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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046181
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】パチンコ台の傾斜管理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
A63F7/02 349A
A63F7/02 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021172707
(22)【出願日】2021-09-22
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】519073656
【氏名又は名称】株式会社イミテック
(72)【発明者】
【氏名】峰晴 正行
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA31
2C088DA21
2C088FA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パチンコ台は、上部が後方に傾斜した状態でパチンコ島に取りつけられているが、この傾斜の程度如何でパチンコ玉の動きが変化し、遊技者の興趣に影響がある。而して、パチンコ台の傾斜を管理するには、当該パチンコ台の傾斜を傾斜測定器で厳密に測定して、この検知結果によって施行規則に準じた任意の傾斜に設定して運用することになる。一方、パチンコ台の傾斜測定器は、従前は、パチンコ台の傾斜の測定のみを行なうものであり、現実に多数のパチンコ台の傾斜を一元的に管理する場合は、これらの傾斜測定器を傾斜管理のシステムに組み込む必要があり、新たな傾斜管理システムが求められている。
【解決手段】この発明は、前記傾斜測定器を傾斜管理システムの一連のフローに取り入れて、パチンコホール全店におけるパチンコ台の傾斜データが、傾斜管理コンピーュータや携帯モバイルなどで確認できるようにした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ台の傾斜を管理するパチンコ台の傾斜管理システムであって、
パチンコ台の傾斜を測定検知する傾斜測定器と、
パチンコ台各台の傾斜値を表示する情報機器とで構成されており、
前記傾斜測定器は、
前記パチンコ台のガラス面の傾斜角度を検知する傾斜角度センサと、
前記傾斜角度センサの検知データを、尺貫法に基づく単位に変換する変換回路と、
前記変換回路によって、前記傾斜角度センサの検知データが尺貫法に基づく単位で表示される表示部と、
前記変換回路の変換データに、パチンコ台の台番号を紐付けする台番号入力手段と、
前記台番号入力手段によってパチンコ台の台番号が紐付けされた前記変換データの信号を、発信する発信回路と、
これらの電源および電源回路と、
前記の各データおよび各信号を制御もしくは保持する制御回路基板と、
前記発信回路の信号がLANシステムで接続される前記情報機器と、
よりなり、
前記傾斜測定器で検知された前記パチンコ台の傾斜データが、尺貫法に基づく単位に変換され、且つ、台番号が紐付けされて前記情報機器に表示されることを特徴とするパチンコ台の傾斜管理システム。
【請求項2】
前記傾斜角度センサは、ジャイロセンサとしたことを特徴する、前記請求項1に記載のパチンコ台の傾斜管理システム。
【請求項3】
前記台番号入力手段は、
前記傾斜測定器に備えられたカメラおよび、当該カメラのソフトウェアであり、
パチンコ島において前記パチンコ台ごとに識別可能に表記された台番号コードを前記カメラで読み取り、前記カメラのソフトウェアによって、
前記変換回路の前記変換データに、前記パチンコ台の台番号を紐付けするようにしたことを特徴する、前記請求項1に記載のパチンコ台の傾斜管理システム。
【請求項4】
前記傾斜測定器による前記パチンコ台のガラス面の傾斜角度の測定は、前記パチンコ台のガラス面の左右両側で行なわれ、前記パチンコ島に設けられた前記台番号コードは、前記パチンコ台の右側もしくは左側を識別できるようにして、前記パチンコ島に表記したことを特徴する、前記請求項1と、請求項3に記載のパチンコ台の傾斜管理システム。
