(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023045984
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】無線通信システム及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20230327BHJP
H04B 7/15 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J13/00 311K
H02J13/00 301A
H04B7/15
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154638
(22)【出願日】2021-09-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】518236605
【氏名又は名称】株式会社Social Area Networks
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】森田 高明
(72)【発明者】
【氏名】井出 和彦
【テーマコード(参考)】
5G064
5K072
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AC05
5G064AC08
5G064CB06
5G064CB21
5G064DA05
5K072AA29
5K072BB02
5K072BB17
5K072BB25
5K072GG01
5K072GG11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】既存の大規模施設に対する導入が容易で、電波干渉が生じることがなく、電力消費を抑制可能な無線通信システム及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】無線通信システム1は、複数の電子機器20と、複数の電子機器が送信する機器信号を取得する監視制御装置10と、複数の電子機器と監視制御装置との間の制御信号及び機器信号を中継する中継器40と、を有する。監視制御装置は、第一の通信期間において中継器及び複数の電子機器に対して制御信号を送信する通信部を有する。電子機器は、太陽電池と、太陽電池の出力電力を蓄電可能な二次電池と、を有する電源部と、中継器に対して機器信号を送信する通信部と、第三の消費電力で動作する低消費電力状態との間で状態制御する状態制御部と、を有する。中継器は、第三の通信期間において監視制御装置に機器信号を送信する通信部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子機器と、前記複数の電子機器に対して制御信号を送信するとともに、前記複数の電子機器が送信する機器信号を取得する監視制御装置と、前記複数の電子機器と前記監視制御装置との間の前記制御信号及び前記機器信号を中継する中継器と、を有する無線通信システムであって、
前記監視制御装置は、
第一の通信期間において前記中継器及び前記複数の電子機器に対して前記制御信号を送信する通信部を有し、
前記電子機器は、
太陽電池と、該太陽電池の出力電力を蓄電可能な二次電池と、を有する電源部と、
前記第一の通信期間において前記中継器を介して前記制御信号を受信するとともに、第二の通信期間において、前記中継器に対して前記機器信号を送信する通信部と、
前記第一の通信期間及び前記第二の通信期間においてそれぞれ第一の消費電力及び第二の消費電力で動作する通常状態と、前記第一の通信期間及び前記第二の通信期間と異なる第三の通信期間において前記第一の消費電力及び前記第二の消費電力より低い第三の消費電力で動作する低消費電力状態との間で状態制御する状態制御部と、を有し、
前記中継器は、
前記第一の通信期間において前記監視制御装置から前記制御信号を受信して前記電子機器に対して送信するとともに、前記第二の通信期間において前記複数の電子機器から前記機器信号を受信し、前記第三の通信期間において前記監視制御装置に前記機器信号を送信する通信部を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記電子機器及び前記中継器は、
前記第一の通信期間において受信した前記制御信号に基づいて、通信タイミングの同期制御を行う同期制御部を有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記同期制御部は、
前記第一の通信期間が、前記複数の電子機器及び前記中継器の間で共通するタイミングとなるように同期制御するとともに、
前記第二の通信期間が、前記複数の電子機器の間で互いに異なるタイミングとなるように同期制御することを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記中継器は、第一中継器と第二中継器を含む複数の中継器からなり、
前記第一中継器の前記通信部は、前記第一の通信期間において前記監視制御装置から前記制御信号を受信して前記第一中継器以外の前記中継器に対して送信するとともに、前記第三の通信期間において前記第一中継器以外の前記中継器から前記機器信号を受信して前記監視制御装置に送信し、
前記第二中継器の前記通信部は、前記第一の通信期間において前記第二中継器以外の前記中継器から前記制御信号を受信して前記電子機器に対して送信するとともに、前記第三の通信期間において前記電子機器から前記機器信号を受信して前記第二中継器以外の前記中継器に対して送信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一の請求項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記無線通信システムは、電力使用に関するデマンド制御を行うデマンド制御システムにおいて用いられ、
前記監視制御装置は、電力使用量を監視してデマンド制御信号を前記制御信号として出力するデマンド制御装置であって、
前記電子機器は、前記中継器を介して前記デマンド制御信号を受信するとともに、前記デマンド制御信号に基づいて電力を消費する負荷装置を駆動制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一の請求項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記デマンド制御システムは、環境信号を検出可能な環境センサを有し、
前記環境センサは、前記第一の通信期間において前記中継器を介して前記制御信号を受信するとともに、前記第二の通信期間において、前記中継器に対して前記環境信号を送信する通信部と、
前記第一の通信期間において受信した前記制御信号に基づいて、通信タイミングの同期制御を行う同期制御部を有し、
