(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045623
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】駅務機器、駅務方法、及び駅務プログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 11/11 20060101AFI20230327BHJP
G07B 1/00 20060101ALI20230327BHJP
G07B 5/00 20060101ALI20230327BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230327BHJP
【FI】
G07B11/11
G07B1/00 B
G07B5/00 C
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154154
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 彩薫
【テーマコード(参考)】
3E026
3E127
5L049
【Fターム(参考)】
3E026BA03
3E127BA21
3E127CA03
3E127CA36
3E127DA06
3E127DA17
3E127DA28
3E127DA29
3E127FA48
3E127FA49
5L049CC43
(57)【要約】
【課題】駅務機器で定期券の払い戻し処理中に異常が発生した場合に払い戻し処理を完了させること。
【解決手段】実施形態に係る駅務機器であって、ICカードに記憶されたエンコード情報を消去する際にエンコード情報の異常を検知する異常検知部と、異常が検知されたエンコード情報が読み取れるかどうかを確認する確認部と、エンコード情報が読み取れない場合、ICカードからICカードのストアードフェア残額情報を含む新規ICカードに発行替えを行う発行制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードに記憶されたエンコード情報を消去する際に前記エンコード情報の異常を検知する異常検知部と、
前記異常が検知されたエンコード情報が読み取れるかどうかを確認する確認部と、
前記エンコード情報が読み取れない場合、前記ICカードから前記ICカードのストアードフェア残額情報を含む新規ICカードに発行替えを行う発行制御部と、
を備える、駅務機器。
【請求項2】
前記異常が検知されたエンコード情報が読み取れる場合、前記確認部は、前記エンコード情報が有るかどうかを判定し、
前記エンコード情報が有る場合、前記エンコード情報を消去する消去部と、
前記ICカードの券面情報を消去する消去指示指示を出力する券面消去部と、
をさらに備える、請求項1に記載の駅務機器。
【請求項3】
前記エンコード情報は、定期券情報であり、
前記エンコード情報が消去されると、定期券情報が前記ICカードから消去されたことを示す消去明細を生成する消去明細生成部と、
前記消去明細を中央サーバに送信する通信制御部と、
をさらに備える、請求項2に記載の駅務機器。
【請求項4】
前記エンコード情報が無い場合、前記ICカードの券面情報を消去する消去指示指示を出力する券面消去部をさらに備える、請求項2又は3に記載の駅務機器。
【請求項5】
前記エンコード情報は、定期券情報であり、
前記異常が検知された場合、磁気定期券発行信号を出力する磁気券発行制御部をさらに備え、前記新規ICカードは、前記磁気定期券発行信号に応じて発行された磁気定期券に基づいて発行される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駅務機器。
【請求項6】
前記エンコード情報は、定期券情報であり、
前記定期券情報を記憶する記憶部と、
前記エンコード情報が読み取れない場合、前記記憶部に記憶された定期券情報から消去明細を生成する消去明細生成部と、
前記消去明細を中央サーバに送信する通信制御部と、
をさらに備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駅務機器。
【請求項7】
ICカードに記憶されたエンコード情報を消去する際に前記エンコード情報の異常を検知することと、
前記異常が検知されたエンコード情報が読み取れるかどうかを確認することと、
前記エンコード情報が読み取れない場合、前記ICカードから前記ICカードのストアードフェア残額情報を含む新規ICカードに発行替えを行うことと、
を備える、駅務方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の駅務機器の各部としてプロセッサを機能させる駅務プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駅務機器、駅務方法、及び駅務プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道事業者の今後の施策の一つとして、駅での駅係員の介在が必要であった処理を駅務機器へシフトして省力化を図ることが考えられている。その中で、現在、駅係員によって対応していた定期券の払い戻し処理を駅務機器である券売機でも行うことが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
