(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045653
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】パウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20230327BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154193
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 忠
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064AB23
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064FA03
3E064HM01
3E064HN06
3E064HN13
3E064HP02
(57)【要約】
【課題】開閉式の線ファスナを備えるパウチにおいて、開口部の大きさをより選択することが可能な構成を備えるパウチを提供する。
【解決手段】このパウチ1は、表面シート111および裏面シート112を含み、上端に開口10を有し、内容物を収容可能な包装袋100と、開閉式の線ファスナ201と、を備え、包装袋100は、幅方向における前記表面シート111の端部と裏面シート112の端部とが互いにシールされることにより形成された第1側部シール部102および第2側部シール部103と、を含み、線ファスナ201は、第1側部シール部102と第2側部シール部103とを連結し、開口10に沿って設けられ、線ファスナ201から所定間隔の隙間S1を設けて上方に向かうポイントシール部110を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートおよび裏面シートを含み、上端に開口を有し、内容物を収容可能な包装袋と、
開閉式の線ファスナと、を備え、
前記包装袋は、
幅方向における前記表面シートの端部と前記裏面シートの端部とが互いにシールされることにより形成された第1側部シール部および第2側部シール部を含み、
前記線ファスナは、前記第1側部シール部と前記第2側部シール部とを連結し、前記開口に沿って設けられ、
前記線ファスナから所定間隔の隙間を設けて上方に向かうポイントシール部を有する、
パウチ。
【請求項2】
前記表面シートの上部と前記裏面シートの上部とが互いにシールされることにより形成された上部シール部をさらに有し、
前記第1側部シール部および前記第2側部シール部の少なくとも一方の、前記ポイントシール部の下端から上方に対応する位置に、側方横切断補助線が設けられている、
請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記ポイントシール部内に、縦方向に延びる縦切断補助線が設けられている、
請求項2に記載のパウチ。
【請求項4】
前記第1側部シール部および前記第2側部シール部の少なくとも一方の、前記隙間が設けられる位置に対応する位置に、隙間横切断補助線が設けられている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パウチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を複数回に分けて使用することが可能なように嵌合式の線ファスナを備えるパウチが知られている。例えば、特開平9-30538号公報(特許文献1)には、線ファスナの途中領域に溶着箇所を設け、開口部の大小変更を可能とする構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
線ファスナに開口部の大小変更を可能とする構造を採用することで、内容物の取出量、大きさに適正な開口部の大きさを選択することが可能となる。しかし、線ファスナの途中領域に溶着箇所を設けたのでは、溶着箇所の両側の2箇所の開口しか用いることができない。また、線ファスナそのものに溶着箇所を設けるため、線ファスナを潰す工程が必要となり、パウチの製造工程が煩雑となる。
【0005】
本発明の目的は、開閉式の線ファスナを備えるパウチにおいて、開口部の大きさをより選択することが可能な構成を備えるパウチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づくパウチは、表面シートおよび裏面シートを含み、上端に開口を有し、内容物を収容可能な包装袋と、開閉式の線ファスナとを備え、上記包装袋は、幅方向における上記表面シートの端部と上記裏面シートの端部とが互いにシールされることにより形成された第1側部シール部および第2側部シール部を含む。
【0007】