【請求項5】
前記台番号入力手段は、
前記傾斜測定器に、前記パチンコ台の台番号を直接的に入力する操作部および当該操作部の操作回路基板であり、
前記操作部および前記操作回路基板によって、
前記変換回路の前記変換データに、前記パチンコ台の台番号を紐付けるようにしたことを特徴する、前記請求項1に記載のパチンコ台の傾斜管理システム。
【請求項6】
前記情報機器は、傾斜管理コンピュータもしくは、出玉等の管理コンピュータもしくは、タブレットもしくはスマートフォンなどの携帯情報機器もしくは、パチンコ台の傾斜調整コントローラであることを特徴する、前記請求項1に記載のパチンコ台の傾斜管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパチンコ台の取り付けの傾斜を管理する、パチンコ台の傾斜管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊戯施設には、パチンコ台を任意の台数ごとに取り付けるパチンコ島が設置されており、パチンコ台はこのパチンコ島に取り付けられて使用に供される。
一方、パチンコ台は、上部が後方に傾斜した状態でパチンコ島に取り付けられているが、当該パチンコ台の傾斜は、パチンコ球が流下するときの盤面の釘のからみ程度や、盤面との衝突具合、およびパチンコ玉の滞留時間等が変化して、この傾斜如何でパチンコ玉の入賞率が変わるなど遊戯者の興趣に顕著な影響がある。
また、パチンコ台の傾斜は当業界の施行規則によって一定の傾斜角度以内とする制限がある。
而して、パチンコ台の取り付けにおいては、前記制限の傾斜角度の範囲内でパチンコ台の性能が最大に発揮できる傾斜角度で設定および取り付けする必要がある。
【0003】
パチンコ台をパチンコ島に取り付けるには、パチンコ台が装着される台枠を、先にパチンコ島に取り付け、この台枠の前側にパチンコ台が開閉自在に装着される。
また、パチンコ台の傾斜角度の規準は、パチンコ台の盤面もしくは、盤面に平行で相対しているガラス面としているので、この盤面もしくはガラス面の傾斜角度を測定することで当該パチンコ台の傾斜を設定することができる。
また、パチンコ台の盤面もしくはガラス面の傾斜値、即ち、パチンコ台の傾斜値のデータを信号化して、傾斜管理専用のコンピュータやパチンコ玉の出玉などの管理コンピュータ、その他の情報機器もしくは、パチンコ台の傾斜調整コントローラ等に出力して傾斜を管理することで、パチンコ台が所定の傾斜から逸脱している時は速やかに修正するなどができて、パチンコ店の運営において無駄のない合理的な経営を行なうことができる。
【0004】
パチンコ台の傾斜を測定する器具としては、パチンコ盤の傾斜測定器(特許文献1)と、傾斜計(2)が知られている。
特許文献1の傾斜測定器は、水平を計測する複数の気泡管を、パチンコ台の設定傾斜別に長尺な筐体に間隔的に収納して、パチンコ台の設定傾斜に該等する気泡管の傾斜値にもとづいて、パチンコ台の傾斜が確認できるようにしている。
また、(特許文献2)の傾斜計は、遊技機の遊技盤面の傾斜角度をデジタル傾斜で測定するものであって、傾斜計の測定側の上下に計測用の突起部を設けて、この突起部が遊技釘を跨いで遊技盤面の傾斜が計測できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録1269307
【特許文献2】特開2006-46969
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、傾斜測定器の傾斜角度を気泡管でアナログ的に表示して、この気泡管が属する傾斜を、当業界で慣用されている尺貫法の単位で確認できるようにしたものであるが、例えばこの傾斜測定器の傾斜値に基づいて、前述のパチンコ台の傾斜の管理を管理しようとするには、この読み取り傾斜値を再度入力し直すか、また、入力データもデジタルデータに変換するする必要があり、一方、パチンコ店全台の多数のパチンコ台の傾斜を管理するにはパチンコ台各台の識別が必要となるので、これらの傾斜を管理するシステムでの利用はできない。
