(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045803
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】シャッター付きトラック荷台のシール構造
(51)【国際特許分類】
B60J 10/40 20160101AFI20230327BHJP
B62D 33/04 20060101ALI20230327BHJP
B60J 10/82 20160101ALI20230327BHJP
B60J 10/84 20160101ALI20230327BHJP
B60J 10/25 20160101ALI20230327BHJP
【FI】
B60J10/40
B62D33/04 C
B60J10/82
B60J10/84
B60J10/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154382
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】升本 敦生
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA01
3D201AA09
3D201BA06
3D201CA15
3D201EA01A
3D201EA04A
(57)【要約】
【課題】多少の位置ずれにも対応できシール性にも優れる。
【解決手段】トラックの荷台1には車両前後方向にスライドして荷台1上方を開閉するシャッター100がエンドキャップ30を介して左右ガイドレール201,301間に取付けられ、荷台後端には起立することにより左右両側壁2,3とともに荷台1を囲むテールゲート5が設けられ、シャッター後端部にはテールゲート5に弾接するシャッターシール材120が設けられ、左右両側壁2,3後端には上下に延びる取付板部51と中空壁52を有するベッドライナーシール材50が設けられ、テールゲート5上部はエンドキャップ30の第1水平面31aで覆われ、中空壁52上方は開口し、中空壁52の上端の車両側面の車外側に延長壁60を立設し、延長壁60の最上端部60aを、シャッター100の閉鎖時に相対向するエンドキャップ30の第2水平面39aに非接触状態で近接させた。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックの荷台上方には荷台に並行し車両の前後方向にスライドして前記荷台上方を開閉するシャッターがその車両左右側面に設けられたエンドキャップを介して、前記荷台の車両左右両端に立設した左右両側壁上部に設けられた左右ガイドレール間に取付けられ、前記荷台の後端には下端部を軸として車両前後方向に回動自在で起立することにより前記左右両側壁とともに前記荷台を囲むテールゲートが設けられ、かつ前記シャッターの後端部には前記テールゲートの起立時にそのテールゲートに弾接するシャッターシール材が設けられ、しかも前記左右両側壁の後端には上下に延びる取付板部とその取付板部に一体化され上下に延びる中空壁を有しその中空壁は前記テールゲートの起立時に前記テールゲートと、前記シャッターの閉鎖時に前記エンドキャップがそれぞれ弾接するベッドライナーシール材が設けられたシャッター付きトラック荷台のシール構造であって、
前記シャッターの閉鎖時及び前記テールゲートの起立時には、前記テールゲートの上部は前記エンドキャップに形成された第1水平面で覆われ、
前記ベッドライナーシール材の中空壁の上端は前記取付板部の上端よりも高く、かつ前記中空壁の上方は開口し、前記中空壁の上端の車両側面の車外側に、上方に延びる延長壁を立設し、その延長壁の最上端部を、前記シャッターの閉鎖時に相対向する前記エンドキャップの前記第1水平面よりも低い位置に形成された第2水平面に非接触状態で近接させたことを特徴とするシャッター付きトラック荷台のシール構造。
【請求項2】
前記ベッドライナーシール材の取付板部の上部に、車両側面の車外側に延びその端部に、前記ベッドライナーシール材を前記左右両側壁の後端に取付ける取付部が接続された延長取付部を設け、
前記延長取付部の上端部からさらに上方に延びその壁面が車両の前後方向に位置する後壁を立設するとともに、前記後壁の中程から車両前方向に延び車両の車内側に向けて低くなるように傾斜した前樋壁を設定し、
前記前樋壁の車両前側端部から上方に延び前記後壁に平行な前壁を立設し、
さらに前記後壁,前記前樋壁及び前記前壁が向かい合う側面の車外側端部を接続して、前記後壁及び前記前壁よりも上方に延びる後横壁を立設し、
前記後壁及び前記前壁の高さを、前記延長壁の高さよりも低くし、前記後壁及び前記前壁の最上端部を、前記シャッターの閉鎖時に相対向する前記エンドキャップの前記第2水平面よりも低い位置に形成された第3水平面に非接触状態で近接させたことを特徴とする請求項1に記載のシャッター付きトラック荷台のシール構造。
【請求項3】
前記ベッドライナーシール材の取付板部の上端から車両前方向に延びる横樋壁を設定し、
前記横樋壁の車両側面の車外側にその壁面が車両内外方向に位置する前横壁を立設し、前記前横壁の車両後側端部を前記前壁の車両車内側端部に連続的に接続し、前記前横壁と前記前壁の高さを同一にし、
前記横樋壁の車両前側から車両側面の車内側に内側周壁部を立設して、前記内側周壁部を車両前方では前記前横壁に連設させるとともに、車両後方では前記中空部を形成する中空壁に連設させ、
前記前樋壁の車両車内側端部を前記横樋壁の車両車外側端部に接続して、前記前樋壁に導かれた水を前記横樋壁から前記中空部に導き車両外部に排出するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のシャッター付きトラック荷台のシール構造。
【請求項4】
前記ベッドライナーシール材の中空壁の上端部の車両後側から車両側面の車内側を渡り、車両前側では前記横樋壁から立設する内側周壁部まで連続して前記中空壁の内方に向けて延びる大シールリップを形成し、
前記シャッターの閉鎖時には、前記大シールリップの車両前側に、前記シャッターの後端部下面を弾接させ、前記大シールリップの車両側面の車内側から車両後側に、前記シャッターシール材を弾接させたことを特徴とする請求項3に記載のシャッター付きトラック荷台のシール構造。
