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特開2023-46204製造管理装置、製造管理方法、及び製造管理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046204
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】製造管理装置、製造管理方法、及び製造管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230327BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230327BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010888
(22)【出願日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2021154757
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521416731
【氏名又は名称】垣見鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】垣見 直紀
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 良彦
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA65
3C100BB05
3C100BB06
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
3C100CC14
3C100EE18
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】鉄骨製品の製造を管理するための製造管理装置に関する。
【解決手段】鉄骨製品の製造を管理するための装置であって、鉄骨製品の設計に関する設計情報を取得する取得部211と、設計情報に基づいて、製造すべき鉄骨製品のリストを生成する生成部213と、生成部213によって生成されたリストを出力する出力部214と、を有する製造管理装置を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨製品の製造を管理するための装置であって、
前記鉄骨製品の設計に関する設計情報を取得する取得部と、
前記設計情報に基づいて、製造すべき前記鉄骨製品のリストを生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記リストを出力する出力部と、
を有する製造管理装置。
【請求項2】
前記鉄骨製品の製造の状況に関する進捗情報の入力を受け付ける受付部をさらに有し、
前記生成部は、前記受付部によって受け付けられた前記進捗情報を、当該鉄骨製品に対応付けて前記リストを生成する請求項1に記載の製造管理装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記鉄骨製品の製造の進捗状況ごとに異なる表現を用いて前記リストを生成する、請求項2に記載の製造管理装置。
【請求項4】
前記受付部が受け付ける前記鉄骨製品の製造の状況に関する前記進捗情報は、仕口の取り付けの進捗状況を含む、請求項2又は3に記載の製造管理装置。
【請求項5】
前記取得部は、3次元コンピュータ支援設計ソフトウエアによって生成された3次元の設計データを取得して解析することによって前記設計情報を取得する、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造管理装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記設計情報に基づいて、前記鉄骨製品を示す画像を生成し、
前記出力部は、前記リストの各鉄骨製品に関連付けて前記各鉄骨製品のうちの少なくとも一つを示す画像を出力する、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造管理装置。
【請求項7】
前記鉄骨製品を、当該鉄骨製品を用いて建築する建築物の図面に対応付けて表示する図面表示部をさらに有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造管理装置。
【請求項8】
鉄骨製品の製造を管理するための製造管理方法であって、
前記鉄骨製品の設計に関する設計情報を取得する取得ステップと、