【0007】
また、特許文献2は、傾斜計の突起部を遊技盤面に当接して傾斜角度を計測するものであって、1°/100の精度で傾斜角度を測定してこの傾斜角度をデジタル表示しているが、他方、傾斜計を手で支えて計測する場合、当該計測精度においては、突起部と遊技盤面との接地の加減で表示値が変動するので正確な傾斜値を補足できない。
また、上記の対策として傾斜計を三脚で支持したり、吊るすなどの保持手段が提案されているが、現実の店舗ではパチンコ台の前方に玉置き台(膳板)や椅子があるので、これらが計測の障害となって実店舗での利用は難しい。
一方、パチンコ台の傾斜値は、尺貫法での表示が従来の慣行であり、また、傾斜を確認もしくは設定しやすいように、5厘の範囲で区切って表示していることに鑑みると前記のデジタル表示は馴染みがなく、また、表示が細かすぎて傾斜の確認および管理が複雑になり現実の運用には適さない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、この発明のパチンコ台の傾斜管理システムは、パチンコ台の傾斜を管理するパチンコ台の傾斜管理システムであって、パチンコ台の傾斜を測定検知する傾斜測定器と、パチンコ台各台の傾斜値を表示する情報機器とで構成されており、前記傾斜測定器は、前記パチンコ台のガラス面の傾斜角度を検知する傾斜角度センサと、前記傾斜角度センサの検知データを、尺貫法に基づく単位に変換する変換回路と、前記変換回路によって、前記傾斜角度センサの検知データが尺貫法に基づく単位で表示される表示部と、前記変換回路の変換データに、パチンコ台の台番号を紐付けする台番号入力手段と、前記台番号入力手段によってパチンコ台の台番号が紐付けされた前記変換データの信号を、発信する発信回路と、これらの電源および電源回路と、前記の各データおよび各信号を制御もしくは保持する制御回路基板と、前記発信回路の信号がLANシステムで接続される前記情報機器と、よりなり、前記傾斜測定器で検知された前記パチンコ台の傾斜データが、尺貫法に基づく単位に変換され、且つ、台番号が紐付けされて前記情報機器に表示されるようにした。
【0009】
また、前記傾斜角度センサは、ジャイロセンサとした。
【0010】
また、前記台番号入力手段は、前記傾斜測定器に備えられたカメラおよび、当該カメラのソフトウェアであり、パチンコ島において前記パチンコ台ごとに識別可能に表記された台番号コードを前記カメラで読み取り、前記カメラのソフトウェアによって、前記変換回路の前記変換データに、前記パチンコ台の台番号を紐付けするようにした。
【0011】
また、前記傾斜測定器による前記パチンコ台のガラス面の傾斜角度の測定は、前記パチンコ台のガラス面の左右両側で行なわれ、前記パチンコ島に設けられた前記台番号コードは、前記パチンコ台の右側もしくは左側を識別できるようにして、前記パチンコ島に表記するようにした。
【0012】
また、前記台番号入力手段は、前記傾斜測定器に、前記パチンコ台の台番号を直接的に入力する操作部および当該操作部の操作回路基板であり、前記操作部および前記操作回路基板によって、前記変換回路の前記変換データに、前記パチンコ台の台番号を紐付けるようにした。
【0013】
また、前記情報機器は、傾斜管理コンピュータもしくは、出玉等の管理コンピュータもしくは、タブレットもしくはスマートフォンなどの携帯情報機器もしくは、パチンコ台の傾斜調整コントローラである。
【発明の効果】
【0014】
この発明のパチンコ台の傾斜管理システムは前述の構成であるので、パチンコ台の傾斜角度のデジタルデータが、当業界における慣習の尺貫法の単位に変換されて、この傾斜測定器自体およびその他の情報機器に表示されるので、パチンコ台の傾斜の設定および管理に違和感がなく従来同様にして行なうことができる。
また、パチンコ台の台番号情報の収得および、前記傾斜角度の計測値に対する紐付けが単一の傾斜測定器で可能であり、この収得データ信号がLANシステムで情報機器もしくは傾斜調整コントローラに表示されるので、数百台におよぶ多数のパチンコ台の傾斜情報の管理および運営が、当該傾斜測定器自体の手元、もしくは傾斜管理コンピュータ、もしくは店内の出玉等の管理コンピュータ、もしくは携帯情報機器を利用して効率良く行なうことができる。
