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特開2023-45973作業機械の周辺監視システム、作業機械、及び作業機械の周辺監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045973
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】作業機械の周辺監視システム、作業機械、及び作業機械の周辺監視方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20230327BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
E02F9/24 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154614
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 正臣
(72)【発明者】
【氏名】奥村 陽介
(72)【発明者】
【氏名】津田 なつみ
(72)【発明者】
【氏名】栗原 毅
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB02
2D003BA06
2D003BA07
2D003DA04
2D003DB08
2D003FA02
2D015GA03
2D015GB01
2D015GB06
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】警報の不適切な設定を抑制すること。
【解決手段】作業機械の周辺監視システムは、キャブを有する作業機械の周辺の物体を検出する物体検出装置と、キャブの外側に配置される外部警報装置と、キャブの内側に配置されるオペレータ警報装置と、プロセッサとを備える。プロセッサは、入力装置からの作業機械の制御モードを設定するための入力データに基づいて、物体が検出されたときの作業機械の動作を制御する制御モードを、作業機械の少なくとも一部の動作を制限する有効モードと制限しない無効モードとのいずれか一方に設定する。プロセッサは、設定された制御モードに基づいて、オペレータ警報装置を有効または無効にする。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のための周辺監視システムであって、
前記作業機械の周辺の物体を検出する物体検出装置と、
前記作業機械を操作するオペレータに向けて警報を出力するように配置されるオペレータ警報装置と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
入力装置からの前記作業機械の制御モードを設定するための入力データに基づいて、前記物体が検出されたときの前記作業機械の動作を制御する制御モードを、前記作業機械の少なくとも一部の動作を制限する有効モードと制限しない無効モードとのいずれか一方に設定し、
設定された前記制御モードに基づいて、前記オペレータ警報装置を有効または無効にする、
周辺監視システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記制御モードが有効モードに設定された場合、前記オペレータ警報装置を有効にする、
請求項1に記載の周辺監視システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記入力装置からの前記オペレータ警報装置の動作モードを設定するための入力データに基づいて、前記物体が検出されたときの前記オペレータ警報装置の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定し、
前記制御モードが有効モードに設定された場合、前記オペレータ警報装置の動作モードを設定するための前記入力データを取得しない、
請求項1に記載の周辺監視システム。
【請求項4】
前記作業機械の外部に向けて警報を出力するように配置された外部警報装置を備え、
前記プロセッサは、
前記入力装置からの前記外部警報装置の動作モードを設定するための入力データに基づいて、前記物体が検出されたときの前記外部警報装置の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定し、
設定された前記外部警報装置の動作モードに基づいて、前記オペレータ警報装置を有効または無効にする、
請求項1に記載の周辺監視システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記外部警報装置の動作モードが有効モードに設定された場合、前記オペレータ警報装置を有効にする、
請求項4に記載の周辺監視システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記入力装置からの前記オペレータ警報装置の動作モードを設定するための入力データに基づいて、前記物体が検出されたときの前記オペレータ警報装置の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定し、
前記外部警報装置の動作モードが有効モードに設定された場合、前記オペレータ警報装置の動作モードを設定するための前記入力データを取得しない、
請求項4に記載の周辺監視システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記制御モードが無効モードに設定され、且つ、前記外部警報装置の動作モードが無効モードに設定された場合、前記オペレータ警報装置を無効にする、
請求項4に記載の周辺監視システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記入力装置からの前記オペレータ警報装置の動作モードを設定するための入力データに基づいて、前記物体が検出されたときの前記オペレータ警報装置の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定し、
前記制御モードが無効モードに設定され、且つ、前記外部警報装置の動作モードが無効モードに設定された場合、前記オペレータ警報装置の動作モードを設定するための前記入力データを取得する、
請求項4に記載の周辺監視システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記制御モード及び前記オペレータ警報装置の動作モードのそれぞれの設定に係る設定メニューを表示装置に表示させ、
前記制御モードが有効モードに設定された場合と無効モードに設定された場合とで、前記オペレータ警報装置の動作モードに係る設定メニューの表示形態を異ならせる、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の周辺監視システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記制御モードを示す第1シンボル及び前記オペレータ警報装置の動作モードを示す第2シンボルを前記表示装置に表示させる、
請求項9に記載の周辺監視システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記物体が検出されたときに警報の出力が要求される警報範囲を記憶し、
前記作業機械の周辺を示す周辺画像と、前記周辺画像において前記警報範囲を示す目安線とを前記表示装置に表示させる、
請求項9又は請求項10に記載の周辺監視システム。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の周辺監視システムを備える、
作業機械。
【請求項13】
前記作業機械は、キャブを有し、
前記オペレータ警報装置は、前記キャブの内側に配置される、
請求項12に記載の作業機械。
【請求項14】
作業機械のための周辺監視方法であって、
前記作業機械の周辺の物体を検出することと、
前記作業機械の制御モードを設定するための入力データに基づいて、前記物体が検出されたときの前記作業機械の動作を制御する制御モードを、前記作業機械の少なくとも一部の動作を制限する有効モードと制限しない無効モードとのいずれか一方に設定し、
設定された前記制御モードに基づいて、前記オペレータ警報装置を有効または無効にすることと、を備える、
周辺監視方法。
【請求項15】
外部警報装置の動作モードを設定するための入力データに基づいて、前記物体が検出されたときの前記作業機械の外部に向けて警報を出力するように配置される外部警報装置の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定することと、
前記設定された前記外部警報装置の動作モードに基づいて、前記オペレータ警報装置を有効または無効にすることと、を備える、
