(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046180
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ハウジング形管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 21/06 20060101AFI20230327BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
F16L21/06
F16J15/10 N
F16J15/10 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021171995
(22)【出願日】2021-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(72)【発明者】
【氏名】馬場 一美
(72)【発明者】
【氏名】庭田 茂
【テーマコード(参考)】
3H015
3J040
【Fターム(参考)】
3H015DA02
3H015DA07
3H015DA08
3J040BA03
3J040EA02
3J040EA16
3J040EA22
3J040FA05
3J040HA03
(57)【要約】
【課題】管材を係止する機能及びシール部材の形状を拘束する機能を十分に高いレベルにて両立することが可能な小型であり且つ軽量なハウジング形管継手を提供する。
【解決手段】ハウジング形管継手を構成するケーシングを、シール部材に外嵌されてシール部材の形状を拘束するインナーケーシングとインナーケーシングの外側に設けられてシール部材の内部において管端同士が互いに対向する一対の管材と係合すると共にインナーケーシングをシール部材に向かって押圧するアウターケーシングとに分け、これらのインナーケーシング及びアウターケーシングを金属板から一体物として成形された複数のセグメントによって構成すると共に、インナーケーシングとアウターケーシングにて管材に形成された鍔部を挟持する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管材を管端同士が互いに対向している状態において液密又は気密に接続するハウジング形管継手であって、
管材と、シール部材と、第1ケーシングと、第2ケーシングと、締結部材と、を備え、
前記管材は、前記管端の近傍で外方へ屈曲された環状の鍔部が形成され、
前記シール部材は、弾性材料によって形成され、環状の形状を有し、円筒状の部分である外周部と前記外周部の軸方向における両端から径方向における内側に向かって延在する2つのリム部とを備えることにより径方向における内側に開口部を有する略U字状の横断面を有し、且つ2つの前記リム部の前記外周部とは反対側の端部において前記管材の外周面に対向する面であるリップ面を有するリップ部を備え、
前記第1ケーシングは、金属板から一体物として成形された複数の円弧状の部材である第1セグメントの組み合わせによって構成され、全体として円筒状の部分である外周部と前記外周部の軸方向における両端から径方向における内側に向かって延在する2つのリム部とを備えることにより径方向における内側に向かって開口する略U字状の横断面を有する環状の形状を有し、
前記第2ケーシングは、金属板から一体物として成形された複数の略円弧状の部材である第2セグメントの組み合わせによって構成され、全体として環状の形状を有し、
個々の前記第2セグメントは、円弧状の部分である本体部と前記本体部の両端において前記第2ケーシングの径方向における外側に向かって延在するように立設された部分であるフランジ部とを備え、
前記本体部は、前記第2ケーシングの径方向における最外面の一部を構成する外周部と前記第2ケーシングの軸方向における前記外周部の両端から前記第2ケーシングの径方向における内側に向かって延在する2つのリム部とを備えることにより径方向における内側に向かって開口する略U字状の横断面を有し、
前記対向する管端同士を跨いでシール部材と第1ケーシングと第2ケーシングを装着した状態において、前記鍔部が前記第1セグメントと前記第2セグメントとに挟持されることを特徴とするハウジング形管継手。
【請求項2】
前記管材には更に、前記鍔部を挟んで管端と反対側に環状溝部が形成され、
