(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045627
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】駅務システム、駅務機器、駅務方法、及び駅務プログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20230327BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230327BHJP
【FI】
G07B15/00 B
G07B15/00 K
G07B15/00 501
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154158
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】古用 晋一朗
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
【Fターム(参考)】
3E127AA12
3E127BA23
3E127BA39
3E127CA02
3E127CA56
3E127DA17
3E127DA30
3E127EA02
3E127EA12
3E127EA43
3E127FA43
5L049CC43
(57)【要約】
【課題】中央サーバを設置せずに非接触ICカードの即時決済を利用可能にすること。
【解決手段】実施形態に係る改札機を備える駅務システムであって、改札機は、改札機同士が接続されたネットワークを通じて、媒体から取得された媒体情報を含む入場情報を受信する第1の通信制御部と、媒体情報から媒体IDを抽出し、媒体IDに対応する入場情報が第1の記憶部に記憶されているかどうか判定する入場情報判定部と、入場情報が第1の記憶部に記憶されていないと判定した場合、ネットワークを通じて、第1の隣接駅に設置された隣接駅改札機に入場情報を送信する第2の通信制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改札機を備える駅務システムであって、
前記改札機は、
改札機同士が接続されたネットワークを通じて、媒体から取得された媒体情報を含む入場情報を受信する第1の通信制御部と、
前記媒体情報から媒体IDを抽出し、前記媒体IDに対応する入場情報が第1の記憶部に記憶されているかどうか判定する入場情報判定部と、
前記入場情報が前記第1の記憶部に記憶されていないと判定した場合、前記ネットワークを通じて、第1の隣接駅に設置された隣接駅改札機に前記入場情報を送信する第2の通信制御部と、
を備える、駅務システム。
【請求項2】
前記入場情報判定部は、前記入場情報が前記第1の記憶部に記憶されていない場合、前記第1の記憶部に前記入場情報を記憶させる、請求項1に記載の駅務システム。
【請求項3】
前記第1の隣接駅は、前記改札機が設置された設置駅から出発する列車が次に停車する駅を含む、請求項2に記載の駅務システム。
【請求項4】
前記隣接駅改札機は、前記入場情報が第2の記憶部に記憶されているかどうかを判定し、前記入場情報が記憶されていない場合、前記入場情報を第2の記憶部に記憶させる入場情報判定部と、前記入場情報が記憶されていないと判定した場合、前記入場情報を前記第1の隣接駅に隣接する第2の隣接駅に転送する第3の通信制御部と、をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駅務システム。
【請求項5】
前記入場情報が記憶されていないと判定した場合、前記第3の通信制御部は、前記第1の隣接駅の他の改札機に入場情報を転送しないための通知を送信する、請求項4に記載の駅務システム。
【請求項6】
前記改札機は、出口改札機であり、
前記出口改札機は、
前記媒体から媒体情報を取得する取得部と、
前記媒体情報に含まれる媒体IDに対応する入場情報が前記第2の記憶部に記憶されているかに応じてユーザの出場を許可するかどうか判定する出場許可判定部と、
前記ユーザの出場を許可する場合、前記媒体情報に基づいて出場情報を生成する生成部と、
をさらに備え、前記第3の通信制御部は、前記隣接駅改札機に前記出場情報を送信する、請求項4又は5に記載の駅務システム。
【請求項7】
前記隣接駅改札機は、前記出場情報を受信した場合、前記出場情報に含まれる媒体IDに対応する前記入場情報が第2の記憶部に記憶されているか判定する出場情報判定部をさらに備え、前記入場情報が記憶されていると判定した場合、前記出場情報判定部は、前記入場情報を破棄する、請求項6に記載の駅務システム。
【請求項8】
前記改札機は、複数の改札機であり、
前記入場情報は、前記複数の改札機のうちの1つである入口改札機をユーザが通過した入場日時をさらに含み、
前記第2の記憶部は、駅間の最短所要時間をさらに記憶し、
前記第3の通信制御部は、前記入場日時から前記最短所要時間が経過するまで前記入場情報の送信を保留し、
前記隣接駅改札機は、前記保留している間に前記出場情報を受信した場合、前記入場情報を破棄する出場情報判定部をさらに備える、請求項6又は7に記載の駅務システム。
【請求項9】
前記改札機は、複数の改札機であり、
前記入場情報は、前記複数の改札機のうちの1つである入口改札機をユーザが通過した入場日時をさらに含み、
前記第2の記憶部は、時刻表をさらに記憶し、
前記隣接駅改札機は、前記出場情報を受信したかどうかを判定し、前記出場情報を受信した場合に前記入場情報を破棄する出場情報判定部をさらに備え、
前記出場情報を受信しない場合、前記第3の通信制御部は、前記時刻表に基づいて前記入場情報を送信する、請求項6又は7に記載の駅務システム。
【請求項10】
前記第2の通信制御部は、改札機が設置された設置駅の他の改札機に前記入場情報を送信する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の駅務システム。
【請求項11】
前記第2の通信制御部は、前記改札機が設置された設置駅から見て上り方向又は下り方向の前記第1の隣接駅に前記入場情報を送信する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の駅務システム。
【請求項12】
改札機同士が接続されたネットワークを通じて、媒体から取得された媒体情報を含む入場情報を受信する第1の通信制御部と、
前記媒体情報から媒体IDを抽出し、前記媒体IDに対応する入場情報が第1の記憶部に記憶されているかどうか判定する入場情報判定部と、