請求項14に記載の周辺監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、作業機械の周辺監視システム、作業機械、及び作業機械の周辺監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、周辺監視装置を備える作業機械が知られている。特許文献1において、周辺監視装置は、対象検知機能のオンとオフとの設定を切り換えることができる。対象検知機能がオンに設定されたときに対象が検出されると、警報が出力される。対象検知機能がオフに設定された場合、警報が出力されないので、作業機械のオペレータの快適性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-014737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オペレータが警報の出力と停止とを任意に設定できる場合、警報が不適切に設定される可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、作業機械のための周辺監視システムは、物体検出装置と、オペレータ警報装置と、プロセッサと、を備える。物体検出装置は、作業機械の周辺の物体を検出する。オペレータ警報装置は、作業機械を操作するオペレータに向けて警報を出力するように配置される。プロセッサは、入力装置からの作業機械の制御モードを設定するための入力データに基づいて、物体が検出されたときの作業機械の動作を制御する制御モードを、作業機械の少なくとも一部の動作を制限する有効モードと制限しない無効モードとのいずれか一方に設定する。プロセッサは、設定された制御モードに基づいて、オペレータ警報装置を有効または無効にする。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、警報の不適切な設定が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る作業機械を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る油圧ショベルのキャブを示す図である。
図3】実施形態に係る検出範囲及び警報範囲を示す模式図である。
図4】実施形態に係る周辺監視モニタを示す図である。
図5】実施形態に係る外部ブザーの動作モードとキャブ内ブザーの動作モードと車体コントローラの制御モードとを説明するための図である。
図6】実施形態に係る周辺監視システムを示す機能ブロック図である。
図7】実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
図8】実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
図9】実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
図10】実施形態に係る強制設定部の処理を説明するための図である。
図11】実施形態に係る油圧ショベルの周辺監視方法を示すフローチャートである。
図12】実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
図13】実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0009】
[作業機械]
図1は、実施形態に係る作業機械1を示す斜視図である。実施形態においては、作業機械1が油圧ショベルであることとする。以下の説明においては、作業機械1を適宜、油圧ショベル1と称する。
【0010】
図1に示すように、油圧ショベル1は、上部旋回体2と、下部走行体3と、作業機4と、油圧シリンダ5と、物体検出装置6と、外部警報装置7と、車体コントローラ8とを備える。
【0011】
上部旋回体2は、下部走行体3に旋回可能に支持される。上部旋回体2は、旋回軸RXを中心に旋回する。上部旋回体2は、作業機4を支持する。上部旋回体2は、キャブ9を有する。油圧ショベル1のオペレータは、キャブ9に搭乗する。オペレータが着座する運転シート10がキャブ9に設けられる。
【0012】
下部走行体3は、上部旋回体2を支持した状態で走行する。下部走行体3は、駆動輪3Aと、履帯3Bとを有する。駆動輪3Aが回転することにより、履帯3Bが回転する。履帯3Bが回転することにより、下部走行体3が走行する。
【0013】
作業機4は、上部旋回体2に連結される。作業機4は、ブーム4Aと、アーム4Bと、バケット4Cとを含む。ブーム4Aは、ブーム回転軸AXを中心に回転可能に上部旋回体2に連結される。アーム4Bは、アーム回転軸BXを中心に回転可能にブーム4Aに連結される。バケット4Cは、バケット回転軸CXを中心に回転可能にアーム4Bに連結される。
【0014】
ブーム回転軸AXとアーム回転軸BXとバケット回転軸CXとは、平行である。ブーム回転軸AXに平行な軸と旋回軸RXとは、直交する。実施形態においては、旋回軸RXに平行な方向を適宜、上下方向、と称し、ブーム回転軸AXに平行な方向を適宜、左右方向、と称し、ブーム回転軸AX及び旋回軸RXの両方に直交する方向を適宜、前後方向、と称する。運転シート10に着座したオペレータを基準としてバケット4Cが存在する方向が前方であり、前方の逆方向が後方である。運転シート10に着座したオペレータを基準としてブーム4Aが存在する方向が右方であり、右方の逆方向が左方である。下部走行体3の接地面から離れる方向が上方であり、上方の逆方向が下方である。
【0015】
油圧シリンダ5は、作業機4を動作させるための動力を発生する。油圧シリンダ5は、ブームシリンダ5Aと、アームシリンダ5Bと、バケットシリンダ5Cとを含む。ブームシリンダ5Aは、ブーム4Aを動作させる。アームシリンダ5Bは、アーム4Bを動作させる。バケットシリンダ5Cは、バケット4Cを動作させる。
【0016】
物体検出装置6は、油圧ショベル1の周辺の物体を検出する。物体検出装置6は、油圧ショベル1の周辺を撮像するカメラ11を含む。カメラ11は、上部旋回体2に複数設けられる。カメラ11は、上部旋回体2の後部に設けられる後方カメラ11Aと、上部旋回体2の右部に設けられる右側方カメラ11B及び右前方カメラ11Cと、上部旋回体2の左部に設けられる左側方カメラ11Dとを含む。
【0017】
後方カメラ11Aは、上部旋回体2の後方を撮像する。右側方カメラ11Bは、上部旋回体2の右側方及び右後方を撮像する。右前方カメラ11Cは、上部旋回体2の右前方を撮像する。左側方カメラ11Dは、上部旋回体2の左側方及び左後方を撮像する。複数のカメラ11のそれぞれは、光学系と、イメージセンサとを有する。イメージセンサは、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む。
【0018】
外部警報装置7は、作業機械の外部に向けて警報を出力するための装置である。実施形態において、外部警報装置7は、上部旋回体2の外面に配置される。実施形態において、外部警報装置7は、キャブ9の外側に配置される。外部警報装置7は、警報として警報音を出力するブザーを含む。外部警報装置7は、油圧ショベル1の周辺に向かって警報を出力する。例えば、油圧ショベル1の周辺に人が存在する場合、外部警報装置7は、油圧ショベル1の周辺に存在する人に向かって警報を出力する。以下の説明において、外部警報装置7を適宜、外部ブザー7、と称する。
【0019】
車体コントローラ8は、コンピュータシステムを含む。車体コントローラ8は、上部旋回体2、下部走行体3、作業機4、及び外部ブザー7のそれぞれを制御する。
【0020】
[キャブ]
図2は、実施形態に係る油圧ショベル1のキャブ9を示す図である。図2に示すように、油圧ショベル1のオペレータが着座する運転シート10がキャブ9に設けられる。
【0021】
油圧ショベル1は、キャブ9に配置される操作装置12を備える。操作装置12は、キャブ9に搭乗したオペレータに操作される。操作装置12は、油圧ショベル1の少なくとも一部を動作させるために操作される。油圧ショベル1は、操作装置12の操作に基づいて、動作することができる。車体コントローラ8は、操作装置12の操作に基づいて、油圧ショベル1の動作を制御する。油圧ショベル1の動作は、上部旋回体2の旋回動作、下部走行体3の走行動作、及び作業機4の作業動作の少なくとも一つを含む。
【0022】
操作装置12は、左作業レバー12Aと、右作業レバー12Bと、左走行レバー12Cと、右走行レバー12Dと、左フットペダル12Eと、右フットペダル12Fとを含む。
【0023】
左作業レバー12A及び右作業レバー12Bは、上部旋回体2の旋回動作及び作業機4の作業動作のために操作される。左作業レバー12Aが前後方向に操作されることにより、アーム4Bがダンプ動作又は掘削動作する。左作業レバー12Aが左右方向に操作されることにより、上部旋回体2が左旋回又は右旋回する。右作業レバー12Bが左右方向に操作されることにより、バケット4Cが掘削動作又はダンプ動作する。右作業レバー12Bが前後方向に操作されることにより、ブーム4Aが下げ動作又は上げ動作する。
【0024】
左走行レバー12C及び右走行レバー12Dは、下部走行体3の走行動作のために操作される。左走行レバー12Cが前後方向に操作されることにより、下部走行体3の左側の履帯3Bが前進動作又は後進動作する。右走行レバー12Dが前後方向に操作されることにより、下部走行体3の右側の履帯3Bが前進動作又は後進動作する。左フットペダル12Eは、左走行レバー12Cに連動する。右フットペダル12Fは、右走行レバー12Dに連動する。左フットペダル12E及び右フットペダル12Fが操作されることにより、下部走行体3が前進動作又は後進動作されてもよい。
【0025】
油圧ショベル1は、キャブ9に配置される周辺監視モニタ20を備える。周辺監視モニタ20は、運転シート10の右前方に配置される。周辺監視モニタ20は、入力装置21と、表示装置22と、オペレータ警報装置23と、周辺監視コントローラ24とを有する。
【0026】
入力装置21は、キャブ9に搭乗したオペレータに操作される。実施形態において、入力装置21は、複数のプッシュボタンを含む。入力装置21は、オペレータに操作されることにより、入力データを生成する。
【0027】
表示装置22は、表示データを表示する。表示装置22は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイを含む。
【0028】