前記設計情報に基づいて、製造すべき前記鉄骨製品のリストを生成する生成ステップと、
前記生成ステップにおいて生成された前記リストを出力する出力ステップと、
を有する製造管理方法。
【請求項9】
ユーザー端末との通信が可能な通信部と、
鉄骨製品、前記鉄骨製品の製造に用いられる部品、及び前記部品の製造に用いられる部材のうちの何れかである更新対象に割り当てられた識別情報を含む、前記更新対象の製造上の進捗状況の変化を表す進捗処理要求を前記通信部が前記ユーザー端末から受信した場合に、前記更新対象の前記進捗状況を更新する進捗状況更新部と、
前記進捗状況更新部による前記更新対象における前記進捗状況の更新を反映させた画面を生成可能であり、生成された前記画面を前記通信部により前記ユーザー端末に送信させることが可能な画面生成部と、
を備える製造管理装置。
【請求項10】
前記進捗状況更新部は、前記進捗処理要求を送信させた前記ユーザー端末から、前記ユーザー端末を使用しているユーザーを特定し、前記ユーザーに担当させている製造工程を基に、前記更新対象の前記進捗状況を更新する、請求項9記載の製造管理装置。
【請求項11】
前記鉄骨製品、前記部品、及び前記部材のうちの少なくとも1つの明細を表す明細情報が種類別に格納された1つ以上の明細ファイルが保存される記憶部、を備え、
前記進捗状況更新部は、前記更新対象の前記進捗状況を更新する場合、前記明細ファイルを参照して、前記更新対象の前記明細情報のうちの少なくとも一部を抽出明細情報として抽出し、抽出した前記抽出明細情報を含む進捗状況情報を保存する、請求項9又は10に記載の製造管理装置。
【請求項12】
前記画面生成部は、前記画面として、前記進捗状況の更新順に、前記更新対象に係わる詳細情報を配置した実況表示画面が生成可能である、請求項9~11のいずれか1項に記載の製造管理装置。
【請求項13】
前記進捗状況更新部は、前記更新対象の前記進捗状況を更新する場合、前記進捗処理要求を送信させた前記ユーザー端末から受信する情報、及び前記ユーザー端末を使用するユーザーの特定結果のうちの一方を基に、前記更新対象が存在する場所の特定を行い、
前記画面生成部は、前記進捗状況更新部により特定された前記場所を表す場所情報を前記詳細情報の一部として前記実況表示画面に配置させる、請求項12に記載の製造管理装置。
【請求項14】
各鉄骨製品の製造上の期限がそれぞれ設定されている場合、前記画面生成部は、前記画面として、前記各鉄骨製品のうちで対象となる対象鉄骨製品別に、前記対象鉄骨製品に設定されている前記期限までの残り期間を複数の表示形態で表す警告表示画面が生成可能である、請求項9~13のいずれか1項に記載の製造管理装置。
【請求項15】
前記画面生成部は、前記明細ファイルを参照して、前記鉄骨製品、前記部品、及び前記部材のうちから予め指定された指定対象毎に、前記指定対象の加工に係わる加工情報を取得し、取得した前記加工情報を用いて、前記指定対象の加工に要する費用を見積として算出し、該算出結果を表す見積表示画面を前記画面として生成可能である、請求項11に記載の製造管理装置。
【請求項16】
前記加工情報には、前記指定対象の製造で行われる溶接の長さを表す溶接長情報が少なくとも含まれる、請求項15に記載の製造管理装置。
【請求項17】
前記画面生成部は、指定された条件を基に、前記進捗状況情報が製造の終了を表す前記更新対象のうちから、指定された条件を満たす前記鉄骨製品を特定し、特定した前記鉄骨製品、及び前記鉄骨製品の前記進捗状況情報のうちの少なくとも一方に着目した集計を設定に従って行い、前記集計を行った結果を表す出来高表示画面を前記画面として生成可能である、請求項11~16のいずれか1項に記載の製造管理装置。
【請求項18】
情報処理装置を請求項1~7、9~17のうちのいずれか1項に記載の製造管理装置として機能させるための製造管理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨製品の製造を管理するための製造管理装置、製造管理方法、及び製造管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術の発展に伴い、様々な分野の製造現場において通信技術を応用した製造管理の方式が導入されている。例えば、特許文献1には、コンピュータ用の基板の製造ラインにおいて、通信技術を用いて、複数種の基板を品種ごとに連続して製造する製造管理装置が提案されている。また、引用文献2には、通信技術を用いて食品の製造工程における製造状況を容易に確認することを可能とした食品製造管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6806890号公報
