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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046082
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】運搬用台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20230327BHJP
   B65D 19/40 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
B62B3/02 B
B65D19/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154780
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000155045
【氏名又は名称】株式会社本宏製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 俊安
【テーマコード(参考)】
3D050
3E063
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050CC02
3D050CC05
3D050DD03
3D050EE09
3D050EE11
3E063AA31
3E063BA01
3E063BB01
3E063BB10
3E063CB01
3E063CC09
3E063CD03
3E063CD11
3E063CD13
(57)【要約】
【課題】
扉としてのパネルを取り外すことなく従来の台車ともネスティングすることができる運搬用台車を提供する。
【解決手段】
運搬用台車は、前方の前枠部を配置するための前端部と、後方の後枠部を配置するための後端部と、前端部と後端部とを連結するフレームとしての車台と、を有し、車台において、前端部と後端部との中間に位置する中間部に、前枠部と後枠部との間の側面を閉じる開閉部と、を有するものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方の前枠部を配置するための前端部と、
後方の後枠部を配置するための後端部と、
前記前端部と前記後端部とを連結するフレームとしての車台と、を有し、
前記車台において、前記前端部と前記後端部との中間に位置する中間部に、
前記前枠部と前記後枠部との間の側面を閉じる開閉部と、を有する運搬用台車。
【請求項2】
前記開閉部の下方に中間台部と、を有し、
前記開閉部と前記中間台部の間に、他の運搬用台車の車台が侵入可能な隙間を有する請求項1記載の運搬用台車。
【請求項3】
前記開閉部は、側面を閉じる扉部と、
前記扉部を開閉可能に支持する棒状の支持部と、
前記支持部を立設するための支持台部と、を有し、
前記支持台部は、前記中間部に配置されている請求項2記載の運搬用台車。
【請求項4】
前記前枠部と、前記後枠部と、を連結する側枠部と、を有し、
前記側枠部は、前記支持部を支持する請求項3記載の運搬用台車。
【請求項5】
前記扉部を開いたとき前記扉部を固定する孔を具備するロック板と、
前記扉部は、前記孔に嵌合するロック棒と、を有し、
前記ロック棒は、前記扉部が開いたときに前記孔部と嵌合することで、前記扉部を固定 する請求項3または4記載の運搬用台車。
【請求項6】
前記扉部を開いたとき前記扉部を固定する第2ロック部と、
前記第2ロック部と係合する係合部材と、を有し、
前記第2ロック部は、前記車台に配置するとともに、
前記係合部材は、前記扉部に配置する請求項3または4記載の運搬用台車。
【請求項7】
前記扉部を閉じたときにその扉部を固定する第2固定部材と、
前記第2固定部材と接触して固定する第2被固定部と、を有し、
前記第2固定部材は、前記扉部に配置するとともに、
前記第2被固定部材は、前記前枠部に配置する請求項1から6のいずれかに記載の運搬 用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬用台車における前端部及び後端部の底面にそれぞれ二対4個の車輪を有し、それらの中間に1個または2個の中間車輪を有する運搬用台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流通業において商品の運搬あるいは保管用に使用される運搬用台車は、使用時には直進性が求められる一方で、ネスティング状態と呼ばれる当該運搬用台車を保管場所に移動する場合、または保管場所から使用場所に移動する場合に回頭性が求められる。これを解決する手段として車体の前端部及び後端部の底面にそれぞれ二対4個の車輪を有し、それらの中間に1個または2個の中間車輪を有する運搬用台車が周知である。