【請求項5】
前記ベッドライナーシール材の延長取付部の上部に車両後側に向けて突出した小シールリップを形成し、
前記小シールリップに前記延長壁が接続され、前記シャッターの閉鎖時には、前記小シールリップの上面に、前記エンドキャップの第2水平面を弾接させたことを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか一つに記載のシャッター付きトラック荷台のシール構造。
【請求項6】
前記小シールリップは車両後側に向けて上昇傾斜していることを特徴とする請求項5に記載のシャッター付きトラック荷台のシール構造。
【請求項7】
前記ベッドライナーシール材の中空壁の上部は型成形され、前記延長壁は上方に向けて徐々に広がるように設定したことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一つに記載のシャッター付きトラック荷台のシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックの荷台上方に開閉式のシャッターが取付けられたシャッター付きトラック荷台のシール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、
図1に示すように、トラックの荷台1の上方に車両の前後方向にスライドして荷台1の上方を開閉するシャッター100が設けられた車両が知られている。
【0003】
シャッター100は、荷台1の車両左右両端に立設した左右両側壁2,3の上部に設けられたガイドレール201,301間に取付けられ、荷台1の後端には車両前後方向に回動自在のテールゲート5が設けられている。
テールゲート5が起立することで左右両側壁2,3とともに荷台1は囲まれ、そしてシャッター100を車両前方から車両後方にスライドさせ完全に閉鎖することで荷台1の上方の開口部は閉じられるようになっている。
【0004】
このようなトラックにおいては、仮にシャッター100とテールゲート5の直線部分をシールしたとしても、
図1に示すX部のように、荷台1の車両左右後端上部におけるシールが困難でその部分に形成された隙間から水が荷台1上に浸入するといった問題がある。
そのため、荷物が濡れないように荷台1の車両前方に積まなければならないなどの制約があった。
【0005】
そこで、
図1及び
図2及び
図3に示すように、荷台1の左右両側壁2,3の後端に突出部11を有するベッドライナーシール材10を設けるとともに、シャッター100の後部左右両側端に、シャッター100の閉鎖時にベッドライナーシール材10に弾接する、エンドキャップ110を設け、シャッター100が閉鎖するとエンドキャップ110が、ベッドライナーシール材10の突出部11の上壁部12に形成された上面シールビード21,22に接触するように構成されたものが知られている(特許文献1)。なお、シャッター100はエンドキャップ110を介してガイドレール201,301間に取付けられている。
また、特許文献1では、シャッター100の後端部に、テールゲート5の起立時にそのテールゲート5に弾接するシャッターシール材120を設けている。
【0006】
より詳細には、ベッドライナーシール材10の突出部11の車両前側下部には車両左右方向に延びる前樋25を設けている。前樋25は、突出部11の車両前側の壁と樋前壁26との間に設けられ、車両左右方向に延びる樋前壁26の高さは、前樋25の底面よりも高く突出部11の上壁部12の高さよりも低い。
さらに、ベッドライナーシール材10の突出部11の側面部13の内側には車両前後方向に延びる側樋27を設けている。側樋27は、突出部11の側面部13と樋側壁28との間に設けられ、車両前後方向に延びる樋側壁28の高さは、側樋27の底面よりも高く突出部11の上壁部12の高さよりも低い。
【0007】
側樋27は、側面シールビード23,24の下部に位置するように設けられ、側樋27の底面に側面シールビード23,24の下端が接続されている。
前樋25と側樋27はL字状に連通していて前樋25側から側樋27にかけて底面が緩やかに下降するように傾斜し、その延長、すなわち側樋27の車両後方の位置には穴29が形成されている。この穴29を介して、前樋25及び側樋27に導かれた水を車両外部に排出するようにしている。樋前壁26と樋側壁28も連続するように接続されている。
なお、ベッドライナーシール材10にはインサート部材15が埋設され剛性を高くしている。
【0008】
これによれば、荷台1の左右両側壁の後端上部(
図1に示すX部)が十分にシールされるので、水が車外から荷台上に浸入することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、シャッター100の閉鎖時には、シャッター100の後部左右両側端に設けられたエンドキャップ110を上面シールビード21,22及び側面シールビード23,24のいずれにも接触させるものであるので、シャッター100の開閉動作を長年繰り返すと突出部11が劣化する恐れがある。
さらにエンドキャップ110は、上面シールビード21,22及び側面シールビード23,24に全体的に上手く接触する必要があるので精密性が要求され形状が限定されてしまう。そのため、突出部11に対するエンドキャップ110の位置ずれの許容範囲が狭くなるといった問題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的とするところは、多少の位置ずれにも対応でき、荷台の車両左右後端上部のシール性に優れるシャッター付きトラック荷台のシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明のシャッター付きトラック荷台のシール構造は、トラックの荷台(1)上方には荷台(1)に並行し車両の前後方向にスライドして前記荷台(1)上方を開閉するシャッター(100)がその車両左右側面に設けられたエンドキャップ(30)を介して、前記荷台(1)の車両左右両端に立設した左右両側壁(2,3)上部に設けられた左右ガイドレール(201,301)間に取付けられ、前記荷台(1)の後端には下端部を軸として車両前後方向に回動自在で起立することにより前記左右両側壁(2,3)とともに前記荷台(1)を囲むテールゲート(5)が設けられ、かつ前記シャッター(100)の後端部には前記テールゲート(5)の起立時にそのテールゲート(5)に弾接するシャッターシール材(120)が設けられ、しかも前記左右両側壁(2,3)の後端には上下に延びる取付板部(51)とその取付板部(51)に一体化され上下に延びる中空壁(52)を有しその中空壁(52)は前記テールゲート(5)の起立時に前記テールゲート(5)と、前記シャッター(100)の閉鎖時に前記エンドキャップ(30)がそれぞれ弾接するベッドライナーシール材(50)が設けられたシャッター付きトラック荷台のシール構造であって、