オペレータ警報装置23は、作業機械を操作するオペレータに向けて警報を出力するための装置である。オペレータ警報装置23は、警報として警報音を出力するブザーを含む。実施形態において、オペレータ警報装置23は、キャブ9の内側に配置される。オペレータ警報装置23は、キャブ9の内部に向かって警報を出力する。油圧ショベル1のオペレータがキャブ9に存在する場合、オペレータ警報装置23は、オペレータに向けて警報を出力する。以下の説明において、オペレータ警報装置23を適宜、キャブ内ブザー23、と称する。
【0029】
周辺監視コントローラ24は、コンピュータシステムを含む。周辺監視コントローラ24は、入力装置21、表示装置22、及びキャブ内ブザー23のそれぞれを制御する。
【0030】
周辺監視コントローラ24は、演算処理及び画像処理を実施する。カメラ11により取得された画像データは、周辺監視コントローラ24により画像処理される。
【0031】
[検出範囲及び警報範囲]
図3は、実施形態に係る検出範囲13及び警報範囲14を示す模式図である。油圧ショベル1の周辺に検出範囲13及び警報範囲14が規定される。
【0032】
検出範囲13は、物体検出装置6の検出範囲である。物体検出装置6は、検出範囲13に存在する物体を検出する。物体検出装置6に検出される物体として、人又は障害物が例示される。
【0033】
実施形態において、物体検出装置6の検出範囲13は、カメラ11の視野範囲(撮像可能範囲)を含む。カメラ11は、検出範囲13を撮像して、検出範囲13の画像データを取得する。周辺監視コントローラ24は、カメラ11により取得された画像データを画像処理することにより、物体検出装置6の検出範囲13に存在する物体を検出することができる。
【0034】
なお、実施形態において、キャブ9の前方及び左前方に検出範囲13は存在しない。運転シート10に着座したオペレータは、キャブ9の前方及び左前方の状況を直接視認することができる。そのため、油圧ショベル1には、キャブ9の前方及び左前方を示す画像データを取得するカメラ11は設けられない。これにより、油圧ショベル1に設けられるカメラ11の数を少なくすることができる。なお、キャブ9の前方及び左前方を示す画像データを取得するカメラ11が設けられてもよい。
【0035】
警報範囲14は、物体検出装置6により物体が検出されたときに、外部ブザー7及びキャブ内ブザー23の少なくとも一方からの警報の出力が要求される範囲である。警報範囲14は、検出範囲13よりも小さい。警報範囲14は、油圧ショベル1を含むように設定される。警報範囲14は、検出範囲13の内側に設定される。
【0036】
実施形態において、警報範囲14は、第1警報範囲14Aと、第2警報範囲14Bとを含む。第1警報範囲14A及び第2警報範囲14Bのそれぞれは、実質的に矩形状である。第2警報範囲14Bは、油圧ショベル1を含むように設定される。第2警報範囲14Bは、第1警報範囲14Aよりも小さい。第2警報範囲14Bは、第1警報範囲14Aの内側に規定される。
【0037】
[周辺監視モニタ]
図4は、実施形態に係る周辺監視モニタ20を示す図である。図4に示すように、周辺監視モニタ20は、入力装置21と、表示装置22とを有する。
【0038】
図4に示す例において、表示装置22は、油圧ショベル1の周辺を示す周辺画像30と、警報範囲14を示す目安線33とを表示する。
【0039】
周辺画像30は、油圧ショベル1の周辺の状況を示す画像である。周辺画像30は、油圧ショベル1の周辺の俯瞰画像31及び単カメラ画像32の少なくとも一方を含む。
【0040】
俯瞰画像31とは、複数のカメラ11のそれぞれで取得された複数の画像データを上方視点に変化して合成することにより生成される画像をいう。
【0041】
単カメラ画像32とは、複数のカメラ11のうち1つのカメラ11で取得された油圧ショベル1の周辺の一部の画像をいう。図4に示す例において、単カメラ画像32は、後方カメラ11Aで取得された油圧ショベル1の後方の状況を示す単カメラ画像である。
【0042】
図4に示す例において、俯瞰画像31と単カメラ画像32とは、表示装置22の表示画面において左右方向に配置される。俯瞰画像31は、単カメラ画像32の左側に配置される。
【0043】
図4に示すように、表示装置22は、俯瞰画像31に併せて、油圧ショベル1を示す車体シンボル1Sを表示する。車体シンボル1Sは、油圧ショベル1を上方から見た画像に相当する。車体シンボル1Sにより、油圧ショベル1と油圧ショベル1の周辺との位置関係が明確化される。
【0044】
目安線33は、周辺画像30における警報範囲14を示す。また、目安線33は、上部旋回体2からの距離及び方向の目安を示す。俯瞰画像31において、目安線33は、車体シンボル1Sの周囲に表示される。単カメラ画像32において、目安線33は、油圧ショベル1の周囲の少なくとも一部に表示される。
【0045】
また、表示装置22は、油圧ショベル1の状態を示す状態シンボル34を表示する。状態シンボル34は、周辺画像30の下方に表示される。状態シンボル34は、エンジンの冷却水の温度を示す水温ゲージ34A、油圧機器の作動油の温度を示す油温ゲージ34B、及び燃料の残量のレベルを示す燃料レベルゲージ34Cを含む。
【0046】
また、表示装置22は、第1シンボル35と、第2シンボル36と、第3シンボル37と、第4シンボル38とを表示する。第1シンボル35、第2シンボル36、第3シンボル37、及び第4シンボル38のそれぞれは、俯瞰画像31の左上部に表示される。
【0047】
第1シンボル35は、外部ブザー7の動作モードの設定状況を示す。第2シンボル36は、キャブ内ブザー23の動作モードの設定状況を示す。第3シンボル37は、車体コントローラ8の制御モードの設定状況を示す。第4シンボル38は、物体検出装置6による物体の検出状況を示す。
【0048】
また、表示装置22は、表示装置22に表示される単カメラ画像32の油圧ショベル1からの方向を示す方向シンボル39を表示する。方向シンボル39は、単カメラ画像32の右上方に表示される。方向シンボル39は、後方カメラ11A、右側方カメラ11B、右前方カメラ11C、及び左側方カメラ11Dのそれぞれに対応する4つの識別領域を有する。4つのカメラ11のうち、ある1つのカメラ11で撮像された単カメラ画像32が表示装置22に表示される場合、方向シンボル39の4つの識別領域のうち、表示装置22に表示される単カメラ画像32を撮像したカメラ11に対応する1つの識別領域が強調表示される。図4に示す例においては、表示装置22に表示された単カメラ画像32は、後方カメラ11Aにより撮像された単カメラ画像なので、後方カメラ11Aに対応する識別領域が強調表示される。
【0049】
また、表示装置22は、サービスメータの値を示すサービスメータシンボル41と、作業モードの設定状況を示す作業モードシンボル42とを表示する。サービスメータシンボル41及び作業モードシンボル42は、周辺画像30の上方に表示される。
【0050】
入力装置21は、表示装置22の表示画面の下方に配置される複数のファンクションボタンF(F1,F2,F3,F4,F5,F6)を有する。複数のファンクションボタンFのそれぞれに特定の機能が割り当てられる。表示装置22の表示画面の下部に複数のファンクションシンボル40が表示される。ファンクションシンボル40は、ファンクションボタンFの直上に表示される。ファンクションボタンFがオペレータにより操作されると、ファンクションボタンFの直上に表示されるファンクションシンボル40に対応する特定の機能の入力データが生成される。図4に示す例において、ファンクションシンボル40は、ファンクションボタンF3の直上に表示されるファンクションシンボル40Aと、ファンクションボタンF4の直上に表示されるファンクションシンボル40Bと、ファンクションボタンF6の直上に表示されるファンクションシンボル40Cとを含む。
【0051】
[動作モード及び制御モード]
図5は、実施形態に係る外部ブザー7の動作モードとキャブ内ブザー23の動作モードと車体コントローラ8の制御モードとを説明するための図である。オペレータは、入力装置21を操作することにより、外部ブザー7の動作モード、キャブ内ブザー23の動作モード、及び車体コントローラ8の制御モードのそれぞれを設定することができる。なお、車体コントローラ8の制御モードは、後述する車体動作制御部58の制御モードと同義である。
【0052】
外部ブザー7の動作モードは、警報範囲14において物体検出装置6により物体が検出されたときに警報を出力する有効モードと、物体が検出されても警報を出力しない無効モードとを含む。
【0053】
キャブ内ブザー23の動作モードは、警報範囲14において物体検出装置6により物体が検出されたときに警報を出力する有効モードと、物体が検出されても警報を出力しない無効モードとを含む。
【0054】
車体コントローラ8の制御モードは、警報範囲14において物体検出装置6により物体が検出されたときに油圧ショベル1の少なくとも一部の動作を制限する有効モードと、物体が検出されても油圧ショベル1の動作を制限しない無効モードとを含む。
【0055】
オペレータは、入力装置21を操作して、警報範囲14において物体が検出されたときの外部ブザー7の動作モードを、有効モードと無効モードとのいずれか一方に設定することができる。入力装置21が操作されることにより、外部ブザー7の動作モードを設定するための第1入力データDaが生成される。周辺監視コントローラ24は、入力装置21からの第1入力データDaに基づいて、警報範囲14において物体が検出されたときの外部ブザー7の動作モードを、有効モードと無効モードとのいずれか一方に設定する。
【0056】
オペレータは、入力装置21を操作して、警報範囲14において物体が検出されたときのキャブ内ブザー23の動作モードを、有効モードと無効モードとのいずれか一方に設定することができる。入力装置21が操作されることにより、キャブ内ブザー23の動作モードを設定するための第2入力データDbが生成される。周辺監視コントローラ24は、入力装置21からの第2入力データDbに基づいて、警報範囲14において物体が検出されたときのキャブ内ブザー23の動作モードを、有効モードと無効モードとのいずれか一方に設定する。