【0003】
上記運搬用台車は、ネスティング状態から、使用時に移行する場合において、パレットの上に商品を載置するために、ネスティング状態においてほぼ直立に立て掛けられていたパレットを、ほぼ水平状態に回動させる場合に、該パレットが、台枠部に衝突する時における衝撃及び衝撃音を発するという課題がある。
【0004】
上記課題を解決するために、特開2014-091348号公報において、「車台の前端部及び後端部にそれぞれ二対4輪の全方向自在車輪を配置しその中間部には一対2輪の中間車輪を配置した運搬用台車であって、ネスティング時に上方へ引き上げられていたパレットを使用時に下方へ回動させるときにパレットと台枠部との衝撃を吸収するために当該パレットと台枠部との間に衝撃吸収部を介在させるという手段を講じた運搬用台車」を開示している。
【0005】
上記のように構成された運搬用台車は、衝撃吸収部は耐久性に富みいたずらにコストをアップさせることなく衝撃を吸収することができるので、市場において好評を持って受け入れられている。
【0006】
さらに、上記発明において、運搬用台車の正面あるいは背面に、扉としてのパネルを配置したものが要望されている。このようなものとして特開2020-179846号が開示されている。
【0007】
特開2020-179846号に開示されている運搬用台車は、扉としてのパネルが取り外し式であり、また、背面にその扉としてのパネルが配置されたままであるために、従来の台車とネスティングすることができず、ネスティングするためには、新たに上記運搬用台車に買い替える必要がある。
【0008】
【特許文献1】特開2014-091348号公報
【特許文献2】特開2020-179846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記の点に鑑みなされたもので、その課題は、扉としてのパネルを取り外すことなく従来の台車ともネスティングすることができる運搬用台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、第1観点の運搬用台車は、前方の前枠部を配置するための前端部と、後方の後枠部を配置するための後端部と、前端部と後端部とを連結するフレームとしての車台と、を有し、車台において、前端部と後端部との中間に位置する中間部に、前枠部と後枠部との間の側面を閉じる開閉部と、を有するというものである。
【0011】
また、第2観点の運搬用台車は第1観点において、開閉部の下方に中間台部と、を有し、開閉部と中間台部の間に、他の運搬用台車の車台が侵入可能な隙間を有するというものである。
【0012】
また、第3観点の運搬用台車は、第2観点において、開閉部は、側面を閉じる扉部と、扉部を開閉可能に支持する棒状の支持部と、支持部を立設するための支持台部と、を有し、支持台部は、中間部に配置されているというものである。
【0013】
また、第4観点の運搬用台車は、第3観点において、前枠部と、後枠部と、を連結する側枠部と、を有し、側枠部は、支持部を支持するというものである。
【0014】
また、第5観点の運搬用台車は、第3観点または第4観点において、扉部を開いたとき扉部を固定する孔を具備するロック板と、扉部は、孔に嵌合するロック棒と、を有し、ロック棒は、扉部が開いたときに孔部と嵌合することで、扉部を固定するというものである。
【0015】
また、第6観点の運搬用台車は、第3観点または第4観点において、扉部を開いたとき前記扉部を固定する第2ロック部と、第2ロック部と係合する係合部材と、を有し、第2ロック部は、車台に配置するとともに、係合部材は、前記扉部に配置するというものである。
【0016】
また、第7観点の運搬用台車は、第1観点から第6観点において、扉部を閉じたときにその扉部を固定する第2固定部材と、第2固定部材と接触して固定する第2被固定部と、を有し、第2固定部材は、扉部に配置するとともに、第2被固定部材は、前枠部に配置するというものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、扉としてのパネルを取り外すことなく従来の台車ともネスティングすることができる運搬用台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施例における扉が閉じた状態の運搬用台車の斜視図である。
