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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045710
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】作業装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/08 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
B65H67/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154266
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 真人
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA07
3F112JA03
3F112JA08
(57)【要約】
【課題】動作の自由度を確保しつつ、機能機構における機能を適切に発揮させることができる作業装置を提供する。
【解決手段】ロボット1は、ロボット機構2と、ロボット機構2に取り付けられ、圧縮流体によって所定の機能を発揮するサクション機構3と、ロボット機構2に取り付けられ、圧縮流体を貯留するタンク4と、ロボット機構2に取り付けられると共にサクション機構3とタンク4との間に設けられ、タンク4からサクション機構3への圧縮流体の供給量を制御する電磁弁5と、ロボット機構2に配設され、タンク4に圧縮流体を供給する供給ホース7と、を備え、タンク4は、サクション機構3において所定の機能を所定時間発揮できる量の圧縮流体を貯留する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動機構と、
前記可動機構に取り付けられ、圧縮流体によって所定の機能を発揮する機能機構と、
前記可動機構に取り付けられ、前記圧縮流体を貯留するタンクと、
前記可動機構に取り付けられると共に前記機能機構と前記タンクとの間に設けられ、前記タンクから前記機能機構への前記圧縮流体の供給量を制御する弁と、
前記可動機構に配設され、前記タンクに前記圧縮流体を供給する供給ホースと、を備え、
前記タンクは、前記機能機構において前記所定の機能を所定時間発揮できる量の前記圧縮流体を貯留する、作業装置。
【請求項2】
前記弁は、前記機能機構の近傍に設けられる、請求項1に記載の作業装置。
【請求項3】
前記機能機構は、前記可動機構の先端に設けられる、請求項1又は2に記載の作業装置。
【請求項4】
前記タンクと前記弁とを接続する第一接続部材と、
前記弁と前記機能機構とを接続する第二接続部材と、を備え、
前記供給ホースは、前記第一接続部材及び前記第二接続部材よりも細い、請求項1~3のいずれか一項に記載の作業装置。
【請求項5】
前記機能機構は、前記圧縮流体によって糸を吸引して捕捉するサクション機構である、請求項1~4のいずれか一項に記載の作業装置。
【請求項6】
前記サクション機構は、前記糸を保持する保持部を有し、
前記保持部は、前記圧縮流体が供給されていないときに前記糸を挟んで保持可能な保持状態となり、前記圧縮流体が供給されることで前記保持状態から前記糸を挟まない解除状態となる、請求項5に記載の作業装置。
【請求項7】
前記可動機構は、複数のアーム部と、対応する2つの前記アーム部を接続する関節部と、を有するロボット機構である、請求項1~6のいずれか一項に記載の作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合繊糸用糸継システムにおいて、2つの給糸パッケージの糸を自動で繋ぐ糸継装置が開示されている。特許文献1に記載の糸継装置は、給糸パッケージの糸を捕捉して案内する捕捉案内機構と、2つの給糸パッケージの糸同士の糸継ぎを行う糸継機構と、を備えている。捕捉案内機構は、圧縮空気によって糸を捕捉するサクション部と、サクション部を移動させるために、リンク機構及び複数のモータで構成されている糸継アーム部と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-24742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記捕捉案内機構では、給糸パッケージの糸をサクション部において吸引して捕捉し、糸を捕捉したサクション部を糸継アーム部によって移動させて、糸継機構に糸を案内する。サクション部が捕捉する糸は、静止している(送出されていない)ため、サクション部では、給糸パッケージの糸を吸引して捕捉した後は糸を吸引し続ける必要がない。そのため、サクション部においては、糸を捕捉するために、所定時間だけ糸を吸引すればよい。サクション部において糸を吸引して捕捉する機能を発揮させるためには、圧縮空気の流量を相応確保する必要がある。そのためには、サクション部に圧縮空気を供給するホースを太く(内径を大きく)する必要がある。しかしながら、太いホースは、曲がり難かったりするため、取り回しし難い。そのため、ホースを太くすると、ホースが配設されるアーム部の動作がホースによって制限され、動作の自由度が低下し得る。一方で、ホースを細く(内径を小さく)すると、単位時間当たりの圧縮空気の流量が少なくなるため、サクション部において相応の流量を確保できず、サクション部において糸の吸引を適切に行うことができない。
