(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045634
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】環状オリゴ糖の製造方法、環状オリゴ糖および包接剤
(51)【国際特許分類】
C08B 30/00 20060101AFI20230327BHJP
C08B 30/18 20060101ALI20230327BHJP
C08B 37/16 20060101ALI20230327BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230327BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20230327BHJP
【FI】
C08B30/00
C08B30/18
C08B37/16
A61K45/00
A61K47/69
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154167
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(71)【出願人】
【識別番号】000145611
【氏名又は名称】株式会社コガネイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】野上 敏材
(72)【発明者】
【氏名】濱多 智昭
(72)【発明者】
【氏名】真島 和弘
(72)【発明者】
【氏名】川野 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】村本 泰彦
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C090
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC41
4C076CC47
4C076EE39
4C076FF63
4C076FF68
4C084AA17
4C084NA03
4C084NA05
4C084NA13
4C090AA05
4C090BA45
4C090BB17
4C090BB36
4C090BC30
4C090CA50
4C090DA23
4C090DA27
(57)【要約】
【課題】 効率的に環状オリゴ糖を合成することができる環状オリゴ糖の製造方法を提供することを目的とする。また、製造方法を通じて得られる新規な環状オリゴ糖を提供することを目的とする。
【解決手段】5~10個のα-グルコサミンまたはその誘導体が1,4-結合により、直列に結合した直鎖状オリゴ糖を、液相電解反応させることを含む、環状オリゴ糖の製造方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5~10個のα-グルコサミンまたはその誘導体が1,4-結合により、直列に結合した直鎖状オリゴ糖を、液相電解反応させることを含む、環状オリゴ糖の製造方法。
【請求項2】
前記直鎖状のオリゴ糖が、下記式(1)で表される、請求項1に記載の環状オリゴ糖の製造方法。
式(1)
【化1】
(式(1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21およびR
22は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、R
3は、それぞれ独立に、式量が300以下の保護基であり、R
4は、置換基であり、Xは硫黄原子、セレン原子、または、テルル原子であり、n1は3~8の整数である。同じ環に結合しているR
22とR
3は互いに結合して環を形成していてもよい。)
【請求項3】
前記直鎖状のオリゴ糖が、下記式(1-1)で表される、請求項1に記載の環状オリゴ糖の製造方法。
式(1-1)
【化2】
(式(1-1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、R
4は、置換基であり、Xは硫黄原子、セレン原子、または、テルル原子であり、n1は3~8の整数である。)
【請求項4】
式(2)で表される環状オリゴ糖。
式(2)
【化3】
(式(2)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21およびR
22は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、R
31は、そR
3-O-基であり、保護基R
3はそれぞれ独立に、式量が300以下の保護基であり、n2は0~5の整数である。同じ環に結合しているR
22とR
31は互いに結合して環を形成していてもよい。)
【請求項5】
式(2-1)で表される環状オリゴ糖。
式(2-1)
【化4】
(式(2-1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、n2は0~5の整数である。)
【請求項6】
式(3)で表される環状オリゴ糖。
式(3)
【化5】
(式(3)において、n2は0~5の整数を表し、Acはアセチル基を表す。)
【請求項7】
式(4)で表される環状オリゴ糖。
式(4)
【化6】
(式(4)において、n2は0~5の整数を表す。)
【請求項8】
請求項7に記載の化合物を含む包接剤。
【請求項9】
下記式(2-1)で表される環状オリゴ糖について、塩基によりそのオキサゾリジノン環を開環させ、得られた糖を、無水酢酸と反応させて、開環させた部位をアセチル化し、さらに、K
2CO
3と反応させ、3位のアセチルオキシ基をヒドロキシル基に戻した糖を得、これを酸と反応させR
1の基を水素原子にし、6位の置換基をヒドロキシル基とした式(3)の糖を得る環状オリゴ糖の製造方法。
式(2-1)
【化7】
(式(2-1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、n2は0~5の整数である。)
式(3)
【化8】
(式(3)において、n2は0~5の整数を表し、Acはアセチル基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状オリゴ糖の製造方法および新規な環状オリゴ糖に関する。また、前記オリゴ糖を用いた包接剤に関する。
【背景技術】
【0002】
環状オリゴ糖は、複数の単糖からなるオリゴ糖が環化した分子を指す。これらの分子は、分子内に疎水性の空洞を持ち、その空洞に有機分子やイオンを内包できることが知られている。代表的な環状オリゴ糖としては、シクロデキストリン(非特許文献1)があげられる(式11)。加えて、化学的合成法によって合成された、シクロアワオドリン(非特許文献2)などの環状オリゴ糖も存在する(式12)。これら分子は、包接能を持つことから、食品、医薬品、ドラッグデリバリーシステム等への応用が期待されている。また、空洞の大きさによって、内包できる分子に差が生じる場合がある。そのため、環状オリゴ糖の空洞の制御、すなわちオリゴ糖のデザイン・合成が重要である。
【化1】
[代表的な環状オリゴ糖]
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Ogawa,T.;Takahashi,Y.Carbohydr.Res1985,138,C5.