上記線ファスナは、上記第1側部シール部と上記第2側部シール部とを連結し、上記開口に沿って設けられ、上記線ファスナから所定間隔の隙間を設けて上方に向かうポイントシール部を有する。
【0008】
他の形態におけるパウチは、上記表面シートの上部と上記裏面シートの上部とが互いにシールされることにより形成された上部シール部をさらに有し、上記第1側部シール部および上記第2側部シール部の少なくとも一方の、上記ポイントシール部の下端から上方に対応する位置に、側方横切断補助線が設けられている。
【0009】
他の形態におけるパウチは、上記ポイントシール部内に、縦方向に延びる縦切断補助線が設けられている。
【0010】
他の形態におけるパウチは、上記第1側部シール部および上記第2側部シール部の少なくとも一方の、上記隙間が設けられる位置に対応する位置に、隙間横切断補助線が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
この開示によれば、開閉式の線ファスナを備えるパウチにおいて、開口部の大きさをより選択することが可能な構成を備えるパウチの提供を可能とする。さらに、簡単な製造方法で線ファスナに開口部の大小変更を可能とする構造を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】実施の形態2のパウチの部分拡大正面図である。
【
図3】実施の形態3のパウチの部分拡大正面図である。
【
図6】実施の形態5のパウチの他の形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に基づいた各実施の形態のパウチについて、以下、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
【0014】
以下、図を用いた説明において、図中の薄墨で示す領域は、シートのシール領域を示すものである。
【0015】
内容物としては、特に限定される物ではないが、粉粒体、固体、液体、ゲル流体等の、様々な形態の物質が採用される。
【0016】
(実施の形態1:パウチ1)
本実施の形態のパウチ1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、パウチ1の正面図である。
【0017】
図1を参照して、パウチ1は、表面シート111および裏面シート112を含み、内容物を収容可能な包装袋100と、上端に位置する開口10の開閉を可能とするための開閉式の線ファスナ201とを備える。表面シート111および裏面シート112は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンを含む積層体で構成されている。
【0018】
線ファスナ201は剛性のある樹脂成形品であり、表面シート111および裏面シート112の開閉が可能なように、嵌合面側が表面シート111および裏面シート112の内面側に設けられている。上端に位置する開口10の開閉を可能とする部材であれば、嵌合式の線ファスナ201に限定されず、どのような形式の線ファスナであってもよい。
【0019】
包装袋100は、幅方向(
図2中の左右方向)における表面シート111の端部と裏面シート112の端部とが互いにシールされることにより形成された第1側部シール部102および第2側部シール部103と、表面シート111の下部と裏面シート112の下部とが互いにシールされることにより形成された下部シール部105と、表面シート111の上部と裏面シート112の上部とが互いにシールされることにより形成された上部シール部104とを含む。
【0020】
包装袋100は、幅方向における表面シート111の端部と裏面シート112の端部とが互いにシールされることにより形成された第1側部シール部102および第2側部シール部103と、表面シート111の上部と裏面シート112の上部とが互いにシールされることにより形成された上部シール部104と、表面シート111の下部と裏面シート112の下部とが互いにシールされることにより形成された下部シール部105と、を含む。
【0021】
なお、
図1に示す、パウチ1は、底面ガセットシートを設けない平パウチ形態を示しているが、表面シート111の下部と裏面シート112の下部に底面ガセットシートを設けることで、パウチ1を自立可能なスタンディングパウチ形態としてもよい。
【0022】
線ファスナ201は、第1側部シール部102と第2側部シール部103とを連結するように第1側部シール部102に並行に設けられている。上部シール部104は、線ファスナ201に向かって延び、線ファスナ201との間に所定間隔の隙間S1(約0mm~15mm程度、好ましくは、2mm~10mm程度の間隔)が設けられるポイントシール部110を有する。
【0023】
