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特開2023-45707転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045707
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20230327BHJP
   G06Q 20/14 20120101ALI20230327BHJP
   G06Q 20/24 20120101ALI20230327BHJP
【FI】
G06Q50/16
G06Q20/14
G06Q20/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154261
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】521416236
【氏名又は名称】株式会社Sumica Holdings
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】玉川 昌範
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 壽浩
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L055AA32
5L055AA52
(57)【要約】
【課題】管理会社にとって余裕を持った金銭管理を行うことができ、しかも、物件所有者にとって安定した入金体制を確保することができる。
【解決手段】本発明は、物件所有者と、管理会社と、入居者と、保証会社と、を備え、入居者は、所定の賃貸借金を管理会社に対して月ごとに支払うとともに、所定の賃貸借金の滞納が発生した場合に管理会社に対して弁済金を代位弁済した保証会社に対して所定の滞納金を支払う、転貸借システムであって、管理会社との間で会員契約を交わすとともに物件所有者との間で加盟店契約を交わすカード会社を備え、カード会社は、物件所有者に対して転貸借物件における管理会社との転貸借契約の内容に準じた転貸借金を支払うとともに、管理会社に対して会員契約の内容に準じた回収金を徴収する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者と、
当該物件所有者との間で前記不動産物件を転貸借物件として転貸借金を含む管理に関する転貸借契約を交わした管理会社と、
当該管理会社との間で前記転貸借物件を賃貸借物件として賃貸借契約を行う入居者と、
当該入居者との間で保証人の委託契約を交わした保証会社と、
を備え、
前記入居者は、所定の賃貸借金を前記管理会社に対して月ごとに支払うとともに、前記所定の賃貸借金の滞納が発生した場合に前記管理会社に対して弁済金を代位弁済した前記保証会社に対して所定の滞納金を支払う、転貸借システムであって、
前記管理会社との間で会員契約を交わすとともに前記物件所有者との間で加盟店契約を交わすカード会社を備え、
前記カード会社は、前記物件所有者に対して前記転貸借物件における前記管理会社との転貸借契約の内容に準じた転貸借金を支払うとともに、前記管理会社に対して前記会員契約の内容に準じた回収金を徴収する、
ことを特徴とする転貸借システム。
【請求項2】
前記カード会社は、少なくとも次月分の転貸借金を前記物件所有者に支払う、
ことを特徴とする請求項1に記載の転貸借システム。
【請求項3】
前記カード会社は、少なくとも次月分の転貸借金を、前記管理会社からの回収金の入金に先んじて立替金として、前記物件所有者に支払う、
ことを特徴とする請求項2に記載の転貸借システム。
【請求項4】
前記カード会社は、入居者の信用度に応じて前記管理会社若しくは前記保証会社との間で連帯保証契約を交わし、代位弁済金を担保する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の転貸借システム。
【請求項5】
賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者との間で当該不動産物件を転貸借物件として転貸借契約を交わした管理会社が管理するコンピュータが有し、
入居者が毎月の賃貸借金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む賃貸借情報を記憶した賃貸借情報記憶部と、
入居者が毎月の賃貸借金の支払いが延滞した場合に保証会社が弁済金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む弁済情報を記憶した弁済情報記憶部と、
前記賃貸借情報記憶部に記憶した賃貸借情報と前記弁済情報記憶部に記憶した弁済情報とを関連付けして、少なくとも何れか一方からの入金があったか否かを判定するとともに、当該判定結果を含む回収情報を入居者及び当該入居者が入居する転貸借物件と関連付けして表示部に一覧表示させる回収情報処理部と、
を備え、
前記管理会社及び前記物件所有者と転貸借物件に関する契約を交わしたカード会社が管理するコンピュータが有し、
前記管理会社から徴収する毎月の回収金の金融機関口座に関する口座情報を含む回収情報を記憶した回収情報記憶部と、
前記物件所有者に支払う金融機関口座に関する口座情報を含む立替金情報を記憶した立替金情報記憶部と、
前記回収情報記憶部に記憶した回収情報と前記立替金情報記憶部に記憶した立替金情報とを関連付けして、所定の期日までに前記立替金を支払ったか否かを判定するとともに、所定の期日前に前記回収金が徴収されたか否かを判定し、その判定結果を前記管理会社及び前記物件所有者と関連付けして表示部に一覧表示させる入出金情報処理部と、
を備え、
前記入出金情報処理部は、少なくとも次月分の立替金を前記物件所有者に支払うよう前記所定の期日を設定している、
ことを特徴とする転貸借金管理方法。
【請求項6】
前記カード会社が管理するコンピュータは、
前記入居者の前記賃貸借金の支払い実績を含む信用度情報を記憶した信用度情報記憶部と、
予め設定された信用度のランク情報を記憶したランク情報記憶部と、
前記信用度情報記憶部に記憶した信用度情報と前記ランク情報記憶部に記憶したランク情報とを比較して、前記入居者の現在の信用度のランクが何れに対応するのかを判定するとともに、その判定結果を前記表示部に一覧表示させるランク情報処理部と、
を備え、
前記ランク情報処理部は、判定結果が所定ランク以上である場合に、当該ランク付けされた入居者に対する連帯保証人の資格を付与する、
ことを特徴とする請求項7に記載の転貸借金管理方法。