【非特許文献2】Nishizawa,M.;Imagawa,H.;Kan,Y.;Yamada,H.;Tetrahedron Lett.1991,32,5551.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、小さなシクロデキストリンである、CD3やCD4の立体的に歪んだシクロデキストリンの合成が達成された(Ikuta,D.;Hirata,Y.;Wakamori,S.;Shimada,H.Tomabechi,Y.;Kawasaki,Y.;Ikeuchi,K.;Hagimori,T.;Matsumoto,S.;Yamada,H.Science 2019,364,674.)(式13,14)。これらの環状オリゴ糖の機能開発・応用に際して、酵素合成法のみでは限界があり、安定的に供給できる化学法の開発が強く望まれる。
【化2】
(13) (14)
そこで、本発明は、効率的に環状オリゴ糖を合成することができる環状オリゴ糖の製造方法の提供を目的とする。また、前記製造方法を通じて得られる新規な環状オリゴ糖の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、1,4-結合により、直列に結合した直鎖状オリゴ糖を使い、液相電解法を行うことにより、所望の環状オリゴ糖を合成できることを見出した。
具体的には、下記の手段により、上記課題は解決された。
〔1〕5~10個のα-グルコサミンまたはその誘導体が1,4-結合により、直列に結合した直鎖状オリゴ糖を、液相電解反応させることを含む、環状オリゴ糖の製造方法。
〔2〕前記直鎖状のオリゴ糖が、下記式(1)で表される、〔1〕に記載の環状オリゴ糖の製造方法。
式(1)
【化3】
(式(1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21およびR
22は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、R
3は、それぞれ独立に、式量が300以下の保護基であり、R
4は、置換基であり、Xは硫黄原子、セレン原子、または、テルル原子であり、n1は3~8の整数である。同じ環に結合しているR
22とR
3は互いに結合して環を形成していてもよい。)
〔3〕前記直鎖状のオリゴ糖が、下記式(1-1)で表される、〔1〕に記載の環状オリゴ糖の製造方法。
式(1-1)
【化4】
(式(1-1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、R
4は、置換基であり、Xは硫黄原子、セレン原子、または、テルル原子であり、n1は3~8の整数である。)
〔4〕式(2)で表される環状オリゴ糖。
式(2)
【化5】
(式(2)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21およびR
22は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、R
31は、そR
3-O-基であり、R
3はそれぞれ独立に、式量が300以下の保護基であり、n2は0~5の整数である。同じ環に結合しているR
22とR
31は互いに結合して環を形成していてもよい。)
〔5〕式(2-1)で表される環状オリゴ糖。
式(2-1)
【化6】
(式(2-1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、n2は0~5の整数である。)
〔6〕式(3)で表される環状オリゴ糖。
式(3)
【化7】
(式(3)において、n2は0~5の整数を表し、Acはアセチル基を表す。)
〔7〕式(4)で表される環状オリゴ糖。
式(4)
【化8】
(式(4)において、n2は0~5の整数を表す。)
〔8〕〔7〕に記載の化合物を含む包接剤。
〔9〕下記式(2-1)で表される環状オリゴ糖について、塩基によりそのオキサゾリジノン環を開環させ、得られた糖を、無水酢酸と反応させて、開環させた部位をアセチル化し、さらに、K
2CO
3と反応させ、3位のアセチルオキシ基をヒドロキシル基に戻した糖を得、これを酸と反応させR
1の基を水素原子にし、6位の置換基をヒドロキシル基とした式(3)の糖を得る環状オリゴ糖の製造方法。
式(2-1)
【化9】
(式(2-1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、n2は0~5の整数である。)
式(3)
【化10】
(式(3)において、n2は0~5の整数を表し、Acはアセチル基を表す。)
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法によれば、効率的に環状オリゴ糖を合成することができる。また、前記製造方法を通じて得られる新規な環状オリゴ糖を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】化合物16のNMRスペクトルとその解析図(その3)
【
図4】化合物16のNMRスペクトルとその解析図(その4)
【
図7】化合物21のNMRスペクトルとその解析図(その3)
【
図8】化合物21のNMRスペクトルとその解析図(その4)
【
図9】反応スキーム(27)の反応停止後のMALDI-TOF MS
【
図10】反応スキーム(27)の反応生成物(糖26)のゲルろ過後のMALDI-TOF MS
【
図11】反応スキーム(27)の反応生成物(糖26)のゲルろ過後の
1H-NMR
【
図12】中間体である糖24の質量分析測定の結果を示すグラフ
【
図13】最終生成物である糖26の質量分析測定の結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。本明細書では、置換および無置換を記していない表記は、無置換の方が好ましい。
本明細書で示す規格が年度によって、測定方法等が異なる場合、特に述べない限り、2021年1月1日時点における規格に基づくものとする。
【0009】
置換基等の省略符号については、Etがエチル基、Bnがベンジル基、Arがアリール基、Phthがフタロイル基、MeOHがメタノール、Phがフェニル基、Acがアセチル基、DMPAが4-ジメチルアミノピリジン、Tfがトリフルオロメタンスルホニル基、TfOHがトリフルオロメタンスルホン酸、TMSOTfがトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、THFがテトラヒドロフラン、Bu4NOTfがテトラブチルアンモニウムトリフラート、TBDPSがtert-ブチルジフェニルシリル基、DTBMPが2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルピリジンである。
【0010】
初めに、以前から重合反応のモノマーの候補として検討されていた単糖ビルディングブロックの合成経路を説明する(反応スキーム1)。グルコサミン塩酸塩1を出発原料とし、無水フタル酸によるアミノ基のフタロイル保護を行い、続いてAc
2Oによるアセチル化を行った。次に4-クロロチオフェノールとの反応により、チオグリコシド4へと変換した。このチオグリコシドを、酸性状態下で脱アセチル化したのちに、ベンズアルデヒドジメチルアセタールによるベンジリデン保護を行い、化合物6を合成した。そして、3位のヒドロキシ基を再度、無水酢酸によるアセチル化を行い、化合物7を得た。そして、化合物7にトリメチルシリルトリフラートを、ボランTHF錯体中で作用させることで、ベンジリデンアセタールを開裂させ、単糖ビルディングブロック8を合成した。
【化11】
(1)
[これまでに検討された単糖ビルディングブロックの合成(下記文献参照)]
・Manmode,S.;Tanabe,S.;Yamamoto,T.;Sasaki,N.;Nokami,T.;Itoh,T.ChemistryOpen 2019,8,869.
・Yano,K.;Itoh,T.;Nokami.Carbohydr.Res.2020,492,108018.
