(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046185
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】物品取出集品システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20230327BHJP
B65G 1/10 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
B65G1/137 E
B65G1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021172711
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】521461557
【氏名又は名称】株式会社オリエンタルアーツ
(71)【出願人】
【識別番号】509323680
【氏名又は名称】株式会社タクテック
(72)【発明者】
【氏名】北 義弘
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF23
3F022FF24
3F022MM02
3F022MM11
3F022MM36
3F522AA02
3F522BB01
3F522CC01
3F522FF12
3F522GG04
3F522GG05
3F522HH02
3F522HH12
3F522HH13
3F522HH22
3F522JJ01
3F522JJ02
3F522LL57
3F522LL63
(57)【要約】
【課題】当日に作業対象となる複数台の搬送棚のいずれも作業ステーションとの短距離配置にして無人走行車による搬送棚の搬送距離および搬送時間を短くし無人走行車の設備台数を従来に比べ大幅に削減できて設備費を低減できる物品取出集品システムを提供すること。
【解決手段】搬送棚10を複数保管するための保管エリアAと、作業者Mが所在する複数の作業ステーションを有する作業エリアBとを有し、保管エリアAに保管されている複数の搬送棚10の中から選択される1つの搬送棚10が無人走行車50により作業者Mの一方側の直前に移動されるとともに、集品棚20が別の無人走行車60により作業者Mの他方側の直前に移動され、作業エリアBの保管されている複数の搬送棚10の中、作業対象になる適宜に選択される複数の搬送棚10の作業エリアBに近い一時保管場所として、保管エリアAと作業エリアBとの間にキャッシュエリアCが設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送棚を複数保管するための保管エリアと、複数の作業ステーションを有し各作業ステーションに所在する作業者の一方側の直前に配置される前記搬送棚と他方側の直前に配置される集品棚との間で前記作業者により物品の取り出しが行われさらに集品が行われる作業エリアとを有し、前記保管エリアに保管されている複数の前記搬送棚の中から選択される前記搬送棚が無人走行車または人力により前記作業者の直前に移送されるとともに、別エリアに保管されている前記集品棚が別の無人走行車、コンベアまたは人力により前記作業者の他方側の直前に移送される構成を備え、
前記保管エリアの保管されている複数の前記搬送棚の中、適宜に選択され当日の作業対象になる複数の前記搬送棚の一時保管場所として、前記保管エリアと前記作業エリアとの間にキャッシュエリアが設けられることで、棚の搬送作業の平準化が行われることを特徴とする物品取出集品システム。
【請求項2】
前記作業エリアと前記キャッシュエリアとの間であって各前記作業ステーションの作業者の直前に移送された前記搬送棚の周囲に、1台ないし数台の前記搬送棚を待機させる待機エリアが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の物品取出集品システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ステーションにおいて作業者が一方側の搬送棚から物品を取り出し取り出した物品を他方側の集品棚または集品箱に集品するための物品取出集品システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物流システムに関連し、保管エリアに複数保管されている複数の物品収容部を有する搬送棚(搬送棚)の中から選ばれる搬送棚であって搬送車(無人走行車)により各作業ステーションに所在する作業者の一側の直前に移送される搬送棚と、作業者の他側の直前に用意される複数の物品集品部を有する仕分棚との間で、作業者により、搬送棚の物品収容部から物品を取り出し取り出した物品をさらに集品棚の物品集品部に集品する物品取出集品システムが開示されている(特許文献1の