前記シャッター(100)の閉鎖時及び前記テールゲート(5)の起立時には、前記テールゲート(5)の上部は前記エンドキャップ(30)に形成された第1水平面(31a)で覆われ、
前記ベッドライナーシール材(50)の中空壁(52)の上端は前記取付板部(51)の上端(51a)よりも高く、かつ前記中空壁(52)の上方は開口し、前記中空壁(52)の上端の車両側面の車外側に、上方に延びる延長壁(60)を立設し、その延長壁(60)の最上端部(60a)を、前記シャッター(100)の閉鎖時に相対向する前記エンドキャップ(30)の前記第1水平面(31a)よりも低い位置に形成された第2水平面(39a)に非接触状態で近接させたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記ベッドライナーシール材(50)の取付板部(51)の上部に、車両側面の車外側に延びその端部に、前記ベッドライナーシール材(50)を前記左右両側壁(2,3)の後端に取付ける取付部(54)が接続された延長取付部(53)を設け、
前記延長取付部(53)の上端部からさらに上方に延びその壁面が車両の前後方向に位置する後壁(61)を立設するとともに、前記後壁(61)の中程から車両前方向に延び車両の車内側に向けて低くなるように傾斜した前樋壁(62)を設定し、
前記前樋壁(62)の車両前側端部から上方に延び前記後壁(61)に平行な前壁(63)を立設し、
さらに前記後壁(61),前記前樋壁(62)及び前記前壁(63)が向かい合う側面の車外側端部を接続して、前記後壁(61)及び前記前壁(63)よりも上方に延びる後横壁(64)を立設し、
前記後壁(61)及び前記前壁(63)の高さを、前記延長壁(60)の高さよりも低くし、前記後壁(61)及び前記前壁(63)の最上端部(61a,63a)を、前記シャッター(100)の閉鎖時に相対向する前記エンドキャップ(30)の前記第2水平面(39a)よりも低い位置に形成された第3水平面(35a)に非接触状態で近接させたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記ベッドライナーシール材(50)の取付板部(51)の上端(51a)から車両前方向に延びる横樋壁(56)を設定し、
前記横樋壁(56)の車両側面の車外側にその壁面が車両内外方向に位置する前横壁(57)を立設し、前記前横壁(57)の車両後側端部を前記前壁(63)の車両車内側端部に連続的に接続し、前記前横壁(57)と前記前壁(63)の高さを同一にし、
前記横樋壁(56)の車両前側から車両側面の車内側に内側周壁部(65)を立設して、前記内側周壁部(65)を車両前方では前記前横壁(57)に連設させるとともに、車両後方では前記中空部(52)を形成する中空壁(52A)に連設させ、
前記前樋壁(62)の車両車内側端部を前記横樋壁(56)の車両車外側端部に接続して、前記前樋壁(62)に導かれた水(W6)を前記横樋壁(56)から前記中空部(52)に導き車両外部に排出するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記ベッドライナーシール材(50)の中空壁(52)の上端部の車両後側から車両側面の車内側を渡り、車両前側では前記横樋壁(56)から立設する内側周壁部(65)まで連続して前記中空壁(52)の内方に向けて延びる大シールリップ(70)を形成し、
前記シャッター(100)の閉鎖時には、前記大シールリップ(70)の車両前側に、前記シャッター(100)の後端部下面を弾接させ、前記大シールリップ(70)の車両側面の車内側から車両後側に、前記シャッターシール材(120)を弾接させたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記ベッドライナーシール材(50)の延長取付部(53)の上部に車両後側に向けて突出した小シールリップ(80)を形成し、前記小シールリップ(80)に前記延長壁(60)が接続され、
前記シャッター(100)の閉鎖時には、前記小シールリップ(80)の上面に、前記エンドキャップ(30)の第2水平面(39a)を弾接させたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記小シールリップ(80)は車両後側に向けて上昇傾斜していることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記ベッドライナーシール材(50)の中空壁(52)の上部は型成形され、前記延長壁(60)は上方に向けて徐々に広がるように設定したことを特徴とする。
【0019】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、テールゲートが起立した状態でシャッターが閉鎖すると、シャッターの後端部に設けられたシャッターシール材がテールゲートに弾接するとともに、シャッターの後部左右両側端に設けられたエンドキャップが、ベッドライナーシール材に弾接するので、荷台の左右両側壁の後端上部がシールされるので、水が車外から荷台上に浸入することが防止される。
このとき、テールゲートの上部はエンドキャップに形成された第1水平面で覆われるので水が直接入ることが防止される。