【0005】
本発明の一側面は、動作の自由度を確保しつつ、機能機構における機能を適切に発揮させることができる作業装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る作業装置は、可動機構と、可動機構に取り付けられ、圧縮流体によって所定の機能を発揮する機能機構と、可動機構に取り付けられ、圧縮流体を貯留するタンクと、可動機構に取り付けられると共に機能機構とタンクとの間に設けられ、タンクから機能機構への圧縮流体の供給量を制御する弁と、可動機構に配設され、タンクに圧縮流体を供給する供給ホースと、を備え、タンクは、機能機構において所定の機能を所定時間発揮できる量の圧縮流体を貯留する。
【0007】
本発明の一側面に係る作業装置は、圧縮流体を貯留するタンクを備える。タンクは、機能機構において所定の機能を所定時間発揮できる量の圧縮流体を貯留する。これにより、作業装置では、タンクから機能機構に対して、機能機構において所定の機能を所定時間発揮するために必要な量の圧縮流体を供給できる。そのため、作業装置では、供給ホースを細くした場合であっても、機能機構において所定の機能を所定時間発揮できる。したがって、作業装置では、可動機構の動作が供給ホースによって制限され難いため、可動機構の動作の自由度を確保することができる。また、作業装置では、機能機構に対して充分な圧縮流体が供給されるため、機能機構において所定の機能を適切に発揮させることができる。
【0008】
一実施形態においては、弁は、機能機構の近傍に設けられてもよい。この構成では、タンクから機能機構に供給される圧縮流体の流量の減少を低減させることができる。
【0009】
一実施形態においては、機能機構は、可動機構の先端に設けられていてもよい。このように、機能機構が可動機構の先端に設けられる構成であっても、可動機構の動作が供給ホースによって制限され難いため、可動機構の動作の自由度を確保することができる。
【0010】
一実施形態においては、タンクと弁とを接続する第一接続部材と、弁と機能機構とを接続する第二接続部材と、を備え、供給ホースは、第一接続部材及び第二接続部材よりも細くてもよい。この構成では、可動機構に配設される供給ホースを細くするため、可動機構の動作の自由度をより一層確保できる。
【0011】
一実施形態においては、機能機構は、圧縮流体によって糸を吸引して捕捉するサクション機構であってもよい。
【0012】
一実施形態においては、サクション機構は、糸を保持する保持部を有し、保持部は、圧縮流体が供給されていないときに糸を挟んで保持可能な保持状態となり、圧縮流体が供給されることで保持状態から糸を挟まない解除状態となってもよい。この構成では、保持部において糸を保持するために動力を必要としない。そのため、保持部のための配線やホースが可動機構に配設されないため、可動機構の動作の自由度を確保できる。
【0013】
一実施形態においては、可動機構は、複数のアーム部と、対応する2つのアーム部を接続する関節部と、を有するロボット機構であってもよい。例えば、機能機構がサクション機構であり、サクション機構によって捕捉された糸を可動機構によって糸継装置等に案内するためには、可動機構が複雑な動作を行う必要がある。そのため、可動機構は、アーム部と関節部とを有する多関節のロボット機構である必要があり、複雑な構成となる。このように、可動機構の動作には高い自由度が求められる。作業装置では、可動機構の動作が供給ホースによって制限され難いため、可動機構の動作の自由度を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、動作の自由度を確保しつつ、機能機構における機能を適切に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態に係るロボットを示す図である。
図2図2は、ロボットの構成の一部を模式的に示す図である。
図3図3は、サクション機構を示す図である。
図4図4(a)は、サクション機構の解除状態を示す図であり、図4(b)は、サクション機構の保持状態を示す図である。
図5図5は、ロボットが適用される仮撚加工機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
[ロボットの構成]
