(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045856
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】使用状況集計システム及び使用状況集計方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230327BHJP
G07C 3/04 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G07C3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154460
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】黒田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】後藤 俊輔
【テーマコード(参考)】
3C100
3E138
【Fターム(参考)】
3C100AA27
3C100AA29
3C100AA57
3C100AA59
3C100BB13
3C100BB17
3C100BB19
3C100BB34
3C100CC02
3E138AA05
3E138AA06
3E138BA10
3E138CA03
3E138CA07
3E138CB02
3E138CB03
3E138CB07
3E138CC01
3E138DA02
3E138DA03
3E138DB08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業具の使用状況を精度良く集計可能な使用状況集計システム及び使用状況集計方法を提供する。
【解決手段】使用状況集計システム1は、加速度データ処理部51と集計部54とを備える。加速度データ処理部51は、所定の作業に使用する作業具40の使用有無を示す加速度データに基づいて、作業具40の使用有無を検出する。集計部54は、加速度データ処理部51の検出結果に基づいて、作業具40の使用状況を集計する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業に使用する作業具の使用有無を示す使用有無データに基づいて、前記作業具の使用有無を検出する使用有無データ処理部と、
前記使用有無データ処理部の検出結果に基づいて、前記作業具の使用状況を集計する集計部と、
を備える使用状況集計システム。
【請求項2】
前記作業具が使用される2以上の作業場所を含む画像を示す画像データに基づいて、前記画像上において作業者の位置を検出する画像データ処理部をさらに備え、
前記集計部は、前記画像データ処理部の検出結果に基づいて、前記2以上の作業場所ごとに前記作業具の使用状況を集計する、
請求項1に記載の使用状況集計システム。
【請求項3】
前記所定の作業により支援される生産設備が運転中か停止中かを示す運転状態データに基づいて、前記生産設備の運転状態を検出する運転状態データ処理部をさらに備え、
前記集計部は、前記運転状態データ処理部の検出結果に基づいて、運転中及び停止中に分けて前記作業具の使用状況を集計する、
請求項1又は2に記載の使用状況集計システム。
【請求項4】
前記画像を撮像して前記画像データを生成し、生成した前記画像データを前記画像データ処理部に送信する撮像装置をさらに備える、
請求項1乃至3のいずれかに記載の使用状況集計システム。
【請求項5】
前記作業具に取り付けられた加速度計をさらに備え、
前記使用有無データは、前記加速度計によって測定される前記作業具の加速度を示す加速度データである、
請求項1乃至4のいずれかに記載の使用状況集計システム。
【請求項6】
所定の作業に使用する作業具の使用有無を示す使用有無データ基づいて、前記作業具の使用有無を検出することと、
前記作業具の使用有無の検出結果に基づいて、前記作業具の使用状況を集計することと、
を備える使用状況集計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用状況集計システム及び使用状況集計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、生産工程における作業者の作業時間を計測するために、作業者の作業動作を撮像し、撮像した画像上において、作業開始時及び作業終了時それぞれに作業者が体現する特定動作を検出する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、作業者ごとに姿勢が異なること、或いは、画像の解像度が低いことなどに起因して、作業者の特定動作を画像上で検出できない場合がある。よって、作業具の使用状況を精度良く把握することはできない。
【0005】
本開示は、作業具の使用状況を精度良く集計可能な使用状況集計システム及び使用状況集計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る使用状況集計システムは、使用有無データ処理部と集計部とを備える。使用有無データ処理部は、所定の作業に使用する作業具の使用有無を示す使用有無データに基づいて、作業具の使用有無を検出する。集計部は、使用有無データ処理部の検出結果に基づいて、作業具の使用状況を集計する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業具の使用状況を精度良く集計可能な使用状況集計システム及び使用状況集計方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る使用状況集計システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る作業エリアを撮像した画像の模式図である。
【
図3】実施形態に係る作業具の一例を示す模式図である。
【
