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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045920
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20230327BHJP
【FI】
A24F40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154540
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱鵬
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA07
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC34
4B162AC37
4B162AC50
4B162AD06
4B162AD22
4B162AD32
(57)【要約】
【課題】装置を小型化しつつ、耐久性の低下を抑えること。
【解決手段】エアロゾル生成装置は、バッテリと、喫煙具用カートリッジを加熱する加熱器と、複数の基板を備え、バッテリ30から加熱器40に電力を供給する基板ユニットUNIと、バッテリ30、加熱器40、基板ユニットUNIを収容する筐体と、電源スイッチ12と、を備える。基板ユニットUNIは、第1基板10と、第1基板10より大きい電流が流れる第2基板20と、を含む。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
喫煙具用カートリッジを加熱する加熱器と、
複数の基板を備え、前記バッテリから前記加熱器に電力を供給する基板ユニットと、
前記バッテリ、前記加熱器、前記基板ユニットを収容する筐体と、
電源スイッチと、
を備え、
前記基板ユニットは、
第1基板と、
前記第1基板より大きい電流が流れる第2基板と、
を含む、
エアロゾル生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置において、
前記第1基板には、前記エアロゾル生成装置の動作を制御するコントローラが設けられ、
前記第2基板には、前記バッテリから供給される電力を制御する電源回路が設けられ、
前記第2基板は、前記バッテリおよび前記加熱器と接続される、
エアロゾル生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエアロゾル生成装置において、
前記第1基板および前記第2基板は、基板間配線により接続され、
前記コントローラは、前記基板間配線を介して前記電源回路へ電力制御信号を送信する、
エアロゾル生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置において、
前記第1基板および前記第2基板は、平行に配置される、
エアロゾル生成装置。
【請求項5】
請求項4に記載のエアロゾル生成装置において、
前記第1基板および前記第2基板は、前記筐体の長手方向に延在して配置される、
エアロゾル生成装置。
【請求項6】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置において、
前記第1基板および前記第2基板は、前記バッテリと前記加熱器との間に配置される、
エアロゾル生成装置。
【請求項7】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置において、
前記第2基板の表面積は、前記第1基板の表面積より大きい、
エアロゾル生成装置。
【請求項8】
請求項2に記載のエアロゾル生成装置において、
前記第1基板は、前記電源スイッチおよび表示ランプと接続され、
前記第2基板は、ユーザ通知用の振動を発生させるバイブレーションモータと接続される、
エアロゾル生成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば電子タバコのような、火炎を用いることなく芳香成分を加熱し、気化した芳香成分を楽しむことができる喫煙具が普及しつつある。例えば特許文献1には、シガレットのエアロゾル生成物質を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル生成装置が開示されている。
【0003】