包装袋100を構成する各シート間のシールや、線ファスナ201を固定する部位のシール方法としては、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等による融着、接着剤による接着等の各種公知の方法を用いるとよい。
【0024】
ポイントシール部110の幅W2は、包装袋100の用途・大きさによるが、本実施の形態では、包装袋100の幅W1に対して1/10~1/20程度の幅に設けられている。本実施の形態では、ポイントシール部110は、包装袋100の横方向(図の左右方向)の中心線P1に対して、ずれた位置(図の左方向)に設けられている。中心線P1上にポイントシール部110を設けてもよいが、ずれた位置に設けることで、後述するように、線ファスナ201に異なる幅の開口を形成することができる。
【0025】
第1側部シール部102の上部シール部104と線ファスナ201との間の位置には、側方横切断補助線K1が設けられている。第2側部シール部103の上部シール部104と線ファスナ201との間の位置には、側方横切断補助線K2および隙間横切断補助線K3が設けられている。側方横切断補助線K1および側方横切断補助線K2は、ポイントシール部110が設けられる位置に対応する位置に設けられている。隙間横切断補助線K3は、隙間S1が設けられる位置に対応する位置に設けられている。
【0026】
対応する位置とは、側方横切断補助線K1および側方横切断補助線K2を上部シール部104に沿って仮に延長した場合には、ポイントシール部110を通過することを意味し、隙間横切断補助線K3を上部シール部104に沿って仮に延長した場合には、隙間S1を通過することを意味する。
【0027】
ポイントシール部110は、ポイントシール部110が延びる方向(図の上下方向)に沿って延びる縦切断補助線K4が設けられている。図では、縦切断補助線K4は、上部シール部104からポイントシール部110の全長にわたって設けられているが、ポイントシール部110の途中領域まで設ける補助線長さであってもよい。
【0028】
上記切断補助線は、ハーフカット線、ミシン目線、切込み線又はこれらの組み合わせ等が例示できる。この開封線L1は、たとえば、レーザ照射により形成されている。
【0029】
上記構成を有するパウチ1においては、例えば、側方横切断補助線K1を用いて包装袋100を切り開いた場合には、破れ線は縦切断補助線K4に到達し、上部シール部104の一部が包装袋100から切離される。これにより、図示の左側に狭い開口が形成されこの部分において線ファスナ201を利用することができる。縦切断補助線K4を開口起点にして、側方横切断補助線K1に向けて切り開いた場合も同様である。
【0030】
他方、側方横切断補助線K2を用いて包装袋100を切り開いた場合には、破れ線は縦切断補助線K4に到達し、上部シール部104の一部が包装袋100から切離される。これにより、図示の右側に広い開口が形成されこの部分において線ファスナ201を利用することができる。縦切断補助線K4を開口起点にして、側方横切断補助線K2に向けて切り開いた場合も同様である。
【0031】
また、側方横切断補助線K1および側方横切断補助線K2の両方を用いて包装袋100を切り開いた場合には、大小2つの開口を同時に利用することも可能となる。
【0032】
さらに、隙間横切断補助線K3を用いて包装袋100を切り開いた場合には、破れ線は第2側部シール部103から隙間S1を通過し第1側部シール部102に到達し、上部シール部104の全てが包装袋100から切離される。これにより、線ファスナ201を全開して利用することができる。なお、最初に側方横切断補助線K1を切り開き、小さい開口で内容物を消費した後、隙間横切断補助線K3を用いて全体を開口し、残った内容物(最後まで出しにくい内容物)を広い開口で使い切るようにしてもよい。
【0033】
このように、本実施の形態におけるパウチ1によれば、内容物の取出量、大きさに適正な開口部の大きさを選択することが可能となる。さらに、簡単な製造方法で線ファスナ201に開口部の大小変更を可能とする構造を採用することができる。
【0034】
(実施の形態2:パウチ1A)
本実施の形態のパウチ1Aの構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、パウチ1Aの上端部分の拡大正面図である。
【0035】
本実施の形態のパウチ1Aの基本的構成は、上記実施の形態1と同じである。相違点は、ポイントシール部110Aの幅W3を広く設け、ポイントシール部110Aに複数の縦切断補助線K4を設けるようにしたものである。例えば、ポイントシール部110Aの幅W3としては、包装袋100の幅W1の1/2以上が挙げられる。
【0036】
このような構成を採用することで、任意の大きさの開口を設けることが可能となり、より内容物の取出量、大きさに適正な開口部の大きさを選択することが可能となる。なお、実施の形態1に示した幅のポイントシール部110を複数設けることによっても同様の作用効果を得ることが可能である。
