(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046197
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ及びその実装基板
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230327BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203022
(22)【出願日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0175198
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0171498
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】P 2021156592
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ギ サブ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ア ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リュ-、チュン ヒョン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC06
5E001AC08
5E001AJ01
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC35
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】浮遊電極を用いて耐電圧特性を上昇させながらも、一定レベルの信頼性を確保する積層型キャパシタ及びその実装基板を提供する。
【解決手段】積層型キャパシタは、第1誘電体層上に第1方向に互いに離隔するように配置され、第1外部電極及び第2外部電極と夫々接続する第1内部電極121及び第2内部電極122と、第1誘電体層上で第1内部電極及び第2内部電極の間に配置される第1浮遊電極123と、第2誘電体層上で第1方向に互いに離隔するように配置される第2浮遊電極124及び第3浮遊電極125と、を含む。第2浮遊電極は、第1内部電極の一部及び第1浮遊電極の一部と重なり、第3浮遊電極は、第2内部電極の一部及び第1浮遊電極の一部と重なる。第1方向におけるキャパシタ本体の長さをLとし、第1浮遊電極と第1内部電極の間隙又は第1浮遊電極と第2内部電極の間隙をaとするとき、a/Lが0.113以上である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1及び第2面と、第1及び第2面と連結され、第1方向に互いに対向する第3及び第4面と、第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ第2方向に互いに対向する第5及び第6面を含み、積層される複数の第1及び第2誘電体層と複数の内部電極を含むキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、
前記複数の内部電極は、
前記第1誘電体層上に第1方向に互いに離隔するように配置され、前記第1及び第2外部電極とそれぞれ接続する第1及び第2内部電極と、
前記第1誘電体層上で前記第1及び第2内部電極の間に配置される第1浮遊電極と、
前記第2誘電体層上において第1方向に互いに離隔するように配置される第2及び第3浮遊電極と、を含み、
前記第2浮遊電極は、前記第1内部電極の一部及び前記第1浮遊電極の一部と重なり、
前記第3浮遊電極は、前記第2内部電極の一部及び前記第1浮遊電極の一部と重なり、
第1方向における前記キャパシタ本体の長さをLと、前記第1浮遊電極と前記第1内部電極の間隙または前記第1浮遊電極と前記第2内部電極の間隙をaと定義するとき、a/Lが0.113以上である、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記第2浮遊電極と前記キャパシタ本体の第3面の間隙、または前記第3浮遊電極と前記キャパシタ本体の第4面の間隙をbと定義するとき、b/Lが0.09以上である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
第2方向における前記キャパシタ本体の長さをWと、前記第1及び第2内部電極、前記第1浮遊電極のうち一つと前記キャパシタ本体の第5または第6面の間隙をcと定義するとき、c/Wが0.138以上である、請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第2浮遊電極と前記キャパシタ本体の第3面の間隙、または前記第3浮遊電極と前記キャパシタ本体の第4面の間隙をbと定義するとき、b/Lが0.09以上であり、
第2方向において、前記キャパシタ本体の長さをWと、前記第1及び第2内部電極、前記第1浮遊電極のうち一つと前記キャパシタ本体の第5または第6面の間隙をcと定義するとき、c/Wが0.138以上である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記第1及び第2内部電極と第1浮遊電極の第2方向の長さが、第2及び第3浮遊電極の第2方向の長さよりも長い、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記第1及び第2外部電極は、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ形成され、前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2接続部と、