そして、ベッドライナーシール材の取付板部の上端よりも高くした中空壁の上方は開口し、車両側面の車外側にはさらに上方に延びる延長壁を立設し、その延長壁の最上端部を、エンドキャップの第1水平面よりも低い位置に形成された第2水平面に非接触状態で近接させたので、延長壁が1次止水材として機能して浸入する水の一部が受け止められる。
延長壁で受け止められた水は延長壁の車両後側に導かれ、車両の下方から外部に排出させることができる。
【0021】
また、従来例で示したエンドキャップのように、上面シールビード及び側面シールビードに対して全体的に上手く接触させるような精密性は要求されるものではなく、立設された延長壁に対してエンドキャップの第2水平面を非接触状態で近接させるものであればよいので多少の位置ずれにも対応できる。
【0022】
また本発明によれば、ベッドライナーシール材の取付板部の上部に車両側面の車外側に延びる延長取付部を設け、延長取付部の上端部に上方に延びる後壁を立設するとともに、後壁の車両前側には前壁を立設し、後壁と前壁の間に前樋壁を設定し、後壁及び前壁の高さを、延長壁の高さよりも低くし、後壁及び前壁の最上端部を、シャッターの閉鎖時に相対向するエンドキャップの第2水平面よりも低い位置に形成された第3水平面に非接触状態で近接させたので、後壁が2次止水材として機能し、前壁が3次止水材として機能してさらに浸入する水の一部が受け止められる。
延長壁の最上端部を越えた水でかつ後壁で受け止められた水は中空部内に導かれて下方から車両外部に排出される。
また、後壁の最上端部を越えた水でかつ前壁で受け止められた水は、後壁と前壁間に設けられた前樋壁から中空部内に導かれて下方から車両外部に排出される。
このとき、後壁,前樋壁及び前壁の車両側面の車外側端部には後横壁が設けられているので、前樋壁に導かれた水が車内側に飛び散ることも防止される。
【0023】
また本発明によれば、ベッドライナーシール材の取付板部の上端から車両前方向に延びる横樋壁を設定し、横樋壁の車両前側から車両側面の車内側に内側周壁部を立設して、内側周壁部を車両前方では前横壁に連設させるとともに、車両後方では中空部を形成する中空壁に連設させ、前樋壁の車両車内側端部を横樋壁の車両車外側端部に接続して、前樋壁に導かれた水を横樋壁から中空部に導き車両外部に排出するようにしたので、水が荷台上に浸入することをより防止することができる。
【0024】
また本発明によれば、ベッドライナーシール材の中空部の上端部の車両後側から車両側面の車内側を渡り、車両前側では横樋壁から立設する内側周壁部まで連続して中空壁の内方に向けて延びる大シールリップを形成し、シャッターの閉鎖時には、大シールリップの車両前側に、シャッターの後端部下面を弾接させ、大シールリップの車両側面の車内側から車両後側に、シャッターシール材の車外側端部を弾接させたので、ベッドライナーシール材の上側において車両側面の内方側の止水性が向上する。
【0025】
また本発明によれば、ベッドライナーシール材の延長取付部の上部に車両後側に向けて突出した小シールリップを形成し、小シールリップの付根部に延長壁が接続され、シャッターの閉鎖時には、小シールリップの上面に、エンドキャップの第2水平面を弾接させたので、ベッドライナーシール材の上側において車両側面の外方側の止水性が向上する。
【0026】
また本発明によれば、小シールリップは車両後側に向けて上昇傾斜しているので、シャッターの閉鎖時にエンドキャップの誘い込み面として機能する。よって、シャッターの閉鎖時にエンドキャップが小シールリップに引っ掛かってベッドライナーシール材の上部が異常に撓むことが防止される。
また、小シールリップは車両後側に向けて上昇傾斜しているので、シャッターが閉鎖した状態から開放する時にもエンドキャップが小シールリップに引っ掛かることが防止される。
【0027】
また本発明によれば、ベッドライナーシール材の中空壁の上部は型成形され、延長壁は上方に向けて徐々に広がるように設定したので、型成形後に中芯を容易に上方から引き抜くことができ作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】シャッター付きトラックの外観斜視図である。
【
図2】従来例に係るベッドライナーシール材の要部を示す拡大斜視図である。
【
図3】
図2に示すベッドライナーシール材にシャッターが車両後方にスライドして弾接した様子を示す要部拡大斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るシャッター付きトラック荷台のシール構造における、
図1のA-A線拡大断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るシャッター付きトラック荷台のシール構造における、シャッター後部側端を示す拡大斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るシャッター付きトラック荷台のシール構造における、シャッターとテールゲートを閉めた状態での、
図1のB-B線拡大断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るシャッター付きトラック荷台のシール構造における、ベッドライナーシール材の要部を示す拡大斜視図であり、車両斜め上後方側からみたもので、しかもアウトサートを外した状態を示すものである。
【
図8】
図7に示すベッドライナーシール材を示す平面図であり、アウトサートを付けた状態を示すものである。
【
図9】
図7に示すベッドライナーシール材を示す右側側面図であり、アウトサートを外した状態を示すものである。
【
図11】
図1に示すシャッターが車両後方にスライドして、
図7に示したベッドライナーシール材に弾接する直前の様子を示す拡大平面図である。
【
図12】
図1に示すシャッターが車両後方にスライドして、
図7に示したベッドライナーシール材に弾接した様子の要部を示す拡大斜視図であり、車両斜め下後方側からみたもので、アウトサートを付けた状態を示したものである。
【
図13】
図1に示すシャッターが車両後方にスライドして、
図7に示したベッドライナーシール材に弾接した様子の要部を示す拡大斜視図であり、車両側面側からみたものである。
【
図14】
図1に示すシャッターが車両後方にスライドして、
