(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045828
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】入力装置、入力システム及び入力装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20230327BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20230327BHJP
H10N 30/50 20230101ALI20230327BHJP
H10N 30/87 20230101ALI20230327BHJP
H10N 30/06 20230101ALI20230327BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230327BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20230327BHJP
H02N 2/04 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
H01L41/09
H01L41/083
H01L41/047
H01L41/29
G06F3/041 480
B06B1/04 S
H02N2/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154416
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】石井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】福島 岳行
(72)【発明者】
【氏名】岸本 純明
(72)【発明者】
【氏名】濤川 雄一
【テーマコード(参考)】
5D107
5H681
【Fターム(参考)】
5D107BB08
5D107CC01
5H681BB13
5H681DD37
5H681DD95
5H681FF26
5H681FF36
5H681GG02
(57)【要約】
【課題】触覚技術を用いた操作感に優れる入力装置、入力システム及び入力装置の駆動方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る入力装置は、筐体と、圧電アクチュエータとを具備する。上記圧電アクチュエータは、上記筐体に搭載され、圧電材料からなる圧電体層と、上記圧電体層中に設けられた正極内部電極と、上記圧電体層中に設けられ、上記圧電体層を介して上記正極内部電極と対向する負極内部電極とを備え、上記正極内部電極と上記負極内部電極の間に電圧が印加されると、上記正極内部電極及び上記負極内部電極の電極面に垂直な方向に沿って伸縮する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に搭載され、圧電材料からなる圧電体層と、前記圧電体層中に設けられた正極内部電極と、前記圧電体層中に設けられ、前記圧電体層を介して前記正極内部電極と対向する負極内部電極とを備え、前記正極内部電極と前記負極内部電極の間に電圧が印加されると、前記正極内部電極及び前記負極内部電極の電極面に垂直な方向に沿って伸縮する圧電アクチュエータと
を具備する入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置であって、
前記筐体は第1の方向を長手方向とする形状を有し、
前記圧電アクチュエータは、前記電極面に垂直な方向が前記第1の方向に対して垂直となる向きで前記筐体に搭載されている
入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の入力装置であって、
前記筐体は前記第1の方向を長手方向とするペン型形状を有し、
前記圧電アクチュエータは、前記筐体のグリップ部分に配置されている
入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の入力装置であって、
前記筐体は、前記グリップ部分に設けられた凹部を有し、
前記圧電アクチュエータは、前記凹部に収容され、封止材によって封止されている
入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入力装置であって、
前記圧電アクチュエータは、複数の圧電アクチュエータチップからなり、前記複数のアクチュエータチップは前記第1の方向に対して垂直となる方向を積層方向として積層されている
入力装置。
【請求項6】
請求項2から5のうちいずれか1項に記載の入力装置であって、
前記筐体は所定の共振周波数を有し、
周波数が50Hz以上350Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が前記共振周波数である正弦波を前記変調波によって振幅変調してなる波形を有する駆動信号を前記正極内部電極と前記負極内部電極に供給する駆動部をさらに具備する
入力装置。
【請求項7】
請求項4に記載の入力装置であって、
前記共振周波数は20kHz以上110kHz以下である
入力装置。
【請求項8】
請求項1に記載の入力装置であって、
前記筐体は第1の方向を長手方向とする形状を有し、
前記圧電アクチュエータは、前記電極面に垂直な方向が前記第1の方向に対して平行となる向きで前記筐体に搭載されている
入力装置。
【請求項9】