【0057】
オペレータは、入力装置21を操作して、警報範囲14において物体が検出されたときの車体コントローラ8の制御モードを、有効モードと無効モードとのいずれか一方に設定することができる。入力装置21が操作されることにより、車体コントローラ8の制御モードを設定するための第3入力データDcが生成される。周辺監視コントローラ24は、入力装置21からの第3入力データDcに基づいて、警報範囲14において物体が検出されたときの車体コントローラ8の制御モードを、有効モードと無効モードとのいずれか一方に設定する。
【0058】
外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定されることにより、油圧ショベル1の周辺の警報範囲14に人が存在する場合、外部ブザー7は、警報を出力する。警報範囲14に存在する人は、外部ブザー7から出力された警報に基づいて、油圧ショベル1に接近していることを認識することができる。
【0059】
外部ブザー7の動作モードが無効モードに設定されることにより、油圧ショベル1の周辺の警報範囲14に人が存在しても、外部ブザー7は、警報を出力しない。例えば、油圧ショベル1の周辺に存在する人が油圧ショベル1の作業状況を十分に認識している場合、外部ブザー7から警報が出力されると、油圧ショベル1の周辺に存在する人が煩わしさを感じる可能性がある。すなわち、油圧ショベル1の周辺の状況によっては、外部ブザー7からの警報の出力が必須ではない場面が発生する可能性がある。外部ブザー7からの不要な警報の出力を抑制するために、オペレータは、入力装置21を操作して、外部ブザー7の動作モードを無効モードに設定することができる。
【0060】
キャブ内ブザー23の動作モードが有効モードに設定されることにより、油圧ショベル1の周辺の警報範囲14に人が存在する場合、キャブ内ブザー23は、警報を出力する。キャブ9に存在する油圧ショベル1のオペレータは、キャブ内ブザー23から出力された警報に基づいて、警報範囲14に人が存在することを認識することができる。
【0061】
キャブ内ブザー23の動作モードが無効モードに設定されることにより、油圧ショベル1の周辺の警報範囲14に人が存在しても、キャブ内ブザー23は、警報を出力しない。例えば、オペレータが油圧ショベル1の周辺の状況を十分に認識している場合において、キャブ内ブザー23から警報が出力されると、オペレータが煩わしさを感じる可能性がある。すなわち、油圧ショベル1の作業の状況によっては、キャブ内ブザー23からの警報の出力が必須ではない場面が発生する可能性がある。キャブ内ブザー23からの不要な警報の出力を抑制するために、オペレータは、入力装置21を操作して、キャブ内ブザー23の動作モードを無効モードに設定することができる。
【0062】
車体コントローラ8の制御モードが有効モードに設定されることにより、油圧ショベル1の周辺の警報範囲14に人が存在する場合、車体コントローラ8は、油圧ショベル1の少なくとも一部の動作を制限する。油圧ショベル1の動作の制限は、上部旋回体2の旋回動作の制限、下部走行体3の走行動作の制限、及び作業機4の作業動作の制限の少なくとも一つを含む。オペレータにより操作装置12が操作されても、車体コントローラ8は、操作装置12の操作を無効化して、油圧ショベル1の動作を制限する。例えば、操作装置12の操作により作動油の出力圧が調整され、操作装置12の出力圧に基づいて油圧ショベル1を動作させる油圧アクチュエータに供給される作動油が調整される場合、車体コントローラ8は、操作装置12の出力圧を遮断可能なバルブを制御することにより、操作装置12の操作を無効化することができる。例えば、警報範囲14に人が存在する場合、車体コントローラ8は、下部走行体3が走行動作するように操作装置12が操作されても、下部走行体3の走行動作を制限する。例えば、下部走行体3の走行が開始されるように操作装置12が操作されても、車体コントローラ8は、下部走行体3の走行を開始させない発進ロック制御を実施する。また、警報範囲14に人が存在する場合、下部走行体3の走行が維持されるように操作装置12が操作されても、車体コントローラ8は、下部走行体3を停止させる停止制御を実施する。なお、警報範囲14に人が存在する場合、車体コントローラ8は、上部旋回体2が旋回動作するように操作装置12が操作されても、上部旋回体2の旋回動作を制限してもよい。警報範囲14に人が存在する場合、車体コントローラ8は、作業機4が作業動作するように操作装置12が操作されても、作業機4の作業動作を制限してもよい。
【0063】
車体コントローラ8の制御モードが無効モードに設定されることにより、油圧ショベル1の周辺の警報範囲14に人が存在しても、車体コントローラ8は、油圧ショベル1の動作を制限しない。車体コントローラ8は、操作装置12の操作に基づいて、油圧ショベル1を動作させる。油圧ショベル1は、オペレータによる操作装置12の操作に基づいて動作する。例えば、オペレータが油圧ショベル1の周辺の状況を十分に認識している場合において、油圧ショベル1の動作が制限されると、オペレータが煩わしさを感じたり、作業効率が低下したりする可能性がある。すなわち、油圧ショベル1の作業の状況によっては、油圧ショベル1の動作の制限が必須ではない場面が発生する可能性がある。油圧ショベル1の動作の不要な制限を抑制するために、オペレータは、入力装置21を操作して、車体コントローラ8の制御モードを無効モードに設定することができる。
【0064】
なお、実施形態において、外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定された場合、第1警報範囲14Aの内側又は第2警報範囲14Bの内側に人(物体)が存在することにより、外部ブザー7から警報が出力される。キャブ内ブザー23の動作モードが有効モードに設定された場合、第1警報範囲14Aの内側又は第2警報範囲14Bの内側に人(物体)が存在することにより、外部ブザー7から警報が出力される。車体コントローラ8の制御モードが有効モードに設定された場合、第2警報範囲14Bの内側に人(物体)が存在することにより、油圧ショベル1の少なくとも一部の動作が制限される。
【0065】
[周辺監視システム]
図6は、実施形態に係る周辺監視システム50を示す機能ブロック図である。油圧ショベル1は、周辺監視システム50を備える。周辺監視システム50は、油圧ショベル1の周辺を監視する。
【0066】
周辺監視システム50は、物体検出装置6と、入力装置21と、表示装置22と、キャブ内ブザー23と、周辺監視コントローラ24と、車体コントローラ8と、外部ブザー7とを備える。
【0067】
周辺監視システム50は、物体検出部51と、外部警報設定部52と、オペレータ警報設定部53と、車体動作設定部54と、強制設定部55と、外部警報制御部56と、オペレータ警報制御部57と、車体動作制御部58と、表示制御部59と、警報範囲記憶部60とを有する。実施形態においては、周辺監視コントローラ24が、物体検出部51、外部警報設定部52、オペレータ警報設定部53、車体動作設定部54、強制設定部55、オペレータ警報制御部57、表示制御部59、及び警報範囲記憶部60のそれぞれの機能を有し、車体コントローラ8が、外部警報制御部56及び車体動作制御部58のそれぞれの機能を有する。
【0068】
物体検出部51は、物体検出装置6の検出データに基づいて、油圧ショベル1の周辺に存在する物体を検出する。実施形態において、物体検出装置6の検出データは、カメラ11により撮像された油圧ショベル1の周辺の画像データを含む。物体検出部51は、カメラ11から画像データを取得する。物体検出部51は、画像データに基づいて、油圧ショベル1の周辺に存在する物体を検出する。物体検出部51は、画像データを画像処理することにより、油圧ショベル1の周辺に物体が存在するか否かを判定することができる。
【0069】
外部警報設定部52は、入力装置21からの第1入力データDaに基づいて、警報範囲14において物体が検出されたときの外部ブザー7の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定する。
【0070】
オペレータ警報設定部53は、入力装置21からの第2入力データDbに基づいて、警報範囲14において物体が検出されたときのキャブ内ブザー23の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定する。
【0071】
車体動作設定部54は、入力装置21からの第3入力データDcに基づいて、警報範囲14において物体が検出されたときの車体動作制御部58の制御モードを、油圧ショベル1の少なくとも一部の動作を制限する有効モードと油圧ショベル1の動作を制限しない無効モードとのいずれか一方に設定する。
【0072】
強制設定部55は、第1入力データDaに基づいて外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53によるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を禁止して、キャブ内ブザー23の動作モードを強制的に有効モードに設定する。
【0073】
また、強制設定部55は、第3入力データDcに基づいて車体動作制御部58の制御モードが有効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53によるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を禁止して、キャブ内ブザー23の動作モードを強制的に有効モードに設定する。
【0074】
