファン22の駆動により負圧となる右側の吸気空間S2に、前パネル39の右半部、後パネル40を構成する右側の分割パネル40Rおよび右パネル42の吸気口46(46A・46B・46D)を正対させると、各方向から吸気空間S1・S2へ流入する外気どうしの衝突を抑制して、機械室14へ外気をスムーズに取り込むことができる。
【0045】
上記実施形態では、後パネル40(分割パネル40L・40R)に設けた開口50に排気ファン51を装着したが、排気ファン51は前パネル39の排気口45に装着してもよく、前後パネル39・40の間に配置してもよい。電装箱16は冷凍機ユニット15の右方に配置してもよく、ヒートシンク17は電装箱16の上面以外に、例えば吸気空間S1・S2に臨む側面に配置してもよい。
【符号の説明】
【0046】
5 陳列室
14 機械室
15 冷凍機ユニット
16 電装箱
17 ヒートシンク
19 圧縮機
20 凝縮器
22 機械室ファン
23 蒸発処理装置
28 蒸発促進部材
29 蒸発板
30 整流板
39 前パネル
40 後パネル
41 左パネル
42 右パネル
45 排気口
46 吸気口
46A 前吸気口
46B 後吸気口
46C 左吸気口
46D 右吸気口
50 開口
51 排気ファン
S1 左側の吸気空間
S2 右側の吸気空間
20L 左側の部分凝縮器
20R 右側の部分凝縮器
図1
図2
図3
図4
図5
図6