該環状溝部に前記第2ケーシングの一部が嵌入係止することを特徴とする請求項1に記載のハウジング形管継手。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング形管継手に関する。より具体的には、本発明は、管材を係止する機能及びシール部材の形状を拘束する機能を十分に高いレベルにて両立することが可能であり、設計上の自由度が高く、小型であり且つ軽量なハウジング形管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば金属製の管材の接続に用いられるメカニカル継手としては、対向する一対の管材の端面(管端)を跨ぐように配設され且つ双方の管材の端面の近傍に形成された環状の突起(凸部)又は溝(凹部)に係止されるように構成された所謂「ハウジング形管継手」が広く採用されている。特に建設業界においては、鋳物製のハウジング形管継手が一般的に使用されている。鋳物製のハウジング形管継手は、長年に亘る使用実績及び高い信頼性が求められている一方で質量及びサイズが何れも大きく、設置スペース及び施工作業の面における改善が継続的に求められている。
【0003】
当該技術分野においては、上記課題に対する解決策として、鋳造に代えて金属(例えばステンレス鋼等)製の薄板の成形加工によってハウジング形管継手を構成する技術が提案されている。例えば、特許文献1(特許第4987236号公報)には、管端に環状溝を有する管材と、ケーシングの内部に装着されたシール部材としての弾性リングと、ケーシングの外面を囲むように取り付けられた締め付けバンドと、締め付けバンドを締め付ける締結手段とを有するハウジング形管継手によって形成することにより、着脱作業が簡便で軽量コンパクト化が可能なハウジング形管継手を提供する技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記構成においては金属板によって形成されたケーシングが管材を係止する機能及び弾性リングの形状を拘束してシール性を維持する機能の両方を担っている。このため、例えば施工時及び/又は施工後に一対の管材の位置関係が変動した場合などにおいてケーシングが変形すると、弾性リングの形状の拘束が不十分となり、シール性を維持することが困難となる虞がある。また、弾性リングの形状を拘束するためにはケーシングの形状を弾性リングの形状に合わせる必要があるので、ケーシングが管材を係止するための環状の溝部(凹部)が管材の外周面に形成される位置も弾性リングの形状に合わせる必要が発生し、設計上の自由度が制限される。更に、管材の環状の溝部(凹部)の形成施工が不十分であると環状溝部(凹部)の断面形状が規定形状に形成されず、ケーシングとの係止が不十分となる虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、当該技術分野においては、ハウジング形管継手を構成するケーシングを鋳物から金属板の成形品へと置き換えることによる小型軽量化が試みられているものの、管材を係止する機能及びシール部材の形状を拘束する機能を十分に高いレベルに両立することが可能な技術は未だに確立されていない。即ち、当該技術分野においては、管材を係止する機能及びシール部材の形状を拘束する機能を十分に高いレベルにて両立することが可能であり、設計上の自由度が高く、小型であり且つ軽量なハウジング形管継手が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果、ハウジング形管継手を構成するケーシングを、シール部材に外嵌されてシール部材の形状を拘束するインナーケーシングとインナーケーシングの外側に設けられてシール部材の内部において管端同士が互いに対向する一対の管材と係合すると共にインナーケーシングをシール部材に向かって押圧するアウターケーシングとに分け、これらのインナーケーシング及びアウターケーシングをそれぞれ金属板から一体物として成形された複数のセグメントによって構成すると共に、第1ケーシングと第2ケーシングによって管材の鍔部をそれぞれ挟持することにより、上記要求に応えることができることを見出した。
【0008】
具体的には、本発明に係るハウジング形管継手(以降、「本発明継手」と称呼される場合がある。)は、一対の管材を管端同士が互いに対向している状態において液密又は気密に接続するハウジング形管継手である。本発明継手は、一対の管材とシール部材と第1ケーシングと第2ケーシングと締結部材とを備える。本発明継手によって接続される一対の管材は、管端の側の外径が当該管端の反対側の外径よりも大きい段差部が軸方向における所定の距離だけ管端から離れた位置に全周に亘って形成された一対の管材である。
【0009】