図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2017/175301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特許文献1の
図1に開示された物品取出集品システムのレイアウトに関する問題点を探求した。
【0005】
保管エリアは倉庫規模により数百台ないし千数百台もの搬送棚を保管する広大なエリアになるとともに多くの台数の搬送車を保管エリア内の周辺スペースに用意する必要があり、作業者の人数(=作業ステーションの数)も数十と多くなる。
【0006】
そして、搬送棚の保管位置と作業ステーションとの距離が離れていればいる程、搬送車により搬送棚を作業者の直前に搬送してくるまでの搬送時間が長くなり、同様にこの搬送棚を搬送車により元の保管位置に戻すときの搬送時間も長くなる。さらに、作業当日に、同一の搬送棚に関し、一の作業者の取出集品作業を終えた後に、他の作業者の取出集品作業のために他の作業者の直前に搬送されるときには、さらに、1回目の往復の搬送時と同じ搬送時間がかかることとなる。
【0007】
さらにまた、複数の搬送棚に関し、同一の搬送棚が3人以上の作業者の取出集品作業に関係して作業者の直前に搬送され作業終了後は元の保管位置に移動されることが繰り返されることは稀ではなく多く、取出集品作業を行う作業者の数に比例して搬送車による搬送棚の搬送時間が数倍を要していた。
【0008】
このため、搬送棚の搬送時間が長くなることは、1台当たりの搬送車の搬送のための分担時間が長くなるから、同じ時間帯に搬送する搬送棚の最大数に対応できるよう1台当たり数百万もする搬送車を多くの台数、保管エリア内の周辺スペースに用意する必要があり、設備費が高くつくという問題があった。
【0009】
一方もしも、少ない台数の搬送車で当日対象となる複数の搬送棚の搬送を対応させようとする場合には、作業者の直前の搬送棚について物品の取出集品作業をしている中に次の搬送棚を搬送するための搬送車を割り当てできず次の搬送棚を作業者の近くに搬送できなくなる状態が起こりうる。この場合には、作業者の直前の搬送棚について物品の取出集品作業を終えた時点より、次の搬送棚を搬送車により搬送開始し作業者の直前への搬送を終えるまでは作業者が作業に取り掛かれないから、業務効率が大幅に低減し、仕分け作業の単価が高くつくことになり、物品取出集品システムにおいて最も避けたい事象である。この問題点を解消するためには、上述したように、搬送車を十分多くの台数を用意する必要があって設備費が高くつくという問題がある。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、当日に作業対象となる複数の搬送棚の保管位置と各作業ステーションとの距離を短くなる配置にすることができて無人走行車による搬送棚の搬送距離および搬送時間を短くすることができて無人走行車の設備台数を従来に比べ大幅に削減でき設備費を大幅に低減できる物品取出集品システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の第1の発明態様に係る物品取出集品システムは、基本構成として、搬送棚を複数保管するための保管エリアと、一方側に配置される前記搬送棚と他方側に配置される集品棚との間で作業者により物品の取り出しと集品を行うための複数の作業ステーションを有する作業エリアとを有し、前記保管エリアに保管されている複数の前記搬送棚の中から選択される前記搬送棚が無人走行車または人力により前記作業者の直前に移送されるとともに、別エリアに保管されている前記集品棚が別の無人走行車、コンベアまたは人力により前記作業者の他方側の直前に移送されるよう構成を備える。
【0012】
そして、構成として、前記保管エリアの保管されている複数の前記搬送棚の中、適宜に選択され当日の作業対象になる複数の前記搬送棚の一時保管場所として、前記保管エリアと前記作業エリアとの間にキャッシュエリアが設けられることで、棚の搬送作業の平準化が行われることを特徴としている。