請求項8に記載の入力装置であって、
前記筐体は前記第1の方向を長手方向とするペン型形状を有し、
前記圧電アクチュエータは、前記筐体のペン先部分に配置されている
入力装置。
【請求項10】
請求項9に記載の入力装置であって、
前記ペン先部分は、前記圧電アクチュエータから前記第1の方向に沿って突出し、金属からなる先端部を備える
入力装置。
【請求項11】
請求項10に記載の入力装置であって、
前記圧電アクチュエータは、複数の圧電アクチュエータチップからなり、前記複数のアクチュエータチップは前記第1の方向を積層方向として積層されている
入力装置。
【請求項12】
請求項8から11のうちいずれか1項に記載の入力装置であって、
前記筐体は所定の共振周波数を有し、
周波数が50Hz以上350Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が前記共振周波数である正弦波を前記変調波によって振幅変調してなる波形を有する駆動信号を前記正極内部電極と前記負極内部電極に供給する駆動部をさらに具備する
入力装置。
【請求項13】
請求項12に記載の入力装置であって、
前記共振周波数は20kHz以上110kHz以下である
入力装置。
【請求項14】
請求項8から11のうちいずれか1項に記載の入力装置であって、
前記筐体は所定の共振周波数を有し、
周波数が2Hz以上50Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が150Hz以上250Hz以下である正弦波を前記変調波によって振幅変調してなる波形を有する駆動信号を前記正極内部電極と前記負極内部電極に供給する駆動部をさらに具備する
入力装置。
【請求項15】
請求項5又は11に記載の入力装置であって、
前記圧電アクチュエータチップは所定数の前記正極内部電極と前記負極内部電極を含むブロックを複数備え、前記複数のブロックの間には緩和層が設けられ、
前記緩和層は、前記ブロック内における前記正極内部電極と前記負極内部電極の間の前記圧電体層の厚みよりも厚い前記圧電体層である
入力装置。
【請求項16】
筐体と、前記筐体に搭載され、圧電材料からなる圧電体層と、前記圧電体層中に設けられた正極内部電極と、前記圧電体層中に設けられ、前記圧電体層を介して前記正極内部電極と対向する負極内部電極とを備え、前記正極内部電極と前記負極内部電極の間に電圧が印加されると、前記正極内部電極及び前記負極内部電極の電極面に垂直な方向に沿って伸縮する圧電アクチュエータとを備える入力装置と、
駆動信号を前記正極内部電極と前記負極内部電極に供給する駆動部と
を具備する入力システム。
【請求項17】
筐体に搭載され、圧電材料からなる圧電体層と、前記圧電体層中に設けられた正極内部電極と、前記圧電体層中に設けられ、前記圧電体層を介して前記正極内部電極と対向する負極内部電極とを備え、前記正極内部電極と前記負極内部電極の間に電圧が印加されると、前記正極内部電極及び前記負極内部電極の電極面に垂直な方向に沿って伸縮する圧電アクチュエータの前記正極内部電極と前記負極内部電極に駆動信号を供給する
入力装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動による触覚提示に係る入力装置、入力システム及び入力装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに触覚を提示する触覚機能デバイスには様々なアクチュエータが用いられている。例えば、通知機能には偏心モータやリニア共振アクチュータ等の電磁式アクチュエータが用いられている。また、フォースフィードバック機能にはこれらの電磁式アクチュエータに加え、圧電式アクチュエータも用いられている。
【0003】
近年、触感技術は高度化が進んでおり、通知機能に加えてザラザラ感やツルツル感等の触感表現も再現できる技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、モバイル機器の液晶パネル等では領域毎に異なる触感表面も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モバイル機器の入力にスタイラスペンが用いられる場合がある。スタイラスペンを用いると文字や図形の描画が容易となるが、スタイラスペンによる描画の際、実際の筆記具とは操作感が異なり、ユーザが違和感を覚える場合がある。そこで本発明者らは、触覚技術を利用してスタイラスペンの操作感を向上させることを検討した。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、触覚技術を用いた操作感に優れる入力装置、入力システム及び入力装置の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る入力装置は、筐体と、圧電アクチュエータとを具備する。
上記圧電アクチュエータは、上記筐体に搭載され、圧電材料からなる圧電体層と、上記圧電体層中に設けられた正極内部電極と、上記圧電体層中に設けられ、上記圧電体層を介して上記正極内部電極と対向する負極内部電極とを備え、上記正極内部電極と上記負極内部電極の間に電圧が印加されると、上記正極内部電極及び上記負極内部電極の電極面に垂直な方向に沿って伸縮する。
【0008】
上記筐体は第1の方向を長手方向とする形状を有し、上記圧電アクチュエータは、上記電極面に垂直な方向が上記第1の方向に対して垂直となる向きで上記筐体に搭載されていてもよい。
【0009】
