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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046023
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】焼結機
(51)【国際特許分類】
   F27B 21/12 20060101AFI20230327BHJP
   C22B 1/20 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
F27B21/12
C22B1/20 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154697
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】長田 淳治
(72)【発明者】
【氏名】田村 武
(72)【発明者】
【氏名】中川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】新井 宏誌
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA10
4K001CA01
4K001CA49
4K001GA10
(57)【要約】
【課題】焼結鉱の生産性の低下を抑制する焼結機を提供する。
【解決手段】焼結機1は、パレット10で生成し分離されたシンターケーキを粉砕して焼結鉱を生成するクラッシャー17と、シンターケーキをクラッシャーに案内するクラッシングガイド16と、クラッシングガイドに対してクラッシャーに案内する側と反対側に形成された開口部を介して、シンターケーキから分離し、クラッシングガイドの反対側に落下したケーキ片を回収する裏シュート19と、開口部を含む領域に存在するケーキ片の状態を示すケーキ片情報を取得するケーキ片検出センサ20と、ケーキ片情報に基づいて、開口部がケーキ片によって塞がれているか否かを判定し、開口部がケーキ片によって塞がれていると判定したときに、開口部が閉塞したことを示す閉塞信号を出力する制御装置21とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパレットが移動することで、焼結鉱を製造する焼結機であって、
前記パレットで生成し分離されたシンターケーキを粉砕して焼結鉱を生成するクラッシャーと、
シンターケーキを前記クラッシャーに案内するクラッシングガイドと、
前記クラッシングガイドに対して前記クラッシャーに案内する側と反対側に形成された開口部を介して、シンターケーキから分離し、クラッシングガイドの前記反対側に落下したケーキ片を回収する裏シュートと、
前記開口部を含む領域に存在する前記ケーキ片の状態を示すケーキ片情報を取得するケーキ片検出センサと、
前記ケーキ片情報に基づいて、前記開口部が前記ケーキ片によって塞がれているか否かを判定し、前記開口部が前記ケーキ片によって塞がれていると判定したときに、前記開口部が閉塞したことを示す閉塞信号を出力する制御装置と、
を有する、ことを特徴とする焼結機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ケーキ片情報に対応する前記ケーキ片が所定の閉塞時間に亘って前記開口部を覆う位置に存在したと判定したときに、前記開口部が前記ケーキ片によって塞がれていると判定する、請求項1に記載の焼結機。
【請求項3】
前記閉塞時間は、前記複数のパレットに含まれる1つのパレットが前記クラッシングガイドの先端を通過する時間よりも長い、請求項2に記載の焼結機。
【請求項4】
前記閉塞時間は、前記複数のパレットに含まれる隣接する2つのパレットが前記クラッシングガイドの先端を通過する時間よりも短い、請求項2又は3に記載の焼結機。
【請求項5】
前記ケーキ片検出センサは、前記開口部を含む領域を撮像する撮像装置である、請求項1~4の何れか一項に記載の焼結機。
【請求項6】
前記ケーキ片検出センサは、前記開口部を含む領域に含まれる所定の地点との間の距離を測定する距離センサである、請求項1~4の何れか一項に記載の焼結機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結機に関する。
【背景技術】
【0002】
原料粉鉱石と燃料とを含む配合原料をパレット上に装入して積層された原料充填層の上面に点火すると共に、原料充填層に酸素含有ガスを供給させながらパレットを原料充填層と共に進行方向に移動することで、焼結鉱を製造する焼結機が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、原料充填層を積層するパレットの基台に、パレットの側壁の延伸方向に延伸する平板状のスタンドを配置する焼結機が記載されている。特許文献1に記載される焼結機では、簡潔な構造を有するスタンドが配置されるパレットに原料充填層を積層することで、原料充填層の通気性を改善して焼結鉱の生産性が向上する。
【0004】