図2】第1実施例における扉が開いた状態の運搬用台車の斜視図である。
図3】第1実施例における扉が閉じた状態の運搬用台車の側面図である。
図4】第1実施例における運搬用台車の左正面図である。
図5】第1実施例の運搬用台車の右正面図である。
図6】第1実施例の運搬用台車の平面図である。
図7】第1実施例における扉が開いた状態の運搬用台車の側面図である。
図8】第1実施例における扉が開いた状態の運搬用台車の平面図である。
図9】第1実施例における扉が開いた状態の複数の運搬用台車をネスティングの状態にした正面状態図である。
図10】第1実施例における扉が開いた状態の複数の運搬用台車をネスティングの状態にした平面状態図である。
図11】第2実施例における扉が閉じた状態の運搬用台車の側面図である。
図12】第2実施例における扉が閉じた状態の運搬用台車の平面図である。
図13】Aは、図11のXIIIAの拡大図である。Bは、図11のXIIIB方向から見た拡大図である。
図14】第2実施例における扉が開いた状態の運搬用台車の側面図である。
図15】第2実施例における扉が開いた状態の運搬用台車の平面図である。
図16】Aは、図14のXVIAの拡大図である。Bは、図14のXVIB方向から見た拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図示の実施形態を参照して第1実施例について説明する。第1実施例の運搬用台車10は、前方F方向に配置されるほぼ梯子状を呈する前枠部20と、後方R方向に配置されるほぼ梯子状を呈する後枠部50と、その前枠部20を立設するように支持する前端部35と、後枠部50を立設するように支持する後端部65とを有する。
【0020】
また、上述の前枠部20は、前端部35に支持されている。すなわち、前枠部20は、前端部35に立設した軸となる主軸21を有し、その主軸21は、前端部35に立設している。また、その主軸21に支えられほぼ水平に配置した第1横桟部22と、その第1横桟部22となだらかに接続し一体化した第1外枠23と、その第1横桟部22に端部においてほぼ垂直に立設した棒状の第2外枠24と、第1外枠23と第2外枠24との間にほぼ水平に配置した複数の横桟部25とを有し、その第1外枠23と第2外枠24と複数の横桟部25とは、上記の通り梯子状を呈するものである。また、第2外枠24の下端部24aは、第1横桟部22から下方に突出し前枠部20に接続している。このように、下端部24aを有することによって、他の運搬用台車10と、ネスティングする際の方向を規制するものである。また、第1外枠23は、被固定取付部28を有し、その被固定取付部28に、後述する扉部が閉じた状態を維持する被固定部29を有する。これについては、さらに後述する。
【0021】
また、前枠部20における第2主軸21aは、主軸21に接続され、第1外枠23と第2外枠24のほぼ中間に位置し、かつ、それらと平行に立設されている。また、その第2主軸21aは、複数の横桟部25と交差するように接続されている。
【0022】
また、後枠部50は、後端部65に支持されている。すなわち、後枠部50は、後端部65に立設した軸となる後主軸51を有し、その後主軸51は、後端部65に立設している。また、その後主軸51に支えられほぼ水平に配置した後第1横桟部52と、その後第1横桟部52となだらかに接続し一体化した後第1外枠53と、その後第1横桟部52の端部においてほぼ垂直に立設した棒状の後第2外枠54、後第1外枠53と後第2外枠54との間にほぼ水平に配置した複数の後横桟部55とを有し、その後第1外枠53と後第2外枠54と複数の後横桟部55とは、梯子状を呈するものである。また、後第2外枠54の後下端部54aは、後第1横桟部52から下方に突出し後枠部50に接続している。このように、後下端部54aを有することによって、他の運搬用台車10と、ネスティングする際の方向を規制するものである。また、後第2外枠54は、被固定取付部58を有し、その被固定取付部58に、後述する扉部が閉じた状態を維持する被固定部59を有する。これについては、さらに後述する。
【0023】
また、第2後主軸51aは、後主軸51に接続され、後第1外枠53と後第2外枠54の間であって、それらと平行に立設されている。また、複数の後横桟部55と交差するように接続されている。
【0024】