図5】作業具の使用時間の集計結果の一例を示すグラフである。
【
図6】作業具の使用回数の集計結果の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(使用状況集計システム)
図1は、本実施形態に係る使用状況集計システム1の構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態に係る作業エリア2を撮像した画像の模式図である。
【0010】
図1に示すように、使用状況集計システム1は、撮像装置10、第1生産設備20、第2生産設備30、作業具40及び使用状況集計装置50を備える。
【0011】
1.撮像装置
撮像装置10は、工場内に設置される。撮像装置10は、作業エリア2の画像2Aを撮像する。
図2に示すように、作業エリア2には、第1作業場所3及び第2作業場所4が含まれる。撮像装置10は、作業エリア2の画像2Aを撮像して、画像2Aを示す画像データを生成する。画像データには、画像2Aが撮像された日時が含まれている。撮像装置10は、生成した画像データを使用状況集計装置50に送信する。
【0012】
2.生産設備
第1生産設備20は、第1作業場所3に配置される。第2生産設備30は、第2作業場所4に配置される。
【0013】
第1及び第2生産設備20,30それぞれは、所望の製品を生産するために必要とされる設備であり、その種類は多岐にわたる。作業者Wは、作業具40を使用して所定の作業を行うことによって、第1及び第2生産設備20,30それぞれを支援する。
【0014】
第1及び第2生産設備20,30それぞれは、運転中か停止中かを示す運転状態データを使用状況集計装置50に送信する。
図1に示すように、運転状態データは、生産設備の運転開始日時及び運転停止日時を含む。
【0015】
3.作業具
作業具40は、作業者Wによって所定の作業に使用される。
図3は、本実施形態に係る作業具40を示す模式図である。本実施形態に係る作業具40は、ノギスである。ただし、作業具40は、作業者Wが手に持って使用する器具であればよく、その種類は制限されない。
【0016】
作業具40には、加速度ビーコン41が取り付けられる。
図1に示すように、加速度ビーコン41は、ID記憶部42、加速度計43及び無線送信機44を有する。
【0017】
ID記憶部42は、作業具40に対して固有に設定されたIDを予め記憶している。作業具40のIDは、任意に設定することができる。
【0018】
加速度計43は、作業具40の加速度を計測する。加速度計43は、作業具40の加速度の推移を示す加速度データを生成する。加速度データには、加速度が計測された日時が含まれている。本実施形態に係る加速度データは、作業具40の使用有無を示す「使用有無データ」の一例である。
【0019】
無線送信機44は、作業具40のID及び加速度データを対応付けて使用状況集計装置50に無線送信する。
【0020】
4.使用状況集計装置50
使用状況集計装置50は、工場内に設置される。使用状況集計装置50は、工場外に設置されてもよく、この場合、ネットワークを介して撮像装置10、第1生産設備20、第2生産設備30及び加速度ビーコン41から情報を受信してもよい。
【0021】
図1に示すように、使用状況集計装置50は、加速度データ処理部51、画像データ処理部52、運転データ処理部53及び集計部54を有する。
【0022】
加速度データ処理部51は、作業具40のID及び加速度データを無線送信機44から受信する。加速度データ処理部51は、作業具40のIDを参照して、加速度データが作業具40に関するデータであることを認識する。加速度データ処理部51は、加速度データに基づいて、作業具40の使用有無を検出する。本実施形態に係る加速度データ処理部51は、作業具40の使用有無を検出する「使用有無データ処理部」の一例である。
【0023】
ここで、
図4は、作業者Wが作業具40を手に持って使用した際の加速度の推移を示すグラフの一例である。加速度データ処理部51は、加速度が上限値TH1より大きい場合に、作業具40の「使用有り」を検出する。加速度データ処理部51は、加速度が下限値TH2より小さい場合にも、作業具40の「使用有り」を検出する。加速度データ処理部51は、加速度が上限値TH1以下かつ下限値TH2以上である場合、作業具40の「使用無し」を検出する。
【0024】
加速度データ処理部51は、検出結果を集計部54に出力する。具体的には、加速度データ処理部51は、作業具40の使用有無と日時とを対応付けて集計部54に出力する。
【0025】
画像データ処理部52は、画像データを撮像装置10から受信する。画像データ処理部52は、画像データに基づいて、作業エリア2の画像2A上において作業者Wの位置を検出する。
図2に示す例では、第1作業場所3において作業者Wが検出されている。
【0026】
画像データ処理部52は、学習済みモデルを用いた人工知能の判定処理によって、画像2A上における作業者Wの位置を検出することができる。学習済みモデルは、画像2Aの学習用画像データを用いた人工知能による学習処理によって予め作成される。
【0027】
画像データ処理部52は、検出結果を集計部54に出力する。具体的には、画像データ処理部52は、作業者Wの位置と日時とを対応付けて集計部54に出力する。
【0028】
運転データ処理部53は、運転状態データを第1及び第2生産設備20,30それぞれから受信する。運転データ処理部53は、運転状態データに基づいて、第1及び第2生産設備20,30それぞれの運転状態を検出する。運転データ処理部53は、運転状態データを参照して、運転開始日時からそれに続く運転停止日時までの間を「運転中」として検出し、運転停止日時からそれに続く運転開始日時までの間を「停止中」として検出する。
【0029】
運転データ処理部53は、検出結果を集計部54に出力する。具体的には、運転データ処理部53は、第1及び第2生産設備20,30それぞれの運転状態と日時とを対応付けて集計部54に出力する。
