(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046008
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】フィルム貼合カット装置、フィルム剥離装置、及びラミネートシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20230327BHJP
B65H 41/00 20060101ALI20230327BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
B29C63/02
B65H41/00 B
B65H37/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154671
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】高山 蹊男
(72)【発明者】
【氏名】森宗 歩
【テーマコード(参考)】
3F108
4F211
【Fターム(参考)】
3F108GA09
3F108GB01
3F108GB06
3F108HA02
3F108HA12
3F108JA02
4F211AC03
4F211AD08
4F211AG03
4F211SA07
4F211SC05
4F211SD01
4F211SJ13
4F211SJ15
4F211SP05
4F211SP36
4F211SP41
4F211SW23
(57)【要約】
【課題】ラミネート形成物の良品率を簡易的に且つ経済的に向上できるフィルム貼合カット装置の提供。
【解決手段】一実施の形態に係るフィルム貼合カット装置1は、フィルム供給ロールから繰り出されるフィルムFをワークWに貼り合わせる貼合部材及びワークWと重ならない位置でフィルムFをカットするカッターとを有する貼合ユニット10Uと、ワークW及びワークW上のフィルムFに対して貼合ユニット10Uが位置する側と同じ側に配置される第1貼合側冷却部21と、ワークW及びワークW上のフィルムFに対して貼合ユニット10Uが位置する側とは反対の側に配置される第2貼合側冷却部22と、第1貼合側冷却部21が供給する空気及び第2貼合側冷却部22が供給する空気を分岐された空気流路24A,24Bから第1貼合側冷却部21と第2貼合側冷却部22とに送る冷却媒体供給部23と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを巻き回したフィルム供給ロール、前記フィルム供給ロールから繰り出される前記フィルムをワークに貼り合わせる貼合部材、及び前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするカッターとを有する貼合ユニットと、
前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムが重なる方向で、前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムに対して前記貼合ユニットが位置する側と同じ側に配置され、前記貼合ユニット及び/又はその周囲に冷却用の空気を供給する第1貼合側冷却部と、
前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムに対して前記貼合ユニットが位置する側とは反対の側に配置され、前記反対の側の領域に冷却用の空気を供給する第2貼合側冷却部と、
前記第1貼合側冷却部が供給する空気及び前記第2貼合側冷却部が供給する空気を分岐された空気流路から前記第1貼合側冷却部と前記第2貼合側冷却部とに送るか、又は、前記第1貼合側冷却部が供給する空気及び前記第2貼合側冷却部が供給する空気を冷却する冷媒を分岐された冷媒流路から前記第1貼合側冷却部と前記第2貼合側冷却部とに送る冷却媒体供給部と、を備える、フィルム貼合カット装置。
【請求項2】
前記冷却媒体供給部は、上方に開口する空気供給口を有し、前記空気供給口から前記空気流路に空気を送り、
前記空気流路は、前記空気供給口から上方に延びた後に側方に延びる共通流路部と、前記共通流路部から分岐する第1流路部及び第2流路部とを有し、
前記第1流路部は、前記共通流路部から直線状に延びた後に下方に延びて前記第1貼合側冷却部に接続され、前記第2流路部は、前記共通流路部から下方に延びた後に側方に延びて前記第2貼合側冷却部に接続される、請求項1に記載のフィルム貼合カット装置。
【請求項3】
前記冷却媒体供給部は送風機を有し、前記送風機の吐出口が前記空気供給口を形成する、請求項2に記載のフィルム貼合カット装置。
【請求項4】
前記第1貼合側冷却部及び前記第2貼合側冷却部はそれぞれ、送風機を有し、
各前記送風機の回転により、前記冷却媒体供給部からの空気が前記第1貼合側冷却部及び第2貼合側冷却部に導入される、請求項1又は2に記載のフィルム貼合カット装置。
【請求項5】
前記冷却媒体供給部は、空気供給口を有するとともに熱交換器を収容する熱交換器ユニットと、前記熱交換器に供給する冷媒を凝縮させる凝縮器及び前記熱交換器から流出する冷媒を圧縮する圧縮機を有する冷凍回路ユニットと、を有し、
前記熱交換器ユニットは、前記貼合ユニットを収容する筐体に収容されるか又は筐体に隣り合うように配置されている、請求項4に記載のフィルム貼合カット装置。
【請求項6】
前記第1貼合側冷却部及び前記第2貼合側冷却部はそれぞれ、前記冷媒流路からの冷媒を受け入れる熱交換器を有し、前記熱交換器によって冷却した空気を供給する、請求項1に記載のフィルム貼合カット装置。
【請求項7】
前記第1貼合側冷却部及び前記第2貼合側冷却部はそれぞれ、送風機を有し、
各前記送風機の回転により、前記熱交換器に空気が引き込まれて冷却される、請求項6に記載のフィルム貼合カット装置。
【請求項8】
前記冷却媒体供給部は、前記熱交換器に供給する冷媒を凝縮させる凝縮器及び前記熱交換器から流出する冷媒を圧縮する圧縮機を有し、前記凝縮器及び前記圧縮機を前記貼合ユニットを収容する筐体の外部に配置し、
前記凝縮器及び前記圧縮機と、前記第1貼合側冷却部及び前記第2貼合側冷却部とは、前記冷媒流路によって接続される、請求項7に記載のフィルム貼合カット装置。
【請求項9】
前記第1貼合側冷却部は、移動する前記フィルム又は移動する前記ワークに追従するように空気を供給する向きを変更する、請求項1乃至8のいずれかに記載のフィルム貼合カット装置。
【請求項10】
前記第1貼合側冷却部は、停止中の前記フィルムに対して、空気を供給する向きを変更しながら空気を供給する、請求項1乃至8のいずれかに記載のフィルム貼合カット装置。
【請求項11】
支持層と接合層とを有するフィルムが接合されたワークであって、前記接合層がワークに直接的に接合された状態のワーク上の前記フィルムから前記支持層を剥離する剥離ユニットと、
前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムが重なる方向で、前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムに対して前記剥離ユニットが位置する側と同じ側に配置され、前記支持層の剥離の前に、前記ワーク上の前記フィルムに冷却用の空気を供給する第1ラミネート側冷却部と、
前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムに対して前記剥離ユニットが位置する側とは反対の側に配置され、前記反対の側の領域に冷却用の空気を供給する第2ラミネート側冷却部と、
前記第1ラミネート側冷却部が供給する空気及び前記第2ラミネート側冷却部が供給する空気を空気流路を分岐させて前記第1ラミネート側冷却部と前記第2ラミネート側冷却部とに送るか、又は、前記第1ラミネート側冷却部が供給する空気及び前記第2ラミネート側冷却部が供給する空気を冷却する冷媒を冷媒流路を分岐させて前記第1ラミネート側冷却部と前記第2ラミネート側冷却部とに送る冷却媒体供給部と、を備える、フィルム剥離装置。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれかに記載のフィルム貼合カット装置、及び/又は、請求項11に記載のフィルム剥離装置を備えるラミネートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、例えば配線基板にフィルムを貼合しカットするフィルム貼合カット装置に関する。また、本発明の実施の形態は、例えば配線基板に貼合されたフィルムの一部を剥離するフィルム剥離装置に関する。また、本発明の実施の形態は、ラミネートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
