(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045982
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】検体搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 21/20 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
B65G21/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154633
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】592053778
【氏名又は名称】株式会社日本設計工業
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名倉 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓哉
【テーマコード(参考)】
3F025
【Fターム(参考)】
3F025BA02
3F025BC07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】サンプルラックを案内するための左右のサイドレール間を、サンプルラックの幅に対応して容易に変更できるようにした検体搬送システムを提供する。
【解決手段】サンプルラック14をベルト16Aで搬送する際にガイドとなる左右のサイドレール21L、21Rを支持する左右のサイドレール支持部33A、33Bに設けられた左右の固定用ナット42A、42Bを設け、これらに左右の締結ボルト44A、44Bを螺合させて左右のサイドレール21L、21Rを固定するようにして、左右のサイドレール21L、21Rを、左右のサイドレール支持部33A、33Bに対してベルト幅方向に一定範囲で移動自在に設け、左右の固定用ナット42A、42Bは、左右のストッパー51A、51Bにより位置決めされる左右の締結ボルト44A、44Bと螺合可能とされる検体搬送システム10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器を載置したサンプルラックをベルトに乗せてベルトラインに沿って搬送するベルトライン装置と、
前記ベルトに載置された前記サンプルラックのベルト幅方向両側面が摺接可能に配置され、前記ベルトラインに沿って前記サンプルラックを案内するための、左サイドレール及び右サイドレールを含むラックガイドと、
前記ベルトの底面に接触して、該ベルトを搬送方向に移動可能に案内する水平の中央ベルト支持部、及び、前記中央ベルト支持部から一体的に幅方向左側に延在するとともに、上面に、前記左サイドレールを着脱可能に支持する左サイドレール支持部、及び、前記中央ベルト支持部から一体的に幅方向右側に延在するとともに、上面に、前記右サイドレールを着脱可能に支持する右サイドレール支持部、を有してなるベルトフレームと、
前記左サイドレールを貫通して前記左サイドレール支持部に設けられた左固定用ナットに螺合する左締結ボルトにより前記左サイドレールを固定する左固定手段、及び、前記右サイドレールを貫通して前記右サイドレール支持部に設けられた右固定用ナットに螺合する右締結ボルトにより前記右サイドレールを固定する右固定手段を含むサイドレール固定手段と、を有してなる検体搬送システムであって、
前記左サイドレールを、前記左締結ボルトとともに、前記左サイドレール支持部に対してベルト幅方向に一定範囲で移動自在に設け、且つ、前記右サイドレールを、前記右締結ボルトとともに、前記右サイドレール支持部に対して一定範囲でベルト幅方向に移動自在に設けるとともに、
前記左サイドレール支持部に対して、ベルト幅方向の少なくとも2個所で当接してベルト幅方向の位置決めをする左ストッパーと、
前記右サイドレール支持部に対して、ベルト幅方向の少なくとも2個所で当接してベルト幅方向の位置決めをする右ストッパーと、を設け、
前記左固定用ナットは、前記左サイドレールの前記左ストッパーにより位置決めされる少なくとも2つの位置で前記左締結ボルトと螺合可能とされ、前記右固定用ナットは、前記右サイドレールの前記右ストッパーにより位置決めされる少なくとも2つの位置で前記右締結ボルトと螺合可能とされ
