(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046149
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】座、及び、座を備える椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/14 20060101AFI20230327BHJP
A47C 1/023 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A47C7/14 C
A47C1/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154893
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】益永 浩
(72)【発明者】
【氏名】石丸 俊介
(72)【発明者】
【氏名】井澤 晶一
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 新平
【テーマコード(参考)】
3B099
【Fターム(参考)】
3B099BA03
3B099CA01
(57)【要約】
【課題】延出部の復元力を向上させることができる座と、この座を備える椅子を提供することである。
【解決手段】座17は、座受部材20と、座板40と、延出部30と、を備える。延出部30は、固定部32と、可動部33と、屈曲部31を有する。延出部30は、屈曲部31を構成する変形部34を有する。変形部34は、固定部32から屈曲部31を通って可動部33に至る延在屈曲方向における第1幅と、第2方向における第2幅を有する。第2幅は、第1幅よりも短い。変形部34は、延在屈曲方向において屈曲する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に対して交差する第1方向における一端に位置する縁部を有する座受部材と、
前記座受部材の上方において前記座受部材に支持されている座板と、
前記座板に固定される固定部と、前記固定部の下方にする可動部と、前記固定部と前記可動部との間に位置する屈曲部とを有し、前記縁部に対して前記第1方向にオーバーハングするように延出し、弾性的に撓曲可能な延出部と、
を備え、
前記延出部は、前記屈曲部を構成する変形部を有し、
前記変形部は、前記固定部から前記屈曲部を通って前記可動部に至る延在屈曲方向における第1幅と、前記上下方向及び前記第1方向に対して交差する第2方向における第2幅とを有し、
前記第2幅は、前記第1幅よりも短く、
前記変形部は、前記延在屈曲方向において屈曲する、
座。
【請求項2】
前記変形部は、前記第2方向に並ぶ複数の帯状部を有し、
前記複数の帯状部の各々は、前記延在屈曲方向に沿って延在し、
前記複数の帯状部のうち、互いに隣り合う2つの帯状部の間には、前記延出部を貫通する開口部が形成されている、
請求項1に記載の座。
【請求項3】
前記上下方向において、前記延出部の厚さは、前記座板の厚さよりも薄い、
請求項1又は請求項2に記載の座。
【請求項4】
前記延出部は、前記座板とは別の部材である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の座。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の座と、
前記座を支持する支持構造体と、
を備える椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座、及び、座を備える椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、事務用等として用いられる椅子として、前後方向における座の位置が調整可能な椅子が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の椅子の座は、アウターシェルと、アウターシェルの上方に配置されている支持板と、支持板の上方に配置されているインナーシェルと、アウターシェルと支持板との間に配置された円筒体とを備える。
【0003】
インナーシェルは、支持板から前方に延びる延出部を備える。インナーシェルは、張材により被覆されている。円筒体は、回動可能な駆動部であり、インナーシェルを被覆する張材の端部を巻き取る構造を有する。円筒体が一方の回動方向に回動することによって、円筒体に向かう方向に張材が引っ張られ、インナーシェルの延出部は下方に向けて撓み、延出部が後方に引き込まれる。円筒体が他方の回動方向に回転することによって、円筒体から離れる方向に張材が移動し、インナーシェルの延出部は前方に延びる。これにより、座の前後方向における幅が変化する。さらに、インナーシェルの延出部には、左右方向に延びる溝が形成されている。このような溝がインナーシェルに形成されていることで、インナーシェルは、下方に向けて容易に曲がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の椅子においては、インナーシェルは、下方に向けて容易に曲がるように構成されているが、左右方向に延びる溝が広がった状態で、インナーシェルが元の形状に戻り難いという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、延出部の復元力を向上させることができる座と、この座を備える椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る座は、上下方向に対して交差する第1方向における一端に位置する縁部を有する座受部材と、前記座受部材の上方において前記座受部材に支持されている座板と、前記座板に固定される固定部と、前記固定部の下方にする可動部と、前記固定部と前記可動部との間に位置する屈曲部とを有し、前記縁部に対して前記第1方向にオーバーハングするように延出し、弾性的に撓曲可能な延出部と、を備える。前記延出部は、前記屈曲部を構成する変形部を有する。前記変形部は、前記固定部から前記屈曲部を通って前記可動部に至る延在屈曲方向における第1幅と、前記上下方向及び前記第1方向に対して交差する第2方向における第2幅とを有する。前記第2幅は、前記第1幅よりも短い。前記変形部は、前記延在屈曲方向において屈曲する。
