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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046172
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】連結型のマット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/10 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
E04F15/10 104F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154922
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000157278
【氏名又は名称】丸五ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】古城 絢史
(72)【発明者】
【氏名】服部 文彦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 泰明
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA19
2E220AA36
2E220AA43
2E220AA45
2E220AA51
2E220AB23
2E220AB24
2E220AC01
2E220AC11
2E220BA01
2E220BB13
2E220DB03
2E220EA05
2E220FA01
2E220FA02
2E220FA03
2E220FA11
2E220GA07X
2E220GA25X
2E220GA26X
2E220GB39X
(57)【要約】
【課題】
隣に配された他のマットと強固に連結できるものでありながら、その連結作業を容易に行うことができる連結型のマットを提供する。
【解決手段】
隣に配された他のマット1の縁部に連結可能な構造を有する連結型のマット1において、マット1の縁部に、前記他のマット1の縁部上側に重ねるための上側重合部2と、前記他のマット1の縁部下側に重ねるための下側重合部3とを設け、下側重合部3の上面に、当該上面から上向きに突出する上向き凸部4を設け、上側重合部2の下面に、上向き凸部4に嵌合可能な形状を有する下向き凹部5を設け、上向き凸部4を前記他のマット1の下向き凹部5に嵌合することによって、前記他のマット1に連結できるようにするとともに、上向き凸部4の上端面における外寄りの部分を、内側になるにつれて高くなる傾斜面αとした。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣に配された他のマットの縁部に連結可能な構造を有する連結型のマットであって、
マットの縁部に、前記他のマットの縁部上側に重ねるための上側重合部と、前記他のマットの縁部下側に重ねるための下側重合部とが設けられ、
下側重合部の上面に、当該上面から上向きに突出する上向き凸部が設けられ、、
上側重合部の下面に、上向き凸部に嵌合可能な形状を有する下向き凹部が設けられ、
上向き凸部を前記他のマットの下向き凹部に嵌合することによって、前記他のマットに連結できるようにするとともに、
上向き凸部の上端面における外寄りの部分が、内側になるにつれて高くなる傾斜面とされた
ことを特徴とする連結型のマット。
【請求項2】
上側重合部の下面における外寄りの部分が、内側になるにつれて高くなる傾斜面とされた請求項1記載の連結型のマット。
【請求項3】
上側重合部及び下側重合部が、マットの縁部から外側に突出して形成され、
マットの縁部における下側重合部の上側に、前記他のマットの上側重合部を外方から嵌め込むための内向き凹部が設けられるとともに、
上側重合部におけるマットの縁部から外側に突出した部分(以下「上側重合部突出部」という。)が、先端側になるにつれて幅狭となるように、上側重合部突出部の一対の側面が傾斜され、
内向き凹部が、奥側になるにつれて幅狭となるように、内向き凹部の一対の内側面が傾斜された
請求項1又は2記載の連結型のマット。
【請求項4】
一の方向に延びる複数本の凸条を略平行に配した第一滑り止め領域と、前記一の方向に非平行な他の方向に延びる複数本の凸条を略平行に配した第二滑り止め領域とが、マットの上面に設けられた請求項1~3いずれか記載の連結型のマット。
【請求項5】
マットの下面側から上面側にケーブル類を導き出すためのケーブル導出部が設けられた請求項1~4いずれか記載の連結型のマット。
【請求項6】
隣に配された他のマットの縁部に連結可能な構造を有する連結型のマットであって、
マットの縁部に、前記他のマットの縁部上側に重ねるための上側重合部と、前記他のマットの縁部下側に重ねるための下側重合部とが設けられ、
上側重合部の下面に、当該下面から下向きに突出する下向き凸部が設けられ、、
下側重合部の上面に、下向き凸部に嵌合可能な形状を有する上向き凹部が設けられ、
下向き凸部を前記他のマットの上向き凹部に嵌合することによって、前記他のマットに連結できるようにするとともに、
下向き凸部の下端面における外寄りの部分が、内側になるにつれて低くなる傾斜面とされた
ことを特徴とする連結型のマット。
【請求項7】