前記デマンド制御装置は、前記中継器を介して前記環境信号を受信し、前記環境信号に基づいて前記デマンド制御信号を出力することを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記状態制御部は、前記低消費電力状態において前記電源部から前記通信部に対して供給される電力を制限することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一の請求項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
太陽電池と、該太陽電池の出力電力を蓄電可能な二次電池と、を有する電源部を備えた複数の電子機器と、前記複数の電子機器に対して制御信号を送信するとともに、前記複数の電子機器が送信する機器信号を取得する監視制御装置と、前記電子機器と前記監視制御装置との間の前記制御信号及び前記機器信号を中継する中継器と、を有する無線通信システムによる無線通信方法であって、
前記監視制御装置が、
第一の通信期間において前記中継器及び前記複数の電子機器に対して前記制御信号を送信し、
前記電子機器が、
前記第一の通信期間において前記中継器を介して前記制御信号を受信し、
第二の通信期間において、前記中継器に対して前記機器信号を送信し、
前記第一の通信期間及び前記第二の通信期間においてそれぞれ第一の消費電力及び第二の消費電力で動作する通常状態と、前記第一の通信期間及び前記第二の通信期間と異なる第三の通信期間において前記第一の消費電力及び前記第二の消費電力より低い第三の消費電力で動作する低消費電力状態との間で状態制御し、
前記中継器が、
前記第一の通信期間において前記監視制御装置から前記制御信号を受信して前記電子機器に対して送信し、
前記第二の通信期間において前記複数の電子機器から前記機器信号を受信し、
前記第三の通信期間において前記監視制御装置に前記機器信号を送信することを特徴とする無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム及び無線通信方法に係り、特に、中継器を用いた無線通信システム及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー化の促進や、電力料金の削減を図ることが可能なデマンド制御が注目されている。デマンド制御とは、電力消費のピーク時における需要電力(デマンド)を抑制するために、電力消費のピーク時において負荷装置(例えば空調機)の利用を制限することをいう。
電力料金の基本料金は、1年間の最大需要電力(最大デマンド)に対して、単価を乗算することによって計算される。したがって、電力消費のピーク時における需要電力を制限することによって最大デマンドを抑制し、基本料金を削減することができ、年間の電力料金の低減を図ることが可能となる。
【0003】
特許文献1には、使用電力を計測する計測ユニットと、計測された使用電力を監視してデマンド制御信号を出力する監視ユニットと、デマンド制御信号に基づいて空調機の運転を制御する制御ユニットからなるデマンド制御システムが開示されている。計測ユニット、監視ユニット、及び制御ユニットは、それぞれ無線通信部を有し、互いに無線通信を行うことができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたデマンド制御システムによれば、デマンド制御システムを導入するにあたって配線工事をする必要がないため、店舗等の既存施設にデマンド制御システムを安価に導入することができる。しかしながら、ビル又は工場のように、施設内に複数の空調機が設置されている大規模な施設に対して上述したデマンド制御システムを導入すると、複数の制御ユニットと監視ユニットの間で送受信される無線通信信号が互いに電波干渉する虞があった。また、監視ユニットと制御ユニットを、互いに離れた位置に設置する必要がある場合には、大きな送信電力が必要となり、省エネルギー性の向上を図ることが困難な場合があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ビルや工場等の大規模施設に対する導入が容易で、電波干渉の発生の抑制を図ることが可能な無線通信システム及び無線通信方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、電力消費を抑制することが可能な無線通信システム及び無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の無線通信システムによれば、複数の電子機器と、前記複数の電子機器に対して制御信号を送信するとともに、前記複数の電子機器が送信する機器信号を取得する監視制御装置と、前記電子機器と前記監視制御装置との間の前記制御信号及び前記機器信号を中継する中継器と、を有する無線通信システムであって、前記監視制御装置は、第一の通信期間において前記中継器及び前記複数の電子機器に対して前記制御信号を送信する通信部を有し、前記電子機器は、太陽電池と、該太陽電池の出力電力を蓄電可能な二次電池と、を有する電源部と、前記第一の通信期間において前記中継器を介して前記制御信号を受信するとともに、第二の通信期間において、前記中継器に対して前記機器信号を送信する通信部と、前記第一の通信期間及び前記第二の通信期間においてそれぞれ第一の消費電力及び第二の消費電力で動作する通常状態と、前記第一の通信期間及び前記第二の通信期間と異なる第三の通信期間において前記第一の消費電力及び前記第二の消費電力より低い第三の消費電力で動作する低消費電力状態との間で状態制御する状態制御部と、を有し、前記中継器は、前記第一の通信期間において前記監視制御装置から前記制御信号を受信して前記電子機器に対して送信するとともに、前記第二の通信期間において前記複数の電子機器から前記機器信号を受信し、前記第三の通信期間において前記監視制御装置に前記機器信号を送信する通信部を有することにより解決される。
【0008】
上記構成によれば、監視制御装置と電子機器とが、中継器を介して無線通信を行うため、監視ユニットと制御ユニットとが互いに離れた位置に設置される場合であっても、比較的小さい送信電力で無線通信を行うことができる。そして、第一の通信期間において、監視制御装置から電子機器に対して制御信号が送信され、第二の通信期間において電子機器から中継器に対して機器信号が送信され、第三の通信期間において中継器から監視制御装置に対して機器信号が送信されるように無線通信の通信タイミングが制御される。したがって、電波干渉の発生を抑制可能な無線通信システムを提供することができる。
また、電子機器は、送受信を行わない期間において低消費電力で動作する状態に制御される。これにより、無線通信システムの電力消費を抑制することができるとともに、太陽電池による駆動時間の長期化を図ることが可能となる。
【0009】
また、前記電子機器及び前記中継器は、前記第一の通信期間において受信した前記制御信号に基づいて、通信タイミングの同期制御を行う同期制御部を有すると好適である。
