(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046188
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】洪水対策用止水ヘイ
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20230327BHJP
E06B 7/23 20060101ALI20230327BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20230327BHJP
E04H 17/16 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/23 Z
E04H9/14 Z
E04H17/16 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021172717
(22)【出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】504196492
【氏名又は名称】株式会社高橋監理
(72)【発明者】
【氏名】高橋 龍夫
【テーマコード(参考)】
2E036
2E139
2E142
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB02
2E036EC04
2E139AA08
2E139AC20
2E142AA01
2E142HH03
2E239AC04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】平時においてコンパクトに折り畳むことにより重ねて収納でき、大雨時や内水氾濫等において軽量で持ち運びが容易にできる止水装置を提供する。
【解決手段】角波形鋼板で成形した角波形パネル止水鋼板1、角波形パネル止水鋼板1に取り付けた複数本の角波形パネル用補強柱11、角波形パネル止水鋼板1の下部に差し込み、水の侵入を防ぐため取り付けた設置面用止水部材24、集中豪雨等の水により止水装置が浮き上がらないよう角波形パネル止水鋼板1を通路等の設置面に押し付ける水圧保持用パネル鋼板26、水圧保持用パネル補強部材26、角波形パネル用補強柱11と水圧保持用パネル補強部材26を回動自在に固定するL形連結部材46、角波形パネル止水鋼板1が集中豪雨等の水により転倒しないように支える転倒防止用突支棒80を着脱自在に取り付けた止水装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集中豪雨等の際に一定領域への浸水を防ぐための止水装置において、
角波形鋼板で成形した角波形パネル止水鋼板と、
前記角波形パネル止水鋼板に取り付けた複数本の角波形パネル用補強柱と、
前記角波形パネル止水鋼板の下部に差し込み、水の侵入を防ぐため取り付けた設置面用止水部材と、
集中豪雨等の水により止水装置が浮き上がらないよう角波形パネル止水鋼板を通路等の設置面に押し付けるため、前記角波形パネル止水鋼板と同一形状の角波形鋼板で成形し、前記角波形パネル止水鋼板の下部に、角波形パネル止水鋼板に対して概ね95度の角度で取り付けた水圧保持用パネル鋼板と、
前記水圧保持用パネル鋼板に取り付けた複数本の水圧保持用パネル補強部材と、
角波形パネル用補強柱と水圧保持用パネル補強部材を回動自在に固定するためのL形連結部材と、
角波形パネル止水鋼板が集中豪雨等の水により転倒しないように支えるため、角波形パネル用補強柱の上部と水圧保持用パネル補強部材の端部に成形した穴に、両端を折曲ピンで形成した転倒防止用突支棒を着脱自在に取り付けたことを特徴とする洪水対策用止水ヘイ。
【請求項2】
角波形パネル用補強柱は、長方形の平板鋼板をL形に直角に折り曲げて成形し、一方の面に角波形パネル止水鋼板を取り付けるための複数個の穴を成形すると共に、他方の面の端部に前記転倒防止用突支棒を挿入するための穴を成形したことを特徴とする請求項1に記載の洪水対策用止水ヘイ。
【請求項3】
設置面用止水部材は、概ね断面四角形状のゴム又は硬質スポンジで形成し、前記設置面用止水部材の上面中央に角波形パネル止水鋼板の下部を挿入するための切込溝を成形したことを特徴とする請求項1又は2に記載の洪水対策用止水ヘイ。
【請求項4】
水圧保持用パネル補強部材は、長方形の平板鋼板をL形に直角に折り曲げて成形し、一方の面に水圧保持用パネル鋼板を取り付けるための複数個の穴を成形すると共に、他方の面の両端に前記転倒防止用突支棒を挿入するための穴と、前記L形連結部材を取り付けるための穴を成形したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の洪水対策用止水ヘイ。