図7に示したベッドライナーシール材に弾接した様子の要部を示す
図12のD-D線拡大断面図である。
【
図15】
図1に示すシャッターが車両後方にスライドして、
図7に示したベッドライナーシール材に弾接した様子の要部で小シールリップ周りを示す
図12のE-E線拡大断面図である。
【
図16】
図1に示すシャッターが車両後方にスライドして、
図7に示したベッドライナーシール材に弾接した様子の要部で車両前側の大シールリップ周りを示す
図14のG-G線拡大断面図である。
【
図17】
図1に示すシャッターが車両後方にスライドして、
図7に示したベッドライナーシール材に弾接した様子の要部を示す
図12のF-F線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面を参照して、本発明の実施形態に係るシャッター付きトラック荷台のシール構造について説明する。なお、従来例と同一部分には同一符号を付した。
このシール構造は、
図1に示したように、トラックの荷台1上方に、荷台1に並行し車両の前後方向にスライドして荷台1上方を開閉するシャッター100を備えるトラック荷台において、主に荷台1の左右後端上部(
図1のX部)のシール構造に関する。
【0030】
シャッター100は、アルミ板等の金属からなり、荷台1の車両左右両端に立設した左右両側壁2,3上部に設けられた左右ガイドレール201,301間に取付けられている。
右ガイドレール301は、
図1のA-A線拡大断面図である、
図4に示すように、内方に向けて開口部を有する断面コ字状で、シャッター100の右側面に取付けられた樹脂製のエンドキャップ30の摺動部30Aが右ガイドレール301の開口部から差し込まれ、右ガイドレール301の内方下部に設けられた2つの突条部303,304で摺動部30Aの下面を支持している。
また、右ガイドレール301の内方上部の端部にはシールリップ部305が設けられ、摺動部30Aの上面に弾接してシールしている。
左ガイドレール201は、右ガイドレール301と左右対称なため、図示と説明は省略する。
【0031】
エンドキャップ30は、
図5に示すように、シャッター100の後端側面に沿って取付けられ、シャッター100の後端と同様に車両後方向に突出した第1凸部31を有している。第1凸部31の下方には第2凸部33が設けられ、第2凸部33の下方には第3凸部35が設けられ、第3凸部35の下方には第4凸部37が設けられ、第4凸部37の下方には第5凸部38が設けられている。
【0032】
第1凸部31の下面から車両前方向に向けて延びる第1水平面31aが形成され、第1水平面31aの前端部には第1凹部32が設けられている。その第1凹部32から下方には第1垂直面32aが延び第1垂直面32aの下端部に第2凸部33が設けられている。
第2凸部33からは車両前方向および車両側面外方向に延びる第2水平面39aが形成され、第2水平面39aの車両側面外方向端部には外方に突出した第6凸部39が設けられている。
また、第2水平面39aの途中に、第2凹部34とその第2凹部34から斜め車両前方かつ下方に延びる第1傾斜面34aが設けられている。第1傾斜面34aの下端部には、第3凸部35が設けられ、第3凸部35の下面には車両前方向に向けて延びる第3水平面35aが形成されている。
【0033】
第3水平面35aの前端部に、第3凹部36とその第3凹部36から斜め車両前方かつ下方に延びる第2傾斜面36aが設けられている。第2傾斜面36aの下端部には第4凸部37が設けられ、第4凸部37から斜め車両前方かつ下方に延びる第3傾斜面37aが設けられている。
また、第3傾斜面37aの車両前方端部には、第5凸部38が設けられ、第2水平面39aの車両前端部と第2傾斜面36aの上端部を接続する第2垂直面39bが形成されている。
そして、上述した摺動部30Aが第2垂直面39bの車両側面外端部から更に外方に延びるように設けられている。
【0034】
また、
図1および
図1のB-B線拡大断面図である、
図6に示すように、荷台1の後端にはテールゲート5が設けられている。テールゲート5の左右端部の中央と、左右両側壁2,3の後端部中央間はステー7,8で連結され、テールゲート5は下端部を軸として車両前後方向に回動自在で、テールゲート5が起立することにより左右両側壁2,3とともに荷台1を囲むようになっている。
この状態でシャッター100が閉鎖されると、
図1に破線で示すように、荷台1上の開口部が閉じられる。
【0035】
また、
図6に示すように、シャッター100の後端部には、下向き中空状で車両左右方向に延びるシャッターシール材120が設けられている。シャッターシール材120は、シャッター100に取付けられる取付基部121とそれに一体成形された中空シール部122と車両後側に延びるシールリップ部123を有している。シャッターシール材120は、テールゲート5の起立時にそのテールゲート5に設けられた取付フランジ5aの上部に設けられたテールゲートシール材6に弾接してシャッター100とテールゲート5の間から水が浸入することを防止している。なお、テールゲートシール材6は、開口部下向きのU字状の取付部6aとその上壁に設けられたシールリップ部6bからなり、シールリップ部6bがシャッターシール材120の中空シール部122に直接弾接するようになっている。また、シールリップ部123は、テールゲート5の上部に上方から弾接している。
【0036】
また、
図1に示すように、荷台1の車両左右両端に立設した左右両側壁2,3の後端には、荷台1の内方側に向けて張り出すように、左右のベッドライナー9がそれぞれ設けられ、その左右のベッドライナー9の車両後側面に、
図7乃至
図10に示すような、ベッドライナーシール材50がそれぞれ設けられている。
【0037】
ベッドライナーシール材50は、
図7に示すように、下辺部は押出成形されたもので、その上部に型成形されたものが一体的に接続されている。
押出成形部50Aは、
図7のC-C断面である、