【0008】
上述の態様に係る座によれば、延出部の変形部が延在屈曲方向における第1幅と、第1幅よりも短くかつ第2方向における第2幅を有するので、延出部は、延在屈曲方向において曲がり易くなり、かつ、延出部の初期状態に容易に復元することができる。すなわち、延出部の復元力を向上させることができる。
【0009】
本発明の一態様に係る座においては、前記変形部は、前記第2方向に並ぶ複数の帯状部を有し、前記複数の帯状部の各々は、前記延在屈曲方向に沿って延在し、前記複数の帯状部のうち、互いに隣り合う2つの帯状部の間には、前記延出部を貫通する開口部が形成されてもよい。
【0010】
上述の態様に係る座によれば、変形部が、複数の帯状部と、複数の帯状部のうち互いに隣り合う2つの帯状部の間に形成された開口部とを有するので、延出部は、延在屈曲方向において曲がり易くなり、かつ、延出部の初期状態に容易に復元することができる。すなわち、延出部の復元力を向上させることができる。
【0011】
本発明の一態様に係る座においては、前記上下方向において、前記延出部の厚さは、前記座板の厚さよりも薄くてもよい。
【0012】
上述の態様に係る座によれば、延出部の厚さが座板の厚さよりも薄いので、延出部は、延在屈曲方向において曲がり易くなり、かつ、延出部の初期状態に容易に復元することができる。すなわち、延出部の復元力を向上させることができる。
【0013】
本発明の一態様に係る座においては、前記延出部は、前記座板とは別の部材であってもよい。
【0014】
ここで、延出部を構成する材料は、座板を構成する材料よりも柔軟であることが好ましい。この場合、延出部は、延在屈曲方向において曲がり易くなり、かつ、延出部の初期状態に容易に復元することができる。すなわち、延出部の復元力を向上させることができる。
【0015】
本発明の一態様に係る椅子は、上述した態様に係る座と、前記座を支持する支持構造体と、を備える。
【0016】
上述の態様に係る椅子によれば、変形部が、複数の帯状部と、複数の帯状部のうち互いに隣り合う2つの帯状部の間に形成された開口部とを有するので、延出部は、延在屈曲方向において曲がり易くなり、かつ、延出部の初期状態に容易に復元することができる。すなわち、延出部の復元力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様に係る座及び椅子によれば、延出部の復元力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る椅子を斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、座受部材と、延出部と、座板と、変形惹起部とを示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、座板と変形惹起部とを示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、変形惹起部を示す分解斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、延出部を示す分解平面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、延出部の変形例2を示す分解平面図である。
【
図5C】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、延出部の変形例3を示す分解平面図である。
【
図5D】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、延出部の変形例4を示す分解平面図である。
【
図5E】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、延出部の変形例5を示す分解平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、変形惹起部の構造を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、変形惹起部の構造を示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、変形惹起部の動作を説明する断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る椅子を構成する座の要部を示す図であって、変形惹起部の動作を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る椅子について図面を参照して説明する。
以下の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。図面は模式的又は概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0020】