図1及び図2に示されるように、ロボット(作業装置)1は、ロボット機構(可動機構)2と、サクション機構(機能機構)3と、タンク4と、電磁弁5と、糸回収部6と、供給ホース7と、第一接続部材8と、第二接続部材9と、を備えている。
【0018】
図1に示されるように、ロボット機構2は、基部21と、旋回部22と、第一アーム部23と、第二アーム部24と、第一関節部25と、第二関節部26と、を備えている。基部21、旋回部22、第一関節部25、第一アーム部23、第二関節部26及び第二アーム部24は、ロボット機構2の基端から先端に向けてこの順に接続されている。
【0019】
基部21は、設置面に固定されており、ロボット1全体を支持する。本実施形態では、基部21は、後述する糸継部140の昇降台142の設置面に固定されている。
【0020】
旋回部22は、基部21上に設けられている。旋回部22は、鉛直方向に延びる軸を旋回軸として、基部21に対して軸周りに旋回可能である。第一アーム部23は、旋回部22の先端に接続されている。第一アーム部23は、第一関節部25を介して、旋回部22に接続されている。第一アーム部23は、旋回部22に対して、第一関節部25を中心に揺動可能である。第二アーム部24は、第一アーム部23に接続されている。第二アーム部24は、第二関節部26を介して、第一アーム部23に接続されている。第二アーム部24は、第一アーム部23に対して、第二関節部26を中心に揺動可能である。第二アーム部24は、第二関節部26の中心に直交する軸周りに旋回可能である。
【0021】
サクション機構3は、圧縮空気によって所定の機能を発揮する。本実施形態では、サクション機構3は、圧縮空気によって糸Y(図4(a),(b)参照)を吸引して捕捉する。サクション機構3は、ロボット機構2の先端に設けられている。図3に示されるように、サクション機構3は、パイプ部30と、ノズル部31と、固定部32と、第一可動部33と、第二可動部34と、保持部35と、弾性部材36と、ブラケット37と、を備えている。
【0022】
パイプ部30は、二重管構造を有している。パイプ部30は、第一パイプ部材301と、第二パイプ部材302と、を有している。第一パイプ部材301及び第二パイプ部材302のそれぞれは、円筒状の部材である。第一パイプ部材301は、第二パイプ部材302よりも長い。第一パイプ部材301の内径は、第二パイプ部材302の内径よりも小さい。第一パイプ部材301は、第二パイプ部材302の内側に配置されている。第一パイプ部材301と第二パイプ部材302とは、同軸に配置されている。
【0023】
第一パイプ部材301の内周面は、空気又は糸の流路を形成している。第一パイプ部材301の内周面を通るものとして、ノズル部31と保持部35とで形成される空間から流入する空気や糸、後述するノズル311から流入する圧縮空気がある。第一パイプ部材301の先端部(図面左端部)は、ノズル部31に接続されている。第一パイプ部材301の基端部(図面右端部)は、糸回収部6に接続されている。第一パイプ部材301は、糸回収部6の収容空間に連通している。第一パイプ部材301の外周面と第二パイプ部材302の内周面とは、圧縮空気の流路を形成している。第一パイプ部材301と第二パイプ部材302との間を、圧縮空気が流通可能である。
【0024】
ノズル部31は、パイプ部30(第一パイプ部材301)に層流又は旋回流を発生させる。ノズル部31は、第一パイプ部材301の先端部に接続されている。ノズル部31は、複数(例えば三個)のノズル311を有している。複数のノズル311のそれぞれは、ノズル部31の周囲に所定間隔で配置されている。ノズル311は、ノズル部31の外周面と内周面とを貫通している。ノズル311は、圧縮空気を第一パイプ部材301に流入させることによって、パイプ部30に層流又は旋回流を発生させる。ノズル部31の先端部の内周面は、先端部側から基端部側に向かって先細りとなるテーパー形状を呈している。
【0025】
固定部32は、糸回収部6に固定されている。固定部32は、第一パイプ部材301の基端部に接続されている。固定部32には、第二接続部材9が接続される接続部321が設けられている。接続部321は、第一パイプ部材301と第二パイプ部材302との間の空間に連通している。第二接続部材9から接続部321を介して供給される圧縮空気は、第一パイプ部材301と第二パイプ部材302とによって形成される流路に流れ込む。固定部32には、弾性部材36の一端部が接続され、弾性部材36を支持する第一支持部322が設けられている。
【0026】
第一可動部33は、第二パイプ部材302に接続されている。第一可動部33は、第二パイプ部材302の基端部に固定されている。第一可動部33は、固定部32に対して相対的に移動可能である。第一可動部33は、第二パイプ部材302と一緒に移動する。第一可動部33は、固定部32に近接する第一位置と、固定部32から離間する第二位置と、の間において移動可能である。第一可動部33には、弾性部材36の他端部が接続され、弾性部材36を支持する第二支持部331が設けられている。