【0015】
また、前記傾斜検知手段にジャイロセンサを利用したので、高精度でパチンコ台の傾斜角度が測定できるとともに、計測の感度が高いので短時間で計測ができるなど、特にパチンコ店内の多数台のパチンコ台の傾斜を一元的に管理する場合の測定手段に適している。
【0016】
また、パチンコ台の傾斜データを管理する場合、計測した傾斜データに該当するパチンコ台の台番号を紐付けする必要があるが、傾斜測定器によるパチンコ台の傾斜の測定と、当該傾斜測定器に備えられているカメラによるパチンコ島の台番号コードの読み取りとで、傾斜データに台番号が紐付けされるように、パチンコ台の傾斜の検知と台番号の紐付けとが、単一の測定器で一連の操作で行なうことができるので、パチンコ台の傾斜の管理を合理的におこなうことができる。
【0017】
また、パチンコ台の傾斜の測定は、パチンコ台のガラス面の左右個所でおこなわれて、この検知結果にもとづき当該パチンコ台の取り付けを調整して、パチンコ台の左右のねじれや歪みを修正するものであるが、この左右の計測の都度に、左右の台番号が夫々紐付けできるようにしたので、パチンコ台の左右の傾斜の検知と左右の台番号の紐付けとが、単一の測定器で一連の操作で行なうことができるので、パチンコ台の傾斜の管理を合理的におこなうことができる。
【0018】
また、前記傾斜測定器が、台番号の入力操作部およびこの入力操作部の操作回路基板を備えた場合、台番号を直接的に入力することもでき、パチンコ台の傾斜の検知と台番号の紐付けとが、単一の測定器で一連の操作で行なうことができるので、パチンコ台の傾斜の管理を合理的におこなうことができる。
【0019】
また、パチンコ台の台番号が紐付けされているパチンコ台の傾斜データが、LANシステムによって、傾斜測定器自体、もしくは傾斜管理コンピュータ、もしくは出玉等を管理するホール管理コンピュータ、もしくは携帯情報機器、もしくはパチンコ島に設置されている傾斜調整コントローラに表示されるので、パチンコ店内全てのパチンコ台の傾斜データを一元的に、且つ、合理的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】パチンコ台が設置されたパチンコ島の一部切り欠き正面図。
図2図1のA-A線に沿う縦断面図。
図3図2の要部を拡大した縦断面図。
図4】(a)傾斜器の斜視図。(b)傾斜器の他の実施例を示す斜視図。
図5】傾斜管理システムの構成図。
図6】傾斜管理システムのフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明は、パチンコ台の傾斜管理システムに関し、以下、図1図6を参照し、この発明を説明する。
【0022】
パチンコ台は上部が後方に傾いた傾斜で設置されているが、この傾斜角度は関連法規で1°以内と定められ、またこの傾斜の表示は、当業界で慣用されている尺貫法による単位で表示されている。
前記の傾斜の表示は、傾斜しているパチンコ台の下点を基準とした鉛直線に対して、この鉛直線の後方に位置する上点との水平距離を尺貫法の単位で表示すようにしている。
上記を図2図3によって説明すると、パチンコ台1の下点1aから立ち上げた鉛直線Bと、パチンコ台1の上点1bから立ち上げた鉛直線Cとの水平距離Dを尺貫法の単位で表示し、例えば水平距離Dを3分5厘(10.605mm)に設定した場合、当該パチンコ台1は3分5厘の傾斜で設置されていることになる。
パチンコ台1の取り付けにおいてこの傾斜を現実に設定するには、ガラス面19aの傾斜を測定して前記傾斜が設定されるものであり、これをデジタル表示の傾斜測定器で行なう場合、前記3分5厘の傾斜は、パチンコ台1の高さが810mmであることにもとづくとこの傾斜角度は0.74°となり、換言すれば傾斜測定器の表示が0.74°であれば、当該パチンコ台1は3分5厘の傾斜で取り付けられていることになる。