請求項1~6いずれか記載の連結型のマットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣に配された他のマットの縁部に連結可能な構造を有する連結型のマットと、その製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等の各種作業場では、作業員が滑りにくくしたり防音効果を高めたりするために、床面にゴム製のマットを敷くことが行われている。このような用途では、3フィート(約90cm)×6フィート(約180cm)のゴムマット(その寸法から「サブロク板」と呼ばれる。)を敷くことが多い。しかし、サブロク板は、寸法が大きいため、その運搬や保管や敷設が大変であるという欠点があった。
【0003】
この点、一般家屋の室内等の床面に敷くマットとしては、隣に配された他のマットの縁部に連結可能な構造を有する連結型のマットが販売されている。例えば、特許文献1には、同文献の図1に示されるように、凸部20と凹部22とを縁部に繰り返し形成したマット16が開示されている。特許文献1のマットは、同文献の図2に示されるように、凸部20を、隣に配される他のマットの凹部22に嵌め込むことによって、他のマットに連結することができるようになっている。
【0004】
しかし、特許文献1のような連結型のマットは、連結が外れやすいという欠点があった。というのも、歩行する際には、着地した足(前足)から着地面には、歩行している向き(進行方向)に力が加わる一方、蹴っている足(後足)から着地面には、歩行している向きとは逆向きの力が加わる。このため、前足が着地したマットと、後足が蹴っているマットとが異なる場合には、それぞれに逆向きの力が加わることになる。換言すると、それらのマットには、互いに引き離す向きの力が加わる。この力によって、それらのマットを連結していた凸部と凹部の嵌合が浅くなり、その結果、凸部と凹部との嵌合が完全に外れてしまうおそれがあるからである。
【0005】
このような実状に鑑みて、本出願人は、特許文献2に示す連結型のマットを提案している。特許文献2のマットでは、同文献の図1に示されるように、マットの片面側に、複数の凸部Aと複数の凹部Bとを周期的に設けている。特許文献2のマットは、同文献の図4及び図5に示されるように、凸部Aが上向きとなる向きで床面等に敷き詰めた複数枚のマットのうち2枚以上側に跨る状態で、凸部Aが下向きとなるように裏返されたマットを上側から被せるとともに、下側のマット(凸部Aが上向きとなる向きで床面等に敷き詰められたマット)の凸部Aを、上側のマット(凸部Aが下向きとなるように裏返されたマット)の凹部Bに嵌め込み、上側のマットの凸部Aを、下側のマットの凹部Bに嵌め込むことで、複数枚のマットを連結するものとなっている。
【0006】
特許文献2のマットでは、下側のマットに対して上側のマットを持ち上げない限りは、凸部と凹部との嵌合が外れないようになっている。このため、その上面を歩行等しても、マットの連結が外れにくくなっている。しかし、特許文献2のマットを施工する際には、マットの上下を裏返す必要があることに加えて、下側のマットの凸部が上側のマットの凹部に入るように、マットの向きや位置を調節しながら作業する必要があった。このため、マットを手に持って腰を屈めて作業する必要があった。したがって、施工時に労力を要していた。また、施工作業の肉体的負担が大きかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3137684号公報
【特許文献2】特開2017-128967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、隣に配された他のマットと強固に連結できるものでありながら、その連結作業を容易に行うことができる連結型のマットを提供するものである。また、この連結型のマットの製造方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、
隣に配された他のマットの縁部に連結可能な構造を有する連結型のマットであって、
マットの縁部に、前記他のマットの縁部上側に重ねるための上側重合部と、前記他のマットの縁部下側に重ねるための下側重合部とが設けられ、
下側重合部の上面に、当該上面から上向きに突出する上向き凸部が設けられ、、
上側重合部の下面に、上向き凸部に嵌合可能な形状を有する下向き凹部が設けられ、
上向き凸部を前記他のマットの下向き凹部に嵌合することによって、前記他のマットに連結できるようにするとともに、
上向き凸部の上端面における外寄りの部分が、内側(マットの中心側)になるにつれて高くなる傾斜面とされた
ことを特徴とする連結型のマット
を提供することによって解決される。
【0010】
上記のように、上向き凸部と下向き凹部とを上下方向に嵌合する構造を採用することによって、互いに連結されたそれぞれのマットに、水平方向逆向きの力が加わったときでも、その嵌合が外れないようにすることができる。このため、隣り合うマットを強固に連結することができる。
【0011】
また、上向き凸部の上端面における外寄りの部分を、内側になるにつれて高くなる傾斜面としたことによって、マットを手で持ち上げなくても、一のマットの上向き凸部を、他のマットの下向き凹部に嵌め込むことが可能になる。したがって、以下の手順1~4のように、主に足を使ってマットを連結することができる。
[手順1] 一のマットを床面に置く。
[手順2] 一のマットの近くの床面に他のマットを置く。
[手順3] 他のマットを足で蹴りながら、一のマットに近づけていく。