上記構成によれば、電子機器及び中継器は、監視制御装置が送信する制御信号によって通信タイミングを同期制御するため、専用の同期信号を受信する必要がない。したがって、電子機器が低消費電力状態となる期間を長期化することができ、無線通信システムの電力消費を抑制することが可能となる。
【0010】
また、前記同期制御部は、前記第一の通信期間が、前記監視制御装置、前記複数の電子機器、及び前記中継器の間で共通するタイミングとなるように同期制御するとともに、
前記第二の通信期間が、前記複数の電子機器の間で互いに異なるタイミングとなるように同期制御すると好適である。
上記構成によれば、第一の通信期間において監視制御装置が送信する制御信号を、中継器及び電子機器が受信することができるとともに、第二の通信期間において複数の電子機器が送信する機器信号による電波干渉の発生を防止することができる。
【0011】
また、前記中継器は、第一中継器と第二中継器を含む複数の中継器からなり、前記第一中継器の前記通信部は、前記第一の通信期間において前記監視制御装置から前記制御信号を受信して前記第一中継器以外の前記中継器に対して送信するとともに、前記第三の通信期間において前記第一中継器以外の前記中継器から前記機器信号を受信して前記監視制御装置に送信し、前記第二中継器の前記通信部は、前記第一の通信期間において前記第二中継器以外の前記中継器から前記制御信号を受信して前記電子機器に対して送信するとともに、前記第三の通信期間において前記電子機器から前記機器信号を受信して前記第二中継器以外の前記中継器に対して送信すると好適である。
上記構成によれば、監視制御装置から電子機器との間の無線通信を、複数の中継器を介して中継することができるため、監視制御装置と電子機器が施設内の離れた場所に設置される場合であっても無線通信を実現するが可能となる。
【0012】
また、前記無線通信システムは、電力使用に関するデマンド制御を行うデマンド制御システムにおいて用いられ、前記監視制御装置は、電力使用量を監視してデマンド制御信号を前記制御信号として出力するデマンド制御装置であって、前記電子機器は、前記中継器を介して前記デマンド制御信号を受信するとともに、前記デマンド制御信号に基づいて電力を消費する負荷装置を駆動制御すると好適である。
上記構成によれば、監視制御装置が送信するデマンド制御信号を受信した電子機器が、負荷装置を駆動制御することによって、省エネルギー化の促進及び電力料金の低減を図ることが可能となる。
【0013】
また、前記デマンド制御システムは、環境信号を検出可能な環境センサを有し、前記環境センサは、前記第一の通信期間において前記中継器を介して前記制御信号を受信するとともに、前記第二の通信期間において、前記中継器に対して前記環境信号を送信する通信部と、前記第一の通信期間において受信した前記制御信号に基づいて、通信タイミングの同期制御を行う同期制御部を有し、前記デマンド制御装置は、前記中継器を介して前記環境信号を受信し、前記環境信号に基づいて前記デマンド制御信号を出力すると好適である。
上記構成によれば、監視制御装置は、中継器を介して環境センサと無線通信を行い、環境センサが出力する環境信号を取得する。これにより、ビル又は工場内の環境に応じて効果的にデマンド制御することができるため、効果的に省エネルギー化の促進及び電力料金の低減を図ることが可能となる。
【0014】
また、前記状態制御部は、前記低消費電力状態において前記電源部から前記通信部に対して供給される電力を制限すると好適である。
上記構成によれば、電子機器を構成する電子部品の中で、特に電力消費が大きい電子部品を有する通信部に対する電力供給を制限することにより、電子機器の消費電力を効果的に低減することができる。このため、外部電源を供給することなく電子機器に内蔵された二次電池による駆動時間の長期化を図ることが可能となる。
【0015】
また、前記課題は、本発明の無線通信方法によれば、太陽電池と、該太陽電池の出力電力を蓄電可能な二次電池と、を有する電源部を備えた複数の電子機器と、前記複数の電子機器に対して制御信号を送信するとともに、前記複数の電子機器が送信する機器信号を取得する監視制御装置と、前記電子機器と前記監視制御装置との間の前記制御信号及び前記機器信号を含む通信信号を中継する中継器と、を有する無線通信システムによる無線通信方法であって、前記監視制御装置が、第一の通信期間において前記中継器及び前記複数の電子機器に対して前記制御信号を送信し、前記電子機器が、前記第一の通信期間において前記中継器を介して前記制御信号を受信し、第二の通信期間において、前記中継器に対して前記機器信号を送信し、前記第一の通信期間及び第二の通信期間においてそれぞれ第一の消費電力及び第二の消費電力で動作する通常状態と、前記第一の通信期間及び前記第二の通信期間と異なる第三の通信期間において前記第一の消費電力及び前記第二の消費電力より低い第三の消費電力で動作する低消費電力状態との間で状態制御し、前記中継器が、前記第一の通信期間において前記監視制御装置から前記制御信号を受信して前記電子機器に対して送信し、前記第二の通信期間において前記複数の電子機器から前記機器信号を受信し、前記第三の通信期間において前記監視制御装置に前記機器信号を送信することにより解決される。
【0016】
上記構成によれば、監視制御装置と電子機器とが、中継器を介して無線通信を行うため、監視ユニットと制御ユニットとが互いに離れた位置に設置される場合であっても、比較的小さい送信電力で無線通信を行うことができる。そして、第一の通信期間において、監視制御装置から電子機器に対して制御信号が送信され、第二の通信期間において電子機器から中継器に対して機器信号が送信され、第三の通信期間において中継器から監視制御装置に対して機器信号が送信されるように無線通信の通信タイミングが制御される。したがって、電波干渉の発生を抑制可能な無線通信システムを提供することができる。
また、電子機器は、送受信を行わない期間において低消費電力で動作する状態に制御される。これにより、無線通信システムの電力消費を抑制することができるとともに、太陽電池による駆動時間の長期化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る無線通信システム及び無線通信方法によれば、無線通信システムをビルや工場等の大規模な施設に対して容易に導入することができるとともに、無線通信信号の電波干渉の発生の防止を図ることができる。また、無線通信システムの消費電力を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】デマンド制御システムの全体構成を示す図である。
【
図2】デマンド制御装置の機能構成を示す図である。
【
図6】デマンド制御システムの通信タイミングを示す図である。
【
図7】駆動装置の状態制御タイミングを示す図である。
【
図8A】デマンド制御システムのネットワーク構成の第一変形例を示す図である。
【
図8B】デマンド制御システムのネットワーク構成の第二変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1乃至