上記筐体は上記第1の方向を長手方向とするペン型形状を有し、
上記圧電アクチュエータは、上記筐体のグリップ部分に配置されていてもよい。
【0010】
上記筐体は、上記グリップ部分に設けられた凹部を有し、
上記圧電アクチュエータは、上記凹部に収容され、封止材によって封止されていてもよい。
【0011】
上記圧電アクチュエータは、複数の圧電アクチュエータチップからなり、上記複数のアクチュエータチップは上記第1の方向に対して垂直となる方向を積層方向として積層されていてもよい。
【0012】
上記筐体は所定の共振周波数を有し、
周波数が50Hz以上350Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が上記共振周波数である正弦波を上記変調波によって振幅変調してなる波形を有する駆動信号を上記正極内部電極と上記負極内部電極に供給する駆動部をさらに具備してもよい。
【0013】
上記共振周波数は20kHz以上110kHz以下であってもよい。
【0014】
上記筐体は第1の方向を長手方向とする形状を有し、
上記圧電アクチュエータは、上記電極面に垂直な方向が上記第1の方向に対して平行となる向きで上記筐体に搭載されていてもよい。
【0015】
上記筐体は上記第1の方向を長手方向とするペン型形状を有し、
上記圧電アクチュエータは、上記筐体のペン先部分に配置されていてもよい。
【0016】
上記ペン先部分は、上記圧電アクチュエータから上記第1の方向に沿って突出し、金属からなる先端部を備えてもよい。
【0017】
上記圧電アクチュエータは、複数の圧電アクチュエータチップからなり、上記複数のアクチュエータチップは上記第1の方向を積層方向として積層されていてもよい。
【0018】
上記筐体は所定の共振周波数を有し、
周波数が50Hz以上350Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が上記共振周波数である正弦波を上記変調波によって振幅変調してなる波形を有する駆動信号を上記正極内部電極と上記負極内部電極に供給する駆動部をさらに具備してもよい。
【0019】
上記共振周波数は20kHz以上110kHz以下であってもよい。
【0020】
上記筐体は所定の共振周波数を有し、
周波数が2Hz以上50Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が150Hz以上250Hz以下である正弦波を上記変調波によって振幅変調してなる波形を有する駆動信号を上記正極内部電極と上記負極内部電極に供給する駆動部をさらに具備してもよい。
【0021】
上記圧電アクチュエータチップは所定数の上記正極内部電極と上記負極内部電極を含むブロックを複数備え、上記複数のブロックの間には緩和層が設けられ、
上記緩和層は、上記ブロック内における上記正極内部電極と上記負極内部電極の間の上記圧電体層の厚みよりも厚い上記圧電体層であってもよい。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る入力システムは、入力装置と、駆動部とを具備する。
上記入力装置は、筐体と、上記筐体に搭載され、圧電材料からなる圧電体層と、上記圧電体層中に設けられた正極内部電極と、上記圧電体層中に設けられ、上記圧電体層を介して上記正極内部電極と対向する負極内部電極とを備え、上記正極内部電極と上記負極内部電極の間に電圧が印加されると、上記正極内部電極及び上記負極内部電極の電極面に垂直な方向に沿って伸縮する圧電アクチュエータとを備える。
上記駆動部は、駆動信号を上記正極内部電極と上記負極内部電極に供給する。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る入力装置の駆動方法は、筐体に搭載され、圧電材料からなる圧電体層と、上記圧電体層中に設けられた正極内部電極と、上記圧電体層中に設けられ、上記圧電体層を介して上記正極内部電極と対向する負極内部電極とを備え、上記正極内部電極と上記負極内部電極の間に電圧が印加されると、上記正極内部電極及び上記負極内部電極の電極面に垂直な方向に沿って伸縮する圧電アクチュエータの上記正極内部電極と上記負極内部電極に駆動信号を供給する。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、触覚技術を用いた操作感に優れる入力装置、入力システム及び入力装置の駆動方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る入力装置の平面図である。
【
図4】上記入力装置が備えるグリップ部分の平面図である。
【
図5】上記入力装置が備えるグリップ部分の断面図である。
【
図6】上記入力装置が備えるグリップ部分の断面図である。
【
図7】上記入力装置が備えるグリップ部分の凹部に収容された圧電アクチュエータを示す断面図である。
【
図8】上記入力装置が備える圧電アクチュエータを構成する圧電アクチュエータチップの断面図である。
【
図9】上記圧電アクチュエータチップにおける圧電体層の厚みを示す模式図である。
【
図10】上記圧電アクチュエータチップの振動を示す模式図である。
【
図11】上記凹部に収容された圧電アクチュエータチップの振動を示す模式図である。
【
図12】上記凹部に収容された圧電アクチュエータチップの模式図である。
【
図14】上記入力装置が備える駆動部が発生させる振幅変調波波形である。
【
図16】上記入力装置が備える駆動部が発生させる振幅変調波波形(電圧波形のみ)である。