たことを特徴とする検体搬送システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記ベルトフレームは押出成形部材から形成されていて、前記中央ベルト支持部、前記左サイドレール支持部及び前記右サイドレール支持部が、前記ベルトラインと直交する鉛直断面において連続一体的とされ、
前記左サイドレール支持部は前記左サイドレールを水平に支持する左水平支持面を、前記右サイドレール支持部は前記右サイドレールを水平に支持する右水平支持面を、それぞれ備え、
前記左固定手段は、前記左サイドレール支持部における前記左水平支持面に、前記ベルトラインと平行に、断面凹溝状に形成された左スロット、この左スロット内に前記ベルト方向に挿入、取出し可能に配置された左固定用ナット、及び、前記左サイドレール支持部を貫通し、前記左スロット内の前記左固定用ナットに螺合して、前記左サイドレールを前記左サイドレール支持部に締付固定する左締結ボルトからなり、
前記右固定手段は、前記右サイドレール支持部における前記右水平支持面に、前記ベルトラインと平行に、断面凹溝状に形成された右スロット、この右スロット内に前記ベルト方向に挿入、取出し可能に配置された右固定用ナット、及び、前記右サイドレール支持部を貫通し、前記右スロット内の前記右固定用ナットに螺合して、前記右サイドレールを前記右サイドレール支持部に締付固定する右締結ボルトからなり、
前記左スロットは、少なくとも前記左締結ボルトが前記左固定用ナットに螺合する位置の間において、前記左締結ボルトの、前記ベルト幅方向の位置を変更可能とする溝幅を有する左開口部を備え、
前記右スロットは、少なくとも前記右締結ボルトが前記右固定用ナットに螺合する位置の間において、前記右締結ボルトの、前記ベルト幅方向の位置を変更可能とする溝幅を有する右開口部を備え、
前記左ストッパーは、左位置決め段差及び、左位置決め突起の少なくとも一方を含んでなり、前記左位置決め段差は、前記中央ベルト支持部のベルト幅方向左端において、ベルト幅方向外側に隣接する前記左水平支持面に対して少なくとも0.5mm高く形成され、前記左サイドレールのベルト幅方向内側下端の角部が当接して位置決めするように構成され、前記左位置決め突起は、前記左サイドレールの下側面の前記左スロットの前記左開口部に臨む個所に、該左開口部におけるベルト幅方向内側の左内端面に当接可能に構成され、
前記右ストッパーは、右位置決め段差及び、右位置決め突起の少なくとも一方を含んでなり、前記右位置決め段差は、前記中央ベルト支持部のベルト幅方向右端において、ベルト幅方向外側に隣接する前記右水平支持面に対して少なくとも0.5mm高く形成され、前記右サイドレールのベルト幅方向内側下端の角部が当接して位置決めするように構成され、前記右位置決め突起は、前記右サイドレールの下側面の前記右スロットの前記右開口部に臨む個所に、該右開口部におけるベルト幅方向内側の右内端面に当接可能に構成された
ことを特徴とする検体搬送システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記左固定用ナット及び前記右固定用ナットは、前記左サイドレール支持部及び前記右サイドレール支持部に設けられた前記ベルトライン方向のスロットに挿入取出自在とされ、且つ、前記左締結ボルト及び右締結ボルトが螺合するねじ孔が平面視でナットの中心から、ベルト幅方向に偏心されていて、且つ、反転したとき、前記左サイドレール支持部及び前記右サイドレール支持部に対して、ベルト幅方向に偏心量の2倍の距離だけシフトするようにされていることを特徴とする検体搬送システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記左サイドレール及び前記右サイドレール、前記左サイドレール支持部及び前記右サイドレール支持部、前記ベルトラインは同一長さで組合わされて1つの搬送モジュールを構成し、
前記左固定用ナット及び前記右固定用ナットは、前記搬送モジュールの長さと同一長さの左帯状ナットプレート及び右帯状ナットプレートに、前記左締結ボルト及び前記右締結ボルトが、それぞれ螺合可能なねじ孔を、前記ベルトライン方向に一定間隔で複数個形成されて、構成されたことを特徴とする検体搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿、免疫血清などの検体を入れた複数の検体容器を載置したサンプルラックを、例えば臨床検体検査分析ラインなどの搬送ラインに沿ってベルトによって搬送する場合の検体搬送システムに係り、特に、サンプルラックをベルトに乗せて搬送ラインに沿って搬送するベルトラインを有し、搬送ラインに沿ってサンプルラックを案内するためのラックガイドにおける両側のサイドレール間の幅を、サンプルラックの幅に応じて切替えるようにした検体搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