真空ラミネータを備えるラミネートシステムが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば真空ラミネータを備えるラミネートシステムでは、まず、配線基板等のワークに、ロールから繰り出されたフィルムが仮貼りされる。次いで、ロールとワークとの間に延びるフィルムがカットされ、仮貼りされたフィルムがロールから分離される。その後、フィルム付きのワークは、真空ラミネータが備える真空チャンバに搬送される。
【0004】
上記真空チャンバの内部は、ワーク搬送後に真空状態に制御され、その後、気圧差を形成してダイヤフラム等の加圧手段によりフィルムが加熱されながらワークに押し付けられる。その後、加圧手段がフィルムから引き離される。このようなラミネート処理では、フィルムとして、ワークに接合される接合層と、接合層を支持する支持層とを有するフィルムが用いられる場合がある。この場合、加圧手段がフィルムから引き離された後、通常、フィルムから支持層を剥離する工程が行われる。
【0005】
真空ラミネータは、ワークとフィルムとの間の空気を脱気し、ラミネートを行う。これにより、ワークとフィルムとの間の気泡の噛み込みを抑えることができる。気泡の噛み込みが抑えられる場合、気泡が後工程で悪影響を及ぼす事象を回避できる。また、ラミネート処理を経て形成されるラミネート形成物の仕上がりが良好となり、歩留まりを向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したラミネートシステムの処理では、フィルム又はワークの状態に応じて、フィルムが適正にカットされなかったり、二層構造のフィルムにおける一つの層が適正に剥離されなかったりする場合がある。
【0008】
例えば、フィルムがワークに仮貼りされた後にカットされる際においては、環境温度やワークの温度に応じて、カット前にフィルムの一部が溶融したり、全体が軟化したりする場合がある。この場合、フィルムのカット面が粗くなったり、フィルムに皺や伸びが生じたりすることがある。
【0009】
また、真空ラミネート後のフィルム及びワークは高温になり、二層構造のフィルムの層間の粘着性が低下する場合がある。この状態で剥離を行うと、剥離された層に、ワーク側の層の一部が付着して引き剥がされ、ワーク側の層の表面が粗くなる場合がある。ワークが配線基板であり、ラミネートされた層が絶縁層である場合に、絶縁層の表面が粗くなると、短絡が生じやすくなる虞がある。また、配線基板が多層基板に組み込まれる場合に、多層基板が不良になる虞がある。
【0010】
また、真空ラミネート後のフィルム及びワークは高温になり膨張している。この場合、フィルムの線膨張係数とワークの線膨張係数との違いにより、反りが生じることがある。このような反りが生じた場合には、歩留まりが低下する。
【0011】
本発明の課題は、ラミネート処理によってフィルムをラミネートされるラミネート形成物の良品率を簡易的に且つ経済的に向上できるフィルム貼合カット装置、フィルム剥離装置、及びラミネートシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施の形態に係るフィルム貼合カット装置は、
フィルムを巻き回したフィルム供給ロール、前記フィルム供給ロールから繰り出される前記フィルムをワークに貼り合わせる貼合部材、及び前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするカッターとを有する貼合ユニットと、
前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムが重なる方向で、前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムに対して前記貼合ユニットが位置する側と同じ側に配置され、前記貼合ユニット及び/又はその周囲に冷却用の空気を供給する第1貼合側冷却部と、
前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムに対して前記貼合ユニットが位置する側とは反対の側に配置され、前記反対の側の領域に冷却用の空気を供給する第2貼合側冷却部と、
前記第1貼合側冷却部が供給する空気及び前記第2貼合側冷却部が供給する空気を分岐された空気流路から前記第1貼合側冷却部と前記第2貼合側冷却部とに送るか、又は、前記第1貼合側冷却部が供給する空気及び前記第2貼合側冷却部が供給する空気を冷却する冷媒を分岐された冷媒流路から前記第1貼合側冷却部と前記第2貼合側冷却部とに送る冷却媒体供給部と、を備える。
【0013】
本発明の一実施の形態に係るフィルム剥離装置は、
支持層と接合層とを有するフィルムが接合されたワークであって、前記接合層がワークに直接的に接合された状態のワーク上の前記フィルムから前記支持層を剥離する剥離ユニットと、
前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムが重なる方向で、前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムに対して前記剥離ユニットが位置する側と同じ側に配置され、前記支持層の剥離の前に、前記ワーク上の前記フィルムに冷却用の空気を供給する第1ラミネート側冷却部と、
前記ワーク及び前記ワーク上の前記フィルムに対して前記剥離ユニットが位置する側とは反対の側に配置され、前記反対側の領域に冷却用の空気を供給する第2ラミネート側冷却部と、
前記第1ラミネート側冷却部が供給する空気及び前記第2ラミネート側冷却部が供給する空気を空気流路を分岐させて前記第1ラミネート側冷却部と前記第2ラミネート側冷却部とに送るか、又は、前記第1ラミネート側冷却部が供給する空気及び前記第2ラミネート側冷却部が供給する空気を冷却する冷媒を冷媒流路を分岐させて前記第1ラミネート側冷却部と前記第2ラミネート側冷却部とに送る冷却媒体供給部と、を備える。
【0014】
本発明の一実施の形態に係るラミネートシステムは、前記のフィルム貼合カット装置、及び/又は、前記のフィルム剥離装置を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ラミネート形成物の良品率を簡易的に且つ経済的に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施の形態に係る基板ラミネートシステムを概略的に示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置の概略的な拡大図である。
【
図3】第2の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置を概略的に示す図である。
【
図4】第3の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置を概略的に示す図である。
【
図5】第4の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置を概略的に示す図である。
【
図6】第5の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置の動作を説明する図である。
【
図7】第5の実施の形態に係る基板ラミネートシステムにおけるフィルムの移動パターンと、フィルム貼合カット装置においてフィルムを空気で冷却する際の送風パターンとの関係を示すグラフを示す図である。
【
図8】第6の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置を概略的に示す図である。
【
図9】第6の実施の形態に係るフィルム貼合カット装置においてワークを空気で冷却する際の送風パターンを説明する図である。
【
図10】第7の実施の形態に係る基板ラミネートシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付の図面を参照して、各実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係るラミネートシステムとしての基板ラミネートシステムS1を概略的に示している。