前記入場情報が前記第1の記憶部に記憶されていないと判定した場合、前記ネットワークを通じて、隣接駅に設置された隣接駅改札機に前記入場情報を送信する第2の通信制御部と、
を備える、駅務機器。
【請求項13】
改札機同士が接続されたネットワークを通じて、媒体から取得された媒体情報を含む入場情報を受信することと、
前記媒体情報から媒体IDを抽出し、前記媒体IDに対応する入場情報が記憶されているかどうか判定することと、
前記入場情報が記憶されていないと判定した場合、前記ネットワークを通じて、隣接駅に設置された隣接駅改札機に前記入場情報を送信することと、
を備える、駅務方法。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の前記改札機の各部としてプロセッサを機能させる駅務プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駅務システム、駅務機器、駅務方法、及び駅務プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
公共交通機関の運賃収受方法として、金融機関等が発行した媒体である非接触ICカード(例えば、非接触クレジットカード)からの引き去りが普及している。非接触ICカードを用いた運賃収受では、以下の特徴がある。(1)交通系ICカードと異なり、非接触ICカード内に乗降情報を書き込むことができないため、乗降情報を非接触ICカードの媒体IDであるカードIDに紐付けてサーバで管理する。(2)駅務機器を通過する際に決済を行わず、サーバで運賃計算後に後追いで決済する(金融機関に請求する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーバを用いて非接触ICカードの情報を管理すると、サーバの導入費用、保守、運営費用が掛かるという問題がある。
【0005】
さらに、上記(1)に関して、乗降情報をサーバで管理する場合、サーバ故障時やネットワーク障害時にシステム全体が動作しなくなる。そのため、交通系ICカードが利用するシステムと比較して信頼性に課題がある。上記(2)に関して、非接触ICカード媒体内に残額を記憶する電子マネーカードが広く普及しているため、決済を後追いではなく駅務機器を通過する際に成立させ、電子マネーカード内の残額情報を更新する必要があるという課題がある。
【0006】
この発明の課題は、上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、サーバを用いることなく、非接触ICカードの決済をその場で成立させる技術を提供することにある。加えて、ネットワーク障害等が発生しても、駅務機器を通過する際に非接触ICカードの決済を成立させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る駅務システムは、改札機を備え、前記改札機は、改札機同士が接続されたネットワークを通じて、媒体から取得された媒体情報を含む入場情報を受信する第1の通信制御部と、前記媒体情報から媒体IDを抽出し、前記媒体IDに対応する入場情報が第1の記憶部に記憶されているかどうか判定する入場情報判定部と、前記入場情報が前記第1の記憶部に記憶されていないと判定した場合、前記ネットワークを通じて、第1の隣接駅に設置された隣接駅改札機に前記入場情報を送信する第2の通信制御部と、
を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態における駅務システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、入口改札機及び出口改札機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、入口改札機のソフトウェア構成を
図2に示したハードウェア構成に関連付けて示すブロック図である。
【
図4】
図4は、出口改札機のソフトウェア構成を
図2に示したハードウェア構成に関連付けて示すブロック図である。
【
図5】
図5は、ユーザが非接触ICカードを入口改札機に翳した場合の入口改札機の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、入場情報に含まれる情報の一例を示した図である。
【
図7】
図7は、改札機が入場情報を受信した場合の、改札機の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、変形例2に従って入場情報を送信する方法の一例を示した図である。
【
図9】
図9は、ユーザが出口改札機に非接触ICカードを翳した場合の出口改札機の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、出場情報に含まれる情報の一例を示した図である。
【
図11】
図11は、改札機が出場情報を受信した場合の、改札機の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら駅務機器及び駅務プログラムについて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
【0010】
[実施形態]
(構成)
図1は、本発明の実施形態における駅務システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
駅務システムは、決済サーバ1と、A駅に配置された第1の入口改札機2A及び第1の出口改札機3Aと、B駅に配置された第2の入口改札機2B及び第2の出口改札機3Bと、C駅に設置された第3の入口改札機2C及び第3の出口改札機3Cと、非接触ICカード4とを備える。
【0012】
第1の入口改札機2A、第1の出口改札機3A、第2の入口改札機2B、第2の出口改札機3B、第3の入口改札機2C、及び第3の出口改札機3Cは、ネットワーク5を介して決済サーバ1と接続される。
【0013】
また、第1の入口改札機2A、第1の出口改札機3A、第2の入口改札機2B、第2の出口改札機3B、第3の入口改札機2C、及び第3の出口改札機3Cは、メッシュネットワーク6を通じて互いに接続される。すなわち、メッシュネットワーク6は、改札機同士が接続されたネットワークである。
【0014】