券売機で定期券の払い戻し処理中に異常が発生した場合に払い戻し処理を完了させる必要がある。
【0005】
この発明は、上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ICカードを用いた定期券の払い戻し処理中に異常が発生した場合に払い戻し処理を完了させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る駅務機器は、ICカードに記憶されたエンコード情報を消去する際に前記エンコード情報の異常を検知する異常検知部と、前記異常が検知されたエンコード情報が読み取れるかどうかを確認する確認部と、前記エンコード情報が読み取れない場合、前記ICカードから前記ICカードのストアードフェア残額情報を含む新規ICカードに発行替えを行う発行制御部と、を備えるようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態における駅務システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、券売機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、券売機のソフトウェア構成を
図2に示したハードウェア構成に関連付けて示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示される券売機の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、異常が発生した場合に表示部19に表示される情報の一例を示した図である。
【
図6】
図6は、券売機のソフトウェア構成を
図2に示したハードウェア構成に関連付けて示すブロック図である。
【
図7】
図7は、
図1に示される券売機の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら駅務機器、駅務方法、及び駅務プログラムについて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
【0009】
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、本発明の第1の実施形態における駅務システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
駅務システムは、駅務機器である券売機1と、中央サーバ2と、ICカード3とを備える。
【0011】
券売機1は、駅構内の所定の場所に設置される。
図1では、簡単化のため1つのみを示しているが、複数の券売機1があっても良いのは勿論である。券売機1は、乗車券の購入払い戻しをすることができる。さらに券売機1は、定期券の購入及び払い戻しを行うことができる。ここで、乗車券の購入、払い戻し、及び定期券の購入は一般的な方法で処理可能でありここでの詳細な説明を省略する。また、払い戻し処理については後述する。
【0012】
中央サーバ2は、鉄道事業者が管理するサーバである。中央サーバ2は、ICカード3の発行状況を管理するサーバであり、例えば、ICカード3の定期券情報、発売履歴、ユーザ情報等各種情報を記憶する。中央サーバ2は、券売機1からの各種要求に応じて記憶された情報を提供することが可能である。例えば、券売機1からICカード3の定期券状態を確認する要求を受信した場合、中央サーバ2は、ICカード3の定期券情報を券売機1に送信する。ここで、定期券情報は、定期区間、開始日時、有効期間等を含む定期券についての情報を含む。
【0013】
ICカード3は、鉄道事業者が発行する一般的なICカードであって良い。また、ICカード3は、ストアードフェア(SF:Stored Fare)等を利用することができる。ここで、中央サーバ2は、ICカード3にSF残額情報についても記憶しておくことも可能である。ここで、SF残額情報は、SFの残額に加え、利用履歴についての情報を含んでも良い。
【0014】
図2は、券売機1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
券売機1は、PC(Personal Computer)などのコンピュータによって実現される。券売機1は、制御部11、記憶部12、入出力インタフェース13、通信インタフェース14、ICカードリーダライタ15、磁気券発行部16、磁気券読取り部17、入力部18、及び表示部19を備える。制御部11、記憶部12、入出力インタフェース13、及び通信インタフェース14は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。また、入出力インタフェース13は、ICカードリーダライタ15、磁気券発行部16、磁気券読取り部17、入力部18、及び表示部19と互いに通信可能に接続されている。