【0011】
得られた単糖ビルディングブロック8を用いて、電解重合法による環状糖の合成を試みた(反応スキーム2)。反応条件は以下となる。-60C°で定電流条件下での電解酸化を行ったのちに、-40°Cまで昇温して3600秒間グリコシル化反応を行った。その後、Et
3Nを加え反応を停止した。
【化12】
(2)
Anodic oxidation:陽極酸化
Glycosylation:グリコシル化
【0012】
この反応条件で行ったところ、環状3糖以上の環状糖を得ることはできず、1,6-脱水糖9や環状2糖10が得られた。この1,6-脱水糖が得られた反応機構として以下の機構を提唱する(反応スキーム3)。電解酸化時に発生した、α-トリフラート中間体が、他の中間体とカップリングを起こす前に、コンフォメーション変化を経て分子内グリコシル化してしまうと考えた。そのため、1,6-脱水糖を生成するようなコンフォメーション変化を防ぐことが、より大きな環状糖を得るために重要であると考えた。
【化13】
(3)
[電解重合時に起こり得る副反応の反応機構]
【0013】
2,3位にオキサゾリジノン保護基を導入した基質での重合反応とその課題
糖ピラノース環の立体反転による副反応を抑制するため、最も導入しやすい、2,3位に反転時に嵩高くなる保護基、すなわち2,3-オキサゾリジノン保護の導入を試みた(反応スキーム4)。上記で用いた単糖ビルディングブロック8を出発原料として合成を試みた。単糖ビルディングブロック8の6位をTBDPS基による保護を行い、化合物11へと変換した。その後、フタルイミド保護基の脱保護を行うため、脱水エチレンジアミンを用いて脱保護を行い、化合物12を得た。この時3位のアセチル基も同時に脱保護された。次に、CH
2Cl
2と10%NaHCO
3水溶液中にて、2,3位オキサゾリジノン保護を行い化合物13へと変換した。そして、DMF中にて、窒素上のアセチル保護を行った後に、6位のTBDPS保護基を脱保護することで、6位の水酸基が無保護のオキサゾリジノン保護体15を得た。
【化14】
(4)
[オキサゾリジノン保護体の合成]
【0014】
このオキサゾリジノン保護体15を用いて電解酸化による重合反応を行った(反応スキーム5)。この結果、環状2糖16を60%の収率で選択的に得られた。しかしながら、環状3糖以上の環状糖を得られなかった。これは、糖鎖の環化と伸長では分子内反応である環化のほうが有利な反応であり、反応性の高い6位の1級水酸基を介した電解重合では、大環状オリゴ糖の合成が見込めないと考えた。
【化15】
(5)
[オキサゾリジノン保護体を用いた電解重合反応]
【0015】
オキサゾリジノン基質による1,4結合の環状糖重合反応
1,6-グリコシド結合による、電解グリコシル化重合では、大きな環状オリゴ糖を得られないと判明したため、アプローチを変更した(反応スキーム6)。このアプローチでは、1,4-グリコシド結合によるグリコシル化で大きな環状オリゴ糖を得ることができた。以下がその概要である。
【0016】
【化16】
(6)
[新たに検討した大きな環状オリゴ糖への合成概要(下記文献参照)]
・Nokami,T.;Shibuya,A.;Saigusa,Y.;Manabe,S.;Ito,Y.;Yoshida,J.BeilsteinJ.Org.Chem.2012,8,456.
・Benakli,K.;Zha,C.;Kerns,R.J.J.Am.Chem.Soc.2001,123,9461.
【0017】
このアプローチでは、まず電解重合によって糖鎖をβ-1,4-グリコシド結合で伸ばしたのちに、オキサゾリジノン保護基の持つ特異的α異性化によって、糖鎖を異性化させる。その後、再度電解酸化を行うことで環化を行う。このアプローチによって、迅速かつ簡便に環状オリゴ糖を合成することに成功した。特に、ワンポット合成で行うことができる点で有益である。
初めに、基質の合成について述べる(反応スキーム7)。上記で合成した基質6を出発原料として、脱フタロイル化を行い、17を得た後に2,3-オキサゾリジノン保護を、行い18を得た。この18をCH
2Cl
2中で無水酢酸に作用させることで19を得た。この19をベンジリデン開環反応で4位選択的に開環することで、基質20を合成した。
【化17】
(7)
[4位が無保護水酸基の2,3-オキサゾリジノン保護体の合成(下記文献参照)]
・Feng,J.;Hevey,R.;Ling,C.Carbohydr.Res 2011,346,2650.
【0018】
この基質20をもとに、糖鎖伸長段階の最適化を行った(下記表1)。この検討では主に、電解酸化時の温度と塩基の有無を検討した。支持電解質はBu4NOTfで固定し、溶媒はCH2Cl2とし、以下の条件を検討した。塩基は嵩高い弱塩基のDTBMPを用いた。
【0019】
[糖鎖伸長反応条件の最適化検討]
【表1】
Base:塩基
Yield of oligosaccharide:オリゴ糖の収率
【0020】
この結果、塩基無しのEntry 3を以後の条件として採用した。理由としては、塩基無し条件で高温のほうが、より糖鎖伸長に有利であったためである。これら条件を組み合わせ、ワンポット重合を行った(反応スキーム8)。初めに、-40C°で電解酸化、グリコシル化をしたのちに、室温まで昇温させた。この時、電解酸化によって系内に発生したトリフルオロメタンスルホン酸を用いて、糖鎖の異性化を1時間行った。その後、再度-40C°まで降温し、電解酸化、グリコシル化を行った。この実験によって、6糖の環状オリゴ糖21(環状6 糖21)を4.8%、7糖の環状オリゴ糖22(環状7 糖22)を0.6%の単離収率で得た。加えて、得られた環状オリゴ糖のグリコシド結合はすべてα結合であった。
【化18】
(8)
isomerization: 異性化
[ワンポット環状オリゴ糖合成の反応条件]
【0021】
次に、これら糖鎖の状態の変化を示す(化学式とNMRスペクトル24)。初めに、1H NMR によって測定された、原料単糖のαアノマー水素のピークが6.1ppm付近に現れていることがわかる。
これを電解重合によって、糖鎖伸長すると、6.0ppmから6.2ppm付近にαアノマー水素のピークが2種に分裂すると同時に、5.0ppm付近にαアノマー水素のピークも確認できる。そして、この鎖状オリゴ糖を酸による異性化で処理をすると、5.0ppm付近のαアノマー水素のピークが消失した。最後に、環化すると、βアノマーピークが収束し、5.8ppm付近へとシフトした。オリゴ糖が環状化することで、アノマー水素のピークは高磁場シフトすることが知られており(Wakao,M.;Fukase,K.;and Kusumoto,S.J.Org.Chem.2002.67,8182.)、これに沿っているため、環状オリゴ糖であると判断した。
【0022】
【化19】
[
1H NMR のアノマー水素の化学シフトによる糖鎖の変遷の測定]
【0023】
以上の開発検討結果および後述の実施例を経て下記の発明が完成された。
すなわち、5~10個のα-グルコサミンまたはその誘導体が1,4-結合により、直列に結合した直鎖状オリゴ糖を、液相電解反応させることを含む、環状オリゴ糖の製造方法が発明された。
このとき前記直鎖状のオリゴ糖が下記式(1)で表されることが好ましい。
式(1)
【化20】
(式(1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21およびR