【請求項7】
賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者との間で当該不動産物件を転貸借物件として転貸借契約を交わした管理会社によって管理されるコンピュータに対して、
入居者が毎月の賃貸借金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む賃貸借情報を賃貸借情報記憶部に記憶させる機能と、
入居者が毎月の賃貸借金の支払いが延滞した場合に保証会社が弁済金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む弁済情報を弁済情報記憶部に記憶させる機能と、
前記賃貸借情報記憶部に記憶した賃貸借情報と前記弁済情報記憶部に記憶した弁済情報とを関連付けして、少なくとも何れか一方からの入金があったか否かを回収情報処理部で判定させる機能と、
当該判定結果を含む回収情報を入居者及び当該入居者が入居する転貸借物件と関連付けして一覧表示させる表示機能と、
を実行させ、
前記管理会社及び前記物件所有者と転貸借物件に関する契約を交わしたカード会社が管理するコンピュータに対して、
前記管理会社から徴収する毎月の回収金の金融機関口座に関する口座情報を含む回収情報を回収情報記憶部に記憶させる機能と、
前記物件所有者に支払う金融機関口座に関する口座情報を含む立替金情報を立替金情報記憶部に記憶させる機能と、
前記回収情報記憶部に記憶した回収情報と前記立替金情報記憶部に記憶した立替金情報とを関連付けして、所定の期日までに前記立替金を支払ったか否かを判定する入出金情報処理機能と、
所定の期日前に前記回収金が徴収されたか否かを判定し、その判定結果を前記管理会社及び前記物件所有者と関連付けして一覧表示する表示機能と、
を実行させることを特徴とする転貸借金管理プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の転貸借金管理プログラムを搭載した記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アパートやマンション等の賃貸借物件は、物件所有者と入居希望者との間に不動産会社(宅建士)が仲介し、賃貸契約に際して保証人を立てるようにしている。
【0003】
ここで、保証人には、入居希望者の親族等がなるのが一般的であったが、少子高齢化に伴い、保証人となる親族等がいないという問題が生じている。また、物件所有者にあっても、高齢化に伴い、賃貸借物件の管理を自身で十分に行うことができないという状況が増えつつある。
【0004】
そこで、物件所有者にあっては賃貸借物件の管理を一括して管理会社に委託し、入居希望者にあっては保証人の代理を保証会社に委託する、といった新たな賃貸契約の環境が増えつつある。
【0005】
一方、同じ不動産物件であっても賃貸形式ではない物件、すなわち、分譲マンション等の集合住宅の場合、保証会社は購入者と金融機関(以下、単に「銀行」と総称する)の関係において契約が成立しており、借入金も高額であることから、滞納等が発生した場合であっても弁済等を含め安定した金融システムが構築されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許6022720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した賃貸借物件の場合、物件所有者にとっては分譲マンションの場合における購入者が銀行に支払う毎月の返済額と略同額な賃貸料を、各部屋の入居者から徴収しなければならない。
【0008】
このため、入金の確認を複数の銀行や曜日に跨って行わなければならず、さらには延滞時の処理が発生した場合を含め、賃料等の管理が煩雑であるという問題が発生していた。
【0009】
そこで、建物の清掃・保守・警備等の物質管理に加え、賃料等の管理を含めた転貸借を一つの管理会社で行うことができれば、物件所有者の負担は大幅に軽減される。
【0010】
しかしながら、管理会社にあっては、物件所有者に対する毎月の転貸借金の支払いと、入居者や保証会社に対する毎月の賃貸料等の聴取を短期間のうちに決済しなければならないため、金銭管理業務の煩雑性が解消されるとは言い難かった。
【0011】
このため、管理会社にとって余裕を持った金銭管理業務を遂行することができ、しかも、物件所有者にとって安定した入金体制が確保されることが望まれている。
【0012】
そこで、本発明は、管理会社にとって余裕を持った金銭管理業務を遂行することができ、しかも、物件所有者にとって安定した入金体制を確保することができる転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の転貸借システムは、賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者と、当該物件所有者との間で前記不動産物件を転貸借物件として転貸借金を含む管理に関する転貸借契約を交わした管理会社と、当該管理会社との間で前記転貸借物件を賃貸借物件として賃貸借契約を行う入居者と、当該入居者との間で保証人の委託契約を交わした保証会社と、を備え、前記入居者は、所定の賃貸借金を前記管理会社に対して月ごとに支払うとともに、前記所定の賃貸借金の滞納が発生した場合に前記管理会社に対して弁済金を代位弁済した前記保証会社に対して所定の滞納金を支払う、転貸借システムであって、前記管理会社との間で会員契約を交わすとともに前記物件所有者との間で加盟店契約を交わすカード会社を備え、前記カード会社は、前記物件所有者に対して前記転貸借物件における前記管理会社との転貸借契約の内容に準じた転貸借金を支払うとともに、前記管理会社に対して前記会員契約の内容に準じた回収金を徴収する、ものである。
【0014】
本発明の転貸借システムでは、賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者と、この不動産物件に住む入居者との間に、管理会社が物件管理と賃貸料の聴取等を遂行するために介在している。
【0015】
ここで、物件所有者にとっての不動産物件は管理会社との間で転定借物件として扱われる。また、管理会社にとっての転貸借物件は入居人との間で賃貸借物件として扱われる。
【0016】
したがって、賃貸借物件としての賃貸料には、管理会社が定めた管理費等を含む賃貸料に設定することができる。
【0017】
一方、入居者は、管理会社との契約時に必要となる保証人に保証会社を立てることにより、管理会社に対する賃貸料等に滞納が発生した場合の補償を可能としている。