外部警報制御部56は、外部ブザー7の動作を制御する。外部警報制御部56は、外部警報設定部52により設定された動作モードに基づいて、外部ブザー7の動作を制御する。
【0075】
オペレータ警報制御部57は、キャブ内ブザー23の動作を制御する。オペレータ警報制御部57は、オペレータ警報設定部53又は強制設定部55により設定された動作モードに基づいて、キャブ内ブザー23の動作を制御する。
【0076】
車体動作制御部58は、油圧ショベル1の動作を制御する。車体動作制御部58は、操作装置12の操作に基づいて、油圧ショベル1の動作を制御する。車体動作制御部58は、車体動作設定部54により設定された制御モードに基づいて、油圧ショベル1の動作を制御する。
【0077】
表示制御部59は、表示データを表示装置22に表示させる。
【0078】
警報範囲記憶部60は、物体が検出されたときに警報の出力が要求される警報範囲14を記憶する。
【0079】
[表示制御部]
図7は、実施形態に係る表示装置22の表示例を示す図である。表示制御部59は、物体検出装置6により撮像された画像データに基づいて、油圧ショベル1の周辺を示す周辺画像30を生成する。表示制御部59は、周辺画像30と、周辺画像30において警報範囲14を示す目安線33とを表示装置22に表示させる。
【0080】
上述のように、周辺画像30は、油圧ショベル1の周辺の俯瞰画像31と、油圧ショベル1の周辺の単カメラ画像32とを含む。図7に示すように、表示制御部59は、油圧ショベル1の周辺を示す俯瞰画像31と、俯瞰画像31において車体シンボル1Sの周囲の少なくとも一部に配置される目安線33とを表示装置22に表示させる。目安線33は、俯瞰画像31における警報範囲14を示す。
【0081】
目安線33は、車体シンボル1Sを含むように表示される。実施形態において、目安線33は、第1警報範囲14Aを示す第1目安線33Aと、第2警報範囲14Bを示す第2目安線33Bとを含む。車体シンボル1Sは、第2目安線33Bの内側に表示される。第2目安線33Bは、第1目安線33Aの内側に表示される。第2目安線33Bで囲まれた領域は、第1目安線33Aで囲まれた領域よりも小さい。
【0082】
実施形態において、第1目安線33A及び第2目安線33Bのそれぞれは、実質的に矩形状である。第1目安線33Aの前端部と第2目安線33Bの前端部とは一致する。第1目安線33Aの後端部は、第2目安線33Bの後端部よりも後方に規定される。第1目安線33Aの左端部は、第2目安線33Bの左端部よりも左方に規定される。第1目安線33Aの右端部は、第2目安線33Bの右端部よりも右方に規定される。
【0083】
物体検出部51により、警報範囲14の内側において物体15が検出された場合、表示制御部59は、表示装置22において、俯瞰画像31に映し出された物体15に重なるように、マーカ16を表示させる。マーカ16は、警報範囲14に存在する物体15を表示装置22の表示画面において強調表示するシンボルである。
【0084】
図8は、実施形態に係る表示装置22の表示例を示す図である。図4図7、及び図8に示すように、表示制御部59は、外部ブザー7の動作モードを示す第1シンボル35と、キャブ内ブザー23の動作モードを示す第2シンボル36と、車体動作制御部58の制御モードを示す第3シンボル37とを表示装置22に表示させる。
【0085】
図8に示す第1表示パターンのように、外部ブザー7の動作モードが有効モードであり、キャブ内ブザー23の動作モードが有効モードであり、車体動作制御部58の制御モードが有効モードである場合、第1シンボル35、第2シンボル36、及び第3シンボル37が表示装置22に表示される。
【0086】
図8に示す第2表示パターンのように、外部ブザー7の動作モードが無効モードであり、キャブ内ブザー23の動作モードが有効モードであり、車体動作制御部58の制御モードが有効モードである場合、第1シンボル35は表示装置22に表示されず、第2シンボル36及び第3シンボル37が表示装置22に表示される。
【0087】
図8に示す第3表示パターンのように、外部ブザー7の動作モードが有効モードであり、キャブ内ブザー23の動作モードが有効モードであり、車体動作制御部58の制御モードが無効モードである場合、第3シンボル37は表示装置22に表示されず、第1シンボル35及び第2シンボル36が表示装置22に表示される。
【0088】
図8に示す第4表示パターンのように、外部ブザー7の動作モードが無効モードであり、キャブ内ブザー23の動作モードが有効モードであり、車体動作制御部58の制御モードが無効モードである場合、第1シンボル35及び第3シンボル37は表示装置22に表示されず、第2シンボル36が表示装置22に表示される。
【0089】
図9は、実施形態に係る表示装置22の表示例を示す図である。図4図7、及び図9に示すように、表示制御部59は、物体検出部51による物体の検出状況を示す第4シンボル38を表示装置22に表示させる。
【0090】
図9に示す第5表示パターンのように、警報範囲14において人が検出されていない場合、第4シンボル38は、第1の色で表示される。第1の色として、緑色が例示される。
【0091】
図9に示す第6表示パターンのように、第1警報範囲14Aの内側、且つ、第2警報範囲14Bの外側に存在する人が検出された場合、第4シンボル38は、第2の色で表示される。第2の色として、黄色が例示される。
【0092】
図9に示す第7表示パターンのように、第2警報範囲14Bの内側に存在する人が検出された場合、第4シンボル38は、第3の色で表示される。第3の色として、赤色が例示される。
【0093】
[強制設定部]
図10は、実施形態に係る強制設定部55の処理を説明するための図である。実施形態において、強制設定部55は、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の動作モードに基づいて、オペレータによるキャブ内ブザー23の動作モードの設定の許可又は禁止を決定する。オペレータは、入力装置21を操作することにより、キャブ内ブザー23の動作モードを設定することができる。オペレータ警報設定部53は、入力装置21からの第2入力データDbに基づいて、キャブ内ブザー23の動作モードを設定する。オペレータによるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を許可又は禁止することは、オペレータ警報設定部53によるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を許可又は禁止することを含む。
【0094】
図10に示すように、強制設定部55は、第1入力データDaに基づいて外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53によるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を禁止する。すなわち、強制設定部55は、第2入力データDbによるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を禁止する。強制設定部55は、第1入力データDaに基づいて外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定された場合において、キャブ内ブザー23の動作モードを強制的に有効モードに設定する。
【0095】
また、強制設定部55は、第3入力データDcに基づいて車体動作制御部58の制御モードが有効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53によるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を禁止する。すなわち、強制設定部55は、第2入力データDbによるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を禁止する。強制設定部55は、第3入力データDcに基づいて車体動作制御部58の制御モードが有効モードに設定された場合において、キャブ内ブザー23の動作モードを強制的に有効モードに設定する。
【0096】
すなわち、実施形態において、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの一方又は両方が有効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53によるキャブ内ブザー23の動作モードの設定が禁止され、キャブ内ブザー23の動作モードが強制的に有効モードに設定される。
【0097】
なお、強制設定部55は、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの一方又は両方が有効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53による第2入力データDbの取得を禁止してもよい。すなわち、オペレータ警報設定部53が第2入力データDbを受け付けないようにしてもよい。また、強制設定部55は、オペレータ警報設定部53が取得した第2入力データDbを無効化してもよい。
【0098】
一方、強制設定部55は、第1入力データDa及び第3入力データDcに基づいて、外部ブザー7の動作モードが無効モードに設定され、且つ、車体動作制御部58の制御モードが無効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53によるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を許可する。すなわち、第1入力データDa及び第3入力データDcに基づいて外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの両方が無効モードに設定された場合において、強制設定部55は、第2入力データDbによるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を許可する。キャブ内ブザー23の動作モードは、オペレータにより設定される。キャブ内ブザー23の動作モードは、第2入力データDbに基づいて、有効モード及び無効モードのいずれか一方に設定される。