また、第1実施例の運搬用台車10は、その運搬用台車10のフレームとして機能する車台80を有し、その車台80は棒状を呈しその断面形状が口の字状の中空構造を有する部材で構成されている。第1実施例では、断面形状が口の字状の中空構造を有する部材を複数並列に配置しても好ましい。車台80は、前方F方向において主軸21と接続し、後方R方向においては外筒部85に接続されている。外筒部85は筒状を呈し、後主軸51に対し嵌合するように上下動可能に配置されている。また、後述する車台80における上述の前端部35と、後端部65との中間に位置する中間部83の下方に中間台部70が取り付けられている。なお、第1実施例のように、中間部83の直下に中間台部70が取り付けられていることも好ましい。
【0025】
また、第1実施例の運搬用台車10は、図示しない物品を載置するための台板としてのパレット90を有し、そのパレット90は、物を配置するために水平方向に位置する場合と、ネスティングする際にほぼ垂直方向に位置する場合と、に回動可能に配置されている。パレット90は、軸となる棒状の軸部91を有する。また、中空筒状のパイプ部91は、後枠部50における桟部52に取り付けられており、上述の棒状の軸部91は、その中空筒状のパイプ部92内に回動可能に取り付けられている(図5参照)。このように、パイプ部92内に配置した軸部91周りに回動することで、上述の通り、パレット90は、物を配置するために水平方向に位置する場合と、ネスティングする際にほぼ垂直方向に位置する場合とに、回転することができる。
【0026】
また、前端部35の底面には360度全方向自在に方向を転換する車輪である車輪部57、57が取り付けられている。後端部65の底面においても360度全方向自在に方向を転換する車輪である車輪部67、67が取り付けられている。さらに、中間台部70は、走行する方向が固定された車輪である中間車輪部72、72が取り付けられている。このように第1実施例の運搬用台車10は、その前端部35及び後端部65の底面に配置した二対4個の車輪部57、57、67、67および前記中間車輪部72、72を有するいわゆる6輪台車である。
【0027】
また、第1実施例の運搬用台車10は、ブレーキ装置100を有している。ブレーキ装置100は、中間車輪72、72の回転をロックすることが可能で、そのブレーキ装置100はすでに公知である。
【0028】
また、車台80において、上述の前端部35と、後端部65との中間に位置する中間部83に、第1実施例の運搬用台車10における前枠部20と後枠部50の間の側面Sを開閉可能に閉じるための開閉部200を有している。また、この中間部83の下方に上述の中間台部70が配置されている。また、中間部83の下方に中間台部70が配置され、その中間部83には開閉部200が配置されているので、開閉部200と、中間台部70とが配置されている高さ(床Gからの高さ)が異なり、開閉部200と、中間台部70との間に隙間Tを有している。この隙間Tに(図2参照)、後述するようにネスティンするときに他の運搬用台車の車台が、侵入することができるので複数の運搬用台車をネスティングすることができる。
【0029】
開閉部200は、扉部210F、210Rと、その扉部210F、210Rを開閉可能に支持する棒状の支持部220、220と、支持部220、220を立設するための支持台部230と、を有する。支持台部230は、車台80における中間部83の上方に取り付けられている。また、扉部210Fと扉部210Rとは、互いに対称であることが好ましく、扉部210Fについて説明し、扉部210Rについては、同一の符号を付しその説明を省略する場合がある。もっとも、扉部210Fと扉部210Rとはその構成が異なるものを排除するものではない。なお、扉部210Fにおける固定部材250と、扉部210Rにおける固定部材250との大きさが異なる場合がある。なお、固定部材250については後述する。
【0030】
扉部210Fは、ロの字状の外枠部211と縦桟212と複数の横桟213とを有し、外枠部211は、棒状の支持部220が回動部材214に回動可能に取り付けられている。また、ロの字状の外枠部211において、上述の縦桟212と連なるように配置されているロック棒215が、配置されている。また、回動部材214は支持部220に対して上下移動(スライド移動)可能に取り付けられている。なお、ロック棒215にいては後述する。
【0031】
支持台部230は、平板状を呈し、車台80の中間部83に、その支持台部230の元部分231が取り付けられており、幅H方向に突出するように先端部232を有し、その先端部232に棒状の支持部220、220が立設されている。
【0032】