【0013】
本願の第2の発明態様に係る物品取出集品システムは、第1の発明態様の構成に加え、さらなる特徴的構成として、前記作業エリアと前記キャッシュエリアとの間であって各前記作業ステーションの作業者の直前に移送された前記搬送棚の周囲に、1台ないし数台の前記搬送棚を待機させる待機エリアが設けられている構成である。
【0014】
ここで、取り扱い対象の「物品」とは、物流倉庫にて取り扱う有体物である。
また、「無人走行車」とは、床面に設けられた2次元コード(QR,Aplirtag、DataMatrix,その他)誘導方式、床面に設けられた磁気テープ誘導方式、ガイド無し自動誘導方式(SLAM方式、その他)、他の方式などが採用されて無人走行する車両である。ただし、これに限定されるのもではない。位置の推定やマップ作成にはレーザーレンジスキャナー(測域センサー、LIDAR)、カメラ、エンコーダ、マイクロフォンアレイなど公知の技術が利用される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、当日に作業対象となる複数の搬送棚の保管位置と各作業ステーションとの距離を短くなる配置にすることができて無人走行車による搬送棚の搬送距離および搬送時間を短くすることができて無人走行車の設備台数を従来に比べ大幅に削減でき設備費を大幅に低減できる物品取出集品システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る物品取出集品システムを示す平面図である。
【
図2】本発明の第2の実施の形態に係る物品取出集品システムを示す平面図である。
【
図3】本発明の第1および第2の実施の形態に共通する基本構成例に係り、作業者が物品の取出集品作業を行うところを示す概念図である。
【
図4】本発明の第1および第2の実施の形態に係る物品取出集品システムに共通する基本構成例に係る搬送棚を示し、搬送棚を作業者の側から視た正面図である。
【
図5】本発明の第1および第2の実施の形態に係る物品取出集品システムに共通する基本構成例に係る集品棚を示し、集品棚を作業者の側から視た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態に係る物品取出集品システムについて図面を参照して説明する。
【0018】
図1は第1の実施の形態に係る物品取出集品システム1を示す平面図であり、
図2は第2の実施の形態に係る物品取出集品システム2を示す平面図である。
【0019】
図1、
図2において、符号10は搬送棚、符号20は集品棚、符号Aは保管エリア、符号Bは作業エリア、符号B1,B2,B3は作業ステーション、符号Cはキャッシュエリア、符号Dは待機エリア、符号E,Fは横断路、符号Mは作業者、符号40は保管エリアA内に配置され搬送棚10を搬送するための無人走行車、符号50は作業エリアBに関し保管エリアAと反対側のエリアに配置され集品棚20を搬送するための無人走行車、矢印を伴う曲がり線は無人走行車50の一例に係る走行経路である。
【0020】
先に第1および第2の実施の形態に共通する基本構成部分について説明し、第1の実施の形態の特徴的構成と第2の実施の形態の特徴的構成については後述する。
【0021】
物品取出集品システム1および2は、いずれも、複数(数百ないし千数百)の搬送棚10を保管するための保管エリアAと、作業者Mが配置される複数の作業ステーションB1,B2,B3,・・・を有する作業エリアBとを有し、保管エリアAに保管されている複数の搬送棚10の中から選択される搬送棚10が無人走行車50により作業者Mの一方側の直前に移送されるとともに、保管エリアAとは別の図示しないエリアに保管されている集品棚20が無人走行車60により作業者の他方側の直前に搬送される構成であり、作業者Mにより搬送棚10の物品収容部11から物品を取り出し、取り出した物品を集品棚20の物品集品部21に集品するシステムである。
【0022】
搬送棚10と集品棚20を
図4と
図5に示す。