【0099】
なお、強制設定部55は、外部ブザー7の動作モードが無効モードに設定され、且つ、車体動作制御部58の制御モードが無効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53による第2入力データDbの取得を許可してもよい。すなわち、第2入力データDbの取得が禁止されている場合、強制設定部55は、オペレータ警報設定部53が第2入力データDbを受け付けるようにしてもよい。また、強制設定部55は、オペレータ警報設定部53が取得した第2入力データDbを有効化してもよい。
【0100】
[周辺監視方法]
図11は、実施形態に係る油圧ショベル1の周辺監視方法を示すフローチャートである。周辺監視システム50により油圧ショベル1の周辺を監視する場合、外部ブザー7の動作モードとキャブ内ブザー23の動作モードと車体動作制御部58の制御モードとがオペレータにより設定される。オペレータは、入力装置21を操作することにより、外部ブザー7の動作モード、キャブ内ブザー23の動作モード、及び車体動作制御部58の制御モードのそれぞれを設定することができる。
【0101】
図12は、実施形態に係る表示装置22の表示例を示す図である。図12に示すように、表示制御部59は、オペレータによる外部ブザー7の動作モードとキャブ内ブザー23の動作モードと車体動作制御部58の制御モードとの設定を補助するために、設定メニューを表示装置22に表示させる。設定メニューは、外部ブザー7の動作モード、キャブ内ブザー23の動作モード、及び車体動作制御部58の制御モードのそれぞれの設定に係る表示データである。
【0102】
設定メニューとして、「全てON」、「全てOFF」、「動作制限制御」、「外部ブザー」、及び「キャブ内ブザー」のそれぞれの文字が表示される。
【0103】
図12に示す例において、オペレータは、「全てON」を選択した状態で、入力装置21を操作することにより、外部ブザー7の動作モードとキャブ内ブザー23の動作モードと車体コントローラ8の制御モードとのそれぞれを有効モードに設定することができる。オペレータは、「全てOFF」を選択した状態で、入力装置21を操作することにより、外部ブザー7の動作モードとキャブ内ブザー23の動作モードと車体コントローラ8の制御モードとのそれぞれを無効モードに設定することができる。
【0104】
オペレータは、「動作制限制御」を選択した状態で、入力装置21を操作することにより、車体動作制御部58の制御モードを設定することができる。「動作制限制御」が選択された状態で入力装置21が操作されることにより、第3入力データDcが生成される。オペレータは、入力装置21を操作して、「動作制限制御」をON又はOFFのいずれか一方に設定する。「動作制限制御」がONに設定されると、車体動作制御部58の制御モードを有効モードに設定するための第3入力データDcが生成される。「動作制限制御」がOFFに設定されると、車体動作制御部58の制御モードを無効モードに設定するための第3入力データDcが生成される。
【0105】
オペレータは、「外部ブザー」を選択した状態で、入力装置21を操作することにより、外部ブザー7の動作モードを設定することができる。「外部ブザー」が選択された状態で入力装置21が操作されることにより、第1入力データDaが生成される。オペレータは、入力装置21を操作して、「外部ブザー」をON又はOFFのいずれか一方に設定する。「外部ブザー」がONに設定されると、外部ブザー7の動作モードを有効モードに設定するための第1入力データDaが生成される。「外部ブザー」がOFFに設定されると、外部ブザー7の動作モードを無効モードに設定するための第1入力データDaが生成される。
【0106】
オペレータは、「キャブ内ブザー」を選択した状態で、入力装置21を操作することにより、キャブ内ブザー23の動作モードを設定することができる。「キャブ内ブザー」が選択された状態で入力装置21が操作されることにより、第2入力データDbが生成される。オペレータは、入力装置21を操作して、「キャブ内ブザー」をON又はOFFのいずれか一方に設定する。「キャブ内ブザー」がONに設定されると、キャブ内ブザー23の動作モードを有効モードに設定するための第2入力データDbが生成される。「キャブ内ブザー」がOFFに設定されると、キャブ内ブザー23の動作モードを無効モードに設定するための第2入力データDbが生成される。
【0107】
外部警報設定部52は、第1入力データDaを取得する。オペレータ警報設定部53は、第2入力データDbを取得する。車体動作設定部54は、第3入力データDcを取得する(ステップS1)。
【0108】
外部警報設定部52は、ステップS1において取得した第1入力データDaが外部ブザー7の動作モードを無効モードに設定するための第1入力データDaであるか否かを判定する。すなわち、外部警報設定部52は、オペレータが外部ブザー7の動作モードを無効モードに設定したか否かを判定する(ステップS2)。
【0109】
車体動作設定部54は、ステップS1において取得した第3入力データDcが車体動作制御部58の制御モードを無効モードに設定するための第3入力データDcであるか否かを判定する。すなわち、車体動作設定部54は、オペレータが車体動作制御部58の制御モードを無効モードに設定したか否かを判定する(ステップS3)。
【0110】
ステップS2において、外部ブザー7の動作モードが無効モードに設定されたと判定され(ステップS2:Yes)、且つ、ステップS3において、車体動作制御部58の制御モードが無効モードに設定されたと判定された場合(ステップS3:Yes)、オペレータ警報設定部53は、ステップS1において取得した第2入力データDbに基づいて、キャブ内ブザー23の動作モードを設定する(ステップS4)。
【0111】
ステップS2において、外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定されたと判定された場合(ステップS2:No)、又は、ステップS3において、車体動作制御部58の制御モードが有効モードに設定されたと判定された場合(ステップS3:No)、強制設定部55は、キャブ内ブザー23の動作モードを強制的に有効モードに設定する(ステップS5)。
【0112】
実施形態において、表示制御部59は、外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定された場合と無効モードに設定された場合とで、キャブ内ブザー23の動作モードに係る設定メニューの表示形態を異ならせる。また、表示制御部59は、車体動作制御部58の制御モードが有効モードに設定された場合と無効モードに設定された場合とで、キャブ内ブザー23の動作モードに係る設定メニューの表示形態を異ならせる。図12に示す例において、キャブ内ブザー23の動作モードに係る設定メニューの表示形態は、「キャブ内ブザー」の文字の表示形態を含む。
【0113】
図12に示すように、第1入力データDa及び第3入力データDcに基づいて、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの少なくとも一方が有効モードに設定され、キャブ内ブザー23の動作モードが強制的に有効モードに設定された場合、表示制御部59は、「キャブ内ブザー」の文字を表示装置22から消去する。また、強制設定部55は、第1入力データDa及び第3入力データDcに基づいて、第1入力データDa及び第3入力データDcに基づいて、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの少なくとも一方を有効モードに設定し、キャブ内ブザー23の動作モードを強制的に有効モードに設定した場合、オペレータ警報設定部53による第2入力データDbの取得を禁止する。
【0114】
一方、第1入力データDa及び第3入力データDcに基づいて、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの両方が無効モードに設定された場合、表示制御部59は、「キャブ内ブザー」の文字を表示装置22に表示させる。また、強制設定部55は、第1入力データDa及び第3入力データDcに基づいて、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの両方を無効モードに設定した場合、オペレータ警報設定部53による第2入力データDbの取得を許可する。
【0115】
例えば、図12に示した設定メニューにおいて、オペレータが、「動作制限制御」、「外部ブザー」、「キャブ内ブザー」の順にON又はOFFを設定した場合において、「動作制限制御」及び「外部ブザー」のいずれか一方がONに設定された場合、「キャブ内ブザー」の文字が消去され、オペレータ警報設定部53による第2入力データDbの受け付けが禁止される。
【0116】
また、図12に示した設定メニューにおいて、オペレータが、「キャブ内ブザー」、「動作制限制御」、「外部ブザー」の順にON又はOFFを設定した場合において、「キャブ内ブザー」がOFFに設定されても、「動作制限制御」及び「外部ブザー」のいずれか一方がONに設定された場合、強制設定部55により第2入力データDbが無効化され、「キャブ内ブザー」の文字が消去され、オペレータ警報設定部53による第2入力データDbの受け付けが禁止される。
【0117】
[コンピュータシステム]