一対の管材は、管端の近傍で外方へ屈曲された環状の鍔部が形成されている。シール部材は、弾性材料によって形成され、環状の形状を有し、円筒状の部分である外周部と外周部の軸方向における両端から径方向における内側に向かって延在する2つのリム部とを備える。これにより、シール部材は、径方向における内側に開口部を有する略U字状の横断面を有する。更に、シール部材は、2つのリム部の外周部とは反対側の端部において管材の外周面に対向する面であるリップ面を有するリップ部を備える。
【0010】
第1ケーシングは、金属板から一体物として成形された複数の円弧状の部材である第1セグメントの組み合わせによって構成される。第1ケーシングは、全体として円筒状の部分である外周部と外周部の軸方向における両端から径方向における内側に向かって延在する2つのリム部とを備える。これにより、第1ケーシングは、全体として、径方向における内側に向かって開口する略U字状の横断面を有する環状の形状を有する。
【0011】
第2ケーシングは、金属板から一体物として成形された複数の略円弧状の部材である第2セグメントの組み合わせによって構成される。第2ケーシングは、全体として環状の形状を有する。個々の第2セグメントは、円弧状の部分である本体部と本体部の両端において第2ケーシングの径方向における外側に向かって延在するように立設された部分であるフランジ部とを備える。本体部は、第2ケーシングの径方向における最外面の一部を構成する外周部と第2ケーシングの軸方向における外周部の両端から第2ケーシングの径方向における内側に向かって延在する2つのリム部とを備える。これにより、本体部は、径方向における内側に向かって開口する略U字状の横断面を有する。
【0012】
上記のような構成を有する本発明継手は、内部において一対の管材の管端同士が互いに対向するシール部材に複数の第1セグメントを外嵌し、複数の第1セグメントを覆うように複数の第2セグメントを配置し、第1セグメントと第2セグメントによって管材の鍔部をそれぞれ挟持して、隣り合う第2セグメント同士を締結部材によって締結することにより、第1ケーシングによってシール部材の形状を拘束し且つ第2ケーシングによって一対の管材を係止すると共に第1ケーシングをシール部材に向かって押圧することができるように構成されている。即ち、本発明継手が備える第1ケーシング及び第2ケーシングは上述したインナーケーシング及びアウターケーシングにそれぞれ該当する。
【0013】
具体的には、先ず、一対の管材の管端をシール部材の軸方向における両側から挿入してシール部材の内部において一対の管材の管端同士を互いに対向させ、シール部材を覆うように複数の第1セグメントをシール部材に外嵌し、更に複数の第1セグメントを覆うように複数の第2セグメントを配置する。この状態において、第1セグメントと第2セグメントによって管材の鍔部をそれぞれ挟持するようにして、隣り合う第2セグメントのフランジ部に形成された着座面に着座する締結部材によって隣り合う第2セグメント同士を締結する。これにより、複数の第2セグメントが互いに近付いて第2ケーシングが集成され、複数の第1セグメントが互いに近付いて第1ケーシングが集成される。この際、複数の第2セグメントの外周部によって複数の第1セグメントがシール部材に向かって押圧され、第1ケーシングの外周部によってシール部材が一対の管材に向かって押圧される。
【0014】
本発明継手によれば、このようにして、シール部材の外周部及びリム部の外面形状が第1ケーシングによって拘束されて一対の管材が液密又は気密に接続され、且つ第1ケーシング(第1セグメント)と第2ケーシング(第2セグメント)によって管材の鍔部がそれぞれ挟持されることにより、一対の管材が互いに離隔しないように係止されている状態である第1状態を達成することができる。
【発明の効果】
【0015】
上記のように、本発明継手においては、シール部材に外嵌されてシール部材の形状を拘束する第1ケーシング(インナーケーシング)と第1ケーシングの外側に設けられてシール部材の内部において管端同士が互いに対向する一対の管材の外周面と係合すると共に第1ケーシングをシール部材に向かって押圧する第2ケーシング(アウターケーシング)とによってケーシングが構成されている。即ち、本発明継手によれば、管材を係止する機能及びシール部材の形状を拘束する機能が第1ケーシング及び第2ケーシングによって個別に実現されるので、これらの機能を十分に高いレベルにて両立し且つ設計上の自由度を高めることができる。更に、第1ケーシング及び第2ケーシングが金属板から一体物として成形された複数のセグメントによって構成されるので、小型であり且つ軽量なハウジング形管継手を提供することができる。加えて、