22は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、R
3は、それぞれ独立に、式量が300以下の保護基であり、R
4は、置換基であり、Xは硫黄原子、セレン原子、または、テルル原子であり、n1は3~8の整数である。同じ環に結合しているR
22とR
3は互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0024】
式(1)中、R1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、水酸基を保護する保護基の役割を果たす。保護基を設けることにより、環化以外の反応の進行を抑制し、効果的に環化反応を進行させることができる。また、式量が500以下の保護基を用いることにより、環化しやすくすることができる。
R1の式量は、60以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましく、90以上であることがさらに好ましく、100以上であることが一層好ましく、105以上であることがより一層好ましい。一方、上限は500以下であり、400以下であることが好ましく、350以下であることがより好ましく、300以下であることがさらに好ましく、280以下であることが一層好ましい。好ましい保護基としては、Bn基、ベンゾイル基(Bz)、アセチル基(Ac)、ピバロイル基(Piv)、TBDPS、tert-ブチルジメチルシリル基(TBS)、9-フルオレニルメチルカルボキシ基(Fmoc)が例示され、Bn、TBDPS、TBSが好ましく、Bn、TBDPSがさらに好ましく、Bnが一層好ましい。
R1は1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0025】
R3は、保護基であり、α-1,4の鎖状の糖を環化するのを阻害しない限り、どのようなものでも適用ができる。また、式量が300以下の保護基を用いることにより、環化しやすくすることができる。一方、保護基が小さすぎると保護基としての役割を果たせないことがある。
上記の観点から、R3の式量は、20以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましく、50以上であることが一層好ましい。一方、上限は300以下であり、250以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、180以下であることがさらに好ましく、160以下であることが一層好ましい。R3は、式量が大きすぎると環化反応の阻害となる。一方、置換基が小さすぎるとその役割を十分に果たせないことがある。具体的には、Bn、Bz、Ac、Piv、TBDPS、TBS、Fmocが例示され、Bz、Ac、Piv、Fmocが好ましく、Bz,Acがより好ましく、Acがさらに好ましい。
R3は1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0026】
R21およびR22は、水素原子または保護基であり、α-1,4の鎖状の糖を環化するのを阻害しない限り、どのようなものでも適用ができる。R21およびR22は、保護基が好ましい。保護基であるとき、式量が300以下の保護基を用いることにより、環化しやすくすることができる。一方、保護基であるときこれが小さすぎると保護基としての役割を果たせない。かかる観点から、R21およびR22の式量は、保護基であるとき、20以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましく、50以上であることが一層好ましい。一方、上限は300以下であり、250以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、180以下であることがさらに好ましく、160以下であることが一層好ましい。好ましい保護基としては、Bn、Bz、Ac、Piv、TBDPS、TBS、Fmoc、無水フタル酸基(Phth)が例示され、Bn、Bz、Ac、Piv、TBDPS、TBS、Fmoc、Phthが好ましく、Bn、Ac、Phthがより好ましく、Bn、Acがさらに好ましい。
R21およびR21は、それぞれ、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0027】
R21もしくはR22と、R3は結合して環を形成しているとグリコシド結合がα-1,4結合へと異性化しやすく、環化には影響がなく好ましい。形成される環は、α-1,4結合の鎖状の糖を環化するのを阻害しない限り、どのようなものでもよい。形成される具体的な環としては、5員または6員のヘテロ環を形成することが好ましく、5員のヘテロ環を形成することがより好ましい。具体的には、モルホリン環、モルホリノン環、オキサゾリジノン環を形成することが好ましく、オキサゾリジノン環が特に好ましい。
【0028】
R4は、置換基であり、電気化学的に活性化される、あるいは、硫黄等のXが活性化できるものであることが好ましい。R4は、特に、硫黄原子等の酸化を妨げないものが好ましい。R4は電子求引性基ではない方がよく、電子供与性基であることが好ましい。ただし、鎖状のオリゴ糖を合成するには、やや電子求引性基がよい。かかる観点から、R4の式量は、20以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましく、50以上であることが一層好ましい。一方、上限は300以下であることが好ましく、250以下であることがより好ましく、200以下であることがさらに好ましく、180以下であることが一層好ましく、160以下であることがより一層好ましい。好ましい保護基としては、置換基、ニトロ基よりも電子求引性が弱い基、電子供与性基が挙げられ、具体的には、フェニル基、4-メチルフェニル基、2、6-ジメチルフェニル基、4-ブロモフェニル基、4-クロロフェニル基、4-フルオロフェニル基が例示され、フェニル基、2、6-ジメチルフェニル基、4-クロロフェニル基、4-フルオロフェニル基が好ましく、2、6-ジメチルフェニル基、4-クロロフェニル基、4-フルオロフェニル基がより好ましく、4-クロロフェニル基、4-フルオロフェニル基がさらに好ましい。
【0029】
n1は3~8の整数であり、4~6の整数であることが好ましい。
環状もしくは鎖状のオリゴ糖においては、式中の定義を満たす限り、単一の糖の繰返し構造であっても、異なる糖の繰返し構造であってもよい。このことは、下記の式(1-1)、式(2)、式(2-1)、式(3)、式(4)についても同様である。
【0030】
上記直鎖状のオリゴ糖は、下記式(1-1)で表されるものであることが好ましい。
式(1-1)
【化21】
(式(1-1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、R
4は、置換基であり、Xは硫黄原子、セレン原子、または、テルル原子であり、n1は3~8の整数である。)
R
1、R
21、R
4、Xおよびn1の好ましい範囲は前記式(1)で示したものと同義である。
【0031】
上記液相電解反応は、5~10個のα-グルコサミンまたはその誘導体が1,4-結合により、直列に結合した直鎖状オリゴ糖を用いる限り、他は公知の手段によって行うことができる。