【特許文献2】特開2020-191019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、鉄骨製品(鉄骨部材)の製造管理では、現場の担当者等が紙に手で記入する方式が未だに採用されている。しかしながら、鉄骨製品の製造の多くが受注製造方式であることから、客先が要求する納期を遵守しつつ、工場内の仕掛品の滞留を適正レベルに抑える必要がある。そのため、鉄骨製品の製造管理は特に重要であり、適切かつ効率的に管理が行える方式が求められている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、鉄骨製品(鉄骨部材)の製造を適切かつ効率的に管理するための製造管理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の製造管理装置は、取得部、生成部、及び出力部を有する。取得部は、鉄骨部材の設計に関する設計情報を取得する。生成部は、設計情報に基づいて、製造すべき鉄骨部材のリストを生成する。出力部は生成部によって生成されたリストを出力する。
【0007】
製造管理方法は、取得ステップ、生成ステップ、及び出力ステップを有する。取得ステップは、鉄骨部材の設計に関する設計情報を取得する。生成ステップは、設計情報に基づいて、製造すべき鉄骨部材のリストを生成する。出力ステップは生成部によって生成されたリストを出力する。
【0008】
第2の態様の製造管理装置は、通信部、進捗状況更新部、及び画面生成部を備える.通信部は、ユーザー端末との通信が可能である。進捗状況更新部は、鉄骨製品、鉄骨製品の製造に用いられる部品、及び部品の製造に用いられる部材のうちの何れかである更新対象に割り当てられた識別情報を含む、更新対象の製造工程上の移行を表す進捗処理要求を通信部がユーザー端末から受信した場合に、更新対象の製造工程上の進捗状況を更新する。画面生成部は、進捗状況更新部による更新対象における進捗状況の更新を反映させた画面を生成可能であり、生成された画面を通信部によりユーザー端末に送信させることが可能である。
【0009】
製造管理プログラムは、情報処理装置を上記の何れかの態様の製造管理装置として機能させるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造管理装置によれば、鉄骨製品の製造を適切かつ効率的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る製造管理装置が適用されるシステムの概略構成を示す図である。
図2図1に示されるユーザー端末の概略構成を示すブロック図である。
図3図1に示されるサーバーの概略構成を示すブロック図である。
図4図1に示されるサーバーの機能構成を示すブロック図である。
図5】鉄骨部材のリストの例を示す図である。
図6】鉄骨部材と、その進捗情報とが対応付けられたリストの例を示す図である。
図7】製造における各作業工程の進捗情報を示したリストの例を示す図である。
図8】鉄骨部材を示す画像と関連付けられたリストの例を示す図である。
図9】図面表示部によって示される図の例である。
図10図1に示される設計システムの概略構成を示すブロック図である。
図11】第1実施形態において製造管理装置で実行される処理の第1の手順を示すフローチャートである。
図12】第1実施形態において製造管理装置で実行される処理の第2の手順を示すフローチャートである。
図13】第1実施形態において製造管理装置で実行される処理の第3の手順を示すフローチャートである。
図14】本発明の第2実施形態に係る製造管理装置が鉄骨製品の製造上の進捗状況を管理する範囲の例を説明する図である。
図15】第2実施形態に係る製造管理装置上に実現された機能構成の一例を示すブロック図である。
図16】明細登録画面の一例を説明する図である。
図17】明細登録画面の一例を説明する図である(続き)。
図18】登録確認画面の一例を説明する図である。
図19】実況表示画面の一例を説明する図である。
図20】建方日警告表示画面の一例を説明する図である。
図21】工場別出来高グラフ表示画面の一例を説明する図である。
図22】外注見積表画面の一例を説明する図である。
図23】第2実施形態に係る情報処理装置であるサーバーに搭載の制御部によって実行される全体処理の一例を示すフローチャートである。
図24】第2実施形態に係る情報処理装置であるサーバーに搭載の制御部によって実行される全体処理の一例を示すフローチャートである(続き)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