【0037】
(実施の形態3:パウチ1B)
本実施の形態のパウチ1Bの構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、パウチ1Bの上端部分の拡大正面図である。
【0038】
本実施の形態のパウチ1Bの基本的構成は、上記実施の形態2と同じである。相違点は、ポイントシール部110Bに、側面から内方に向かう非シール部C1を設けるようにしたものである。この非シール部C1を設けることで、この非シール部C1に向かって包装袋100の切り離しを容易に実施することが可能となる。
【0039】
同様の非シール部C1は、上記実施の形態1のポイントシール部110に採用することも可能である。
【0040】
なお、上記各実施の形態では、切断補助線を設ける構成を開示したが、シール部にどの位置でも切り開きが容易な構成が採用されている場合には、切断補助線を設けなくてもよい。
【0041】
(実施の形態4:パウチ1C)
本実施の形態のパウチ1Cの構成について、
図4を参照して説明する。
図4は、パウチ1Cの正面図である。
【0042】
本実施の形態のパウチ1Cの基本的構成は、上記実施の形態1と同じである。相違点は、表面シート111の上部と裏面シート112の上部には、上部シール部が設けられておらず、上端に位置する開口10が開放状態である。ポイントシール部110は、上記実施の形態1と同様に、線ファスナ201との間に所定間隔の隙間S1(約0mm~15mm程度、好ましくは、2mm~10mm程度の間隔)が設けられる。
【0043】
このように、上部シール部が設けられていない場合であっても、ポイントシール部110を設けることによって、任意の大きさの開口を形成することが可能となり、より内容物の取出量、大きさに適正な開口部の大きさを選択することが可能となる。なお、ポイントシール部110を複数設けることによっても同様の作用効果を得ることが可能である。
【0044】
(実施の形態5:パウチ1D)
本実施の形態のパウチ1Dの構成について、
図5を参照して説明する。
図5は、パウチ1Dの正面図である。
【0045】
本実施の形態のパウチ1Dの基本的構成は、上記実施の形態1と同じである。相違点は、実施の形態1のパウチ1Aにおいては、上部シール部104から連続してポイントシール部110が設けられていたが、本実施の形態のパウチ1Dにおいては、ポイントシール部110は、ポイントシール部110と線ファスナ201との間に隙間S1が設けられ、ポイントシール部110と上部シール部104との間に隙間S2が設けられることで、ポイントシール部110が島状に設けられている。
【0046】
第1側部シール部102のポイントシール部110に対応する位置には、側方横切断補助線K1が設けられ、第2側部シール部103のポイントシール部110に対応する位置には、側方横切断補助線K2が設けられている。
【0047】
第1側部シール部102の隙間S1に対応する位置には、隙間横切断補助線K31が設けられ、第2側部シール部103の隙間S1に対応する位置には、隙間横切断補助線K32が設けられている。第1側部シール部102の隙間S2に対応する位置には、隙間横切断補助線K33が設けられ、第2側部シール部103の隙間S2に対応する位置には、隙間横切断補助線K34が設けられている。
【0048】
隙間横切断補助線K33および/または隙間横切断補助線K34を用いて、隙間S2を通過するように包装袋100を切り開いた場合には、上記実施の形態4のパウチ1Cと同じ形態となる。
【0049】
側方横切断補助線K1および/または側方横切断補助線K2を用いて包装袋100を切り開いた場合には、ポイントシール部110を境界として、上記実施の形態1のパウチ1Aと同じ状態となる。
【0050】
なお、
図6に示すように、ポイントシール部110に縦切断補助線K4を設けておいてもよい。
【0051】
なお、上記各実施の形態では、切断補助線を設ける構成を開示したが、シール部にどの位置でも切り開きが容易な構成が採用されている場合には、切断補助線を設けなくてもよい。
【0052】
さらに、上記各実施の形態におけるパウチの構成によれば、樹脂成型品からなる容器に比較して、使用する樹脂量を大幅に削減できるとともに、使用後は気体封入部から気体を除去してコンパクトに折り畳み減容化して、廃棄することを可能とする。
【0053】
以上、各実施の形態において本開示のパウチについて説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1,1A,1B,1C,1D パウチ、100 包装袋、102 第1側部シール部、103 第2側部シール部、104 上部シール部、105 下部シール部、110,110A,110B ポイントシール部、111 表面シート、112 裏面シート、201 線ファスナ。