(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046178
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ゴム的性状の害鳥忌避組成物
(51)【国際特許分類】
A01M 29/32 20110101AFI20230327BHJP
A01M 29/12 20110101ALI20230327BHJP
A01P 17/00 20060101ALI20230327BHJP
A01N 31/06 20060101ALI20230327BHJP
A01N 25/10 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A01M29/32
A01M29/12
A01P17/00
A01N31/06
A01N25/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021171993
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】595063433
【氏名又は名称】杉本 正志
(72)【発明者】
【氏名】杉本 正志
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121CC21
2B121CC27
2B121EA21
2B121FA08
2B121FA12
2B121FA15
4H011AE02
4H011BA01
4H011BB03
4H011BC01
4H011BC19
4H011DA10
4H011DG05
4H011DH02
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来の害鳥忌避組成物の欠点を解決し、人体や自然環境に優しい化学物質を用い、生分解性のゴム的性状の害鳥忌避組成物を提供する。
【手段】課題を解決するために、本発明は、生分解性のゴム的性状の軟質ゴムや軟質樹脂またはゲル80~95重量%と、5~20重量%の人体や自然環境に優しい化学物質であるL-メントール結晶を高温で煉り合わせて成形されていることを特徴とする害鳥忌避組成物を提供する。
軟質ゴムはシリコーンゴムウレタンゴム、スチレン系TPE、オレフィン系TPE、ポリエステル系TPE、ブタジエン系TPE、ウレタン系TPE、塩化ビニール系TPE、エステル系TPE、ゲルとしてはシリコーンゲル、アクリル樹脂ゲル、軟質樹脂としては塩化ビニール樹脂、ポリオレフィン樹脂である害鳥忌避組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
80~95重量%の軟質ゴムや軟質樹脂またはゲルと、5~20重量%のL-メントール結晶を高温で煉り合わせて成形されていることを特徴とする害鳥忌避組成物。
【請求項2】
請求項1の軟質ゴムはシリコーンゴムウレタンゴム、スチレン系TPE、オレフィン系TPE、ポリエステル系TPE、ブタジエン系TPE、ウレタン系TPE、塩化ビニール系TPE、エステル系TPE、ゲルとしてはシリコーンゲル、アクリル樹脂ゲル、軟質樹脂としては塩化ビニール樹脂、ポリオレフィン樹脂である害鳥忌避組成物。
【請求項3】
請求項1の害鳥忌避組成物は陸鳥及び水鳥にも適用できることを特徴とする害鳥忌避組成物。
【請求項4】
請求項1の害鳥忌避組成物は食害魚類忌避組成物にも流用できることを特徴とする忌避組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主成分とする軟質ゴムや軟質樹脂またはゲルと、副成分としてL-メントール結晶を高温で煉り合わせて成形された、人体や自然環境に悪影響を与えないゴム的性状の害鳥忌避組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、特に増えてきている鳥類による被害は社会的な問題として拡大している。その例として、農作物の食害、養殖ノリ葉体の食害、住宅街およびその他の建築物などへの糞害、鳥類による被害はますます拡大している。
【0003】
有害鳥類の被害から作物及び建築物を守るため用いられている駆除方法として反射板、警報音、点滅閃光、超音波などの鳥類に対する防除方法が取られているが、効果が短期的であることや、施設の維持管理費などの負担が大きく、実用的な防御技術とは言えない。
【0004】