【0018】
カード会社は、管理会社と会員契約すると共に物件所有者と加盟店契約することによって、管理会社と物件所有者との転貸借契約上の金額を定期日に支払うようになっている。なお、ここでの決済には、周知のクレジットカードの運用、例えば、物件所有者を物品販売店舗、管理会社をクレジットカード利用により物品購入する購入者、とした場合と同様に、所定の〆日と支払日とによって決済することができる。また、通常の物品購入時と異なり、賃貸借物件は翌月分の賃貸料を前月の所定期日までに支払うことを前提としている場合が多く、かつ。毎月の賃貸料も一定である場合が多いことから、これらを考慮した日程での決済方式を採用してもよい。
【0019】
したがって、賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者は、管理会社と不動産物件に対する転貸借契約を結ぶことで、物件の管理・空室対応・賃料回収等の煩雑な賃貸借業務を不要としつつ、転貸借契約に基づく毎月の収入を定期日に安定して得ることが可能となる。
【0020】
管理会社は、物件所有者と物件管理を含む転貸借契約を結ぶことにより、入居者から入退去時に発生する報酬や毎月の管理費等の収入を回収金として得ることが可能となる。また、入居者が滞納した場合であっても、保証会社から賃貸料が保証される。
【0021】
保証会社は、入居者から契約金や毎月の保証金等の収入を得ることができる。
【0022】
カード会社は、通常のクレジットカードの利用形態と同様に、例えば、管理会社からは年間会員手数料等の収入を得るとともに、加盟店契約をした物件所有者から手数料を得ることができる。また、カード会社は、入居者に滞納等が発生した場合であっても、金銭の授受は管理会社と物件所有者との間でのみ発生していることから、管理会社からの回収金は満額保証される。
【0023】
本発明の転貸借システムは、前記カード会社は、少なくとも次月分の転貸借金を前記物件所有者に支払う、ものである。
【0024】
上述したように、賃貸借物件においては、前月に翌月分の賃貸料を入居者が支払うようになっているのが現在においても一般的となっている。
【0025】
このため、カード会社から物件所有者への入金においても、例えば、入居契約時に当月分と翌月分に加え、滞納や退去時の修繕費として置き換え可能な翌々月分の3ヶ月分の費用を管理会社が徴収していれば、前月末日までに翌月分の賃貸料について、滞納が発生していない通常時であれば管理会社とカード会社とが負債を抱えることなく決済することができる。
【0026】
本発明の転貸借システムは、前記カード会社は、少なくとも次月分の転貸借金を、前記管理会社からの回収金の入金に先んじて立替金として、前記物件所有者に支払う、ものである。
【0027】
さらに、物件所有者は、自身も物件購入時や建て替え時に銀行等から借入を行っている場合があるが、その借入金に対する毎月の支払についても、前月末までにカード会社からの入金があれば滞納なく支払いを行うことができる。
【0028】
本発明の転貸借システムは、前記カード会社は、入居者の信用度に応じて前記管理会社若しくは前記保証会社との間で連帯保証契約を交わし、代位弁済金を担保する、ものである。
【0029】
カード会社は、管理会社や保証会社とは別に入居者に対する信用度を、過去の自社又は他社のカード利用時における滞納の有無等を考慮して設定することができる。これにより、管理会社若しくは保証会社との間で連帯保証契約を交わし、保証会社による代位弁済金を担保するといった保証制度を保護することが可能となる。
【0030】
また、本発明の転貸借金管理方法は、賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者との間で当該不動産物件を転貸借物件として転貸借契約を交わした管理会社が管理するコンピュータが有し、入居者が毎月の賃貸借金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む賃貸借情報を記憶した賃貸借情報記憶部と、入居者が毎月の賃貸借金の支払いが延滞した場合に保証会社が弁済金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む弁済情報を記憶した弁済情報記憶部と、前記賃貸借情報記憶部に記憶した賃貸借情報と前記弁済情報記憶部に記憶した弁済情報とを関連付けして、少なくとも何れか一方からの入金があったか否かを判定するとともに、当該判定結果を含む回収情報を入居者及び当該入居者が入居する転貸借物件と関連付けして表示部に一覧表示させる回収情報処理部と、を備え、前記管理会社及び前記物件所有者と転貸借物件に関する契約を交わしたカード会社が管理するコンピュータが有し、前記管理会社から徴収する毎月の回収金の金融機関口座に関する口座情報を含む回収情報を記憶した回収情報記憶部と、前記物件所有者に支払う金融機関口座に関する口座情報を含む立替金情報を記憶した立替金情報記憶部と、前記回収情報記憶部に記憶した回収情報と前記立替金情報記憶部に記憶した立替金情報とを関連付けして、所定の期日までに前記立替金を支払ったか否かを判定するとともに、所定の期日前に前記回収金が徴収されたか否かを判定し、その判定結果を前記管理会社及び前記物件所有者と関連付けして表示部に一覧表示させる入出金情報処理部と、を備え、前記入出金情報処理部は、少なくとも次月分の立替金を前記物件所有者に支払うよう前記所定の期日を設定している、ものである。
【0031】
賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者との間で当該不動産物件を転貸借物件として転貸借契約を交わした管理会社は、賃貸借情報記憶部及び弁済情報記憶部並びに回収情報処理部を有するコンピュータを管理する。
【0032】
賃貸借情報記憶部は、入居者が毎月の賃貸借金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む賃貸借情報を記憶(更新)している。
【0033】
弁済情報記憶部は、入居者が毎月の賃貸借金の支払いが延滞した場合に保証会社が弁済金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む弁済情報を記憶(更新)している。
【0034】
回収情報処理部は、賃貸借情報記憶部に記憶した賃貸借情報と弁済情報記憶部に記憶した弁済情報とを関連付けして、少なくとも何れか一方からの入金があったか否かを判定するとともに、当該判定結果を含む回収情報を入居者及び当該入居者が入居する転貸借物件と関連付けして表示部に一覧表示させるようになっている。