サンプルラックの幅は複数種類あるので、従来は、検体ラックの幅の種類に応じて、サンプルラックを案内するためのラックガイドを用意して対応していた。
【0003】
又、コンテナ搬送の分野ではあるが特許文献1には、コンテナの幅に応じて、ラックガイドを構成するサイドレールの幅をアクチュエータにより調整するものが開示されているが、検体搬送システムの分野で頻繁にサイドレール間を切替る必要がないので、オーバースペックになってしまう。
【0004】
他に、特許文献2及び特許文献3には、物品の搬送路の幅を調整する技術が開示されているが、構造が複雑で、サイドレールの位置決めが不正確になり、且つ、調整、切替えに時間がかかるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6578702号公報
【特許文献2】実開平03-031115号公報
【特許文献3】実開平02-139410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、検体搬送システムにおいて、ベルトライン装置により搬送するサンプルラックの幅に対応して、異なる形状又はサイズであるが、類似した複数のサイドレールを用意することなく、且つ、簡単な構造で、サンプルラックの幅に対応して、迅速にサイドレール間の幅を調整することができるようにした検体搬送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、検体容器を載置したサンプルラックをベルトに乗せてベルトラインに沿って搬送するベルトライン装置と、前記ベルトに載置された前記サンプルラックのベルト幅方向両側面が摺接可能に配置され、前記ベルトラインに沿って前記サンプルラックを案内するための、左サイドレール及び右サイドレールを含むラックガイドと、前記ベルトの底面に接触して、該ベルトを搬送方向に移動可能に案内する水平の中央ベルト支持部、及び、前記中央ベルト支持部から一体的に幅方向左側に延在するとともに、上面に、前記左サイドレールを着脱可能に支持する左サイドレール支持部、及び、前記中央ベルト支持部から一体的に幅方向右側に延在するとともに、上面に、前記右サイドレールを着脱可能に支持する右サイドレール支持部、を有してなるベルトフレームと、前記左サイドレールを貫通して前記左サイドレール支持部に設けられた左固定用ナットに螺合する左締結ボルトにより前記左サイドレールを固定する左固定手段、及び、前記右サイドレールを貫通して前記右サイドレール支持部に設けられた右固定用ナットに螺合する右締結ボルトにより前記右サイドレールを固定する右固定手段を含むサイドレール固定手段と、を有してなる検体搬送システムであって、前記左サイドレールを、前記左締結ボルトとともに、前記左サイドレール支持部に対してベルト幅方向に一定範囲で移動自在に設け、且つ、前記右サイドレールを、前記右締結ボルトとともに、前記右サイドレール支持部に対して一定範囲でベルト幅方向に移動自在に設けるとともに、前記左サイドレール支持部に対して、ベルト幅方向の少なくとも2個所で当接してベルト幅方向の位置決めをする左ストッパーと、前記右サイドレール支持部に対して、ベルト幅方向の少なくとも2個所で当接してベルト幅方向の位置決めをする右ストッパーと、を設け、前記左固定用ナットは、前記左サイドレールの前記左ストッパーにより位置決めされる少なくとも2つの位置で前記左締結ボルトと螺合可能とされ、前記右固定用ナットは、前記右サイドレールの前記右ストッパーにより位置決めされる少なくとも2つの位置で前記右締結ボルトと螺合可能とされたことを特徴とする検体搬送システムにより解決されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例1に係る検体搬送システムにおけるベルトライン装置の、左右のサイドレール間を最も狭く設定した状態を示す断面図
【
図2】同実施例1に係る検体搬送システムの一部を示す斜視図
【
図3】
図1の一点鎖線の円IIIによって囲まれた部分を拡大して示す断面図
【
図4】同実施例1に係る検体搬送システムの左右のサイドレール間を最も幅広に設定した状態を示す断面図
【
図5】
図4の一点鎖線の円Vによって囲まれた部分を拡大して示す断面図
【
図6】同実施例1において、左右のサイドレール間を
図1と
図4に示される状態の中間の状態で示す