以下の説明において、説明の便宜上、座17に正規姿勢で着座した着座者が前を向く方向を「前方」と称し、その反対方向を「後方」と称する。また、以下の説明における上下、左右の向きは、着座者が座17に正規姿勢で着座したときの着座者を中心とした向きと合致する向きを意味するものとする。なお、図面には、前方方向を指す矢印FRと、後方方向を指す矢印BRと、上方を指す矢印UPと、下方を指す矢印DWと、右側方向を指す矢印RHと、左側方向を指す矢印LHとが記されている。
【0021】
上方向UP及び下方向DWは、上下方向(重力方向)に一致する。前方方向FR及び後方方向BRの各々は、上下方向に対して交差する第1方向に相当する。前方方向FR及び後方方向BRの各々は、水平方向であってもよいし、水平方向に対して傾斜した傾斜方向であってもよい。前方方向FR及び後方方向BRを前後方向FR、BRと称してもよい。
【0022】
右側方向RH及び左側方向LHの各々は、上下方向及び第1方向に対して交差する第2方向に相当する。すなわち、右側方向RH及び左側方向LHは、上下方向及び前後方向FR、BRに対して交差する方向である。右側方向RH又は左側方向LHを単に「側面視」と称してもよい。下方向DWを単に「平面視」と称してもよい。右側方向RH及び左側方向LHを左右方向と称してもよい。
【0023】
<椅子の全体構成>
図1に示すように、本実施形態に係る椅子100は、床面F上に設置される脚部10と、脚部10の上部に設置されるボックス状の支基15と、支基15の上部に取り付けられた座17と、支基15の後部に取り付けられて着座者の背部を支持する背凭れ2と、座17の下部側の両側部から座17の上方側に延出し、着座者の肘や腕先が載せ置かれる肘掛け19と、を備えている。
【0024】
脚部10は、キャスタ11a付きの多岐脚11と、多岐脚11の中央部より起立し昇降機構であるガススプリング(不図示)が内蔵された脚柱12と、を有している。脚柱12は、外筒13と、内筒14と、を有している。外筒13は、多岐脚11に回転不能に嵌合して支持されている。内筒14の下部は、外筒13に水平方向で回転可能に支持されている。内筒14の上部は、支基15に固定されている。支基15は、脚柱12の昇降調整機構と背凭れ2のリクライニング機構が内蔵されている。
【0025】
上述した脚部10、多岐脚11、キャスタ11a、脚柱12、外筒13と、内筒14、及び支基15は、座17を支持する支持構造体である。
【0026】
<座の構成>
図1に示すように、座17は、着座者の臀部及び大腿部を弾性的に支持する。
図1~
図5Aに示すように、座17は、張材17Aと、座受部材20と、延出部30と、座板40と、変形惹起部50と、操作装置70とを備える。なお、
図2においては、張材17Aが省略されている。
図2は、座17を構成する部材のうち、座受部材20、延出部30、座板40、及び変形惹起部50のみを示している。
【0027】
<張材>
図1に示すように、張材17Aは、座17の上面を覆っている。言い換えると、張材17Aは、座板40の板上面40Tと、延出部30の上面30T及び前面30Fと、を覆っている。張材17Aは、例えば、メッシュ等の布製である。張材17Aと座板40との間及び張材17Aと延出部30との間には、クッション等の弾性部材が配置されてもよい。
【0028】
<座受部材>
図2に示すように、座受部材20は、座板40の板下面40Lに固定されている。座受部材20と座板40とを固定する固定構造としては、例えば、ネジを用いた公知の固定構造が採用される。なお、固定構造は、ネジ固定に限られない。
座受部材20が座17を構成するための十分な強度を有する強度部材で構成されていれば、座受部材20を形成する材料は、特に限定されない。例えば、金属や樹脂等の材料で座受部材20を形成することができる。
座受部材20は、前方方向FRにおける一端20Tに位置する縁部20Eを有する。
【0029】
<延出部>
延出部30は、屈曲部31と、固定部32と、可動部33とを有する。さらに、延出部30は、変形部34を有する。変形部34は、屈曲部31を構成する。上下方向において、延出部30の厚さは、座板40の厚さよりも薄い。また、延出部30は、座板40とは別の部材である。延出部30を構成する材料は、座板40を構成する材料よりも柔軟であることが好ましい。
【0030】
延出部30は、延在屈曲方向DRに沿うように延在かつ屈曲している。延在屈曲方向DRは、固定部32から屈曲部31を通って可動部33に至る方向に相当する。
言い換えると、延在屈曲方向DRは、固定部32から屈曲部31に向けて略直線状に延びる方向と、屈曲部31から可動部33に向けて屈曲する方向とが組み合わされて示された方向である。変形部34は、延在屈曲方向DRにおいて屈曲可能である。
【0031】
屈曲部31は、右側方向RHに見てU字状に形成されている。固定部32は、座板40に固定される部位である。可動部33は、固定部32が固定される位置とは反対側に位置する。つまり、固定部32は、延出部30の一端側に位置する。可動部33は、延出部30の他端側に位置する。上下方向において、可動部33は、固定部32の下方に位置する。言い換えると、下方向DWにおいて、可動部33は、固定部32から離れた位置に配置されている。
【0032】
屈曲部31は、右側方向RHに見てU字状に形成されている。屈曲部31は、固定部32と可動部33との間に位置する。延出部30は、座受部材20の縁部20Eに対して前方方向FRにオーバーハングするように延出している。
【0033】