【
図19】本発明の第2の実施形態に係る入力装置の平面図である。
【
図21】上記入力装置が備える圧電アクチュエータを構成する圧電アクチュエータチップの振動を示す模式図である。
【
図23】上記入力装置が備える駆動部が発生させる振幅変調波波形の例である。
【
図24】上記入力装置が備える駆動部が発生させる振幅変調波波形の例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る入力装置について説明する。
【0027】
[入力装置の構成]
図1は本実施形態に係る入力装置100の平面図である。
図2は入力装置100の断面図であり、
図1のA-A線での断面図である。
図3は
図2の一部拡大図である。これらの図に示すように、入力装置100はスタイラスペン型の入力装置であり、筐体110、支持板120及び圧電アクチュエータ130を備える。
【0028】
筐体110は
図1に示すようにペン型形状を有する。以下、筐体110の長手方向をX方向とし、X方向に直交する一方向をY方向、X方向及びZ方向に垂直な方向をZ方向とする。
図1に示すように筐体110はペン先部分111、ペン軸部分112及びグリップ部分113及びを備える。
【0029】
ペン先部分111はペン型形状である筐体110のペン先を構成する部分である。ペン先部分111は
図3に示すように接合部111aと先端部111bを有する。接合部111aはペン先部分111のグリップ部分113側の端部に設けられたネジ穴であり、グリップ部分113との接合に用いられる。先端部111bはペン先部分111のグリップ部分113とは反対側の端部に設けられ、尖った形状に形成されている。ペン先部分111はポリカーボネート等の樹脂またはステンレス等の金属からなる。
【0030】
ペン軸部分112はペン型形状である筐体110のペン軸を構成する部分である。ペン軸部分112は
図3に示すように接合部112aを有する。接合部112aはペン軸部分112のグリップ部分113側の端部に設けられたネジ穴であり、グリップ部分113との接合に用いられる。ペン軸部分112はポリカーボネート等の樹脂またはステンレス等の金属からなる。
【0031】
グリップ部分113はペン先部分111とペン軸部分112の間に配置され、ペン型形状である筐体110のグリップを構成する部分である。
図4はグリップ部分113の平面図である。
図5及び
図6はグリップ部分113の断面図であり、
図5は
図4のB-B線での断面図、
図6は
図4のC-C線での断面図である。これらの図に示すようにグリップ部分113は、接合部113a、接合部113bおよび凹部113cを有する。接合部113aはグリップ部分113のペン先部分111側の端部に設けられ、ペン先部分111の接合部111aに螺合するネジである。接合部113bはグリップ部分113のペン軸部分112型の端部に設けられ、ペン軸部分112の接合部112aに螺合するネジである。
【0032】
支持板120は
図3に示すように凹部113cの底部に配置され、圧電アクチュエータ130を支持する。支持板120はステンレス等の金属からなる。
【0033】
圧電アクチュエータ130は、振動を生じ、入力装置100に触覚を生じさせる。
図7はグリップ部分113に配置された圧電アクチュエータ130を示す断面図である。同図に示すように圧電アクチュエータ130は、支持板120上に載置され、凹部113cに収容されている。また、圧電アクチュエータ130は図示しない封止材により凹部113cに固定されている。封止材は例えばエポキシ樹脂である。
【0034】
圧電アクチュエータ130は、
図7に示すように第1圧電アクチュエータチップ131と第2圧電アクチュエータチップ132の2つの圧電アクチュエータチップが積層されて構成されている。第1圧電アクチュエータチップ131と第2圧電アクチュエータチップ132は同一構造を有する圧電アクチュエータチップとすることができる。
図8は、第1圧電アクチュエータチップ131及び第2圧電アクチュエータチップ132を構成することが可能な圧電アクチュエータチップ140の模式図である。
【0035】
同図に示すように、圧電アクチュエータチップ140は圧電体層141、正極内部電極142及び負極内部電極143を備える。また、圧電アクチュエータチップ140の一主面を主面140a、主面140aの反対側の主面を主面140b、一側面を側面140c、側面140cの反対側の側面を側面140dとする。圧電体層141はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料からなる。
【0036】
正極内部電極142は、導電性材料からなり、圧電体層141中に設けられ、圧電体層141を介して負極内部電極143と対向する。正極内部電極142は平板状であり、正極内部電極142の主面を電極面とすると、電極面は主面140a及び主面140bに平行である。正極内部電極142は、
図8に示すように側面140cに露出し、側面140dから離間する。正極内部電極142は、側面140cに形成された図示しない正極外部電極と当接し、電気的に接続されている。
【0037】
負極内部電極143は、導電性材料からなり、圧電体層141中に設けられ、圧電体層141を介して正極内部電極142と対向する。負極内部電極143は平板状であり、正極内部電極142の主面を電極面とすると、電極面は主面140a及び主面140bに平行である。負極内部電極143は、