ここで、駅務機器である、第1の入口改札機2A、第2の入口改札機2B、及び第3の入口改札機2Cは、特に区別する必要がない場合、単に入口改札機2と記載する。駅務機器である、第1の出口改札機3A、第2の出口改札機3B、及び第3の出口改札機3Cも同様に、特に区別する必要がない場合、単に出口改札機3と記載する。また、入口改札機2及び出口改札機3を区別する必要がない場合、単に改札機と記載する。
【0015】
決済サーバ1は、非接触ICカード4を発行した金融機関等に設置され、運賃等の決済情報を出口改札機3から収集する。非接触ICカード4のユーザ(旅客)は、乗車後、当該決済サーバ1に問合せることで運賃等の料金を後から知ることができる。
【0016】
入口改札機2及び出口改札機3は、ユーザが鉄道を利用しようとする各駅に配置され、駅構内への入出場を制御する。入口改札機2及び出口改札機3は、それぞれ別個の装置であっても良いし、同一の装置であっても良い。例えば、入口改札機2は、非接触ICカード4から媒体情報を取得し、入場の可否を判定する。同様に出口改札機3は、非接触ICカード4から媒体情報を取得し、取得した媒体情報及び出口改札機3に記憶された情報から出場の可否を判定する。また、出口改札機3は、媒体情報及び出口改札機3に記憶された情報から運賃を計算し、当該非接触ICカード4から運賃を引き去ることで決済を行う。なお、媒体情報の詳細は、後述する。
【0017】
非接触ICカード4は、例えば、金融機関等が発行したICカードであり、交通機関が発行したICカードとは異なるカードである。
【0018】
図2は、入口改札機2及び出口改札機3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
入口改札機2は、PC(Personal Computer)などのコンピュータによって実現される。入口改札機2は、制御部21、記憶部22、入出力インタフェース23、通信インタフェース24、ドア25、入力部26、及び出力部27を備える。制御部21、記憶部22、入出力インタフェース23、通信インタフェース24及びドア25は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。また、入出力インタフェース23は、入力部26及び出力部27と互いに通信可能に接続されている。
【0020】
制御部21は、入口改札機2を制御する。制御部21は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサを備える。
【0021】
記憶部22は、記憶媒体である。記憶部22は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の随時書込み及び読出し可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとを組み合わせて構成される。記憶部22は、記憶領域に、プログラム記憶領域と、データ記憶領域とを備える。プログラム記憶領域は、OS(Operating System)やミドルウェアに加えて、各種処理を実行するために必要なアプリケーションプログラムを格納する。また、記憶部22は、入場情報及びネガティブリスト等の各種情報を記憶しても良い。ここで、入場情報の詳細は、後述する。また、ネガティブリストは、例えば、紛失届が提出された非接触ICカード4のカードID等を含むリストである。
【0022】
入出力インタフェース23は、入力部26及び出力部27との間で情報の送受信を可能にするインタフェースである。
【0023】
通信インタフェース24は、1つ以上の有線又は無線の通信モジュールを含む。例えば、通信インタフェース24は、LAN又はインターネット等を含むネットワーク5を介して決済サーバ1と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。さらに、通信インタフェース24は、LAN又はWi-Fi等を含むメッシュネットワーク6を介して各駅の入口改札機2及び出口改札機3と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。なお、通信インタフェース24は、制御部21の制御の下、決済サーバ1又は入口改札機2及び出口改札機3との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。
【0024】
ドア25は、制御部21の制御に従って開閉し、ユーザの入場を制御する。例えば、ユーザを一旦停止させる場合又はユーザの通行を不可とする場合、ドア25が閉じて旅客の通行を阻止する。一方、ユーザの入場を許可する場合、ドア25が開放されて旅客の入場を許可する。
【0025】
入力部26は、例えば、非接触ICカード4から各種情報を読み取り可能なICカードリーダを含む。ICカードリーダに非接触ICカード4が翳されると、ICカードリーダは、一般的なNFC(Near Field Communication)技術を用いて非接触ICカード4と通信を確立し、各種情報を送受信することが可能である。入力部26は、磁気券投入部、QRコード(登録商標)リーダ等のデバイスを含んでも良い。また、入力部26は、例えば、記憶部22に格納するべきデータを、USBメモリ等のメモリ媒体から読み出すためのリーダや、そのようなデータをディスク媒体から読み出すためのディスク装置を含み得る。
【0026】
出力部27は、例えば液晶、有機EL等を使用した表示デバイスを含む。表示デバイスは、入出力インタフェース23から入力された信号に応じた画像及びメッセージを表示する。さらに出力部27は、磁気券排出部等のデバイスを含んでも良い。また、出力部27は、PCやスマートフォン等の他の情報処理装置に入力するべきデータを、USBメモリ等のメモリ媒体に書き込むためのライタや、そのようなデータをディスク媒体に書き込むためのディスク装置を含み得る。
【0027】
出口改札機3は、PCなどのコンピュータによって実現される。出口改札機3は、制御部31、記憶部32、入出力インタフェース33、通信インタフェース34、ドア35、入力部36、及び出力部37を備える。制御部31、記憶部32、入出力インタフェース33、通信インタフェース34及びドア35は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。また、入出力インタフェース33は、入力部36及び出力部37と互いに通信可能に接続されている。
【0028】
制御部31は、出口改札機3を制御する。制御部31は、中央処理ユニット(CPU)などのハードウェアプロセッサを備える。
【0029】