搬送棚10は、複数の同一の物品が複数収容される物品収容部11を縦方向および横方向に複数配列されてなり、同様に、集品棚20は、複数の同一の物品が複数収容される物品集品部21を縦方向および横方向に複数配列されてなる。図示例では、搬送棚10並びに集品棚20は、いずれも、矩形枠と、各列の仕切り板と各段の仕切り板とを有し、物品収容部11または物品集品部21を縦方向および横方向にそれぞれ4つ有する正列状に設けられている。なお、物品収容部11、物品集品部21が斜列状に配列されていてもよい。搬送棚10並びに集品棚20は、例えば、複数の物品収容部11または物品集品部21を縦一列に複数設けたものを複数横並びに一体に組付けられた構成であってもよい。
【0023】
搬送棚10並びに集品棚20は、例えば、各物品収容部11または各物品集品部21の間口の大きさが、横400mm×縦300mmであり、矩形枠の下面板の四隅より長さ550mmのロック付きキャスター13または23を備えた4つの脚部12または22が垂設されている移動式であることが好ましい。搬送棚10並びに集品棚20の大きさは、作業者が立ち位置を大きく移動しない範囲内で作業できるように設けられるのがよい。
【0024】
取出集品作業に係る物品は、物品収容部11または物品集品部21を画成している床板上に載置・収容される。
【0025】
搬送棚10への物品の収容、補充は、搬送棚10の保存エリアAにおいて、または搬送棚10が保存エリアAに配置される前の他のエリアにおいて、物品収容部11毎に異なる種類の物品が収容容積の許す限り収容することができる。
【0026】
各物品収容部11への物品の収容は前側と後側のどちらか、または両方より行うことができる構成であってよい。特に、物品収容部11を画成している床板は、前側に傾斜下降するローラーテーブルであってもよく、この場合には前端にストッパが付設される。
【0027】
保管エリアAに保管される搬送棚10は作業エリアBの長手方向に対して直角方向に一列または二列をなして配列され、保管エリアA内の周囲部分および列間の通路は無人走行車50により搬送される搬送棚10同士がすれ違いできる幅員を有する。保管エリアAに配置される複数の無人走行車50は、図示しない包括制御部により選択されたものが、包括制御部により選択された搬送棚10の搬送を行う。
【0028】
無人走行車50は、例えば持上用天板51を有していて、搬送棚10の矩形枠の下面板の下側に潜り込んで持上用天板51を上昇させて矩形枠の下面板をロックし搬送棚10を例えば20mm持ち上げて移動できることが好ましい。無人走行車50は保管エリアAに保管されている複数の搬送棚10の周囲に配置される。無人走行車60は持上用天板51を有し無人走行車50と同一の構成・機能を有する。なお、集品棚20に替えて1つの物品集品部を有する集品箱であってもよく、この集品箱はコンベアで搬送されるか、または移動テーブル上に載置され搬送される。
【0029】
物品取出集品システム1、2の各作業ステーションB1,B2,B3,・・・には、
図3に示すように、個別制御部40を備えている。
【0030】
統括制御部30は、保存エリアAに所在する全ての搬送棚10に関し、保管位置IDと各搬送棚10のIDと各搬送棚10の全ての物品収容部11のIDとこれに収容される物品のIDと各物品収容部に収容された物品数とが最新のものとなるよう逐次にデータ入力され、また、仕分け情報に関する全てのデータを最新のものとなるよう逐次にデータ入力され、入力されたデータを管理しつつ、各作業ステーションに備える個別制御部40に対し、作業者Mが搬送棚10と集品棚20との間で物品の取出集品作業を行うために必要な全てのデータを送信するようになっており、さらに無人走行車50、60に対する搬送指令を出力し、かつ全ての無人走行車50、60の位置データを逐次に把握できるようになっている。
【0031】
統括制御部30は、1つの搬送棚10を選択するとともにこの搬送棚10を作業者Mの一方の直前に搬送するための一台の無人走行車50を選択する。無人走行車50は、統括制御部30から保管位置の位置データと搬送先の位置データと搬送指令とを受領し搬送棚10を作業者Mの一方側の直前に搬送する。
【0032】
なお、搬送棚10と集品棚20は、無人走行車50または60により作業者Mの直前ではなく近傍に搬送され後、作業者M等の人力により作業者Mの直前に移動するものであってよい。このためには、搬送棚10と集品棚20は、キャスターを有する脚を備え人力により移動しうる構成とされる。
【0033】