特許文献1には、バッテリ、蒸気化器、ヒータ等を備えたエアロゾル生成装置が開示されている。特許文献1には、シガレットが挿入されたエアロゾル生成装置は、蒸気化器を作動させることでエアロゾルを発生させ、蒸気化器によって生成されたエアロゾルが、シガレットを通過してユーザに伝達される旨記載されている。また、特許文献1には、ヒータが、シガレットを通過するエアロゾルを加熱し、エアロゾル生成物質の温度を上昇させる旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6840289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エアロゾル生成装置が普及するにつれて、装置の小型化が進んでいる。これに伴い、コントローラや電源回路等の電子部品が高密度で基板に設置されている。一方、エアロゾル生成装置の使用時には、バッテリからヒータ等へ大量の電流が流れるため、基板が高温状態になる。しかしながら、基板には電子部品が高密度で設置されているため、コントローラ等の電子部品が高温状態に晒されてしまう。これにより、電子部品が劣化し、装置としての耐久性が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、装置を小型化しつつ、耐久性の低下を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的な実施の形態によるエアロゾル生成装置は、バッテリと、喫煙具用カートリッジを加熱する加熱器と、複数の基板を備え、バッテリから加熱器に電力を供給する基板ユニットと、バッテリ、加熱器、基板ユニットを収容する筐体と、電源スイッチと、を備える。基板ユニットは、第1基板と、第1基板より大きい電流が流れる第2基板と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置を小型化しつつ、耐久性の低下を抑えたエアロゾル生成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係るエアロゾル生成装置の外観構成を例示する斜視図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1のB-B断面図である。
図4図1のC-C断面図である。
図5】本発明の実施の形態1に係るエアロゾル生成装置の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は適宜省略する。
【0011】
<エアロゾル生成装置の構成>
<<エアロゾル生成装置の概要>>
【0012】
図1は、本発明の実施の形態1に係るエアロゾル生成装置の外観構成を例示する斜視図である。図1には、喫煙具用カートリッジ100が挿入された状態のエアロゾル生成装置1が示されている。なお、図1には、エアロゾル生成装置1の各方向を規定する軸が示されている。これらの軸は、エアロゾル生成装置1の説明において適宜使用される。
【0013】
エアロゾル生成装置1は、図1に示すように、X方向(長手方向)に延在する細長の構成となっている。エアロゾル生成装置1には、喫煙具用カートリッジ100が挿入されるカートリッジ挿入部80が設けられている。また、図1に示すように、エアロゾル生成装置1は、筐体90を把持するための凹状の把持部(凹部)95を有し、把持部95のカートリッジ挿入部80側に電源スイッチ12が設けられている。
【0014】
ユーザが電源スイッチ12の操作部12aを操作すると電源がオンされ、後述の加熱器40により喫煙具用カートリッジ100が加熱されると、喫煙具用カートリッジ100から芳香成分を含むエアロゾルが発生する。ユーザは、喫煙具用カートリッジ100のマウスピースからエアロゾルを吸い込むことで、芳香成分を口内へ取り込む。このように、ユーザは、エアロゾル生成装置1および喫煙具用カートリッジ100を用いることで、火炎を用いることなく芳香成分を楽しむことができる。
【0015】
<<エアロゾル生成装置内部の構成>>
図2は、図1のA-A断面図である。なお、図2には、図1と同様、喫煙具用カートリッジ1が挿入された状態が示されている。図3は、図1のB-B断面図である。図3では、筐体90および喫煙具用カートリッジ100は省略されており、主に基板間の位置関係等が示されている。図4は、図1のC-C断面図である。具体的には、図4は、電源スイッチ12を含むY-Z平面におけるエアロゾル生成装置1の断面構造を示している。図5は、本発明の実施の形態1に係るエアロゾル生成装置の回路ブロック図である。図5には、エアロゾル生成装置1における各部の主要な構成要素の電気的接続関係が例示されている。
【0016】
図2図4に示すように、エアロゾル生成装置1は、第1基板10および第2基板20を備えた基板ユニットUNI、電源スイッチ12、バイブレーションモータ22、バッテリ30、加熱器40、充電用端子50、カートリッジ挿入部80、および筐体90等を備えている。
【0017】