また、特許文献2には、パレットから排出されたシンターケーキを破砕するクラッシャーと、パレットから排出されたシンターケーキをクラッシャーに案内するクラッシングガイドとを有する焼結機が記載されている。特許文献2に記載されるクラッシングガイドでは、スタンドが通過する際の干渉を避けるために、クラッシングガイドの本体壁の対応する部分にスリット部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-168234号公報
【特許文献2】特開2011-179754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載される焼結機において、クラッシングガイドに案内されるシンターケーキの一部は、シンターケーキから分離してクラッシャーの反対側に落下することがある。クラッシャーの反対側に落下したケーキ片は、クラッシングガイドの近傍に形成された開口部を有する裏シュートを介して、シンターケーキがクラッシャーで破砕されて生成された焼結鉱の流れに戻されることで回収される。
【0007】
しかしながら、シンターケーキから分離して生成されるケーキ片は、種々の大きさを有するので、シュートの開口部の幅よりも長い幅を有するケーキ片が開口部を塞ぐ可能性がある。裏シュートの開口部をケーキ片が塞ぐと、クラッシャーと反対側に落下したケーキ片が開口部の上方に徐々に堆積して、堆積したケーキ片がパレットに接触する。堆積したケーキ片がパレットに接触すると、パレットを移動するスプロケットを駆動するモータに過剰な負荷が掛かり、モータが異常停止し、焼結機の動作が停止する。モータが異常停止することで、焼結機の動作が停止すると、焼結鉱の生産性が低下する。
【0008】
そこで、本発明は、焼結機において、焼結鉱の生産性の低下を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明は、以下に記載の焼結機を要旨とするものである。
(1)複数のパレットが移動することで、焼結鉱を製造する焼結機であって、
パレットで生成し分離されたシンターケーキを粉砕して焼結鉱を生成するクラッシャーと、
シンターケーキをクラッシャーに案内するクラッシングガイドと、
クラッシングガイドに対してクラッシャーに案内する側と反対側に形成された開口部を介して、シンターケーキから分離し、クラッシングガイドの反対側に落下したケーキ片を回収する裏シュートと、
開口部を含む領域に存在するケーキ片の状態を示すケーキ片情報を取得するケーキ片検出センサと、
ケーキ片情報に基づいて、開口部がケーキ片によって塞がれているか否かを判定し、開口部がケーキ片によって塞がれていると判定したときに、開口部が閉塞したことを示す閉塞信号を出力する制御装置と、
を有する、ことを特徴とする焼結機。
(2)制御装置は、ケーキ片情報に対応するケーキ片が所定の閉塞時間に亘って開口部を覆う位置に存在したと判定したときに、開口部がケーキ片によって塞がれていると判定する、(1)に記載の焼結機。
(3)閉塞時間は、複数のパレットに含まれる1つのパレットがクラッシングガイドの先端を通過する時間よりも長い、(2)に記載の焼結機。
(4)閉塞時間は、複数のパレットに含まれる隣接する2つのパレットがクラッシングガイドの先端を通過する時間よりも短い、(2)又は(3)に記載の焼結機。
(5)ケーキ片検出センサは、開口部を含む領域を撮像する撮像装置である、(1)~(4)の何れか一つに記載の焼結機。
(6)ケーキ片検出センサは、開口部を含む領域に含まれる所定の地点との間の距離を測定する距離センサである、(1)~(4)の何れか一つに記載の焼結機。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態では、焼結機において、焼結鉱の生産性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る焼結機の概略構成を説明する図である。
図2】実施形態に係る焼結機における焼結鉱生成処理の概略構成を説明する概念図である。
図3図1に示すパレットの斜視図である。
図4図1に示すクラッシングガイドの正面図である。
図5】(a)は図1に示す裏シュートの開口部とケーキ片検出センサとの間の位置関係を示す平面図であり、(b)は図1に示す裏シュートの開口部とケーキ片検出センサとの間の位置関係を示す側面図である。
図6図1に示す制御装置のブロック図である。
図7図6に示す制御装置により実行される閉塞判定処理のフローチャートである。
図8】変形例に係る焼結機の概略構成を説明する図である。
図9図8に示す制御装置のブロック図である。
図10図9に示す制御装置により実行される閉塞判定処理のフローチャートである。
図11図10に示す距離判定部によって演算される高度差の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明に係る焼結機について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されない。そこでは、ホットスクリーンを設けないダイレクトチャージ式の焼結機の場合を例示するが、ホットスクリーンを有する焼結機に対しても同様に適用できる。また、上流側と下流側の2つのスプロケットを有するドワイトロイド式の焼結機の場合を例示するが、進行方向の下流側に配置される従動スプロケットを有しないコッパース式の焼結機に対しても同様に適用できる。
【0013】
(実施形態に係る焼結機の構成及び機能)