【0027】
第二可動部34は、第二パイプ部材302に接続されている。第二可動部34は、第二パイプ部材302の先端部に固定されている。第二可動部34は、第二パイプ部材302と一緒に移動する。すなわち、第一可動部33、第二可動部34及び第二パイプ部材302は、一体で移動する。第二可動部34には、連通部341が設けられている。連通部341は、第二可動部34の内周面に形成されており、第二可動部34の全周にわたって形成されている。連通部341は、第二可動部34の位置によって、第一パイプ部材301と第二パイプ部材302とによって形成される流路とノズル311とを連通させる。
【0028】
保持部35は、ノズル部31の先端部のテーパー形状に対応する形状を呈している。保持部35は、例えば、円錐台形状を呈している。保持部35は、第二可動部34にブラケット37を介して接続されている。保持部35は、第二可動部34の移動に伴って移動する。保持部35は、ノズル部31に接触(近接)する位置と、ノズル部31から離間する位置と、の間で移動する。保持部35は、ノズル部31との協働で糸Yを保持(把持)する。保持部35は、圧縮空気が供給されていないときに糸Yを挟んで保持可能な保持状態となり(図4(b)参照)、圧縮空気が供給されることで保持状態から糸Yを挟まない解除状態となる(図4(a)参照)。
【0029】
弾性部材36は、固定部32と第一可動部33とに掛け渡されている。弾性部材36は、例えば、コイルばねである。弾性部材36の一端部は、固定部32の第一支持部322に接続されている。弾性部材36の他端部は、第一可動部33の第二支持部331に接続されている。弾性部材36は、第一可動部33が第一位置の状態において初期状態(伸長していない状態)であり、第一可動部33が第二位置の状態において伸長状態となる。弾性部材36は、第一可動部33が第二位置から第一位置に移動する方向に付勢力を与える。
【0030】
続いて、サクション機構3の動作について説明する。図4(a)に示されるように、サクション機構3では、タンク4から第一接続部材8と第二接続部材9を介してサクション機構3に圧縮空気が供給されると、パイプ部30の第一パイプ部材301と第二パイプ部材302との間を圧縮空気が流れる。圧縮空気が第二可動部34の連通部341に流入すると、圧縮空気の作用によって第二可動部34が第一位置から第二位置に向かって移動する。これにより、第一可動部33、第二可動部34及び第二パイプ部材302が先端側に向かって移動する。第二可動部34の移動に伴って、保持部35も移動し、ノズル部31と保持部35とが離間する。これにより、サクション機構3に糸Yが流入可能となる。また、第二可動部34が移動すると、連通部341とノズル部31のノズル311とが連通し、ノズル311から圧縮空気が第一パイプ部材301に流入する。これにより、旋回流が発生し、糸Yが吸引可能となる。サクション機構3は、例えば、吸い込み流量:320L/minで糸Yを吸引可能である。
【0031】
図4(b)に示されるように、タンク4からの圧縮空気の供給が停止されると、弾性部材36の付勢力によって、第一可動部33が第二位置から第一位置に移動する。これにより、第一可動部33、第二可動部34及び第二パイプ部材302が基端側に向かって移動する。第二可動部34が移動すると、保持部35も移動し、ノズル部31と保持部35とが接触する。これにより、ノズル部31と保持部35とによって糸Yが保持される。
【0032】
図2に示されるように、タンク4は、圧縮空気(圧縮流体)を貯留する。タンク4は、第二アーム部24の先端に取り付けられている。タンク4は、サクション機構3において所定の機能を所定時間発揮できる量の圧縮空気を貯留する。タンク4の外形は、特に限定されず、円柱状、角柱状等であってもよい。
【0033】
電磁弁5は、サクション機構3に供給する圧縮空気の供給量を制御する。電磁弁5は、タンク4とサクション機構3との間に設けられている。電磁弁5は、サクション機構3の近傍に設けられている。電磁弁5は、例えば、タンク4に取り付けられている。電磁弁5には、電線10が接続されている。電磁弁5は、電線10から供給される電流により、ON/OFFが制御される。
【0034】
糸回収部6は、糸Yを回収する。糸回収部6は、サクション機構3によって捕捉され、糸継部140(後述)において糸継ぎが行われた後に切断された糸Y(屑糸)を回収する。
【0035】
供給ホース7は、タンク4に圧縮空気を供給する。供給ホース7の一端部は、タンク4に接続されている。供給ホース7の他端部は、ロボット1に圧縮空気を供給するホース11に接続されている。供給ホース7は、ロボット機構2の基部21、旋回部22、第一アーム部23及び第二アーム部24にわたって配設されている。本実施形態では、供給ホース7は、第一接続部材8及び第二接続部材9よりも長い。
【0036】