図1に示される基板ラミネートシステムS1は、フィルム貼合カット装置1と、搬送シート繰り出し装置3と、真空ラミネータ4と、平面プレス装置5と、下流側冷却装置6と、搬送シート巻取り装置7と、を備える。
【0019】
基板ラミネートシステムS1は、順次搬送されるワークWを連続的にラミネートするシステムである。ワークWは、フィルム貼合カット装置1、搬送シート繰り出し装置3、真空ラミネータ4、平面プレス装置5、下流側冷却装置6及び搬送シート巻取り装置7をこの順で通過する。
【0020】
ワークWは、フィルム貼合カット装置1から搬送シート繰り出し装置3の入口までは簡易的に示されたコンベアCで搬送される。その後、ワークWは、搬送シート繰り出し装置3から搬送シート巻取り装置7に延びる搬送シートTSにより搬送される。
【0021】
ワークWは、一例としてプリント基板であり、両面に接合層としての絶縁層がラミネートされる。プリント基板は、フレキシブルタイプでも、リジッドタイプでもよい。ワークWは特に限られるものではなく、半導体ウェハでもよい。ワークWが半導体ウェハである場合には、半導体ウェハにドライレジストフィルムがラミネートされてもよい。また、ワークWの片面のみにラミネートがなされてもよい。
【0022】
フィルム貼合カット装置1は、第1貼合ユニット10Uと、第2貼合ユニット10Dと、第1貼合ユニット10U及び第2貼合ユニット10Dを収容する筐体10Bと、冷却ユニット20と、を備える。筐体10Bには、フィルムFを巻き回した一対のフィルム供給ロール11と、各フィルム供給ロール11から繰り出されるフィルムFをワークWに押し付けて貼り合わせる一対の貼合部材12と、フィルムFをカットする一対のカッター13と、が収容されている。ここで、第1貼合ユニット10Uは、一対のフィルム供給ロール11、一対の貼合部材12及び一対のカッター13それぞれのうちの一方を有して構成される。第2貼合ユニット10Dは、一対のフィルム供給ロール11、一対の貼合部材12及び一対のカッター13それぞれのうちの他方を有して構成される。
【0023】
本実施の形態では、コンベアCがフィルム貼合カット装置1のうちの筐体10Bを通過するように配置されており、筐体10Bの壁部及びその内部には、コンベアCの一部を通す搬送路1Rが設けられている。
【0024】
一対のフィルム供給ロール11、一対の貼合部材12、及び一対のカッター13はそれぞれ、搬送路1Rに対して一方側(
図1では上側)と他方側(
図1では下側)とに振り分けて配置されている。すなわち、第1貼合ユニット10U及び第2貼合ユニット10Dは、搬送路1Rに対して一方側(
図1では上側)と他方側(
図1では下側)とに振り分けて配置されている。ワークWは搬送路1R上で搬送され、搬送路1R上でフィルムFを貼り合わされる。別の言い方で説明すると、ワークW及びワークW上のフィルムFが重なる方向で、ワークW及びワークW上のフィルムFに対して一方側(
図1では上側)に、第1貼合ユニット10Uが配置され、他方側(
図1では下側)に、第2貼合ユニット10Dが配置されている。
【0025】
詳しくは、一方側の貼合部材12は、搬送路1Rに近接して配置され、一方側のフィルム供給ロール11は、貼合部材12よりも搬送路1Rから離れた位置に配置される。そして、一方側のカッター13は、フィルムFにおける一方側のフィルム供給ロール11と一方側の貼合部材12との間に延びる部分に対して接近及び離間自在になるように配置されている。同様に、他方側の貼合部材12は、搬送路1Rに近接して配置され、他方側のフィルム供給ロール11は、他方側の貼合部材12よりも搬送路1Rから離れた位置に配置される。そして、他方側のカッター13は、フィルムFにおける他方側のフィルム供給ロール11と他方側の貼合部材12との間に延びる部分に対して接近及び離間自在になるように配置されている。
【0026】
フィルム貼合カット装置1は、ワークWを外部から搬送路1Rに受け入れる。その後、ワークWは、貼合部材12側に送り出され、貼合部材12によるフィルムFの貼り合せ及びカッター13によるフィルムFのカットが行われる。
【0027】
図1及び
図2を参照し、貼合部材12は、フィルム供給ロール11から繰り出されるフィルムFの先端部を保持し、ワークWの移動に伴い、保持したフィルムFの先端部をワークWの前端部に押し付け、その後、ワークWの移動により繰り出されるフィルムFをワークWの表面又は裏面に押し付けて、ワークWに貼り合わせる又は重ねる。
【0028】
そして、本実施の形態におけるカッター13は、貼合部材12によるフィルムFの貼り合わせの途中でフィルムFをワークWと重ならない位置で
図1の右方向(
図2の矢印A1の方向)にカットする。これにより、ワークWに貼り合わされたフィルムFがフィルム供給ロール11から分離する。カッター13によりカットされたワークW側のフィルムFの貼り合わせ前の部分は、その後、ワークWの移動に伴い、ワークWと貼合部材12との間に巻き込まれ、ワークWの後端部まで貼り合わされる。
【0029】
一方で、カッター13によりカットされたフィルム供給ロール11側のフィルムFの先端部は、例えばカットに連動して貼合部材12に保持される。これにより、次に搬送されるワークWに対しても、同様に、フィルムFを貼り合わせることが可能となる。なお、以上に説明した貼り合せ及びカットに関する動作は、搬送路1Rの一方側の貼合部材12及びカッター13と、搬送路Rの他方側の貼合部材12及びカッター13とで同時に行われる。また、カッター13は、スリットカッターや、ロールカッターを利用するものでもよい。
【0030】
また、本実施の形態では、ワークWに貼り合わされたフィルムFの位置が、ワークWとフィルムFとの間に部分的に設けられる溶融部により維持されてもよい。この場合、溶融部は、フィルムFの一部を溶融することで形成され、図示しない加熱及び加圧手段が設けられる。また、フィルムFの位置は、ワークWとフィルムFとの間に部分的に設けられる接着剤により維持されてもよい。
【0031】
また、本実施の形態で使用されるフィルムFは、支持層F1と接合層である絶縁層F2とを有する。そして、フィルムFは、絶縁層F2がワークWに直接的に接した状態でワークWに貼り合わされている。ただし、フィルムFは、単層のフィルムでもよい。詳細は後述するが、搬送シート巻取り装置7は、支持層F1の剥離装置としても機能する。剥離は、搬送シート巻取り装置7が巻き取る搬送シートTSに支持層F1を付着させることにより行われる。このような剥離を実現すべく、本実施の形態では、支持層F1に接着部が設けられる。そして、ワークWが搬送シート繰り出し装置3に搬送された際に、支持層F1に設けられた接着部が搬送シート繰り出し装置3が繰り出す搬送シートTSに付着される。
【0032】
冷却ユニット20は、第1貼合側冷却部21と、第2貼合側冷却部22と、冷却媒体供給部23と、を有する。第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22は、搬送路1Rに対して一方側(
図1では上側)と他方側(
図1では下側)とに振り分けて配置される。別の言い方で説明すると、ワークW及びワークW上のフィルムFが重なる方向で、ワークW及びワークW上のフィルムFに対して一方側(
図1では上側)に、第1貼合側冷却部21が配置され、他方側(
図1では下側)に、第2貼合側冷却部22が配置されている。
【0033】
つまり、第1貼合側冷却部21は、ワークW及びワークW上のフィルムFに対して第1貼合ユニット10Uが位置する側と同じ側に配置されている。第2貼合側冷却部22は、ワークW及びワークW上のフィルムFに対して第1貼合ユニット10Uが位置する側とは反対の側(第2貼合ユニット10D側)に配置されている。
【0034】
第1貼合側冷却部21は、筐体10B内において第1貼合ユニット10U及び/又はその周囲に冷却用の空気を供給し、第2貼合側冷却部22は、筐体10B内において第2貼合ユニット10D及び/又はその周囲に冷却用の空気を供給する。
【0035】
本実施の形態における第1貼合側冷却部21は、接続ボックス21Aと、パンチングプレート21Bとを有する。第1貼合側冷却部21は、冷却媒体供給部23から空気流路24を介して送られる冷却された空気を接続ボックス21Aで膨張させた後、パンチングプレート21Bを通して筐体10B内に供給する。同様に、本実施の形態における第2貼合側冷却部22は、接続ボックス22Aと、パンチングプレート22Bとを有する。
【0036】