図2図4に示すように、筐体90は、基板ユニットUNI、電源スイッチ12、バイブレーションモータ22、バッテリ30、加熱器40、充電用端子50およびカートリッジ挿入部80等を収容している。
【0018】
図3図4に示すように、第1基板10および第2基板20は、互いに対向して配置されている。また、図1図3図4に示すように、電源スイッチ12は、第1基板10と接続され、一部が筐体90を貫通して外部へ露出するように設置されている。図3図4に示すように、バイブレーションモータ22は、第2基板20と筐体90との間に配置されている。なお、これらの配置は一例であって、このような配置に限定されるものではない。これらの配置は、本実施の形態の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0019】
<<基板ユニット>>
基板ユニットUNIは、複数の基板を備え、バッテリ30から加熱器40へ電力を供給するユニットである。第1基板10は、第2基板20より少ない電力の電流が流れる基板である。第1基板10には、例えば、コントローラ11、電源スイッチ12、表示ランプ13、温度センサ14等の小さい電流で動作する電子部品等の構成要素が設けられる。すなわち、第1基板10は、電源スイッチ12、表示ランプ13、および温度センサ14と接続されている。
【0020】
一方、第2基板20は、第1基板10より大きい電力の電流が流れる基板である。すなわち、本実施の形態では、小さい電力の電流が流れる第1基板10と、第1基板10より大きな電力の電流が流れる第2基板20とが分離されている。第2基板20には、バッテリ30から供給される電力を制御する電源回路21が設けられている。また、第2基板20は、バイブレーションモータ22、バッテリ30、および加熱器40と接続されている。電源回路21は、コントローラ11から送信される電力制御信号に基づき、第1基板10への電流供給、バイブレーションモータ22への電流供給、および加熱器40への電流供給等を行う。
【0021】
第1基板10および第2基板20は、例えば、耐熱性や絶縁性に優れたガラスエポキシ等を含む板状基板である。図3図4に示すように、第1基板10および第2基板20は、互いに対向して、例えば平行に配置されている。図3に示すように、第1基板10および第2基板20は、筐体90の長手方向に延在して配置されている。言い換えると、第1基板10および第2基板20は、電子部品が設けられた面が筐体の延在方向(Z方向)と平行になるように延在して配置されている。また、第1基板10および第2基板20は、バッテリ30と加熱器40との間に配置されている。
【0022】
第1基板10および第2基板20は、図5に示す基板間配線19により電気的に接続される。基板間配線19は、例えば基板間コネクタで構成される。具体的には、第1基板10および第2基板20の互いに対向する面に一対のコネクタが設置され、一方のコネクタを他方のコネクタに挿入することで、第1基板10と第2基板20とが電気的に接続される。これにより、第1基板10に設けられたコントローラ11から、第2基板20の電源回路等の構成要素に対して電力制御信号を含む信号が送信される。一方、第2基板20からは、第1基板10に設けられた構成要素、および第1基板10と接続された構成要素に対し駆動用電流が供給され、コントローラ11へ信号が送信される。なお、コントローラ11による主な制御については後で説明する。
【0023】
前述したが、第2基板20には、主に大きな電力の電流で動作する電子部品等の構成要素が設置および接続され、第1基板10には、小さな電力の電流で動作する電子部品等の構成要素が設置および接続されている。動作時には、大きな電力の電流が流れることにより第2基板20が高温状態となる。しかし、第1基板10および第2基板20は、互いに離間して配置されているため、第2基板20から第1基板10へ移動する熱量は抑えられ、第1基板10の温度上昇が抑えられる。これにより、第2基板20が高温状態になったことによる、第1基板10への影響が抑えられる。また、第1基板10に設けられた構成要素、あるいは第1基板10と接続された構成要素への影響も抑えられる。
【0024】
なお、図3図4では、第1基板10および第2基板20が概ね同サイズである場合が示されているが、第2基板20のサイズが第1基板10のサイズより大きくなるように構成されてもよい。言い換えれば、第2基板20は、第1基板10より表面積が大きくなるように構成されてもよい。これにより、第2基板20の放熱性能が向上する。なお、基板ユニットUNIには、第1基板10以外にも、第2基板20より小さな電流が流れる1つまたは複数の基板が設けられてもよい。なお、基板ユニットUNIには、第2基板20以外にも、第1基板10より大きい電流が流れる1つまたは複数の基板が設けられてもよい。これにより、さらなる装置の小型化に対応することができる。