図1と同様の断面図
【
図7】
図6において、一点鎖線の円VIIによって囲まれた部分を拡大して示す断面図
【
図8】
図6において、一点鎖線の円VIIIによって囲まれた部分を拡大して示す断面図
【
図9】本発明の実施例2に係る検体搬送システムにおけるベルトライン装置を示す
図1と同様の断面図
【
図10】
図9において、一点鎖線の円Xによって囲まれた部分を拡大して示す断面図
【
図11】同実施例2において、左右のサイドレール幅を
図9の場合よりも広くした状態を示す
図9と同様の断面図
【
図12】
図11において、一点鎖線の円XIIによって囲まれた部分を示す断面図
【
図13】本発明の実施例3に係る検体搬送システムにおけるベルトライン装置を示す
図1と同様の断面図
【
図14】
図13において、一点鎖線の円XIVによって囲まれた部分を拡大して示す断面図
【
図15】同実施例3において、左右のサイドレール間の幅を
図13の場合よりも狭くした状態を示す
図14と同様の断面図
【
図16】上記各実施例における左又は右固定用ナットの変形例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施例1]
以下、本発明の実施例1に係る検体搬送システム10について
図1~
図8を参照して詳細に説明する。
【0010】
本発明の実施例1に係る検体搬送システム10は、ベルトライン装置16におけるベルト16A上に載置したサンプルラック14を、
図1の紙面の垂直方向に搬送するものであり、サンプルラック14は、ベルト16Aにより搬送される際に、左サイドレール21L及び右サイドレール21Rからなるラックガイド20によってガイドされるようになっている。
【0011】
これら左右のサイドレール21L、21Rの内側の幅は、サンプルラック14の幅に対応して調整できるように構成されている。
【0012】
更に詳細に説明すると、ベルト16Aに載置されたサンプルラック14のベルト幅方向両側面が摺接可能に配置され、左右のサイドレール21L、21Rは、ベルトフレーム30上に、両者間の距離を調整できるような状態で取付支持されている。
【0013】
ベルトフレーム30の上面には、ベルト16Aの底面に接触してこれを搬送方向に移動可能に案内する水平の中央ベルト支持部32と、中央ベルト支持部32から一体的に幅方向左側に延在するとともに、上面に、左サイドレール21Lを着脱可能に支持する左サイドレール支持部33Aと、中央ベルト支持部32から一体的に幅方向右側に延在するとともに、上面に、右サイドレール21Rを着脱可能に支持する右サイドレール支持部33Bとを含んで構成されている。
【0014】
左右のサイドレール支持部33A、33Bの上面は、それぞれ、水平且つ平滑である左水平支持面34A、右水平支持面34Bとされている。
【0015】
左サイドレール21L、右サイドレール21Rは、それぞれ、左固定手段40A、右固定手段40Bを含むサイドレール固定手段40によってベルトフレーム30の上面である左右の水平支持面34A、34Bに固定されるようになっている。
【0016】
詳細には、左サイドレール21Lは、これを鉛直方向に貫通して左サイドレール支持部33A内の左固定用ナット42Aに螺合する左締結ボルト44Aにより左水平支持面34Aに締付固定するように構成され、右サイドレール21Rは、これを鉛直方向に貫通して右サイドレール支持部33B内の右固定用ナット42Bに螺合する右締結ボルト44Bにより右水平支持面34Bに締付固定するように構成されている。
【0017】
左右の固定用ナット42A、42Bは、左右のサイドレール支持部33A、33Bにベルトラインと平行に形成された左右のスロット35A、35B内に挿入されている。
【0018】
左サイドレール21Lは、左締結ボルト44Aとともに、左サイドレール支持部33Aの左水平支持面34Aに対してベルト幅方向に一定範囲で移動自在に設けられている。
【0019】
又、右サイドレール21Rは、右締結ボルト44Bとともに、右サイドレール支持部33Bの右水平支持面34Bに対してベルト幅方向に一定範囲で移動自在に設けられている。
【0020】
左右のサイドレール21L、21Rの、左サイドレール支持部33A、右サイドレール支持部33Bに対してベルト幅方向の位置決めをするストッパー50が設けられている。
【0021】
実施例1において、ストッパー50は、左ストッパー51Aと右ストッパー51Bとからなり、左ストッパー51Aは、左位置決め段差52Aと左位置決め突起53Aとから構成され、右ストッパー51Bは、右位置決め段差52Bと右位置決め突起53Bとから構成されている。