図9を参照しながら、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係るデマンド制御システム1について説明する。本実施形態に係るデマンド制御システム1は、ビル又は工場等の設備に設置されて、消費電力のピーク時の需要電力(最大デマンド)を抑制することによって省エネルギー化の促進と電気料金の削減を図るために用いられる。
【0020】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。つまり、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0021】
<<デマンド制御システム1の全体構成>>
図1は、デマンド制御システム1の全体構成を示す図である。デマンド制御システム1は、デマンド制御装置10と、駆動装置20と、中継器40と、から構成されている。
デマンド制御装置10は、設備における消費電力を監視し、最大デマンドを抑制するためのデマンド制御信号を出力する。消費電力の監視は、受電設備(不図示)が計測する施設全体の電力使用量を監視することによって行う。デマンド制御装置10は、監視制御装置に相当し、デマンド制御システム1は、無線通信システムに相当する。
【0022】
駆動装置20は、例えば空調装置の室外機Lなど、電力を消費する負荷装置に取り付けられて、デマンド制御装置10が出力するデマンド制御信号に基づいて室外機Lの運転を駆動制御する。すなわち、駆動装置20は、最大デマンドを抑制するために、室外機Lに内蔵された圧縮機の運転を停止するか、又は運転周波数を低下するように駆動制御することができる。これにより、省エネルギー化の促進と、電気料金の削減を図ることが可能となる。なお、負荷装置は、室外機Lに限定されない。負荷装置は、施設内で電力を消費する装置であればよく、例えば照明装置であってもよい。
駆動装置20は、
図4を参照して後述する太陽電池パネル26と、太陽電池パネル26が出力する電力を蓄積可能な二次電池28と、一次電池29とを有しており、外部電源の供給を受ける必要がない。これにより、施設内に分散して設置されている室外機Lに対して、電源工事を行うことなく駆動装置20を設置することができるため、駆動装置20の導入が容易となる。
駆動装置20は、無線通信によって、機器信号(二次電池28及び一次電池29の出力電圧)をデマンド制御装置10に対して送信することができる。
【0023】
駆動装置20は、デマンド制御装置10との間で通信を行う必要がないときに、低消費電力モードに移行する。低消費電力モードとは、後述する駆動装置20の無線通信部23に対する電力の供給を停止することで、駆動装置20を低消費電力で駆動する状態である。駆動装置20は、デマンド制御装置10との間の通信タイミングが到来すると、低消費電力モードから通常モードに移行し、後述する電源部25から電力供給を受けてデマンド制御装置10との間で無線通信を行う。このように通常モードと低消費電力モードの間で状態遷移を行うことで、デマンド制御装置10との無線通信を実現しつつ、無線通信を行わないタイミングにおいて駆動装置20の消費電力を抑制することが可能となる。
【0024】
複数の駆動装置20は、互いに異なる通信タイミングで機器信号を送信する。詳細に説明すると、各々の駆動装置20は、デマンド制御装置10から駆動装置20に対して送信される同期信号に対して通信タイミングを同期制御する機能を有している。すなわち、各々の駆動装置20は、同期信号を受信したタイミングに対して所定のタイミングで機器信号を送信するように制御される。ここで所定のタイミングは、駆動装置20ごとに異なるタイミングとなるように予め設定されている。したがって、多数の駆動装置20が同一の施設内に設置されている場合であっても、電波干渉の発生を防止することができる。デマンド制御システム1の通信タイミングについては、
図6を参照して後述する。駆動装置20は、電子機器に相当する。
【0025】
中継器40は、デマンド制御装置10と駆動装置20の間の無線通信信号(上述したデマンド制御信号及び機器信号)を中継する。これにより、大規模な施設内に分散された室外機Lに設置される駆動装置20とデマンド制御装置10の間のケーブル配線工事を行う必要がないため、デマンド制御システム1の導入が容易となる。また、デマンド制御装置10と駆動装置20の間に中継器40を配設することによって、デマンド制御装置10と駆動装置20が離れた位置に設置される場合であっても、送信電力を比較的低い電力に抑制することができる。これにより、省エネルギー化を促進することが可能となる。
【0026】
図1において、中継器40は、デマンド制御装置10と直接、無線通信を行う第一中継器40Aと、第一中継器40Aを介してデマンド制御装置10と無線通信を行う第二中継器40Bが示されている。このように、中継器40は、デマンド制御装置10と駆動装置20の間の無線通信信号を中継するとともに、デマンド制御装置10と中継器40の無線通信信号を中継することも可能である。これにより、施設内の離れた位置に設置されたデマンド制御装置10と駆動装置20との間の無線通信を確実に中継することができる。
【0027】
本実施形態において、第一中継器40Aと無線通信を行う駆動装置20を第一駆動装置20Aと呼び、第二中継器40Bと無線通信を行う駆動装置20を第二駆動装置20Bと呼ぶ。
図1において、第一中継器40Aは3台の第一駆動装置20Aの無線通信信号を中継し、第二中継器40Bも3台の第二駆動装置20Bの無線通信信号を中継するように示されているが、第一駆動装置20A及び第二駆動装置20Bの台数は、3台に限定されない。1台の中継器40が、より多くの駆動装置20とデマンド制御装置10の間の通信信号を中継してもよい。
ここで、第一中継器40Aと第二中継器40Bとは、同一の構成を有しているため、本実施形態において、第一中継器40Aと第二中継器40Bとを特に区別する必要がない場合には、単に「中継器40」として説明する。同様に、第一駆動装置20Aと第二駆動装置20Bとは、同一の構成を有しているため、第一駆動装置20Aと第二駆動装置20Bとを特に区別する必要がない場合には、単に「駆動装置20」として説明する。
【0028】
<<デマンド制御装置10>>
図2は、デマンド制御装置10の機能構成を示す図である。
図2に示すように、デマンド制御装置10は、入力部11と、表示部12と、計時部13と、制御部14と、通信部15と、記憶部16と、を有する情報処理装置である。
入力部11は、キーボードやマウスからなる入力デバイスであり、デマンド制御装置10を管理する管理者等の入力を受け付ける。
表示部12は、LCD(液晶ディスプレイ)からなる表示デバイスであって、デマンド制御装置10の保守・管理を行う際に利用することができる。
【0029】
計時部13は、クロック発振器と、クロック発振器の出力を計数するカウンタを有する。クロック発振器は、例えば水晶発振器や、セラミック発振器を採用することができる。