パンチングプレート21B,22Bは、平板に複数の貫通孔が規則的に配列されて形成されてもよい。この場合、パンチングプレート21B,22Bの全域からワークW側に向かう空気の流量及び圧力が均一化され、ワークWが全体的に均一的に冷却され得る。パンチングプレート21B,22Bは、フィルム供給ロール11の軸方向での両端の間に配置されることが望ましい。また、フィルム供給ロール11の軸方向でのパンチングプレート21B,22Bの中点は、フィルム供給ロール11の軸方向における中点に一致することがより望ましい。
【0037】
本実施の形態における冷却媒体供給部23は、第1貼合側冷却部21が第1貼合ユニット10U及び/又はその周囲に供給する空気及び第2貼合側冷却部22が第2貼合ユニット10D及び/又はその周囲に供給する空気を分岐された空気流路24(後述の第1流路部24A、第2流路部24B)から第1貼合側冷却部21と第2貼合側冷却部22とに送る。
【0038】
冷却媒体供給部23は、上方に開口する空気供給口23Aを有し、空気供給口23Aから空気流路24に空気を送る。冷却媒体供給部23は、冷凍回路25と送風機26とを筐体に収容する。冷凍回路25は、圧縮機25A、凝縮器25B、膨張弁25C及び熱交換器25Dを有し、冷媒をこの順で循環させる。送風機26は、羽根車の回転により外部から取り込んだ空気を熱交換器25Dで冷却した後、吐出する。本実施の形態では、送風機26の吐出口が空気供給口23Aを形成している。送風機26は、空気流路24が比較的長くなり風量及び圧力の確保が必要となり得るため、ターボファン、斜流ファン、シロッコファンなどでもよい。ただし、送風機26の形式は特に限られない。
【0039】
空気流路24は、空気供給口23Aから上方に延びた後に側方に、本例では水平に延びる共通流路部24Uと、共通流路部24Uから分岐する第1流路部24A及び第2流路部24Bとを有する。そして、第1流路部24Aは、共通流路部24Uから直線状に延びた後に下方に延びて第1貼合側冷却部21の接続ボックス21Aに接続されている。第2流路部24Bは、共通流路部24Uから下方に延びた後に側方に、本例では水平に延びて第2貼合側冷却部22の接続ボックス22Aに接続されている。なお、第1流路部24Aは、第1貼合側冷却部21の接続ボックス21Aに直接的に接続されてもよいし、間接的に接続されてもよい。また、第2流路部24Bは第2貼合側冷却部22の接続ボックス22Aに直接的に接続されてもよいし、間接的に接続されてもよい。
【0040】
搬送シート繰り出し装置3は、それぞれ搬送シートTSを巻き回した一対の搬送シート供給ロール31を有する。搬送シート繰り出し装置3内には、コンベアCの下流側端部が位置する。一対の搬送シート供給ロール31の一方は、コンベアC及びワークWの一方側(
図1では上側)に配置され、一対の搬送シート供給ロール31の他方は、コンベアC及びワークWの他方側(
図1では下側)に配置されている。
【0041】
搬送シート繰り出し装置3から繰り出される搬送シートTSの先端は、搬送シート巻取り装置7に接続されている。搬送シート繰り出し装置3と搬送シート巻取り装置7との間に延びる搬送シートTSは、真空ラミネータ4、平面プレス装置5、及び下流側冷却装置6に通されている。
【0042】
搬送シート繰り出し装置3は、一対の搬送シート供給ロール31から繰り出す搬送シートTSの間に、フィルムFが付いたワークWを挟み込んで保持する。この際、本実施の形態では、フィルムFの支持層F1に設けられた上述の接着部が、搬送シートTSに付着される。搬送シートTSが搬送シート巻取り装置7に巻き取られた際には、一対の搬送シートTSの間に保持されたワークWが、搬送シート巻取り装置7側に移動する。これにより、フィルムF付きのワークWは、順次、真空ラミネータ4、平面プレス装置5、及び下流側冷却装置6を通過し、搬送シート巻取り装置7に至る。
【0043】
真空ラミネータ4は、第1チャンバ半体41と、第2チャンバ半体42とを有する。第1チャンバ半体41は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して一方側(
図1では上側)に配置され、第2チャンバ半体42は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して他方側(
図1では下側)に配置されている。
【0044】
真空ラミネータ4は、フィルムF付きのワークWが搬送された際、第1チャンバ半体41と第2チャンバ半体42とで、一対の搬送シートTSを介してフィルムF付きのワークWを挟み込む。第1チャンバ半体41と第2チャンバ半体42は互いに接することで真空チャンバ40を形成し、真空チャンバ40内にフィルムF付きのワークWを受け入れる。その後、真空ラミネータ4は、真空チャンバ40の空気抜きを行い、真空チャンバ40を真空状態にして、フィルムFを加熱しながらワークWに加圧して接合する。
【0045】
フィルムFに対する加熱は、本実施の形態では第1チャンバ半体41に設けられた第1ヒータ43及び第2チャンバ半体42に設けられた第2ヒータ44により行われる。また、ワークWへのフィルムFの加圧は、第1チャンバ半体41及び第2チャンバ半体42のそれぞれに設けられた図示しないダイヤフラムにより行われる。ダイヤフラムは、ワークW側とその反対側とに気圧差を形成することでワークWを加圧できる。ただし、ワークWへフィルムFを加圧する手段は特に限られるものではなく、プレス板をシリンダ等で駆動して機械的に圧力を付与してもよい。
【0046】
なお、本実施の形態ではワークWとフィルムFとの間の空気の巻き込みの抑制が求められるため、真空ラミネータ4が用いられる。ただし、空気の巻き込みの抑制が強く求められない場合には、真空ラミネータ4に代えて、一般的な加熱加圧式のラミネータが用いられてもよい。
【0047】
平面プレス装置5は、第1プレス板51と、第2プレス板52とを有する。第1プレス板51は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して一方側(
図1では上側)に配置され、第2プレス板52は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して他方側(
図1では下側)に配置されている。平面プレス装置5は、フィルムF付きのワークWが搬送された際、第1プレス板51と第2プレス板52とで、一対の搬送シートTSを介してフィルムF付きのワークWを挟み込み、加熱及び加圧を行う。第1プレス板51と第2プレス板52はそれぞれヒータを内蔵し、各ヒータによりフィルムF付きのワークWを加熱する。
【0048】
下流側冷却装置6は、平面プレス装置5から送り出されたフィルムF付きのワークWを冷却する。
【0049】
下流側冷却装置6は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して一方側に配置された第1ラミネート側冷却部6Uと、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して他方側に配置された第2ラミネート側冷却部6Dと、を有する。第1ラミネート側冷却部6U及び第2ラミネート側冷却部6Dはそれぞれ、ファンフィルタユニット62と、空気吐出部63と、を有する。
【0050】
本実施の形態では、第1ラミネート側冷却部6Uと第2ラミネート側冷却部6Dとが、共通の下流側冷却媒体供給部60から冷却用の空気を供給される。そして、第1ラミネート側冷却部6U及び第2ラミネート側冷却部6Dはそれぞれ、下流側の搬送シート巻取り装置7によって行われるフィルムFにおける支持層F1の剥離の前に、ワークW上のフィルムFに冷却用の空気を供給する。
【0051】
下流側冷却媒体供給部60の構造は、フィルム貼合カット装置1側の冷却媒体供給部23と基本的に同じである。すなわち、下流側冷却媒体供給部60は、第1ラミネート側冷却部6Uが使用する冷却用の空気及び第2ラミネート側冷却部6Dが使用する冷却用の空気を分岐された空気流路64(後述の第1流路部64A、第2流路部64B)から第1ラミネート側冷却部6Uと第2ラミネート側冷却部6Dとに送る。
【0052】
下流側冷却媒体供給部60は、上方に開口する空気供給口60Aを有し、空気供給口60Aから空気流路64に空気を送る。下流側冷却媒体供給部60は、冷凍回路65と送風機66とを筐体に収容する。冷凍回路65は、圧縮機65A、凝縮器65B、膨張弁65C及び熱交換器65Dを有し、冷媒をこの順で循環させる。送風機66は、羽根車の回転により外部から取り込んだ空気を熱交換器65Dで冷却した後、吐出する。本実施の形態では、送風機66の吐出口が空気供給口60Aを形成している。