また、支持台部230における元部分231は、孔241を有するロック板240を配置している。ロック板240における孔241は、開いた状態の扉部210Fを固定するためのロック棒215と嵌合する。これにより、開いた状態の扉部210Fをロックし、ネスティング状態を維持することができる。なお、扉部210Fは、回動部材214に対して上下移動可能に取り付けられているので、その扉部210Fを上方に移動することで、ロック棒215は、ロック板240に乗り上げ、その扉部210Fが下方に移動することで扉部210Fがロック板240に固定される(図2参照)。
【0033】
なお、上述の固定部材250は、上述の被固定部29と係合することにより、扉部210Fを閉じた状態に維持することができるものである。また、固定部材250は、金属片を折り曲げて作成することができ、フック状を呈するものが好ましい。例えばこの固定部材250がフック状を呈する場合に、被固定部材29は環状を呈するものとし、フック状を呈する固定部材250を係合させるためには、固定部材250を有する扉部210Fを、上方から下方にスライド移動させることで、それらを係合させることができる。また、扉部210Rについても同様に、その扉部210Rを、上方から下方にスライド移動させることで、フック状を呈する場合においてその固定部材250を、環状を呈する場合における被固定部材59に係合させることができる。このようにして、固定部材250は、上述の被固定部59と係合することにより、扉部210Rを閉じた状態に維持することができる。
【0034】
また、第1実施例の運搬用台車10は、前枠部20と後枠部50とを連結する側枠部300を有している。具体的に側枠部300は、前枠部20における第1外枠23の上端と後枠部50における後第2外枠54の上端と連結するとともに、支持部220、220の上端とも接続している。
【0035】
また、側枠部300は、支持部220、220の上端を固定することにより、この支持部220、220に回転可能に取り付けられている扉部210F、210Rをスムーズの回転させることができる。扉部210F、210Rが閉じると、第1実施例の運搬用台車10の側面Sを塞ぐことができる。具体的には、開閉部200における扉部210Fが閉じると、側枠部300と前枠部20における第1外枠23と支持部220によって出現する側面SFが塞がれる。また、同様に、扉部210Rが閉じると、側枠部300と支持部220と、後第2外枠54によって出現する側面SRが塞がれる。このように開閉部200は、閉じたときに、側枠部300と前枠部20と、後枠部50との間の側面Sを塞ぐことができる。この場合、扉部210F、210Rは、車台80と平行に配置されている。
【0036】
次に、開閉部200が開くと、その開閉部200は、平面視において中間部83と重なるものである。具合的には、閉じた状態の開閉部200における扉部210F、210Rが開く。このとき平面視において、扉部210F、210Rは、たがいに背中合わせに接するように、かつ、車台80に対して垂直となり、中間部83と重なるように配置される。
【0037】
また、中間部83の下方に中間台部70が配置され、また、開閉部200における支持部220、220と、その支持部220、220を立設するための支持台部230についても、平面視において、開閉部200と中間台部70と重なるように配置される。したがって扉部210F、210Rが開くと、平面視において、開閉部200と中間台部70が、重なるように配置される。また、上記の通り、開閉部200と、中間台部70との間に隙間Tを有している。よって、後述するようにネスティング状態にした運搬用台車10と、ネスティング状態にした運搬用台車10とが互いに干渉することなくネスティングすることができる。また、第1実施例の運搬用台車10のみならず従来の運搬用台車ともネスティングすることができる。
【0038】
上記構成の運搬用台車10の使用方法について説明する。上記構成の運搬用台車10の使用状態において、パレット90を回転させて垂直にする。すなわちパレット90を後枠部50に立て掛けるように配置する。この場合、中間車輪72、72が床Gから離れるように配置される。
【0039】
次に、開閉部200によって、第1実施例の運搬用台車10の側面Sを塞いだ状態から(図1参照)、開閉部200を開くと、その開閉部200は、平面視において中間台部70と重なるものである。具合的には、閉じた状態の開閉部200における扉部210F、210Rが開くと、平面視において、扉部210F、210Rは、たがいに接するように、かつ、車台80に対して垂直となり、平面視において中間台部70と重なるように配置される。この状態が、複数の運搬用台車10をいわゆるネスティングするのに適したネスティング状態となる。