個別制御部40は、統括制御部30から送信されるデータを受信すると、作業ステーションにおける作業者Mにより物品の取出集品作業が行えるよう1つの物品収容部11の指定と1つの物品集品部21の指定とを行う。この指示方法には、いろいろな方法がある。
【0034】
一例として、ディスプレイの半部に搬送棚10の全ての物品収容部11を配列表示するとともに物品を取り出すべき1つの物品収容部11を容易に見分け可能な表示としかつ物品の取り出す個数を表示し、一方、ディスプレイの残りの半部に集品棚20の全ての物品集品部21を配列表示するとともに物品を集品すべき1つの物品集品部21を容易に見分け可能な表示とする指示方法がある。
【0035】
また他例として、搬送棚10の物品を取り出すべき1つの物品収容部11にスポット光を当てるとともに、集品棚20の物品を集品すべき1つの物品集品部21にスポット光を当てる指示方法がある。
【0036】
この他更なる指示方法として、作業者Mと搬送棚10との間および作業者Mと集品棚20との間にそれぞれ1か所だけ開口するシャッター装置を設けて物品を取り出すべき1つの物品収容部および物品を集品すべき1つの物品集品部を指示する方法があげられる。
【0037】
作業者Mは、個別制御部40の指定表示に従い搬送棚10と集品棚20との間で物品の取出集品作業が行える。作業者Mは、搬送棚10の物品収容部11から物品を取り出し、取り出した物品を他方側の集品棚20の物品集品部21に収納することを物品収容部11を替えて複数回行って集品する。
【0038】
物品の取出集品作業には以下の2通りの手順がある。
【0039】
第1の手順では、物品収容部11から物品を必要数取り出しさらに取り出した物品を物品集品部21に収納し、続いて、別の物品収容部11から異なる物品を必要数取り出しさらに取り出した物品を同一の物品集品部21に収納し、以後も仕分け内容に応じて、同様の物品取出集品作業を繰り返し、もって、一の物品集品部21に複数の異なる物品を集品する。こうして、一の物品集品部21について複数の異なる物品を集品することを他の物品集品部21についても次々に適用して処理する。上記の搬送棚10からの物品取出集品作業を終えたら、保管エリアAに保管されている複数の搬送棚の中から選択される搬送棚であって、無人走行車50により作業者Mの直前に搬送される次の搬送棚10に関し、上記と同様に、物品取出集品作業を繰り返す。
【0040】
第2の手順では、第1の物品収容部11から物品を必要数取り出しさらに取り出した物品を第1の仕分け先に係る物品集品部21に収納し、続いて、第1の物品収容部11から物品を必要数取り出しさらに取り出した物品を第2の仕分け先に係る別の物品集品部21に収納し、こうして次々に物品収容部11から物品を必要数取り出し第3、第4、・・・の仕分け先に係る別の物品集品部21に収納し、もって、第1の物品収容部11と第1、第2、第3、第4、・・・物品集品部21との間での物品取出集品作業を終えたら、同様にして、第2の物品収容部11と第1、第2、第3、第4、・・・物品集品部21との間での物品取出集品作業を行う。上記の搬送棚10からの物品取出集品作業を終えたら、保管エリアに保管されている複数の搬送棚の中から選択される搬送棚であって、無人走行車50により作業者Mの直前に搬送される次の搬送棚10に関し、上記と同様に、物品取出集品作業を繰り返す。
【0041】
[本発明の物品取出集品システムの構成の特徴]
本発明の物品取出集品システムは、特に、保管エリアAに複数保存された搬送棚10の無人走行車50による搬送距離、搬送時間を大幅に短縮するためのレイアウトに関するものである。
【0042】
図1に示す第1の実施の形態に係る物品取出集品システム1の特徴的構成は、保管エリアAの保管されている複数の搬送棚10の中、適宜に選択され当日の作業対象になる複数の搬送棚10の一時保管場所として、保管エリアAと作業エリアBとの間に十数台ないし数十台の搬送棚10を待機させるキャッシュエリアCが設けられていることである。そして、保管エリアAとキャッシュエリアCとの間には、搬送棚10同士がすれ違いできる横断路Eが設けられ、キャッシュエリアCと作業エリアBとの間には、搬送棚10同士がすれ違いできる横断路Fが設けられている。
【0043】
また、