図8に示すように側面140dに露出し、側面140cから離間する。負極内部電極143は、側面140dに形成された図示しない負極外部電極と当接し、電気的に接続されている。
【0038】
図8に示すように、圧電アクチュエータチップ140は、ブロック151と緩和層152を有する。ブロック151は、複数の正極内部電極142及び複数の負極内部電極143を含み、圧電アクチュエータチップ140には3つのブロック151が設けられている。各ブロック151に含まれる正極内部電極142及び負極内部電極143の数は特に限定されないが、合わせて50層とすることができる。このため、圧電アクチュエータチップ140は3つのブロック151で計150層の正極内部電極142及び負極内部電極143を備えるものとすることができる。なお、
図8では便宜上、各ブロック151に3層ずつの正極内部電極142及び負極内部電極143が含まれるように図示している。
【0039】
緩和層152は、ブロック151の間と、圧電アクチュエータチップ140の主面140a側及び主面140b側に設けられている。緩和層152は厚みの大きい圧電体層141からなる。
図9は緩和層152の厚みを示す模式図である。同図に示すように、各ブロック151内における正極内部電極142と負極内部電極143の間の圧電体層141の厚みを厚みT1とし、緩和層152における圧電体層141の厚みを厚みT2とする。厚みT2は厚みT1より厚く、厚みT1の2倍以上の厚みが好適であり、例えば、厚みT1は18μm、厚みT2は36μmとすることができる。
【0040】
圧電アクチュエータチップ140は、圧電体層141となる圧電体板上に導電ペーストにより正極内部電極142又は負極内部電極143を形成し、圧電体板を積層して焼結することにより形成することが可能である。ここで、圧電体板の積層数が多い場合、ブロック151毎に焼結体を形成し、ブロック151を重ねて圧着することにより、圧電アクチュエータチップ140を形成することができる。この際、緩和層152によりブロック151間の密着性を強化すると共に、圧着時の内部応力を緩和することで特性に優れる圧電アクチュエータチップ140を形成することが可能である。なおブロック151の数は3つに限られず、2つ以下、又は4つ以上であってもよい。
【0041】
圧電アクチュエータチップ140はこのような構成を有する。
図10は圧電アクチュエータチップ140の振動を示す模式図である。正極内部電極142と負極内部電極143の間に電圧を印加すると、圧電体層141における逆圧電効果により圧電アクチュエータチップ140は正極内部電極142及び負極内部電極143の電極面に垂直な方向に沿って伸縮(図中、矢印)し、同方向を振幅方向として振動する。このような振動はd33モードと呼ばれる。d33モードで動作する圧電アクチュエータチップ140はDC成分を加算することでユニポーラ駆動も可能であるため、分極劣化の対策もできる。
【0042】
圧電アクチュエータ130は上述のように第1圧電アクチュエータチップ131及び第2圧電アクチュエータチップ132を備え、第1圧電アクチュエータチップ131及び第2圧電アクチュエータチップ132はそれぞれ圧電アクチュエータチップ140の構成を有する。
図11は、圧電アクチュエータ130を構成する圧電アクチュエータチップ140の向きを示す模式図である。
【0043】
同図に示すように2つの圧電アクチュエータチップ140はその振動方向(図中矢印)が筐体110の長手方向(X方向)に対して垂直な方向(Z方向)となる向きで、同方向(Z方向)を積層方向として積層され、凹部113cに収容されている。したがって、圧電アクチュエータ130はd33モードで振動する圧電アクチュエータ(以下、d33圧電アクチュエータ)である。d33圧電アクチュエータの変位量は下記の(式1)で表されるため、圧電アクチュエータ130を2つの圧電アクチュエータチップ140を積層して構成することにより多段化し、変位量を大きくすることが可能である。
【0044】
Δz=d33・v・n (式1)
なお、Δzは変位量、d33は圧電体層141の材料定数、vは印加電圧、nは圧電体層の積層数を示す
【0045】
図12は凹部113cと圧電アクチュエータチップ140を示す平面図である。同図に示すように、圧電アクチュエータチップ140は凹部113cより小さく、圧電アクチュエータチップ140は凹部113cとの間に隙間が形成される大きさが好適である。
図12に示すように、凹部113cの長さ(X方向)を長さL1、幅(Y方向)を幅D1、圧電アクチュエータチップ140の長さ(X方向)を長さL2、幅(Y方向)を幅D2とすると、一例として長さL1及び幅D1は共に4mm、長さL2及び幅D2は共に3.5mmとすることができる。なお、圧電アクチュエータチップ140と凹部113cと隙間には封止材が充填され、圧電アクチュエータチップ140及び支持板120と凹部113cを固定する。
【0046】
圧電アクチュエータ130は以上のような構成を有する。なお、圧電アクチュエータ130は2つの圧電アクチュエータチップ140からなるものとしたが、1つ又は3つ以上の圧電アクチュエータチップ140からなるものであってもよい。また、圧電アクチュエータ130は、振動方向が筐体110の長手方向(X方向)に対して垂直な方向(Z方向)となるd33圧電アクチュエータであれば、他の構成を有するものであってもよい。
【0047】
[入力装置の動作及び効果]