【0015】
制御部11は、券売機1を制御する。制御部11は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサを備える。
【0016】
記憶部12は、記憶媒体である。記憶部12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の随時書込み及び読出し可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとを組み合わせて構成される。記憶部12は、記憶領域に、プログラム記憶領域と、データ記憶領域とを備える。プログラム記憶領域は、OS(Operating System)やミドルウェアに加えて、各種処理を実行するために必要なアプリケーションプログラムを格納する。
【0017】
入出力インタフェース13は、ICカードリーダライタ15、磁気券発行部16、磁気券読取り部17、入力部18、及び表示部19との間で情報の送受信を可能にするインタフェースである。
【0018】
通信インタフェース14は、1つ以上の有線又は無線の通信モジュールを含む。例えば、通信インタフェース14は、LAN又はインターネット等を含むネットワークを介して中央サーバ2と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。なお、通信インタフェース14は、制御部11の制御の下、中央サーバ2等との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。
【0019】
ICカードリーダライタ15は、一般的なNFC(Near Field Communication)技術を用いてICカード3と通信を確立し、ICカード3から情報を読み取り、読み取った情報を制御部11に出力する。また、ICカードリーダライタ15は、制御部11により出力された情報に基づいてICカード3に記憶された情報を書き換える。また、ICカードリーダライタ15は、制御部11による指示に応じて、予め用意された新規ICカードに各種情報を書き込む。そして、ICカードリーダライタ15は、ICカード3の代わりに新規ICカードを発行することも可能である。さらにICカードリーダライタ15は、ICカードの券面上に定期券についての情報を印刷する又は消去することも可能である。
【0020】
磁気券発行部16は、磁気券を発行する。ここで、磁気券は、一般的な磁気券であれば良い。また、磁気券発行部16は、ICカード3の払い戻しの際に異常が発生した場合に、制御部11の指示に応じて、ICカード3が保持する定期券情報を有する磁気定期券を発行することも可能である。
【0021】
磁気券読取り部17は、磁気券に記憶された情報を読み取る。また、磁気券読取り部17は、磁気券発行部16が発行した磁気定期券を読み取ることも可能である。
【0022】
入力部18は、例えば、表示部19である表示デバイスの表示画面上に配置された、静電方式又は圧力方式を採用した入力検知シートであり、入出力インタフェース13を介して、ユーザのタッチ位置に対応した信号を制御部11に出力する。例えば、入力部18及び表示部19は、入出力が一体となったタッチスクリーンであって良い。すなわち、入力部18は、タッチスクリーン上に表示された釦等にユーザがタッチすることで必要な情報の入力を受け付け、受け付けた情報に対応する信号を制御部11に出力しても良い。また、入力部18は、例えば、券売機1のユーザ(例えば、係員、旅客等)が券売機1に対して指示を入力するためのキーボードやポインティングデバイス等を含んでも良い。
【0023】
表示部19は、例えば液晶、有機EL(Electro Luminescence)等を使用した表示デバイスであり、入出力インタフェース13から入力された信号に応じた画像及びメッセージを表示する。
【0024】
図3は、券売機1のソフトウェア構成を
図2に示したハードウェア構成に関連付けて示すブロック図である。
制御部11は、エンコード情報消去制御部111、異常検知部112、磁気券発行制御部113、エンコード情報確認部114、券面消去制御部115、消去明細生成部116、通信制御部117、及び新規ICカード発行制御部118を備える。
【0025】
エンコード情報消去制御部111は、ICカード3に記憶された定期券情報であるエンコード情報を消去する。例えば、ICカード3の定期券払い戻し処理の際、エンコード情報消去制御部111は、ICカード3に記憶された定期券情報であるエンコード情報を消去する。
【0026】
異常検知部112は、エンコード情報消去制御部111がエンコード情報を消去する際にエンコード情報に異常が発生したことを検知する。異常を検知した場合、異常検知部112は、表示部19に異常検知信号を出力する。異常検知信号は、エンコード情報消去時に異常が発生したことを示す情報である。
【0027】