[手順4] 一のマットの縁部と他のマットの縁部とが一致すると、その部分を足で踏みつけ、一のマットの上向き凸部を他のマットの下向き凹部に嵌合するとともに、一のマットの下向き凹部に他のマットの上向き凸部を嵌合する。
【0012】
より詳しく説明すると、上記の手順3において、他のマットを一のマットに近づけていく際には、一のマットの上向き凸部の側方から、他のマットの上側重合部が突き当たるところ、本発明のマットのように、上向き凸部の上端面における外寄りの部分を、内側になるにつれて高くなる傾斜面としておくことで、他のマットの上側重合部がその傾斜面によって押し上げられ、一のマットの上向き凸部の上端面に上側重合部が載った状態とすることができる。換言すると、凸部に設けた傾斜面によって、他のマットの上側重合部を押し上げるように案内することができる。以下においては、上向き凸部の上端面における外寄りの部分に設けられたこの傾斜面を、「第一傾斜面」と呼ぶことがある。また、本発明のマットのうち、上記のように、下側重合部に上向き凸部を設け、上側重合部に下向き凹部を設けた態様のものを、「上向き凸部型のマット」と呼ぶことがある。
【0013】
上向き凸部型のマットにおいては、上側重合部の下面における外寄りの部分を、外側(マットの中心から遠ざかる側)になるにつれて高くなる傾斜面(以下においては、この傾斜面を「第二傾斜面」と呼ぶことがある。)とすることも好ましい。これにより、上記の手順3において、一のマットの上向き凸部の側方から、他のマットの上側重合部が突き当たる際に、一のマットの凸部における第一傾斜面を、他のマットの上側重合部における第二傾斜面に当接させ、他のマットの上側重合部がさらに押し上げられやすくすることができる。
【0014】
上向き凸部型のマットのマットにおいては、
上側重合部及び下側重合部を、マットの縁部から外側に突出して形成し、
マットの縁部における下側重合部の上側に、前記他のマットの上側重合部を外方から嵌め込むための内向き凹部を設けるとともに、
上側重合部におけるマットの縁部から外側に突出した部分(以下「上側重合部突出部」という。)が先端側になるにつれて幅狭となるように、上側重合部突出部の一対の側面を傾斜させ、
内向き凹部が奥側になるにつれて幅狭となるように、内向き凹部の一対の内側面を傾斜させる
ことも好ましい。
【0015】
これにより、上記の手順3において、他のマットを一のマットに近づけていく際に、一のマットに対して他のマットを位置決めしやすくなる。すなわち、他のマットを一のマットに近づけていくと、一のマットの内向き凹部に対して、他のマットの上側重合部が外方から入り込み、他のマットの上側重合部の側面が、一のマットの内向き凹部の内側面に当接するところ、上側重合部の一対の側面と内向き凹部の一対の内側面とを上記のように傾斜させておくことで、一のマットの上向き凸部と、他のマットの下向き凹部とが上下に重なる位置まで、他のマットが自然に案内されるようにすることができる。したがって、マットの連結作業をより容易に行うことが可能になる。
【0016】
ここまでは、下側重合部に上向き凸部を設け、上側重合部に下向き凹部を設ける態様について説明したが、この上下関係は、逆転させることもできる。
すなわち、上記課題は、
隣に配された他のマットの縁部に連結可能な構造を有する連結型のマットであって、
マットの縁部に、前記他のマットの縁部上側に重ねるための上側重合部と、前記他のマットの縁部下側に重ねるための下側重合部とが設けられ、
上側重合部の下面に、当該下面から下向きに突出する下向き凸部が設けられ、、
下側重合部の上面に、下向き凸部に嵌合可能な形状を有する上向き凹部が設けられ、
下向き凸部を前記他のマットの上向き凹部に嵌合することによって、前記他のマットに連結できるようにするとともに、
下向き凸部の下端面における外寄りの部分が、内側(マットの中心側)になるにつれて低くなる傾斜面とされた
ことを特徴とする連結型のマット
を提供することによっても解決される。
本発明のマットのうち、上記のように、上側重合部に下向き凸部を設け、下側重合部に上向き凹部を設けた態様のものを、「下向き凸部型のマット」と呼ぶことがある。
【0017】
この下向き凸部型のマットにおいては、上記の手順3において、他のマットを一のマットに近づけていく際に、一のマットの下向き凸部の側方から、他のマットの下側重合部が突き当たるようになるところ、下向き凸部の下端面における外寄りの部分を、内側になるにつれて低くなる傾斜面としておくことで、一のマットの上側重合部がその傾斜面によって押し上げられるように移動し、一のマットの下向き凸部の下端面が下側重合部に載った状態とすることができる。
【0018】
下向き凸部型のマットにおいても、上向き凸部型のマットにおける第二傾斜面に相当する構成を採用することができる。すなわち、下側重合部の上面における外寄りの部分を、外側になるにつれて低くなる傾斜面とすることができる。
【0019】
また、上向き凸部型のマットにおける内向き凹部に相当する構成も、下向き凸部型のマットで採用することができる。
すなわち、
上側重合部及び下側重合部を、マットの縁部から外側に突出して形成し、
マットの縁部における上側重合部の下側に、前記他のマットの下側重合部を外方から嵌め込むための内向き凹部を設けるとともに、
下側重合部におけるマットの縁部から外側に突出した部分(以下「下側重合部突出部」という。)が先端側になるにつれて幅狭となるように、下側重合部突出部の一対の側面を傾斜させ、