図1は実施形態に係る焼結機の概略構成を説明する図であり、図2は実施形態に係る焼結機における焼結鉱生成処理の概略構成を説明する概念図である。
【0014】
焼結機1は、複数のパレット10と、一対のスプロケット11と、軌道レールとも称されるトラックガイド12と、焼結原料供給部13と、点火炉14と、排気装置15と、クラッシングガイド16と、クラッシャー17と、冷却機18とを有する。焼結機1は、裏シュート19と、ケーキ片検出センサ20と、制御装置21とを更に有する。焼結機1では、複数のパレット10のそれぞれは、矢印Aで示される進行方向の上流側に配置されるスプロケット11aの駆動によって、トラックガイド12を介して所定の周回軌道に沿って移動する。進行方向の下流側に配置されるスプロケット11bは従動し、進行方向の下流側端部に達したパレット10を反転して戻す。
【0015】
図3は、パレット10の斜視図である。
【0016】
パレット10は、基台10aと、第1側壁部10bと、第2側壁部10cと、複数のスタンド10dとを有する。
【0017】
基台10aは、矩形の部材であり、対向する一対の短辺から第1側壁部10b及び第2側壁部10cが起立する。第1側壁部10b及び第2側壁部10cは、矩形の板部材であり、互いに対向するように配置される。第1側壁部10bは基台10aの一辺から起立し、第2側壁部10cは第1側壁部10bが起立する基台10aの辺に対向する辺から起立する。
【0018】
複数のスタンド10dは、基台10aの表面から起立するように例えば4列配置される。複数のスタンド10dの基台10aへの係止方法は、よく知られているので、ここでは詳細な説明は省略する。なお、パレット10は、4列のスタンド10dが配置されるが、実施形態に係る焼結機では、スタンド10dの数は、パレットの幅により決定され、4列未満であってもよく、5列以上であってもよい。
【0019】
焼結原料供給部13は、サージホッパ13aと、サージホッパ13aの下方に配置されたロールフィーダ13bと、焼結原料装入装置13cとを有する。サージホッパ13aは、粉鉱石、副原料、粉コークス、石灰石及び返鉱等の配合原料を水と混練して造粒された造粒物である焼結原料を収容する。ロールフィーダ13bは、サージホッパ13aに収容された焼結原料を、焼結原料装入装置13cを介してパレット10に供給する。焼結原料供給部13からパレット10に供給された焼結原料は、パレット10に充填されて原料充填層S0を形成する。
【0020】
点火炉14は、火炎を下方に向かって噴射する複数の点火ノズルを備え、焼結機1の上方の所定位置に配置される。点火炉14は、パレット10上に形成された原料充填層S0の表面に上方から点火する。
【0021】
排気装置15は、原料充填層S0が搭載されたパレット10の下方に配置され、原料充填層S0内の空気をパレット10の下方から吸気して、原料充填層S0の上面から下面に向って空気を流通させる。原料充填層S0の内部を上層から下層に向かって空気を流通させることで、原料充填層S0の内部に配置される粉コークスが燃焼して燃焼帯が形成される。原料充填層S0の内部に形成された燃焼帯は、原料充填層S0の上層から下層に向かって移動し、原料充填層S0の内部に配置される焼結原料S1を焼成して、シンターケーキS2を形成する。
【0022】
クラッシングガイド16は、進行方向の下流側に配置されるスプロケット11bとクラッシャー17との間に配置される。クラッシングガイド16は、パレット10から排出されたシンターケーキS2をクラッシャー17に案内する。
【0023】
図4は、クラッシングガイド16の正面図である。
【0024】
クラッシングガイド16は、基部16aと、ガイド部16bと、サイド受部16cとを有する。基部16aはガイド部16b及びサイド受部16cを支持し、ガイド部16bは進行方向の上流側に傾斜しながら基部16aからパレット10の基台10aに向けて延伸し、パレット10の搭載されたシンターケーキS2をクラッシャー17に案内する。
【0025】
ガイド部16bの先端には、パレット10のスタンド10dが通過する4つのスリット16dが形成される。さらに、ガイド部16bには、シンターケーキS2から発生した細粒鉱を収容すると共に冷却するストーンボックスが形成される。
【0026】
サイド受部16cは、進行方向の下流側のスプロケット11bに沿って移動するパレット10の第1側壁部10b及び第2側壁部10cに対向するように配置され、シンターケーキS2から発生した細粒鉱を収容するポケットが形成される。
【0027】
クラッシャー17は、進行方向の下流側に配置されるスプロケット11bの近傍に配置され、複数のパレット10のそれぞれで生成し分離され、クラッシングガイド16によって案内されたシンターケーキS2を粉砕して焼結鉱S3を生成する。
【0028】
冷却機18は、クラッシャー17で生成された焼結鉱S3及び裏シュートで回収されたケーキ片S4を冷却する。
【0029】
裏シュート19は、開口部19aを介して、シンターケーキS2から分離し、クラッシングガイド16の上流側に落下したケーキ片S4を回収する。開口部19aは、クラッシングガイド16に対して進行方向の上流側、すなわちクラッシングガイド16に対してクラッシャー17に案内する側と反対側に形成される。裏シュート19は、回収したケーキ片S4を冷却機18に案内する。