【0053】
空気流路64は、空気供給口60Aから上方に延びた後に側方に、本例では水平に延びる共通流路部64Uと、共通流路部64Uから分岐する第1流路部64A及び第2流路部64Bとを有する。そして、第1流路部64Aは、共通流路部64Uから直線状に延びた後に下方に延びて第1ラミネート側冷却部6Uに接続されている。第2流路部64Bは、共通流路部64Uから下方に延びた後に側方に、本例では水平に延びて第2ラミネート側冷却部6Dに接続されている。これにより、第1ラミネート側冷却部6Uの空気吐出部63からワークWの表面上のフィルムFに空気が供給され、フィルムFが冷却される。第2ラミネート側冷却部6Dの空気吐出部63からワークWの裏面上のフィルムFに空気が供給され、フィルムFが冷却される。
【0054】
そして、搬送シート巻取り装置7は、それぞれ搬送シートTSを巻き取る一対の搬送シート巻取りロール71を有する。一対の搬送シート巻取りロール71のうちの一方は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して一方側(
図1では上側)に配置され、一対の搬送シート巻取りロール71のうちの他方は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して他方側(
図1では下側)に配置されている。
【0055】
搬送シート巻取り装置7は、一対の搬送シート巻取りロール71により搬送シートTSを巻き取ることにより、一対の搬送シートTSの間に保持されたワークWを搬送シート巻取り装置7側に移動させる。また、本実施の形態では、搬送シート巻取り装置7が、ワークW上のフィルムFから支持層F1を剥離するフィルム剥離装置として機能する。この剥離は、上述したように搬送シートTSに支持層F1を接着部を介して付着させることにより、実現される。そして、支持層F1が剥離された後、絶縁層F2のみがラミネートされたワークWは、搬送シート巻取り装置7の外部に取り出される。
【0056】
一対の搬送シート巻取りロール71のうちの搬送経路に対して一方側に配置される搬送シート巻取りロール71は、第1剥離ユニットを構成し、他方側の送シート巻取りロール71は、第2剥離ユニットを構成する。ここで、第1ラミネート側冷却部6Uは、ワークW及びワークW上のフィルムFが重なる方向で、ワークW及びワークW上のフィルムFに対して第1剥離ユニットが位置する側と同じ側に配置されている。一方で、第2ラミネート側冷却部6Dは、ワークW及びワークW上のフィルムFに対して第1剥離ユニットが位置する側とは反対の側に配置される。なお、本実施の形態では、下流側冷却装置6が搬送シート巻取り装置7から分離されているが、下流側冷却装置6は、搬送シート巻取り装置7に一体に組み込まれてもよい。
【0057】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0058】
まず、ワークWは、外部からフィルム貼合カット装置1の搬送路1Rに受け入れられ、その後、貼合部材12によるフィルムFの貼り合せ及びカッター13によるフィルムFのカットが行われる(フィルム貼合カット工程)。この際、貼合部材12及びカッター13が配置され筐体10B内の空気の温度は、第1貼合側冷却部21と、第2貼合側冷却部22とにより低温に維持されている。
【0059】
その後、フィルムF付きのワークWは、真空ラミネータ4に搬送され、真空状態で、フィルムFが加熱されながらワークWに加圧されて接合される(真空ラミネート工程)。次いで、フィルムF付きのワークWは、平面プレス装置5に搬送され、第1プレス板51と第2プレス板52とにより挟み込まれ、加熱及び加圧される。
【0060】
その後、フィルムF付きのワークWは、下流側冷却装置6で冷却される(冷却工程)。その後、フィルムF付きのワークWは、搬送シート巻取り装置7に搬送され、ワークW上のフィルムFから支持層F1が剥離される(フィルム剥離工程)。その後、絶縁層F2のみがラミネートされたワークWが、搬送シート巻取り装置7から外部に取り出される。
【0061】
このようなラミネート処理において、本実施の形態ではワークW及びワークWに貼り合わされる前後のフィルムFが、第1貼合側冷却部21と第2貼合側冷却部22により冷却される。これにより、フィルムFが、カットされる前に、温度環境等に起因して一部が溶融したり、軟化したりして、カットされ難くなる状況が回避される。これにより、フィルムFを適正にカットできる。そして、フィルムFがカットし難くなることで、フィルムFのカット面が粗くなったり、フィルムFに皺や伸びが生じたりする状況が抑制される。
【0062】
また、真空ラミネータ4及び平面プレス装置5により加熱及び加圧されたフィルムF付きのワークWは、下流側冷却装置6で冷却された後、搬送シート巻取り装置7により支持層F1を剥離される。これにより、高温であることに起因して支持層F1の剥離の際に、絶縁層F2の一部が支持層F1に付着して引き剥がされる状況が抑制される。これにより、絶縁層F2の表面が粗くなることが抑制される。
【0063】
したがって、本実施の形態によれば、絶縁層F2に皺や伸びがなく且つ表面が平滑で、反りも生じていないワークWを、歩留まりよく製造できる。よって、ラミネート形成品である絶縁層F2がラミネートされたワークWの良品率を向上できる。しかも、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22は、共通の冷却媒体供給部23から冷却された空気を供給される。また、第1ラミネート側冷却部6U及び第2ラミネート側冷却部6Dは、共通の下流側冷却媒体供給部60から冷却された空気を供給される。これにより、冷却のための装置の複雑化及びエネルギー消費量を抑制できる。よって、ラミネート形成物の良品率を簡易的に且つ経済的に向上できる。
【0064】
また、本実施の形態における冷却媒体供給部23は、上方に開口する空気供給口23Aを有し、空気供給口23Aから空気流路24に空気を送り、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22に分配する。空気流路24は、空気供給口23Aから上方に延びた後に側方に延びる共通流路部24Uと、共通流路部24Uから分岐する第1流路部24A及び第2流路部24Bとを有する。そして、第1流路部24Aは、共通流路部24Uから直線状に延びた後に下方に延びて第1貼合側冷却部21に接続され、第2流路部24Bは、共通流路部24Uから下方に延びた後に側方に延びて第2貼合側冷却部22に接続される。
【0065】
上記のような流路の構成により、圧損を極力抑制でき、エネルギー消費量を抑制できる。また、冷却媒体供給部23は送風機26を有し、送風機26の吐出口が空気供給口23Aを形成する。このように送風機26も1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22とで共通化することで、冷却のための装置の複雑化及びエネルギー消費量を効果的に抑制できる。
【0066】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図3は、第2の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置1を概略的に示す図である。本実施の形態ではフィルム貼合カット装置1の構成が第1の実施の形態と異なる。
【0067】
すなわち、
図3に示される本実施の形態に係るフィルム貼合カット装置1では、第1貼合側冷却部21が、接続ボックス21Aと、接続ボックス21Aに収容される第1送風機211とを有する。同様に、第2貼合側冷却部22は、接続ボックス22Aと、接続ボックス22Aに収容される第2送風機221とを有する。
【0068】
本実施の形態では、第1送風機211及び第2送風機221における羽根車の回転により、冷却媒体供給部23からの空気が第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22に導入される。第1貼合側冷却部21に導入される空気は、接続ボックス21Aに流入して第1送風機211を通過した後、接続ボックス21Aに形成された吐出口から筐体10B内に供給される。第2貼合側冷却部22に導入される空気は、接続ボックス22Aに流入して第2送風機221を通過した後、接続ボックス22Aに形成された吐出口から筐体10B内に供給される。
【0069】