内向き凹部が奥側になるにつれて幅狭となるように、内向き凹部突出部の一対の内側面を傾斜させる
ことができる。
【0020】
本発明のマット(上向き凸部型のマット及び下向き凸部型のマット)においては、その上面に、略平行に配した複数本の凸条からなる滑り止め領域を設けることが好ましい。これにより、マットの上面を歩行する人や、マットの上面を走行する車両等が滑りにくくすることができる。この場合、マットの上面には、凸条の向きが異なる複数の滑り止め領域を設けることが好ましい。具体的には、一の方向に延びる複数本の凸条を略平行に配した第一滑り止め領域と、前記一の方向に非平行な他の方向に延びる複数本の凸条を略平行に配した第二滑り止め領域とを設けることが好ましい。凸条が高い滑り止め性能を発揮できるのは、その凸条に垂直な方向であるところ、凸条の向きが異なる複数の滑り止め領域を設けることで、マットを、複数の方向に対して滑りにくいものとすることができる。
【0021】
ところで、本発明のマット(上向き凸部型のマット及び下向き凸部型のマット)の下側には、電気ケーブルや通信線等のケーブル類が配線されることがある。このため、本発明のマットには、マットの下面側から上面側にケーブル類を導き出すためのケーブル導出部を設けることが好ましい。これにより、配線をマットで覆い隠しながらも、ケーブル類を引き出す必要がある箇所では、上記のケーブル導出部を通じて、ケーブル類をマットの上側に引き出すことが可能になる。したがって、配線の見た目をすっきりさせながら、配線の自由度を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によって、隣に配された他のマットと強固に連結できるものでありながら、その連結作業を容易に行うことができる連結型のマットを提供することが可能になる。また、この連結型のマットの製造方法を提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のマットを連結した状態を示した斜視図である。
図2】本発明のマットを連結した状態を示した平面図である。
図3図2における部分Aを同図におけるY-Y面で切断した拡大断面図である。
図4】本発明のマットを示した斜視図である。
図5】本発明のマットを示した平面図である。
図6】本発明のマットを示した底面図である。
図7】本発明のマットを示した側面図である。
図8】本発明のマットにおける下側重合部周辺と上側重合部周辺とを水平方向に垂直な平面で切断した拡大断面図である。
図9】一のマットの側方から他のマットを近づけていき、一のマットの上向き凸部を他のマットの下向き凹部に嵌合させる様子を示した拡大断面図である。
図10】一のマットの側方から他のマットを近づけていき、一のマットの上向き凸部を他のマットの下向き凹部に嵌合させる様子を示した拡大平面図である。
図11】複数枚のマットを、(a)横方向及び縦方向にずれなく配置した状態と、(b)横方向にピッチをずらして配置した状態とを、それぞれ示した平面図である。
図12】(a)角部用マットを連結した状態と、(b)縁部用マットを連結した状態とを、それぞれ示した平面図である。
図13】縁部用マットの一例を示した図である。
図14】(a)平面視形状が正方形状を為すマットを連結している様子と、(b)平面視形状が正六角形状を為すマットを連結している様子とを、それぞれ示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のマットの好適な実施形態について、図面を用いてより具体的に説明する。既に述べたように、本発明のマットとしては、下側重合部に上向き凸部を設け、上側重合部に下向き凹部を設けた「上向き凸部型のマット」と、下側重合部に下向き凸部を設け、下側重合部に上向き凹部を設けた「下向き凸部型のマット」との2種類があるところ、上向き凸部型のマットにおける上側重合部及び下側重合部の上下関係を逆転させると、下向き凸部型のマットになる。このため、以下においては、上向き凸部型のマットについてのみ説明し、下向き凸部型のマットの説明を割愛する。
【0025】
図1は、本発明のマット1を連結した状態を示した斜視図である。図2は、本発明のマット1を連結した状態を示した平面図である。図3は、図2における部分Aを同図におけるY-Y面で切断した拡大断面図である。図1~3には、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を示している。x軸、y軸及びz軸の向きは、異なる図面であっても共通としている。これは、後掲する図4~10においても同様である。
【0026】
本発明のマット1は、図1~3に示すように、複数枚単位で用いられる。一のマット1の縁部を、その隣に配された他のマット1の縁部に連結していくことで、床面等の施工面における広い範囲をマット1で覆うことができる。このマット1を施工することによって、施工面を滑りにくくすることや、騒音(人の足音や車両の走行音)を軽減することや、施工面を傷や汚れから保護することや、施工面に緩衝性を付与することや、施工面の見た目を良くすること等が可能になる。それぞれのマット1は、各辺(各縁部)の長さが20~100cm前後と寸法が小さいため、その運搬や保管や施工が容易である。
【0027】