記憶部32は、記憶媒体である。記憶部32は、例えばHDD又はSSD等の随時書込み及び読出し可能な不揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリとを組み合わせて構成される。記憶部32は、記憶領域に、プログラム記憶領域と、データ記憶領域とを備える。プログラム記憶領域は、OSやミドルウェアに加えて、各種処理を実行するために必要なアプリケーションプログラムを格納する。また、記憶部32は、入場情報及びネガティブリスト等の各種情報を記憶しても良い。
【0030】
入出力インタフェース33は、入力部36及び出力部37との間で情報の送受信を可能にするインタフェースである。
【0031】
通信インタフェース34は、1つ以上の有線又は無線の通信モジュールを含む。例えば、通信インタフェース34は、LAN又はインターネット等を含むネットワーク5を介して決済サーバ1と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。さらに、通信インタフェース34は、LAN又はWi-Fi等を含むメッシュネットワーク6を介して各駅の入口改札機2及び出口改札機3と有線又は無線接続する通信モジュールを含む。なお、通信インタフェース34は、制御部31の制御の下、決済サーバ1又は入口改札機2及び出口改札機3との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。
【0032】
ドア35は、制御部31の制御に従って開閉し、ユーザの出場を制御する。例えば、ユーザを一旦停止させる場合又はユーザの通行を不可とする場合、ドア35が閉じて旅客の通行を阻止する。一方、ユーザの出場を許可する場合、ドア35が開放されて旅客の出場を許可する。
【0033】
入力部36は、例えば、非接触ICカード4から各種情報を読み取り可能なICカードリーダを含む。ICカードリーダに非接触ICカード4が翳されると、ICカードリーダは、一般的なNFC技術を用いて非接触ICカード4と通信を確立し、各種情報を送受信することが可能である。入力部36は、磁気券投入部、QRコードリーダ等の乗車券に記憶された乗車券情報を読み取るデバイスを含んでも良い。また、入力部36は、例えば、記憶部32に格納するべきデータを、USBメモリ等のメモリ媒体から読み出すためのリーダや、そのようなデータをディスク媒体から読み出すためのディスク装置を含み得る。
【0034】
出力部37は、例えば液晶、有機EL等を使用した表示デバイスを含む。表示デバイスは、入出力インタフェース33から入力された信号に応じた画像及びメッセージを表示する。さらに、出力部37は、磁気券排出部等のデバイスを含んでも良い。また、出力部37は、PCやスマートフォン等の他の情報処理装置に入力するべきデータを、USBメモリ等のメモリ媒体に書き込むためのライタや、そのようなデータをディスク媒体に書き込むためのディスク装置を含み得る。
【0035】
図3は、入口改札機2のソフトウェア構成を
図2に示したハードウェア構成に関連付けて示すブロック図である。
【0036】
入口改札機2の制御部21は、媒体情報取得部211、入場許可判定部212、入場情報生成部213、通信制御部214、及び入場情報判定部215、及び出場情報判定部216を備える。
【0037】
媒体情報取得部211は、入力部26のICカードリーダに翳された非接触ICカード4が記憶している媒体情報を取得する。媒体情報は、例えば、媒体である非接触ICカード4のカード番号、カードID(媒体ID)、及び非接触ICカード4が有効又は無効であるかを示す有効情報等を含む。さらに、媒体情報取得部211は、媒体情報を取得した日時を示す日時情報を取得する。そして、媒体情報取得部211は、取得した媒体情報及び日時情報を含む取得情報を入場許可判定部212に出力する。
【0038】
入場許可判定部212は、取得情報に含まれる非接触ICカード4のカードIDを抽出し、抽出したカードIDに関連付けられた入場情報が記憶部22に記憶されているか判定する。当該非接触ICカード4のカードIDに関連付けられた入場情報が記憶部22に記憶されている場合、入場許可判定部212は、ドア25にドア閉鎖指示を出力する。ここで、ドア閉鎖指示は、ドア25を閉じ、ユーザの入場を阻止する指示である。また、入場許可判定部212は、出力部27にユーザが入場できないことを示す情報を出力する。当該情報を受信した出力部27は、表示デバイスに入場が許可できない旨の情報を表示して良い。一方、入場情報が記憶部22に記憶されていない場合、入場許可判定部212は、ドア25及び出力部27に許可指示を出力する。許可指示は、ドア25を開ける指示である。また、許可指示を受信した出力部27は、表示デバイスに入場が許可された旨の情報を表示して良い。そして、入場許可判定部212は、取得情報を入場情報生成部213に出力する。
【0039】
入場情報生成部213は、取得部に含まれる非接触ICカード4のカードIDに日時情報及び記憶部22に記憶される入場駅を関連付けた入場情報を生成する。そして、入場情報生成部213は、通信制御部214に入場情報を出力する。或いは、入場情報生成部213は、記憶部22に入場情報を記憶させても良い。
【0040】
通信制御部214は、改札機同士が接続されたメッシュネットワーク6を通じて、入場情報を入口改札機2が設置された駅と隣接する隣接駅改札機に送信する。また、通信制御部214は、駅に設置された他の改札機(入口改札機2及び出口改札機3)に入場情報を送信しても良い。また、通信制御部214は、通信インタフェース24を通じて、他の改札機から送信された入場情報又は出場情報を受信する。ここで、出場情報の詳細は、後述する。通信制御部214は、受信した入場情報を入場情報判定部215に出力する、或いは、受信した出場方法を出場情報判定部216に出力する。
【0041】
入場情報判定部215は、受信した入場情報に含まれる媒体情報に含まれるカードIDを抽出し、当該カードIDに対応する入場情報が記憶部22に記憶されているかどうか判定する。そして、入場情報が記憶されていないと判定した場合、入場情報判定部215は、入場情報を記憶部22に記憶させ、入場情報を他の隣接駅改札機に転送するため通信制御部214に出力する。
【0042】
出場情報判定部216は、出場情報に含まれる媒体情報に含まれるカードIDを抽出し、当該カードIDに対応する入場情報が記憶部22に記憶されているかどうか判定する。そして、入場情報が記憶されていると判定した場合、出場情報判定部216は、入場情報を記憶部22から削除させる。なお、当該カードIDに対応する入場情報が記憶されていないと判定した場合、出場情報判定部216は、受信した出場情報を破棄する。