一方で、冷却媒体供給部23には第1の実施の形態で説明した送風機26が設けられない。したがって、熱交換器25Dと熱交換させる空気は、第1送風機211及び第2送風機221の回転により流動する。ただし、冷却媒体供給部23は送風機26を有していてもよい。
【0070】
本実施の形態では、第1送風機211及び第2送風機221がクロスフローファンで構成される。クロスフローファンである第1送風機211及び第2送風機221は、それぞれ回転軸がフィルム供給ロール11の回転軸と平行になるように設けられる。また、本実施の形態では、第1送風機211及び第2送風機221それぞれの羽根車としてのランナ211R,221Rの回転軸方向における寸法が、フィルムFの幅方向寸法以上になっている。ただし、ランナ211R,221RとフィルムFとの寸法関係は特に限られるものではない。
【0071】
以上に説明した第2の実施の形態では、第1貼合側冷却部21が第1送風機211を有し、第2貼合側冷却部22が第2送風機221を有する。これにより、例えば第1貼合ユニット10U側に供給する空気の風量及び第2貼合ユニット10D側に供給する空気の風量を柔軟に調節できる。例えば、第1流路部24Aと第2流路部24Bとの長さが異なる場合に、例えば第2送風機221の回転数を第1送風機211の回転数よりも大きくすることで風量を均一化し、ワークWやフィルムFの冷却ムラや温度ムラを抑制できる。
【0072】
特に本実施の形態では、第1送風機211及び第2送風機221がクロスフローファンで構成されることで、比較長い幅にわたり均一的な風量の空気を提供できる。また、クロスフローファンから均一的な風量の空気を提供できることで、パンチングプレート等の整流部材を用いてなくも好適な風の流れを形成できるため、構造の簡素化の点等で有利になる。
【0073】
なお、第2の実施の形態で説明したフィルム貼合カット装置1における第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22に関する構成は、第1の実施の形態における下流側冷却装置6に適用されてもよい。
【0074】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図4は、第3の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置1を概略的に示す図である。本実施の形態ではフィルム貼合カット装置1の構成が第1及び第2の実施の形態と異なる。
【0075】
すなわち、
図4に示される本実施の形態に係るフィルム貼合カット装置1では、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22が、貼合ユニット10U,10Dの筐体10B内に配置される。
【0076】
そして、第1貼合側冷却部21は、本体ケース210と、本体ケース210に収容された第1送風機211及び第1熱交換器212と、本体ケース210に取り付けられた風向調節羽根213と、を有する。同様に、第2貼合側冷却部22は、本体ケース220と、本体ケース220に収容された第2送風機221及び第2熱交換器222と、本体ケース220に取り付けられた風向調節羽根223と、を有する。
【0077】
一方で、冷却媒体供給部23の構成も第1及び第2の実施の形態と異なる。すなわち、冷却媒体供給部23は、第1貼合側冷却部21が使用する空気及び第2貼合側冷却部22が使用する空気を冷却する冷媒を分岐される冷媒流路240(後述の第1流路部240A、第2流路部240B)から第1貼合側冷却部21と第2貼合側冷却部22とに送る。
【0078】
冷却媒体供給部23は、圧縮機25A、凝縮器25B、第1膨張弁25C1及び第2膨張弁25C2と、これら各部を接続する冷媒流路240と、を有する冷凍回路25’を備える。なお、凝縮器25Bは、空冷式でも液冷式でもよい。冷媒流路240は、共通流路部240Uと、共通流路部240Uの下流側端部から分岐し且つそれぞれ共通流路部240Uの上流側端部に接続する第1流路部240A及び第2流路部240Bと、を有する。
【0079】
共通流路部240Uに圧縮機25Aと凝縮器25Bとが設けられ、圧縮機25Aの下流側に凝縮器25Bが位置する。第1流路部240Aは第1熱交換器212に接続し、第1熱交換器212に冷媒を供給するとともに、第1熱交換器212から流出した冷媒を受け入れて圧縮機25Aに送る。第1流路部240Aにおける第1熱交換器212に対して上流側の部分に第1膨張弁25C1が設けられている。第1膨張弁25C1は冷媒を膨張させて第1熱交換器212に送ることで、第1熱交換器212は低温の冷媒による冷却が可能となる。
【0080】
第2流路部240Bは第2熱交換器222に接続し、第2熱交換器222に冷媒を供給するとともに、第2熱交換器222から流出した冷媒を受け入れて圧縮機25Aに送る。第2流路部240Bにおける第2熱交換器222に対して上流側の部分に第2膨張弁25C2が設けられている。第2膨張弁25C2は冷媒を膨張させて第2熱交換器222に送ることで、第2熱交換器222は低温の冷媒による冷却が可能となる。
【0081】
第1熱交換器212及び第2熱交換器222が空気を冷却する際には、結露が生じ得る。そのため、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22はそれぞれ、筐体10Bの外部まで延びるドレンホース214,224を有する。
【0082】
第1貼合側冷却部21は、冷却媒体供給部23からの冷媒を第1熱交換器212で受け入れ、第1熱交換器212で冷却した空気を筐体10B内に供給する。同様に、第2貼合側冷却部22は、冷却媒体供給部23からの冷媒を第2熱交換器222で受け入れ、第2熱交換器222で冷却した空気を筐体10B内に供給する。第1熱交換器212で冷却される空気は、第1送風機211の回転により第1熱交換器212に引き込まれる。第2熱交換器222で冷却される空気は、第2送風機221の回転により第2熱交換器222に引き込まれる。
【0083】
本体ケース210,220にはそれぞれ空気の吐出口が形成され、各吐出口の周縁に風向調節羽根213,223が設けられている。第1送風機211及び第2送風機221はクロスフローファンで構成される。本体ケース210,220に形成される上記吐出口はそれぞれ、ランナ211R,221Rの長手方向に平行に長尺に延びる。風向調節羽根213,223はそれぞれ一対で構成され、長尺な上記吐出口の周縁における長手方向に延びる一対の縁部分にそれぞれ振り分けて設けられる。
【0084】
風向調節羽根213,223はそれぞれ、ランナ211R,221Rの回転軸に平行な回転軸周りに回転可能である。熱交換器212,222を通過した後、送風機211,221から吐出される空気は、本体ケース210,220の上記吐出口から筐体10B内に供給される。この際、本実施の形態では、供給する空気の向きを風向調節羽根213,223によって上下に調節できる。
【0085】
また、本実施の形態におけるフィルム貼合カット装置1は、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22からの空気の供給態様が第1の実施の形態と異なる。すなわち、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22は、ワークWに貼り合わせる前のフィルムFに空気を向けて供給することで、フィルムFをカット前に冷却する。
【0086】
詳しくは、一方側の貼合部材12は、搬送路1Rに近接して配置され、一方側のフィルム供給ロール11は、貼合部材12よりも搬送路1Rから離れた位置に配置される。そして、一方側のカッター13は、フィルムFにおける一方側のフィルム供給ロール11と一方側の貼合部材12との間に延びる部分に対して接近及び離間自在になるように配置されている。同様に、他方側の貼合部材12は、搬送路1Rに近接して配置され、他方側のフィルム供給ロール11は、貼合部材12よりも搬送路1Rから離れた位置に配置される。そして、他方側のカッター13は、フィルムFにおける他方側のフィルム供給ロール11と他方側の貼合部材12との間に延びる部分に対して接近及び離間自在になるように配置されている。
【0087】