<システムの全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る製造管理装置が適用されるシステムの概略構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、システムは、ユーザー端末10、サーバー20、及び設計システム30から構成される。ユーザー端末10は、各ユーザーが使用するタブレットやスマートフォン等のモバイル端末やノートPC、デスクトップPCなどの情報端末である。ユーザー端末10の数は、それぞれ1つであっても複数であってもよい。サーバー20は、製造管理装置であり、ユーザー端末10及び設計システム30との間で各種情報を送受信する。設計システム30は、鉄骨製品を含む建築部材を設計する際に用いられるシステムであり、例えば、3次元コンピュータ支援設計ソフトウエアを搭載したコンピュータである。各装置は、ネットワークを介して接続され、有線又は無線の各種通信方式によって通信可能である。各構成について説明する。
【0015】
<ユーザー端末10>
図2は、図1に示されるユーザー端末10の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、ユーザー端末10は、それぞれ制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14及び操作受付部15を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0016】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を備え、プログラムに従い、上述した各構成要素の制御や各種の演算処理を実行する。
【0017】
記憶部12は、予め各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、各種プログラムや各種データを記憶するハードディスク等の補助記憶装置を備える。
【0018】
通信部13は、ネットワークを介して、他の端末や装置と通信するためのインターフェースを備える。通信部13は、例えば、サーバー20と各種データ等の送受信を行う。
【0019】
表示部14は、LCD(液晶ディスプレイ)や有機ELディスプレイ等を備え、各種情報を表示する。
【0020】
操作受付部15は、タッチセンサーや、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等を備え、ユーザーの各種操作を受け付ける。なお、表示部14及び操作受付部15は、表示部14としての表示面に、操作受付部15としてのタッチセンサーを重畳することによって、タッチパネルを構成してもよい。
【0021】
<サーバー20>
図3は、図1に示されるサーバー20の概略構成を示すブロック図である。図4は、サーバー20の制御部21の機能構成を示すブロック図である。
【0022】
図3に示すように、サーバー20は、制御部21、記憶部22及び通信部23を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。サーバー20の制御部21、記憶部22及び通信部23は、ユーザー端末10の制御部11、記憶部12及び通信部13と同様の機能を有するため、さらなる説明を省略する。
【0023】
記憶部22には、後述する取得部211により取得された鉄骨の設計に関する設計情報や受付部212により受け付けられた鉄骨製品の製造の状況に関する進捗情報など種々の情報が記憶される。また、記憶部22には、生成部213により生成されたリストが記憶されてもよい。
【0024】
図4に示すように、サーバー20の制御部21は、プログラムを読み込んで処理を実行することによって、取得部211、受付部212、生成部213、出力部214、図面表示部215、順位付部216、通知部217及び警告表示部218として機能する。
【0025】
(取得部211)
取得部211は、鉄骨の設計に関する設計情報を取得する。取得部211は、例えば、鉄骨を設計する際に用いられる設計システム30から、当該鉄骨の設計に関する設計情報を取得することができる。
【0026】
ここで、設計情報とは、鉄骨の設計に関する情報であれば特に制限されないが、例えば、鉄骨、或いは鉄骨製品等の3次元図面、2次元図面、材質、サイズ、溶接位置が含まれてもよく、鉄骨製品を構成する部品の種類、サイズ、材質、溶接位置も含まれてもよい。さらに、鉄骨が用いられる建築物の設計図や納期、顧客名などの情報も含まれてもよい。また、当該設計情報は、コンピュータ支援設計(CAD)機能を有するソフトウエアによって作成されたCADデータ(三次元(3D)CADデータを含む)であってもよい。