図13は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の周辺監視コントローラ24は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の周辺監視コントローラ24の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、コンピュータプログラムに従って上述の処理を実行する。つまり、プロセッサ1001は、周辺監視コントローラ24の物体検出部51、外部警報設定部52、オペレータ警報設定部53、車体動作設定部54、強制設定部55、オペレータ警報制御部、表示制御部59の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0118】
コンピュータプログラム又はコンピュータシステム1000は、上述の実施形態に従って、キャブ9を有する油圧ショベル1の周辺の物体を検出することと、第1入力データDaに基づいて、物体が検出されたときのキャブ9の外側に配置される外部ブザー7の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定することと、設定された前記外部警報装置の動作モードに基づいて、前記オペレータ警報装置を有効または無効にすることと、を実行させることができる。さらに、コンピュータプログラム又はコンピュータシステム1000は、第2入力データDbに基づいて、物体が検出されたときのキャブ9の内側に配置されるキャブ内ブザー23の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定することと、外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定された場合において、第2入力データDbによるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を禁止して、キャブ内ブザー23の動作モードを強制的に有効モードに設定することと、を実行させることができる。
【0119】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、油圧ショベル1の周辺監視システム50は、油圧ショベル1の周辺の物体を検出する物体検出装置6と、キャブ9の内側に配置されるキャブ内ブザー23と、入力装置21からの第3入力データDcに基づいて、物体が検出されたときの作業機械21の動作を制御する制御モードを、前記作業機械の少なくとも一部の動作を制限する有効モードと制限しない無効モードとのいずれか一方に設定する車体動作設定部54と、設定された制御モードに基づいて、キャブ内ブザー23を有効または無効にする処理を実行するオペレータ警報設定部53と、を備える。オペレータ警報設定部53と、物体動作設定部54の処理は、プロセッサ1001の処理で実行される。
【0120】
これにより、動作モードに基づいて、キャブ内ブザー24の有効モード、無効モードの設定を制御することで、外部ブザー7の動作モード及びキャブ内ブザー23の動作モードのそれぞれが不適切に設定されることが抑制される。
【0121】
オペレータ警報設定部53は、制御モードが有効モードに設定された場合、キャブ内ブザーを有効にする。キャブ内ブザー23の動作モードが不適切に設定されることが抑制される。
【0122】
油圧ショベル1の周辺監視システム50は、第2入力データDbに基づいて、物体が検出されたときの外部ブザー7の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定する外部警報設定部52と、を有し、強制設定部55は、制御モードが有効モードに設定された場合、第2入力データDbを取得しない。周辺監視コントローラ24による第2入力データDbの受け付けが禁止されるので、制御モードが有効モードに設定された場合、キャブ内ブザー23の動作モードが無効モードに設定されるようにオペレータが入力装置21を操作しても、キャブ内ブザー23の動作モードが周辺監視コントローラ24により有効モードに設定される。
【0123】
油圧ショベル1の周辺監視システム50は、キャブ9の外側に配置される外部ブザー7と、入力装置21からの第1入力データDaに基づいて、物体が検出されたときの外部ブザー7の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定する外部警報設定部52と、を有し、オペレータ警報設定部53は、設定された外部ブザー7の動作モードに基づいて、キャブ内ブザー23を有効または無効にする処理を実行する。
【0124】
これにより、オペレータが外部ブザー7及びキャブ内ブザー23のそれぞれの動作モードを有効モードと無効モードとに任意に設定できる場合において、外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定された場合、オペレータがキャブ内ブザー23の動作モードを無効モードに設定しようとしても、キャブ内ブザー23の動作モードが周辺監視コントローラ24により有効モードに設定される。したがって、外部ブザー7の動作モード及びキャブ内ブザー23の動作モードのそれぞれが不適切に設定されることが抑制される。
【0125】
オペレータ警報設定部53は、外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定された場合、キャブ内ブザー23を有効にする。キャブ内ブザー23の動作モードが不適切に設定されることが抑制される。
【0126】
オペレータ警報設定部53は、入力装置21からの第2入力データDbに基づいて、物体が検出されたときのキャブ内ブザー23の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定し、強制設定部55は、外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定された場合、第2入力データDbを取得しない。周辺監視コントローラ24による第2入力データDbの受け付けが禁止されるので、外部ブザー7の動作モードが有効モードに設定された場合、キャブ内ブザー23の動作モードが無効モードに設定されるようにオペレータが入力装置21を操作しても、キャブ内ブザー23の動作モードが周辺監視コントローラ24により有効モードに設定される。
【0127】
油圧ショベル1の周辺監視システム50は、操作装置12の操作に基づいて油圧ショベル1の動作を制御する車体動作制御部58と、入力装置21からの第3入力データDcに基づいて、物体が検出されたときの車体動作制御部58の制御モードを、油圧ショベル1の少なくとも一部の動作を制限する有効モードまたは制限しない無効モードに設定する車体動作設定部54と、を備える。強制設定部55は、車体動作制御部58の制御モードが有効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53によるキャブ内ブザー23の動作モードの設定を禁止して、キャブ内ブザー23の動作モードを有効モードに設定する。
【0128】
これにより、オペレータが車体動作制御部58の制御モードを有効モードと無効モードとに任意に設定できる場合において、車体動作制御部58の制御モードが有効モードに設定された場合、オペレータがキャブ内ブザー23の動作モードを無効モードに設定しようとしても、車体コントローラ8の制御モードが周辺監視コントローラ24により有効モードに設定される。したがって、キャブ内ブザー23の動作モードが不適切に設定されることが抑制される。
【0129】
オペレータ警報設定部53は、入力装置21からの第2入力データDbに基づいて、物体が検出されたときのキャブ内ブザー23の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定し、強制設定部55は、車体動作制御部58の制御モードが有効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53で第2入力データDbを取得しない。つまり、オペレータ警報設定部53による第2入力データDb取得を禁止する。周辺監視コントローラ24による第2入力データDbの受け付けが禁止されるので、車体コントローラ8の制御モードが有効モードに設定された場合、キャブ内ブザー23の動作モードが無効モードに設定されるようにオペレータが入力装置21を操作しても、キャブ内ブザー23の動作モードが周辺監視コントローラ24により有効モードに設定される。
【0130】
強制設定部55は、外部ブザー7の動作モードが無効モードに設定され、且つ、車体動作制御部58の制御モードが無効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53による第2入力データDbの取得を許可する。これにより、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの両方が無効モードに設定された場合において、オペレータは、入力装置21を操作して、キャブ内ブザー23の動作モードを任意に設定することができる。
【0131】
オペレータ警報設定部53は、入力装置21からの第2入力データDbに基づいて、物体が検出されたときのキャブ内ブザー23の動作モードを、警報を出力する有効モードと警報を出力しない無効モードとのいずれか一方に設定し、強制設定部55は、外部ブザー7の動作モードが無効モードに設定され、且つ、車体動作制御部58の作業機械の動作を制御する制御モードが無効モードに設定された場合において、オペレータ警報設定部53による第2入力データDbを取得する。これにより、周辺監視コントローラ24による第2入力データDbの受け付けが許可されるので、オペレータは、入力装置21を操作して、キャブ内ブザー23の動作モードを任意に設定することができる。