例えば、電解液は、CH2Cl2、アセトニトリル、プロピオニトリル、DMF等を用いることができ、CH2Cl2が好ましい。支持電解質は、Bu4NOTf、Et4NOTf、Pr4NOTf等を用いることができ、Bu4NOTfが好ましい。支持電解質濃度は、0.1~3.0Mの範囲で行うことが好ましく、0.5~2.0Mの範囲で行うことがより好ましい。電解酸化温度は、-100~0℃の範囲で行うことが好ましく、-60~-10℃の範囲で行うことがより好ましい。
【0032】
上記環状オリゴ糖の製造方法を通じて得られる環状オリゴ糖には新規な化合物が含まれる。まず、式(2)で表される環状オリゴ糖を挙げることができる。
式(2)
【化22】
(式(2)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21およびR
22は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、R
31は、そR
3-O-基であり、R
3はそれぞれ独立に、式量が300以下の保護基であり、n2は0~5の整数である。同じ環に結合しているR
22とR
31は互いに結合して環を形成していてもよい。)
式(2)中、R
1、R
21、R
3の好ましい範囲は式(1)で示したものと同義である。R
22とR
31とで形成する環も同義であり、特にオキサゾリジノン環を形成することが好ましい。
【0033】
また、新規な化合物として、式(2-1)で表される環状オリゴ糖が挙げられる。
式(2-1)
【化23】
(式(2-1)中、R
1は、それぞれ独立に、式量が500以下の保護基であり、R
21は、それぞれ独立に、水素原子または式量が300以下の保護基であり、n2は0~5の整数である。)
式(2-1)中のR
1、R
21は式(1)で定義したものと同義である。
n2は、0~3の整数が好ましく、1または2がより好ましく、1がよりさらに好ましい。
【0034】
さらに新規な化合物として、式(3)で表される環状オリゴ糖が挙げられる。
式(3)
【化24】
(式(3)において、n2は0~5の整数を表し、Acはアセチル基を表す。)
n2は、0~3の整数が好ましく、1または2がより好ましく、1がよりさらに好ましい。
式(3)で表される化合物は、式(2-1)で表される化合物から誘導することができる。具体的には、まず、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)によりオキサゾリジノン環を開環する。得られた糖を、無水酢酸とDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)と反応させる。さらに、K
2CO
3と反応させ、アセチルオキシ基をヒドロキシル基に戻した糖を得る。これを酸と反応させ(好ましくは、水素雰囲気下で酸と反応させ)Bn(ベンジル基)を水素原子に戻し、6位の置換基をヒドロキシル基とした式(3)の糖を得ることができる。
【0035】
さらにまた、下記式(4)で表される環状オリゴ糖が挙げられる。
式(4)
【化25】
(式(4)において、n2は0~5の整数を表す。)
n2は、0~3の整数が好ましく、1または2がより好ましく、1がよりさらに好ましい。
式(4)で表される化合物は、式(3)で表される化合物の脱アセチル化によって得ることができる。脱アセチル化は、塩基処理によって行うことができる。ここでの塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ヒドロキシアミンが例示される。
【0036】
上記式(2)~(4)で表される新規化合物は、包接化合物として有用である。例えば、シクロデキストリンと同じ用途に供することができ、包接剤、内包剤として有用である。特に、6~8員環のものは、シクロデキストリンでも広く合成されており、工業化されている。上記式(2)~(4)で表される新規化合物は、アミノ基を含むので、カルボン酸基のような酸性の置換基を持つものの包接に優れている。
【実施例0037】
液相電解自動合成装置
本発明の好ましい実施形態においては、液相電解自動合成法によるオリゴ糖の合成が行われる。この方法では、グリコシルドナーを電解酸化することで活性化を行っている(反応スキーム9)。旧来のSchmidtグリコシル化などのグリコシル化方法と違い、中間体の蓄積が可能となっているため、より精密に反応を制御できる点がメリットである。この精密性と再現性を利用し、基質にグリコシルドナーとグリコシルアクセプターの両方の役割を担わせる電解重合法に基づいて、環状オリゴ糖の効率的な合成法を開発した。
【化26】
(9)
[液相電解自動合成装置によるオリゴ糖合成(下記文献参照)]
Nokami,T.;Shibuya,A.;Tsuyama,H.;Suga.S.;Albert A.Bowers,Crich,D.;Yoshida,J.J.Am.Chem.Soc.2007,129,10922.
【0038】
2019年に、液相自動電解装置の第二世代が開発された。この装置では、より簡便に反応条件を制御でき、所望の化合物をより大量に合成することが可能であるという利点がある。本発明ではこの第二世代の液相自動電解装置を用いて、環状オリゴ糖の効率的合成法の開発に取り組んだ。
【0039】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
試薬はすべて市販されている試薬を使用した。溶媒はすべて脱水された溶媒を使用した。グリコシル化反応時には、脱水溶媒にアルゴン雰囲気下で4Åのモルキュラーシーブスを加え、追加の脱水を行った。
【0040】
なお、下記実施例では、アセチル化した化合物が例示されているが、アセチル化した化合物を塩基処理することで容易に脱アセチル化することができる。
【0041】
核磁気共鳴スペクトルは、Bruker AVANCE II 600 (1H NMR;600MHz,13C NMR;150MHz)で、溶媒はCDCl3 を用いて室温にて測定した。
【0042】
<調製例101>
1,3,4,6-penta-O-acetyl-2-deoxy-2-phthalimido-β-D-glucopyranoside (3)の合成
【化27】
(10)
500mL フラスコに化合物1(20.0g,92.8mmоl)を入れ、1Mの水酸化ナトリウム水溶液120mL中で溶解させた。その後、Phthalic anhydride(16.32g,110.7mmol)を加え一晩撹拌した。その後、TLC(MeOH)で反応終了を確認し、濃縮真空乾燥を行った。そして、触媒として、DMAP (1.22g,9.9mmol)を加えた混合物を、アルゴン雰囲気下でpyridine (300mL)に溶解させ、Acetic anhydride(597.6mmol,57.0mL)を加え、2日間反応を行った。
その後、TLC(Hexane:EtOAc=1/1)で反応終了を確認し、MeOH で反応を停止させた。溶媒を取り除くため、EtOAc(酢酸エチル)に溶解させた粗生成物を1MのHClaq、NaHCO
3aq、H
2Oの順でそれぞれ3回ずつ分液洗浄を行い、Na
2SO
4 で乾燥させ、ろ過、濃縮、真空乾燥を行った。得られた粗生成物を、シリカゲルカラム(Hexane/EtOAc=1/1)で生成し、化合物3を得た。
収量22.0g,46.2mmol 収率50%
【0043】
<調製例102>
4-Chlorophenyl 3,4,6-tri-O-acetyl-2-deoxy-2-phthalimido-1-thio-β-D-gluco-pyranoside (4)の合成