【0025】
<<電源スイッチ、表示ランプ>>
電源スイッチ12は、エアロゾル生成装置1の電源のオン/オフを切り換えるスイッチである。図1図3に示すように、電源スイッチ12は、例えば把持部95の加熱器40側に設けられる。図3図5に示すように、電源スイッチ12は、操作部12aおよび内部スイッチ12bを備えている。操作部12aおよび内部スイッチ12bは互いに当接して設置されている。操作部12aが操作されると、内部スイッチ12bが押下されるようになっている。停止中に操作部12aが操作されると、エアロゾル生成装置1は起動して使用可能状態となり、使用中に操作部12aが操作されるとエアロゾル生成装置1は動作を停止する。
【0026】
図1に示すように、電源スイッチ12には表示ランプ13が設けられている。なお、表示ランプは、第1基板10に設けられてもよいし、図示しない配線を介して第1基板10と接続されてもよい。
【0027】
表示ランプ13は、電源がオフ状態のときに消灯し、電源がオン状態のときに点灯することで、エアロゾル生成装置1の状態をユーザに通知する。また、表示ランプ13は、例えば、バッテリ30の残量が少ない場合やバッテリ充電時等に点灯または点滅するように制御されてもよい。
【0028】
<<バイブレーションモータ>>
バイブレーションモータ22は、電力が供給されると振動するモータである。バイブレーションモータ22の振動によって、エアロゾル生成装置1の状態をユーザに報知することができる。本実施の形態では、例えば円盤状や円筒状の小型モータが、バイブレーションモータ22として用いられる。図3図4に示すように、バイブレーションモータ22は、第2基板20と接続され、第2基板20に対し第1基板10と反対側に配置されている。
【0029】
<<バッテリ>>
バッテリ30は、エアロゾル生成装置1の加熱器40等の各構成要素へ電力を供給する。バッテリ30は、例えば、リチウムイオン充電池やリチウムマンガン充電池等の充電式の電池である。なお、バッテリ30として、非充電式の電池が用いられてもよい。この場合は、前述した充電用端子50は不要となり、内部構成が簡略化される。
【0030】
<<加熱器>>
加熱器40は、喫煙具用カートリッジ100を加熱し、喫煙具用カートリッジ100から芳香成分を含むエアロゾルを発生させる。図2図3には、加熱器40がヒータである場合が例示されている。図2図3に示すように、ヒータである加熱器40は、ヒータ本体41およびヒータ本体41を支持するヒータ支持部42を備えている。図5に示すように、加熱器40は、電源回路21と接続され、電源回路21を介してバッテリ30から電流が供給され、ヒータ本体41が発熱するように構成されている。そして、ヒータ本体41の熱により、喫煙具用カートリッジ10が加熱されるようになっている。図2に示すように、加熱器40と筐体90との間には断熱部材45が設けられている。断熱部材45は、エアロゾル生成装置1の使用中に筐体90が加熱されないよう、加熱器40の熱を遮断する。
【0031】
図2図3に示すように、ヒータ本体41は、カートリッジ挿入部80内の底の中央部に配置されている。ヒータ本体41は、先端が尖ったピン状またはブレード状に構成され、カートリッジ挿入部80に挿入された喫煙具用カートリッジ100のエアロゾル形成基材110の中央部に刺さるようになっている。なお、ここでは、ヒータ本体41がピン状の部材を1本のみ有する場合について説明したが、ヒータ本体41は、ピン状の部材を複数備えてもよい。また、加熱器40は、これらの構成に限定されず、例えば電磁誘導の原理を利用した電磁誘導加熱式でもよい。
【0032】
<<充電用端子>>
充電用端子50は、バッテリ充電用の端子である。充電用端子50は、端子本体51および端子本体51を支持する端子基板52を備えている。端子本体51にプラグが挿入されると、充電用端子50と外部電源とが接続され、バッテリ充電用の電力が、外部電源からエアロゾル生成装置1へ供給される。供給された電力は、配線53、第2基板20、および図5に示す電源回路21等を介してバッテリ30へ供給され、バッテリ30が充電される。
【0033】
特に限定されるものではないが、充電用端子50は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等の規格を満たすもので構成されることが好ましい。例えば、充電用端子50がUSB規格を満たしていれば、USB規格に対応したモバイルバッテリ等からの充電が可能である。また、充電用端子50は、アダプタや変換プラグを用いた家庭用電源からの充電ができるように構成されてもよい。