図10に示すように、上下に延びる取付板部51とその取付板部51に一体成形された中空壁52を有し、取付板部51には間歇的に取付クリップCが取付けられ、荷台1の左右両側壁2,3の後端に取付けられる。中空壁52は、略パンタグラフ形状で、中央の頂点部分に、車両の後方向に向けて突出する頂点小突部52aが設けられており、テールゲート5の起立時には、そのテールゲート5に設けられた取付フランジ5aの中程に弾接して、左右両側壁2,3の後端とテールゲート5の間から水が侵入することを防止している。
図7では、白黒三角の表示において黒側を上部の型成形部50Bとし、白側を押出成形部50Aとしている。なお、押出成形部50Aの下部にも型成形部(図示しない)が接続され、そこには水抜孔が設けられている。これにより、中空部52A内に導かれた水Wはその水抜孔を介して車外に排出されるようになっている。
【0038】
ベッドライナーシール材50は、上部の型成形部50Bでは、
図7及び
図8に示すように、中空壁52の上方は開口し、中空壁52の上端は取付板部51の上端51aよりも高い位置になるように中空部52Aを囲む中空壁52は上方に向けて突出している。
取付板部51の上部には、車両側面の車外側に延びる延長取付部53が設けられ、その延長取付部53の端部にはベッドライナーシール材50を車両側壁の後端に取付ける取付部54が接続されている。取付部54の車両後側面にはアウトサート55が固定されている。なお、
図7ではアウトサート55を取付部54から外した状態を示している。図示はしないが、アウトサート55の下側にはフックが設けられ、
図7に示すように、取付部54の下側に形成されたフック貫通孔54aに掛止されている。また
図8に示すように、アウトサート55の上側には2つのクリップ部55aが設けられ、取付部54の上側に形成された2つのクリップ部貫通孔54bを貫通し、ベッドライナー9の車両後側面に係止されている。
【0039】
また、ベッドライナーシール材50の取付板部51の上端51aから車両前方向に延びる横樋壁56が設けられ、横樋壁56の車両側面の車外側には前横壁57を隔てて水平板部58が設けられている。前横壁57はその壁面が車両内外方向に位置するように立設している。水平板部58の中央にはクリップ孔58aが形成され、
図11に示すように、クリップ59で、ベッドライナーシール材50は右ガイドレールエンドキャップ306の上面に固定されている。なおここで、右ガイドレールエンドキャップ306は、右ガイドレール301と同様に、右側壁3に取付けられている。(図示省略)また、
図11及び
図12に示すように、右ガイドレールエンドキャップ306にもシールリップ部305が取付けられている。なお、クリップ59については後述する
図11,
図13及び
図14で示している。
【0040】
型成形部50Bにおいて、中空壁52の上端の車両側面の車外側には、
図7に示すように、上方に延びる延長壁60が立設されている。延長壁60は、上方に向けて徐々に広がるように設定されている。
【0041】
また、
図12のD-D断面である、
図14に示すように、延長取付部53の上端部からはさらに上方に延びその壁面が車両の前後方向に位置する後壁61を立設するとともに、後壁61の中程から車両前方向に延び車両の車内側に向けて低くなるように傾斜した前樋壁62を設けている。また前樋壁62の車両前側端部から上方に延び後壁61に平行な前壁63を立設している。前樋壁62の上面は前後に立設された後壁61及び前壁63の上面よりも低く形成されている。
【0042】
さらに、
図8に示すように、後壁61,前樋壁62及び前壁63が向かい合う側面となる車両側面の車外側端部は後横壁64によって接続されている。後横壁64は後壁61及び前壁63よりも上方に延びるように立設している。
また前横壁57の車両後側端部を前壁63の車両車内側端部に連続的に接続し、前横壁57と前壁63の高さを同一(図示省略)にしている。
また、
図9に示すように、横樋壁56の車両前側から車両側面の車内側に内側周壁部65を立設して、内側周壁部65を車両前方では前横壁57の車両前側端部に連設させるとともに、車両後方では中空部52を形成する中空壁52Aに連設させている。
【0043】
そして、
図8に示すように、前樋壁62の車両車内側端部を横樋壁56の車両車外側端部に接続して、前樋壁62に導かれた水W6(
図14で詳細を後述)を横樋壁56から中空部52に導き車両外部に排出するようにしている。前樋壁62は車内側に向けて低くなるように傾斜(図示省略)しているのでその車両車内側端部を横樋壁56と同じ高さに設定してもよいが、ここでは前樋壁62の車両車内側端部を横樋壁56よりも少し高く(図示省略)している。
【0044】
また、
図7及び
図9に示すように、ベッドライナーシール材50の中空壁52の上端部には大シールリップ70を形成している。大シールリップ70は、中空壁52の上端部の車両後側から車両側面の車内側を渡り、車両前側では横樋壁56から立設する内側周壁部65まで連続して中空部52の内方に向けて延びるように形成されている。すなわち、大シールリップ70のリップ先端70a湾曲の向きは、車両前側部分では後ろ向き、中央部分では車両側面外向き、車両後側部分では前向きになっている。また、大シールリップ70は中空壁52の内方に延びるにしたがって上方に向けて傾斜している。
【0045】
また、
図9に示すように、大シールリップ70の前端部で、前横壁57との接続部に、小V字切込71を設けている。小V字切込71のV字の頂点は車両前側でかつ斜め下向きである。また、延長壁60の車両後側には大V字凹部72を設けている。大V字凹部72は小V字切込71と比べて切込みの度合いが大きく、大V字凹部72のV字の頂点は下向きである。大V字凹部72のV字の頂点の位置は、大シールリップ70の上端部よりも10mm程度低い位置に設定している。
【0046】
このように小V字切込71及び大V字凹部72を設けることで部分的に剛性の弱い部分が形成されるので、中空壁52は上方に向けて広がり易くなり、これにより型成形後に中芯を抜け易くして作業性の向上を図ることができる。なお、延長壁60は、
図8に示すように、上方に向けて徐々に広がるように設定しているので、小V字切込71及び大V字凹部72はいずれか一方でもよいし、両方設けないようにしてもよい。
【0047】
さらに、
図9及び
図12のE-E断面である、