第一接続部材8は、タンク4と電磁弁5とを接続している。第一接続部材8の一端部は、タンク4に接続されている。第一接続部材8の他端部は、電磁弁5に接続されている。第二接続部材9は、サクション機構3と電磁弁5とを接続している。第二接続部材9の一端部は、電磁弁5に接続されている。第二接続部材9の端端部は、サクション機構3の接続部321に接続されている。第一接続部材8及び第二接続部材9は、供給ホース7よりも短い。本実施形態では、第一接続部材8及び第二接続部材9は、内径(外径)が同等である。
【0037】
供給ホース7は、第一接続部材8及び第二接続部材9よりも細い。供給ホース7の外径は、例えば、φ2mmである。第一接続部材8及び第二接続部材9の外径は、例えば、φ4mmである。第一接続部材8及び第二接続部材9の内径も、供給ホース7よりも大きい。ホース11の外径は、供給ホース7の外径よりも大きい。ホース11の外径は、第一接続部材8及び第二接続部材9の外径と同等であってもよい。
【0038】
ロボット1では、電磁弁5を制御することにより、タンク4からサクション機構3に圧縮空気を供給し、サクション機構3において吸引流を発生させて糸Yを捕捉する。サクション機構3に吸引流を発生させる時間は、例えば、0.5secに設定される。サクション機構3に捕捉された糸Yは、サクション機構3に保持される。ロボット1では、サクション機構3によって糸Yを保持した状態でロボット機構2が動作することにより、糸Yをハンドリングする。ロボット1では、サクション機構3の使用間隔が、例えば、10secに設定される。すなわち、タンク4からサクション機構3に圧縮空気を供給した後、次に圧縮空気を供給するまで、10secの間隔をあける。この10secの間に、供給ホース7を介してタンク4に圧縮空気が供給され、タンク4に圧縮空気が貯留される。
【0039】
[仮撚加工機の構成]
図1に示されるように、ロボット1は、例えば、糸継部140に適用される。糸継部140は、仮撚加工機に備えられている。
【0040】
図5に示されるように、仮撚加工機100は、給糸部110と、加工部120と、巻取部130と、糸継部140(図1参照)と、を備えている。後述する給糸部110、加工部120及び巻取部130が有する各構成は、給糸部110から加工部120を通って巻取部130に至る糸道が配置される糸Yの走行面(図5の紙面)と直交する方向(機台長手方向)において、複数配列されている。
【0041】
給糸部110は、加工部120に糸Yを供給する。給糸部110は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド111を備えている。
【0042】
加工部120は、給糸部110から供給された糸Yに対して仮撚加工を施す。加工部120は、第一フィードローラ121と、撚止ガイド122と、第一加熱装置123と、冷却装置124と、加撚装置125と、第二フィードローラ126と、第二加熱装置127と、第三フィードローラ128と、を備えている。
【0043】
巻取部130は、加工部120で仮撚加工された糸Yを巻取装置131で巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。
【0044】
給糸部110から加工部120に供給された糸Yは、第一フィードローラ121と第二フィードローラ126との間で延伸され、加撚装置125によって撚りが付与される。加撚装置125によって形成される撚りは、撚止ガイド122までは伝播されるが、撚止ガイド122よりも糸走行方向上流側には伝播しない。こうして延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第一加熱装置123で加熱された後、冷却装置124で冷却されて熱固定される。加撚装置125を通過した糸Yは、第二フィードローラ126に至るまでに撚りが解かれる。しかし、糸Yの撚りは上述のように熱固定されているため、各フィラメントが波状の仮撚状態を維持する。その後、第二加熱装置127で熱固定された糸Yは、巻取装置131によって巻き取られる。
【0045】
床面には、機台長手方向に延びるレールRがそれぞれ敷設されている。後述する糸継部140(図1参照)は、レールRに沿って走行する。
【0046】
図1に示されるように、糸継部140は、クリールスタンド111において同じ高さ位置に配置されている2つの給糸パッケージPsのうちの、一方の給糸パッケージPsの内層側の糸端である尻糸と、他方の給糸パッケージPsの外層側の糸端である口糸とを交絡させる。糸継部140は、レールRに沿って走行することで、機台長手方向において複数配列されるクリールスタンド111のそれぞれと対向する位置に移動可能である。糸継部140は、支柱141と、昇降台142と、糸継機構143と、を有している。
【0047】
支柱141は、レールRを走行する走行台車(図示省略)に立設されている。支柱141は、上下方向に沿って配置されている。昇降台142は、支柱141に移動可能に設けられている。昇降台142は、支柱141に沿って上下方向に移動可能である。糸継部140では、昇降台142が支柱141に沿って昇降することで、クリールスタンド111に支持されている複数の給糸パッケージPsのそれぞれと対向する位置に移動可能である。ロボット1は、昇降台142に設置されている。