【0034】
<<把持部>>
把持部95は、ユーザがエアロゾル生成装置1を使用する際に把持される箇所である。把持部95は、ユーザの手(例えば親指とその周辺)が触れる箇所が凹んだ形状となっている。そして、把持部95の上側、すなわち把持部95のカートリッジ挿入部80側に電源スイッチ12が配置されている。
【0035】
図1に示すように、把持部95は筐体90が凹んだ形状となっているが、図4に示すように、把持部95の表面96は凸状に構成されている。そして、バッテリ30から加熱器40へ向かう方向(X方向)と交差する方向の断面(Y-Z平面における断面)では、把持部95の表面96の曲率半径は、把持部95以外の筐体90の表面の曲率半径より大きくなっている。すなわち、把持部95の表面96の曲率半径は、把持部95以外の筐体90の表面の曲率半径とは異なっている。
【0036】
<<喫煙具用カートリッジ>>
次に、喫煙具用カートリッジ100の構成について説明する。図2に示すように、喫煙具用カートリッジ100は、芳香成分を含有するエアロゾル形成基材110、支持要素120、エアロゾル移送経路130、マウスピース140、およびこれらを包装する包装部材(図示は省略)を備えている。ただし、喫煙具用カートリッジ100の構成は、図2の例に限定されるものではない。
【0037】
エアロゾル形成基材110で発生したエアロゾルは、支持要素120、およびエアロゾル移送経路130を経てマウスピース140へ移送される。ユーザが、マウスピース140からエアロゾルを吸い込むことで、芳香成分がユーザの口内へ届く。
【0038】
<<コントローラによる主な制御>>
次に、コントローラ11による主な制御について説明する。コントローラ11は、エアロゾル生成装置1の動作を制御する回路である。コントローラ11は、図5等に示すように、電源スイッチ12の内部スイッチ12b、表示ランプ13、および温度センサ14等と接続されている。停止中に電源スイッチ12の操作部12aが操作されると、内部スイッチ12bが押下され、エアロゾル生成装置1が起動する。そして、コントローラ11は、第1基板10に設けられた構成要素、および第1基板10と接続された構成要素へ制御信号を供給する。また、これと同様に、コントローラ11は、第2基板20に設けられた構成要素等に対しても、基板間配線19を介して制御信号を供給する。
【0039】
コントローラ11は、温度センサ14が検知する温度データに基づく制御を行う。例えば、コントローラ11は、温度センサ14が検知した第1基板10の温度、あるいは筐体90内部の温度が所定の閾値温度を超えた場合、強制的に電源をオフにする制御を行う。これにより、基板温度の異常な温度上昇を防止し、高温による構成要素の劣化が抑えられる。また、コントローラ11は、温度センサ14が検知した加熱器40の温度に基づき、エアロゾルの発生に適した温度となるよう、加熱器40の温度を制御する。
【0040】
また、コントローラ11は、基板間配線19を介して第2基板20に設けられた電源回路21へ電力制御信号を送信することで、電源回路21の動作を制御する。なお、エアロゾル生成装置1には、例えばディスプレイ等の他の構成要素(図示は省略)が設けられてもよい。そして、コントローラ11は、ディスプレイ等の他の構成要素の制御を行ってもよい。
【0041】
<<放熱経路>>
次に、エアロゾル生成装置1の放熱経路について説明する。基板で発生した熱は、主に加熱器40側へ流れ、カートリッジ挿入部80から外部へ放出される。このため、本実施の形態では、第1基板10および第2基板20をZ方向に沿って延在するように平行に配置され、加熱器40側が開口されている。これにより、基板からの放熱が促進されるようになっている。
【0042】
また、図1図2に示すように、加熱器40付近の筐体90には、通気孔91が形成されている。また、図2に示すように、筐体90の通気孔91付近の断熱部材45に通気孔46が形成されている。また、図2に示すように、断熱部材45に通気孔46付近のヒータ支持部42に通気孔47が形成されている。図2に示すように、これらの通気孔46、47、91は、複数箇所に設けられている。また、図2に示すように、断熱部材45とカートリッジ挿入部80の側壁81との間には隙間48が設けられている。この隙間48は、ヒータ本体41の近傍、およびカートリッジ挿入部80を介して外部と繋がっている。このため、筐体90の通気孔91、断熱部材45の通気孔46、ヒータ支持部42の通気孔47、隙間48、およびカートリッジ挿入部80を通る空気の流路が形成されている。これにより、加熱器40の放熱が促進され、ひいては、第1基板10および第2基板20からの放熱が促進されるようになっている。