図13は入力装置100の動作を示す模式図である。入力装置100では上記のように、圧電アクチュエータ130を駆動することにより、圧電アクチュエータ130を筐体110の長手方向(X方向)に対して垂直な方向(Z方向)に沿って伸縮させ、同方向(Z方向)を振幅方向としてd33モードで振動させる。入力装置100のユーザは入力装置100のグリップ部分113を把持してモバイル機器等の入力対象面に入力を行うが、グリップ部分113に圧電アクチュエータ130が設けられているため、入力装置100はユーザにリアルな触覚表現を提供することができる。
【0048】
この際、圧電アクチュエータ130の振動方向(Z方向)が、グリップ部分113を把持する指の押し込み方向(Z方向)と一致するため、圧電アクチュエータ130のこの方向(Z方向)に対する発生力を優位に活用することが可能である。また、d33圧電アクチュエータは振動方向に対する耐久力が最も大きいため、圧電アクチュエータ130の耐久性を向上させることができる。
【0049】
さらに、圧電アクチュエータ130はモータ等の機械的駆動部分を有さず、小型、軽量かつ低消費電力の圧電アクチュエータチップ140から構成されているため、圧電アクチュエータ130の省スペース化及び低消費電力化が可能である。加えて、圧電アクチュエータ130は高速応答性が高いため、入力装置100はこの高速応答性を生かした触覚表現が可能である。
【0050】
[駆動信号について]
圧電アクチュエータ130へ出力される駆動信号について説明する。この駆動信号は上記のように、圧電アクチュエータチップ140の正極内部電極142と負極内部電極143の間に印加される電圧波形である。なお、この駆動信号は入力装置100に搭載された駆動部から圧電アクチュエータ130に供給されるものであってもよく、入力装置100とは別の装置に搭載された駆動部から、無線通信等を介して圧電アクチュエータ130に供給されるものであってもよい。
【0051】
駆動部が圧電アクチュエータ130へ出力する駆動信号は周波数が50Hz以上350Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が筐体110の共振周波数である正弦波を変調波によって振幅変調してなる波形を有する。ここで、50Hz以上350Hz以下の振動は、人の皮膚の受容器であるマイスナー小体及びパチニ小体等が敏感に感じることが可能な振動である。また、筐体110の共振周波数は、ペン先部分111とグリップ部分113の材質によって決まり、20kHz以上110kHz以下が好適である。
【0052】
図14は、第1の周波数を有する正弦波を変調波とし、この変調波によって第2の周波数を有する正弦波を振幅変調した振幅変調波の波形を有する電圧波形と電流波形を示す。
図15は
図14の拡大図である。駆動部から圧電アクチュエータ130に
図14に示す電圧波形を駆動信号として印加すると、
図14に示す電流波形を有する電流が流れる。
【0053】
図16は
図14の電圧波形のみを示し、
図17は
図15の電圧波形のみを示す。
図16及び
図17においてW1で示す波長の大きい波が第1の周波数を有する正弦波であり、W2で示す波長の小さい波が第2の周波数を有する正弦波である。以下、第1の周波数を有する正弦波を第1正弦波W1とし、第2の周波数を有する正弦波を第2正弦波W2とする。
【0054】
図16及び
図17に示す波形では、第1正弦波W1は、第2正弦波W2の振幅の変化によって形成されており、即ち
図16及び
図17に示す波形は第2正弦波W2を搬送波、第1正弦波W1を変調波とする振幅変調波である。駆動部は、筐体110の共振周波数を有する第2正弦波W2を搬送波、50Hz以上350Hz以下である第1正弦波W1を変調波とする振幅変調波の波形を有する駆動信号を生成し、圧電アクチュエータ130に印加することができる。
【0055】
図18は、振幅変調波の波形と電圧ゲインの関係を示す模式図である。同図に示すように、振幅変調波の「ピーク」の振幅を振幅aとし、「谷底」の振幅を振幅bとすると、変調度mは以下の(式2)で表される。下記(式2)で示すように、振幅aに対して振幅bが小さいほど変調度mが大きくなる。
【0056】
m=(a-b)/(a+b) (式2)
【0057】
図18においても、第1正弦波W1の電圧ゲインを高くすると、
図16中に白矢印で示すように、第1正弦波W1の「谷底」が深くなり、第1正弦波W2の電圧ゲインを0dBとすると、「谷底」の振幅は最小となる。また、第1正弦波W1の電圧ゲインを低くすると、第1正弦波W1の「谷底」は浅くなり、振幅は大きくなる。さらに、第1正弦波W1の電圧ゲインを低くすると、第1正弦波W1の「谷底」の振幅bは「ピーク」の振幅と同等となり、「谷」が形成されなくなる。本実施形態において、変調度mは80%以上100%以下の範囲で調整され、振幅の変調落差を触覚表現に利用することができる。また、電圧が絞られる部分は消費電流が低減されるため、低消費電力化を図ることも可能である。なお、上記説明において、振幅変調波を第1正弦波W1及び第2正弦波W2を用いて説明しているが、振幅変調波は正弦波以外の波によって形成されるものであってもよい。
【0058】
駆動部は、周波数が50Hz以上350Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が筐体110の共振周波数である正弦波を変調波によって振幅変調してなる波形を有する駆動信号を圧電アクチュエータ130に供給する。すると、入力装置100の先端部111b(