【化28】
(11)
化合物3(22.04g,46.7mmol)をフラスコに加え、そこに4-Chlorothiophenol(8.04g,55.4mmol)を加えてアルゴン置換した。CH
2Cl
2(68.4 mL)を加えて撹拌した。0℃でBF
3/OEt
2(8.55mL,69.3mmol)を滴下して加えた。50℃で一晩撹拌した。TLCチェック(Hexane/EtOAc=1:1)を行った。NaHCO
3aqを加えてクエンチした。CH
2Cl
2で有機層を3回抽出した。有機層を脱塩水で3回洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。ろ過をして、濃縮した。EtOAcで溶かし、Hexaneで再結晶し、ろ過で得られたものを真空乾燥し、化合物4を得た。
収量21.2g,37.7mmol 収率81%
【0044】
<調製例103>
4-Chlorophenyl 4,6-O-benzylidene-2-deoxy-2-phthalimido-1-thio-β-D-glucopyranoside(6)の合成
【化29】
(12)
ナスフラスコに化合物4(10.00g,17.8mmol)を加え、アルゴン置換し、そこにMeOH(87.0mL)を加えた。2.0M HCl/Et
2Oを加えて3日撹拌した。濃縮して真空乾燥した。アルゴン置換し、そこへCH
3CN(96.2mL)を加えた。Benzaldehyde Dimethyl Acetal (65.2mmol,9.76mL)を滴下しながら加えて2日撹拌した。TLCチェック(Hexane/EtOAc=2:1)を行った。Et
3N(4.2mL)を加えてクエンチした。濃縮し、シリカゲルカラム(Hexane/EtOAc=2:1)で分取した。濃縮し、真空乾燥した。
収量6.18g,11.8 mmol 収率66% (2 steps)
【0045】
<調製例104>
4-Chlorophenyl-3-O-acetyl-4,6-O-benzylidene-2-deoxy-2-phthalimido-1-thio-β-Dglucopyranoside(7)の合成
【化30】
(13)
化合物6(5.84g,11.4mmol)が入ったナスフラスコにDMAP(0.14g,1.22mmol)を加え、アルゴン置換した。CH
2Cl
2(37.2mL)とpyridine(11.8mL)を加えた。Ac
2O(72.2mmol,6.69mL)を滴下して加え、室温で一晩撹拌した。TLCチェック(Hexane/EtOAc=2:1)を行った。Methanolを加えて反応停止した。濃縮し、真空乾燥した。CH
2Cl
2で溶かし、Hexaneを加えて再結晶した。ろ過をして真空乾燥し、化合物7を得た。
収量4.78g,8.45mmol 収率76%
【0046】
<調製例105>
4-Chlorophenyl 3-O-acetyl-4-O-benzyl-2-deoxy-2-phtalimido-1-thio-β-Dglucopyranoside(8)の合成
【化31】
(14)
ナスフラスコに化合物7(4.78g,8.45mmol)を入れ、真空乾燥後、アルゴン置換しBH
3/THF(21.2mL)を加え、0℃下でTMSOTf(2.12mL)を滴下した。0℃下の条件で6時間撹拌させた。TLC(Hexane/EtOAc=2/1)で反応終了を確認後、Et
3N(10mL)、Methanol(24mL)の順に滴下し反応を停止し、濃縮、真空乾燥を行った。粗生成物をEtOAcに溶かし、NaHCO
3aq、脱塩水で分液洗浄を3セット行い、Na
2SO
4で乾燥させた。ろ過、濃縮、真空乾燥を行い、シリカゲルカラム(Hexane/EtOAc=2/1から2/1)で精製し化合物8を得た。
収量2.80g,49.4mmol 収率58%
【0047】
<参考例101>
化合物8を使った電解重合
【化32】
(15)
10mL、H型の分離電解セル内をアルゴン置換し、陽極にBu
4NOTf(1.0mmol,0.392g)を加え、8(0.40mmol,0.248g)を加えた。陰極にBu
4NOTf(1.0mmol,0.392g)を入れた。セル内を真空にし、一晩真空乾燥した。セル内をアルゴン置換し、陰極、陽極にそれぞれCH
2Cl
2を10mL加え、陰極にTfOH(40μL)を加えた。電解酸化を5066s、8.0mA、-60℃で行った。グリコシル化は3600s、-40℃で行った。Et
3Nを陰極、陽極それぞれに0.3mL加えてクエンチした。濃縮、真空乾燥し、H
2Oで水洗浄を行った。得られた粗生成物は、3mLのCH
2Cl
2に溶解させ、GPCによって精製を行った。
【0048】
<調製例201>
4-Chlorophenyl 3-O-acetyl-4-O-benzyl-6-O-tert-butyldimethyldiphenylsilyl-2-deoxy-2-phtalimido1-thio-β-D-glucopyranoside(11)の合成
【化33】
(16)
ナスフラスコに化合物8(3.42g,6.02mmol)とimidazole(0.89g,12.0mmol)を入れ、真空乾燥後、アルゴン置換し、0℃でDMF(21.8mL)に溶解させた。その後、TBDPSCl(2.64mL)を滴下し、室温で一晩撹拌した。TLC(Hexane:EtOAc=3/1)で反応終了を確認後、EtOAcで希釈し、NaHCO
3aq H
2Oで分液洗浄を3回ずつ行いNa
2SO
4で乾燥させた。その後、ろ過、濃縮、真空乾燥を行い、シリカゲルカラム(Hexane:EtOAc=3/1)で精製し、化合物11を得た。
収量4.52g,5.60mmol 収率93%
【0049】
<調製例202>
4-Chlorophenyl 2-amino-6-O-tert-butyldimethyldiphenylsilyl-2-deoxy-1-thio-β-D-glucopyranoside(12)の合成
【化34】
(17)
ナスフラスコに化合物11(4.52g,5.60mmol)を入れ、真空乾燥後、アルゴン置換し、n-butanol(37.5mL)に溶解させた。その後、ethylene diamine anhydrous(9.37mL)を滴下し、30℃、50℃、80℃、100℃の順で還流昇温させた。その後、終夜で撹拌し、TLC(Hexane/EtOAc=1/2)で反応終了を確認した。その後、溶媒を濃縮、真空乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラム(Hexane/EtOAc=1/2)で精製し、化合物12を得た。
収量3.07g,4.77mmol 収率85%
【0050】
<調製例203>
4-Chlorophenyl 6-O-tert-butyldimethyldiphenylsilyl-2-deoxy-2,3-N,O-carbonyl-1-thio-β-D-glucopyranoside(13)の合成
【化35】
(18)
ナスフラスコに化合物12(3.02g,4.77mmol)とTriphosgene(0.56g,1.90mmol)を入れ、空気雰囲気下かで、CH
2Cl
2(133.3mL)に溶解させた。その後、10% NaHCO
3aq(99.7mL)を加え、終夜で撹拌した。その後CH
2Cl
2で希釈、抽出を行った。その後抽出液をH