【0022】
左右の固定用ナット42A、42Bの幅方向中心線に対して、
図1の下側に二点鎖線で示されるように、各々のねじ孔43A、43Bは、符号O/Sで示される距離だけ幅方向にオフセットして形成されている。
【0023】
これにより、左右の固定用ナット42A、42Bは、反転されることにより、ねじ孔43A、43Bがナットの幅方向中心線に対して反対側にオフセットされた姿勢となるようにすることができる。
【0024】
詳細には、左右のサイドレール21L、21Rが位置決めされた状態のとき、左固定用ナット42Aは、左サイドレール21Lの左ストッパー51Aにより位置決めされる少なくとも2つの位置で左締結ボルト44Aと螺合可能とされ、右固定用ナット42Bは、右サイドレール21Rの右ストッパー51Bにより位置決めされる少なくとも2つの位置で右締結ボルト44Bと螺合可能とされている。
【0025】
図1において、符号22は、上端にベルトフレーム30を支持する基礎フレームであり、取付ボルト23によりベルトフレーム30が締付固定されるようになっている。
【0026】
ベルトフレーム30は、例えばアルミの押出し成形部材から形成されていて、中央ベルト支持部32、左サイドレール支持部33A、右サイドレール支持部33Bが、搬送ラインと直交する鉛直断面において連続一体的とされている。
【0027】
左固定手段40Aは、左水平支持面34Aに、ベルトラインと平行に断面大溝状に形成された左スロット35A、この左スロット35A内にベルト方向に挿入、取出し可能に配置された左固定用ナット42A、及び、左サイドレール支持部33Aを貫通し、左スロット35A内の左固定用ナット42Aに螺合して、左サイドレール21Lを左サイドレール支持部33Aに締付固定する左締結ボルト44Aとから構成されている。
【0028】
又、右固定手段40Bは、右水平支持面34Bに、ベルトラインと平行に断面大溝状に形成された右スロット35B、この右スロット35B内にベルト方向に挿入、取出し可能に配置された右固定用ナット42B、及び、右サイドレール支持部33Bを貫通し、右スロット35B内の右固定用ナット42Bに螺合して、右サイドレール21Rを右サイドレール支持部33Bに締付固定する右締結ボルト44Bとから構成されている。
【0029】
左スロット35Aは、少なくとも左締結ボルト44Aが左固定用ナット42Aに螺合する位置の間において、左締結ボルト44Aの、ベルト幅方向の位置を変更可能とする溝幅を有する左開口部36Aを備えている。
【0030】
又、右スロット35Bは、少なくとも右締結ボルト44Bが右固定用ナット42Bに螺合する位置の間において、右締結ボルト44Bの、ベルト幅方向の位置を変更可能とする溝幅を有する右開口部36Bを備えている。
【0031】
この実施例1において、左ストッパー51Aは、左位置決め段差52A、及び、左位置決め突起53Aを含んでなり、左位置決め段差52Aは、中央ベルト支持部32のベルト幅方向左端において、ベルト幅方向外側に隣接する左水平支持面34Aに対して少なくとも0.5mm高く形成され、左サイドレール21Lのベルト幅方向内側下端の角部が当接して位置決めするように構成されている。
【0032】
又、左位置決め突起53Aは、左サイドレール21Lの下側面の左スロット35Aの左開口部36Aに臨む箇所に、該左開口部36Aにおけるベルト幅方向内側の左内端面に当接可能に構成されている。
【0033】
右ストッパー51Bは、右位置決め段差52B、及び、右位置決め突起53Bの両方を含んでなり、右位置決め段差52Bは、中央ベルト支持部32のベルト幅方向右端において、ベルト幅方向外側に隣接する右水平支持面34Bに対して少なくとも0.5mm高く形成され、右サイドレール21Rのベルト幅方向内側下端の角部が当接して位置決めするように構成されている。
【0034】
右位置決め突起53Bは、右サイドレール21Rの下側面の右スロット35Bの右開口部36Bに臨む箇所に、該右開口部36Bにおけるベルト幅方向内側の右内端面に当接可能に構成されている。
【0035】
左固定用ナット42A及び右固定用ナット42Bは、左サイドレール支持部33A及び右サイドレール支持部33Bに設けられたベルトライン方向の左スロット35A及び右スロット35Bに各々装入取出し自在とされ、且つ、左締結ボルト44A及び右締結ボルト44Bが螺合するねじ孔43A、43Bが、平面視でナットの中心からベルト幅方向に偏心されていて、且つ、反転したとき、左サイドレール支持部33A及び右サイドレール支持部33Bに対して、ベルト幅方向に偏心量の2倍の距離シフトするようにされている。