計時部13は、カウンタの値を監視することにより、予め定められた一定の時間間隔(例えば、30秒)でタイミング信号を出力する。詳細に説明すると、計時部13は、カウンタ値を監視することによって30秒の経過を判定し、30秒が経過したと判定した場合に、タイミング信号を出力するとともに、カウンタをリセットする処理を繰り返す。これにより、デマンド制御装置10は、周期的(30秒間隔)に送信するデマンド制御信号の送信タイミングを取得することが可能となる。
【0030】
通信部15は、無線通信部15aを有している。
無線通信部15aは、LoRa規格に準拠した無線通信器によって無線通信を行うことができる通信器である。LoRa規格とは、低消費電力で中長距離通信が可能なLPWA(Low Power、Wide Area)通信である。無線通信部15aは、受電設備(不図示)と通信を行い、受電設備が計測する施設全体の電力使用量を取得する。また無線通信部15aは、後述するように、上述したデマンド制御信号の送信タイミングにおいて中継器40を介して駆動装置20に対してデマンド制御信号を送信する。そして無線通信部15aは、中継器40を介して駆動装置20から機器信号を受信する。
【0031】
記憶部16は、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等からなる不揮発性の補助記憶装置である。記憶部16には、制御部14が実行するプログラムや、目標デマンド値(最大デマンドの目標値)が記憶されている。
【0032】
制御部14は、CPU、不揮発性メモリ及び揮発性メモリ(不図示)からなり、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを揮発性メモリにロードして順次実行することにより、デマンド制御部14a及び警告出力部14bとして機能する。
デマンド制御部14aは、受電設備から電力使用量の計測値を取得し、30分単位の平均電力使用量を算出する。そしてデマンド制御部14aは、平均電力使用量と目標デマンド値を比較し、比較結果に基づいてデマンド制御信号を生成する。具体的には、30分単位の平均電力使用量が目標デマンド値を上回る可能性が有る場合には、空調機の消費電力の抑制を指示するデマンド制御信号を生成する。生成されたデマンド制御信号は、計時部13がタイミング信号を出力するタイミングで駆動装置20に対して中継器40を介して送信される。後述するように、デマンド制御信号を受信した駆動装置20は、室外機Lに内蔵された圧縮機の運転を停止又は運転周波数を抑制するように駆動制御する。
【0033】
警告出力部14bは、駆動装置20から機器信号を受信し、駆動装置20を駆動する電力が不足する虞れがある場合に警告信号を出力する。上述したように、機器信号は、駆動装置20が備える二次電池28の出力電圧及び一次電池29の出力電圧を含んでいる。警告出力部14bは、二次電池28の出力電圧に基づいて二次電池28に蓄積された電力レベルを推定し、一次電池29の出力電圧に基づいて一次電池29の寿命を推定することができる。そして警告出力部14bは、二次電池28の推定電力レベルと、一次電池29の推定寿命に基づいて、警告信号を出力する。警告信号は、デマンド制御装置10の表示部12に出力してもよいし、通信部15を介して外部の情報通信機器に対して出力してもよい。
【0034】
<<駆動装置20>>
次に、室外機Lに取り付けられて室外機Lの運転を駆動制御する駆動装置20について説明する。
図3A及び
図3Bは、駆動装置20の外観を示している。
図3Aは、室外機Lの側面に取り付けられた駆動装置20の正面図であり、
図3Bは、側方から見た側面図である。駆動装置20は、四角錐台形状を形成する筐体20aを有し、筐体20aの内部には、後述する制御部30及び電源部25等が収容されている。筐体20aの下方端部から、室外機Lと接続するケーブル32が延びている。
【0035】
駆動装置20は、筐体20aの正面20bに太陽電池パネル26が配設されている。そして、筐体20aの背面20cには板状の磁石31が設けられていて、磁石31を用いることにより駆動装置20を室外機Lの筐体に着脱可能に取り付けることができる。磁石31として、ネオジム磁石等の強力磁石が用いられてもよい。駆動装置20の取り付けに磁石31を用いることで、ねじ止めの場合と比べて、駆動装置20を室外機Lに対して容易に取り付けることができる。また、駆動装置20を室外機Lの筐体から容易に取り外すことができるため、駆動装置20のメンテナンス作業を係る作業員の負担を軽減することができる。
【0036】
図4は、駆動装置20の機能構成を示している。
駆動装置20は、
図4に示すように、入力部21と、計時部22と、無線通信部23と、リレー部24と、電源部25と、制御部30と、を有する電子機器である。
【0037】
入力部21は、駆動装置20の通信タイミングを設定するためのディップスイッチである。後述するように、駆動装置20は、ディップスイッチの設定に対応する通信タイミングにおいて、機器信号を送信する。
【0038】
計時部22は、クロック発振器と、クロック発振器の出力を計数するカウンタを有する。クロック発振器は、例えば水晶発振器や、セラミック発振器を採用することができる。
計時部22は、カウンタの値を監視して、入力部21によって設定された通信タイミングが到来したときにタイミング信号を出力する。具体的には、計時部22は、デマンド制御装置10からデマンド制御信号を受信するタイミングを示す受信タイミング信号と、デマンド制御装置10に対して機器信号を送信するタイミングを示す送信タイミング信号を出力する。通信タイミングの詳細については、
図6を参照して後述する。
【0039】
無線通信部23は、LoRa規格に準拠した無線通信器によって中継器40との間で無線通信を行う通信器である。無線通信部23は、複数の通信周波数の中から一の通信周波数を選択して無線通信を行うことができる。
後述するように、無線通信部23は、入力部21を介して予め設定された所定の周波数及び所定のタイミングで機器信号を送信することにより、デマンド制御装置10との間の無線通信を、電波干渉を生じさせることなく実現することができる。
【0040】
リレー部24は、4つの接点回路を有している。リレー部24は、デマンド制御装置10が送信するデマンド制御信号に基づいて接点回路をリレー制御することで、室外機Lに内蔵された圧縮機の運転を停止するように駆動制御する。なお、接点回路の接点数は4つに限定されるものではなく、必要に応じて増減される。
【0041】
電源部25は、駆動装置20を構成する電気部品に対して電力を供給する。電源部25は、
図4に示すように、太陽電池パネル26と、充電回路27と、二次電池28と、一次電池29と、を有している。
太陽電池パネル26は、太陽光で発電する太陽電池セルを平面上に配列し、複数の太陽電池セルを直列に接続したパネルである。
充電回路27は、太陽電池パネル26の出力電力の一部を二次電池28に充電する装置である。
【0042】
二次電池28は、充電及び放電を繰り返すことによって繰り返し電気エネルギーを蓄えることができるリチウムイオン電池である。ただし、太陽電池パネル26が生成する電気エネルギーを蓄えることができればよく、リチウムイオンポリマー電池や、ニッケル水素電池であってもよい。