延出部30は、延出部30に対して垂直な方向に延出部30を貫通する開口部30Kを有する。さらに、延出部30は、複数の帯状部30Bを有する。複数の帯状部30Bの各々は、前方方向FRに沿って延在する。複数の帯状部30Bは、右側方向RH及び左側方向LHに並んでいる。複数の帯状部30Bのうち、互いに隣り合う2つの帯状部30Bの間に、上下方向に開口する開口部30Kが形成されている。
【0034】
可動部33は、延出端面33Eと中間部33Mとを有する。延出端面33Eは、前方方向FRにおける可動部33の一端33Tに位置している。中間部33Mは、延出端面33Eと屈曲部31との間に位置する。中間部33Mは、U字状に変形している延出部30の内側に位置する面である。本実施形態において、変形惹起部50は、中間部33Mに連結されている。
なお、変形惹起部50の変形例として、変形惹起部50は、可動部33の延出端面33Eに連結されてもよい。
【0035】
延出部30は、弾性撓曲可能な部材で構成されている。延出部30が弾性撓曲可能であれば、延出部30を形成する材料は、特に限定されない。例えば、樹脂等の材料で延出部30を形成することができる。
【0036】
<変形部>
次に、
図2及び
図5Aを参照して、変形部34について説明する。
図5Aは、
図2に示す座17を分解することによって座17から取り外して得られた延出部30を示す分解平面図である。言い換えると、
図5Aは、座17から取り外された延出部30を下方向DWに見た平面図である。
延出部30は、弾性撓曲可能な部材であるため、座17を分解した際に、撓曲状態(屈曲状態)が解放され、
図5Aに示すように略直線状に延びた形状を有する。
【0037】
図5Aに示すように、座17から取り外された延出部30は、固定部32から可動部33に向かう延在方向ERに向けて延在する。この延在方向ERは、
図2における延在屈曲方向DRに相当する。言い換えると、
図2のように延出部30を座17に組み込んだ場合に、延在方向ERは、延在屈曲方向DRに対応する方向である。
【0038】
図5Aにおいては、延出部30が屈曲状態ではないため
図2に示す屈曲部31が示されていないが、屈曲部31の位置に相当する屈曲発生部31Aが示されている。言い換えると、
図2のように延出部30を座17に組み込んだ場合に、屈曲発生部31Aは、屈曲部31となる部位である。
【0039】
変形部34は、左右方向(右側方向RH及び左側方向LH)に並ぶ複数の帯状部30Bを有する。複数の帯状部30Bの各々は、延在方向ER(延在屈曲方向DR)に沿って延在する。複数の帯状部30Bのうち、互いに隣り合う2つの帯状部30Bの間には、延出部30を貫通する開口部30Kが形成されている。
【0040】
延在方向ERにおいて、複数の帯状部30Bの各々の両端は、固定部32と可動部33とに連結されている。言い換えると、延出部30が座板40及び変形惹起部50に固定されている状態では、延在方向ERにおける複数の帯状部30Bの各々の一端(第1端)は、固定部32に接続され、固定部32を介して座板40に固定されている。さらに、延在方向ERにおける複数の帯状部30Bの各々の他端(第2端)は、可動部33に接続され、可動部33を介して変形惹起部50の可動体51に固定されている。
【0041】
言い換えると、
図5Aに示す帯状部30Bにおいて、固定部32と可動部33との間に屈曲発生部31Aが位置する。一方、例えば、
図2に示すように延出部30が座板40及び変形惹起部50に固定されている状態では、複数の帯状部30Bの各々の屈曲発生部31Aが屈曲した状態となり、屈曲部31が形成される。
なお、延在方向ERに延在する帯状部30Bのうち、屈曲発生部31Aの位置は、限定されない。例えば、固定部32と可動部33との間の中央に屈曲発生部31Aが位置してもよい。固定部32よりも可動部33の近くに屈曲発生部31Aが位置してもよい。可動部33よりも固定部32の近くに屈曲発生部31Aが位置してもよい。屈曲発生部31Aの位置、すなわち、屈曲部31の位置は、後述する操作装置70の操作によって、帯状部30B上において移動する。
【0042】
本実施形態において、変形部34は、略矩形形状を有する6個の矩形開口部30KRと、略三角形状を有する2つの三角開口部30KTを有する。2つの三角開口部30KTは、6個の矩形開口部30KRの外側に位置する。言い換えると、6個の矩形開口部30KRのうち、左側方向LHにおいて最も外側に位置する矩形開口部30KRの隣に一方の三角開口部30KTが配置されている。6個の矩形開口部30KRのうち、右側方向RHにおいて最も外側に位置する矩形開口部30KRの隣に他方の三角開口部30KTが配置されている。本発明は、開口部30Kの個数を限定しておらず、開口部30Kの個数は、6個以上でもよいし、6個以下でもよい。
【0043】
変形部34を構成する複数の帯状部30Bの各々は、延在方向ER(延在屈曲方向DR)における第1幅W1と、左右方向における第2幅W2とを有する。第2幅W2は、第1幅W1よりも短い。つまり、延出部30においては、W2<W1の関係を満たすように変形部34が形成されている。延出部30がこのような構造を有することにより、延在方向ERにおいては容易に曲がるという構造的特徴と、元の形状に容易に復元するという構造的特徴との両方を実現することが可能となる。
【0044】
<変形部の変形例1>
W2<W1の関係を満たせば、変形部34の形状として、様々な形状を採用することができる。
図5Aにおいて、左右方向において、第1幅W1の値を変えてもよい。例えば、左右方向の中央領域に位置するする帯状部30Bの第1幅W1を小さくし、中央領域から右側方向RHに向けて、かつ、中央領域から左側方向LHに向けて、第1幅W1を徐々に大きくしてもよい。