従って、パチンコ台1の傾斜の管理においては、1/100°クラスの精度で計測できる傾斜角度センサ以外は実用に適さず、その反面、パチンコ台1を任意の傾斜角度で前記の精度で設定することは、瞬間的にはできるにしても傾斜測定器の当接圧力やパチンコ島やパチンコ台自体の僅かな動きによって測定数値が移動して正確な傾斜を確認することが難しい上に、従前の慣用と異なる複雑な傾斜角度によってパチンコ台の傾斜の管理を行なうことは現実的でない。
【0023】
次ぎに、図1乃至、図3によってパチンコ台1およびこの取り付け状態を詳述すると、パチンコ台1は、パチンコ島2の上板3と下板4との間において台間柱5で区画された設置区画6内に取り付けされ、また、任意の台数ごとにパチンコ島2に設置されている。
このパチンコ台1の取り付けは、先ず、枠形状の台枠7が前記の設置区画6内に取り付けられ、この台枠7にパチンコ台1が取り付けられる。
パチンコ台1は、左側上下の枢支部8を支点として前側に開閉自在として台枠7に装着され、また、台枠7の前面に閉じて施錠された状態で遊戯に供される。
図2図3は、パチンコ台1が設置されているパチンコ島2の縦断面を示しているが、台枠7の下桟8は、ビス9もしくは専用の下部取り付け器具(図示せず)によってパチンコ島2の下板4に止着され、他方、上桟10は、上部取り付け器具11によって上板3に取り付けられている。
【0024】
実施態様の1例を示した前記上部取り付け器具11は、パチンコ島2の上板3に止着した固定部12と、台枠7の上桟10に止着した可動部13を連結した構造であって、ボルト14を回すと下桟8の止着個所を支点として台枠7の上部が前後に移動して台枠7の傾斜が調整され、また、台枠7の前側に前述のように装着されているパチンコ台1の傾斜が前記同様に調整できる。
パチンコ台1は、パチンコ玉が流下し、釘15が立設されている盤面16が設けられている本体17と、この盤面16の前面に開閉自在に設けられているガラス枠17aとで構成されている。
前記ガラス枠17aには、盤面16の前側に平行で相対してガラス板18が設けられているが、この盤面16もしくはガラス板18のガラス面18aの傾斜を測定することで、パチンコ台1の傾斜が確認できる。
一方、パチンコ台1の傾斜を測定する場合、前述の特許文献2で明らかなように釘やその他の役物が測定の障害になるとともに、盤面16の右側は液晶画面その他が形成されていて、これらが障害となって計測ができない場合が多いので、現実には前記ガラス面18aの傾斜を測定して、当該ガラス面18aの傾斜をパチンコ台1の傾斜としている。
また、パチンコ台1は、前記の取り付けにおいて左右個所の傾斜が異なってねじれていたりすると、盤面16に流下するパチンコ玉の動きが変化して、パチンコ玉の入賞確率や滞在時間等に影響があるので、当該傾斜の測定はガラス面18aの左右個所でおこなって、この左右の測定結果にもとづいて傾斜の確認もしくは修正がおこなわれる。
【0025】
図4(a)および、図4(b)は、この発明で使用する傾斜測定器19、19aの第一および第ニの実施例を示している。
図(4a)の第一の実施例の傾斜測定器19は、筐体20の一側面を測定面21に形成し、この筐体20の内部には、前記測定面21と平行に相対してジャイロセンサ基板22を初めとする傾斜角度センサ23が備えられた制御回路基板26が設けられ、この制御回路基板26には後述の変換回路27と発信回路28と電源回路29とが備えられている。
また、筐体20の測定面21を除く他の側面には、傾斜角度センサ23が検知した傾斜値を表示するLCDによる表示部24と、台番号入力手段25のカメラ25aが設けられている。
30は電池もしくは充電式電池等の電源を示し、また、31は電源スイッチ、32はカメラ25aの操作スイッチを示している。
また、ジャイロセンサ基板22の取り付けの向きは、筐体20の測定面21と平行に相対していなくても機能するものであり、この取り付け向きは限定されない。
【0026】
図4(b)の第ニの実施例の傾斜測定器19aは、筐体20の測定面21を除く他の側面には、前記表示部24とは別に台番号を表示する台番号表示部33と、台番号入力手段25として台番号の入力操作部34が設けられ、また、測定面21には間隔的に突起部35が設けられており、この突起部35はガラス面18aの傾斜の測定において、当該ガラス面18aの上下の2点箇所に当接して測定することで、ガラス面18aのゆがみ等で、前記測定面21が当該ガラス面18aに密着しないことを原因とする測定誤差の防止が計られる。