【0035】
一方、管理会社及び物件所有者と転貸借物件に関する契約を交わしたカード会社は、回収情報記憶部及び立替金情報記憶部並びに入出金情報処理部を有するコンピュータを管理する。
【0036】
回収情報記憶部は、管理会社が徴収する毎月の回収金の金融機関口座に関する口座情報を含む回収情報を記憶(更新)している。
【0037】
立替金情報記憶部は、物件所有者に支払う金融機関口座に関する口座情報を含む立替金情報を記憶(更新)している。
【0038】
入出金情報処理部は、回収情報記憶部に記憶した回収情報と立替金情報記憶部に記憶した立替金情報とを関連付けして、所定の期日までに立替金を支払ったか否かを判定するとともに、所定の期日前に回収金が徴収されたか否かを判定することによって、管理者が入出金状況を把握すべく、その判定結果を管理会社及び物件所有者と関連付けして表示部に一覧表示させる。
【0039】
ここで、管理会社が管理するコンピュータの表示部には、入居者及び保証会社の何れかから入金があった旨だけを表示してもよいし、その金額や入金月日等を含ませ、年度分や過去数か月分の毎月の入金状況を表として表示してもよい。
【0040】
同様に、カード会社が管理するコンピュータの表示部には、管理会社からの入金があった旨及び物件所有者への出金をした旨だけを表示してもよいし、その金額や入金月日等を含ませ、年度分や過去数か月分の毎月の入出金状況を表として表示してもよい。
【0041】
前記入出金情報処理部は、少なくとも次月分の立替金を前記物件所有者に支払うよう前記所定の期日を設定している、ものである。
【0042】
この際、上述したように、次月分の賃貸料(転貸借料)を前月末までに物件所有者に支払う契約となっているカード会社は、その賃貸料(転貸借料)を回収金として決済するように期日設定を行うことができる。これにより、延滞の発生を抑制することができる。
【0043】
また、本発明の転貸借金管理方法は、前記カード会社が管理するコンピュータは、前記入居者の前記賃貸借金の支払い実績を含む信用度情報を記憶した信用度情報記憶部と、予め設定された信用度のランク情報を記憶したランク情報記憶部と、前記信用度情報記憶部に記憶した信用度情報と前記ランク情報記憶部に記憶したランク情報とを比較して、前記入居者の現在の信用度のランクが何れに対応するのかを判定するとともに、その判定結果を前記表示部に一覧表示させるランク情報処理部と、を備え、前記ランク情報処理部は、判定結果が所定ランク以上である場合に、当該ランク付けされた入居者に対する連帯保証人の資格を付与する、ものである。
【0044】
カード会社は、管理会社や保証会社とは別に入居者に対する信用度を、過去の自社又は他社のカード利用時における滞納の有無等を考慮してランク付けして設定することができる。これにより、管理会社若しくは保証会社との間で連帯保証契約を交わし、保証会社による代位弁済金を担保するといった保証制度を保護することが可能となる。なお、ランクは、2段階(例えば、単なる保証無しと保証有り)以上であれば特に限定されず、そのランクに応じてカード会社における代位弁済の割合を変えて設定することができる。
【0045】
また、本発明の転貸借金管理プログラムは、賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者との間で当該不動産物件を転貸借物件として転貸借契約を交わした管理会社によって管理されるコンピュータに対して、入居者が毎月の賃貸借金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む賃貸借情報を賃貸借情報記憶部に記憶させる機能と、入居者が毎月の賃貸借金の支払いが延滞した場合に保証会社が弁済金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む弁済情報を弁済情報記憶部に記憶させる機能と、前記賃貸借情報記憶部に記憶した賃貸借情報と前記弁済情報記憶部に記憶した弁済情報とを関連付けして、少なくとも何れか一方からの入金があったか否かを回収情報処理部で判定させる機能と、当該判定結果を含む回収情報を入居者及び当該入居者が入居する転貸借物件と関連付けして一覧表示させる表示機能と、を実行させ、前記管理会社及び前記物件所有者と転貸借物件に関する契約を交わしたカード会社が管理するコンピュータに対して、前記管理会社から徴収する毎月の回収金の金融機関口座に関する口座情報を含む回収情報を回収情報記憶部に記憶させる機能と、前記物件所有者に支払う金融機関口座に関する口座情報を含む立替金情報を立替金情報記憶部に記憶させる機能と、前記回収情報記憶部に記憶した回収情報と前記立替金情報記憶部に記憶した立替金情報とを関連付けして、所定の期日までに前記立替金を支払ったか否かを判定する入出金情報処理機能と、所定の期日前に前記回収金が徴収されたか否かを判定し、その判定結果を前記管理会社及び前記物件所有者と関連付けして一覧表示する表示機能と、を実行させるものである。
【0046】
また、本発明の記録媒体は請求項7に記載の転貸借金管理プログラムを搭載したものである。
【発明の効果】
【0047】
本発明の転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体は、管理会社にとって余裕を持った金銭管理を行うことができ、しかも、物件所有者にとって安定した入金体制を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の一実施形態に係る転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体に適用される契約関係を示す説明図である。
図2】本発明の一実施形態に係る転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体に適用される金銭の流れの一例を示す説明図である。
図3】本発明の一実施形態に係る転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体に適用される金銭の入出金タイミングを示す説明図である。
図4】本発明の一実施形態に係る転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体に適用されるシステムブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