逆に、左右方向の中央領域に位置するする帯状部30Bの第1幅W1を大きくし、中央領域から右側方向RHに向けて、かつ、中央領域から左側方向LHに向けて、第1幅W1を徐々に小さくしてもよい。
【0045】
<変形部の変形例2~5>
変形部34の形状は、
図5Aに示す構造に限定されない。
例えば、
図5B~
図5Eに示す形状が変形部34に採用されてもよい。
図5B~
図5Eにおいては、変形部34のうち矩形開口部30KRと帯状部30Bとが示されており、延出部30を形成するその他の部位は、省略されている。
図5B~
図5Eにおいては、矩形開口部30KRを単に開口部30Kと称する場合がある。
【0046】
<変形例2>
図5Bに示す変形部の変形例2においては、変形部34は、
図5Aに示す形状とリブ30Lとを備えている。リブ30Lは、左右方向に延びており、互いに隣接する2つの帯状部30Bの間に設けられている。言い換えると、リブ30Lは、互いに隣接する2つの帯状部30Bを接続している。
【0047】
複数のリブ30Lの位置は、左右方向において互いにずれている。言い換えると、左右方向において互いに隣り合う2つのリブ30Lのうち、一方のリブ30Lの延在方向ERにおける位置と、他方のリブ30Lの延在方向ERにおける位置とが異なる。
このようなリブ30Lが設けられていることで、変形部34は、開口面積が小さい開口部30Kと、開口面積が大きい開口部30Kとを有する。
このような変形部の変形例2においても、上述したW2<W1の関係が満たされている。なお、複数のリブ30Lの配置及び個数は、
図5Bに示す例に限定されない。
【0048】
<変形例3、4>
図5Cに示す変形部の変形例3においては、変形部34における左右方向の中央に位置する開口部30K1の開口面積S1が最も大きく、左右方向の中央よりも右側方向RHに位置する複数の開口部30Kの開口面積S2が開口面積S1よりも小さい。また、左右方向の中央よりも左側方向LHに位置する複数の開口部30Kの開口面積S3が開口面積S1よりも小さい。
このような変形部の変形例3においても、上述したW2<W1の関係が満たされている。
【0049】
図5Dに示す変形部の変形例4においては、右側方向RHにおいて最も外側に位置する右開口部30K2の開口面積S2と、左側方向LHにおいて最も外側に位置する左開口部30K3の開口面積S3とが最も大きい。右開口部30K2と左開口部30K3との間に位置する複数の開口部30K1の各々の開口面積S1は、開口面積S2、S3の各々よりも小さい。
このような変形部の変形例4においても、上述したW2<W1の関係が満たされている。
【0050】
また、上述したW2<W1の関係が満たされていれば、変形部34が備える複数の開口部30Kの開口パターン、リブ30Lのパターン、複数の帯状部30Bのパターンは、自由に設定することが可能である。
【0051】
<変形例5>
図5Eに示す変形部の変形例5においては、複数の開口部30Kで構成された格子パターンを有するように変形部34が形成されている。この格子パターンにおいては、複数の開口部30Kは、延在方向ER及び左右方向に沿って並んでいる。左右方向において互いに隣り合う2つの開口部30Kの間に位置する部位が、1つの帯状部30Bである。複数の帯状部30Bは、延在方向ERに沿って延在している。延在方向ERにおける帯状部30Bの幅が第1幅W1である。互いに隣り合う2つの開口部30Kの間において、左右方向における帯状部30Bの幅が第2幅W2である。
このような変形部の変形例5においても、上述したW2<W1の関係が満たされている。
【0052】
変形例5においては、複数の開口部30Kによって格子パターンが形成されている場合について説明した。複数の開口部30Kによって形成されるパターンは、格子パターンに限定されない。延在方向ER及び左右方向において、変形部34の単位面積あたりの開口部30Kの個数を変えてもよいし、変形部34の単位面積あたりの複数の開口部30Kの開口面積の合計を変えてもよい。
【0053】
<座板>
座板40は、延出部30の固定部32に連結されている。座板40は、座受部材20の上方において座受部材20に支持されている。座板40は、板下面40L上において、右側方向RHにおける右領域41(右側縁部)と、左側方向LHにおける左領域42(左側縁部)とを有する。つまり、座板40は、左右方向において、右側縁部と左側縁部とを有する。
座板40が座17を構成するための十分な強度を有していれば、座板40を形成する材料は、特に限定されない。例えば、金属や樹脂等の材料で座板40を形成することができる。また、延出部30と座板40とは、固定部32において一体化されてもよい。
【0054】
<変形惹起部>
図3及び
図4に示すように、変形惹起部50は、可動体51と、2つの位置決めレール60(60R、60L)と、2つの操作装置70(70R、70L)とによって構成されている。本実施形態において、変形惹起部50は、座板40に支持されている。具体的に、変形惹起部50は、座板40の板下面40Lに固定されている。
【0055】
座板40の板下面40Lにおいて、2つの位置決めレール60(60R、60L)の間に座受部材20が配置されている。これにより、座板40と座受部材20とが連結固定される構造において、変形惹起部50が座受部材20と干渉することがない。
なお、変形惹起部50の変形例として、変形惹起部50は、座受部材20に支持されてもよい。以下の説明では、2つの位置決めレール60(60R、60L)を単に位置決めレール60と称する場合がある。
【0056】
<可動体>
可動体51は、ロッド部52と、2つのロッド支持部55R、55Lとで構成されている。可動体51の構造において、ロッド部52及び2つのロッド支持部55R、55Lが一体化されてもよい。可動体51の構造において、ロッド部52及び2つのロッド支持部55R、55Lは、互いに分離可能な別の部材で構成されてもよい。