【0027】
また、本明細書において鉄骨製品とは、建築物に用いられる鉄骨を構成する部品であり、製品として納品されるために製造される。鉄骨は重量鉄骨と軽量鉄骨との双方を含む。鉄骨製品には、鋼材を加工して製造された鉄骨部材の他に、複数の部品を用いて製造された鉄骨構造体等も含まれる。鉄骨に用いられる鋼材としては、一般構造用圧延鋼材(SS400,SS490)、建築構造用圧延鋼材(SN400A,SN400B,SN400C)、溶接構造用圧延鋼材(SM400,SM490)、一般構造用炭素鋼管(STK400,STK490)、一般構造用角形鋼管(STKR400,STKR490)、建築構造用冷間ロール成形角形鋼管(BCR295)、一般構造用軽量形鋼(SSC400)などが含まれる。
【0028】
第1実施形態において、取得部211は、鉄骨の設計に関する設計情報を設計システム30から取得してもよい。設計システム30は、後述するように、鉄骨の設計や鉄骨を用いた建築物の設計に用いられるシステムである。また、当該設計システム30は、3次元コンピュータ支援設計ソフトウエア又は当該ソフトウエアを含むソフトウエアを搭載したシステムであってもよい。取得部211は、当該3次元コンピュータ支援設計ソフトウエアによって生成された3次元の設計データを取得して解析することによって設計情報として取得することもできる。
【0029】
(受付部212)
第1実施形態において、サーバー20は、鉄骨製品の製造の状況に関する進捗情報の入力を受け付ける受付部212を有していてもよい。当該進捗情報は、ユーザー端末10を介して受け付けることもできるし、サーバー20が直接入力を受け付けてもよい。ユーザー端末10を介して受け付ける場合は、各ユーザー端末10のユーザーが、進捗状況をユーザー端末10へ入力し、当該入力された情報をサーバー20がネットワークを介して受け付けることができる。
【0030】
当該進捗情報は、鉄骨製品の製造の進捗状況を表す情報であれば特に制限されないが、例えば、大梁、小梁及び間柱の一次加工の進捗状況、仮付の進捗状況及び溶接の進捗状況; サイコロの組立の進捗状況、溶接の進捗状況及びUT(Ultrasonic testing、超音波試験)の進捗状況; シャフトの切孔の進捗状況、開先の進捗状況及び裏当の進捗状況; 仕口の取り付けの進捗状況、溶接の進捗状況及びUTの進捗状況; 柱の大組の進捗状況、ロボット溶接の進捗状況、部品の仮付の進捗状況及び溶接の進捗状況; 受入検査の進捗状況などの種々の工程、部材の製造や加工の進捗状況などに関する情報が含まれる。仕口、及びシャフトは、主に柱の部品である。仕口自体、複数の部材が部品として用いられ製造される。進捗状況は、部材レベルから管理される。
【0031】
また、進捗情報には、鉄骨製品が製造される若しくは製造された場所、鉄骨製品の製造担当者の部署や氏名、製造に関する各工程の実施予定日時、若しくは実施日時、情報の入力日時、鉄骨部材の製造予定日、鉄骨製品の納期などの情報も含まれる。
【0032】
進捗情報には、上述した通り、仕口の取り付けの進捗状況も含まれるが、仕口の取り付けの進捗状況には、仕口の組立の進捗状況、ロボット溶接の進捗状況、部品の仮付けの進捗状況、本溶接の進捗状況、UTの進捗状況、受入検査の進捗状況など仕口の取り付けに関する各工程の進捗状況が含まれる。
【0033】
(生成部213)
生成部213は、設計情報に基づいて、製造すべき鉄骨製品のリストを生成する。当該鉄骨製品のリストでは、上述の取得部211で取得した設計情報に基づき、それぞれの鉄骨製品ごとに設計情報が関連付けられている。リストは、部材レベルでも生成される。このようなリストも、広義の鉄骨製品のリストに含まれる。当該リストは、後述するように、出力部214によって出力され、ユーザー端末10に表示される。
【0034】
第1実施形態において生成部213は、取得部211で取得した設計情報と、受付部212で受け付けた鉄骨製品の製造の状況に関する進捗情報と、を対応付けたリストを生成してもよい。設計情報と進捗情報が対応付けられたリストは、後述するように、出力部214によって出力され、ユーザー端末10に表示される。
【0035】