【0030】
ケーキ片検出センサ20は、CCD(Charge Coupled Devices)及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有し、裏シュート19の開口部19aの近傍に配置され、開口部19aを含む領域を撮像する撮像装置である。
【0031】
図5(a)は裏シュート19の開口部19aとケーキ片検出センサ20との間の位置関係を示す平面図であり、図5(b)は裏シュート19の開口部19aとケーキ片検出センサ20との間の位置関係を示す側面図である。図5(a)及び5(b)において、一点鎖線は、ケーキ片検出センサ20の視野を示す。Lは開口部19aの短手方向(パレット進行方向)の長さである。
【0032】
ケーキ片検出センサ20は、開口部19aに対してパレット10の進行方向に直交する方向に離隔し、すなわち開口部19aの側方に開口部19aを見下ろすように配置される。ケーキ片検出センサ20は、ケーキ片検出センサ20の視野が開口部19aの全体を収める。ケーキ片検出センサ20は、ケーキ片検出センサ20は、開口部19aを含む領域を撮像し、撮像した画像を示す画像信号を制御装置21に出力する。
【0033】
制御装置21は、例えば焼結機1による焼結鉱の製造工程を監視制御する監視制御装置であり、ケーキ片検出センサ20によって取得された画像に基づいて、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれているか否かを判定する。制御装置21は、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定したときに、開口部19aが閉塞したことを示す閉塞信号を出力する。
【0034】
図6は、制御装置21のブロック図である。
【0035】
制御装置21は、通信部31と、記憶部32と、入力部33と、出力部34と、処理部40とを有する。通信部31、記憶部32、入力部33、出力部34、処理部40は、バス35を介して互いに接続される。
【0036】
通信部31は、イーサネット(登録商標)などの有線の通信インターフェース回路を有する。通信部31は、LAN109を介してケーキ片検出センサ20及び不図示の上位制御装置と通信を行う。
【0037】
記憶部32は、例えば、半導体記憶装置、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備える。記憶部32は、処理部40での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部32は、ケーキ片検出センサ20によって撮像された画像を使用して、開口部19aが閉塞したか否かを判定する閉塞判定処理を処理部40に実行させるための閉塞判定プログラム等を記憶する。閉塞判定プログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部32にインストールされてもよい。また、記憶部32は、閉塞判定処理で使用される種々のデータを記憶する。例えば、記憶部32は、ケーキ片検出センサ20から入力される画像信号に対応する画像を示す画像情報を記憶する。また、記憶部32は、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていないときにケーキ片検出センサ20によって撮像された画像を示す基準画像情報を記憶する。
【0038】
入力部33は、データの入力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル、キーボード等である。オペレータは、入力部33を用いて、文字、数字、記号等を入力することができる。入力部33は、オペレータにより操作されると、その操作に対応する信号を生成する。そして、生成された信号は、オペレータの指示として、処理部40に供給される。
【0039】
出力部34は、映像や画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等である。出力部34は、処理部40から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像等を表示する。また、出力部34は、紙などの表示媒体に、映像、画像又は文字等を印刷する出力装置であってもよい。
【0040】
処理部40は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。処理部40は、制御装置21の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。処理部40は、記憶部32に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部40は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行できる。
【0041】
処理部40は、撮像指示部41と、画像情報取得部42と、画像判定部43と、計時部44と、閉塞信号出力部45とを有する。これらの各部は、処理部40が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして制御装置21に実装されてもよい。
【0042】