磁気券発行制御部113は、強制発行信号を受信した場合、磁気定期券発行信号を磁気券発行部16に出力する。磁気券発行部16は、磁気定期券発行信号に応じて磁気定期券を発行する。
【0028】
エンコード情報確認部114は、異常が検知されたICカード3のエンコード情報が読み取れるかを判定する。さらにエンコード情報確認部114は、エンコード情報が読み取れると判定した場合にエンコード情報の有無を判定する。エンコード情報確認部114は、エンコード情報が有る場合、エンコード情報消去制御部111にエンコード情報消去指示を出力する。また、エンコード情報が無い場合、券面消去制御部115に消去指示を出力する。一方、エンコード情報が読み取れない場合、エンコード情報確認部114は、新規ICカード発行制御部118に発行指示を出力する。
【0029】
券面消去制御部115は、消去指示を受信すると、ICカードリーダライタ15に券面消去指示を出力する。ICカードリーダライタ15は、券面消去指示に応じてICカード3の券面に記載された定期券についての情報を削除する。
【0030】
消去明細生成部116は、ICカード3から定期券情報であるエンコード情報が消去された場合に、消去明細を作成する。そして、消去明細生成部116は、消去明細を通信制御部117に出力する。
【0031】
通信制御部117は、通信インタフェース14を通じて、消去明細を中央サーバ2に送信する。
【0032】
新規ICカード発行制御部118は、発行指示を受信すると、ICカード発行指示をICカードリーダライタ15に出力する。ICカードリーダライタ15は、ICカード発行指示に従って新規ICカードを発行する。
【0033】
(動作)
図4は、
図1に示される券売機1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
券売機1の制御部11が記憶部12に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0034】
一般的に、定期券の払い戻し動作は以下のように動作する。ユーザがICカード3で利用している定期券の払い戻しを望む場合、制御部11は、ICカードリーダライタ15によってICカード3から取得した定期券情報を取得し、中央サーバ2に定期券情報が正しい情報であるか確認することを要求する確認要求を送信して確認結果を中央サーバ2から受信する。定期券情報が正しいと確認された後、制御部11は、ユーザから定期券を購入した際に使用したクレジットカードのカード番号等を含むクレジットカード情報の入力を受け付け、クレジットカード情報を中央サーバ2に送信する。中央サーバ2は、当該クレジットカードで定期券を購入したかを確認し、当該確認情報を券売機1に送信する。制御部11は、確認情報に基づいて決済サーバ等との間で返金処理を行う。そして、返金処理後、ICカード3から定期券情報であるエンコード情報を消去する。このICカード3のエンコード情報の消去の完了をトリガにして、制御部11は、消去明細を作成し、当該消去明細を中央サーバ2に送信する。ここで、消去明細は、ICカード3から定期券情報が消去されたことを示す情報である。そして、最後に制御部11は、ICカード3の券面から定期券についての情報を消去し、ユーザにICカード3を返却する。なお、以下の説明において、定期券情報を削除する一連の処理を行う際、制御部11は、ICカード3から取得した定期券情報、SF残額情報等を含むICカード情報を記憶部12に記憶させておくものとする。
【0035】
このフローチャートでは、上記払い戻し動作中のうち、制御部11のエンコード情報消去制御部111がICカード3からエンコード情報を削除する際に異常が発生することで開始する。
【0036】
異常検知部112は、異常検知情報を出力する(ステップST11)。異常検知部112は、エンコード情報消去制御部111がICカード3からエンコード情報を削除する際に異常が発生したことを検知する。異常が発生したことを検知すると、異常検知部112は、異常検知情報を生成し、表示部19に当該異常検知情報を出力する。表示部19は、異常検知情報に応じてICカード3の払い戻し処理に異常が発生したことを示す情報を表示する。
【0037】
図5は、異常が発生した場合に表示部19に表示される情報の一例を示した図である。
【0038】
図5に示すように、定期券払い戻し処理中に異常が発生したことを表示すると共に駅係員を呼び、駅係員による対応を受ける必要があることををユーザに知らせる。ユーザは、駅係員に対応を依頼することになる。
【0039】
磁気券発行制御部113は、強制発行信号を受信したかどうかを判定する(ステップST12)。駅係員は、表示部19に表示された情報に応じて、ICカード3を券売機1から取り出し、さらに、券売機1中に設置された強制発行釦を押下する。券売機1の強制発行釦が押下されたことを検知した制御部11は、磁気券発行制御部113に強制発行信号を出力する。この場合、磁気券発行制御部113は、強制発行信号を受信したと判定する。また、強制発行信号が受信されると判定されるまで、処理は、ステップST12に戻り、強制発行信号を受信するのを待つことになる。