次に、本発明の一実施形態に係る転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の転貸借システム、転貸借金管理方法、転貸借金管理プログラム並びに記録媒体における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組み合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0050】
図1において、1は賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者、2は物件所有者1との間で不動産物件を転貸借物件として転貸借金を含む管理に関する転貸借契約を交わした管理会社、3は管理会社との間で転貸借物件を賃貸借物件として賃貸借契約を行う入居者、4は入居者3との間で保証人の委託契約を交わす保証会社、5は管理会社2との間で会員契約を交わすとともに物件所有者1との間で加盟店契約を交わすカード会社、である。
【0051】
なお、一般的に、物件所有者1は複数の賃貸用物件を有しており、その数を最大限として複数の入居者3が存在している。したがって、物件所有者1と入居者3にとって管理会社2は基本的には1社であるが、保証会社4は入居者3によって異なる場合が想定される。
【0052】
同様に、物件所有者1は、一人が複数の物件(建物)を所有している場合を含めて、複数存在している場合が想定される。
【0053】
したがって、管理会社2は、複数の物件所有者1と、複数の入居者3と、複数の保証会社4と、が複雑に重複した契約関係を運営上処理しなければならない。
【0054】
一方、カード会社5は、複数の物件所有者1と加盟店契約を締結するものの、物件所有者1と管理会社2とは1対1で契約が成立しているため、異なる物件所有者1が同一の管理会社2に転貸借契約を結んでいる場合を想定すると、物件所有者1の数よりも少ない管理会社2と会員契約を締結することとなる。
【0055】
したがって、カード会社5は、その入手金の管理業務について、管理会社2における入出金の管理業務よりも簡素な管理業務形態とすることができ、物件所有者1に対する出金(支払い)について、後述する前月末までの短期間の支払い業務に有利となる。
【0056】
同様に、管理会社2は、物件メンテナンスや管理人の割り当てといった管理業務に加えて、転貸借物件における入居者3との間での賃貸料の入金管理を行う必要があるが、入居者3による入金から物件所有者1への転貸借料の支払いを前月末までの短期間で処理になければならないという複雑な管理業務を回避することができるという利点を有している。
【0057】
また、カード会社5は、管理会社2に対して物理的なカードCを発行してもよいし、仮想のカードCを発行(例えば、会員番号等のみを発行)してもよい。
【0058】
なお、上述したように、現実では、複数の建物についてそれぞれ物件所有者1が存在し、当然に入居者3は物件数以上に多数存在し、それぞれについて管理会社2及び保証会社4も多数存在している。
【0059】
そこで、以下の説明では、一つの管理会社2が複数(例えば、3棟の建物に対する3人)の物件所有者(図2において建物で代用)1と転貸借契約を締結し、一人の入居者3と一つの保証会社4との関係において管理会社2とカード会社5が実行する入手金の流れとして説明する。
【0060】
図2において、管理会社2は、物件所有者1との転貸借契約において、建物の大きさや賃貸家屋戸数及び管理内容(清掃業務のみや管理人の常駐など)、空室保障の有無等に応じて契約金を受け取ることができるが、毎月の管理費等は入居者から受け取るものとして物件所有者1からはそれ以上の料金は、例えば、年度毎の更新料等が発生する場合を除いて、月毎には発生しないようにすることができる。
【0061】
これにより、物件所有者1は、毎月の支払いを管理することなく、金銭的に支出の負担が軽減されている。なお、空室保証とは、入居者3が転居して空室となっている場合の賃貸料を管理会社2が保証するのか否かを契約時に設定するものである。
【0062】
例えば、空室が存在している際であっても物件所有者には定額(例えば、1戸につき賃貸借料の85%×全戸数)を保証する空室保証ありの場合と、空室が存在している際には物件所有者には変動(例えば、1戸につき賃貸借料の95%×入居戸数)する空室保証なしの場合と、がある。
【0063】
また、ここでの賃貸借料とは、管理会社2を介在させていない場合における物件所有者1が地域相場等を考慮して決定した賃貸借料である。したがって、入居者3が別途支払う管理費等はこの賃貸料には含まれず、管理会社が任意に設定した管理費として転貸借料に含ませることができる。
【0064】
また、物件所有者1が受け取ることのできる賃貸借料には、例えば、駐車場代や駐輪場代、或いは、共用部の公共料金代、などを含ませることができる。この際、これらの料金は、例えば、入居後に追加契約した場合を含めて入居者3によって月単位で変動することも想定される。
【0065】
したがって、このような追加・変動する可能性のある料金を賃貸借料に含ませる場合には、上述した空室保証の有無に拘わらず、設定金額や使用金額に応じて、次月以降に設定金額(駐車場代・駐輪場代)の場合には定額性で毎月、使用金額(電気代等)の場合には変動制で毎月、追加の賃貸借金を徴取可能とすることができる。
【0066】
カード会社5は、上記設定金額の場合には賃貸借料と同様に前月末までに翌月分として、上記使用金額の場合には料金決定後の翌月以降に前月分として、管理会社2からの回収金に基づいて物件所有者1に立替金として支払うものとする。
【0067】
したがって、カード会社5は、管理会社2について、物件所有者1とで転貸借関係にある必要な情報に加え、管理会社2から回収金を受け取るための管理会社2の振込口座情報等を取得するようになっている。同様に、カード会社5は、物件所有者1について、管理会社2とで転貸借関係にある必要な情報に加え、物件所有者1に立替金を支払うための物件所有者1の振込口座情報等を取得するようになっている。
【0068】
一方、管理会社2は、入居者3から管理費を含む賃貸借金を受け取ると共に、必要に応じて上述した追加の賃貸借金を受け取るようになっている。この際の料金は、所謂銀行振り込みであってもよいし、カード決済(カード会社5とは別)によって行ってもよい。
【0069】
したがって、管理会社2は、入居者3について、物件所有者1とで入居関係にある必要な情報に加え、保証会社4の保証情報(保証会社名等)、入居者3から賃貸借金を受け取るための入居者3の振込口座情報、保証会社4から弁済金を受け取るための保証会社4の振込口座情報等を取得するようになっている。
【0070】