【0040】
このネスティング状態の運搬用台車10を、複数ネスティングする。ネスティング状態の運搬用台車10の各部に、それぞれA、B、C、Dと符号を付し説明する。符号Aを付した各部材は、運搬用台車10Aの各部を示しており、同様に符号Bを付した各部材は、運搬用台車10Bの各部を示しており、以下C、Dについても同様である。
【0041】
運搬用台車10A、運搬用台車10B、運搬用台車10C、運搬用台車10Dをそれぞれネスティングする。具体的には、それぞれ右方向Rにずれるように配置する。
【0042】
このとき、開閉部200A、200B、200C、200Dは、平面視において、中間台部70A、70B、70C、70Dに重なって配置されている。さらに、開閉部200Aと、中間台部70Aとの間に隙間TAを有している。同様に、開閉部200Bと、中間台部70Bとの間に隙間TBを有している。開閉部200Cと、中間台部70Cとの間に隙間TCを有している。さらに、開閉部200Dと、中間台部70Dとの間に隙間TDを有している。
【0043】
複数の運搬用台車をネスティンするときに、車台80Aが隙間TBに侵入し、車台80Bが、隙間TCに侵入することで、複数の運搬用台車をネスティングすることができる。このようにして、上述の運搬用台車10A、運搬用台車10B、運搬用台車10C、運搬用台車10Dが互いに干渉することなくネスティングすることができる。また、図示しないが、従来の運搬用台車ともネスティングすることができる。
【0044】
次に第2実施例の運搬用台車12について説明する。第2実施例の運搬用台車12は、閉じた状態の扉部210Fを固定する第2固定部材550と、その第2固定部材550と接触して固定する第2被固定部580を有するものである。また、同様に扉部210Rにおける第2固定部材550と第3被固定部590を有するものである。
【0045】
第2固定部材550は、磁石を使用することが好ましく、具体的には、スガツネ工業社製の製品番号MC-158が好ましい。これは、すでに公知であり、薄板状を呈する本体の中央に、ネオジウム磁石が配置されているというものである。また、第2被固定部580は、そのネオジウム磁石に吸着するために金属製であって、薄板状を呈するものが好ましい。
【0046】
また、第3被固定部590は、そのネオジウム磁石に吸着するために金属製であって、薄板状を呈するものが好ましい。また、第3被固定部590は、第2被固定部580よりも、その面積を大、すなわち高さおよび幅を、大とすることも好ましい。上記のとおり、上記構成の運搬用台車10の使用状態において、後枠部50に固定されたパイプ部92の内部に配置された棒状の軸部91が回動可能に配置され、そのパイプ部92の内部に配置された棒状の軸部91周りにパレット90を回転させて垂直にし、パレット90を後枠部50に立て掛けるように配置すると、中間車輪72、72が床Gから離れるように配置されることにより、第3被固定部590が、上下動する。このように、第3被固定部590が、上下動する範囲において、第2固定部材550と吸着させるために、上記の通り、第3被固定部590は、第2被固定部580よりも、その面積を大、すなわち高さおよび幅を、大とすることが好ましいのである。
【0047】
第2固定部材550は、扉部210Fのロの字状の外枠部211における縦部211aに上下2か所取り付けられている。また、第2被固定部580は、第2外枠24に上下2か所取り付けられており、それらの位置は、一致するように配置されている。
【0048】
第2固定部材550は、扉部210Rのロの字状の外枠部211における縦部211aに上下2か所取り付けられている。また、第3被固定部590は、後第1外枠53に上下2か所取り付けられており、それらの位置は、一致するように配置されている。このように、第2固定部材550と、第2被固定部580、あるいは、第2固定部材550と、第3被固定部590を配置することによって、扉部210Fおよび扉部210Rについて閉じた状態を維持することができる。なお図示しないが、上記構成の閉じた状態の扉部210Fを固定する第2固定部材550と、第2被固定部580、また、扉部210Rにおける第2固定部材550と第3被固定部590も第1実施例の運搬用台車10に配置することも好ましい。
【0049】