【0132】
油圧ショベル1の周辺監視システム50は、外部ブザー7の動作モード及びキャブ内ブザー23の動作モードのそれぞれの設定に係る設定メニューを表示装置22に表示させる表示制御部59を備える。表示制御部59は、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの少なくとも一方が有効モードに設定された場合と、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの両方が無効モードに設定された場合とで、キャブ内ブザー23の動作モードに係る設定メニューの表示形態を異ならせる。図12を参照して説明したように、実施形態において、キャブ内ブザー23の動作モードに係る設定メニューは、「キャブ内ブザー」の文字を含む。外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの少なくとも一方が有効モードに設定された場合には、「キャブ内ブザー」の文字が非表示される。外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの両方が無効モードに設定された場合には、「キャブ内ブザー」の文字が表示される。これにより、オペレータは、入力装置21によりキャブ内ブザー23の動作モードを設定可能な状況か否かを認識することができる。
【0133】
表示制御部59は、外部ブザー7の動作モードを示す第1シンボル35とキャブ内ブザー23の動作モードを示す第2シンボル36と車体動作制御部58の制御モードを示す第3シンボル37とを表示装置22に表示させる。これにより、オペレータは、外部ブザー7の動作モードの設定状況、キャブ内ブザー23の動作モードの設定状況、及び車体動作制御部58の制御モードの設定状況を認識することができる。
【0134】
油圧ショベル1の周辺監視システム50は、物体が検出されたときに警報の出力が要求される警報範囲14を記憶する警報範囲記憶部60を備える。表示制御部59は、油圧ショベル1の周辺を示す周辺画像30と、周辺画像30において警報範囲14を示す目安線33とを表示装置22に表示させる。これにより、オペレータは、油圧ショベル1と警報範囲14との位置関係を認識することができる。
【0135】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、外部警報装置7は、警報として警報音を出力する外部ブザーであることとしたが、これに限られない。例えば、外部警報装置7は、警報として光を出力する警告灯又は回転灯であってもよい。
【0136】
上述の実施形態において、オペレータ警報装置23は、警報として警報音を出力するキャブ内ブザーであることとしたが、これに限られない。例えば、オペレータ警報装置23は、警報として光を出力する警告灯又は回転灯でもよいし、警報としてメッセージ又はシンボルを表示する表示装置でもよい。
【0137】
上述の実施形態において、物体検出装置6は、カメラ11を有することとしたが、これに限られない。物体検出装置6は、物体を非接触で検出すればよく、例えば、物体検出装置6は、油圧ショベル1に設けられたレーダ装置でもよいしレーザ装置でもよい。
【0138】
上述の実施形態においては、入力装置21のボタンが操作されることにより、動作モード及び制御モードが設定されることとしたが、これに限られない。入力装置21は、表示装置22の表示画面に設けられるタッチセンサを含んでもよい。すなわち、表示装置22が、入力装置21の機能を有するタッチパネルを含んでもよい。タッチパネルが操作されることにより、動作モード及び制御モードが設定されてもよい。
【0139】
上述の実施形態においては、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの少なくとも一方が有効モードに設定された場合と、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの両方が無効モードに設定された場合とで、表示装置22において「キャブ内ブザー」の文字の非表示と表示とが切り換えられることとしたが、これに限られない。例えば、表示制御部59は、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの少なくとも一方が有効モードに設定された場合と、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの両方が無効モードに設定された場合とで、キャブ内ブザー23の動作モードに係る設定メニューの表示形態を異ならせればよい。例えば、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの少なくとも一方が有効モードに設定された場合、「キャブ内ブザー」の文字が赤色で表示され、外部ブザー7の動作モード及び車体動作制御部58の制御モードの両方が無効モードに設定された場合、「キャブ内ブザー」の文字が青色で表示されてもよい。
【0140】
上述の実施形態において、周辺監視モニタ20は、入力装置21と表示装置22とキャブ内ブザー23と周辺監視コントローラ24とを含むこととしたが、これに限られない。例えば、入力装置21と表示装置22とキャブ内ブザー23と周辺監視コントローラ24とは、別体でもよい。また、油圧ショベル1から分離可能なタブレット端末が、入力装置21の機能、表示装置22の機能、及び周辺監視コントローラ24の機能を有してもよい。
【0141】
上述の実施形態において、周辺監視コントローラ24は、物体検出部51、外部警報設定部52、オペレータ警報設定部53、車体動作設定部54、強制設定部55、オペレータ警報制御部57、表示制御部59、及び警報範囲記憶部60のそれぞれの機能を有し、車体コントローラ8が、外部警報制御部56及び車体動作制御部58のそれぞれの機能を有することとしたが、これに限られない。例えば、周辺監視コントローラ24の機能の少なくとも一部が車体コントローラ8に設けられてもよいし、車体コントローラ8の機能の少なくとも一部が周辺監視コントローラ24に設けられてもよい。また、周辺監視コントローラ24と車体コントローラ8とは、一体でもよい。また、物体検出部51、外部警報設定部52、オペレータ警報設定部53、車体動作設定部54、強制設定部55、外部警報制御部56、オペレータ警報制御部57、車体動作制御部58、表示制御部59、及び警報範囲記憶部60のそれぞれが、別々のハードウエア(コンピュータシステム)により構成されてもよい。
【0142】
上述の実施形態において、油圧ショベル1は、鉱山において使用される油圧ショベルでもよいし、建設現場において使用される油圧ショベルでもよい。
【0143】
上述の実施形態において、作業機械1は、油圧ショベルであることとしたが、これに限られない。作業機械1は、作業機を有していればよく、例えば、作業機械1は、ブルドーザやホイールローダであってもよい。また、作業機械1は、作業機の代わりにベッセルを有するダンプトラックであってもよい。上述の実施形態に係る周辺監視システム50は、様々な作業機械1に適用可能である。
【0144】
上述の実施形態において、作業機械1は、キャブ9に搭乗したオペレータによって操作されることとしたが、これに限られない。作業機械1は、遠隔地のオペレータによって遠隔操作されてもよく、例えば、作業機械1から離れて設けられた操作室からオペレータが作業機械1を操作してもよい。この場合、オペレータ警報装置23は、作業機械を操作するオペレータに向けて警報を出力するために、操作室に配置される。
【符号の説明】
【0145】
1…油圧ショベル(作業機械)、1S…車体シンボル、2…上部旋回体、3…下部走行体、3A…駆動輪、3B…履帯、4…作業機、4A…ブーム、4B…アーム、4C…バケット、5…油圧シリンダ、5A…ブームシリンダ、5B…アームシリンダ、5C…バケットシリンダ、6…物体検出装置、7…外部ブザー(外部警報装置)、8…車体コントローラ、9…キャブ、10…運転シート、11…カメラ、11A…後方カメラ、11B…右側方カメラ、11C…右前方カメラ、11D…左側方カメラ、12…操作装置、12A…左作業レバー、12B…右作業レバー、12C…左走行レバー、12D…右走行レバー、12E…左フットペダル、12F…右フットペダル、13…検出範囲、14…警報範囲、14A…第1警報範囲、14B…第2警報範囲、15…物体、16…マーカ、20…周辺監視モニタ、21…入力装置、22…表示装置、23…キャブ内ブザー(オペレータ警報装置)、24…周辺監視コントローラ、30…周辺画像、31…俯瞰画像、32…単カメラ画像、33…目安線、33A…第1目安線、33B…第2目安線、34…状態シンボル、34A…水温ゲージ、34B…油温ゲージ、34C…燃料レベルゲージ、35…第1シンボル、36…第2シンボル、37…第3シンボル、38…第4シンボル、39…方向シンボル、40…ファンクションシンボル、40A…ファンクションシンボル、40B…ファンクションシンボル、40C…ファンクションシンボル、41…サービスメータシンボル、42…作業モードシンボル、50…周辺監視システム、51…物体検出部、52…外部警報設定部、53…オペレータ警報設定部、54…車体動作設定部、55…強制設定部、56…外部警報制御部、57…オペレータ警報制御部、58…車体動作制御部、59…表示制御部、60…警報範囲記憶部、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、AX…ブーム回転軸、BX…アーム回転軸、CX…バケット回転軸、Da…第1入力データ、Db…第2入力データ、Dc…第3入力データ、RX…旋回軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13