保証会社4は、公知の賃貸借物件(転貸借物件)により、入居者3について、管理会社2とで賃貸借関係にある必要な情報に加え、入居者3から委託金並びに滞納金を受け取るための入居者3の振込口座情報、管理会社に弁済金を支払うための管理会社2の振込口座情報等を取得するようになっている。
【0071】
次に、このようなシステムを実現するための方法について、図3に基づいて説明する。なお、保証会社4が行う滞納処理方法については、保証会社4が管理するコンピュータによって実現される公知の方法を用いることができるため、ここではその詳細な説明は省略する。
【0072】
同様に、入居者3が管理する賃貸借金の支払い管理、並びに、物件所有者が管理する立替金の入金管理については、取引銀行の通帳等に基づいて個々に管理されるものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
【0073】
一例として、1ヶ月分の賃貸借金の流れを先に説明すると、図3に示すように、管理会社2から入居者3には毎月の所定の期日までに請求書が送達される。
【0074】
入居者3は、この請求書に記載の請求金額を了承した場合に、請求された次月分の賃貸借料を管理会社2の取引銀行へと入金を行う。なお、ここでは自動引き落としの場合を含ませることができる。
【0075】
管理会社2は、請求金額の満額が入金されたか(又は引き落としできたか)の確認を行い、その入金連絡を保証会社4へと通知する。なお、満額入金があった場合には、保証会社4への通知は行わなくてもよい。
【0076】
したがって、保証会社4は、入居者3についての滞納が発生していない状況では滞納処理を実行せず、滞納が発生した場合に、管理会社2及び入居者3に対して所定の滞納保証処理及び滞納処理を実行する。
【0077】
カード会社5は、管理会社2からの回収金の入金を確認したのち、物件所有者1に対して立替金を支払う。なお、回収金の入金と立替金の支払いとは期日的に逆でもよい。
【0078】
このような賃貸借金の入出金において、図4に示すように、管理会社2が管理するコンピュータ20は、制御部21、記憶部22、データベース部23、表示部24、通信部25を備える。同様に、カード会社5が管理するコンピュータ50は、制御部51、記憶部52、データベース部53、表示部54、通信部55を備える。
【0079】
通信部25及び通信部55は、電気通信回線を通じて転貸借について必要な各種情報の送受信を相互に可能とするものである。したがって、通信部25及び通信部55は、物件所有者1、入居者3、保証会社4に対して、必要があればこれらと各種情報の送受信を可能とすることができる。
【0080】
制御部21は、記憶部22に記憶されたオペレーティングシステム並びに本発明の賃貸借管理業務用アプリケーション等に基づいて賃貸借管理業務を実行する。また、制御部21は、回収情報処理部21aを含む。制御部21は、記憶部22に記憶した情報に基づいて、データベース部23に所定のデータベースを格納する。さらに、制御部21は、例えば、賃貸借管理・転貸借管理等に関する画像を表示部24に表示させる。
【0081】
記憶部22は、上述したオペレーティングシステム並びに各種アプリケーションを記憶している他、賃貸借情報記憶部22a、弁済情報記憶部22bを含む。
【0082】
制御部51は、記憶部52に記憶されたオペレーティングシステム並びに本発明の立替金管理業務用アプリケーション等に基づいて立替金管理業務を実行する。また、制御部51は、入出金情報処理部51aを含む。制御部51は、記憶部52に記憶した情報に基づいて、データベース部53に所定のデータベースを格納する。さらに、制御部51は、例えば、立替管理等に関する画像を表示部54に表示させる。
【0083】
記憶部52は、上述したオペレーティングシステム並びに各種アプリケーションを記憶している他、回収情報記憶部52a、立替金情報記憶部52bを含む。
【0084】
本実施では、賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者1と、この不動産物件に住む入居者3との間に、管理会社2が物件管理と賃貸料の聴取等を遂行するために介在している。
【0085】
ここで、物件所有者1にとっての不動産物件は管理会社2との間で転定借物件として扱われる。また、管理会社2にとっての転貸借物件は入居人との間で賃貸借物件として扱われる。
【0086】
したがって、賃貸借物件としての賃貸料には、管理会社2が定めた管理費等を含む賃貸料に設定することができる。
【0087】
一方、入居者3は、管理会社2との契約時に必要となる保証人に保証会社4を立てることにより、管理会社2に対する賃貸料等に滞納が発生した場合の補償を可能としている。
【0088】
カード会社5は、管理会社2と会員契約すると共に物件所有者1と加盟店契約することによって、管理会社2と物件所有者1との転貸借契約上の金額を定期日に支払うようになっている。
【0089】
なお、ここでの決済には、周知のクレジットカードの運用、例えば、物件所有者1を物品販売店舗、管理会社2をクレジットカード利用により物品購入する購入者、とした場合と同様に、所定の〆日と支払日とによって決済することができる。
【0090】
また、通常の物品購入時と異なり、賃貸借物件は翌月分の賃貸料を前月の所定期日までに支払うことを前提としている場合が多く、かつ。毎月の賃貸料も一定である場合が多いことから、これらを考慮した日程での決済方式を採用してもよい。
【0091】
したがって、賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者1は、管理会社2と不動産物件に対する転貸借契約を結ぶことで、物件の管理・空室対応・賃料回収等の煩雑な賃貸借業務を不要としつつ、転貸借契約に基づく毎月の収入を定期日に安定して得ることが可能となる。
【0092】
管理会社2は、物件所有者1と物件管理を含む転貸借契約を結ぶことにより、入居者3から入退去時に発生する報酬や毎月の管理費等の収入を回収金として得ることが可能となる。また、入居者3が滞納した場合であっても、保証会社4から賃貸料が保証される。
【0093】
保証会社4は、入居者3から契約金や毎月の保証金等の収入を得ることができる。
【0094】
カード会社5は、通常のクレジットカードの利用形態と同様に、例えば、管理会社2からは年間会員手数料等の収入を得るとともに、加盟店契約をした物件所有者1から手数料を得ることができる。
【0095】
また、カード会社5は、入居者3に滞納等が発生した場合であっても、金銭の授受は管理会社2と物件所有者1との間でのみ発生していることから、管理会社2からの回収金は満額保証される。