2Oで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。その後、ろ過、濃縮、真空乾燥を行い、化合物13を得た。
収量2.89g,4.37mmol 収率92%
【0051】
<調製例204>
4-Chlorophenyl 2-acetamido-6-O-tert-butyldimethyldiphenylsilyl-2-deoxy-2,3-N,Ocarbonyl-1-thio-β-D-glucopyranoside(14)の合成
【化36】
(19)
ナスフラスコに化合物13(2.89g,4.37mmol)と60%NaH(1.22g,51.2mmol)を入れ、真空乾燥させ、アルゴン置換した。その後、DMF(24.3mL)に溶解させ、0℃の状態で、Acetylchloride(2.4mL)を滴下し、終夜で撹拌した。その後TLC(Hexane/EtOAc=3/1)で反応終了を確認し、NaHCO
3aqでクエンチした。そして、CH
2Cl
2で希釈し、NaHCO
3aq、H
2Oで分液洗浄を3回ずつ行い、Na
2SO
4で乾燥させた。その後、濃縮、真空乾燥を行い、シリカゲルカラム(Hexane/EtOAc=3/1)で精製し化合物14を得た。
【0052】
<調製例205>
4-Chlorophenyl 2-acetamido-2-deoxy-2,3-N,O-carbonyl-1-thio-β-D-glucopyranoside(15)の合成
【化37】
(20)
プラスチックフラスコに化合物14(2.30g,3.28mmol)を入れ、真空乾燥後、アルゴン置換し、pyridineを加え、0℃下で30%HF/pyridineを滴下した。その後、4時間撹拌し、NaHCO
3aqを加えクエンチした。その後、EtOAcに溶解させ、H
2Oで分液洗浄を行い、Na
2SO
4で乾燥させた。ろ過、濃縮、真空乾燥を行い、シリカゲルカラム(Hexane/EtOAc=3/1)で精製し、化合物15を得た。
収量0.94g,2.03mmol 収率62%
【0053】
<参考例201>
化合物15を使った電解重合
【化38】
(21)
10mL、H型の分離電解セル内をアルゴン置換し、陽極にBu
4NOTf(1.0mmol,0.392g)とDTBMP(2.0mmol,0.410g)を加え、8(0.40mmol,0.185g)を加えた。陰極にBu
4NOTf(1.0mmol,0.392g)を入れた。セル内を真空にし、一晩真空乾燥した。セル内をアルゴン置換し、陰極、陽極にそれぞれCH
2Cl
2を10mL加え、陰極にTfOH(40μL)を加えた。電解酸化を5790s、8.0mA、0℃で行った。グリコシル化は3600s、0℃で行った。Et
3Nを陰極、陽極それぞれに0.3mL加えてクエンチした。濃縮、真空乾燥し、HClaq,NaHCO
3aq、H
2Oで3回水洗浄を行った。得られた粗生成物は、3mLのCH
2Cl
2に溶解させ、GPCによって精製を行った。その結果、2糖の環状オリゴ糖16が生成していることを確認した(下記NMRスペクトル及び
図1~4参照)。
【0054】
環状2糖 16
[α]24D = 43.5 (c = 0.7, CHCl3). 1H-NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.38-7.35 (m, 4 H), 7.33-7.30 (m, 1 H), 5.25-5.23 (d, J = 5.7 Hz, 1 H), 4.91-4.89 (d, J = 11.4 Hz, 1 H), 4.63-4.61(d, J = 11.2 Hz, 1 H), 4.33-4.29 (dd, J = 12.5, 9.8 Hz, 1 H), 4.19-4.17 (dd, J = 9.6, 4.3 Hz,1 H), 4.15-4.14 (dd, J = 2.4, 1.0 Hz, 1 H), 4.14 (m, 1 H), 4.02-4.00 (dd, J = 10.9, 2.5 Hz,1 H), 3.95-3.92 (dd, J = 12.5, 5.8 Hz, 1 H), 3.60-3.58 (d, J = 10.5 Hz, 1 H), 2.53 (s, 3 H).13C-NMR (150 MHz, CDCl3): δ 170.6, 153.7, 137.3, 128.5, 128.0, 127.9, 97.0, 81.7, 73.1,63.8, 62.0, 24.5; HRMS (ESI) m/z calcd for C32H34KN2O12 [M+K]+, 677.1744; found,677.1735.
【0055】
<調製例301>
4-Chlorophenyl 2-amino-4,6-O-benzylidene-2-deoxy-1-thio-β-D-glucopyranoside(17)の合成
【化39】
(22)
ナスフラスコに化合物6(8.96g,17.1mmol)を入れ、真空乾燥後、アルゴン置換し、ethanol(90mL)に溶解させた。その後、ethylene diamine anhydrous(18.6mL)を滴下し、30℃、50℃、80℃、100℃の順で還流昇温させた。その後、終夜で撹拌し、TLC(CH
2Cl
2/MeOH=8/1)で反応終了を確認した。その後、溶媒を濃縮、真空乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラム(CH
2Cl
2/MeOH=8/1)で精製し、17を得た。
収量6.56g,16.7mmol 収率98%
【0056】
<調製例302>
4-Chlorophenyl 4,6-O-benzylidene-2-deoxy-2,3-N,O-carbonyl-1-thio-β-D-glucopyranoside(18)の合成
【化40】
(23)
ナスフラスコに17(6.56g,16.7mmol)とTriphosgene(1.69g,5.68mmol)を入れ、空気雰囲気下で、CH
2Cl
2(250mL)に溶解させた。その後、10%NaHCO
3aq(187mL)を加え、終夜で撹拌した。その後CH
2Cl
2で希釈、抽出を行った。その後抽出液をH
2Oで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。その後、ろ過、濃縮、真空乾燥を行い、18を得た。
収量5.34g,12.7mmol 収率76%
【0057】
<調製例303>
【化41】
(24)
ナスフラスコに化合物18(5.34g,12.7mmol)とDMAP(0.31g,2.54mmol)を入れ、真空乾燥させた後に、アルゴン置換し、CH
2Cl
2(38mL)とpyridine(12.3mL)を加えた。その後、Acetic anhydride(11.8mL)を滴下し、終夜で撹拌した。その後、TLC(Hexane/EtOAc=2:1)で反応終了を確認し、MeOHでクエンチした。そして、濃縮、真空乾燥を行った。得られた粗生成物に少量のMeOHを加え、1日放置し、洗浄精製を行い化合物19を得た。
収量3.80g,8.22mmol 収率65%
【0058】
<調製例304>
4-Chlorophenyl 2-acetamido-6-O-benzyl-2-deoxy-2,3-N,O-carbonyl-1-thio-β-D-glucopyranoside(20)の合成
【化42】
(25)
ナスフラスコに化合物19(3.51g,7.61mmol)を入れ、真空乾燥後、アルゴン置換し、CH