上記の方法以外に、農家が作物を守るために主に用いられている物に忌避剤がある。味覚や臭覚的効果および刺激などにより、鳥類の飛来を防止する物質や、鳥類が餌として摂餌した場合に異常な生理・代謝反応を示す忌避剤である。
【0005】
しかし、害鳥忌避剤の大部分が、農薬および化学物質であるため、人体や自然環境に悪影響を及ぼす恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2010-503983
【特許文献2】特願2021-130315
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の害鳥忌避組成物の欠点を解決し、人体や自然環境に優しい化学物質を用い、生分解性のゴム的性状の害鳥忌避組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決するために、本発明は、生分解性のゴム的性状の軟質ゴムや軟質樹脂またはゲル80~95重量%と、5~20重量%の人体や自然環境に優しい化学物質であるL-メントール結晶を高温で煉り合わせて成形されていることを特徴とする害鳥忌避組成物を提供する。
【0009】
軟質ゴムはシリコーンゴムウレタンゴム、スチレン系TPE、オレフィン系TPE、ポリエステル系TPE、ブタジエン系TPE、ウレタン系TPE、塩化ビニール系TPE、エステル系TPE、ゲルとしてはシリコーンゲル、アクリル樹脂ゲル、軟質樹脂としては塩化ビニール樹脂、ポリオレフィン樹脂である害鳥忌避組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係わる害鳥忌避組成物は、ゴム的性状の組成物として、農作物の被害ばかりでなく水産養殖物、住宅街およびその他の建築物などへの適用しやすい形状であり、軟質ゴムや軟質樹脂またはゲルと、L-メントール結晶を高温で煉り合わせて成形されているため、気温変化および水分による効力低下を防ぎスチレン系TPE等を使用すれば、組成物の軽さにより水面上に浮く性状であるため水産養殖物にも対応でき、また、L-メントール結晶を使用するのは水に難溶解で、低温度になると昇華は緩慢になり、冬季の害鳥忌避効果が長期にわたり効果を得ることができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例による水鳥に対する害鳥忌避組成物を示す写真。
【
図2】本発明の実施例による陸鳥に対する害鳥忌避組成物を示す写真。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、実施例により本発明を説明する。
【0013】
本発明では、釣り用のソフトルアーの製造販売会社に依頼して、養殖ノリ葉体の摘採機の応力がかかっても破壊することがない強度が強く軟質で、浮力が強いソフトルアーの原料となる熱可塑性のスチレン系エストラマー(TPE)で組成物を作製して頂いた。スチレン系エストラマー(TPE)ペレット80~95重量%と、5~20重量%の微粉末にしたL-メントール結晶を高温で練り合わせ、平ゴム状に押し出し成型し、陸鳥用に幅1cm厚さ5mm長さ20cmの害鳥忌避組成物を作成し、水鳥用には幅1cm厚さ5mm長さ100cmの害鳥忌避組成物を作成した。
【0014】
本発明では、池で休んでいる夜行性が強いカモ類に対して、夕闇から明け方までの夜間に、LED点滅周期5Hzを10分間隔で40秒点滅閃光する忌避装置の併用で、害鳥忌避組成物を水面に浮かしたところ忌避行動が見られ長期(1ヶ月)にわたって水鳥忌避効果を得ることができた。また、カラスの生ゴミ被害が多いゴミ集積所にゴミに被せられた網に陸鳥忌避組成物をリボン状に結び1ヶ月垂下させたところ、今まで生ゴミ収集日には群れていたカラスの飛来は殆ど見ることが無くなった。また、建築物の軒下に住み着いて糞害を引き起こしている鳩の棲み処に陸鳥忌避組成物を1ヶ月垂下させたところ、カラスと同じように飛来は殆ど見ることが無くなった。この結果、L-メントール結晶による条件刺激に対して効果は短期的でなく長期的で、学習作用(慣れ)が生じ難くする効果が高いことが明らかになった。
【0015】
L-メントールに対して生物は忌避行動を取るなど情動行動に異常反応が見られることが広く知られており、実際に海産生物では環形動物、棘皮動物、魚類等でL-メントールに対して麻酔の誘導効果が高いことが知られている。また、マダイ稚魚もL-メントール結晶に対して情動行動に異常反応が見られた。人体に対しては無害であり、消化管内視鏡時の胃蠕動運動の抑制、血管の拡張等医療でも使用されている。