【0048】
糸継機構143は、尻糸と口糸とを交絡させる。糸継機構143は、昇降台142に設置されている。糸継機構143は、スプライサ、ガイド、テンサ(いずれも図示省略)等を有している。
【0049】
糸継部140では、ロボット1のサクション機構3によって糸Yを捕捉して糸継機構143に糸Yを案内し、糸継機構143において糸継ぎを行う。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るロボット1は、圧縮流体を貯留するタンク4を備える。タンク4は、サクション機構3において所定の機能を所定時間発揮できる量の圧縮流体を貯留する。これにより、ロボット1では、タンク4からサクション機構3に対して、サクション機構3において所定の機能を所定時間発揮するために必要な量の圧縮流体を供給できる。そのため、ロボット1では、供給ホース7を細くした場合であっても、サクション機構3において所定の機能を所定時間発揮できる。したがって、ロボット1では、ロボット機構2の動作が供給ホース7によって制限され難いため、ロボット機構2の動作の自由度を確保することができる。また、ロボット1では、サクション機構3に対して充分な圧縮流体が供給されるため、サクション機構3において所定の機能を適切に発揮させることができる。
【0051】
本実施形態に係るロボット1では、電磁弁5は、サクション機構3の近傍に設けられている。この構成では、タンク4からサクション機構3に供給される圧縮流体の流量の減少を低減させることができる。
【0052】
本実施形態に係るロボット1では、サクション機構3は、ロボット機構2の先端に設けられている。このように、サクション機構3がロボット機構2の先端に設けられる構成であっても、ロボット機構2の動作が供給ホース7によって制限され難いため、ロボット機構2の動作の自由度を確保することができる。
【0053】
本実施形態に係るロボット1は、タンク4と電磁弁5とを接続する第一接続部材8と、電磁弁5とサクション機構3とを接続する第二接続部材9と、を備える。供給ホース7は、第一接続部材8及び第二接続部材9よりも細い。この構成では、ロボット機構2に配設される供給ホース7を細くするため、ロボット機構2の動作の自由度をより一層確保できる。
【0054】
本実施形態に係るロボット1では、サクション機構3は、糸Yを保持する保持部35を有する。保持部35は、圧縮流体が供給されていないときに糸Yを挟んで保持可能な保持状態となり、圧縮流体が供給されることで保持状態から糸Yを挟まない解除状態となる。この構成では、保持部35において糸Yを保持するために動力を必要としない。そのため、保持部35のための配線やホースがロボット機構2に配設されないため、ロボット機構2の動作の自由度を確保できる。
【0055】
本実施形態に係るロボット1では、ロボット機構2は、基部21と、旋回部22と、第一アーム部23と、第二アーム部24と、第一関節部25と、第二関節部26と、を備えている。サクション機構3によって捕捉された糸Yをロボット機構2によって糸継機構143に案内するためには、ロボット機構2が複雑な動作を行う必要がある。そのため、ロボット機構2は、多関節のロボット機構である必要があり、複雑な構成となる。このように、ロボット機構2の動作には高い自由度が求められる。ロボット1では、ロボット機構2の動作が供給ホース7によって制限され難いため、ロボット機構2の動作の自由度を確保することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0057】
上記実施形態では、作業装置がロボット1である形態を一例に説明した。しかし、作業装置は多関節のロボットに限定されない。
【0058】
上記実施形態では、タンク4が圧縮空気を貯留する形態を一例に説明した。しかし、機能機構がサクション機構3以外である場合、タンク4は、他の圧縮流体を貯留することができる。
【0059】
上記実施形態では、タンク4が第二アーム部24の先端に取り付けられる形態を一例に説明した。しかし、タンク4は、ロボット機構2のいずれかのアーム部に取り付けられていればよい。
【0060】
上記実施形態では、タンク4と電磁弁5とが第一接続部材8によって接続されている形態を一例に説明した。しかし、電磁弁5は、タンク4に直接接続されていてもよい。
【0061】
供給ホース7、第一接続部材8、第二接続部材9及びホース11の外径(内径)は、適宜設定されればよい。
【符号の説明】
【0062】
1…ロボット(作業装置)、2…ロボット機構(可動機構)、3…サクション機構(機能機構)、4…タンク、5…電磁弁、7…供給ホース、8…第一接続部材、9…第二接続部材、35…保持部、Y…糸。
図1
図2
図3
図4
図5