前記第1及び第2接続部から前記キャパシタ本体の第1面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記第1~第3浮遊電極は、第3~第6面から離隔し、
前記第1外部電極は、前記第1内部電極と接続され、
前記第2外部電極は、前記第2内部電極と接続される、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記第1方向は、前記キャパシタ本体の第3及び第4面の垂直方向であり、
前記第2方向は、前記キャパシタ本体の第5及び第6面の垂直方向である、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
複数の第1及び第2誘電体層が積層される方向に、前記第2浮遊電極は、前記第1内部電極及び前記第1浮遊電極と部分的に重なり、前記第3浮遊電極は、前記第2内部電極及び前記第1浮遊電極と部分的に重なる、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
一面に第1及び第2電極パッドを有する基板と、
請求項1から9のいずれか一項の積層型キャパシタと、を含み、
前記積層型キャパシタの第1及び第2外部電極が前記第1及び第2電極パッドにそれぞれ接続するように実装される、積層型キャパシタの実装基板。
【請求項11】
互いに対向する第1及び第2面と、第1及び第2面と連結され、第1方向に互いに対向する第3及び第4面と、第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ第2方向に互いに対向する第5及び第6面を含み、積層される複数の第1及び第2誘電体層と複数の内部電極を含むキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、
前記複数の内部電極は、
前記第1誘電体層上に第1方向に互いに離隔するように配置され、前記第1及び第2外部電極とそれぞれ接続する第1及び第2内部電極と、
前記第1誘電体層上で前記第1及び第2内部電極の間に配置される第1浮遊電極と、
前記第2誘電体層上において第1方向に互いに離隔するように配置される第2及び第3浮遊電極と、を含み、
前記第2浮遊電極は、前記第1内部電極の一部及び前記第1浮遊電極の一部と重なり、
前記第3浮遊電極は、前記第2内部電極の一部及び前記第1浮遊電極の一部と重なり、
第1方向における前記キャパシタ本体の長さをLと、前記第2浮遊電極と前記キャパシタ本体の第3面の間隙または前記第3浮遊電極と前記キャパシタ本体の第4面の間隙をbと定義するとき、b/Lが0.09以上である、積層型キャパシタ。
【請求項12】
第2方向における前記キャパシタ本体の長さをWと、前記第1及び第2内部電極、前記第1浮遊電極のうち一つと前記キャパシタ本体の第5または第6面の間隙をcと定義するとき、c/Wが0.138以上である、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記第1及び第2内部電極と第1浮遊電極の第2方向の長さが、第2及び第3浮遊電極の第2方向の長さよりも長い、請求項11または12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記第1及び第2外部電極は、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ形成され、前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2接続部と、
前記第1及び第2接続部から前記キャパシタ本体の第1面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記第1~第3浮遊電極は、第3~第6面から離隔し、
前記第1外部電極は、前記第1内部電極と接続され、
前記第2外部電極は、前記第2内部電極と接続される、請求項11から14のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
複数の第1及び第2誘電体層が積層される方向に、前記第2浮遊電極は、前記第1内部電極及び前記第1浮遊電極と部分的に重なり、前記第3浮遊電極は、前記第2内部電極及び前記第1浮遊電極と部分的に重なる、請求項11から15のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
互いに対向する第1及び第2面と、第1及び第2面と連結され、第1方向に互いに対向する第3及び第4面と、第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ第2方向に互いに対向する第5及び第6面を含み、積層される複数の第1及び第2誘電体層と複数の内部電極を含むキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、
前記複数の内部電極は、
前記第1誘電体層上に第1方向に互いに離隔するように配置され、前記第1及び第2外部電極とそれぞれ接続する第1及び第2内部電極と、
前記第1誘電体層上で前記第1及び第2内部電極の間に配置される第1浮遊電極と、
前記第2誘電体層上において第1方向に互いに離隔するように配置される第2及び第3浮遊電極と、を含み、
前記第2浮遊電極は、前記第1内部電極の一部及び前記第1浮遊電極の一部と重なり、
前記第3浮遊電極は、前記第2内部電極の一部及び前記第1浮遊電極の一部と重なり、