【0096】
本実施の形態に係る転貸借システムは、カード会社5は、少なくとも次月分の転貸借金を物件所有者1に支払う。
【0097】
上述したように、賃貸借物件においては、前月に翌月分の賃貸料を入居者3が支払うようになっているのが現在においても一般的となっている。
【0098】
このため、カード会社5から物件所有者1への入金においても、例えば、入居契約時に当月分と翌月分に加え、滞納や退去時の修繕費として置き換え可能な翌々月分の3ヶ月分の費用を管理会社2が徴収していれば、前月末日までに翌月分の賃貸料について、滞納が発生していない通常時であれば管理会社2とカード会社5とが負債を抱えることなく決済することができる。
【0099】
本実施の形態に係る転貸借システムは、カード会社5は、少なくとも次月分の転貸借金を、管理会社2からの回収金の入金に先んじて立替金として、物件所有者1に支払う。
【0100】
さらに、物件所有者1は、自身も物件購入時や建て替え時に銀行等から借入を行っている場合があるが、その借入金に対する毎月の支払についても、前月末までにカード会社5からの入金があれば滞納なく支払いを行うことができる。
【0101】
本実施の形態に係る転貸借システムは、カード会社5は、入居者3の信用度に応じて管理会社2若しくは保証会社4との間で連帯保証契約を交わし、代位弁済金を担保する。
【0102】
カード会社5は、管理会社2や保証会社4とは別に入居者3に対する信用度を、過去の自社又は他社のカード利用時における滞納の有無等を考慮して設定することができる。
【0103】
これにより、管理会社2若しくは保証会社4との間で連帯保証契約を交わし、保証会社4による代位弁済金を担保するといった保証制度を保護することが可能となる。
【0104】
ここで、コンピュータ20は、賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者1との間で当該不動産物件を転貸借物件として転貸借契約を交わした管理会社2が管理する。
【0105】
賃貸借情報記憶部22aは、入居者3が毎月の賃貸借金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む賃貸借情報を記憶(更新)する。
【0106】
弁済情報記憶部22bは、入居者3が毎月の賃貸借金の支払いが延滞した場合に保証会社4が弁済金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む弁済情報を記憶(更新)する。
【0107】
回収情報処理部21aは、賃貸借情報記憶部22aに記憶した賃貸借情報と弁済情報記憶部22bに記憶した弁済情報とを関連付けして、少なくとも何れか一方からの入金があったか否かを判定する。
【0108】
さらに回収情報処理部21aは、その判定結果を含む回収情報を入居者3及び当該入居者3が入居する転貸借物件と関連付けして表示部24に一覧表示させる。
【0109】
これにより、コンピュータ20の管理者は、賃貸借物件に対する賃貸料の入金があったか否かを表示部24の表示によって管理することができる。
【0110】
一方、コンピュータ50は、管理会社2及び物件所有者1と転貸借物件に関する契約を交わしたカード会社5が管理する。
【0111】
回収情報記憶部52aは、管理会社2から徴収する毎月の回収金の金融機関口座に関する口座情報を含む回収情報を記憶する。
【0112】
立替金情報記憶部52bは、物件所有者1に支払う金融機関口座に関する口座情報を含む立替金情報を記憶する。
【0113】
入出金情報処理部51aは、回収情報記憶部52aに記憶した回収情報と立替金情報記憶部52bに記憶した立替金情報とを関連付けして、所定の期日までに当月分の立替金を前月中に支払ったか否かを判定する。
【0114】
さらに、入出金情報処理部51aは、所定の期日前に回収金が徴収されたか否かを判定し、その判定結果を管理会社2及び物件所有者1と関連付けして表示部54に一覧表示させる。
【0115】
この際、入出金情報処理部51aは、少なくとも次月分の立替金を物件所有者1に支払うよう所定の期日を設定している。
【0116】
これにより、コンピュータ50の管理者は、賃貸借物件に対する回収金の入金があったか否か、及び、賃貸借物件に対する立替金を入金したかを表示部24の表示によって管理することができる。
【0117】
賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者1との間で当該不動産物件を転貸借物件として転貸借契約を交わした管理会社2は、賃貸借情報記憶部22a及び弁済情報記憶部22b並びに回収情報処理部21aを有するコンピュータ20を管理する。
【0118】
賃貸借情報記憶部22aは、入居者3が毎月の賃貸借金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む賃貸借情報を更新することができる。
【0119】
弁済情報記憶部22bは、入居者3が毎月の賃貸借金の支払いが延滞した場合に保証会社4が弁済金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む弁済情報を更新することができる。
【0120】
回収情報処理部21aは、賃貸借情報記憶部22aに記憶した賃貸借情報と弁済情報記憶部22bに記憶した弁済情報とを関連付けして、少なくとも何れか一方からの入金があったか否かを判定するとともに、当該判定結果を含む回収情報を入居者3及び当該入居者3が入居する転貸借物件と関連付けして表示部24に月別で過去分を含めた実績を一覧表示させることができる。
【0121】
一方、管理会社2及び物件所有者1と転貸借物件に関する契約を交わしたカード会社5は、回収情報記憶部52a及び立替金情報記憶部52b並びに入出金情報処理部51aを有するコンピュータ50を管理する。
【0122】
回収情報記憶部52aは、管理会社2が徴収する毎月の回収金の金融機関口座に関する口座情報を含む回収情報を更新する。
【0123】
立替金情報記憶部52bは、物件所有者1に支払う金融機関口座に関する口座情報を含む立替金情報を更新する。
【0124】
入出金情報処理部51aは、回収情報記憶部52aに記憶した回収情報と立替金情報記憶部52bに記憶した立替金情報とを関連付けして、所定の期日までに立替金を支払ったか否かを判定するとともに、所定の期日前に回収金が徴収されたか否かを判定することによって、管理者が入出金状況を把握すべく、その判定結果を管理会社2及び物件所有者1と関連付けして表示部54に月別で過去分を含めた実績を一覧表示させることができる。