図15に示すように、ベッドライナーシール材50の延長取付部53の上部で後横壁64の車両後側には、車両後側に向けて突出した小シールリップ80を形成している。小シールリップ80に延長壁60の車両前側端部が接続されている。小シールリップ80は、
図9に示すように、後方へ行くほど上方になるように上昇傾斜設定されている。
【0048】
また、
図12及び
図12のF-F線断面である、
図17に示すように、延長壁60も小シールリップ80と同様に、延長壁60の上端には、小シールリップ80の付根部付近から最上端部60aまで車両後方上方に傾斜する上方傾斜部60bが設定されているので、シャッター100の閉鎖時に、エンドキャップ30の誘い込み面として機能する。
よって、シャッター100の閉鎖時にエンドキャップ30が延長壁60に引っ掛かってベッドライナーシール材50の上部が異常に撓むことが防止される。また、最上端部60aから車両後方には下方に傾斜する下方傾斜部60cが設定されているので、シャッター100が閉鎖した状態から開放する時に、エンドキャップ30が延長壁60に引っ掛かる事が防止される。さらに、下方傾斜部60cの下端部は、大V字凹部72との接続位置となっている。
なお、
図7及び
図12に示すように、小シールリップ80の設定箇所となるアウトサート55の車両側面の内方側上部角部は切欠き設定にしている。
【0049】
ベッドライナーシール材50に適用可能な材料としては、ゴム様弾性体であれば、特に限定はされない。ゴムの場合は、EPDM等の合成ゴムが適用可能で、樹脂の場合は、オレフィン系熱可塑性樹脂等の熱可塑性樹脂が適用可能である。また、材料は、材質硬度にもよるが、発泡材でもよいし、非発泡材でもよしい、部位によって、両者を使いわけしても良い。
【0050】
また、シャッターシール材120とテールゲートシール材6においても、ベッドライナーシール材50と同様な材料が適用可能である。
さらに、テールゲートシール材6においては、取付部6aに、高剛性部材を埋設してもよい。
【0051】
そして、
図11に示すように、シャッター100が車両前側から後側にスライド移動してその後、
図12乃至
図14に示すように閉鎖すると、ベッドライナーシール材50の上側の型成形部50Bでは、中空壁52の上端に形成された大シールリップ70の車両後側部分と車両側面内方側の中央部分には、
図12及び
図13に示すように、シャッター100の後端部に設けられたシャッターシール材120が上方から弾接するとともに、大シールリップ70の車両前側部分には、
図14のG-G線断面である、
図16に示すように、シャッター100の中央本体部分(すなわち、エンドキャップ30が設けられる側面から内方に位置する部分)の下部に形成された水平面101が上方から弾接する。
これによって、ベッドライナーシール材50の上側の型成形部50Bにおいて車両側面の内方側の止水性が向上する。
【0052】
また、そのとき、ベッドライナーシール材50の延長取付部53の上部に設けられた小シールリップ80の上面に、
図12及び
図15に示すように、シャッター100の側面に設けられたエンドキャップ30の第2水平面39aが上方から弾接する。
これによって、ベッドライナーシール材50の上側の型成形部50Bにおいて車両側面の外方側の止水性が向上する。
【0053】
そして、
図12に示した、ベッドライナーシール材50の上側の型成形部50Bにおいて中央部分では、中空壁52から上方に延長した延長壁60の最上端部60aを、
図12のD-D線断面図である、
図14に示すように、シャッター100の閉鎖時にその延長壁60の最上端部60aが相対向するエンドキャップ30の第1水平面31aよりも低い位置に形成された第2水平面39aに非接触状態で近接させる。すなわち、延長壁60の最上端部60aと第2水平面39aの間には隙間が僅かに存在する状態であるか、あるいは0(ゼロ)接触(隙間及びラップが「0」の状態)の状態になっている。
また同様に、延長壁60の車両前方に設けられた後壁61の最上端部61a及び前壁63の最上端部63aを、シャッター100の閉鎖時にそれらが相対向するエンドキャップ30の第2水平面39aよりも低い位置に形成された第3水平面35aに非接触状態で近接させる。すなわち、後壁61の最上端部61a及び前壁63の最上端部63aと第3水平面35aの間には隙間が僅かに存在する状態であるか、あるいは0(ゼロ)接触(隙間及びラップが「0」の状態)の状態になっている。
また、ベッドライナーシール材50を固定するためのクリップ59の頭部に対しても、エンドキャップ30の下方に形成された第4凸部37から斜め車両前方かつ下方に延びる第3傾斜面37aとその車両前方端部に形成された第5凸部38を、接触させることなく近接させている。
【0054】
そしてシャッター100の閉鎖時にテールゲート5が起立すると、
図6に示すように、車両側面の内方側では、上述したように、テールゲート5に設けられたテールゲートシール材6がシャッター100の後端部に設けられたシャッターシール材120に弾接するとともに、テールゲート5は、
図7のC-C断面である、
図10に示すように、ベッドライナーシール材50の下側の押出成形部50Aの中空壁52の車両後方側に弾接する。
また、ベッドライナーシール材50の上側の型成形部50Bにおいて中央部分では、
図12及び
図12のD-D断面である、
図14に示すように、テールゲートシール材6は、ベッドライナーシール材50の延長壁60の車両後方側の面に弾接するが、シャッターシール材120は存在させてなく、しかも、テールゲート5の上部はエンドキャップ30に形成された第1水平面31aで上方から接触することなく覆われる。ここで、テールゲート5の上部と第1水平面31aとの隙間は小さくされている。また、更に、図示は省略するが、
図14よりも車両外側の部位においては、テールゲートシール材6と、ベッドライナーシール材50の延長壁60の車両後方側の面は、弾接しないようにしてある。
より詳細には、
図8に示すように、延長壁60は、車両後側に向けて湾曲突出させている為、
図14に示す部位では、両者は弾接させてはいるが、弾接させている区間は短く、弾接させている区間の車両外側では、両者は弾接させていない。
【0055】
このように構成されたシャッター付きトラック荷台のシール構造によれば、