そして、第1貼合側冷却部21は、一方側のカッター13よりも一方側のフィルム供給ロール11側の位置で、フィルムFにおける一方側のフィルム供給ロール11と一方側の貼合部材12との間に延びる部分に空気を供給する。詳しくは、風向調節羽根213をフィルムFに向けるようにして、風向調節羽根213の表面に沿って空気をフィルムFに供給する。第2貼合側冷却部22は、他方側のカッター13よりも他方側のフィルム供給ロール11側の位置で、フィルムFにおける他方側のフィルム供給ロール11と他方側の貼合部材12との間に延びる部分に空気を供給する。詳しくは、風向調節羽根223をフィルムFに向けるようにして、風向調節羽根223の表面に沿って空気をフィルムFに供給する。
【0088】
以上に説明した本実施の形態においても、カッター13によりカットされるフィルムFの切断箇所が、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22によってカット前に冷却される。これにより、フィルムFが、カットされる前に、温度環境等に起因して一部が溶融したり、軟化したりして、カットされ難くなる状況が回避される。これにより、フィルムFを適正にカットできる。そして、フィルムFがカットし難くなることで、フィルムFのカット面が粗くなったり、フィルムFに皺や伸びが生じたりする状況が抑制される。よって、ラミネート形成品である絶縁層F2がラミネートされたワークWの良品率を向上できる。
【0089】
また、第2の実施の形態と同様に、第1貼合側冷却部21が第1送風機211を有し、第2貼合側冷却部22が第2送風機221を有する。これにより、例えば第1貼合ユニット10U側に供給する空気の風量及び第2貼合ユニット10D側に供給する空気の風量を柔軟に調節できる。さらに、本実施の形態では第1貼合側冷却部21が第1熱交換器212を有し、第2貼合側冷却部22が第2熱交換器222を有する。これにより、例えば第1貼合ユニット10U側に供給する空気の温度及び第2貼合ユニット10D側に供給する空気の温度も柔軟に調節できる。
【0090】
また、冷媒を第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22まで送る場合、圧縮機25A及び凝縮器25Bから第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22までの距離が比較的大きい場合でも、送風機に比べて比較的容易に或いはエネルギーを抑制しつつ、冷却媒体としての冷媒を第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22まで送ることが可能となる。
【0091】
なお、第3の実施の形態で説明したフィルム貼合カット装置1における第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22に関する構成は、第1の実施の形態における下流側冷却装置6に適用されてもよい。
【0092】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図5は、第4の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置1を概略的に示す図である。本実施の形態ではフィルム貼合カット装置1の構成が第1乃至第3の実施の形態と異なる。
【0093】
すなわち、
図5に示される本実施の形態に係るフィルム貼合カット装置1では、第3の実施の形態で説明した第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22から第1熱交換器212及び第2熱交換器222が取り除かれている。そして、第1貼合側冷却部21の本体ケース210には空気流路としての第1ダクト215が接続され、第2貼合側冷却部22の本体ケース220には空気流路としての第2ダクト225が接続されている。
【0094】
一方で、冷却媒体供給部23は、空気供給口23Aを有するとともに熱交換器25Dを収容する熱交換器ユニット23Xと、熱交換器25Dに供給する冷媒を凝縮させる凝縮器25B及び熱交換器25Dから流出する冷媒を圧縮する圧縮機25Aを有する冷凍回路ユニット23Yと、を有する。膨張弁25Cは冷凍回路ユニット23Yに設けられるが、熱交換器ユニット23Xに設けられてもよい。
【0095】
そして、熱交換器ユニット23Xは、第1貼合ユニット10U及び第2貼合ユニット10Dを収容する筐体10Bに収容されている。一方で、冷凍回路ユニット23Yは、筐体10Bの外部に配置されている。熱交換器ユニット23Xと冷凍回路ユニット23Yとの間の冷媒流路の一部は、外部に露出する。なお、熱交換器ユニット23Xは、筐体10Bに隣り合うように配置されてもよい。
【0096】
以上に説明した本実施の形態では、冷却媒体供給部23の熱交換器25Dと、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22とを近づけることが可能となるため、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22が空気を導入する際の圧損を抑制できる。
【0097】
<第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第4の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図6は、第5の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置1の動作を説明する図である。
図7は、第5の実施の形態に係る基板ラミネートシステムにおけるフィルムFの移動パターンと、フィルム貼合カット装置1においてフィルムFを空気で冷却する際の送風パターンとの関係を示すグラフを示す図である。
【0098】
本実施の形態は、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22における空気の供給態様が、第3の実施の形態と異なるが、その他の構成は第3の実施の形態と同じである。詳しくは、本実施の形態における第1貼合側冷却部21は、移動するフィルムFに追従するように空気を供給する向きを変更する。同様に、第2貼合側冷却部22は、移動するフィルムFに追従するように空気を供給する向きを変更する。
【0099】
図6を参照し、第1貼合側冷却部21は、フィルム供給ロール11のフィルムFの繰り出しによりフィルムFがフィルム供給ロール11側から貼合部材12側に移動する際、フィルムFに追従するように、供給する空気の向きをフィルム供給ロール11側から貼合部材12側に変更する。この際の空気の供給量は、ローレベルに設定される。そして、フィルムFは、間欠的に繰り出されており、上述のように繰り出された後、一定期間にわたり停止する。このフィルムFの停止中において、第1貼合側冷却部21は、供給する空気の向きを貼合部材12側からフィルム供給ロール11側に変更する。この際の空気の供給量は、ハイレベルに設定され、供給する空気の向きをフィルム供給ロール11側から貼合部材12側に変更する場合よりも大きくする。そして、供給する空気の向きがフィルム供給ロール11側に至った際には、空気の供給量がローレベルに設定され、その後、供給する空気の向きを、フィルムFの移動に合わせて、フィルム供給ロール11側から貼合部材12側に変更する。
【0100】
供給する空気の向きは、本実施の形態では風向調節羽根213の角度を変更することで行われる。以上のような供給する空気の向きの変更は、第2貼合側冷却部22側でも同じ態様で行われる。
【0101】
図7は、上段にフィルムFの移動パターンのグラフを示し、下段にフィルムFを空気で冷却する際の送風パターンを示す。横軸は時間を示し、上段グラフの縦軸は、フィルムFの移動速度(m/s)を示し、下段グラフの縦軸は、供給する空気の向きを示す。空気の向きθが0°である場合は、第1貼合側冷却部21が、供給する空気の向きを貼合部材12側に設定していることを意味する。
【0102】
フィルムFはワークWと同じ移動パターンで移動するが、動き始めで加速され、一定速度になった後、減速して停止する。そして、フィルムFは、一定期間停止した後、再度同じ加減速で移動する。フィルムFが移動している際には、フィルムFがワークWに貼り合わされる。
【0103】
一方で、フィルムFが停止している際に、カッター13によりフィルムFがカットされる。下段のグラフを参照し、フィルムFが停止した瞬間に(停止に応じて)、第1貼合側冷却部21は、供給する空気の向きを貼合部材12側からフィルム供給ロール11側に変更し始める。この際の空気の供給量は、ハイレベルに設定されていることで、フィルムFは次回貼り合わされる範囲を均一的に且つ十分に冷却される。一方で、フィルムFが移動し始めると、第1貼合側冷却部21は、供給する空気の向きをフィルム供給ロール11側から貼合部材12側に変更し始める。この際の空気の供給量はローレベルに設定されているため、エネルギー消費量が抑制される。