一次電池29は、直流電力の放電ができる化学電池であり、交換が可能なリチウム電池である。一次電池29は、マンガン乾電池、アルカリマンガン乾電池等の乾電池であってもよい。
【0043】
二次電池28が出力可能な電力が不足する場合であっても、一次電池29から電力を供給することにより、駆動装置20の稼働時間を長期化させることができる。例えば、日中の照度が不足している場合や曇りや雨の日が続いた場合、太陽電池パネル26が十分な電力を生成することができず、二次電池28から電力を供給できなくなる可能性がある。このような場合に備えて、電源部25は、一次電池29をバックアップ電源として有している。つまり電源部25は、二次電池28に蓄積された電力が不足する場合、一次電池29から電力を供給する。
【0044】
電源部25が太陽電池パネル26、二次電池28及び一次電池29を有しているため、駆動装置20に対して外部電源を供給する必要がない。したがって、電源供給のための電気配線工事などが不要となり、室外機Lに取り付けるだけで駆動装置20を稼働させることができる。
【0045】
制御部30は、プロセッサ、不揮発性メモリ及び揮発性メモリ(不図示)からなり、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを揮発性メモリにロードして順次実行することにより、同期制御部30a及び状態制御部30bとして機能する。
同期制御部30aは、駆動装置20の通信タイミングを制御する。詳細に説明すると、デマンド制御装置10が送信するデマンド制御信号を受信したタイミングで、計時部22が有するカウンタをリセットする処理を行う。上述したように、デマンド制御装置10は、一定の時間間隔(30秒間隔)でデマンド制御信号を送信する。したがって同期制御部30aは、30秒間隔で計時部22のカウンタをリセットする。これにより、デマンド制御装置10と駆動装置20との間で、通信タイミングの同期をとることが可能となる。
【0046】
状態制御部30bは、駆動装置20の動作モードが、通常モードと低消費電力モードとの間で遷移するようにモード制御を行う。通常モードとは、駆動装置20がデマンド制御装置10からデマンド制御信号を受信するタイミング、及び駆動装置20がデマンド制御装置10に対して機器信号を送信するタイミングにおいて、それぞれ第一の消費電力及び第二の消費電力で動作する動作モードである。一方、低消費電力モードとは、駆動装置20がデマンド制御装置10と無線通信を行わないタイミングにおいて、第一の消費電力及び第二の消費電力よりも低い第三の消費電力で動作する動作モードである。なお、第一の消費電力、第二の消費電力、及び第三の消費電力のそれぞれは、厳密に一定の消費電力である必要はなく、駆動装置20の動作状況に応じた所定の変動幅を有している。
状態制御部30bは、電源部25から無線通信部23に対する電力供給を遮断するとともに、制御部30を低消費電力で駆動することによって、駆動装置20を低消費電力モードに移行させる。なお、状態制御部30bは、無線通信部23に対する電力供給を完全に遮断するのではなく、無線通信部23に対する電力供給を部分的に制限することによって駆動装置20を低消費電力モードに移行させてもよい。通信タイミングと通常モード、消費電力モードとの関係については、
図7を参照して後述する。
ここで、通常モードは通常状態に相当し、低消費電力モードは低消費電力状態に相当する。
【0047】
<<中継器40>>
図5は、中継器40の機能構成を示している。
中継器40は、
図5に示すように、入力部41と、計時部42と、無線通信部43と、制御部44と、を有する通信装置である。
【0048】
入力部41は、中継器40の通信タイミングの設定を入力するためのシリアル通信コネクタである。後述するように、中継器40は、入力部41を介して予め設定された通信タイミングにおいて、駆動装置20が送信した機器信号を送信する。
【0049】
計時部42は、クロック発振器と、クロック発振器の出力を計数するカウンタを有する。クロック発振器は、例えば水晶発振器や、セラミック発振器を採用することができる。
計時部42は、カウンタの値を監視して、入力部41によって設定された通信タイミングが到来したときにタイミング信号を出力する。具体的には、計時部42は、デマンド制御装置10に対して合成機器信号を送信するタイミングを示す送信タイミング信号を出力する。通信タイミングの詳細については、
図6を参照して後述する。
【0050】
無線通信部43は、LoRa規格に準拠した無線通信器によってデマンド制御装置10及び駆動装置20と無線通信を行うことができる通信器である。無線通信部43は、複数の通信周波数の中から一の通信周波数を選択して無線通信を行うことができる。
後述するように、無線通信部43は、入力部41を介して予め設定された通信タイミングでデマンド制御装置10と駆動装置20の間の通信信号を中継する。これにより、デマンド制御装置10と駆動装置20との間の無線通信を、電波干渉を生じさせることなく実現することができる。
【0051】
制御部44は、プロセッサ、不揮発性メモリ及び揮発性メモリ(不図示)からなり、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを揮発性メモリにロードして順次実行することにより、同期制御部44a及び合成処理部44bとして機能する。
同期制御部44aは、中継器40の通信タイミングを制御する。より詳細には、同期制御部44aは、駆動装置20の同期制御部30aと同様にデマンド制御信号を受信したタイミングで計時部42が有するカウンタをリセットする。これにより、デマンド制御装置10と、駆動装置20と、中継器40との間で、通信タイミングの同期をとることが可能となる。
【0052】
合成処理部44bは、複数の駆動装置20が送信した機器信号を合成した合成機器信号をデマンド制御装置10に対して送信する。
図1に示すように、中継器40が3台の駆動装置20が出力する機器信号を中継する場合には、中継器40は、各々の駆動装置20から受信した3つの機器信号を合成し、1つの合成機器信号を生成してデマンド制御装置10に対して送信する。
【0053】
<<通信タイミング>>
図6は、デマンド制御システム1において送受信される通信信号の送受信タイミングを示している。
デマンド制御システム1において送受信される通信信号は、定期的な通信周期(例えば30秒)で繰り返し送受信される。そして各通信周期は、
図6に示すように、通信タイミングの同期をとる同期フェーズと、機器信号を収集する収集フェーズと、機器信号を中継する中継フェーズから構成されている。
【0054】
同期フェーズは、デマンド制御装置10から第一中継器40A、第一駆動装置20A、第二中継器40B、及び第二駆動装置20Bに対して、通信タイミングの同期をとるための同期信号を送信するフェーズである。