【請求項5】
L形連結部材は、長方形の平板鋼板をL形に直角に折り曲げ各々面に穴を成形し、一方の面を角波形パネル止水鋼板に当接させ、L形連結部材と角波形パネル止水鋼板と角波形パネル用補強柱に成形した穴を重ね合わせ、ボルトとナットで前記L形連結部材と前記角波形パネル止水鋼板と前記角波形パネル用補強柱をサンドイッチ状に固定すると共に、他方の面に成形した穴と水圧保持用パネル補強部材の端部に成形した穴を重ね合わせ、ボルトとナットで前記L形連結部材と前記水圧保持用パネル補強部材を回動自在に固定したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の洪水対策用止水ヘイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水装置に関し、更に詳しくは、集中豪雨等の際に、簡易な施工で一方から他方への水の浸入を確実に防止することのできる止水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、地球温暖化が要因の一つとされる異常気象に伴い、各地で短時間の記録的な集中豪雨が頻発している。
周知のように、都市部では道路の舗装化が進んでおり、降雨した雨水は殆ど地中に浸透することなく、下水道施設から河川へと一気に流入するため、短時間で河川が氾濫したり下水道施設から雨水が逆流してマンホールから雨水が噴き出したりして、床下浸水や床上浸水の被害が数多く発生するようになった。
【0003】
このような河川の氾濫などの水害時は、従来、土のうを建物や地下出入口等の開口部に積み上げて遮水壁を作り建物等の内部への浸水を防いでいた。しかしながら、土のうは非常に重いため、積み上げ作業には大変な時間と労力を要し、また、かさばるため保管場所を確保することも容易ではなかった。しかも、上記のように、昨今の水害は短時間の内に被害が出ることが多く、土のうを保管場所から運び出し積み上げる作業に時間を要すると、止水壁を作るまでに浸水が始まってしまうと云うことも珍しくなかった。
【0004】
このような豪雨等に対応するため、従来、直立に設置された止水枠に防水布を被せた止水板が提案されている。特許文献1に記載された洪水防止用止水板は、洪水時に土のうの代わりに用いられ、土のうよりも容易に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の洪水防止用止水板では、防水布と設置面との間に水が浸入してしまった場合、防水布が浮かび上がり止水性が低下してしまうといった問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、平時においてはコンパクトに折り畳むことにより重ねて収納できると共に、大雨時や内水氾濫等においては軽量で持ち運びが容易にでき、自立して出入口等の開口部を迅速に塞ぐことができる止水装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、集中豪雨等の際に一定領域への浸水を防ぐための止水装置において、角波形鋼板で成形した角波形パネル止水鋼板と、前記角波形パネル止水鋼板に取り付けた複数本の角波形パネル用補強柱と、前記角波形パネル止水鋼板の下部に差し込み、水の侵入を防ぐため取り付けた設置面用止水部材と、集中豪雨等の水により止水装置が浮き上がらないよう角波形パネル止水鋼板を通路等の設置面に押し付けるため、前記角波形パネル止水鋼板と同一形状の角波形鋼板で成形し、前記角波形パネル止水鋼板の下部に、角波形パネル止水鋼板に対して概ね95度の角度で取り付けた水圧保持用パネル鋼板と、前記水圧保持用パネル鋼板に取り付けた複数本の水圧保持用パネル補強部材と、角波形パネル用補強柱と水圧保持用パネル補強部材を回動自在に固定するためのL形連結部材と、角波形パネル止水鋼板が集中豪雨等の水により転倒しないように支えるため、角波形パネル用補強柱の上部と水圧保持用パネル補強部材の端部に成形した穴に、両端を折曲ピンで形成した転倒防止用突支棒を着脱自在に取り付けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構造に加え、角波形パネル用補強柱は、長方形の平板鋼板をL形に直角に折り曲げて成形し、一方の面に角波形パネル止水鋼板を取り付けるための複数個の穴を成形すると共に、他方の面の端部に前記転倒防止用突支棒を挿入するための穴を成形したことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