【0040】
磁気券発行制御部113は、磁気定期券発行信号を磁気券発行部16に出力する(ステップST13)。磁気券発行制御部113は、強制発行信号を受信すると、記憶部12に記憶されたICカード3の定期券情報を取得する。そして、取得した定期券情報を含む磁気定期券発行信号を磁気券発行部16に出力する。ここで、定期券情報は、ICカード3に記憶された定期券についての情報であり、定期区間、開始日時、有効期間等を含んで良い。そして、磁気券発行部16は、磁気定期券発行信号に基づいて定期券情報を含む磁気定期券を発行する。また、磁気券発行制御部113は、エンコード情報確認部114に磁気券発行信号を磁気券発行部16に出力したことを示す情報を出力する。
【0041】
エンコード情報確認部114は、ICカード設置信号を受信したかどうかを判定する(ステップST14)。磁気券発行信号を出力したことを示す情報を受信すると、エンコード情報確認部114は、ICカード設置信号を受信したかどうかを判定する。磁気定期券が発行されると、駅係員は、ICカードリーダライタ15に異常が発生したICカードを再度設置する。ICカードリーダライタ15は、ICカード3との通信を確立すると、ICカード設置信号をエンコード情報確認部114に出力する。そして、処理は、ステップST15に進む。一方、ICカード3がICカードリーダライタ15に設置されるまで、処理はST14に戻りICカード設置信号を受信するのを待つことになる。
【0042】
エンコード情報確認部114は、ICカードリーダライタ15に設置されたICカード3に記憶されたエンコード情報が読み取れるかどうか判定する(ステップST15)。エンコード情報が読み取れると判定した場合、処理は、ステップST16に進む。一方、エンコード情報が読み取れない場合、エンコード情報確認部114は、新規ICカード発行制御部118に発行指示を出力する。
【0043】
エンコード情報確認部114は、エンコード情報が有るかどうか判定する(ステップST16)。エンコード情報が読み取れると判定した場合、エンコード情報確認部114は、ICカード3に記憶されたエンコード情報の有無を判定する。エンコード情報が無いと判定した場合、既にエンコード情報が消去されており、エンコード情報が消去されることによってトリガされる消去明細も中央サーバ2に送信されていると考えられる。この場合、異常を検知したが、エンコード消去動作は正常に終了していたことになる。そこで、ICカード3の券面に残っている定期券についての情報のみを削除すれば良いので、処理はステップST19に進む。
【0044】
一方、エンコード情報が有ると判定した場合、エンコード情報確認部114は、エンコード情報消去指示を出力する(ステップST17)。エンコード情報が有る場合、エンコード情報を消去する前に異常が発生したことになる。そこで、ICカード3からエンコード情報を消去する必要がある。エンコード情報確認部114は、エンコード情報を消去する指示であるエンコード情報消去指示をエンコード情報消去制御部111に出力する。そして、エンコード情報消去制御部111は、エンコード情報消去指示に従ってエンコード情報を消去する。エンコード情報消去制御部111は、エンコード情報を消去したことを示す情報をエンコード情報確認部114に出力する。そして、当該情報に応じてエンコード情報確認部114は、消去明細生成指示を消去明細生成部116に出力する。
【0045】
消去明細生成部116は、消去明細を作成し、消去明細を出力する(ステップST18)。消去明細生成部116は、消去明細生成指示を受信すると、消去明細を作成する。消去明細は、ICカード3から定期券情報が削除されて、処理が終了したことを示す情報である。そして、消去明細生成部116は、生成した消去明細を通信制御部117に出力する。通信制御部117は、通信インタフェース14を通じて、消去明細を中央サーバ2に送信する。中央サーバ2は、消去明細を受信すると、ICカード3から定期券情報が消去されたことを検知し、ICカード3の定期券情報が削除された状態を記憶する。そして、消去明細生成部116は、消去指示を券面消去制御部115に出力する。
【0046】
券面消去制御部115は、券面消去指示をICカードリーダライタ15に出力する(ステップST19)。ステップST18でICカード3から定期券情報であるエンコード情報が消去された場合、又はステップST16でエンコード情報が無かった場合、ICカード3の券面上に記載された定期券についての情報を消去する必要がある。そこで、券面消去制御部115は、ICカード3の券面に記載された定期券についての情報を消去する券面消去指示をICカードリーダライタ15に出力する。ICカードリーダライタ15は、券面消去指示に従ってICカード3の券面に記載された定期券についての情報を消去する。
【0047】
券面消去制御部115は、ICカード排出指示をICカードリーダライタ15に出力する(ステップST20)。ICカード3の定期券払い戻し処理が終了したので、券面消去制御部115は、ICカード3を排出する指示をICカードリーダライタ15に出力する。この場合、磁気定期券は、使用しないので、駅係員が適切に処分することになる。