図6において、同期信号の送信をタイミングをTx1で、同期信号の受信タイミングをRx1で示している。同期フェーズでは、最初にデマンド制御装置10が同期信号を送信し(Tx1)、第一中継器40Aがこれを受信する(Rx1)。次に第一中継器40Aは、受信した同期信号を送信し(Tx1)、第一駆動装置20A及び第二中継器40Bがこれを受信する(Rx1)。最後に、第二中継器40Bは、受信した同期信号を送信し(Tx1)、第二駆動装置20Bがこれを受信する(Rx1)。
【0055】
上述したように、第一中継器40A及び第二中継器40Bは、同期信号を受信したタイミングで計時部42のカウンタをリセットする。同様に、第一駆動装置20A及び第二駆動装置20Bも、同期信号を受信したタイミングで計時部22のカウンタをリセットする。これにより、同期フェーズに続く収集フェーズ及び中継フェーズにおける通信タイミングが同期制御される。
【0056】
同期フェーズにおいて送受信される同期信号は、上述したデマンド制御信号である。したがって第一駆動装置20A及び第二駆動装置20Bは、同期信号として機能するデマンド制御信号に基づいて、室外機Lに内蔵された圧縮機の運転を駆動制御することができ、通信タイミングを同期制御するために専用の無線通信信号を送信する必要がない。
デマンド制御信号を30秒間隔で送信することによって、時間とともに変化する電力使用量に対して適切なタイミングでデマンド制御を行うとともに、必要以上に頻繁にデマンド制御信号を送信することによる無用な電力消費を抑制することができる。
【0057】
次に、収集フェーズとは、施設内に設置された複数の駆動装置20から中継器40に対して機器信号を送信することにより、各々の駆動装置20が取得した機器信号を収集するフェーズである。
図6において、機器信号の送信タイミングをTx2で、機器信号の受信タイミングをRx2で示している。収集フェーズでは、複数の第一駆動装置20Aが、予め設定された互いに異なるタイミングで機器信号を送信し(Tx2)、第一中継器40Aがこれを受信する(Rx2)。同様に、複数の第二駆動装置20Bが、予め設定された互いに異なるタイミングで機器信号を送信し(Tx2)、第二中継器40Bがこれを受信する(Rx2)。
【0058】
各々の第一駆動装置20Aが互いに異なるタイミングで第一中継器40Aに対して機器信号を送信し、各々の第二駆動装置20Bが互いに異なるタイミングで第二中継器40Bに対して機器信号を送信することにより、電波干渉を防止することができる。
また、第一駆動装置20Aと第二駆動装置20Bとは、異なる送信周波数で機器信号を送信する。したがって、第一駆動装置20Aが送信する機器信号と第二駆動装置20Bが送信する機器信号とが電波干渉することを防止することができる。
【0059】
最後に中継フェーズとは、中継器40が駆動装置20から受信した機器信号をデマンド制御装置10に対して送信することによって、機器信号を中継するフェーズである。第一中継器40Aは、複数の第一駆動装置20Aから受信した機器信号を合成した合成機器信号を生成してデマンド制御装置10に対して送信する。第二中継器40Bも、複数の第二駆動装置20Bから受信した機器信号を合成した合成機器信号を生成してデマンド制御装置10に対して送信する。
図6において、合成機器信号の送信タイミングをTx3で、合成機器信号の受信タイミングをRx3で示している。中継フェーズでは、最初に第一中継器40Aが合成機器信号を送信し(Tx3)、デマンド制御装置10がこれを受信する(Rx3)。次に第二中継器40Bが合成機器信号を送信し(Tx3)、第一中継器40Aがこれを受信する(Rx3)。そして第一中継器40Aは、受信した合成機器信号を中継して送信し(Tx3)、デマンド制御装置10がこれを受信する(Rx3)。
【0060】
第一中継器40A及び第二中継器40Bは、上述した収集フェーズにおいて受信した機器信号を合成した合成機器信号を、予め設定された互いに異なるタイミングでデマンド制御装置10に対して送信する。これにより、第一中継器40A及び第二中継器40Bからデマンド制御装置10に対する通信量を減らすことができるとともに、複数の無線電波が互いに干渉することを防止することができる。
なお、合成機器信号を生成することによって電波干渉を防止することができればよく、任意の数の機器信号を合成して合成機器信号を生成することができる。
上述した同期フェーズ、収集フェーズ、及び中継フェーズを30秒間隔で繰り返すことによって、デマンド制御システム1の無線通信が行われれる。
【0061】
<<駆動装置20の状態制御>>
次に、駆動装置20の消費電力を抑制するために状態制御部30bが行う状態制御処理について説明する。
図7は、駆動装置20の状態制御のタイミングを示している。上述したように、駆動装置20は、同期フェーズにおいて同期信号を受信する(Rx1)とともに、収集フェーズにおいて、機器信号を送信する(Tx2)。そして駆動装置20の状態制御部30bは、同期信号を受信する同期信号受信期間P1及び機器信号を送信する機器信号送信期間P2において、駆動装置20を通常モードに移行制御する。一方、状態制御部30bは、同期信号受信期間P1及び機器信号送信期間P2と異なる期間において、駆動装置20を、低消費電力で動作する低消費電力モードに移行制御する。上述したように、低消費電力モードにおいて、電源部25から無線通信部23に対する電力供給は、遮断される。一方、同期信号受信期間P1及び機器信号送信期間P2において電源部25から無線通信部23に対する電力供給は遮断されない。これにより、駆動装置20とデマンド制御装置10との無線通信に影響を及ぼすことなく駆動装置20で消費される電力を抑制することができる。
同期信号受信期間P1は第一の通信期間に、機器信号送信期間P2は第二の通信期間に相当する。また、同期信号受信期間P1及び機器信号送信期間P2と異なる中継フェーズ中の期間は、第三の通信期間に相当する。
【0062】
デマンド制御システム1が、上述したような通信タイミングで通信を行うとともに、駆動装置20の状態制御を行うことにより、電波干渉の発生を抑制することができるとともに、消費電力を削減することが可能となる。
また、デマンド制御システム1は、中継器40を介して互いに無線通信を行うため、既存の大規模施設に対して比較的容易に導入することが可能であって、省エネルギー性の向上と、電力料金の削減を図ることが可能となる。
【0063】
<<第一変形例>>
上述した実施形態では、デマンド制御装置10と、第一中継器40Aと第二中継器40Bとが、互いに直列接続した通信ネットワーク構成(いわゆるデイジーチェーン型接続)を有していることとして説明した。これに対して、デマンド制御装置10と複数の中継器40とが、スター型接続をしていてもよく、又はデイジーチェーン型接続とスター型接続を組合わせたネットワーク構成を有していてもよい。
施設内のさまざまな位置に分散して配設される駆動装置20とデマンド制御装置10との間の無線通信回線が確立可能な任意の接続形態を有する通信ネットワーク構成を構築することができる。
【0064】