【0043】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、小さい電流が流れる第1基板10と、第1基板10より大きな電流が流れる第2基板20とが分離されている。この構成によれば、電子部品等の構成要素を効率的に配置することができるので、装置を小型化することができる。さらに、高温状態の第2基板20から第1基板10への熱の流入が抑えられるので、大電流制御により生じる発熱の影響が抑えられ、熱による第1基板10の構成要素の劣化が抑えられ、ひいては装置の耐久性を向上させることができる。
【0044】
また、この構成によれば、小さい電流が流れる第1基板10と大きな電流が流れる第2基板20とを別々の基板とする事で、第2基板20の回路のパターンの幅を大きくし、第1基板10の回路のパターンの幅を小さくするができ、回路設計の自由度を広げる事ができる。また、この構成によれば、第2基板20には大きな電子部品を、第1基板10には小さな電子部品等を効率的に配置する事ができる。また、第1基板10には断熱性に優れたメッキ加工やコーティング加工を個別に施すことができ、第2基板20には放熱性に優れたメッキ加工やコーティング加工を個別に施す事ができる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、第1基板10には、エアロゾル生成装置1の動作を制御するコントローラ11が設けられ、第2基板20には、バッテリ30から供給される電力を制御する電源回路21が設けられている。また、第2基板20は、バッテリ30および加熱器40と接続されている。
【0046】
この構成によれば、コントローラ11は、高温状態の第2基板20の影響が抑えられるので、コントローラ11の劣化が抑えられ、ひいては装置の耐久性の低下が抑えられる。また、第1基板10が介することなく、大電流用の構成要素のみで大電流の専用回路を構築することができる。これにより、基板に発生する熱分布を最適化することが可能となる。また、これにより、構成要素の配置に関する設計自由度が向上する。また、この構成によれば、基板および部品を最適化することができ、耐久性を向上させることができる。
【0047】
加熱器40が電磁誘導加熱式である場合、基板上の電源回路には高周波の電流が流れる。高周波で大きな電流は、電磁波や電気ノイズを発生させる要因となる。電磁波や電気ノイズは、コントローラの誤作動の原因となるため、電磁波や電気ノイズを低減させるための回路設計や部品の追加を行う必要があった。これに対し、本実施の形態では、コントローラ11用の第1基板10と電源回路21用の第2基板20とが分けられているため、コントローラ11が電磁波や電気ノイズの影響を受けにくくなっている。これにより、電磁波や電気ノイズを低減させるための部品の追加や回路設計を行う必要がなくなる。
【0048】
また、例えば、コントローラ11用の第1基板10にのみ断熱シールド及び電磁シールドを施す事で、第2基板20からの熱、電磁波、および電気ノイズの影響を防止することができる。これにより、部材の削減を図る事ができ、装置を軽量化することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、第1基板10および第2基板20は、基板間配線19により接続され、コントローラ11は、基板間配線19を介して電源回路21へ電力制御信号を送信する。この構成によれば、基板間の距離を保ちつつ、コントローラ11による電力回路21の制御を確実に実行することが可能となる。また、この構成によれば、基板間配線19には、第1基板10から第2基板20へ指示を与えるための少ない電流が流れる。これにより、基板間配線19を細くすることができ、第2基板20から第1基板10への熱伝導を抑制することができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、第1基板10および第2基板20は、互いに対向して配置されている。この構成によれば、筐体90内部で基板を効率的に配置することが可能となる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、第1基板10および第2基板20は、平行に配置される。この構成によれば、エアロゾル生成装置1の使用時において、基板間に熱が留まりにくくなり、基板からの放熱が促進され、放熱性を向上させることができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、第1基板10および第2基板20は、筐体90の長手方向に延在して配置されている。この構成によれば、エアロゾル生成装置1の使用時に基板間に熱が留まりにくくなり、基板より生じる熱気流が流れやすくなる。