【0048】
ステップST15で、ICカード3に記憶されたエンコード情報が読み取れない場合、新規ICカード発行制御部118は、表示部19に磁気定期券挿入指示を出力する(ステップST21)。ICカード3に記憶されたエンコード情報が読み取れない場合、当該ICカード3は、使用することができないため、新規ICカードを発行する必要がある。そこでまず、新規ICカード発行制御部118は、定期券情報を取得するため、磁気定期券挿入指示を出力する。表示部19は、磁気定期券挿入指示に従って、表示デバイス上にステップST13で発行された磁気定期券を券売機1に挿入することを促す情報を表示する。駅係員は、ステップST13で発行された磁気定期券を券売機1に挿入する。磁気券読取り部17は、磁気定期券から定期券情報を読み取り、新規ICカード発行制御部118に定期券情報を出力する。
【0049】
新規ICカード発行制御部118は、新規ICカード発行指示を出力する(ステップST22)。新規ICカード発行制御部118は、定期券情報を含む新規ICカード発行指示をICカードリーダライタ15に出力する。当該指示を受信したICカードリーダライタ15は、予め用意された新しいICカードを新規ICカードとして発行する。また、発行の際、指示に含まれる定期券情報を新規ICカードに書き込んで良い。
【0050】
新規ICカード発行制御部118は、サーバ問合せを出力する(ステップST23)。新規ICカード発行制御部118は、記憶部12に記憶されたICカード3のICカード情報を取得し、ICカード情報及び新規ICカードのカード番号等に基づいてサーバ問合せを生成し、通信制御部117にサーバ問合せを出力する。通信制御部117は、当該サーバ問合せを中央サーバ2に送信する。ここで、サーバ問合せは、ICカードのICカード情報、例えば、ICカードのカード番号、カードID、及びSF残額を含む。さらにサーバ問合せは、新規ICカードのカード番号及びカードIDを含んで良い。さらに、サーバ問合せは、ICカード3に異常が発生したため、新規ICカードに発行替えを行うことを示す情報を含む。サーバ問合せを受信した中央サーバ2は、サーバ問合せに応じてICカード3から新規ICカードに発行替えを行う。例えば、中央サーバ2は、新規ICカードにICカード3のSF残額情報等を移し替える。
【0051】
通信制御部117は、サーバ応答情報を受信する(ステップST24)。通信制御部117は、中央サーバ2から新規ICカードに発行替えが行われたことを示すサーバ応答情報を受信する。そして、通信制御部117は、サーバ応答情報を新規ICカード発行制御部118に出力する。
【0052】
新規ICカード発行制御部118は、サーバ応答情報に基づいて新規ICカードにICカードのSF残額情報等の情報を書き込む指示をICカードリーダライタ15に出力する(ステップST25)。ICカードリーダライタ15は、当該指示に応じて新規ICカードにICカード3が記憶していたSF残額情報等の情報を書き込む。
【0053】
新規ICカード発行制御部118は、新規ICカード排出指示を出力する(ステップST26)。新規ICカード発行制御部118は、新規ICカードを排出する指示をICカードリーダライタ15に出力する。また、新規ICカード発行制御部118は、ICカード3を破棄する指示をICカードリーダライタ15に出力しても良い。なお、新規ICカードは、定期券情報が記憶されているので、当該定期券情報を消去するために再度払い戻し処理を行う必要がある。
【0054】
(第1の実施形態の作用効果)
以上説明した第1の実施形態によれば、券売機1は、定期券の払い戻し処理中に異常が発生したとしても払い戻し処理を完了させることができる。
【0055】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、定期券の払い戻し処理中に異常が発生したとしても駅係員による対応をせずに払い戻し処理を完了させる実施形態を説明する。
【0056】
(構成)
第2の実施形態の駅務システムの構成は、第1の実施形態の駅務システムと同じである。
【0057】
図6は、券売機1のソフトウェア構成を
図2に示したハードウェア構成に関連付けて示すブロック図である。
制御部11は、エンコード情報消去制御部111、異常検知部112、エンコード情報確認部114、券面消去制御部115、消去明細生成部116、通信制御部117、及び新規ICカード発行制御部118を備える。また、記憶部12は、ICカード情報記憶部121を備える。第1の実施形態と異なる点は、磁気券発行制御部113が無く、ICカード情報記憶部121を備える点である。
【0058】
ICカード情報記憶部121は、ICカードリーダライタ15がICカード3から取得したICカード情報を記憶する。また、当該情報は、消去明細を作成するために必要な情報も含む。
【0059】
(動作)
図7は、