マット1の厚さは、特に限定されない。しかし、本発明のマット1では、後述するように、隣り合うマット1における上側重合部2と下側重合部3とを重ね合わせ(後掲の図9を参照。)、下側重合部3の上向き凸部4を、上側重合部2の下向き凹部5に嵌め込むことによって、それらのマット1を連結する。この点、マット1が薄すぎると、上側重合部2や下側重合部3も薄くなって変形しやすくなり(上側重合部2及び下側重合部3のそれぞれの厚さは、通常、マット1の厚さの1/2とされる。)、上向き凸部4と下向き凹部5との嵌合が外れやすくなるおそれがある。このため、マット1の厚さは、5mm以上とすることが好ましい。マット1の厚さは、8mm以上とすることがより好ましく、10mm以上とすることがさらに好ましい。
【0028】
ただし、マット1を厚くしすぎると、マット1の重量が増大する。また、上側重合部2や下側重合部3の剛性が高くなりすぎて、上側重合部2の下向き凹部5に対して下側重合部3の上向き凸部4を嵌合しにくくなる。したがって、マット1を連結する際の作業性が低下する。このため、マット1の厚さは、50mm以下とすることが好ましい。マット1の厚さは、30mm以下とすることがより好ましく、20mm以下とすることがさらに好ましい。本例においては、マット1の厚さを10mmとしており、上側重合部2及び下側重合部3の厚さをそれぞれ5mmずつ確保している。
【0029】
マット1の成形材料は、その用途等によっても異なり、特に限定されないが、弾性材料を用いることが好ましい。これにより、マット1の滑り止め性能や、防音性能や、干渉性能等を高めることができる。加えて、本発明のマット1は、後述するように、上向き凸部4(図3)と下向き凹部5(図3)とを嵌合することによって連結するものであるところ、マット1を弾性材料で形成することによって、上向き凸部4と下向き凹部5とを容易に嵌合しながらも、その嵌合が外れにくくすることも可能になる。弾性材料としては、天然ゴムや各種の合成ゴム等が例示される。なかでも、耐候性や耐久性に優れるゴム材料を使用すると好ましい。例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、シリコンゴム(Si)等のゴム材料を好適に採用することができる。マット1の成形方法は、特に限定されず、プレス成形や射出成形等、各種方法を採用することができる。
【0030】
互いに連結する複数枚のマット1は、異なる形態のものを混在させてもよいが、本例では、全て同じ形態としている。この場合、それぞれのマット1の平面視形状は、敷き詰め可能な形状(隙間のない状態で敷き詰めることができる形状)とされる。敷き詰め可能な形状としては、三角形や、長方形や正方形等の四角形や、正六角形等が例示される。本例においては、それぞれのマット1の平面視形状を正方形としている。
【0031】
図11(a)は、複数枚のマット1を、横方向(x軸方向)及び縦方向(y軸方向)にずれなく配置した状態を示した平面図であり、図11(b)は、複数枚のマット1を、横方向(x軸方向)にピッチをずらして配置した状態を示した平面図である。マット1は、図11(a)に示すように、ずれのない状態で配置してもよいし、図11(b)に示すように、いずれかの方向にピッチをずらしながら配置(同図の例では、横方向(x軸方向)に半ピッチずらしながら配置)してもよい。
【0032】
また、先ほど、互いに連結する複数枚のマット1に、異なる形態のものを混在させることができる旨を述べたが、例えば、次のようなマット1を混在させることができる。図12(a)は、角部用マット1cを連結した状態を示した平面図であり、図12(b)は、縁部用マット1dを連結した状態を示した平面図である。図12(a)では、主に、正方形状のマット1を連結しているところ、マット1の施工領域の角部に、三角形状の角部用マット1cを連結している。この角部には、人の足や車両のタイヤ等が引っ掛かりやすいところ、角部用マット1cを連結することで、その角部に足やタイヤ等が引っ掛かりにくくすることができる。また、図12(b)でも、主に、正方形状のマット1を連結しているところ、マット1の施工領域の縁部(上記の角部を含む。)に、長方形状の縁部用マット1dを連結している。ピッチをずらしながらマット1を連結すると、図11(b)に示すように、施工領域の縁部が凸凹になるところ、図12(b)に示すように、縁部用マット1dを連結することで、施工領域の縁部を綺麗に仕上げることができる。
【0033】
縁部用マット1dとしては、例えば、図13に示すものを用いることもできる。図13(a)は、縁部用マット1dの一例を示した斜視図であり、図13(b)は、図13(a)におけるY-Y断面図である。この縁部用マット1dは、図13(a),(b)に示すように、その外縁(マット1の施工領域の縁部を形成する側の縁部)に、スロープεが設けられたものとなっている。これにより、マット1の施工領域の縁部における段差(マット1の板厚分の段差)を解消することができる。したがって、足が躓きにくくなるだけでなく、台車やフォークリフト等のタイヤもスムーズにマット1の上側に載ることができるようになる。スロープεを有する縁部用マット1dは、マット1の施工領域の外周を囲むように配置することが好ましい。スロープεの傾斜角度は、特に限定されないが、通常、5~30°の範囲とされ、好ましくは、10~20°の範囲とされる。本例においては、スロープεの傾斜角度を約15°としている。
【0034】
図4は、本発明のマット1を示した斜視図である。図5は、本発明のマット1を示した平面図である。図6は、本発明のマット1を示した底面図である。図7は、本発明のマット1を示した側面図である。本発明のマット1は、図4~7に示すように、平板状を為しており、その縁部に、上側重合部2と下側重合部3とが設けられている。