【0027】
次ぎに、図5図6によって前記傾斜測定器19もしくは19aを利用した、この発明のパチンコ台の傾斜管理システムを説明する。
図5はこの傾斜管理システムの構成図を示し、制御回路基盤26には傾斜角度センサ23、変換回路27、台番号入力手段25、発信回路28、表示部24および電源30を備えた電源回路29が接続している。
また、制御回路基板26の発信回路28より発信されたデータ信号は、LANシステムで情報機器36に受信され、当該情報機器36にパチンコ台1の左右の台番号と傾斜値が表示されることで、当該パチンコ台の傾斜の管理がおこなわれる。
また、前記情報機器36は、傾斜管理専用とした傾斜管理コンピュータ、パチンコ玉の出玉等の管理コンピュータ、タブレットもしくはスマートフォンなどの携帯情報機器、もしくは、図1で示したようにパチンコ島2に設置された傾斜調整コントローラ37を示す。
【0028】
図6は、この傾斜管理システムのフローチャートであり、前記パチンコ台1の傾斜角度の測定にあたり、図4(a)もしくは図4(b)で示した傾斜測定器19もしくは19aの電源スイッチ31をONとし、傾斜測定器19もしくは19aの測定面21をパチンコ台1のガラス面18aに当接して、ガラス面18aの傾斜角度を測定して保持し、このガラス面18aの傾斜角度データが、変換回路27で尺貫法の単位に演算および変換されて保持される。
他方、当該パチンコ台1に相対するパチンコ島2のデータランプ38の左右個所には、QRコードもしくはバーコード等の台番号コード39R、39Lが表記されているが、パチンコ台1の左右の傾斜角度の取得後、もしくは傾斜角度の収得前に、傾斜測定器19もしくは19aに備えられている台番号入力手段25のカメラ25aで台番号コード39を読み取る、もしくは台番号の入力スイッチ34で直接的に台番号を入力することで、この読み取りデータが前記傾斜値の変換データに紐付けされて保持される。
また、台番号39Rおよび39Lの表記個所は、前記データランプ38の近傍に限るものでなく、傾斜を測定するパチンコ台1が識別でき、さらにこの左右の識別が可能なパチンコ島2の範囲である。
【0029】
前記台番号データが紐付けされた傾斜値データは、図4(a)もしくは、図4(b)のLCD等の表示部24に、当業界で慣用されている尺貫法単位で、例えば4分5厘などのように5厘間隔の傾斜単位で表示される。
また、台番号が紐付けされたデータは、傾斜測定器19もしくは19aの発信回路28の操作スイッチ40の操作で情報機器36に発信され、LANシステムによって当該情報機器36に表示される。
前述のように、この発明のパチンコ台の傾斜管理システムは、パチンコ台の傾斜が当業界で慣用されている尺貫法単位で5厘間隔の傾斜で表示されるとともに、この傾斜値にパチンコ台1の台番号が紐付け付与されて、傾斜測定器19もしくは19a自体および情報機器36にLANシステムで表示されるようにしたので、パチンコ店内の数百台におよぶ多数のパチンコ台の傾斜管理を一元的、且つ、合理的に行なうことができ、パチンコ遊戯施設の運営において、パチンコ台の傾斜を高い精度で管理するという新たな経営管理手段を提供できる。
【符号の説明】
【0030】
1・・・パチンコ台
2・・・パチンコ島
3・・・上板
4・・・下板
5・・・台間柱
6・・・設置区画
8・・・下桟
10・・・上桟
11・・・上部取り付け器具
16・・・盤面
17・・・ガラス枠
18・・・ガラス板
18a・・・ガラス面
19・・・傾斜測定器
19a・・・傾斜測定器
20・・・筐体
21・・・測定面
22・・・ジャイロセンサ基板
23・・・傾斜角度センサ
24・・・表示部
25・・・台番号の入力手段
25a・・・カメラ
26・・・制御回路基板
27・・・変換回路
28・・・発信回路
29・・・電源回路
30・・・電源
31・・・電源スイッチ
33・・・台番号表示部
34・・・台番号の入力操作部
35・・・突起部
36・・・情報機器
37・・・傾斜調整コントローラ
39・・・台番号コード
図1
図2
図3
図4
図5
図6