【0057】
ロッド部52は、右側方向RH及び左側方向LHに延在する部材である。
図2に示すように、ロッド部52は、延出部30の可動部33に連結かつ固定されている。ロッド部52と可動部33とを固定する固定構造としては、例えば、ネジを用いた公知の固定構造が採用される。なお、固定構造は、ネジ固定に限られない。
【0058】
2つのロッド支持部55R、55Lは、右ロッド支持部55R(第1ロッド支持部)及び左ロッド支持部55L(第2ロッド支持部)に相当する。右ロッド支持部55Rは、右側方向RHにおけるロッド部52の右端に設けられている。左ロッド支持部55Lは、左側方向LHにおけるロッド部52の左端に設けられている。
【0059】
図4に示すように、上下方向におけるロッド部52の位置と、2つのロッド支持部55R、55Lの位置とは異なっている。具体的に、下方向DWにおいて、ロッド部52の位置は、2つのロッド支持部55R、55Lの位置よりも下側に位置している。
【0060】
言い換えると、2つのロッド支持部55R、55Lから下方向DWに向けて突出するようにロッド部52が設けられている。下方向DWにおけるロッド部52と2つのロッド支持部55R、55Lとの間の距離、すなわち、ロッド部52の中心とロッド支持部55R、55Lの中心との間の距離は、延出部30における屈曲部31の曲率、座17の厚さ、椅子100のデザイン性を考慮して適宜決定される。
【0061】
右ロッド支持部55R及び左ロッド支持部55Lの各々は、操作装置70のハウジング71に取り付けられる取り付け突出部56を有する。右ロッド支持部55Rの取り付け突出部56は、右側方向RHに向けて右ロッド支持部55Rから突出している。左ロッド支持部55Lの取り付け突出部56は、左側方向LHに向けて左ロッド支持部55Lから突出している。
【0062】
<位置決めレール>
図3に示すように、2つの位置決めレール60(60R、60L)の各々は、座板40の板下面40Lに固定されている。
2つの位置決めレール60(60R、60L)は、右位置決めレール60R(第1位置決めレール)及び左位置決めレール60L(第2位置決めレール)に相当する。板下面40Lにおいて、右位置決めレール60Rは、右側方向RHにおける右領域41に固定されており、左位置決めレール60Lは、左側方向LHにおける左領域42に固定されている。なお、2つの位置決めレール60は、座板40の板下面40Lや、座板40の左右方向の右領域41及び左領域42に一体的に形成されてもよい。
【0063】
右位置決めレール60R及び左位置決めレール60Lの各々は、前後方向FR、BRに延在する長孔61と、長孔61の内部に形成された複数の位置決め溝62とを有する。複数の位置決め溝62は、前後方向FR、BRにおいて等間隔に形成されている。
【0064】
後述するように、複数の位置決め溝62は、後述する操作装置70の係合部材72の突起部72Pと係合する溝である。互いに隣り合う位置決め溝62の間の距離は、前後方向FR、BRにおける屈曲部31の位置調整の範囲を考慮して、決定されている。
【0065】
右位置決めレール60Rの長孔61には、右側方向RHに沿って右ロッド支持部55Rが挿入されている。左位置決めレール60Lの長孔61には、左側方向LHに沿って左ロッド支持部55Lが挿入されている。
【0066】
<操作装置>
座17は、2つの操作装置70(70R、70L)を備える。
2つの操作装置70(70R、70L)は、右操作装置70R(第1操作装置)及び左操作装置70L(第2操作装置)に相当する。
右操作装置70R及び左操作装置70Lの各々は、5つの部材、すなわち、ハウジング71と、係合部材72と、リンク部材73と、押しボタン74と、スプリング75とによって構成されている。
以下の説明では、2つの操作装置70(70R、70L)を単に操作装置70と称する場合がある。
【0067】
操作装置70の動作回数が増えたとしても操作装置70を安定に動作させることが可能であれば、ハウジング71、係合部材72、リンク部材73、及び押しボタン74を形成する材料は、特に限定されない。例えば、金属や樹脂等の材料で操作装置70の4つの部材を形成することができる。
【0068】
図2~
図4、
図6、及び
図7を参照して、左操作装置70L、左位置決めレール60L、及び左ロッド支持部55Lの連結構造について説明する。
なお、
図6及び
図7は、左操作装置70Lの断面を示している。具体的に、
図6は、係合部材72と押しボタン74との位置関係を示している。また、
図6は、係合部材72が位置決め溝62に嵌合した状態を示している。
図7は、
図6に示す左操作装置70Lの断面とは異なる断面を示している。
図7は、係合部材72、リンク部材73、及び押しボタン74との連結状態を示している。
【0069】
なお、左操作装置70Lの構造は右操作装置70Rの構造と同一であるため、
図4、
図6、及び
図7を参照する説明では、右操作装置70Rを省略する場合がある。同様に、左位置決めレール60Lの構造は右位置決めレール60Rの構造と同一であるため、
図4、
図6、及び
図7を参照する説明では、右位置決めレール60Rを省略する場合がある。
【0070】
図4に示すように、ハウジング71は、左ロッド支持部55Lに連結される連結突起76を有している。連結突起76は、ハウジング71から右側方向RHに向けて突出している。
図4に示す構造では、連結突起76は、左ロッド支持部55Lから離間している状態が示されているが、
図2及び
