(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045827
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】揺動装置
(51)【国際特許分類】
F03G 3/06 20060101AFI20230327BHJP
F03G 3/00 20060101ALI20230327BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20230327BHJP
【FI】
F03G3/06
F03G3/00 E
G05G1/30 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154415
(22)【出願日】2021-09-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】510293132
【氏名又は名称】清水 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100212255
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 将之
(72)【発明者】
【氏名】清水 勝美
【テーマコード(参考)】
3J070
【Fターム(参考)】
3J070AA32
3J070BA90
3J070CA42
3J070DA70
(57)【要約】
【課題】磁力というクリーンなエネルギーを運動エネルギーとして高効率で獲得すること、そして装置のオンオフを容易なものとすることである。
【解決手段】本発明の揺動装置は、左右一対のペダルを交互に上下運動させることによって、ペダル下面の磁性体と入力受皿上面の磁性体とが連続的に反発および吸着して、ペダルへの入力よりも大きな力が振子に加わり、枢着部分を中心に振子が左右に揺動して振子前端から出力を得ることができる。すなわち、本発明の揺動装置は、磁力および振子の揺動により、入力よりも大きな出力を得ることができるのである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の振子、前記振子後側の左右に配された一対の上下移動可能なペダル、前記振子の後側から左右に突出する入力受皿および基盤を備え、前記一対のペダルは交互に上下動するように連結されているとともに各々その下面において1個の磁性体を備え、前記振子は入力受皿より前側で基盤に枢着して左右に揺動可能となっており、前記入力受皿はその上面において左右各2個の磁性体を備え、前記ペダル下面の磁性体と前記入力受皿上面の外側の磁性体が吸着し、前記ペダル下面の磁性体と前記入力受皿上面の内側の磁性体が反発することを特徴とする、揺動装置。
【請求項2】
さらに、前記振子が後端側においてさらに1個または2個の補助磁性体を備え、当該1個の補助磁性体が前記ペダル下面の磁性体と吸着するか、または前方側の当該補助磁性体が前記ペダル下面の磁性体と吸着し、後方側の当該補助磁性体が前記ペダル下面の磁性体と反発することを特徴とする、請求項1の揺動装置。
【請求項3】
さらに、前記左右一対のペダルの外側端部に軸が固着するとともに、当該軸を挿通する軸受けが上記基盤に固着することを特徴とする、請求項1または2の揺動装置。
【請求項4】
さらに、いずれか一方の前記軸に入力レバーを設けた、請求項3の揺動装置。
【請求項5】
さらに、前記振子の揺動範囲を画定するための振子止めを備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の揺動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体を備えた振子を利用した揺動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁力から運動エネルギーを取り出す仕組みは種々発明されてきた。例えば特許文献1(特開2017-133492号公報)は、磁石の反発力により円盤を回転させて運動エネルギー獲得する装置について開示する。特許文献2(特開2012-41909号公報)は、磁力を利用した回転維持装置を開示する。特許文献3(特開2012-87769号公報)は、磁石の反発力によりピストンを動かして運動エネルギーを獲得する装置について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-133492号公報
【特許文献2】特開2012-41909号公報
【特許文献3】特開2012-87769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、磁力というクリーンなエネルギーを運動エネルギーとして高効率で獲得すること、そして装置のオンオフを容易なものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記問題点を解決すべく、磁性体を備えた振子を利用した揺動装置を提供する。具体的には、本発明は、棒状の振子、前記振子後側の左右に配された一対の上下移動可能なペダル、前記振子の後側から左右に突出する入力受皿および基盤を備え、前記一対のペダルは交互に上下動するように連結されているとともに各々その下面において1個の磁性体を備え、前記振子は入力受皿より前側で基盤に枢着して左右に揺動可能となっており、前記入力受皿はその上面において左右各2個の磁性体を備え、前記ペダル下面の磁性体と前記入力受皿上面の外側の磁性体が吸着し、前記ペダル下面の磁性体と前記入力受皿上面の内側の磁性体が反発することを特徴とする、揺動装置を提供する。