【0036】
次に、上記実施例1に係るラックガイド20における左サイドレール21Lと右サイドレール21Rとの間の幅を変更する過程について説明する。
【0037】
本件実施例1における検体搬送システム10は、
図2に示されるように、例えば2本の平行なベルトライン装置16に適用されるものであり、左サイドレール21Lと右サイドレール21Rとの間で、ベルト16Aによって複数の検体容器12を載置したサンプルラック14を搬送するものである。
【0038】
ここで、サンプルラック14が、例えば
図4に示されるように、
図1に示されるサンプルラック14よりも幅広なサンプルラック14Wとした場合に、左サイドレール21Lと右サイドレール21Rとの間の距離をサンプルラック14Wの幅に合わせて拡幅する必要がある。
【0039】
サンプルラック14Wを搬送する場合、左サイドレール21L側では
図5に拡大して示されるように、左位置決め突起53Aが、左開口部36Aの、
図5において左端に当接するようにして、且つ、左サイドレール21Lのベルト幅方向内側端部が左位置決め段差52Aから離間するように設定する。
【0040】
又、右サイドレール21R側では、その下面の右位置決め突起53Bが、右開口部36Bのベルト幅方向内側端部に当接し、且つ、ベルト幅方向内側端部が、右位置決め段差52Bが離間するようにして、左右の締結ボルト44A、44B、左右の固定用ナット42A、42Bにそれぞれ螺合して、左右のサイドレール支持部33A、33Bを左右の水平支持面34A、34Bに締付固定する。
【0041】
このとき、左右の締結ボルト44A、44Bの軸は、
図1の状態からベルト幅方向両外側に移動されるので、左右の固定用ナット42A、42Bは、
図1の状態から反転してねじ孔43A、43Bが、左右のスロット35A、35Bの中心軸線よりもベルト幅方向外側になるようにする。
【0042】
又、左右の締結ボルト44A、44Bのボルト軸は、左右の開口部36A、36B内で移動可能であるので、左右の固定用ナット42A、42Bに確実に螺合することができる。
【0043】
別個作成した左右のサイドレール21L、21R、あるいは、備えられている他のサイドレールに変更する必要がなく、上記の幅変更の作業は、左右の締結ボルト44A、44Bを緩めて、左右のサイドレール21L、21Rがベルト幅方向に摺動可能な状態にしてから、左右のサイドレール21L、21Rを移動させて、且つ、左右の固定用ナット42A、42Bを、左右のスロット35A、35Bから引き出して反転させ、左右のスロット35A、35Bに挿入して戻し、この反転して戻された左右の固定用ナット42A、42Bに左右の締結ボルト44A、44Bを螺合して固定すればよい。
【0044】
次に、
図6~
図8を参照して、左右のサイドレール21L、21R間の幅を、
図1及び
図4に示される左右サイドレール21L、21R間の幅の中間の幅として、サンプルラック14Mをガイドする場合について説明する。
【0045】
図6に示される場合は、左サイドレール21Lのみを動かし、右サイドレール21Rは、
図1に示されると同様に固定した状態とする。
【0046】
図7に拡大して示されるように、左サイドレール21Lは、左位置決め突起53Aが左開口部36Aの左端に当接するまで左に動かして、この状態で固定する。従って、固定した状態では、左サイドレール21Lは、左位置決め段差52Aから離間した状態となっている。
【0047】
左右の固定用ナット42A、42Bは、
図6下側に示されるように、共に、ナットの幅方向中央から左側にオフセットされた状態で用いられる。
【0048】
なお、上記実施例1においては、左ストッパー51Aは、左位置決め段差52Aと左位置決め突起53Aから構成され、又、右ストッパー51Bは、右位置決め段差52Bと、右位置決め突起53Bとから構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、位置決め段差のみ、あるいは、位置決め突起のみの場合、更には、左右のストッパー51A、51Bにおいて、一方は位置決め段差のみ、他方は位置決め突起のみなどの組合せがある。
【0049】
[実施例2]
次に、
図9~
図12を参照して本発明の実施例2に係る検体搬送システムについて説明する。
【0050】
なお、実施例2、及び後述の実施例3において、検体搬送システムは符号10A、10B、ラックガイドは符号20A、20B、左サイドレールは符号21LA、21LB、右サイドレールは符号21RA、21RB、ベルトフレームは符号30A、30Bを用いて示しているが、その他の構成については実施例1と同一又はわずかの相違であるので、実施例1と同一の符号を用いるものとする。