2Cl
2(119.9mL)とtriethyl silane(14.6mL)を加えた。その後、BF
3・Et
2O(1.4mL)滴下し、4時間撹拌させた。その後、NaHCO
3aqを加え、クエンチし、H
2Oで分液洗浄を行い、Na
2SO
4で乾燥させた。そして、ろ過、濃縮、真空乾燥を行い、シリカゲルカラム(Hexane/EtOAc=2/1)で精製し、化合物20を得た。
収量2.44g,5.25mmol 収率69%
【0059】
<実施例301>
化合物20を使った電解重合
【化43】
(26)
10mL、H型の分離電解セル内をアルゴン置換し、陽極にBu
4NOTf(1.0mmol,0.392g)を加え、8(0.40mmol,0.185g)を加えた。陰極にBu
4NOTf(1.0mmol,0.392g)を入れた。セル内を真空にし、一晩真空乾燥した。セル内をアルゴン置換し、陰極、陽極にそれぞれCH
2Cl
2を10mL加え、陰極にTfOH(40μL)を加えた。電解酸化を2895s、8.0mA、-40℃で行った。グリコシル化は3600s、-40℃で行った。その後、室温まで昇温させ、3600s撹拌した。そして、再度、電解酸化を2895s、8.0mA、-40℃で行った。グリコシル化は3600s、-40℃で行った。Et
3Nを陰極、陽極それぞれに0.5mL加えてクエンチした。濃縮、真空乾燥し、H
2Oで水洗浄を行った。得られた粗生成物は、3mLのCH
2Cl
2に溶解させ、GPCによって精製を行った。得られた環状6糖を含むフラクションは、CH
3Clで溶解させ、分取TLC(Hexane:EtOAc=2:3)で分取し、Rf=0.7付近を削り取り、CH
3Clで溶出させた。その結果、6糖の環状オリゴ糖21が生成していることを確認した(下記NMRスペクトル及び
図5~8参照)。
環状6 糖21
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3): δ 7.33-7.26 (m, 5 H), 5.80-5.80 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 4.54-4.49 (m, 2 H), 4.44-4.42 (d, J = 11.8 Hz, 1 H), 4.18-4.15 (pseudo-t, J = 9.0 Hz, 1 H), 3.81-3.79 (dd, J = 10.7, 4.5 Hz, 1 H), 3.77-3.75 (dd, J = 9.2, 4.9 Hz, 1 H), 3.71-3.69 (dd, J =12.2, 2.3 Hz, 1 H), 3.64-3.62 (d, 10.0 Hz, 1 H), 2.53 (s, 3 H).
13C-NMR (150 MHz, CDCl
3):δ 172.1, 152.3, 137.4, 128.5, 128.0, 127.8, 98.0, 77.7, 74.8, 74.4, 73.7, 68.0, 59.6, 23.5;HRMS (ESI) m/z calcd for C
96H
102N
6NaO
36 [M+Na]
+, 1938.6261; found, 1938.6140.
【0060】
<実施例302>
環状6 糖21から環状6 糖26の合成
【化44】
【0061】
Cyclohexakis-(1,4)-(2-amino-6-O-benzyl-2-deoxy-α-D-glucopyranosyl)(23)の合成
【化45】
ガラス製ナスフラスコに化合物21(37.7mg,0.0197mmol)を入れ、真空乾燥後、アルゴン置換し、1,4-dioxane 1.4mLを加えた。そこに、1Mに調整したNaOH水溶液1.4mLを滴下し1日撹拌した。その後、MALDI-TOF-MSで反応の進行を確認した後、濃縮、真空乾燥、凍結乾燥を行い、目的物の糖23を含む固体を85.7mg得た。
【0062】
Cyclohexakis-(1,4)-(2-acetamide-3-O-acetyl-6-O-benzyl-2-deoxy-α-D-glucopyranosyl) (24)の合成
【化46】
ガラス製ナスフラスコに糖23を含んだ固体(85.7mg)とDMAP(5.61mg,3.04mmol)を入れ、真空乾燥後、アルゴン置換した。そこに、pyridine 3.0mLを加え、acetic anhydride 0.28mLを滴下し、45℃で7日ほど撹拌した。その後、MeOHを加えクエンチした。そして、濃縮、真空乾燥を行った。得られた固体を、EtOAcに溶解させ、H
2Oで分液洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮、真空乾燥を行い、粗生成物47.2mg得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(Hexane/EtOAc(体積比)=2:1、次いで、CH
2Cl
2/MeOH(体積比)=1:1)で精製し、糖24(22.4mg、0.0111mmol)を収率56%(2段階)で得た。
【0063】
Cyclohexakis-(1,4)-(2-acetamide-6-O-benzyl-2-deoxy-α-D-glucopyranosyl)(25)の合成
【化47】
ガラス製ナスフラスコに糖24(22.4mg,0.0111mmol)とK
2CO
3(14.8mg,0.111mmol)を入れ、真空乾燥後、アルゴン置換した。ここに、CH
2Cl
2/MeOH(1:2)の混合溶媒2.32mL加え、1日撹拌した。反応の進行をMALDI-TOF-MSで確認した後に、濃縮、真空乾燥を行い、目的物25を含む固体(46.2mg)を得た。
【0064】
Cyclohexakis-(1,4)-(2-acetamide-2-deoxy-α-D-glucopyranosyl)(26)の合成
【化48】
ガラス製ナスフラスコ中の糖25を含む固体を、真空乾燥後、アルゴン置換した。ここに、THF/H
2O(1:1)の混合溶媒1.00mL加えた。その後、1度凍結させ、70mgのPd(OH)
2/Cを加え、真空乾燥後、水素置換した。7日間撹拌し、反応の進行をMALDI-TOF-MSで確認した後に、濃縮、真空乾燥を行い、目的物を含む固体を得た。この固体をSphadex LH-20、ゲルろ過カラムクロマトグラフィーによって、精製することで糖26(1.6mg,0.0013mmol)を収率12%(2段階)で得た。
【0065】
図9は、反応スキーム(27)の反応停止後のMALDI-TOF MSである。
図10は、生成物のゲルろ過(Sephadex LH-20, 溶媒:イオン交換水)後のMALDI-TOF MSである。
図11は、生成物のゲルろ過後の
1H-NMRである。これらの結果から、目的とする生成物(式(3)の化合物)が得られていることが分かる。
【0066】
中間体である糖24の質量分析データを
図12に載せる。その計算値と実測値は下記のとおりである。
質量分析(MALDI-TOF)C102H126N6NaO36 [M+Na+] 計算値:2033.811, 実測値:2033.807
【0067】
最終生成物である糖26の質量分析データを
図13に載せる。その計算値と実測値は下記のとおりである。
質量分析(MALDI-TOF)C48H78N6NaO30 [M+Na+] 計算値:1241.466, 実測値:1241.466