構造に加え、設置面用止水部材は、概ね断面四角形状のゴム又は硬質スポンジで形成し、前記設置面用止水部材の上面中央に角波形パネル止水鋼板の下部を挿入するための切込溝を成形したことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の構造に加え、水圧保持用パネル補強部材は、長方形の平板鋼板をL形に直角に折り曲げて成形し、一方の面に水圧保持用パネル鋼板を取り付けるための複数個の穴を成形すると共に、他方の面の両端に前記転倒防止用突支棒を挿入するための穴と、前記L形連結部材を取り付けるための穴を成形したことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の構造に加え、L形連結部材は、長方形の平板鋼板をL形に直角に折り曲げ各々面に穴を成形し、一方の面を角波形パネル止水鋼板に当接させ、L形連結部材と角波形パネル止水鋼板と角波形パネル用補強柱に成形した穴を重ね合わせ、ボルトとナットで前記L形連結部材と前記角波形パネル止水鋼板と前記角波形パネル用補強柱をサンドイッチ状に固定すると共に、他方の面に成形した穴と水圧保持用パネル補強部材の端部に成形した穴を重ね合わせ、ボルトとナットで前記L形連結部材と前記水圧保持用パネル補強部材を回動自在に固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、集中豪雨等の際に一定領域への浸水を防ぐための止水装置において、角波形鋼板で成形した角波形パネル止水鋼板と、前記角波形パネル止水鋼板に取り付けた複数本の角波形パネル用補強柱と、前記角波形パネル止水鋼板の下部に差し込み、水の侵入を防ぐため取り付けた設置面用止水部材と、集中豪雨等の水により止水装置が浮き上がらないよう角波形パネル止水鋼板を通路等の設置面に押し付けるため、前記角波形パネル止水鋼板と同一形状の角波形鋼板で成形し、前記角波形パネル止水鋼板の下部に、角波形パネル止水鋼板に対して概ね95度の角度で取り付けた水圧保持用パネル鋼板と、前記水圧保持用パネル鋼板に取り付けた複数本の水圧保持用パネル補強部材と、角波形パネル用補強柱と水圧保持用パネル補強部材を回動自在に固定するためのL形連結部材と、角波形パネル止水鋼板が集中豪雨等の水により転倒しないように支えるため、角波形パネル用補強柱の上部と水圧保持用パネル補強部材の端部に成形した穴に、両端を折曲ピンで形成した転倒防止用突支棒を着脱自在に取り付けたことにより、持ち運びが容易で、設置も短時間で簡単に行うことができる止水装置を提供することが可能になった。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、角波形パネル用補強柱は、長方形の平板鋼板をL形に直角に折り曲げて成形し、一方の面に角波形パネル止水鋼板を取り付けるための複数個の穴を成形すると共に、他方の面の端部に前記転倒防止用突支棒を挿入するための穴を成形したことにより、簡単な構成で角波形パネル止水鋼板を補強することが可能になった。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、設置面用止水部材は、概ね断面四角形状のゴム又は硬質スポンジで形成し、前記設置面用止水部材の上面中央に角波形パネル止水鋼板の下部を挿入するための切込溝を成形したことにより、ゴム又は硬質スポンジの経年劣化により洪水対策用止水ヘイの止水性能が低下した場合でも簡単に設置面用止水部材を新品に交換することが可能になった。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、水圧保持用パネル補強部材は、長方形の平板鋼板をL形に直角に折り曲げて成形し、一方の面に水圧保持用パネル鋼板を取り付けるための複数個の穴を成形すると共に、他方の面の両端に前記転倒防止用突支棒を挿入するための穴と、前記L形連結部材を取り付けるための穴を成形したことにより、簡単な構成で水圧保持用パネル鋼板を補強することが可能になった。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、L形連結部材は、長方形の平板鋼板をL形に直角に折り曲げ各々面に穴を成形し、一方の面を角波形パネル止水鋼板に当接させ、L形連結部材と角波形パネル止水鋼板と角波形パネル用補強柱に成形した穴を重ね合わせ、ボルトとナットで前記L形連結部材と前記角波形パネル止水鋼板と前記角波形パネル用補強柱をサンドイッチ状に固定すると共に、他方の面に成形した穴と水圧保持用パネル補強部材の端部に成形した穴を重ね合わせ、ボルトとナットで前記L形連結部材と前記水圧保持用パネル補強部材を回動自在に固定したことにより、簡単に角波形パネル止水鋼板と水圧保持用パネル鋼板を折り畳み、容易に持ち運ぶことが可能になった。