図1に示される券売機1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
券売機1の制御部11が記憶部12に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0060】
このフローチャートでは、上記払い戻し動作中のうち、制御部11のエンコード情報消去制御部111がICカード3からエンコード情報を削除する際に異常が発生することで開始する。
【0061】
異常検知部112は、異常検知情報を出力する(ステップST31)。異常検知部112は、エンコード情報消去制御部111がICカード3からエンコード情報を削除する際に異常が発生したことを検知する。異常が発生したことを検知すると、異常検知部112は、異常検知情報を生成し、エンコード情報確認部114に当該異常検知情報を出力する。
【0062】
エンコード情報確認部114は、ICカード3に記憶されたエンコード情報が読み取れるかどうか判定する(ステップST32)。この異常は、エンコード情報を消去しようとして生じた異常であるため、ICカード3は、ICカードリーダライタ15に設置されたままになっている。そこで、エンコード情報確認部114は、ICカード3に記憶されたエンコード情報が読み取れるかどうかを判定する。エンコード情報が読み取れると判定した場合、処理は、ステップST33に進む。一方、エンコード情報が読み取れない場合、エンコード情報確認部114は、消去明細生成指示を消去明細生成部116に出力する。
【0063】
ステップST34~ステップST37は、第1の実施形態で
図4を参照しながら説明したステップST17~ステップST20と同じであるため、説明を省略する。
【0064】
消去明細生成部116は、消去明細を作成し、消去明細を出力する(ステップST38)。消去明細生成部116は、消去明細生成指示を受信すると、ICカード情報記憶部121からICカード3のICカード情報を取得して消去明細を作成する。そして、消去明細生成部116は、生成した消去明細を通信制御部117に出力する。通信制御部117は、通信インタフェース14を通じて、消去明細を中央サーバ2に送信する。中央サーバ2は、消去明細を受信すると、ICカード3から定期券情報が消去されたことを検知し、ICカード3の定期券情報が削除された状態を記憶する。そして、消去明細生成部116は、発行指示を新規ICカード発行制御部118に出力する。第2の実施形態では、エンコード情報が消去されたことをトリガとして作成する消去明細をエンコード情報が読み取れないことをトリガとして消去明細を作成し、中央サーバ2に送信する。
【0065】
新規ICカード発行制御部118は、新規ICカード発行指示を出力する(ステップST39)。ICカード3は、エンコード情報が読み取れないため、破棄し、新規ICカードを発行する必要がある。そこで、新規ICカード発行制御部118は新規ICカード発行指示をICカードリーダライタ15に出力する。ここで、新規ICカード発行制御部118は、新規ICカードに定期券情報を記憶させない。ステップST38及びステップST39のように動作することで、エンコード情報が読み取れない場合、それをトリガとして消去明細を作成するため、定期券情報を新規ICカードに記憶させておく必要がない。
【0066】
ステップST40~ステップST43は、第1の実施形態で
図4を参照しながら説明したステップST23~ステップST26と同じであるため、説明を省略する。なお、ステップST43で排出される新規ICカードは、定期券情報を有していないため、定期券情報を消去するために再度払い戻し処理を行う必要はない。さらに、ステップST42で、新規ICカード発行制御部118は、ICカード3に異常が発生したので、新規ICカードを発行した旨を表示する情報を表示部19に出力しても良い。
【0067】
(第2の実施形態の作用効果)
以上説明した第1の実施形態によれば、券売機1は、定期券の払い戻し処理中に異常が発生したとしても払い戻し処理を完了させることができる。また、第2の実施形態によれば、定期券の払い戻し処理中に異常が発生したとしても駅係員による対応が必要なくなるため、省力化が図れる。
【0068】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、エンコード情報が定期券情報である例を説明したが乗車券についての情報であっても良い。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1…券売機
11…制御部
111…エンコード情報消去制御部
112…異常検知部
113…磁気券発行制御部
114…エンコード情報確認部
115…券面消去制御部
116…消去明細生成部
117…通信制御部
118…新規ICカード発行制御部
12…記憶部
121…ICカード情報記憶部
13…入出力インタフェース
14…通信インタフェース
15…ICカードリーダライタ
16…磁気券発行部
17…磁気券読取り部
18…入力部
19…表示部
2…中央サーバ
3…ICカード