図2に示す第2の実施の形態に係る物品取出集品システム2の特徴的構成として、保管エリアAの保管されている複数の搬送棚10の中、適宜に選択され当日の作業対象になる複数の搬送棚10の一時保管場所として、保管エリアAと作業エリアBとの間に十数台ないし数十台の搬送棚10を待機させるキャッシュエリアCが設けられており、さらに、作業エリアBとキャッシュエリアCとの間であって各作業ステーションB1,B2,B3,・・・の作業者Mの直前に移送された搬送棚10の周囲に、例えば3ないし5台の搬送棚10を待機させる待機エリアDが設けられていることである。そして、保管エリアAとキャッシュエリアCとの間には、搬送棚10同士がすれ違いできる横断路Eが設けられ、キャッシュエリアCと待機エリアDとの間には、搬送棚10同士がすれ違いできる横断路Fが設けられている。
【0044】
[
図1に示す物品取出集品システム1における搬送棚10の搬送]
まず、統括制御部30が当日の作業開始前に、保管エリアAの保管されている複数の搬送棚10の中、物品の取出集品作業に必要な全ての数の搬送棚10をリストアップし、リストアップした複数の搬送棚10の中から、各作業ステーションB1,B2,B3,・・・において仕分け順が1番の搬送棚10を無人走行車50により作業者Mの直前に搬送し、仕分け順が2番以降の複数の搬送棚10を無人走行車50によりキャッシュエリアCに移送し作業者Mとの距離を短縮しておく。
【0045】
キャッシュエリアCを十分に広い面積を有するよう確保できキャッシュエリアCにプールできる搬送棚10の台数が作業当日の台数を上回れば、リストアップした全数の搬送棚10をキャッシュエリアCに当日の作業開始前に載置することができる。キャッシュエリアCの面積がリストアップした搬送棚10の数より小さい場合には、当日の作業対象となる順序の早い搬送棚10を第1優先にしてキャッシュエリアCの最も作業者M寄りの位置に配置し、第2優先としては、当日の作業対象となる回数が多い順にキャッシュエリアCに配置する。こうした配置において、リストアップした搬送棚10の中、当日の作業対象となる順序の遅い搬送棚10は、当日の作業開始前にはキャッシュエリアCに配置されないことになるが、作業済となった搬送棚10が保管エリアAの元位置に戻され保管されるときに、キャッシュエリアCの保管スペースが空くのでそのタイミングでそこに搬送する。すなわち、リストアップした全ての搬送棚10をキャッシュエリアCに移送する必要はなく、一の作業ステーションの作業者Mの直前での作業の終えて他の作業ステーションの作業対象ではない搬送棚10については無人走行車50により保管エリアAの元保管位置に戻し、キャッシュエリアCが空いたら無人走行車50が1つの搬送を終えた時間帯にキャッシュエリアCの空いた位置にリストアップした残りの搬送棚10を無人走行車50により移送すればよい。これにより、当日の作業の開始時間に合わせて、作業者Mが直ちに一方側の直前に位置する搬送棚10と他方側の直前に位置する集品棚20との間で物品の取出集品作業を行うことができる。
【0046】
図1に示す物品取出集品システム1では、キャッシュエリアCが設けられているので、当日の作業に必要な複数の搬送棚Aの一時保管位置と作業者Mの直前位置との距離が従来に比べて大幅に短縮されるから、従来において生じていた問題点、すなわち、搬送棚Aの保管位置と作業ステーションとの距離が離れていればいる程、搬送車により搬送棚を作業者の直前に搬送してくるまでの搬送時間が長くなり、同様にこの搬送棚を搬送車により元の保管位置に戻すときの搬送時間も長くなるから無人走行車50の設備台数を多くすることが避けられず設備コストのアップにつながっているという問題点が解消される。そして、1つの搬送棚Aについて作業を終えると次の搬送棚Aを作業者Mの直前位置に移送する時間が短いから作業者Mが作業ができない時間が非常に短くなる。
【0047】
そして、直前の搬送棚10について物品の取り出しを終えたら、この搬送棚10がさらに他の作業ステーションの作業対象であるときには、この搬送棚10を無人走行車50によりキャッシュエリアCの元保管位置に戻すか、または、直ぐに他の作業ステーションの作業対象とするときにはキャッシュエリアCの元保管位置に戻さず他の作業ステーションの作業者Mの直前に無人走行車50により移送し、また他の作業ステーションの作業対象とはならないときには、保管エリアAの元保管位置に移送する。次の日も同じ搬送棚10をリストアップするのであれば、その搬送棚10はその日もキャッシュエリアに残り続けるようにする。これを繰り返すと、よく使う搬送棚10はキャッシュエリアCに残り続ける。
【0048】