第2方向における前記キャパシタ本体の長さをWと、前記第1及び第2内部電極、前記第1浮遊電極のうち一つと前記キャパシタ本体の第5または第6面の間隙をcと定義するとき、c/Wが0.138以上である、積層型キャパシタ。
【請求項18】
前記第1及び第2内部電極と第1浮遊電極の第2方向の長さが、第2及び第3浮遊電極の第2方向の長さよりも長い、請求項17に記載の積層型キャパシタ。
【請求項19】
前記第1及び第2外部電極は、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ形成され、前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2接続部と、
前記第1及び第2接続部から前記キャパシタ本体の第1面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含む、請求項17または18に記載の積層型キャパシタ。
【請求項20】
前記第1~第3浮遊電極は、第3~第6面から離隔し、
前記第1外部電極は、前記第1内部電極と接続され、
前記第2外部電極は、前記第2内部電極と接続される、請求項17から19のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項21】
複数の第1及び第2誘電体層が積層される方向に、前記第2浮遊電極は、前記第1内部電極及び前記第1浮遊電極と部分的に重なり、前記第3浮遊電極は、前記第2内部電極及び前記第1浮遊電極と部分的に重なる、請求項17から20のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタ及びその実装基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層チップ電子部品の一つである積層型キャパシタ(MLCC:multi-layered ceramic capacitor)は、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置に使用されることができる。
【0003】
最近では、環境にやさしい自動車及び電気自動車が注目を浴びており、自動車内部の電力駆動システムなどに対する重要度が増加しつつある。これに伴い、電装用における電力駆動システムに必要な積層型キャパシタの需要も増加している。
【0004】
かかる電装用の積層型キャパシタの場合、高容量の実現が可能であり、振動及び変形に対する優れた耐久性が要求され、高電圧に使用することができるように設計される。
【0005】
積層型キャパシタの耐電圧を上昇させるための方案として、浮遊電極を用いて電圧を分割する方式がある。
【0006】
しかし、この場合、積層型キャパシタの信頼性が劣化するという問題が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2017-0011247号公報
【特許文献2】特開2000-12377号公報
【特許文献3】特開2000-40634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、浮遊電極を用いて耐電圧特性を上昇させながらも、一定レベルの信頼性を確保することができる積層型キャパシタ及びその実装基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、互いに対向する第1及び第2面と、第1及び第2面と連結され、第1方向に互いに対向する第3及び第4面と、第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ第2方向に互いに対向する第5及び第6面を含み、積層される複数の第1及び第2誘電体層と複数の内部電極を含むキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、上記複数の内部電極は、上記第1誘電体層上に第1方向に互いに離隔するように配置され、上記第1及び第2外部電極とそれぞれ接続する第1及び第2内部電極と、上記第1誘電体層上で上記第1及び第2内部電極の間に配置される第1浮遊電極と、上記第2誘電体層上において第1方向に互いに離隔するように配置される第2及び第3浮遊電極と、を含み、上記第2浮遊電極は、上記第1内部電極の一部及び上記第1浮遊電極の一部と重なり、上記第3浮遊電極は、上記第2内部電極の一部及び上記第1浮遊電極の一部と重なり、第1方向における上記キャパシタ本体の長さをLと、上記第1浮遊電極と上記第1内部電極の間隙または上記第1浮遊電極と上記第2内部電極の間隙をaと定義するとき、a/Lが0.113以上である積層型キャパシタを提供する。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記第2浮遊電極と上記キャパシタ本体の第3面の間隙、または上記第3浮遊電極と上記キャパシタ本体の第4面の間隙をbと定義するとき、b/Lが0.09以上であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、第2方向における上記キャパシタ本体の長さをWと、上記第1及び第2内部電極、上記第1浮遊電極のうち一つと上記キャパシタ本体の第5または第6面の間隙をcと定義するとき、c/Wが0.138以上であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極は、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ形成され、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