【0125】
このように、管理会社2が管理するコンピュータ20の表示部24には、入居者3及び保証会社4の何れかから入金があった旨だけを表示してもよいし、その金額や入金月日等を含ませ、年度分や過去数か月分の毎月の入金状況を一覧表として表示してもよい。
【0126】
同様に、カード会社5が管理するコンピュータ50の表示部54には、管理会社2からの入金があった旨及び物件所有者1への出金をした旨だけを表示してもよいし、その金額や入金月日等を含ませ、年度分や過去数か月分の毎月の入出金状況を一覧表として表示してもよい。
【0127】
入出金情報処理部51aは、少なくとも次月分の立替金を物件所有者1に支払うよう所定の期日を設定している。
【0128】
この際、上述したように、次月分の賃貸料(転貸借料)を前月末までに物件所有者1に支払う契約となっているカード会社5は、その賃貸料(転貸借料)を回収金として決済するように期日設定を行うことができる。これにより、延滞の発生を抑制することができる。
【0129】
また、本実施の形態に係る転貸借金管理方法は、カード会社5が管理するコンピュータ50は、入居者3の賃貸借金の支払い実績を含む信用度情報を記憶した信用度情報記憶部と、予め設定された信用度のランク情報を記憶したランク情報記憶部と、信用度情報記憶部に記憶した信用度情報とランク情報記憶部に記憶したランク情報とを比較して、入居者3の現在の信用度のランクが何れに対応するのかを判定するとともに、その判定結果を表示部に一覧表示させるランク情報処理部と、を備え、ランク情報処理部は、判定結果が所定ランク以上である場合に、当該ランク付けされた入居者3に対する連帯保証人の資格を付与する。
【0130】
カード会社5は、管理会社2や保証会社4とは別に入居者3に対する信用度を、過去の自社又は他社のカード利用時における滞納の有無等を考慮してランク付けして設定することができる。これにより、管理会社2若しくは保証会社4との間で連帯保証契約を交わし、保証会社4による代位弁済金を担保するといった保証制度を保護することが可能となる。なお、ランクは、2段階(例えば、単なる保証無しと保証有り)以上であれば特に限定されず、そのランクに応じてカード会社5における代位弁済の割合を変えて設定することができる。
【0131】
また、本実施の形態に係る転貸借金管理プログラムは、賃貸借用の不動産物件を所有する物件所有者1との間で当該不動産物件を転貸借物件として転貸借契約を交わした管理会社2によって管理されるコンピュータ20に対して、入居者3が毎月の賃貸借金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む賃貸借情報を賃貸借情報記憶部22aに記憶させる機能を実行する。
【0132】
また、入居者3が毎月の賃貸借金の支払いが延滞した場合に保証会社4が弁済金を支払う金融機関口座に関する口座情報を含む弁済情報を弁済情報記憶部22bに記憶させる機能を実行する。
【0133】
また、賃貸借情報記憶部22aに記憶した賃貸借情報と弁済情報記憶部22bに記憶した弁済情報とを関連付けして、少なくとも何れか一方からの入金があったか否かを回収情報処理部21aで判定させる機能を実行する。
【0134】
さらに、当該判定結果を含む回収情報を入居者3及び当該入居者3が入居する転貸借物件と関連付けして一覧表示させる表示機能を実行する。
【0135】
管理会社2及び物件所有者1と転貸借物件に関する契約を交わしたカード会社5が管理するコンピュータ50に対して、管理会社2から徴収する毎月の回収金の金融機関口座に関する口座情報を含む回収情報を回収情報記憶部52aに記憶させる機能を実行する。
【0136】
また、物件所有者1に支払う金融機関口座に関する口座情報を含む立替金情報を立替金情報記憶部52bに記憶させる機能を実行する。
【0137】
また、回収情報記憶部52aに記憶した回収情報と立替金情報記憶部52bに記憶した立替金情報とを関連付けして、所定の期日までに立替金を支払ったか否かを判定する入出金情報処理機能を実行する。
【0138】
また、所定の期日前に回収金が徴収されたか否かを判定し、その判定結果を管理会社2及び物件所有者1と関連付けして一覧表示する表示機能を実行する。
【0139】
また、本実施の形態に係る記録媒体には、上述したコンピュータ20で実行されるプログラム(アプリケーション)及びコンピュータ50で実行されるプログラム(アプリケーション)が搭載されている。
【0140】
これにより、例えば、図3に示した流れにおいて、カード会社5とカード加盟店契約を行った物件所有者1は、カード会社5から、例えば、当月分賃料を入居者3が入金する前の前月25日までに立替払いとして入金されることも可能となる。これにより、転貸人としての物件所有者1は、全件全額入金が約束される。
【0141】
また、カード会員契約を行った管理会社2は、カード会社5に当月分賃料を当月末日に銀行振込で入金することにより、入居者3からの回収金若しくは保証会社4からの代位弁済金を振替ることが可能となる。
このような2通りの金銭の流れによって、転借人である管理会社2は、転貸借の差益を確実に内部留保することも可能となる。ここで、上述した空室保証有りの場合の金銭的なリスクは、短期解約や違約金などで補うことも可能である。
【0142】
その結果として、カード会社5は、GAPファイナンスにかかる加盟店手数料を確保することも可能となり、例えば、アドオン方式によって当月分賃料×1.2%の差益を得ることも可能となる。
【0143】
しかも、賃貸借契約において入居者3の口座振替の受託も可能であるため、カード会社5が当月分賃料に200円を加算して請求するなどの手数料を利益として算出することも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
このようなシステムによれば、不動産管理機能と賃貸保証機能を併せ持ち、賃貸保証を自動付帯した物件の一括仕入れを行うといった新たな産業として期待できる。
【符号の説明】
【0145】
1 物件所有者
2 管理会社
3 入居者
4 保証会社
5 カード会社
20 コンピュータ
21 制御部
21a 回収情報処理部
22 記憶部
22a 賃貸借情報記憶部
22b 弁済情報記憶部
23 データベース部
24 表示部
25 通信部
50 コンピュータ
51 制御部
51a 入出金情報処理部
52 記憶部
52a 回収情報記憶部
52b 立替金情報記憶部
53 データベース部
54 表示部
55 通信部
C カード

図1
図2
図3
図4