第1ケーシング(第1セグメント)と第2ケーシング(第2セグメント)によって管材の鍔部がそれぞれ挟持されることにより、両管材が確実に保持されるとともに、両管材が第2ケーシングから抜けることを確実に防止できる。
【0016】
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る斜視図である。
【
図2】本発明の第1および第2ケーシングを示す斜視図である。
【
図3】本発明の第2ケーシングへの第1ケーシングの組付状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1および第2ケーシングへの管材の組付状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態における管材の軸に沿った、装着状態の断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態における管材の軸に沿った、装着状態の断面図である。
【
図7】本発明のシール部材を示す斜視図、正面図、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
《第1実施形態》
以下、本発明の望ましい実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るハウジング形管継手1(以降、「第1継手」と呼称される場合がある。)の装着状態(施工完了状態)を示す斜視図であり、その装着状態を管材の軸に沿った断面を示す図が
図5である。このような装着状態により、第1継手は管材2内を流れる流体を漏洩させることなく管材2同士を強固に連結し、その状態を維持するものである。
【0019】
具体的な装着手順を説明する。両管材2をその管端3同士を近接対向させた状態で管材2の先端部21を跨ってシール部材8が外嵌され、シール部材8の外側に第1ケーシング6が外嵌される。次いで、第1ケーシング6に第2ケーシング7が外嵌されて、第2ケーシング7が先端部21の外側に接して両管材2を保持している。そして、両管材2の一部が外方へ屈曲され環状に形成された鍔部4が、第1ケーシング6と第2ケーシング7とによって全周に亘って挟持されて、装着が完了する。
【0020】
鍔部4は、管材2の管端3に近い部分を外方へ拡管し膨出部(図示せず)を形成した後に膨出部に向かう方向へ両側から軸方向に管材を押して、膨出部の内壁同士を密着させて鍔部4を形成する。このような、軸方向圧縮による屈曲や座屈を伴う「鍔出し工法」自体は周知である。その他、中間工程の膨出部形成においては、ハイドロフォーミング工法やスピニング工法等、各種のビーディング加工法を適用しても構わない。
【0021】
なお、鍔部4の内壁同士は成形により一旦は密着するが、屈曲部のスプリングバックにより内壁間に微小な隙間が形成される場合がある。本発明における鍔部4は内壁同士が密着することが好ましいが、装着の支障とならない程度に微小に離れていても構わず、実質的に鍔状となっていれば良い。
【0022】
図2乃至
図4にて、第1実施形態の装着状態における管材2と第1ケーシング6と第2ケーシング7の個々の特徴および相互の組付け関係について説明する。第1ケーシング6は、ステンレス製の金属板から一体物としてプレス成形された一対の円弧状の部材である第1セグメント61の組み合わせによって構成され、全体として円筒状の部分である外周部62と前記外周部62の軸方向における両端から径方向における内側に向かって延在する2つのリム部632とを備えることにより、径方向における内側に向かって開口する略U字状の横断面を有する環状の形状を有している。
【0023】
第2ケーシング7は、金属板から一体物として成形された一対の略円弧状の部材である第2セグメント71の組み合わせによって構成され、全体として環状の形状を有し、個々の第2セグメント71は、円弧状の部分である本体部74と本体部74の両端において第2ケーシング7の径方向における外側に向かって延在するように立設された部分であるフランジ部72とを備える。本体部74は、第2ケーシング7の径方向における最外面の一部を構成する外周部76と、第2ケーシング7の軸方向における外周部の両端から第2ケーシング7の径方向における内側に向かって延在する2つのリム部75とを備えることにより、径方向における内側に向かって開口する略U字状の横断面を有する。リム部75の先端には軸方向へ折り曲げた当接部78が形成されており、この当接部78が管材2の表面へ密着する。
【0024】
シール部材8は弾性材料によって形成され、