【実施例0018】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態]
【0019】
【0020】
図1は、本発明の洪水対策用止水ヘイ83(
図4で示す)を分解図で示す。洪水対策用止水ヘイ83(
図4で示す)は集中豪雨等の水が一定領域へ侵入するのを阻止するため地表面に対して概ね垂直に設置するため厚さ0.8mmの角波形鋼板で成形した角波形パネル止水鋼板1と、前記角波形パネル止水鋼板1を垂直に支えるため平板鋼板をL形で直角に成形した2本の角波形パネル用補強柱11、角波形パネル用補強柱19と、さらに前記角波形パネル止水鋼板1の下部63に差し込み集中豪雨等の水の侵入を防ぐため断面四角形状のゴム又は硬質スポンジ等で成形した設置面用止水部材24と、さらに角波形パネル止水鋼板1が集中豪雨等の水により浮き上がるのを防ぐため、角波形パネル止水鋼板1と同一形状の鋼板で成形した水平保持用パネル鋼板26と、さらに前記水圧保持用パネル鋼板26を支えるため平板鋼板をL形で直角に成形した2本の水圧保持用パネル補強部材51、水圧保持用パネル補強部材57と、さらに角波形パネル止水鋼板1と水圧保持用パネル鋼板26を回動自在に接合するため平板鋼板をL形で直角に成形した2組のL形連結部材34、L形連結部材46で構成される。
【0021】
図1で示す角波形パネル止水鋼板1は、
図6bの断面図で示すように厚さ約0.8mmのアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板を角波形に折り曲げて成形され、全幅Aは約650mm、山寸法Bは約40mm、谷寸法Cは約40mm、端寸法Dは約35mm、山谷寸法Eは約90mm、山高寸法Fは約25mm、端寸法Gは約35mmで成形し、角波形パネル止水鋼板1の全長は約3mで成形される。さらに両端部には横方向に複数組の洪水対策用止水ヘイ83(
図4で示す)の端部を重ね合わせ、広い通路等にも対応させるため、前記角波形パネル止水鋼板1の両端の最上部と上下中間部と最下部の3か所の山部3に直径約12mmの穴2、穴67、穴68と穴22、穴69、穴70を成形すると共に、さらに前記角波形パネル止水鋼板1の両端から互いに約600mm離れた上部と下部の上下2箇所の山部3に2本の角波形パネル用補強柱11、角波形パネル用補強柱19を取り付けるため直径約12mmの各々2個の第1の穴6、第2の穴7と第3の穴9、第4の穴23が成形される。
【0022】
図1で示す2本の角波形パネル用補強柱11、角波形パネル用補強柱19は同一形状で厚さ1.6mmの平板鋼板をL形で直角に折り曲げて成形し、角波形パネル止水鋼板1の山部3に固定する角波形パネル用補強柱11、角波形パネル用補強柱19の一方の短辺の幅は約20mm、他方の長辺の幅は約30mm、長さは共に約700mm、さらに前記長辺の上端から約15mm離れた中央部に直径約15mmの穴12、穴16を成形し、前記短辺の上端から約130mm離れた中央部に直径約15mmの穴14、穴17を成形すると共に、前記短辺の下端から約25mm離れた中央部に直径約15mmの穴15、穴21が成形される。
【0023】
図1aは、設置面用止水部材24を拡大図で示す。設置面用止水部材24は角波形パネル止水鋼板1の下部63(
図6aの側面図で示す)を垂直に差し込み、角波形パネル止水鋼板1の下部からの浸水を防ぐための止水材で、集中豪雨等の水の侵入を防ぐため縦約25mm(
図1aで示す横面64)、横幅約60mm(
図1aで示す上面65)の断面四角形状で成形した長さ約3mのゴム又は硬質スポンジ等の上面65の真中部分の一端から末端まで深さ約20mmの切れ込みを入れた状態で形成される。このように設置面用止水部材24を構成することにより、ゴム又は硬質スポンジ等の経年劣化により洪水対策用止水ヘイ83(
図4で示す)の止水性能が低下した場合にも簡単に設置面用止水部材24を新品に交換することが可能になった。
【0024】
図1で示す水圧保持用パネル鋼板26は、角波形パネル止水鋼板1と同一の鋼板で厚さ約0.8mmのアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板を角波形に折り曲げた形状で、