【0051】
図9は、左右のサイドレール間が狭く、
図11はサイドレール間の幅を広げた状態をそれぞれ示す。
【0052】
この実施例2は、左右のストッパー51A、51Bを、左位置決め段差52A、右位置決め段差52Bのみから構成し、左右の位置決め突起53A、53Bは設けていない。
【0053】
又、左右のサイドレール21LA、21RAの、ベルト幅方向外側への位置決めとして、左右のサイドレール支持部33A、33Bにおける左右の水平支持面34A、34Bの両幅方向外側端位置に、左右外側位置決め段差54A、54Bを設けている。
【0054】
この実施例2の場合、左右サイドレール21LA、21RAのベルト幅方向の幅調整範囲は、ベルト幅方向内側には、左右の位置決め段差52A、52Bによって、又、ベルト幅方向外側には、左右外側位置決め段差54A、54Bによって決定される。
【0055】
[実施例3]
次に、
図13~
図15を参照して、本発明の実施例3について説明する。
【0056】
この実施例3は、位置決め段差を用いることなく、且つ、左右にそれぞれ2つの位置決め突起、詳細には、左側において、左内側位置決め突起55Aと左外側位置決め突起56Aから左ストッパーを構成し、右側では、右内側位置決め突起55Bと右外側位置決め突起56Bとから右ストッパーを構成したものである。
【0057】
従って、
図13及び14に示されるように、ベルト幅方向外側には、左内側位置決め突起55A及び左外側位置決め突起56Aが左サイドレール21LBの幅方向移動範囲を決定し、又、右内側位置決め突起55Bと右外側位置決め突起56Bとが、右サイドレール21RBのベルト幅方向の移動範囲を決定するようにされている。
【0058】
図14は、左サイドレール21LBがベルト幅方向外側に位置決めされた状態を示す。又、
図15は、左サイドレール21LBがベルト幅方向内側に位置決めされた状態を示す。
【0059】
なお、上記実施例1~3のいずれも、左固定用ナット42A、右固定用ナット42Bは、平面視でほぼ正方形とされ、対応する締結ボルトごとに1個設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図16に示されるように、左右の固定用ナットを左帯状ナットプレート46A、右帯状ナットプレート46Bから構成し、この帯状のプレートに、締結ボルト44A(44B)の設定ピッチで、ボルトと同数のねじ孔43A(43B)を設けるようにしても良い。
【0060】
この場合、左帯状ナットプレート46A及び右帯状ナットプレート46Bは、左スロット35A、右スロット35Bに抜き差しによって脱着されるが、全体が1枚となっているので、正方形の固定用ナットのように個別に位置合わせしてナットプレートを挿入したりすることなく、ねじ孔を1回の操作で位置決めできる。この左帯状ナットプレート46A及び右帯状ナットプレート46Bの長さを、
図2において、符号Mで示される搬送モジュールの長さに合わせると良い。
【符号の説明】
【0061】
10、10A、10B…検体搬送システム
12…検体容器
14、14M、14W…サンプルラック
16…ベルトライン装置
16A…ベルト
20、20A、20B…ラックガイド
21L、21LA、21LB…左サイドレール
21R、21RA、21RB…右サイドレール
22…基礎フレーム
23…取付ボルト
24A…左ノッチ
24B…右ノッチ
30、30A、30B…ベルトフレーム
32…中央ベルト支持部
33A…左サイドレール支持部
33B…右サイドレール支持部
34A…左水平支持面
34B…右水平支持面
35A…左スロット
35B…右スロット
36A…左開口部
36B…右開口部
40…サイドレール固定手段
40A…左固定手段
40B…右固定手段
42A…左固定用ナット
42B…右固定用ナット
43A、43B…ねじ孔
44A…左締結ボルト
44B…右締結ボルト
46A…左帯状ナットプレート
46B…右帯状ナットプレート
50…ストッパー
51A…左ストッパー
51B…右ストッパー
52A…左位置決め段差
52B…右位置決め段差
53A…左位置決め突起
53B…右位置決め突起
54A…左外側位置決め段差
54B…右外側位置決め段差
55A…左内側位置決め突起
55B…右内側位置決め突起
56A…左外側位置決め突起
56B…右外側位置決め突起
M…搬送モジュール
O/S…オフセット