図13参照)を入力対象面に接触ながら移動させたときに、ユーザは入力装置100から移動方向とは逆方向の圧力感と浮揚感を感じることができる。さらに、変調波の周波数によってこの圧力感及び浮揚感を調整することが可能であり、鉛筆、クレヨン、筆といった筆記具の種別や洋紙、和紙、木目材質といった入力対象面の材質を再現することが可能となる。
【0059】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る入力装置について説明する。
【0060】
[入力装置の構成]
図19は本実施形態に係る入力装置200の平面図であり、
図20は
図19の一部拡大図である。これらの図に示すように、入力装置200はスタイラスペン型の入力装置であり、筐体210及び圧電アクチュエータ230を備える。
【0061】
筐体210は
図19に示すようにペン型形状を有する。以下、筐体210の長手方向をX方向とし、X方向に直交する一方向をY方向、X方向及びZ方向に垂直な方向をZ方向とする。
図19に示すように筐体210はペン軸部分211及びペン先部分212を備える。
【0062】
ペン軸部分211はペン型形状である筐体210のペン軸を構成する部分である。ペン軸部分211はポリカーボネート等の樹脂またはステンレス等の金属からなる。ペン先部分212はペン型形状である筐体210のペン先を構成する部分である。ペン先部分212は先端部213及び接続部214を備える。先端部213は圧電アクチュエータ230から筐体210の長手方向(X方向)に沿って突出し、ステンレス等の金属からなる金属ピンである。接続部214は、圧電アクチュエータ230とペン軸部分211の間に配置され、これらを接続する。接続部214は金属又は樹脂からなる。なお、接続部214は設けられず、圧電アクチュエータ230が直接ペン軸部分211と接続されてもよい。
【0063】
圧電アクチュエータ230は、振動を生じ、入力装置200に触覚を生じさせる。
図20に示すように圧電アクチュエータ230は、ペン先部分212に配置され、エポキシ樹脂等の接着材により、先端部213及び接続部214と接着されている。圧電アクチュエータ230は、
図20に示すように第1圧電アクチュエータチップ231と第2圧電アクチュエータチップ232の2つの圧電アクチュエータチップが積層されて構成されている。
【0064】
第1圧電アクチュエータチップ231と第2圧電アクチュエータチップ232は同一構造を有する圧電アクチュエータチップとすることができ、第1の実施形態に係る圧電アクチュエータチップ140(
図8参照)により構成することが可能である。即ち、第1圧電アクチュエータチップ231と第2圧電アクチュエータチップ232は正極内部電極142及び負極内部電極143の電極面に垂直な方向に沿って伸縮し、同方向を振幅方向として振動する。
【0065】
一方、圧電アクチュエータチップ140の向きは第1の実施形態とは異なる。
図21は、圧電アクチュエータ230を構成する圧電アクチュエータチップ140の向きを示す模式図である。同図に示すように2つの圧電アクチュエータチップ140はその振動方向(図中矢印)が筐体110の長手方向(X方向)に対して平行な方向(X方向)となる向きで、同方向(X方向)を積層方向として積層され、ペン先部分212に配置されている。
【0066】
したがって、圧電アクチュエータ230はd33モードで振動するd33圧電アクチュエータである。d33圧電アクチュエータの変位量は上述の(式1)で表されるため、圧電アクチュエータ230を2つの圧電アクチュエータチップ140を積層して構成することにより多段化し、変位量を大きくすることが可能である。
【0067】
圧電アクチュエータ230は以上のような構成を有する。なお、圧電アクチュエータ230は2つの圧電アクチュエータチップ140からなるものとしたが、1つ又は3つ以上の圧電アクチュエータチップ140からなるものであってもよい。また、圧電アクチュエータ230は、振動方向が筐体110の長手方向(X方向)に対して平行な方向(X方向)となるd33圧電アクチュエータであれば、他の構成を有するものであってもよい。
【0068】
[入力装置の動作及び効果]
図22は入力装置200の動作を示す模式図である。入力装置200では上記のように、圧電アクチュエータ230を駆動することにより、圧電アクチュエータ230を筐体210の長手方向(X方向)に対して平行な方向(X方向)に沿って伸縮させ、同方向(X方向)を振幅方向としてd33モードで振動させる。入力装置200のユーザは入力装置200のペン軸部分211を把持してモバイル機器等の入力対象面に入力を行うが、ペン先部分212に圧電アクチュエータ230が設けられているため、圧電アクチュエータ230により生じる触覚を入力対象面による触覚であるかのように認識することができる。
【0069】
この際、圧電アクチュエータ230の振動方向(X方向)が、入力装置100の入力対象面への押し込み方向(X方向)と一致するため、圧電アクチュエータ230のこの方向(X方向)に対する発生力を優位に活用することが可能である。また、d33圧電アクチュエータは振動方向に対する耐久力が最も大きいため、圧電アクチュエータ230の耐久性を向上させることができる。
【0070】
さらに、圧電アクチュエータ230はモータ等の機械的駆動部分を有さず、小型、軽量かつ低消費電力の圧電アクチュエータチップ140から構成されているため、圧電アクチュエータ230の省スペース化及び低消費電力化が可能である。加えて、圧電アクチュエータ230は高速応答性が高いため、入力装置200はこの高速応答性を生かした触覚表現が可能である。
【0071】