【0030】
集計部54は、加速度データ処理部51の検出結果に基づいて、作業具40の使用状況を集計する。作業具40の使用状況は、作業具40の使用時間によって評価することができる。集計部54は、作業具40の「使用有り」に対応付けられた日時に基づいて、作業具40の使用時間を集計する。或いは、作業具40の使用状況は、作業具40の使用回数(使用頻度)によって評価することができる。集計部54は、作業具40の「使用有り」の回数に基づいて、作業具40の使用回数を集計する。
【0031】
集計部54は、画像データ処理部52の検出結果に基づいて、第1及び第2作業場所3,4ごとに作業具40の使用状況を集計する。集計部54は、作業者Wの位置に対応付けられた日時と、作業具40の「使用有り」に対応付けられた日時とを比較して、第1及び第2作業場所3,4ごとに作業具40の使用時間や使用回数を集計することができる。
【0032】
集計部54は、運転データ処理部53の検出結果に基づいて、運転中及び停止中に分けて作業具40の使用状況を集計する。集計部54は、第1及び第2生産設備20,30それぞれの運転状態に対応付けられた日時と、作業具40の「使用有り」に対応付けられた日時とを比較して、運転中及び停止中に分けて使用時間や使用回数を集計することができる。
【0033】
図5は、作業具40の使用時間の集計結果の一例を示すグラフである。
図5では、第1及び第2作業場所3,4ごとに、第1及び第2生産設備20,30それぞれの運転中及び停止中に分けて、作業具40の使用時間が集計されている。
【0034】
図6は、作業具40の使用回数の集計結果の一例を示すグラフである。
図6では、第1及び第2作業場所3,4ごとに、第1及び第2生産設備20,30それぞれの運転中及び停止中に分けて、作業具40の使用回数が集計されている。
【0035】
このように、本実施形態に係る使用状況集計システム1によれば、作業具40の加速度データに基づいて作業具40の使用有無を正確に検出できるため、作業具の使用状況を精度良く集計することができる。その結果、作業具40の使用効率の改善を図ることができる。
【0036】
また、作業具40が使用された場所ごとに作業具40の使用状況を把握できるため、作業具40の使用効率の更なる改善を図ることができる。
【0037】
さらに、第1及び第2生産設備20,30それぞれの運転中及び停止中に分けて作業具40の使用状況を把握できるため、作業具40の使用効率の更なる改善を図ることができる。
【0038】
(実施形態の変形例)
【0039】
[変形例1]
上記実施形態において、使用状況集計システム1は、加速度計43及び加速度データ処理部51を備えることとしたが、これに限られない。
【0040】
例えば、使用状況集計システム1は、加速度計43に代えて、作業具40が所定位置(例えば、作業具40の収納場所)に近接したか否かを検出する近接センサを備えていてもよい。近接センサは、作業具40の近接有無(又は、近接度合い)の推移を示す近接状況データを生成する。近接状況データには、近接有無(又は、近接度合い)が検出された日時が含まれる。この場合、使用状況集計システム1は、加速度データ処理部51に代えて、近接状況データ処理部を備える。近接状況データ処理部は、近接無し(又は、近接度合いが閾値以下)を、作業具40の「使用有り」として検出する。近接状況データは本開示に係る「使用有無データ」の一例であり、近接状況データ処理部は本開示に係る「使用有無データ処理部」の一例である。
【0041】
また、使用状況集計システム1は、加速度計43に代えて、作業者Wが作業具40を手で持ったことを検出する接触センサを備えていてもよい。接触センサは、作業具40の把持部分に取り付けられる。接触センサは、接触有無の推移を示す接触状況データを生成する。接触状況データには、接触有無が検出された日時が含まれる。この場合、使用状況集計システム1は、加速度データ処理部51に代えて、接触状況データ処理部を備える。接触状況データ処理部は、接触有りを、作業具40の「使用有り」として検出する。接触状況データは本開示に係る「使用有無データ」の一例であり、接触状況データ処理部は本開示に係る「使用有無データ処理部」の一例である。
【0042】
[変形例2]
上記実施形態において、使用状況集計装置50は、画像データ処理部52を有することとしたが、作業具40の使用状況を作業場所ごとに集計する必要がなければ、画像データ処理部52を有していなくてよい。この場合、使用状況集計システム1は撮像装置10及び画像データ処理部52を備えなくてよい。
【0043】
[変形例3]
上記実施形態において、使用状況集計装置50は、運転データ処理部53を有することとしたが、作業具40の使用状況を運転中か停止中かに分けて集計する必要がなければ、運転データ処理部53を有していなくてよい。この場合、使用状況集計システム1は運転データ処理部53を備えなくてよい。
【0044】
[変形例4]
上記実施形態では、作業エリア2に第1作業場所3及び第2作業場所4が含まれることとしたが、作業エリア2に含まれる作業場所の数は1以上であればよい。
【0045】
[変形例5]
上記実施形態では、作業者Wが作業具40を使用する場合について説明したが、作業具40の数は特に制限されない。使用状況集計装置50は、各作業具40のIDを用いることによって、作業具40ごとに使用状況を集計することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 使用状況集計システム
2 作業エリア
2A 画像
3 第1作業場所
4 第2作業場所
10 撮像装置
20 第1生産設備
30 第2生産設備
40 作業具
41 加速度ビーコン
42 ID記憶部
43 加速度計
44 無線送信機
50 使用状況集計装置
51 加速度データ処理部
52 画像データ処理部
53 運転データ処理部
54 集計部