図3に示すように左操作装置70Lが左ロッド支持部55Lに取り付けられている状態では、連結突起76は、左位置決めレール60Lの長孔61を貫通し、左ロッド支持部55Lに接続されている。
【0071】
図6及び
図7に示すように、左操作装置70Lのハウジング71においては、係合部材72は、前後方向に延在している。リンク部材73は、略上下方向に延在している。押しボタン74は、前後方向に移動可能である。係合部材72、リンク部材73、及び押しボタン74が互いに連結されている。ハウジング71は、係合部材72、リンク部材73、及び押しボタン74の連結状態を維持している。
ハウジング71は、スプリング75を収容する凹部75Rを有する。スプリング75は、下方向DWに向けて係合部材72を付勢している。ハウジング71は、押しボタン74の外形に沿う円弧面71Fを有している。押しボタン74は、円弧面71Fに沿って移動可能である。
【0072】
リンク部材73及び押しボタン74は、左側方向LHに延在する第1シャフト77(軸心)を介して連結されている。着座者が押しボタン74を押圧した際に、押圧力がリンク部材73に伝達することが可能であれば、リンク部材73に対して押しボタン74は固定されてもよいし、リンク部材73に対して第1シャフト77の周りに押しボタン74が回動可能であってもよい。本実施形態では、リンク部材73に対して第1シャフト77の周りに押しボタン74が回動可能である構造が採用されている。
なお、リンク部材73に対して押しボタン74が固定されている構造では、リンク部材73及び押しボタン74は、一体化された同一部材で構成されてもよい。
【0073】
係合部材72及びリンク部材73は、左側方向LHに延在する第2シャフト78(軸心)を介して連結され、固定されている。このため、着座者が押しボタン74を押圧した際に、押圧力は、リンク部材73を介して係合部材72に伝達することが可能である。
本実施形態では、係合部材72及びリンク部材73は、互いに別個の部品である。着座者による押圧力を係合部材72に伝達することが可能であれば、係合部材72及びリンク部材73は、一体化された同一部材で構成されてもよい。
【0074】
係合部材72は、係合部材72から下方向DWに向けて突出する突起部72Pを有する。突起部72Pは、左位置決めレール60Lの長孔61の底面61Bに形成された複数の位置決め溝62に選択的に係合することが可能である。
【0075】
上述した左操作装置70Lの操作は、着座者が押しボタン74を押圧する操作と、着座者が左操作装置70Lを左位置決めレール60L上を摺動させる操作とによって行われる。左操作装置70Lの操作は、右操作装置70Rにおいても行われる。左操作装置70L及び右操作装置70Rを同時に操作することによって、変形惹起部50の位置の調整と、変形惹起部50の位置の決定とが行われる。
【0076】
上述したように、変形惹起部50は、変形惹起部50を構成するロッド部52が延出部30の可動部33に連結された構造を有する。変形惹起部50は、変形惹起部50を構成する操作装置70の操作によって、位置決めレール60に対して操作装置70を摺動(移動)することが可能である。
【0077】
また、前後方向FR、BRに沿う変形惹起部50の移動に伴って可動部33が座受部材20に近接するように、又は、可動部33が座受部材20から離間するように、変形惹起部50は、延出部30を弾性変形させる構造を有する。また、上記構造を有する変形惹起部50は、位置決めレール60上を摺動する構造を有する。
【0078】
<延出部の位置を調整する方法>
次に、
図6~
図9を参照し、延出部30の位置を調整する方法について具体的に説明する。
図8及び
図9においては、上述した椅子100を構成する部材のうち、座17のみを示しており、他の部材は省略されている。
【0079】
延出部の位置を調整する方法は、以下のステップで行われる。
ステップ1:左操作装置70L及び右操作装置70Rの押しボタン74を押圧することにより係合部材72の係合状態を解除
ステップ2:左位置決めレール60L及び右位置決めレール60Rの長孔61に対する左操作装置70L及び右操作装置70Rの摺動
ステップ3:左操作装置70L及び右操作装置70Rの押しボタン74の押圧の終了
次に、上記ステップ1~3を順に説明する。
【0080】
<ステップ1>
椅子100において、着座者は、手指で、左操作装置70L及び右操作装置70Rの押しボタン74を押圧する。押しボタン74が押圧されると、着座者の押圧力は、押しボタン74からリンク部材73に伝達し、かつ、リンク部材73から係合部材72に伝達される。スプリング75が係合部材72を付勢する力(復元力)よりも、着座者の押圧力が大きい場合には、係合部材72の突起部72Pが位置決め溝62から離間する。一方、スプリング75が係合部材72を付勢する力よりも、着座者の押圧力が小さい場合には、係合部材72の突起部72Pによる位置決め状態が維持される。ステップ2では、突起部72Pが位置決め溝62から離間した状態を説明する。
【0081】
<ステップ2>
突起部72Pが位置決め溝62から離間している状態では、すなわち、突起部72Pと位置決め溝62との係合状態が解除されている状態では、左操作装置70Lは、左位置決めレール60Lの長孔61に対して摺動可能となる。また、右操作装置70Rは、右位置決めレール60Rの長孔61に対して摺動可能となる。この状態で、着座者は、左操作装置70L及び右操作装置70Rの各々を長孔61に対して摺動させる。これにより、着座者は、左位置決めレール60Lに対する左操作装置70Lの位置を調整することができ、同様に、右位置決めレール60Rに対する左操作装置70Lの位置を調整することができる。
【0082】