続される第1及び第2接続部と、上記第1及び第2接続部から上記キャパシタ本体の第1面の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部と、をそれぞれ含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記第1~第3浮遊電極は、第3~第6面から離隔し、上記第1外部電極は、上記第1内部電極と接続し、上記第2外部電極は、上記第2内部電極と接続することができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、複数の第1及び第2誘電体層が積層される方向に、上記第2浮遊電極は、上記第1内部電極及び上記第1浮遊電極と部分的に重なり、上記第3浮遊電極は、上記第2内部電極及び上記第1浮遊電極と部分的に重なることができる。
【0015】
本発明の他の側面は、一面に第1及び第2電極パッドを有する基板と、積層型キャパシタと、を含み、上記積層型キャパシタの第1及び第2外部電極が上記第1及び第2電極パッドにそれぞれ接続するように実装される積層型キャパシタの実装基板を提供する。
【0016】
本発明の他の側面は、互いに対向する第1及び第2面と、第1及び第2面と連結され、第1方向に互いに対応する第3及び第4面と、第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ第2方向に互いに対応する第5及び第6面を含み、積層される複数の第1及び第2誘電体層と複数の内部電極を含むキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、上記複数の内部電極は、上記第1誘電体層上に第1方向に互いに離隔するように配置され、上記第1及び第2外部電極とそれぞれ接続する第1及び第2内部電極と、上記第1誘電体層上で上記第1及び第2内部電極の間に配置される第1浮遊電極と、上記第2誘電体層上において第1方向に互いに離隔するように配置される第2及び第3浮遊電極と、を含み、上記第2浮遊電極は、上記第1内部電極の一部及び上記第1浮遊電極の一部と重なり、上記第3浮遊電極は、上記第2内部電極の一部及び上記第1浮遊電極の一部と重なり、第1方向における上記キャパシタ本体の長さをLと、上記第2浮遊電極と上記キャパシタ本体の第3面の間隙または上記第3浮遊電極と上記キャパシタ本体の第4面の間隙をbと定義するとき、b/Lが0.09以上である積層型キャパシタを提供する。
【0017】
本発明の他の側面は、互いに対向する第1及び第2面と、第1及び第2面と連結され、第1方向に互いに対向する第3及び第4面と、第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ第2方向に互いに対向する第5及び第6面を含み、積層される複数の第1及び第2誘電体層と複数の内部電極を含むキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置される第1及び第2外部電極と、を含み、上記複数の内部電極は、上記第1誘電体層上に第1方向に互いに離隔するように配置され、上記第1及び第2外部電極とそれぞれ接続する第1及び第2内部電極と、上記第1誘電体層上で上記第1及び第2内部電極の間に配置される第1浮遊電極と、上記第2誘電体層上において第1方向に互いに離隔するように配置される第2及び第3浮遊電極と、を含み、上記第2浮遊電極は、上記第1内部電極の一部及び上記第1浮遊電極の一部と重なり、上記第3浮遊電極は、上記第2内部電極の一部及び上記第1浮遊電極の一部と重なり、第2方向における上記キャパシタ本体の長さをWと、上記第1及び第2内部電極、上記第1浮遊電極のうち一つと上記キャパシタ本体の第5または第6面の間隙をcと定義するとき、c/Wが0.138以上である積層型キャパシタを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態によると、積層型キャパシタにおいて浮遊電極の適用により発生する信頼性の低下を防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを概略的に示す斜視図である。
【
図2】(a)及び(b)は、
図1に適用される第1及び第2内部電極と第1~第3浮遊電極の配置構造を示す平面図である。
【
図4】
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【
図5】本発明の内部電極及び浮遊電極の構造を有する積層型キャパシタにおいて、キャパシタ本体の長さ(L)に対する第1浮遊電極と、第1または第2内部電極の間隙(a)の比率(a/L)によって変化する積層型キャパシタのMTTFを示すグラフである。
【
図6】
図5の各サンプルの平均MTTFを示すグラフである。
【
図7】本発明の内部電極及び浮遊電極の構造を有する積層型キャパシタにおいて、キャパシタ本体の長さ(L)に対する第1または第2浮遊電極とキャパシタ本体の長さ方向の一面との間の間隙(b)の比率(b/L)によって変化する積層型キャパシタのMTTFを示すグラフである。
【
図8】
図7の各サンプルの平均MTTFを示すグラフである。
【
図9】本発明の内部電極及び浮遊電極の構造を有する積層型キャパシタにおいて、キャパシタ本体の幅(W)に対する第1または第2浮遊電極とキャパシタ本体の幅方向の一面との間の間隙(c)の比率(c/W)によって変化する積層型キャパシタのMTTFを示すグラフである。
【
図10】
図9の各サンプルの平均MTTFを示すグラフである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタと基板の結合構造を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0021】