図6bで示すように全幅Aは約650mm、山寸法Bは約40mm、谷寸法Cは約40mm、端寸法Dは約35mm、山谷寸法Eは約90mm、山高寸法Fは約25mm、端寸法Gは約35mmで成形し、長さは約2mで形成される。さらに前記水圧保持用パネル鋼板26の両端から互いに約100mm離れた前後2箇所の谷部27に、2本の水圧保持用パネル補強部材51と水圧保持用パネル補強部材57を取り付けるため直径約12mmの2個の第5の穴39、第6の穴47と、2個の第7の穴31、第8の穴58が成形される。
【0025】
図1で示す水圧保持用パネル鋼板26を支えるための2本の水圧保持用パネル補強部材51、水圧保持用パネル補強部材57は同一形状で厚さ1.6mmの平板鋼板をL形で直角に折り曲げて成形され、水圧保持用パネル補強部材51、水圧保持用パネル補強部材57を水圧保持用パネル鋼板26の谷部27に固定するための一方の短辺の幅は約20mm、他方の長辺の幅は約30mm、長さは共に約700mmで成形され、前記長辺の両端から互いに約15mm離れた中央部に直径約15mmの穴49、穴54と穴61、穴56を成形し、前記短辺の一方の端部から約135mm離れた中央部に直径約15mmの穴52、穴59を成形すると共に、他方の端部から約150mm離れた中央部に直径約15mmの穴48、穴62が成形させる。
【0026】
図1で示す2個のL形連結部材34、L形連結部材46は同一形状で形成され厚さ3.2mm、幅約35mm、長さ約130mmの平板鋼板をL形で直角に折り曲げ、L形連結部材34、L形連結部材46を角波形パネル止水鋼板1の山部3に固定する一方の短辺の長さは約40mm、水圧保持用パネル補強部材51、水圧保持用パネル補強部材57に取り付ける他方の長辺の長さは約90mmで成形し、前記短辺の先端部から約20mm離れた中央部に直径約15mmの穴33、穴44を成形すると共に、前記長辺の先端部から約25mm離れた中央部に直径約15mmの穴36、穴43を成形し、このように成形したL形連結部材34、L形連結部材46の穴33、穴44を角波形パネル止水鋼板1に成形した第2の穴7、第4の穴23と角波形パネル用補強柱11、角波形パネル用補強柱19に成形した穴15、穴21に重ねてボルト10、ボルト20とナット37、ナット41で角波形パネル止水鋼板1とL形連結部材34、L形連結部材46と角波形パネル用補強柱11、角波形パネル用補強柱19をサンドイッチ状に固定すると共に、L形連結部材34、L形連結部材46に成形した穴36、穴43と水圧保持用パネル補強部材57、水圧保持用パネル補強部材51に成形した穴61、穴49を重ねてボルト38、ボルト45とナット35、ナット42でL形連結部材34、L形連結部材46と水圧保持用パネル補強部材57、水圧保持用パネル補強部材51を回動自在に固定した状態を
図3で示す。
【0027】
図2は、
図1で説明した角波形パネル止水鋼板1の山部3に成形した第1の穴6と角波形パネル用補強柱11に成形した穴14を重ねてボルト13とナット5で角波形パネル止水鋼板1と角波形パネル用補強柱11を固定し、さらに角波形パネル止水鋼板1の山部3に成形した第2の穴7とL形連結部材34に成形した穴33と角波形パネル用補強柱11に成形した穴15を重ねてボルト10とナット37で角波形パネル止水鋼板1とL形連結部材34と角波形パネル用補強柱11をサンドイッチ状に固定すると共に、同様に、角波形パネル止水鋼板1の山部3に成形した第3の穴9と角波形パネル用補強柱19に成形した穴17を重ねてボルト18とナット8で角波形パネル止水鋼板1と角波形パネル用補強柱19を固定し、さらに角波形パネル止水鋼板1の山部3に成形した第4の穴23とL形連結部材46に成形した穴44と角波形パネル用補強柱19に成形した穴21を重ねてボルト20とナット41で角波形パネル止水鋼板1とL形連結部材46と角波形パネル用補強柱19をサンドイッチ状に固定した状態を示す。さらに水圧保持用パネル鋼板26の谷部27に成形した第7の穴31、第8の穴58と水平保持用パネル補強部材57に成形した穴62、穴59を重ねてボルト30、ボルト28とナット60、ナット55で水圧保持用パネル鋼板26と水平保持用パネル補強部材57を固定すると共に、同様に、水圧保持用パネル鋼板26の谷部27に成形した第5の穴39、第6の穴47と水平保持用パネル補強部材51に成形した穴48、穴52を重ねてボルト40、ボルト32とナット50、ナット53で水圧保持用パネル鋼板26と水平保持用パネル補強部材51を固定した状態を示す。さらに角波形パネル止水鋼板1の下部63を設置面用止水部材24に成形した切込溝25に差し込んだ状態を示す。
【0028】
図3は、
図1、
図2で説明したL形連結部材46に成形した穴43と水平保持用パネル補強部材51に成形した穴49を重ねてボルト45とナット42でL形連結部材46と水平保持用パネル補強部材51を回動自在に固定すると共に、同様に、L形連結部材34に成形した穴36と水平保持用パネル補強部材57に成形した穴61を重ねてボルト38とナット35でL形連結部材34と水平保持用パネル補強部材57を回動自在に固定した状態を示す。