【0043】
図4は、出口改札機3のソフトウェア構成を
図2に示したハードウェア構成に関連付けて示すブロック図である。
【0044】
出口改札機3の制御部31は、通信制御部311、入場情報判定部312、出場情報判定部313、媒体情報取得部314、出場許可判定部315、及び出場情報生成部316を備える。
【0045】
通信制御部311は、通信インタフェース34を通じて、入場情報を受信する。通信制御部311は、受信した入場情報を入場情報判定部312に出力する。また、通信制御部311は、出場情報生成部316から出場情報を受信する。通信制御部311は、出場情報を出場情報判定部313に出力する。
【0046】
さらに通信制御部311は、通信インタフェース34を通じて、後述する利用明細を決済サーバ1に送信する。なお、利用明細は、後述する。また、通信制御部311は、メッシュネットワーク6を通じて、入場情報又は出場情報を隣接駅改札機に送信する。
【0047】
入場情報判定部312は、受信した入場情報に含まれる媒体情報に含まれるカードIDを抽出し、当該カードIDに対応する入場情報が記憶部32に記憶されているかどうか判定する。そして、入場情報が記憶されていないと判定した場合、入場情報判定部312は、入場情報を記憶部32に記憶させ、入場情報を他の隣接駅改札機に転送するため通信制御部214に出力する。
【0048】
出場情報判定部313は、出場情報に含まれる媒体情報に含まれるカードIDを抽出し、当該カードIDに対応する入場情報が記憶部32に記憶されているかどうか判定する。そして、入場情報が記憶されていると判定した場合、出場情報判定部313は、入場情報を記憶部32から削除させる。なお、当該カードIDに対応する入場情報が記憶されていないと判定した場合、出場情報判定部313は、受信した出場情報を破棄する。
【0049】
媒体情報取得部314は、入力部36のICカードリーダに翳された非接触ICカード4が記憶している媒体情報を取得する。さらに、媒体情報取得部314は、媒体情報を取得した日時を示す日時情報を取得する。そして、媒体情報取得部314は、取得した媒体情報及び日時情報を含む取得情報を出場許可判定部315に出力する。
【0050】
出場許可判定部315は、取得情報に含まれる媒体情報から非接触ICカード4のカードIDを抽出する。当該カードIDに対応する入場情報が記憶部32に記憶されていれば、ユーザが出場可能であると判定する。また、出場許可判定部315は、入場情報に含まれる日時情報が当日(又は運用日付)であること等を判定条件に加えても良い。ここで、運用日付は、終電が日を跨ぐ、すなわち0時を過ぎても走っている場合があるため、例えば、午前3時等、終電の営業が終了した後に日付が切り替わるものである。そして、出場許可判定部315は、入場情報に記憶された入場駅及び出口改札機3が設置された駅との間の運賃を算出し、非接触ICカード4から運賃を引き去る。さらに出場許可判定部315は、ドア35にドア開放指示を出力する。ドア開放指示は、ドア35を開けてユーザを出場可能とする指示である。出場許可判定部315は、運賃及び取得情報を含む情報を出場情報生成部316に出力する。
【0051】
一方、記憶部32に当該カードIDに対応する入場情報が含まれていない場合、出場許可判定部315は、ユーザが出場できないと判定する。そこで、出場許可判定部315は、ドア35にドア閉鎖指示を出力する。ここで、ドア閉鎖指示は、ドア35を閉じ、ユーザの出場を阻止する指示である。さらに出場許可判定部315は、出力部37の表示デバイスにユーザが通行できない旨の情報を表示させる表示情報を出力して良い。
【0052】
出場情報生成部316は、取得情報に基づいて出場情報を生成する。出場情報は、例えば、カードID、出場駅、及び出場時刻等を含む。さらに出場情報生成部316は、運賃、カードID等を含む利用明細を生成する。そして、出場情報生成部316は、利用明細及び出場情報を通信制御部311に出力する。
【0053】
(動作)
(入場情報を送信する方法)
最初に、入場情報を各駅の改札機に送信する方法の動作について説明する。
【0054】
図5は、ユーザが非接触ICカード4を入口改札機2に翳した場合の入口改札機2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0055】
入口改札機2の制御部21が記憶部22に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0056】
このフローチャートは、ユーザが入力部26のICカードリーダに非接触ICカード4を翳した場合に開始する。
【0057】
媒体情報取得部211は、非接触ICカード4のカード番号及びカードID等を含む媒体情報を取得する(ステップST11)。媒体情報取得部211は、媒体情報を取得した日時、すなわちユーザが駅構内に入場した日時を示す入場日時を取得する。そして、媒体情報取得部211は、媒体情報及び入場日時を含む取得情報を入場許可判定部212に出力する。
【0058】
入場許可判定部212は、入場情報が記憶部22に記憶されているか判定する(ステップST12)。入場許可判定部212は、取得情報の媒体情報に含まれるカードIDを抽出し、記憶部22に当該カードIDに対応する入場情報が記憶部22に含まれているか判定する。入場情報が記憶部22に記憶されていない場合、入場許可判定部212は、入場情報が記憶されていないと判定する。そして、入場許可判定部212は、入場情報生成部213に取得情報を出力する。
【0059】
ここで、入場許可判定部212は、入場情報が記憶部22に記憶されているか判定すると共に、有効情報が有効であるかどうかを判定しても良い。例えば、入場情報が記憶部22に記憶されておらず、且つ媒体情報に含まれる有効情報が有効であると判定した場合、処理は、ステップST14に進んでも良い。一方、入場情報が記憶部22に記憶されている、又は有効情報が無効であると判定した場合、処理は、ステップST13に進んでも良い。さらに、入場許可判定部212は、媒体情報に含まれる有効情報を判定する以外に、媒体情報のカードIDを記憶部22に記憶されたネガティブリストを参照し、無効なカードIDであるかどうかも判定して良い。そして、無効なカードIDであると判定した場合、処理はステップST13に進み、有効なカードIDであると判定した場合、処理は、ステップST14に進んでも良い。