また、説明に先立ち、本発明の方向について定義すると、
図1に示すXは長さ方向であり、Yは幅方向であり、Zは厚さ方向を意味する。また、以下の説明でX方向は第1方向、Y方向は第2方向に並行して説明することができる。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを概略的に示す斜視図であり、
図2(a)及び(b)は、
図1に適用される第1及び第2内部電極と第1~第3浮遊電極の配置構造を示す平面図であり、
図3は、
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図4は、
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【0023】
図1~
図4を参照すると、本実施形態に係る積層型キャパシタ100は、複数の誘電体層111と複数の内部電極を含むキャパシタ本体110と、第1及び第2外部電極130、140と、を含む。
【0024】
このとき、上記内部電極は、第1及び第2内部電極121、122と、第1~第3浮遊電極123、124、125と、を含む。
【0025】
キャパシタ本体110は、複数の第1及び第2誘電体層111、112をZ方向に交互に積層してから焼成したものであって、隣接するそれぞれの第1及び第2誘電体層111、112同士は互いの境界を確認することができないほど一体化することができる。このとき、キャパシタ本体110は、おおよそ六面体形状を有することができる。
【0026】
キャパシタ本体110は、第3方向(Z方向)に対向する第1及び第2面1、2、第1及び第2面1、2と連結され、第1方向(X方向)に互いに対向する第3及び第4面3、4と、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、且つ第2方向(Y方向)に互いに対向する第5及び第6面5、6を含む。
【0027】
第1及び第2誘電体層111、112は、高誘電率のセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック粉末などを含むことができるが、十分な静電容量を得ることができる限り、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
また、第1及び第2誘電体層111、112には、上記セラミック粉末とともに、必要に応じて様々な種類のセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに添加されることができる。
【0029】
このとき、上記セラミック添加剤は、遷移金属酸化物、遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)の少なくとも一つであることができる。
【0030】
図3及び4を参照すると、積層型キャパシタ100の端面において、内部電極が未形成された部分をマージン部と定義することができる。
【0031】
このとき、上記マージン部のうちZ方向におけるキャパシタ本体110の上部及び下部に位置したマージン部は、上部及び下部カバー113、114と定義することができる。
【0032】
上部及び下部カバー113、114は、第1または第2誘電体層111、112と同様に、複数のセラミックシートが焼結して形成されることができ、内部電極が未形成されるという点を除いては、キャパシタ本体110の中央部に位置した第1または第2誘電体層111、112と類似した構造を有する。
【0033】
本実施形態において、一つの第1誘電体層111上には、第1及び第2内部電極121、122と第1浮遊電極123が配置され、一つの第2誘電体層112上には第2及び第3浮遊電極124、125が配置される。
【0034】
また、第1及び第2内部電極121、122と第1~第3浮遊電極123~125は、導電性金属から形成され、例えば、銀(Ag)、鉛(Pb)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)のうち一つまたはこれらの合金などからなるものを使用することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0035】
第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性が印加される電極として、一つの第1誘電体層111を形成する一つのセラミックシート上の少なくとも一面にX方向に互いに離隔するように形成され、キャパシタ本体110内でキャパシタ本体110の長さ方向の両面である第3及び第4面3、4を介してそれぞれ引き出されるように形成される。
【0036】
第1浮遊電極123は、第1誘電体層111上にX方向に第1及び第2内部電極121、122と離隔するように配置され、キャパシタ本体110の第3~第6面3~6からも離隔するように配置される。
【0037】
第2及び第3浮遊電極124、125は、第2誘電体層112上に配置され、キャパシタ本体110内で第1及び第2内部電極121、122、第1浮遊電極123とZ方向に交互に配置され、一つの第2誘電体層112上にX方向に互いに離隔するように配置される。
【0038】
また、第2及び第3浮遊電極124、125は、キャパシタ本体の第3~6面3~6からも離隔するように配置される。
【0039】
このとき、第2浮遊電極124は、一端部が第1内部電極121の一部とZ方向に重なり、他端部は第1浮遊電極123の一部とZ方向に重なる。
【0040】