【0006】
より好ましい態様において、本発明の揺動装置は、さらに、上記入力受皿が中央後部側においてさらに1個または2個の補助磁性体を備え、当該1個の補助磁性体が上記ペダル下面の磁性体と吸着するか、または前方側の当該補助磁性体が前記ペダル下面の磁性体と吸着し、後方側の当該補助磁性体が前記ペダル下面の磁性体と反発することを特徴とする。補助磁性体が2個の場合には、上記ペダル下面の磁性体と吸着する補助磁性体は前方側の補助磁性体であり、後方側に配された他方の補助磁性体は、上記ペダル下面の磁性体と反発する。かかる補助磁性体は、ペダル下面の磁性体と入力受皿上面の外側の磁性体との吸着および反発に合力して、ペダル入力による振子の揺動をより大きなものとする。
【0007】
より好ましい態様において、本発明の揺動装置は、さらに、上記左右一対のペダルの外側端部に軸が固着するとともに、当該軸を挿通する軸受けが上記基盤に固着することを特徴とする。かかる軸と軸受けによって、ペダルの上下移動が可能となる。さらに好ましい態様において、当該左右いずれか一方の軸に入力レバーを取り付けることで、入力レバーとペダルとを連結してもよい。
【0008】
より好ましい態様において、本発明の揺動装置は、さらに、上記振子の揺動範囲を画定するための振子止めを備えることを特徴とする。典型的には当該振子止めは基盤に固着されており、上記振子の枢着よりも前方側であっても、後方側であってもよいが、前方側が取り付けおよび位置調節の簡便さから好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の揺動装置は、左右一対のペダルを交互に上下運動させることによって、ペダル下面の磁性体と入力受皿上面の磁性体とが連続的に反発および吸着して、ペダルへの入力よりも大きな力が振子に加わり、枢着部分を中心に振子が左右に揺動して振子前端から出力を得ることができる。すなわち、本発明の揺動装置は、磁力および振子の揺動により、入力よりも大きな出力を得ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は本発明の揺動装置の実施方法を示した平面図である。(実施例1)
【
図2】
図2は本発明の揺動装置の実施方法を示した背面図 である。
【
図3】
図3は本発明の揺動装置の実施方法を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記のとおり、本発明は、棒状の振子、前記振子後側の左右に配された一対の上下移動可能なペダル、前記振子の後側から左右に突出する入力受皿および基盤を備え、前記一対のペダルは交互に上下動するように連結されているとともに各々その下面において1個の磁性体を備え、前記振子は入力受皿より前側で基盤に枢着して左右に揺動可能となっており、前記入力受皿はその上面において左右各2個の磁性体を備え、前記ペダル下面の磁性体と前記入力受皿上面の外側の磁性体が吸着し、前記ペダル下面の磁性体と前記入力受皿上面の内側の磁性体が反発することを特徴とする、揺動装置を提供する。
【0012】
本明細書において用いる前後左右と上下は、振子の枢着を中心として、
図1の左右を左右と、上下を前後と、手前と奥とを上下と、それぞれ表現しているものであるが、説明のために便宜的に付与された向きに過ぎず、本発明の内容にとって相対的な要素にすぎない。したがって、例えば前後を反転させた本発明の揺動装置もまた、本発明に含まれる。外側、内側についても、同様に、振子の枢着を中心として外にあるか内にあるかを説明するための表現である。
【0013】
棒状の振子は、本発明の揺動装置における中心的部分である。振子の後側において左右に突出する入力受皿を取り付けることで、左右のペダルからの入力を受け取ることができる。ペダルから入力受皿を介して振子に入力された力は、枢着によって振子の左右への揺動となり、振子の前側において出力として取り出すことができる。かかる揺動を補助するために、振子の前側において、錘を取り付けてもよい。また、揺動範囲を制御するため、振子の前側もしくは後側左右脇に振子止めを設けてもよい。
【0014】
一対のペダルは、交互に、すなわち左のペダルが上に移動するとき右のペダルは下に移動し、左のペダルが下に移動するとき右のペダルは上に移動するように、連結されている。かかる連結は、典型的には例えばコンロット構造によるが、交互に上下する目的さえ達成されればどのようなものでもよい。また、ペダルの上下移動はどのような手段によって果たされてもよく、例えば各ペダルの外側端部に軸を固着させ、軸受けに当該軸を挿通することによって、軸の回転によりペダル内側が上下移動する。
【0015】