さらに、第2実施例の運搬用台車12と第1実施例の運搬用台車10との相違は、開いた状態の扉部210Fあるいは扉部210Rを固定する第2ロック部600F、600Rとその第2ロック部600F、600Rに係合する係合部材700を有する点が異なる。したがって、それ以外はほぼ同様であり、第1実施例の運搬用台車10と同一の部分には同一の符号を付しその説明を省略する場合がある。第2ロック部600F、600Rは、扉部210Fにおけるロの字状の外枠部211の最下部に配置されている下部211bから吊り下げられるように配置されている。また、第2ロック部600F、600Rは、いわゆる転動するように配置されたローラー部610F、610Rとそのローラー部610F、610Rをそれぞれ取り付ける取り付け部620F、620Rを有する。取り付け部620F、620Rは、文字通り第2ロック部600F、600Rを取り付けるためのものである。
【0050】
また、上述の係合部材700は、支持台部230における元部分231に配置されている。係合部材700は、側面視、テーパー状に傾斜する第1傾斜部710Fと第2傾斜部710Rと、その間に配置した溝状の第1溝部720Fと第2溝部720Rとを有する(図16参照)。
【0051】
扉部210Fを開こうとすると、第2ロック部600Fにおけるローラー部610Fが、側面視、テーパー状に傾斜する第1傾斜部710Fを駆け上がるように移動し、第1溝部720Fに落とされ、その第1溝部720Fと係合する。これによって、扉部210Fが開いた状態で支持台部230に固定される。
【0052】
また同様に、扉部210Rを開こうとすると、第2ロック部600Rにおけるローラー部610Rが、側面視、テーパー状に傾斜する第2傾斜部710Rを駆け上がるように移動し、第2溝部720Rに落とされ、その第2溝部720Rと係合する。これによって、扉部210Rが開いた状態で支持台部230に固定される。なお、上記の構成以外は第2実施例の運搬用台車12は第1実施例の運搬用台車10と同一であり、その同一の部分については同一の符号を付しその説明を省略する。よって、いわゆるネスティングする動作は同一であり、運搬用台車12は第1実施例の運搬用台車10とネスティングすることもできるとともに従来の運搬用台車ともネスティングすることができる。
【0053】
上記構成の第2実施例の運搬用台車12において、図示しない作業者が、扉部210Fを閉じようとする作業は、図11において図面手前側においてするために、開いた扉部210Fを図面奥行き方向に押せば、第2固定部材550と、第2被固定部580が接触して固定されるので扉部210Fを閉じようとする作業者は、図11において図面奥行き側に回り込む必要がない。
【0054】
次に、図示しない作業者が、扉部210Fを開こうとする場合は、扉部210Fを図面手前側にひきもどすことで、容易に、第2被固定部580から、第2固定部材550が離れ、扉部210Fが開く。さらに図示しない作業者は、扉部210Fを図面手前側に引き戻し、第1ロック部600Fにおけるローラー部610Fが、側面視、テーパー状に傾斜する第1傾斜部710Fを駆け上がるように移動し、第1溝部720Fに落とされることで、今度は、開いた状態の扉部210Fが支持台部230に固定される。
【0055】
再び扉部210Fを閉じようとするためには、第1溝部720Fに落とされたローラー部610Fを引き上げるために、扉部210Fを持ち上げることでそのローラー部610Fを第1溝部720Fから離脱させる。これ以降は上述の繰り返しである。このように、いわゆるネスティング作業を、図示しない作業者は、図面(例えば図11図14参照)の手前側で行うことができるので、作業効率を向上させることができる。なお扉部210Rもほぼ同様の動作を行うことで、閉じた状態と開いた状態をそれぞれ維持することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 運搬用台車
20 前枠部
22 第1横桟部
23 第1外枠
24 第2外枠
21 主軸
50 後枠部
55 前端部
65 後端部
70 中間台部
80 車台
83 中間部
200 開閉部
210F、210R 扉部
215 ロック棒
220 支持部
230 支持台部
240 ロック板
241 孔
300 側枠部
550 第2固定部材
580 第2被固定部
590 第3被固定部
600F、600R 第2ロック部
610F、610R ローラー部
620F、620R 取り付け部
700 係合部材
710F 第1傾斜部
710R 第2傾斜部
720F 第1溝部
720R 第2溝部
T 隙間
図1
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