【0104】
以上に説明した本実施の形態では、フィルムFがフィルム供給ロール11側から貼合部材12側に移動する際、フィルムFに追従するように、供給する空気の向きがフィルム供給ロール11側から貼合部材12側に変更される。その後、フィルムFの停止中において、供給する空気の向きが貼合部材12側からフィルム供給ロール11側に変更される。
【0105】
以上のような動作によれば、フィルムFの停止中に、フィルムFの異なる領域を空気供給方向を変更しつつ冷却することで、フィルムFは次回貼り合わされる範囲を均一的に且つ十分に冷却される。また、フィルムFが移動し始めると、第1貼合側冷却部21は、供給する空気の向きをフィルム供給ロール11側から貼合部材12側に変更し始める。そして、この際の空気の供給量がローレベルに設定されていることで、エネルギー消費量が抑制される。したがって、エネルギー消費量を抑制しつつ、効果的にフィルムFを冷却することが可能となる。
【0106】
<第6の実施の形態>
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第5の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図8は、第6の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置1を概略的に示す図である。
図9は、第6の実施の形態に係るフィルム貼合カット装置1においてワークWを空気で冷却する際の送風パターンを説明する図である。本実施の形態ではフィルム貼合カット装置1の構成が第1乃至第5の実施の形態と異なる。フィルム貼合カット装置1は、主にワークWを冷却した後、ワークW上のフィルムFをカットする。
【0107】
すなわち、
図8に示される本実施の形態に係るフィルム貼合カット装置1では、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22が、貼合ユニット10U,10Dの筐体10B内に配置される。そして、第1貼合側冷却部21は、本体ケース210と、本体ケース210に収容された第1送風機211及び第1熱交換器212と、を有する。同様に、第2貼合側冷却部22は、本体ケース220と、本体ケース220に収容された第2送風機221及び第2熱交換器222と、を有する。
【0108】
第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22は、ワークWの搬送方向で第1貼合ユニット10U及び第2貼合ユニット10Dの上流側に配置されている。そして、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22は、搬送路1R及び搬送路1R上のワークWを挟み込むように位置し、第1貼合ユニット10U及び第2貼合ユニット10Dに受け入れられる前のワークWに空気を供給してワークWを冷却する。第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22はそれぞれ、搬送路R側に開口する空気供給口を有している。
【0109】
そして、本実施の形態では、本体ケース210及び本体ケース220それぞれに設けられた支持回転軸216,226を中心に、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22が揺動自在になっている。これにより、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22は、支持回転軸216,226を中心に姿勢を変更することで、供給する空気の向きを変更できる。
【0110】
そして、
図9(A)~(C)に示すように、本実施の形態では第1貼合側冷却部21は、移動するワークWに追従するように空気を供給する向きを変更する。第2貼合側冷却部22も、同様に、移動するワークWに追従するように空気を供給する向きを変更する。
【0111】
以上に説明した本実施の形態では、ワークWが移動中に常時空気を供給されることで、ワークWを十分に冷却できる。ワークWが冷却された場合には、その後にワークWに貼り合わされるフィルムFがワークWによって冷却されることで、その後のカットを適正に行うことができる。これにより、ラミネート形成品である絶縁層F2がラミネートされたワークWの良品率を向上できる。
【0112】
一方で、ワークWが間欠的に搬送される場合、上述のように移動するワークWに空気の向きを追従させた後、ワークWの停止中に空気の向きを、ワークWの搬送方向で下流側から上流側に戻してもよい。そして、この際の空気の供給量を、移動するワークWに追従させる際の空気の供給量よりも小さくしてもよい。これにより、エネルギー消費量を抑制しつつ好適なワークWの冷却を実現できる。
【0113】
<第7の実施の形態>
次に、第7の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第6の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図10は、第7の実施の形態に係る基板ラミネートシステムを概略的に示す図である。本実施の形態ではフィルム貼合カット装置1及び下流側冷却装置6の構成が第1乃至第6の実施の形態と異なる。
【0114】
すなわち、
図10に示されるシステムでは、第1貼合側冷却部21が使用する冷却用の空気、第2貼合側冷却部22が使用する冷却用の空気、第1ラミネート側冷却部6Uが使用する冷却用の空気、及び第2ラミネート側冷却部6Dが使用する冷却用の空気を冷却する冷媒を、冷却媒体供給部23が、分岐された冷媒流路240から第1貼合側冷却部21、第2貼合側冷却部22、第1ラミネート側冷却部6U及び第2ラミネート側冷却部6Dのそれぞれに供給する。
【0115】
冷媒流路240は、凝縮器25Bの下流側の部分で、第1貼合側冷却部21及び第2貼合側冷却部22に接続される貼合ユニット側流路部241と、第1ラミネート側冷却部6U及び第2ラミネート側冷却部6Dに接続されるラミネート側流路部242とに分岐する。貼合ユニット側流路部241には貼合ユニット側膨張弁25Caが設けられ、ラミネート側流路部242にはラミネート側膨張弁25Cbが設けられる。貼合ユニット側流路部241は、貼合ユニット側膨張弁25Ca側の下流側の部分で分岐して、第1熱交換器212と第2熱交換器222とに接続される。また、ラミネート側流路部242は、ラミネート側膨張弁25Cbの下流側の部分で分岐して、第1ラミネート側冷却部6U及び第2ラミネート側冷却部6Dにおける熱交換器に接続される。
【0116】
以上に説明した第7の実施の形態では、冷媒流路を簡素化でき且つシステム全体のフットプリントを抑制できる。
【0117】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0118】
S1…基板ラミネートシステム
1…フィルム貼合カット装置
1R…搬送路
F…フィルム
F1…支持層
F2…絶縁層
10U…第1貼合ユニット
10D…第2貼合ユニット
10B…筐体
11…フィルム供給ロール
12…貼合部材
13…カッター
20…冷却ユニット
21…第1貼合側冷却部
21A…接続ボックス
21B…パンチングプレート
210…本体ケース
211…第1送風機
211R…ランナ
212…第1熱交換器
213…風向調節羽根
22…第2貼合側冷却部
22A…接続ボックス
22B…パンチングプレート
220…本体ケース
221…第2送風機
221R…ランナ
222…第2熱交換器
23…冷却媒体供給部
23A…空気供給口
23X…熱交換器ユニット
23Y…冷凍回路ユニット
24…空気流路
24U…共通流路部
24A…第1流路部
24B…第2流路部
240…冷媒流路
240U…共通流路部
240A…第1流路部
240B…第2流路部
25,25’…冷凍回路
25A…圧縮機
25B…凝縮器
25C…膨張弁
25C1…第1膨張弁
25C2…第2膨張弁
25D…熱交換器
26…送風機
4…真空ラミネータ
40…真空チャンバ
6…下流側冷却装置
6U…第1ラミネート側冷却部
6D…第2ラミネート側冷却部
60…下流側冷却媒体供給部
60A…空気供給口
63…空気吐出部
64…空気流路
65…冷凍回路
66…送風機
7…搬送シート巻取り装置
C…コンベア
TS…搬送シート