図7にて示すように環状の形状を有し、円筒状の部分である外周部81と外周部81の軸方向における両端から径方向における内側に向かって延在する2つのリム部82とを備える。そして、径方向における内側に開口部を有する略U字状の横断面を有し、且つ2つのリム部82の外周部とは反対側の端部において管材2の外周面に対向する面であるリップ面84を有するリップ部83を備える。
【0025】
先ず
図2に示す通り、第2ケーシング7を構成する第2セグメント71の本体部74内に、第1ケーシング6を構成する第1セグメント61を挿入嵌合させて、一部を相互に固定する。固定は、スポット溶接5等により強固に固定することが好ましいが、必須ではない。挿入嵌合及び相互固定が完了した状態を
図3に示す。このような状態でハウジング形管継手の半体11を構成する。なお、軸周りにおける第1セグメント61と第2セグメント71の相対位置関係(割出)は任意であるが、管材2への装着時に支障とならない位置関係(割出)が好ましい。
【0026】
そして、上述の半体11を管材2へ組付ける。一般的な配管施工においては、管材2同士は既に所定位置に懸架されていて、その管材2同士をハウジング形管継手で締結することが一般的である。すなわち
図4において、懸架されている配管2を跨ぐように、
図3に示す1組の半体11を被せるが、実際には管材2の先端部21同士をシール部材8に軸方向から嵌め込むのであるが、
図4においては図が煩雑となるためシール部材8の図示を省略している。なお、本発明においてはハウジング形管継手の構成品として管材も含めているが、管材全長を意味するのではなく、第2ケーシングによって包含される範囲の管材が構成品の対象である。
【0027】
図4は、管材2の端部に、シール部材(図示せず)と半体11が組み付いた状態を示す。ここにおいて管材2の鍔部21は、第1セグメントのリム部63と第2セグメントのリム部75とによって全周を緊密に挟持された状態となる。そして、第2セグメント71の両フランジ部72に穿設された開孔77に締結部材であるボルト9が挿通され、ボルト9端部にナット10を螺合することによってフランジ部72同士を密着固定し、ハウジング形管継手1(第1継手)の管材2への装着が完了する。この装着完了状態を示す断面図が
図5である。
【0028】
このような装着状態においては、シール部材8のリップ面84が先端部21の外周面に密着することで、液密あるいは気密が担保される。また、鍔部4が第1セグメントのリム部63と第2セグメントのリム部75とによって挟持されることで、両管材2が強固に保持されるので、ハウジング形管継手1(第1継手)としての管材の保持機能も担保される。また、シール部材8はその内部に流体を取り込み、流体の圧力で膨らむことでリップ面84が先端部21へ強く密着する、所謂セルフシール形式であるので、第1セグメントの変形は最小に抑えたいところ、鍔部22がリム部63の補強材となって拘束し変形を抑制する機能も有する。したがって、気密あるいは液密性の担保に構造的にも寄与している。
【0029】
《第2実施形態》
次に
図6を用いて、本発明の第2の実施形態に係るハウジング形管継手100(以降、「第2継手」と呼称される場合がある。)の装着状態(施工完了状態)を説明する。第2継手100の装着状態を管材の軸に沿って断面を示す図が
図6である。このような装着状態により、第2継手100は、第1継手1よりも更に大きな流体圧力や管材の変位応力にも耐えられるものである。
【0030】
第2継手100においては、両管材102の両鍔部104を挟んで先端部110と反対側に、環状溝(凹)部109も形成されている。環状溝部109内には、第1ハウジング106のリム部111先端に形成された当接部112が嵌り込んで、環状溝部109の底面に密着している。また、両鍔部104は、第1ハウジング106と第2ハウジング107によって挟持されている。なお、環状溝部109の配管102への形成も、周知の塑性加工技術を適用すれば良い。
【0031】
第2継手100においては、環状溝部109と当接部112も軸方向に係止するので、第1継手1よりも更に強固に配管2の相互変位を抑えることができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱し範囲の変更があっても本発明に包含される。適用される配管(管材)としては建築用に限ることなく、あらゆる流体を内部に流通させる配管に適用できる。
【符号の説明】
【0033】
1、100 ハウジング形管継手
2、102 管材
3、113 管端
4、104 鍔部
5 スポット溶接部
6、106 第1ケーシング
7、107 第2ケーシング
8 シール部材
9 ボルト
10 ナット
21、110 先端部
109 環状溝部