図8Aは、デマンド制御システム1が、デマンド制御装置10と、1台の第一中継器40Aと、2台の第二中継器40Bから構成され、第一中継器40Aは、デマンド制御装置10及び2台の第二中継器40Bとスター型接続される。
このような場合、中継フェーズにおいて、2台の第二中継器40Bが第一中継器40Aに対して互いに異なるタイミングで合成機器信号を送信することにより、電波干渉を防止することができる。
【0065】
図8Bは、デマンド制御システム1が、デマンド制御装置10と、2台の第一中継器40Aと、一台の第二中継器40Bから構成され、デマンド制御装置10は、2台の第一中継器40Aとスター型接続される。
このような場合、中継フェーズにおいて2台の第一中継器40Aがデマンド制御装置10に対して互いに異なるタイミングで合成機器信号を送信することにより、電波干渉を防止することができる。
【0066】
<<第二変形例>>
上述した実施形態では、デマンド制御システム1が、デマンド制御装置10と、駆動装置20と、中継器40から構成されていることとして説明した。これに対して、デマンド制御システム1は、さらに環境センサ50を有し、環境センサ50が検出する環境信号に基づいてデマンド制御装置10がデマンド制御信号を出力することとしてもよい。具体的には、例えば後述するCO2センサ51cが検出する二酸化炭素(CO2)の濃度が低い場合、CO2センサ51cの近傍に多数の人間が存在する可能性は低いと推定し、空調機(室外機L)の運転を停止するように制御することができる。このように、ビル又は工場等の施設内の環境に応じたデマンド制御を行うことでき、効果的に省エネルギー化の促進及び電力料金の低減を図ることが可能となる。
【0067】
図9は、環境センサ50の機能構成を示す図である。
図9に示すように、環境センサ50は、検出部51と、入力部52と、計時部53と、制御部54と、無線通信部55と、記憶部56と、を有し、環境情報を取得する検出器である。
【0068】
検出部51は、温度センサ51a、湿度センサ51b、及びCO2センサ51cを有し、環境センサ50が設置された位置の温度、湿度及び二酸化炭素(CO2)濃度を検出することができる。温度センサ51a、湿度センサ51b、及びCO2センサ51cによって検出された温度、湿度及び二酸化炭素濃度は、AD変換器(不図示)によってデジタル信号に変換されて、記憶部56に格納される。
検出部51は、さらに照度センサ(不図示)を有し、照度を検出して出力することとしてもよい。
【0069】
入力部52は、環境センサ50の通信タイミングの設定を入力するためのシリアル通信コネクタである。環境センサ50は、入力部52を介して予め設定された通信タイミングにおいてデマンド制御装置10及び中継器40と無線通信を行う。
また環境センサ50は、入力部52を介して環境センサ50が必要とする電力の供給を受けることができる。
【0070】
計時部53は、クロック発振器と、クロック発振器の出力を計数するカウンタを有する。クロック発振器は、例えば水晶発振器や、セラミック発振器を採用することができる。
計時部53は、カウンタの値を監視して、入力部52を介して設定された通信タイミングが到来したときにタイミング信号を出力する。具体的には、計時部53は、デマンド制御装置10からデマンド制御信号を受信するタイミングを示す受信タイミング信号と、デマンド制御装置10に対して機器信号を送信するタイミングを示す送信タイミング信号を出力する。通信タイミングについては、
図6を参照して説明したため、詳細な説明は省略する。
【0071】
無線通信部55は、LoRa規格に準拠した無線通信器によって中継器40との間で無線通信を行う通信器である。無線通信部55は、複数の通信周波数の中から一の通信周波数を選択して無線通信を行うことができる。
無線通信部55は、入力部52を介して予め設定された所定の周波数及び所定のタイミングで、機器信号を送信することにより、デマンド制御装置10との間の無線通信を、電波干渉を生じさせることなく実現することができる。環境センサ50は、検出部51が取得した温度、湿度、及び二酸化炭素濃度を機器信号として送信する。
【0072】
記憶部56は、不揮発性メモリであって、例えばフラッシュメモリである。記憶部56には、検出部51が取得した温度、湿度、及び二酸化炭素濃度を記憶することができる。
【0073】
制御部54は、CPU、不揮発性メモリ及び揮発性メモリ(不図示)からなり、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを揮発性メモリにロードして順次実行することにより、同期制御部54aとして機能する。
同期制御部54aは、環境センサ50の通信タイミングを制御する。詳細に説明すると、デマンド制御装置10が送信するデマンド制御信号を受信したタイミングで、計時部53が有するカウンタをリセットする処理を行う。通信タイミングと同期制御については、上述した実施形態で説明したため、詳細な説明を省略する。
【0074】
環境センサ50は、
図6を参照して説明したデマンド制御システム1の通信タイミングにおいて、駆動装置20と同様に、同期フェーズにおいてデマンド制御装置10から同期信号を受信して同期制御を行う。そして環境センサ50は、収集フェーズにおける予め設定された通信タイミングにおいて、機器信号を中継器40に対して送信する。中継器40は、中継フェーズにおいて機器信号をデマンド制御装置10に対して送信することによって環境センサ50が送信した機器信号をデマンド制御装置10に中継する。これにより、デマンド制御装置10は、環境センサ50が検出した温度、湿度又は二酸化炭素濃度に応じたデマンド制御信号を出力することができる。
なお、デマンド制御システム1は、環境センサ50の他に、例えば人間の存在を検知する人感センサ(赤外線センサ)や電力の使用を検知可能な電流センサをさらに有し、人感センサ及び電流センサの検出結果に応じてデマンド制御信号を出力することとしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 デマンド制御システム(無線通信システム)
10 デマンド制御装置(監視制御装置)
11 入力部
12 表示部
13 計時部
14 制御部
14a デマンド制御部
14b 警告出力部
15 通信部
15a 無線通信部
16 記憶部
20 駆動装置(電子機器)
20a 筐体
20b 正面
20c 背面
21 入力部
22 計時部
23 無線通信部
24 リレー部
25 電源部
26 太陽電池パネル
27 充電回路
28 二次電池
29 一次電池
30 制御部
30a 同期制御部
30b 状態制御部
31 磁石
32 ケーブル
40 中継器
40A 第一中継器
40B 第二中継器
41 入力部
42 計時部
43 無線通信部
44 制御部
44a 同期制御部
44b 合成処理部
50 環境センサ
51 検出部
51a 温度センサ
51b 湿度センサ
51c CO2センサ
52 入力部
53 計時部
54 制御部
54a 同期制御部
55 無線通信部
56 記憶部
L 室外機(負荷装置)