【0029】
図4は、
図3で説明した角波形パネル止水鋼板1が集中豪雨等の水の力で倒れないように、
図3で説明した2本の角波形パネル用補強柱11、角波形パネル用補強柱19の上部に成形した穴12、穴16と水平保持用パネル補強部材57、水平保持用パネル補強部材51の端部に成形した穴56、穴54に、
図4aで示す転倒防止用突支棒80の両端に形成した折曲ピン81、折曲ピン82を差し込み折曲ピン81、折曲ピン82を90度回転させ角波形パネル止水鋼板1と水圧保持用パネル鋼板26を固定した状態を示す。このように構成することにより、平時においては、角波形パネル止水鋼板1と水圧保持用パネル鋼板26を折り畳んで、倉庫等に重ねて保管することが可能になると共に、集中豪雨等の水害時においては、折り畳んだ洪水対策用止水ヘイ83を保管場所から運び出し、止水しようとする場所で広げて転倒防止用突支棒80の折曲ピン81、折曲ピン82を角波形パネル用補強柱11、角波形パネル用補強柱19と水平保持用パネル補強部材57、水平保持用パネル補強部材51の穴12、穴16と穴56、穴54に挿入して折曲ピン81、折曲ピン82を90度回転させることにより、集中豪雨等の緊急を要する水害時に、洪水対策用止水ヘイ83を簡単に組み立てることが可能になった。
【0030】
図4aは転倒防止用突支棒80を示す。転倒防止用突支棒80は、直径約9mm、長さ約1120mmの丸鋼の両端約20mmを互いに逆方向になるようにL字形に直角に90度折り曲げると共に、L字形に直角に折り曲げた丸鋼の先端部に折曲ピン81、折曲ピン82を溶接接合して形成したものである。
【0031】
図5は、
図4で説明した洪水対策用止水ヘイ83の2本の転倒防止用突支棒80を取り外し、角波形パネル止水鋼板1と水圧保持用パネル鋼板26を折り畳んだ状態を示す。このように角波形パネル止水鋼板1と水圧保持用パネル鋼板26を折り畳むことにより、洪水対策用止水ヘイ83を1人で容易に持ち運ぶことができるようになると共に、平時に洪水対策用止水ヘイ83を保管する際にも、狭い場所に効率良く保管することが可能になった。
【0032】
図6aは、
図4で説明した洪水対策用止水ヘイ83を分解した状態を側面図で示す。
【0033】
図6bは、同一形状の鋼板で成形した角波形パネル止水鋼板1と水圧保持用パネル鋼板26の断面図を示す。角波形パネル止水鋼板1と水圧保持用パネル鋼板26は共に厚さ0.8mmのアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板で角波形に成形され、全幅Aは約650mm、山寸法Bは約40mm、谷寸法Cは約40mm、端寸法Dは約35mm、山谷寸法Eは約90mm、山高寸法Fは約25mm、端寸法Gは約35mmで成形される。
【0034】
図7は、
図4で説明した洪水対策用止水ヘイ83を側面図で示す。
【0035】
図8は、
図5で説明した洪水対策用止水ヘイ83を側面図で示す。
【0036】
図9は、
図4で説明した洪水対策用止水ヘイ83を横方向に2組並べ、隣り合う角波形パネル止水鋼板1の角波形に折り曲げた両端部を重ね合わせてボルト96、ナット97で固定し止水するため、隣り合う洪水対策用止水ヘイ83の両端の間にゴム又は硬質スポンジで成形した止水用パッキン95を配置した状態を示す。
【0037】
図10では、
図9で説明した止水用パッキン95を、隣り合う2組の洪水対策用止水ヘイ83の端部の間にサンドイッチ状に挟み込みボルト96、ナット97で横並びに並べた洪水対策用止水ヘイ83の両端を固定した状態を示す。このように構成した複数個の洪水対策用止水ヘイ83を横方向に連続して配置し、隣り合う洪水対策用止水ヘイ83の角波形に折り曲げた端部を重ね合せてボルト96、ナット97で隣り合う角波形パネル止水鋼板1を固定することにより、広い通路等においても洪水対策用止水ヘイ83を簡単に増設して設置することができるようになり、一定領域への浸水を食い止めることが可能になった。
【0038】
以上、実施の形態に基づいて、本発明に係る洪水対策用止水ヘイについて詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【0039】
図1において、水平保持用パネル鋼板26の形状を、角波形パネル止水鋼板1と同一形状の鋼板で成形したと説明したが、水平保持用パネル鋼板26を角波形パネル止水鋼板1と同一形状の角波形鋼板に限定せず、平板鋼板、縞鋼板等を用いることも、もちろん可能である。