【0060】
一方、入場情報が記憶部22に記憶されている場合、入場許可判定部212は、ドア25にドア閉鎖指示を出力する(ステップST13)。入場情報が記憶部22に記憶されている場合、出口改札機3で非接触ICカード4のカードIDを読み取っていない等の不正な通行があった可能性がある。そのため、入場許可判定部212は、ユーザの通行を許可できないと判定することになる。そこで、入場許可判定部212は、ユーザの通行を阻止するドア閉鎖指示をドア25に出力する。ドア閉鎖指示は、ドア25を閉じ、ユーザの入場を阻止する指示である。また、入場許可判定部212は、出力部27にユーザが入場できないことを示す情報を出力する。当該情報を受信した出力部27は、表示デバイスに入場が許可できない旨の情報を表示して良い。この場合、ユーザは、駅員等による対応を受けることになる。
【0061】
一方、記憶部22に入場情報が記憶されていない場合、入場許可判定部212は、ドア25にドア開放指示を出力する(ステップST14)。ここで、ドア開放指示は、ドア25を開けてユーザを出場可能とする指示である。さらに、入口改札機2で所定の運賃を引き去る場合、入場許可判定部212は、非接触ICカード4から所定の運賃を引き去っても良い。
【0062】
入場情報生成部213は、取得情報に基づいて入場情報を生成する(ステップST15)。入場情報生成部213は、記憶部22に記憶された入口改札機2が設置された設置駅、すなわち、ユーザが入場した駅についての情報を取得する。そして、入場情報生成部213は、入場情報を生成する。そして、入場情報生成部213は、入場情報を通信制御部214に出力する。
【0063】
図6は、入場情報に含まれる情報の一例を示した図である。
図6に示すように入場情報は、非接触ICカード4のカードID、入場駅、入場日時を含む。また、入場情報は、上記以外の情報を含んでも良いのは勿論である。
【0064】
通信制御部214は、通信インタフェース24を通じて入場情報を入口改札機2が設置された駅と隣接する駅の改札機に送信する(ステップST16)。すなわち、通信制御部214は、隣接駅改札機に入場情報を送信する。また、通信制御部214は、非接触ICカード4が翳された入口改札機2と同じ駅に設置された入口改札機2及び出口改札機3に入場情報を送信しても良い。
【0065】
図7は、改札機が入場情報を受信した場合の、改札機の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0066】
改札機である入口改札機2及び出口改札機3の制御部21及び制御部31のそれぞれが記憶部22及び記憶部32に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。なお、
図7では、簡単化のため、出口改札機3での処理を説明するが、入口改札機2でも同じ処理が行われているのは勿論である。
【0067】
通信制御部311は、入場情報を受信する(ステップST21)。通信制御部311は、受信した入場情報を入場情報判定部312に出力する。
【0068】
入場情報判定部312は、入場情報が記憶部32に記憶されているかどうか判定する(ステップST22)。入場情報判定部312は、入場情報の媒体情報に含まれる非接触ICカード4のカードIDを取得する。そして、取得したカードIDに対応する入場情報が記憶部32に記憶されているかどうか判定する。
【0069】
記憶部32に入場情報が記憶されていなかった場合、入場情報判定部312は、受信した入場情報を記憶部32に記憶させる(ステップST23)。また、入場情報判定部312は、出口改札機3が設置された駅に隣接する隣接駅改札機に入場情報を転送するため、入場情報を通信制御部311に出力する。
【0070】
通信制御部311は、隣接駅改札機に入場情報を転送する(ステップST24)。ここで、入場情報を転送すべき隣接駅改札機は、入場情報を送信した隣接駅改札機が設置された駅に設置された入口改札機2及び出口改札機3を除いて良い。また、同じ駅に設置された改札機が隣接駅に再度入場情報を転送しない通知を同じ駅に設置された改札機に送信しても良い。例えば、当該通知を受信した場合、出口改札機3は、ステップST24を省略するようにして良い。このようにすることで、駅に設置された改札機のうちで最初に入場情報を受信した改札機のみが隣接駅に入場情報を転送することになり、複数回入場情報を転送しなくなる。その結果、全ての改札機が入場情報を転送する場合と比較して、データ通信量を低減することができる。
【0071】
一方、記憶部32に入場情報が記憶されていた場合、入場情報判定部312は、受信した入場情報を破棄する(ステップST25)。入場情報が既に記憶部32に記憶されていた場合、記憶部32に入場情報を再度記憶する必要はない。そこで、入場情報判定部312は、受信した入場情報を破棄する。
【0072】
この
図7を参照して説明したフローを各駅の改札機が行うことで入場情報が次々に転送され、結果として、各駅に設置された入口改札機2及び出口改札機3の全てが入場情報を所持することになる。
【0073】
(入場情報を送信する方法の変形例1)
入場情報を送信する方法の変形例1では、例えば、路面電車又は地下鉄のように、上り方面と下り方面のホームを行き来することができない鉄道もある。このような場合、上り方面の入口改札機2を通過したユーザは、上り方面の列車にしか乗れないため、下り方面の駅の入口改札機2及び出口改札機3に入場情報を送信する必要がない。このような場合、例えば、上り方面の入口改札機2の通信制御部214は、入口改札機2が設置された駅から見て上り方面の隣接駅に設置された入口改札機2及び出口改札機3にのみ入場情報を送信する。このように送信することで、下り方面の駅に設置された入口改札機2及び出口改札機3に入場情報を送信しなくなり、データ量を削減することができる。
【0074】
(入場情報を送信する方法の変形例2)
入場情報を送信する方法の変形例2では、
図5のステップST16で入場情報を送信する隣接駅を駅から出発する鉄道の種類に応じて変更する。
【0075】
図8は、変形例2に従って入場情報を送信する方法の一例を示した図である。
図8に示すように、例えば、A駅から特急、快速、普通の列車が発車する場合、設置駅から出発する列車が次に停車する駅を隣接駅として扱っても良い。例えば、A駅に設置された入口改札機2の通信制御部214は、B駅、C駅及びE駅を隣接駅として入場情報を送信する。また、