【0035】
上側重合部2は、図3に示すように、そのマット1を隣のマット1に連結した際に、隣のマット1の縁部上側(下側重合部3の上側)に重ねられる部分となっている。一方、下側重合部3は、隣のマット1の縁部下側に重ねられる部分となっている。既に述べたように、本例のマット1の平面視形状は、正方形となっているところ、このマット1のそれぞれの辺(縁部)に、複数の上側重合部2と複数の下側重合部3とを、交互に一定間隔で設けている。本例においては、図5に示すように、上側重合部2と下側重合部3を、マット1の縁部から外側に突出させている。
【0036】
図4に示すように、下側重合部3の上面には、その上面から上向きに突出する上向き凸部4が設けられている。一方、上側重合部2の下面には、下向き凹部5が設けられている。下向き凹部5は、その下側から上向き凸部4を嵌合できる形態とされる。図8(a)に、下側重合部3の周辺を水平方向に垂直な平面(x-z平面に平行な平面)で切断した拡大断面図を、図8(b)に、下側重合部3の周辺を水平方向に垂直な平面(x-z平面に平行な平面)で切断した拡大断面図をそれぞれ示す。図3に示すように、一のマット1aの上向き凸部4を、他のマット1bの下向き凹部5に嵌合することによって、それらのマット1が連結される。
【0037】
このように、上向き凸部4と下向き凹部5とを上下方向に嵌合することによって、互いに連結されたそれぞれのマット1に、水平方向逆向きの力が加わったとき(例えば、x軸方向に隣り合う一対のマット1のうち、x軸方向正側に位置するマット1にx軸方向正側を向く力が加わり、x軸方向負側に位置するマット1にx軸方向負側を向く力が加わったとき)でも、その嵌合が外れないようにすることができる。したがって、隣り合うマットを強固に連結することができる。
【0038】
上向き凸部4は、下向き凹部5に対して下側から嵌め込むことができる形態を有している。上向き凸部4の輪郭の形状(水平断面形状に一致)は、特に限定されず、円形状や、楕円形状(オーバル状)や、多角形状や、これらを組み合わせた形状とすることができる。本例では、図5に示すように、上向き凸部4の輪郭を、オーバル状にしている。これに合わせて、下向き凹部5の輪郭も、オーバル状にしている。このように、上向き凸部4の輪郭と下向き凹部5の輪郭とを略同一形状とすることによって、下向き凹部5に嵌合された上向き凸部4の外周部を、下向き凹部5の内周部でしっかりと保持することができる。したがって、隣り合うマット1を強固に連結することができる。
【0039】
下向き凹部5は、上側重合部2の下面側にのみ開口を有する形態としてもよいが、本例では、図4及び図8(b)に示すように、上側重合部2の下面側及び上面側の双方に開口を有する形態(上側重合部2を下面側から上面側に貫通する形態)としている。これにより、マット1の上側から、下向き凹部5(貫通孔)を通じて、上側重合部2の下側を目視することができる。したがって、一のマット1に対して他のマット1を連結する際に、一のマット1の上向き凸部4の上側に、他のマット1の下向き凹部5が重なったか否かを確認しやすくなっている。
【0040】
また、図4及び図8(a)に示すように、上向き凸部4の上端面における内寄り(下側重合部3の基端側)の領域は、水平面(x-y平面)に対して略平行に形成されているのに対し、上向き凸部4の上端面における外寄り(下側重合部3の先端側)の領域は、水平面に対して傾斜された第一傾斜面αとなっている。この第一傾斜面αは、下側重合部3の先端側になるにつれて低く(下側重合部3の基端側になるにつれて低く)なる向きで傾斜されている。
【0041】
さらに、図8(b)に示すように、上側重合部2の下面における内寄り(上側重合部2の根元側)の領域は、水平面(x-y平面)に対して略平行に形成されているのに対し、上側重合部2の下面における外寄り(上側重合部2の先端側)の領域は、水平面(x-y平面)に対して傾斜された第二傾斜面αとなっている。この第二傾斜面αは、上側重合部2の先端側になるにつれて高く(上側重合部2の基端側になるにつれて低く)なる向きで傾斜されている。
【0042】
このように、下側重合部3における上向き凸部の上端面に第一傾斜面αを設け、上側重合部2の下面に第二傾斜面αを設けることによって、マット1を手で持ち上げなくても、図9に示すように、一のマット1aの側方から他のマット1bを近づけていくことで、一のマット1aの上向き凸部4を、他のマット1bの下向き凹部5に嵌合させることが可能になる。図9は、一のマット1aの側方から他のマット1bを近づけていき、一のマット1aの上向き凸部4を他のマット1bの下向き凹部5に嵌合させる様子を示した拡大断面図である。
【0043】
すなわち、図9(a)に示すように、一のマット1aの近くの床面に他のマット1bを置き、他のマット1bを一のマット1aに近づけていく。すると、図9(b)に示すように、一のマット1aの上向き凸部4の側方から、他のマット1bの上側重合部2が突き当たる。ところが、このとき当接するのは、上向き凸部4の第一傾斜面αと上側重合部2の第二傾斜面αである。このため、図9(b)に示す状態から、他のマット1bを一のマット1aに向かって押し込むと、図9(c)に示すように、上側重合部2の第二傾斜面αが上向き凸部4の第一傾斜面αに案内されて、一のマット1aの上向き凸部4の上端面に上側重合部2が載り上がった状態になる。他のマット1bを一のマット1aに向かってさらに押し込み、一のマット1aの上向き凸部4の上側に他のマット1bの下向き凹部5が重なると、図9(d)に示すように、他のマット1bの上側重合部2が落ち込み、他のマット1bの下向き凹部5に一のマット1aの上向き凸部4が嵌合する。