図14及び
図8に示すように、シャッター100閉鎖時及びテールゲート5起立時に、水W1がシャッター100とテールゲート5の間から浸入したとしても、エンドキャップ30の第2水平面39aに近接して設けられた延長壁60が1次止水材として機能し、水W1の一部分である、水W2が延長壁60とテールゲートシール材6の、弾接させていない車両外側の部分から落水し、車両外側に排水される。
また
図14に示した通り、テールゲートシール材6と、ベッドライナーシール材50の延長壁60は弾接させており、更に
図14の下側の部分である、
図10に示した通り、テールゲート5と、ベッドライナーシール材50の押出成形部50Aの中空壁52は弾接させており、また更に
図14の車両内側の部分である、
図6に示した通り、テールゲートシール材6と、シャッターシール材120の中空シール部122は弾接させている為、水W2が車両内側に浸水する事がない。また、その車両前側に設けられ、エンドキャップ30の第3水平面35aに近接して設けられた後壁61が2次止水材として機能し、水W3の一部分である、水W4が、延長壁60と後壁61の接続部に設けられた後樋壁66を流下し、中空部52A内に排水される。ここで、図示は省略するが、後樋壁66は、車両内方向に向けて斜め下向きに傾斜している。また、エンドキャップ30の第3水平面35aに近接して設けられた前壁63が3次止水材として機能し、水W5の一部分である、水W6が、前樋壁62、横樋壁56、上端51aの順に流下し、中空部52A内に排水される。さらに、前壁63の車両外側には前壁63から連設された後横壁64が設けられ、前壁63の車両前側には前壁63から連設された前横壁57が設けられている為、水W6が荷台1上に浸水するのを防止する事ができる。
【0056】
すなわち、シャッター100とテールゲート5の間から浸水した水W1は、延長壁60により1次止水されて、水W2ほど減量されて水W3になる。次いで水W3は、後壁61で2次止水されて、水W4ほど減量されて水W5になる。さらに水W5は、前壁63で3次止水されて、水W6ほど減量されて水W7になる。
このように、1次止水、2次止水、3次止水で、水W1が、W2、W4、W6と、3回減量されて、水W7になる為、荷台1上に浸入する水W7を最小限に抑えることができる。
【0057】
なお、延長壁60で受け止められた水W2は延長壁60の車両後側に導かれ車両外部に排出される。
また、延長壁60の最上端部60aを越えた水W3でかつ後壁61で受け止められた水W4は中空部52A内に導かれて下方に形成された水抜孔(図示しない)から車両外部に排出される。
さらに、後壁61の最上端部61aを越えた水W5でかつ前壁63で受け止められた水W6は、後壁61と前壁63間に設けられた前樋壁62から、横樋壁56を介して中空部52内Aに導かれて下方に形成された水抜孔(図示しない)から車両外部に排出される。
【0058】
また、
図9及び
図17に示すように、シャッター100閉鎖時に、シャッター100が直接弾接する大シールリップ70の上面及びシャッター100に取付けられたエンドキャップ30が直接弾接する小シールリップ80の上面には、いずれも車両後側に向かって上方に傾斜する面を形成して、シャッター100及びエンドキャップ30の誘い込み面としているので、シャッター100及びエンドキャップ30が引っ掛かってベッドライナーシール材50の上部が異常に撓むことが防止される。
さらに、大シールリップ70及び小シールリップ80は上昇傾斜設定にしているので、シャッター100が閉鎖された後に開放される際にも、シャッター100及びエンドキャップ30が、大シールリップ70及び小シールリップ80に引っ掛かってベッドライナーシール材50の上部が異常に撓むことが防止される。
【0059】
なお、本実施形態では、ベッドライナーシール材50の上側の型成形部50Bは、押出成形部50Aからそのまま上方に延びる中空壁52から車両前側に横樋壁56を形成して、上部は車両前側に張り出した形状にしているが、この横樋壁56を形成することなく、前樋壁62からの水W6が直接、中空部52A内に導かれるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 荷台
2 左側壁
3 右側壁
5 テールゲート
5a 取付フランジ
6 テールゲートシール材
6a 取付部
6b シールリップ部
7,8 ステー
9 ベッドライナー
10 ベッドライナーシール材
11 突出部
12 上壁部
13 側壁部
15 インサート
21 上面シールビード
22 上面シールビード
23 側面シールビード
24 側面シールビード
25 前樋
26 樋前壁
27 側樋
28 樋側壁
29 穴
30 エンドキャップ
30A 摺動部
31 第1凸部
31a 第1水平面
32 第1凹部
32a 第1垂直面
33 第2凸部
34 第2凹部
34a 第1傾斜面
35 第3凸部
35a 第3水平面
36 第3凹部
36a 第2傾斜面
37 第4凸部
37a 第3傾斜面
38 第5凸部
39 第6凸部
39a 第2水平面
39b 第2垂直面
50 ベッドライナーシール材
50A 押出成形部
50B 型成形部
51 取付板部
51a 上端
52 中空壁
52a 頂点小突部
52A 中空部
53 延長取付部
54 取付部
54a フック貫通孔
54b クリップ部貫通孔
55 アウトサート
55a クリップ部
56 横樋壁
57 前横壁
58 水平板部
58a クリップ孔
59 クリップ
60 延長壁
60a 最上端部
60b 上方傾斜部
60c 下方傾斜部
61 後壁
61a 最上端部
62 前樋壁
63 前壁
63a 最上端部
64 後横壁
65 内側周壁部
70 大シールリップ
70a リップ先端
71 V字切込
72 大V字凹部
80 小シールリップ
80a リップ先端
100 シャッター
110 エンドキャップ
120 シャッターシール材
121 取付基部
122 中空シール部
123 シールリップ部
201 左ガイドレール
301 右ガイドレール
303 突条部
304 突条部
305 シールリップ部
306 右ガイドレールエンドキャップ
C 取付クリップ
W(W1~W7) 水