図8に示したように列車が運行する場合、
図7のステップST22で説明した改札機の処理を、「入場情報が記録されておらず、且つ入場情報を転送すべき隣接駅に自駅では停車しない列車(例えば、特急又は快速)が停車しない」場合にステップST23に進むように変更する。これは、隣接駅が特急又は快速が停車する駅であった場合、既に入場情報を転送されており、入場情報を転送する必要がないからである。このようにすることで、入場情報をまとめて送信する駅を増加させることにより、データ量を低減することができる。
【0076】
(出場情報を送信する方法)
次に、出場情報を各駅の改札機に送信する方法について説明する。
【0077】
図9は、ユーザが出口改札機3に非接触ICカード4を翳した場合の出口改札機3の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0078】
出口改札機3の制御部21が記憶部22に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0079】
このフローチャートは、ユーザが入力部36のICカードリーダに非接触ICカード4を翳した場合に開始する。
【0080】
媒体情報取得部314は、入力部36のICカードリーダに翳された非接触ICカード4の媒体情報を取得する(ステップST31)。さらに、媒体情報取得部314は、媒体情報を取得した日時、すなわちユーザが駅構内から出場した日時を示す出場日時を取得する。そして、媒体情報取得部314は、取得した媒体情報及び出場情報を含む取得情報を出場許可判定部315に出力する。
【0081】
出場許可判定部315は、ユーザが出場可能かどうか判定する(ステップST32)。出場許可判定部315は、取得情報に含まれる媒体情報から非接触ICカード4のカードIDを抽出する。そして、出場許可判定部315は、抽出したカードIDに関連付けられた入場情報が記憶部32に記憶されているかどうか判定する。なお、入場情報が記憶部32に記憶されている場合にさらに、出場許可判定部315は、日時情報が当日又は運用日付内であるかどうかを判定しても良い。日時情報が当日又は運用日付内であると判定した場合、処理は、ステップST34に進む一方、日時情報が当日又は運用日付外であると判定した場合、処理は、ステップST33に進む。また、ユーザが入場から出場までの間に無効になっている可能性を考慮するため、入場許可判定部212で判定したのと同様に、出場許可判定部315は、有効情報が有効であるか又はカードIDがネガティブリストに含まれているかどうかを判定しても良い。
【0082】
当該カードIDに対応する入場情報が記憶部32に記憶されていない場合、出場許可判定部315は、ドア35にドア閉鎖指示を出力する(ステップST33)。入場情報が記憶部32に記憶されていない場合、ユーザが正規の方法で改札機を通過していない可能性がある。そのため、ユーザの通行を阻止するため、出場許可判定部315は、ドア35にドア閉鎖指示を出力する。ここで、ドア閉鎖指示は、ドア35を閉じ、ユーザの出場を阻止する指示である。さらに出場許可判定部315は、出力部37の表示デバイスにユーザが通行できない旨の情報を表示させる表示情報を出力して良い。この場合、ユーザは、駅員等による対応を受けることになる。
【0083】
一方、記憶部32にカードIDに対応する入場情報が記憶されている場合、出場許可判定部315は、ドア35にドア開放指示を出力する(ステップST34)。ここでドア開放指示は、ドア35を開けてユーザを出場可能とする指示である。さらに、出場許可判定部315は、入場情報に記憶された入場駅及び出口改札機3が設置された駅との間の運賃を算出し、非接触ICカード4から運賃を引き去る。そして、出場許可判定部315は、運賃及び取得情報を出場情報生成部316に出力する。
【0084】
出場情報生成部316は、出場情報及び利用明細を生成する(ステップST35)。出場情報生成部316は、取得情報に基づいて出場情報を生成する。さらに出場情報生成部316は、非接触ICカード4から引き去った運賃、非接触ICカード4のカード番号、及びカードID等を含む利用明細を生成する。そして、出場情報生成部316は、出場情報及び利用明細を通信制御部311に出力する。
【0085】
図10は、出場情報に含まれる情報の一例を示した図である。
図10に示すように出場情報は、非接触ICカード4のカードID、出場駅、出場日時を含む。また、出場情報は、上記以外の情報を含んでも良いのは勿論である。
【0086】
通信制御部311は、出場情報及び利用明細を送信する(ステップST36)。通信制御部311は、通信インタフェース24を通じて、出場情報を出口改札機3と同じ駅及び当該駅に隣接する駅の改札機に送信する。さらに、通信制御部311は、利用明細を決済サーバ1に送信する。利用明細を受信した決済サーバ1は、利用明細に基づいて、最終的な非接触ICカード4の決済処理を行って良い。
【0087】
図11は、改札機が出場情報を受信した場合の、改札機の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0088】
改札機である入口改札機2及び出口改札機3の制御部21及び制御部31のそれぞれが記憶部22及び記憶部32に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。なお、
図11では、簡単化のため、入口改札機2での処理を説明するが、出口改札機3でも同じ処理が行われているのは勿論である。
【0089】
通信制御部214は、出場情報を受信する(ステップST41)。通信制御部214は、受信した出場情報を出場情報判定部216に出力する。
【0090】
出場情報判定部216は、出場情報に対応する入場情報が記憶部22に記憶されているかどうか判定する(ステップST42)。出場情報判定部216は、出場情報の媒体情報に含まれる非接触ICカード4のカードIDを取得する。そして、取得したカードIDに対応する入場情報が記憶部22に記憶されているかどうか判定する。
【0091】