これにより、基板からの放熱が促進され、放熱性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、第1基板10および第2基板20は、バッテリ30と加熱器40との間に配置されている。この構成によれば、基板の熱をスムーズに加熱器40側へ移動させることが可能となり、基板からの放熱が促進される。また、この構成によれば、バッテリ30と加熱器40との間に流れる電流の距離を短くすることが出来るので、電力ロスを低減させ、第2基板20の発熱を抑制することができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、第2基板20の表面積は、第1基板10の表面積より大きくしてもよい。この構成によれば、高温状態となっている第2基板20からの放熱が促進される。
【0055】
また、本実施の形態によれば、第1基板10は、電源スイッチ12および表示ランプ13と接続され、第2基板20は、ユーザ通知用の振動を発生させるバイブレーションモータ22と接続されている。この構成によれば、第1基板10に小電流用の要素のみで小電流の専用回路を構築することができ、第1基板10の構成要素より大きい電流が流れるバイブレーションモータ22を大電流の専用回路に含めることができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、筐体90は、筐体90を把持するための凹状の把持部95を有し、把持部95に電源スイッチ12が設けられている。この構成によれば、ユーザがエアロゾル生成装置1を使用する際に誤って落下させてしまうことを防ぐことができる。また、この構成によれば、電源スイッチ12が把持部95内に収容され、筐体90から突出しない構成となるので、落下時における不意な動作を防止することが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、電源スイッチ12は、把持部95の加熱器40側に設けられている。この構成によれば、エアロゾル生成装置1を把持したときに、ユーザの指(例えば親指)が電源スイッチ12付近に位置することとなるので、電源スイッチ12の操作性を向上させることができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、バッテリ30から加熱器40へ向かう方向と交差する方向の断面では、把持部95の表面96の曲率半径は、把持部95以外の筐体90の表面の曲率半径と異なっている。具体的には、把持部95の表面96の曲率半径は、把持部96以外の筐体90の表面の曲率半径より大きくなっている。この構成によれば、把持部95の表面96が緩やかな形状になるので、把持部95が手に馴染み、装置を把持しやすくなり、電源スイッチ12の操作性を向上させることができる。
【0059】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えなくてもよい場合がある。
【0060】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態や変形例等の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。なお、図面に記載した各要素や要素間の相対的なサイズは、本発明を分かりやすく説明するため簡素化・理想化しており、実装上はより複雑になる場合がある。
【0061】
以下、本発明の好ましい形態について付記する。
[付記1]
前記筐体は、前記筐体を把持するための凹部を有し、
前記凹部に前記電源スイッチが設けられる、
エアロゾル生成装置。
【0062】
[付記2]
付記1に記載のエアロゾル生成装置において、
前記電源スイッチは、前記凹部の前記加熱器側に設けられる、
エアロゾル生成装置。
【0063】
[付記3]
付記1に記載のエアロゾル生成装置において、
前記バッテリから前記加熱器へ向かう方向と交差する方向の断面では、前記凹部の表面の曲率半径は、前記凹部以外の前記筐体の表面の曲率半径と異なる、
エアロゾル生成装置。
【0064】
[付記4]
付記3に記載のエアロゾル生成装置において、
前記凹部の表面の曲率半径は、前記凹部以外の前記筐体の表面の曲率半径より大きい、
エアロゾル生成装置。
【0065】
[付記5]
前記第1基板および前記第2基板は、互いに対向して配置される、
エアロゾル生成装置。
【符号の説明】
【0066】
1…エアロゾル生成装置、10…第1基板、11…コントローラ、12…電源スイッチ、13…表示ランプ、20…第2基板、21…電源回路、22…バイブレーションモータ、30…バッテリ、40…加熱器、90…筐体、95…把持部、UNI…基板ユニット。

図1
図2
図3
図4
図5