磁性体は、磁力を帯びたどのようなものであってもよく、例えば、鉄、けい素鉄、パーマロイ、Fe-Si-Al、パーメンジュール、電磁ステンレス、アモルファス、ナノ結晶、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、サマリウム鉄窒素磁石、ニッケルなどが含まれるがこれらに限定されない。好ましくは、磁性体は、保磁力が大きなもの、例えばアルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石またはサマリウム鉄窒素磁石、とりわけネオジム磁石から選択される。
【0016】
ペダルと振子との位置関係については、振子の左右それぞれに一対のペダルが配置されていることを要する。例えば前方に振子止めを設ける場合には、背面図において、振子前方が右側に振り切ったときに、左側の入力受皿上面の2個の磁性体の間の上側に左ペダル下面の磁性体が位置し、振子前方が左側に振り切ったときに、右側の入力受皿上面の2個の磁性体の間の上側に右ペダル下面の磁性体が位置することが好ましい。このように配置することによって、ペダル下面の磁性体と入力受皿上面の2個の磁性体とがそれぞれ反発・吸着するいわば磁力の均衡状態が生まれてペダルと振子の位置が定まる。このようにペダルと入力受皿の磁性体が配置されていることによって、振子前方が左側に移動しても、ペダルを押下することでペダル下面の磁性体は入力受皿左端の磁性体を吸引して、振子が引き戻されて振子前方は右側に振れる。このように磁力の均衡が生じるように、ペダル下面の磁性体の位置は、ペダルを押下したときに入力受皿上面の2個の磁性体の間にくるようにすることが好ましい。
【0017】
入力は、ペダルの上から直接行ってもよいし、ペダルに取り付けた入力装置、例えばペダルに固着した軸に取り付けたレバーを介して行ってもよい。入力装置は人力や原動機、など、どのような入力であってもペダルに入力が可能でありさえすればよい。
【0018】
入力受皿上の磁性体は、左右2個ずつであり、この2個の磁性体は、上下に磁極がある磁性体をNS交互に取り付ける。ペダルの磁性体は、ペダル下面に上下に磁極がある磁性体を取り付ける。入力受皿においては上側の、ペダル下面の磁性体においては下側の磁極が、それぞれ吸着・反発に作用する。
【実施例0019】
図1~3は、本発明装置の1実施例である。
図1は平面図、
図2は背面図、
図3は斜視図である。以下、図に基づいて本発明装置の1実施例を説明する。厚さ6mmのアルミ板を基盤2とし、左右の中央下から9cmの位置に振子3を枢着21するための穴を設けた。棒状の振子3の後側に長さ10cmの入力受皿31を設けて、振子3と入力受皿31とで十字を形成した。振子3の前方に錘32を設けて振子3のバランスを取り、前端に出力取出口33を設けた。基盤2と振子3とは枢着21させて、振子3が左右に揺動するようにした。入力受皿31が左右それぞれ1cm振れるように、振子止め22を基盤2に取り付けた。左ペダル4の左端に軸41を固着し、当該軸41を挿通した軸受け42を基盤2に取り付けて、軸41が回動して左ペダル4を上下移動可能に基盤2に取り付けた。右ペダル5についても左ペダル4と同様に基盤2に取り付けた。左ペダル軸41および右ペダル軸51にそれぞれコンロット43,53を取り付け、左右コンロット43,53をペダル連結板6で連結して、左右一対のペダル4,5を交互に上下移動可能とした。右ペダル軸51の上側に、さらに入力レバー7を固着した。
【0020】
高さ方向に磁化されている直径2cm、厚さ6mmの円柱型のネオジム磁石を磁性体81~83として用意した。入力受皿31の上面には、左からS極、N極、N極、S極が上向きになるように、磁性体81を取り付けた。ペダル4,5の下面には、それぞれ、S極が下向きとなるように、磁性体82を取り付けた。振子3の上面後端には、後側からN極、S極が上向きになるように、補助磁性体83を取り付けた。補助磁性体83は、入力受皿磁性体81よりも用意したネオジム磁石1個分高い位置に取り付けた。
【0021】
振子3の前方を右側に振り切ったときに、左側の2個の入力受皿磁性体81の間に左ペダル下面磁性体82が来るようにした。右ペダルでも同様の位置に磁性体81,82を取り付けた。ペダルを上下させると、各磁性体の反発・吸着が生じて、振子3が大きく左右に揺動した。具体的には、振子3の後端側が左側に寄せられている状態では、左ペダル4下面の下向きにS極となっている磁性体82と、入力受皿左側のN極が上向きになっている磁性体81との間で引力が生じ、入力受皿左側のS極が上向きになっている磁性体81との間で斥力を生じて均衡がとれている。この均衡は、ペダル4と連動するペダル5を動かしてペダル下面の磁性体82が入力受皿の磁性体81に掛かりだしてS極どうしの滑りによって、右側へとピストン後端側が押し出される形で崩れる。この押し出される力が、ピストン先端の出力取出口33の左から右への運動エネルギーとして出力される。
ペダルを採用したことで本発明の装置への入力のオンオフが容易にでき、また、入力した力が磁力と振子で増力されて出力することができる。たとえば自転車や人力飛行機、荷物の簡易リフト、ボートのオール部分など、入力を必要とする機構に採用可能である。