記憶部22に入場情報が記憶されていた場合、通信制御部214は、入口改札機2が設置された駅に隣接する駅の隣接駅改札機に出場情報を転送する(ステップST43)。記憶部22に入場情報が記憶されていた場合、当該入場情報を削除する必要がある。また、隣接駅改札機にも入場情報が記憶されている可能性があるため、隣接駅改札機に出場情報を転送する必要がある。そこで、出場情報判定部216は、出場情報を通信制御部214に出力する。そして、通信制御部214は、出場情報を隣接する駅の改札機に転送する。また、同じ駅に設置された改札機が隣接駅に再度出場情報を転送しない通知を同じ駅に設置された改札機に送信しても良い。例えば、当該通知を受信した場合、入口改札機2は、ステップST43を省略するようにして良い。このようにすることで、駅に設置された改札機のうちで最初に出場情報を受信した改札機のみが隣接駅改札機に出場情報を転送することになり、複数回出場情報を転送しなくなる。その結果、全ての改札機が出場情報を転送する場合と比較して、データ通信量を低減することができる。
【0092】
出場情報判定部216は、記憶部22に記憶された入場情報及び受信した出場情報を破棄させる(ステップST44)。出場情報を受信した場合、他の駅でユーザが下りたことを示しているため、改札機が記憶しておく必要がなくなる。そこで、出場情報判定部216は、記憶部22に記憶された入場情報を破棄させる。また、出場情報判定部216は、受信した出場情報も不要なため、同じく破棄する。
【0093】
一方、記憶部22に入場情報が記憶されてなかった場合、出場情報判定部216は、出場情報を破棄する(ステップST45)。記憶部22に入場情報が記憶されていなかった場合、既に入場情報が破棄されたことを示す。そのため、出場情報判定部216は、単に受信した出場情報を破棄する。
【0094】
この
図11を参照して説明したフローを各駅の改札機が行うことで出場情報が各駅に設置された改札機に転送され、出場情報に対応する入場情報が破棄される。結果として、各駅に設置された改札機が入場情報を破棄することになる。
【0095】
また、入場情報を送信する方法の変形例1及び2は、出場情報を送信する方法としても適用可能である。
【0096】
(入場情報及び出場情報を送信する方法の変形例1)
以上で説明した入場情報及び出場情報を送信する方法は、それぞれの情報を受信する度に即時実行されても良い。一方、所定の時間毎に入場情報及び出場情報を送信しても良い。例えば、決められた改札機が所定の時間に受信した入場情報又は出場情報を一度に隣接する駅の改札機に送信するようにしても良い。この場合、例えば、データを圧縮して隣接する駅の改札機に送信する等が可能となり、都度入場情報又は出場情報を送信するより送受信するデータ量を低減することができる。
【0097】
(入場情報及び出場情報を送信する方法の変形例2)
入場情報を転送する際、隣接駅までの最短所要時間を考慮しても良い。例えば、入口改札機2及び出口改札機3の記憶部22及び記憶部32が各駅間の最短所要時間を記憶しておく。そして、入場情報判定部215又は入場情報判定部312は、入場情報に記憶された入場駅及び入場時刻を参照して入口改札機2及び出口改札機3が設置された駅までの最短所要時間を算出する。そして、入場日時からこの最短所要時間まで入場情報の送信を保留しておく。例えば、ユーザがA駅で入場した時刻が14時50分であり、A駅からD駅までの最短所要時間が10分である場合、D駅に設置された出口改札機3の入場情報判定部312は、記憶部32に記憶された情報からA駅からD駅までの最短所要時間が10分であると判定する。この場合、通信制御部311は、15時まで入場情報を隣接駅に送信するのを保留する。この保留している間に出場情報を受信した場合、出場情報判定部216は、保留していた入場情報を破棄することになる。つまり、ユーザがD駅に到達するまでにあった駅で出口改札機3を通過しており、D駅の出口改札機3は、隣接駅の改札機に入場情報を送信する必要がなくなる。結果として、入場情報を受信すると直ぐに隣接駅に入場情報を転送する場合と比較して、送信するデータ量を低減することができる。なお、
図11で説明した出場情報の転送は、改札機が出場情報を受信すると直ぐに隣接駅の改札機に出場情報を転送するものとする。
【0098】
(入場情報及び出場情報を送信する方法の変形例3)
入場情報を送信する際、時刻表を考慮しても良い。例えば、入口改札機2及び出口改札機3の記憶部22及び記憶部32に時刻表を記憶させておく。
【0099】
そして、入場情報判定部215又は入場情報判定部312は、時刻表に基づいて入場情報を送信してよい。例えば、入場情報判定部215又は入場情報判定部312は、時刻表の列車の出発時刻又は到着時刻に合わせて入場情報を送信しても良い。例えば、ユーザは、列車の移動と共に移動するため、列車の時刻表の出発時刻までの入場情報を保持しておき、保持した入場情報を列車の出発時刻又は到着時刻に合わせて隣接駅の改札機に送信又は転送して良い。こうすることで、途中で下車したユーザの入場情報をそれより先の駅に設置された改札機に転送する必要がなくなる。そのため、全ての駅の改札機に入場情報を転送する場合と比較して転送するデータ量が削減できる。
【0100】
(実施形態の作用効果)
以上説明した実施形態によれば、改札機である入口改札機2及び出口改札機3が入場情報を管理することにより、中央サーバを設置する必要がなくなる。また、各改札機が入場情報を記憶していることにより、その場で決済を成立させることが可能となる。さらに、いずれかの駅等でネットワーク障害が発生したとしても、その駅とは異なる駅に設置された改札機から入場情報又は出場情報が送信されてくることも可能となる。そのためネットワーク障害が発生しても、出口改札機3をユーザが通過する際に非接触ICカード4の決済を成立させることが可能となる。
【0101】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、各変形例は、組み合わせることが可能である。例えば、入場情報を送信する方法の変形例1及び変形例2を組み合わせても実行可能である。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1…決済サーバ
2…入口改札機
21…制御部
211…媒体情報取得部
212…入場許可判定部
213…入場情報生成部
214…通信制御部
215…入場情報判定部
216…出場情報判定部
22…記憶部
23…入出力インタフェース
24…通信インタフェース
25…ドア
26…入力部
27…出力部
3…出口改札機
31…制御部
311…通信制御部
312…入場情報判定部
313…出場情報判定部
314…媒体情報取得部
315…出場許可判定部
316…出場情報生成部
32…記憶部
33…入出力インタフェース
34…通信インタフェース
35…ドア
36…入力部
37…出力部
4…非接触ICカード
5…ネットワーク
6…メッシュネットワーク