つまり、着座者は、前後方向FR、BRにおいて座17における変形惹起部50の位置を調整することができる。これにより、変形惹起部50に連結された延出部30の可動部33の前後方向FR、BRにおける位置を調整することが可能となる。すなわち、延出部30の前後方向FR、BRにおける屈曲部31の位置を調整することが可能となる。
【0083】
具体的に、
図9に示す配置から
図8に示す配置に向けて変形惹起部50が移動した場合では、変形惹起部50は、前方方向FRにおいて屈曲部31に近接するように移動する。このとき、延出部30の可動部33は、座受部材20に対して離間する。
反対に、
図8に示す配置から
図9に示す配置に向けて変形惹起部50が移動した場合では、変形惹起部50は、後方方向BRにおいて屈曲部31から離間するように移動する。このとき、延出部30の可動部33は、座受部材20に対して近接する。
【0084】
<ステップ3>
また、着座者は、左操作装置70L及び右操作装置70Rの押しボタン74から手指を離間させる。この状態では、スプリング75の復元力の作用により、係合部材72は、下方向DWに付勢される。係合部材72が下方向DWに付勢された状態で、複数の位置決め溝62のうちのいずれかに対応する位置に突起部72Pが到達すると、スプリング75の復元力の作用により、係合部材72は位置決め溝62に係合する。これにより、左位置決めレール60Lに対する左操作装置70Lの位置が決定され、かつ、右位置決めレール60Rに対する右操作装置70Rの位置が決定される。
【0085】
つまり、着座者は、座17における変形惹起部50の位置を決定することができる。これにより、変形惹起部50に連結された延出部30の可動部33の位置を決定することが可能となる。すなわち、延出部30の屈曲部31の位置を決定することが可能となる。
【0086】
<ステップ2、3の変形例>
上述したステップ2、3において、着座者は、変形惹起部50を移動させるために、押しボタン74を常に押し続ける必要はない。突起部72Pと位置決め溝62との係合状態が解除された後、着座者は、押しボタン74から手指を離し、突起部72Pを長孔61の底面61Bに接触させてもよい。言い換えると、係合部材72の突起部72Pを位置決め溝62から外して、突起部72Pを長孔61の底面61B上を摺動させてもよい。つまり、突起部72Pを底面61B上に摺動させながら、延出部30の屈曲部31の位置を調整することが可能である。
【0087】
上述の態様に係る座によれば、延出部30の変形部34が延在屈曲方向DRにおける第1幅W1と、第1幅W1よりも短くかつ左右方向における第2幅W2を有するので、延出部30は、延在屈曲方向DRにおいて曲がり易くなり、かつ、延出部30の初期状態に容易に復元することができる。すなわち、延出部30の復元力を向上させることができる。
【0088】
変形部34は、左右方向に並ぶ複数の帯状部30Bを有し、複数の帯状部30Bの各々は、延在屈曲方向DRに沿って延在している。さらに、複数の帯状部30Bのうち、互いに隣り合う2つの帯状部30Bの間には、延出部30を貫通する開口部30Kが形成されている。この構成によれば、変形部34が、複数の帯状部30Bと、複数の帯状部30Bのうち互いに隣り合う2つの帯状部30Bの間に形成された開口部30Kとを有するので、延出部30は、延在屈曲方向DRにおいて曲がり易くなり、かつ、延出部30の初期状態に容易に復元することができる。すなわち、延出部30の復元力を向上させることができる。
【0089】
上下方向において、延出部30の厚さは、座板40の厚さよりも薄い。この構成によれば、延出部30は、延在屈曲方向DRにおいて曲がり易くなり、かつ、延出部30の初期状態に容易に復元することができる。すなわち、延出部30の復元力を向上させることができる。
【0090】
延出部30は、座板40とは別の部材であり、延出部30は、座板40よりも柔軟である。このため、延出部30は、延在屈曲方向DRにおいて曲がり易くなり、かつ、延出部30の初期状態に容易に復元することができる。すなわち、延出部30の復元力を向上させることができる。
【0091】
さらに、座17を備える椅子100によれば、座17によって得られる効果と同様の効果が得られる。
【0092】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0093】
10・・・脚部、11・・・多岐脚、11a・・・キャスタ、12・・・脚柱、13・・・外筒、14・・・内筒、15・・・支基、17・・・座、17A・・・張材、20・・・座受部材、20E・・・縁部、30・・・延出部、30B・・・帯状部、30F・・・前面、30K、30K1・・・開口部、30K2・・・右開口部、30K3・・・左開口部、30KR・・・矩形開口部、30KT・・・三角開口部、30L・・・リブ、30T・・・上面、31・・・屈曲部、31A・・・屈曲発生部、32・・・固定部、33・・・可動部、33E・・・延出端面、33M・・・中間部、34・・・変形部、40・・・座板、40L・・・板下面、40T・・・板上面、41・・・右領域、42・・・左領域、50・・・変形惹起部、51・・・可動体、52・・・ロッド部、55R、55L・・・ロッド支持部、56・・・突出部、60、60R、60L・・・位置決めレール、61・・・長孔、61B・・・底面、62・・・溝、70、70L、70R・・・操作装置、71・・・ハウジング、71F・・・円弧面、72・・・係合部材、72P・・・突起部、73・・・リンク部材、74・・・押しボタン、75・・・スプリング、75R・・・凹部、76・・・連結突起、77・・・第1シャフト、78・・・第2シャフト、100・・・椅子