【0044】
このように、本発明のマット1は、一のマット1aの側方から、他のマット1bを近づけていくことで、一のマット1aと他のマット1bとを連結することができる。一のマット1aに向かって他のマット1bを近づける作業は、他のマット1bを足で蹴る等すれば行うことができ、手を使う必要がない。このため、マット1を施工する人は、腰を屈めなくても、マット1の連結作業を行うことができる。ただし、図9(d)の状態においては、上向き凸部4と下向き凹部5との嵌合が甘い場合がある。しかし、この場合にも、その部分を足で踏みつけることで、その嵌合を深くすることができる。
【0045】
第一傾斜面αの傾斜角度θ図8(a))と、第二傾斜面αの傾斜角度θ図8(b))は、それぞれ、0°よりも大きく90°よりも小さい範囲で設定される。ただし、傾斜角度θ,θを小さくしすぎる(0°に近づけすぎる)と、マット1の押し込み方向に対して、第一傾斜面αや第二傾斜面αを長く確保する必要が生じる。このため、傾斜角度θ,θは、通常、20°以上に設定される。傾斜角度θ,θは、30°以上とすることが好ましく、40°以上とすることがより好ましい。
【0046】
ただし、傾斜角度θ,θを大きくしすぎる(90°に近づけすぎる)と、第二傾斜面αが第一傾斜面αでスムーズに案内されにくくなる。このため、傾斜角度θ,θは、通常、70°以下に設定される。傾斜角度θ,θは、60°以下とすることが好ましく、50°以下とすることがより好ましい。傾斜角度θと傾斜角度θは、異なる値に設定してもよいが、通常、同じ値に設定される。本例においては、傾斜角度θ,θを、いずれも45°に設定している。
【0047】
ところで、本例においては、上側重合部2と下側重合部3を、マット1の縁部から外側に突出した状態で設けているところ、図4に示すように、マット1の縁部における下側重合部3の上側に、内向き凹部6を設けている。この内向き凹部6は、図3に示すように、一のマット1aと他のマット1bとを連結する際に、他のマット1bの上側重合部2の上側重合部突出部2a(上側重合部2におけるマット1の縁部から外側に突出した部分)を嵌め込むための部分となっている。
【0048】
上側重合部突出部2aの一対の側面β,βは、図5に示すように、上側(z軸方向正側)から見たときに「八」の字状となるように傾斜されている。このため、上側重合部突出部2aは、先端側になるにつれて幅が狭くなっている。一方、内向き凹部6の一対の内側面β,βも、図5に示すように、上側(z軸方向正側)から見たときに「八」の字状となるように傾斜されている。このため、内向き凹部6は、奥側になるにつれて幅が狭くなっている。
【0049】
このように、上側重合部突出部2aの一対の側面β,βと、内向き凹部6の一対の内側面β,βとを傾斜させることによって、図10に示すように、一のマット1aの側方から他のマット1bを近づけていく際に、一のマット1aにおける上向き凸部4と他のマット1bにおける下向き凹部5とが、y軸方向で位置がずれていても、上向き凸部4と下向き凹部5とが重なるように、他のマット1bが案内される。図10は、一のマット1aの側方から他のマット1bを近づけていき、一のマット1aの上向き凸部4を他のマット1bの下向き凹部5に嵌合させる様子を示した拡大平面図である。
【0050】
すなわち、図10(a)に示すように、一のマット1aの上向き凸部4と、他のマット1bの下向き凹部5とが、他のマット1bの押し込み方向に垂直な方向(同図におけるy軸方向)で位置が微妙にずれていたとしても、他のマット1bを一のマット1aの側方から近づけていくと、図10(b)に示すように、一のマット1aにおける内向き凹部6の内側面βに、他のマット1bにおける上側重合部突出部2aの側面βが当接し、上側重合部突出部2aの側面βが内向き凹部6の内側面βに案内されることによって、図10(c)に示すように、上向き凸部4と下向き凹部5とが重なる位置まで他のマット1bが案内される。したがって、マット1の連結をより容易に行うことができる。
【0051】
内向き凹部6の内側面β,βの傾斜角度φ図5)と、上側重合部突出部2aの側面β,βの傾斜角度φ図5)は、それぞれ、0°よりも大きく90°よりも小さい範囲で設定される。傾斜角度φ,φの具体的な値は、マット1の平面視形状等によっても異なる。ただし、傾斜角度φ,φを小さくしすぎる(0°に近づけすぎる)と、上側重合部突出部2aの側面βが内向き凹部6の内側面βでスムーズに案内されにくくなる。このため、傾斜角度φ,φは、通常、5°以上に設定される。傾斜角度φ,φは、10°以上とすることが好ましく、20°以上とすることがより好ましい。
【0052】
ただし、傾斜角度φ,φを大きくしすぎる(90°に近づけすぎる)と、マット1の押し込み方向に対して、内向き凹部6の内側面βや上側重合部突出部2aの側面βを長く確保する必要が生じる。このため、傾斜角度φ,φは、通常、70°以下に設定される。傾斜角度φ,φは、60°以下とすることが好ましく、50°以下とすることがより好ましい。傾斜角度φと傾斜角度φは、異なる値に設定してもよいが、通常、同じ値に設定される。マット1の平面視形状を正方形状とした本例においては、傾斜角度φ,φを、いずれも45°に設定している。
【0053】