(実施形態に係る画像判定学習処理)
図7は、制御装置21により実行される閉塞判定処理のフローチャートである。図7に示す閉塞判定処理は、予め記憶部32に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部40により制御装置21の各要素と協働して実行される。
【0043】
まず、開口部19aを含む領域を撮像することをケーキ片検出センサ20に指示する(S101)。ケーキ片検出センサ20は、撮像指示部41から撮像を指示されることに応じて、開口部19aを含む領域を撮像し、撮像した画像を示す画像信号を制御装置21に出力する。撮像指示部41は、ケーキ片検出センサ20から入力される画像信号に対応する画像を示す画像情報を記憶部32に記憶する。次いで、画像情報取得部42は、記憶部32に記憶される画像情報を取得する(S102)。
【0044】
次いで、画像判定部43は、S102の処理で取得された画像情報に対応する画像に基づいて、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれているか否かを判定する(S103)。画像判定部43は、S102の処理で取得された画像情報に対応する画像の開口部19aに対応する部分の画素の輝度と、記憶部32に記憶される基準画像情報に対応する画像の開口部19aに対応する部分の画素の輝度とを比較する。画像判定部43は、開口部19aに対応する部分の画素の輝度が開口部19aの短手方向に所定の幅(たとえば、開口部19aの短手方向の長さL)に亘って相違したときに、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定する。
【0045】
画像判定部43によって開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていないと判定される(S103-NO)と、処理はS101に戻る。以降、画像判定部43によって開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定される(S103-YES)まで、所定の期間ごとにS101~S103の処理が繰り返される。
【0046】
画像判定部43によって開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定される(S103-YES)と、計時部44は、閉塞時間の計時を開始する(S104)。計時部44によって計時される閉塞時間は、1つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも長く、隣接する2つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも短い時間である。
【0047】
閉塞時間が経過して、計時部44による閉塞時間の計時が終了すると、撮像指示部41は、開口部19aを含む領域を撮像することをケーキ片検出センサ20に指示する(S105)。次いで、画像情報取得部42は、記憶部32に記憶される画像情報を取得する(S106)。
【0048】
次いで、画像判定部43は、S103の処理と同様に、S106の処理で取得された画像情報に対応する画像に基づいて、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれているか否かを判定する(S107)。画像判定部43によって開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていないと判定される(S107-NO)と、処理はS101に戻る。
【0049】
画像判定部43によって開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定される(S107-YES)と、閉塞信号出力部45は、開口部19aが閉塞したことを示す閉塞信号を出力部34に出力する(S108)。出力部34は、閉塞信号が入力されることに応じて、開口部19aが閉塞したことを示す警報画像を表示する。なお、制御装置21は、出力部34に警報画像を表示すると共に、不図示のスピーカから開口部19aが閉塞したことを示す音声を出力してもよい。開口部19aを覆うケーキ片S4は、焼結機1を監視制御するオペレータによって除去される。
【0050】
(実施形態に係る焼結機の作用効果)
焼結機1は、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定したときに、開口部19aが閉塞したことを示す閉塞信号を出力するので、開口部19aに堆積したケーキ片S4がパレット10に接触して焼結機1の動作が停止することを防止できる。
【0051】
また、焼結機1では、ケーキ片検出センサ20によって撮像された開口部19aを含む領域の画像に基づいて開口部19aがケーキ片S4によって塞がれているか否かが判定されるので、判定精度が高い画像処理技術を使用して判定処理が実行可能である。焼結機1は、判定精度が高い画像処理技術を使用して、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれているか否かを判定するので、判定処理を高精度に実行できる。
【0052】