[駆動信号について]
圧電アクチュエータ230へ出力される駆動信号について説明する。この駆動信号は上記のように、圧電アクチュエータチップ140の正極内部電極142と負極内部電極143の間に印加される電圧波形である。なお、この駆動信号は入力装置200に搭載された駆動部から圧電アクチュエータ230に供給されるものであってもよく、入力装置200とは別の装置に搭載された駆動部から、無線通信等を介して圧電アクチュエータ230に供給されるものであってもよい。
【0072】
(駆動信号1)
駆動部が圧電アクチュエータ230へ出力する駆動信号は周波数が50Hz以上350Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が筐体210の共振周波数である正弦波を変調波によって振幅変調してなる波形を有するものとすることができる。ここで、50Hz以上350Hz以下の振動は、人の皮膚の受容器であるマイスナー小体及びパチニ小体等が敏感に感じることが可能な振動である。また、筐体210の共振周波数は、ペン先部分212の材質によって決まり、20kHz以上110kHz以下が好適である。
【0073】
第1の実施形態において説明した、
図16及び
図17に示す波形では、第1正弦波W1は、第2正弦波W2の振幅の変化によって形成されており、即ち
図16及び
図17に示す波形は第2正弦波W2を搬送波、第1正弦波W1を変調波とする振幅変調波である。駆動部は、筐体210の共振周波数を有する第2正弦波W2を搬送波、周波数が50Hz以上350Hz以下である第1正弦波W1を変調波とする振幅変調波の波形を有する駆動信号を生成し、圧電アクチュエータ230に印加することができる。
【0074】
変調度m(上記(式2)参照)は80%以上100%以下の範囲で調整され、振幅の変調落差を触覚表現に利用することができる。また、電圧が絞られる部分は消費電流が低減されるため、低消費電力化を図ることも可能である。なお、上記説明において、振幅変調波を第1正弦波W1及び第2正弦波W2を用いて説明しているが、振幅変調波は正弦波以外の波によって形成されるものであってもよい。
【0075】
駆動部は、周波数が50Hz以上350Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が筐体210の共振周波数である正弦波を変調波によって振幅変調してなる波形を有する駆動信号を圧電アクチュエータ230に供給する。すると、入力装置200の先端部213(
図20参照)を入力対象面に接触ながら移動させたときに、ユーザは入力装置200から移動方向とは逆方向の圧力感と浮揚感を感じることができる。さらに、変調波の周波数によってこの圧力感及び浮揚感を調整することが可能であり、鉛筆、クレヨン、筆といった筆記具の種別や洋紙、和紙、木目材質といった入力対象面の材質を再現することが可能となる。
【0076】
(駆動信号2)
駆動部が圧電アクチュエータ230へ出力する駆動信号は周波数が2Hz以上50Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が150Hz以上250Hz以下である正弦波を変調波によって振幅変調してなる波形を有するものとすることもできる。駆動部は、
図16及び
図17に示すように、周波数が150Hz以上250Hz以下である第2正弦波W2を搬送波、周波数が2Hz以上50Hz以下である第1正弦波W1を変調波とする振幅変調波の波形を有する駆動信号を生成し、圧電アクチュエータ230に印加することができる。
【0077】
変調度m(上記(式2)参照)は80%以上100%以下の範囲で調整され、振幅の変調落差を触覚表現に利用することができる。また、電圧が絞られる部分は消費電流が低減されるため、低消費電力化を図ることも可能である。なお、上記説明において、振幅変調波を第1正弦波W1及び第2正弦波W2を用いて説明しているが、振幅変調波は正弦波以外の波によって形成されるものであってもよい。
【0078】
駆動部は、周波数が2Hz以上50Hz以下である信号波を変調波とし、周波数が150Hz以上250Hz以下である正弦波を変調波によって振幅変調してなる波形を有する駆動信号を圧電アクチュエータ230に供給する。すると、入力装置200の先端部213(
図20参照)を入力対象面に接触させたときに、ユーザは入力装置200からコツコツとした触感を感じることができる。これにより、ユーザは入力装置200による入力がなされていることを触感によって把握することができる。さらに、変調波の周波数によってこの触感を調整することが可能である。
【0079】
(駆動信号の例)
図23は、第1正弦波W1が2.5Hz、第2正弦波W2が250Hzである振幅変調波の例である。変調度は100%であり、4波でフェイドインするように生成されている。
図24は、第1正弦波W1が25Hz、第2正弦波W2が250Hzである振幅変調波の例である。変調度は100%であり、5波でフェイドインし、1秒刻みでフェイドアウトするように生成されている。
【符号の説明】
【0080】
100、200…入力装置
110、210…筐体
111、212…ペン先部分
112、211…ペン軸部分
113…グリップ部分
120…支持板
130、230…圧電アクチュエータ
131、231…第1圧電アクチュエータチップ
132、232…第2圧電アクチュエータチップ
140…圧電アクチュエータチップ
141…圧電体層
142…正極内部電極
143…負極内部電極
151…ブロック
152…緩和層