これによって、常に搬送棚10を保管エリアAの保管位置と作業者の直前位置との長い距離を搬送する場合に比べ、無人走行車による搬送棚の搬送距離、搬送時間を大幅に短縮することができて、無人走行車の設備台数を従来に比べ大幅に削減でき設備費を大幅に低減できる。また、リストアップした搬送棚10の中、作業の開始からあまり時間経過しない段階で使用対象となる必要数の搬送棚10については、当日の作業前にキャッシュエリアCに作業の開始に合わせて作業者Mの至近距離にスタンバイさせておくとともに、作業の開始から時間経過しない段階で使用対象となる必要数の搬送棚10については、随時にキャッシュエリアCに移動してくればよいので、無人走行車による搬送作業を平準化することができ、このことによっても、無人走行車の設備台数を低減できる。
【0049】
[
図2に示す物品取出集品システム2における搬送棚10の搬送]
まず、統括制御部30が当日の作業開始前に、保管エリアAの保管されている複数の搬送棚10の中、物品の取出集品作業に必要な全ての数の搬送棚10をリストアップし、リストアップした複数の搬送棚10の中から、各作業ステーションB1,B2,B3,・・・において仕分け順が1番の搬送棚10を無人走行車50により各作業者Mの直前に搬送し、仕分け順が2番ないし5,6番目位の数台の搬送棚10を無人走行車50により待機エリアDに搬送しておき、リストアップした残りのできるだけ多くの数の搬送棚10について当日の作業開始前に、無人走行車50によりキャッシュエリアCに移送しておく。これにより、当日の作業の開始時間に合わせて、作業者Mが直ちに一方側の直前に位置する搬送棚10と他方側の直前に位置する集品棚20との間で物品の取出集品作業を行うことができる。
【0050】
そして、直前の搬送棚10について物品の取り出し作業を終えたら、この搬送棚10を作業者Mの直前位置から退動し、待機エリアDの最前の待機位置の搬送棚10を搬送棚10または人力により作業者Mの直前に移動する。作業者Mの直前位置から退動する搬送棚10については、さらに他の作業ステーションの作業対象であって使用順序が間もなくであるときには、この搬送棚10を無人走行車50によりキャッシュエリアCの元保管位置に戻し、また、直ぐに他の作業ステーションの作業対象とするときには他の作業ステーションの待機エリアDの最後尾の待機位置に無人走行車50または人力により移送し、他の作業ステーションの作業対象とはならないときには、保管エリアAに移動する。なお、退動する搬送棚10についての行先の判断は、オーダの頻度グラフに基づいて、搬送棚10に保管されている物品について、当日にさらにオーダが発生する可能性している物品であるかどうかの判断とし、その判断結果に基づき、搬送棚10をキャッシュエリアCに置いたままにするか、保管エリアAに移動するかの判断を行う。次の日も同じ搬送棚10をリストアップするのであれば、その搬送棚10はその日もキャッシュエリアに残り続けるようにする。これを繰り返すと、よく使う搬送棚10はキャッシュエリアCに残り続ける。
【0051】
図2に示す物品取出集品システム2では、キャッシュエリアCが設けられているので、
図1に示す物品取出集品システム1と同様のメリットがある。したがって、常に搬送棚10を保管エリアAの保管位置と作業者の直前位置との間を搬送する場合に比べ、無人走行車による搬送棚の搬送距離、搬送時間を短くすることができて、無人走行車の設備台数を従来に比べ大幅に削減でき設備費を大幅に低減できる。さらに、物品取出集品システム2では、キャッシュエリアCに加えて待機エリアDが設けられているので、作業者Mの直前の位置と次の作業対象の搬送棚10の位置とが至近距離であるので、作業者Mの直前の搬送棚10の作業を終えて次の集品棚20を作業者Mの直前に移動する時間が非常に短時間となり作業ロスがなくなり、無人走行車による搬送作業を一層平準化することができ、このことによっても、無人走行車の設備台数を低減できる。
【符号の説明】
【0052】
1、2…物品取出集品システム
10…搬送棚
11…物品収容部
12…脚部
13…ロック付きキャスター
20…集品棚
21…物品集品部
22…脚部
23…ロック付きキャスター
30…統括制御部
40…個別制御部
50…無人走行車
60…無人走行車
A…保管エリア
B…作業エリア
B1,B2,B3…作業ステーション
C…キャッシュエリア
D…待機エリア
E…横断路
F…横断路
M…作業者