また、焼結機1では、1つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも長く、隣接する2つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも短い時間を閉塞時間として使用する。焼結機1では、1つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも長い時間を閉塞時間として使用することで、隣接するパレット10から排出されシンターケーキS2が、開口部19aの上方に堆積するおそれが低くなる。
【0053】
また、焼結機1では、隣接する2つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも短い時間を閉塞時間として使用することで、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれているか否かを比較的短い時間で判定できる。
【0054】
(実施形態に係る焼結機の変形例)
焼結機1では、開口部19aを含む領域に存在するケーキ片S4を示すケーキ片情報を撮像装置であるケーキ片検出センサ20が取得するが、実施形態に係る焼結機では、撮像装置以外のセンサをケーキ片検出センサとして使用してもよい。
【0055】
図8は、変形例に係る焼結機の概略構成を説明する図である。
【0056】
焼結機2は、ケーキ片検出センサ50及び制御装置51をケーキ片検出センサ20及び制御装置21の代わりに有することが焼結機1と相違する。ケーキ片検出センサ50及び制御装置51以外の焼結機2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された焼結機1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0057】
ケーキ片検出センサ50は、開口部19aを含む領域との間の距離を検出するマイクロ波距離センサ等の距離センサであり、ケーキ片検出センサ20と同様に開口部19aの側方に開口部19aを見下ろすように配置される。
【0058】
図9は、制御装置51のブロック図である。
【0059】
制御装置51は、処理部60を処理部40の代わりに有することが制御装置21と相違する。処理部60以外の制御装置51の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された制御装置21の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0060】
処理部60は、測離指示部61、距離情報取得部62及び距離判定部63を撮像指示部41、画像情報取得部42及び画像判定部43の代わりに有することが処理部40と相違する。測離指示部61、距離情報取得部62及び距離判定部63以外の処理部60の構成及び機能は、処理部40の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0061】
(変形例に係る画像判定学習処理)
図10は、制御装置51により実行される閉塞判定処理のフローチャートである。図7に示す閉塞判定処理は、予め記憶部32に記憶されているプログラムに基づいて、主に処理部60により制御装置51の各要素と協働して実行される。
【0062】
まず、測離指示部61は、開口部19aを含む領域に含まれる所定の地点との間の距離を測定することをケーキ片検出センサ50に指示する(S201)。ケーキ片検出センサ50は、測離指示部61から測離を指示されることに応じて、開口部19aを含む領域との間との間の距離を測定し、測定した距離を示す測離信号を制御装置51に出力する。例えば、ケーキ片検出センサ50は、開口部19aの長手方向の一端から他端に向けて開口部19aの近傍の地点との間の距離を開口部19aの長手方向に沿って順次測定する。測離指示部61は、ケーキ片検出センサ20から入力される測離信号に対応する画像を示す測離情報を記憶部32に記憶する。次いで、距離情報取得部62は、記憶部32に記憶される距離情報を取得する(S202)。
【0063】
次いで、距離判定部63は、S202の処理で取得された距離情報に対応する距離から、所定の基準高さと測定された地点の高さとの間の高度差を演算する(S203)。基準高さは、例えばケーキ片検出センサ50の高さである。距離判定部63は、演算した高度差を、測定された地点を示す情報と関連付けて記憶部32に記憶する。
【0064】
図11は、距離判定部63によって演算される高度差の一例を示す図である。図11において、横軸は開口部19aの長手方向の位置を示し、縦軸は基準高さと測定された地点の高さとの間の高度差を示す。
【0065】
次いで、距離判定部63は、S202の処理で取得された距離情報からS203の処理で演算された高度差に基づいて、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれているか否かを判定する(S203)。距離判定部63は、2以上の所定の数の位置で連続して高度差が所定のしきい値よりも小さいときに、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定する。
【0066】