ただし、この45°という値(傾斜角度φ,φ)が好適なのは、マット1の平面視形状を正方形状(乃至は長方形状)とした場合であり、マット1の平面視形状を他の形状とする場合には、傾斜角度φ,φが45°だと不適切なことがある。すなわち、図14(a),(b)に示すように、既に連結された複数枚の一のマット1aの側方から、他のマット1bを近づけていき、マット1aとマット1bとを連結する場合について考える。図14(a)に示すように、マット1が正方形状である場合には、傾斜角度φ,φ図5)を45°としても、マット1aとマット1bとをスムーズに連結することができる。しかし、図14(b)に示すように、マット1が正六角形状である場合には、傾斜角度φ,φ図5)が45°であると、いずれかの上側重合部突出部2aの角部δが内向き凹部6の角部δに干渉し、マット1aとマット1bとをスムーズに連結しにくくなる。
【0054】
このように、傾斜角度φ,φの好適な値は、マット1の平面視形状によって異なる。傾斜角度φ,φを決定する際には、マット1の平面視形状や連結方向等を考慮し、一のマット1aに対して他のマット1bを連結する際に、マット1a,1bにおける上側重合部突出部2aの角部δと内向き凹部6の角部δとが干渉しないように配慮することが好ましい。図14(b)に示すように、マット1の平面視形状が正六角形状である場合には、傾斜角度φ,φ図5)を30°以下とすると、上側重合部突出部2aの角部δと内向き凹部6の角部δとが干渉することなく、マット1a,1bをスムーズに連結することができる。
【0055】
以上のように、本発明のマット1は、隣に配された他のマット1と強固に連結できるものでありながら、その連結作業を容易に行うことができるものとなっている。本例においては、それ以外にも、様々な工夫を施している。以下、その工夫について説明する。
【0056】
本例においては、図4に示すように、マット1の上面に、平行に配した複数本の凸条7からなる滑り止め領域γを設けている。このため、マット1の上面を歩行する人や、マット1の上面を走行する車両等が滑りにくくなっている。滑り止め領域γとしては、一の方向(x軸方向)に延びる複数本の凸条7を略平行に配した第一滑り止め領域γと、他の方向(y軸方向)に延びる複数本の凸条7を略平行に配した第二滑り止め領域γとを設けている。このように、凸条7の向きが異なる滑り止め領域γを混在させることで、複数の方向に対して優れた耐滑性能が発揮されるようになる。
【0057】
第一滑り止め領域γと第二滑り止め領域γの配置は、特に限定されないが、交互に配することが好ましい。本例においては、正方形状の第一滑り止め領域γと第二滑り止め領域γとのそれぞれを市松模様状に配置することで、第一滑り止め領域γと第二滑り止め領域γとを二次元的(x軸方向及びy軸方向)に交互に配置している。個々の第一滑り止め領域γや、個々の第二滑り止め領域γは、10cm角程度(5~15cm角の範囲)とすることが好ましい。これにより、マットの上面に足を載せたときに、その足裏が、第一滑り止め領域γと第二滑り止め領域γとの双方に接触した状態とすることができる。
【0058】
また、本例においては、図4に示すように、マットの中央部と縁部に、ケーブル導出部8を設けている。というのも、マット1の下側には、電気ケーブルや通信線等のケーブル類が配線されることがあるところ、マット1にケーブル導出部8を設けることで、マット1の下面側から上面側にケーブル類を導き出すことが可能になるからである。これにより、配線の見た目をすっきりさせながら、配線の自由度を高めることができる。
【0059】
ケーブル導出部8の配置は、特に限定されない。本例においては、マット1の中心と、マット1の四隅部と、マット1の各辺部(各縁部)を3等分する箇所との計17箇所にケーブル導出部8を設けている。マット1の四隅部と縁部に設けたケーブル導出部8は、隣に配されるマット1のケーブル導出部8と組み合わさって、1つのケーブル導出部8を構成するようになっている。
【0060】
ケーブル導出部8は、マット1の工場出荷時から、上下方向に貫通した状態としてもよいが、この場合には、マット1における、施工後にケーブル類を引き出す必要のない箇所にも孔が開いた状態となる。このため、施工後のマット1の見た目が悪くなるおそれがある。したがって、ケーブル導出部8は、その上側を薄い膜(閉塞膜)で塞いだ状態とすることが好ましい。これにより、施工時において、ケーブル類を引き出す必要があるケーブル導出部8の閉塞膜のみを破って貫通させることが可能になる。閉塞膜は、マット1を射出成形等する際に形成することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 マット
1a 一のマット
1b 他のマット
1c 角部用のマット
1d 縁部用のマット
2 上側重合部
2a 上側重合部突出部
3 下側重合部
4 上向き凸部
5 下向き凹部
6 内向き凹部
7 凸条
8 ケーブル導出部
α 第一傾斜面
α 第二傾斜面
β 内向き凹部の内側面
β 上側重合部突出部の側面
γ 滑り止め領域
γ 第一滑り止め領域
γ 第一滑り止め領域
δ 上側重合部突出部の角部
δ 内向き凹部の角部
ε スロープ
θ 第一傾斜面の傾斜角度
θ 第二傾斜面の傾斜角度
φ 内向き凹部の内側面の傾斜角度
φ 上側重合部突出部の側面の傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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