第3浮遊電極125は、一端部が第2内部電極122の一部とZ方向に重なり、他端部は第1浮遊電極123の一部とZ方向に重なる。
【0041】
一方、第1及び第2内部電極121、122と第1浮遊電極123のY方向の長さは、第2及び第3浮遊電極124、125のY方向の長さよりも長く形成されることができる。
【0042】
かかる内部電極の構造により、第1及び第2外部電極に電圧が印加されると、積層型キャパシタが容量を形成することができるようになる。
【0043】
そして、本実施形態の積層型キャパシタ100は、キャパシタ本体110のX方向の第3及び第4面3、4にそれぞれ形成され、キャパシタ本体110のX方向の第3及び第4面3、4を介してそれぞれ露出した第1及び第2内部電極121、122と接触され、それぞれ電気的に接続される第1及び第2外部電極130、140を含むことができる。
【0044】
かかる第1及び第2外部電極130、140は導電性金属で形成される第1及び第2導電層131、141を含み、上記導電性金属は、例えば、銀(Ag)、鉛(Pb)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、及び銅(Cu)及びこれらの合金の少なくとも一つ以上を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0045】
第1及び第2導電層131、141は、キャパシタ本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ形成され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接続される第1及び第2接続部131a、141a、並びに第1及び第2接続部131a、141aからキャパシタ本体110の第1面1の一部までそれぞれ延長される第1及び第2バンド部131b、141bをそれぞれ含むことができる。
【0046】
このとき、第1及び第2バンド部131b、141bは、固着強度の向上などのためにキャパシタ本体110の第5及び第6面5、6の一部及び第2面2の一部までさらに延長することができる。
【0047】
また、第1及び第2外部電極130、140は、必要に応じて第1及び第2導電層131、141をそれぞれカバーするように第1及び第2めっき層132、142がそれぞれ形成されることができる。
【0048】
第1及び第2めっき層132、142は、第1及び第2導電層131、141上にそれぞれ形成された第1及び第2ニッケル(Ni)めっき層と、上記第1及び第2ニッケルめっき層上にそれぞれ形成された第1及び第2スズ(Sn)めっき層と、を含むことができる。
【0049】
かかる第1及び第2めっき層132、142は、積層型キャパシタ100をプリント回路基板などにはんだで実装する際、相互間の接着強度を高めるためのものである。
【0050】
また、第1及び第2めっき層132、142は、第1-1及び第2-1接続部132a、142aと、第1-2及び第2-2バンド部132b、142bと、を含むことができる。
【0051】
第1-1接続部132aは、第1導電層131の第1接続部131a上に形成される部分であり、第1-1バンド部132bは、第1-1接続部132aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0052】
このとき、第1-1バンド部132bは、第1バンド部131bをカバーし、固着強度の向上などのためにキャパシタ本体110の第5及び第6面5、6の一部及び第2面2の一部までさらに延長されることができる。
【0053】
第2-1接続部142aは、第2導電層141の第2接続部141a上に形成される部分であり、第2-1バンド部142bは、第2-1接続部142aからキャパシタ本体110の第1面1の一部まで延長される部分である。
【0054】
このとき、第4-1バンド部142bは、第2バンド部141bをカバーし、固着強度の向上などのためにキャパシタ本体110の第5及び第6面5、6の一部及び第2面2の一部までさらに延長されることができる。
【0055】
本実施形態によると、内部電極が浮遊電極構造を有して配置されるため、積層型キャパシタが高電圧を実現することができ、電圧分割方式で一定レベルの信頼性を確保することができる。
【0056】
浮遊電極構造を有する積層型キャパシタにおいて、浮遊電極と第1または第2内部電極の間隙(例えば、パラメータa)、内部電極のマージン(例えば、パラメータbまたはc)、浮遊電極間の距離などによって積層型キャパシタの信頼性が変化する。
【0057】
本実施形態では、内部電極のマージンまたは内部電極間の距離などを適切な比率で調節して、このような高圧品における信頼性をさらに向上させることができる。
【0058】
以下は、キャパシタ本体のサイズ及び内部電極の間隙、マージンなどによって変化する積層型キャパシタのMTTF(Mean Time To Failure)を比較して示したものである。
【0059】
MTTFは105℃、1.5Vrの条件で単純稼働時間や装備使用時間を測定し、平均failure時間を求めたものである。
【0060】
【0061】
表1は、X方向におけるキャパシタ本体の長さをLと、Y方向におけるキャパシタ本体の幅をWと、第1浮遊電極と第1内部電極の間隙または第1浮遊電極と第2内部電極の間隙をaと、第2浮遊電極とキャパシタ本体の第3面の間隙または第3浮遊電極とキャパシタ本体の第4面の間隙をbと、第1及び第2内部電極、第1浮遊電極のうち一つとキャパシタ本体の第5または第6面の間隙をcと、それぞれ定義するとき、a/Lの変化によるMTTFの変化を示したものである。
【0062】