図11においてAで示される位置では、高度差はしきい値よりも小さいものの、1つの位置のみで高度差がしきい値よりも小さいので、距離判定部63は、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定しない。一方、図11においてBで示される位置では、2以上の8つの位置で連続して高度差がしきい値よりも小さいので、距離判定部63は、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定する。
【0067】
距離判定部63によって開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていないと判定される(S204-NO)と、処理はS201に戻る。以降、距離判定部63によって開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定される(S204-YES)まで、所定の期間ごとにS201~S204の処理が繰り返される。
【0068】
距離判定部63によって開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定される(S204-YES)と、計時部44は、閉塞時間の計時を開始する(S205)。閉塞時間が経過して、計時部44による閉塞時間の計時が終了すると、測離指示部61は、開口部19aを含む領域を撮像することをケーキ片検出センサ20に指示する(S206)。次いで、距離情報取得部62は、記憶部32に記憶される距離情報を取得する(S207)。
【0069】
次いで、距離判定部63は、S207の処理で取得された距離情報に対応する距離から、基準高さと測定された地点の高さとの間の高度差を演算する(S208)。次いで、S208の処理で演算された高度差に基づいて、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれているか否かを判定する(S209)。距離判定部63によって開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていないと判定される(S209-NO)と、処理はS201に戻る。
【0070】
距離判定部63によって開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定される(S209-YES)と、閉塞信号出力部45は、開口部が閉塞したことを示す閉塞信号を出力部34に出力する(S210)。
【0071】
また、焼結機1では、制御装置は、ケーキ片S4が所定の閉塞時間に亘って開口部19aを覆う位置に存在したと判定したときに、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定する。しかしながら、実施形態に係る焼結機では、制御装置は、他の判断基準に従って開口部がケーキ片S4によって塞がれていると判定してもよい。例えば、実施形態に係る焼結機では、制御装置は、所定の面積よりも広い面積に亘ってケーキ片S4が開口部19aを覆う位置に存在したと判定したときに、開口部19aがケーキ片S4によって塞がれていると判定してもよい。
【0072】
また、焼結機1では、閉塞時間は、1つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも長く、隣接する2つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも短い時間である。しかしながら、実施形態に係る焼結機では、閉塞時間は、1つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも短くてもよく、隣接する2つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも長くてもよい。
【0073】
例えば、実施形態に係る焼結機では、閉塞時間は、パレット10から排出されシンターケーキS2が開口部19aから視認されなくなる時間の実測値に基づいて、パレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間よりも短い時間としてもよい。また、実施形態に係る焼結機では、閉塞時間は、隣接する3又は4つのパレット10がクラッシングガイド16の先端を通過する時間としてもよい。
【0074】
また、焼結機1は、単一のケーキ片検出センサを有するが、実施形態に係る焼結機は、複数のケーキ片検出センサを有してもよい。例えば、実施形態に係る焼結機は、開口部19aの側方に開口部19aを見下ろすように配置される一対のケーキ片検出センサ20を有してもよい。実施形態に係る焼結機は、開口部19aの側方に配置される一対のケーキ片検出センサ20を有することで、より近くで撮像された開口部19aの近傍の画像を使用して開口部19aがケーキ片S4によって塞がれているか否かを判定することができる。
【符号の説明】
【0075】
1、2 焼結機
10 パレット
11 スプロケット
12 トラックガイド
13 焼結原料供給部
14 点火炉
15 排気装置
16 クラッシングガイド
17 クラッシャー
18 冷却機
19 裏シュート
20、50 ケーキ片検出センサ
21、51 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11