ここで、試験に使用された積層型キャパシタのLは2.22mmであり、Wは1.45mmであり、bは0.25mmであり、cは0.25mmである。
【0063】
一例として、キャパシタ本体のX方向の長さ(L)は、最大長さを意味することができる。または、代案として、キャパシタ本体のX方向の長さ(L)は、光学顕微鏡またはSEMによって得られるY方向におけるキャパシタの中央部でX-Z面(plane)のキャパシタ本体の断面(cross-section)のイメージ(Image)において、キャパシタ本体の最外郭の境界線の間を連結するX方向に平行する複数のセグメント(segment)の長さの平均値を意味することができる。
【0064】
一例として、キャパシタ本体のY方向の幅(W)は、最大長さを意味することができる。または、代案として、キャパシタ本体のY方向の幅(W)は、光学顕微鏡またはSEMによって得られるY方向におけるキャパシタの中央部でY-Z面(plane)のキャパシタ本体の断面のイメージ(image)において、キャパシタ本体の最外郭の境界線の間を連結するY方向に平行する複数のセグメントの長さの平均値を意味することができる。他の例として、キャパシタ本体のY方向の幅(W)を測定するために、マイクロメータまたはキャリパー(caliper)が用いられることができる。
【0065】
一例において、パラメータa、パラメータb、パラメータcなどの測定は、光学顕微鏡または上述した該当断面(cross-section)のSEMイメージに基づいて行うことができる。一例において、パラメータa、パラメータb、またはパラメータcなどは、最大値を意味することができる。または代案として、パラメータa、パラメータb、またはパラメータcなどは相違する位置で測定された各パラメータの複数の測定値の平均値を意味することができる。
【0066】
また、本開示において説明されていないとしても、当業者によって認識される他の断面、他の測定方法、または他の測定道具が用いられることができる。
【0067】
表1と
図5及び
図6を参照すると(
図5において、相違するaは、相違する凡例記号で表す)、a/Lが9.0%である#2でMTTFが最小値を有し、a/Lが11.3%である#3からMTTFが徐々に増加する傾向にあることがわかる。
【0068】
したがって、X方向におけるキャパシタ本体の長さをLと、第1浮遊電極と第1内部電極の間隙または第1浮遊電極と第2内部電極の間隙をaと定義するとき、a/Lは0.113以上であってもよい。
【0069】
【0070】
表2は、第2浮遊電極とキャパシタ本体の第3面の間隙または第3浮遊電極とキャパシタ本体の第4面の間隙をbと定義するとき、b/Lの変化によるMTTFの変化を示したものである。
【0071】
ここで、試験に使用された積層型キャパシタのサイズは、先の試験と同様に、Lは2.22mmであり、Wは1.45mmである。そして、先の試験で臨界点となる表1の#3を適用し、aは0.25mmとし、cは0.25mmとする。
【0072】
表2と
図7及び
図8を参照すると(
図7において、相違するbは、相違する凡例記号で表す)、b/Lが9.0%である#7からMTTFが徐々に増加する傾向にあることがわかる。
【0073】
したがって、第2浮遊電極とキャパシタ本体の第3面の間隙または第3浮遊電極とキャパシタ本体の第4面の間隙をbと定義するとき、b/Lは0.09以上であってもよい。
【0074】
【0075】
表3は、Y方向におけるキャパシタ本体の長さをWと、第1及び第2内部電極、第1浮遊電極のうち一つとキャパシタ本体の第5または第6面の間隙をcと定義するとき、c/Wの変化によるMTTFの変化を示したものである。
【0076】
ここで、試験に使用された積層型キャパシタのサイズは、先の試験と同様に、Lは2.22mmであり、Wは1.45mmである。そして、aは0.25mmとし、bは0.25mmとする。
【0077】
表3と
図9及び
図10を参照すると(
図9において、相違するcは、相違する凡例記号で表す)、c/Wが13.8%である#12からMTTFが大幅に増加する傾向にあることが分かる。
【0078】
したがって、Y方向におけるキャパシタ本体の長さをWと、第1及び第2内部電極、第1浮遊電極のうち一つとキャパシタ本体の第5または第6面の間隙をcと定義するとき、c/Wは0.138以上であってもよい。
【0079】
図11は、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタと基板の結合構造を概略的に示す斜視図である。
【0080】
図11を参照すると、本実施形態に係る積層型キャパシタの実装基板は、積層型キャパシタ100が実装される基板210と、基板210の上面に互いに離隔されるように形成された第1及び第2電極パッド221、222と、を含む。
【0081】
積層型キャパシタ100は、第1及び第2外部電極131、132が第1及び第2電極パッド221、222上にそれぞれ接触するように位置した状態ではんだ231、232によって基板210と電気的に連結することができる。
【0082】
ここで、積層型キャパシタ100は、上述した本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタであって、以下詳細な説明は重複を避けるために省略する。
【0083】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0084】
100 積層型キャパシタ
110 キャパシタ本体
111、112 第1及び第2誘電体層
113、114 上部及び下部カバー
121、122 第1及び第2内部電極
123、124、125 第1~第3浮遊電極
130、140 第1及び第2外部電極