また当該進捗状況について、生成部213は、鉄骨製品の製造の進捗状況ごとに異なる表現を用いて表示したリストを作成してもよい。例えば、鉄骨製品の製造が完了している場合、製造が進行中の場合、製造が未実施の場合で、別々の色を用いて表すことができる。また、進捗状況ごとにリストに表示される文字の大きさやフォントを変更して表示してもよい。鉄骨製品の製造の進捗状況ごとに異なる表現を用いたリストも、後述するように、出力部214によってリストと関連付けて出力され、ユーザー端末10に表示される。
【0036】
第1実施形態において、生成部213は、設計情報に基づいて、鉄骨製品を示す画像を生成してもよい。鉄骨製品を示す画像は、2次元画像であっても、3次元画像であってもよい。また、当該画像は鉄骨製品の図面であってもよく、鉄骨製品の形状だけでなく、鉄骨製品の寸法や材質、接合面、建物における設置場所など、一般的な図面に含まれる種々の情報を含むことができる。当該鉄骨製品を示す画像は、後述するように、出力部214によってリストと関連付けて出力され、ユーザー端末10に表示される。
【0037】
(出力部214)
出力部214は、生成部213によって生成されたリストを出力する。出力部214により出力されたリストは、ネットワークを介してユーザー端末10に送信され、ユーザー端末10の表示部14に表示される。出力部214によって出力されるリストの具体例の一つを図5に示す。図5には、鉄骨製品の製造に用いられる部品の材質、サイズ、及び進捗状況を表す情報等がリスト化されている。
【0038】
第1実施形態において、出力部214は、生成部213によって生成されたリストであって、受付部212で入力を受け付けた進捗状況を、鉄骨製品に対応付けて表すリストを出力する。当該リストの具体例を図6及び図7に示す。
【0039】
図6は、鉄骨製品である柱の詳細情報と、当該柱の製造の進捗情報とが対応付けられたリストである。詳細情報として、仕口のフロアライン(例えば、2FLは2階用の仕口を意味する)、仕口の取付位置、仕口の腕の数、仕口の取付に必要なサイコロの個数、シャフトの本数等が記載されている。進捗情報としては、仕口の組立、組み立てた仕口におけるロボット溶接、仕口を含む部品の仮付け、本溶接、UT、受入検査の製造工程別に進捗状況が記載されている。仕口の取り付けが完了した場合(例えば、符号1CX1Y6の行)は、各工程(それぞれ、図中は組、ロボ、仮、溶、UT、受と表示)が完了しているため、各工程の欄がすべて埋まって表示されており、受入検査の欄にチェックマークが付されている。一方、仕口の溶接が完了していないもの(例えば、符号2CX1Y4や3CX1Y4の部材)は、仕口の組立、ロボット溶接、部品の仮付け、本溶接及びUTの工程は完了しているためこれらの欄がすべて埋まって表示されているが、完了していない受入検査の工程の欄は空欄となっており、さらに受入検査の欄にチェックマークが付されていない。なお、符号は、鉄骨製品、鉄骨製品に用いられる部品等にそれぞれ割り当てられた識別情報である。
【0040】
図7は、大梁、小梁、間柱、サイコロ、シャフト、仕口、柱の製造における各作業工程の進捗情報を示したリストであり、作業工程別に、各鉄骨製品、或いは各部品の必要となる製造量(個数)に対する各工程で完了した量(個数)の割合を示している。図7では、例えば、一次加工をすべき大梁が407台であり、そのうち作業が完了しているものが386台であるため、進捗状況としては約95%の作業が完了していると表示されている。また、サイコロでは、組立をすべき台数が263台あり、そのうち作業が完了しているものの台数が263台であるため、進捗状況としては100%と表示されている。
【0041】
第1実施形態において、出力部214は、生成部213が設計情報に基づいて生成した鉄骨製品、或いは部品を示す画像を、リスト上での選択(指定)により関連付けて出力してもよい。例えば、当該リストが出力されたユーザー端末10において、ユーザーが当該リスト上の鉄骨製品を選択すると、当該鉄骨製品を示す画像がユーザー端末10に表示される。図8には、ユーザー端末10に表示された、鉄骨製品である柱を示す画像がポップアップとして重ねられたリストの具体例を示す。図8の例では、ユーザーが選択した柱の2次元の図面が画像として表示されているが、当該画像は3次元の図面であってもよい。
【0042】
(図面表示部215)
第1実施形態において、サーバー20は、鉄骨製品、及び部品を、当該鉄骨製品、及び部品を用いて建築する建築物の建築図面に対応付けて表示する図面表示部215をさらに有していてもよい。図面表示部215では、例えば、ユーザーが、ユーザー端末10上でリスト上にある鉄骨製品、或いは部品を選択した場合に、当該鉄骨製品、或いは部品が、建築図面上のどの部分に該当するかを表示した図面を出力することができる。当該図面は生成部213で生成されてもよい。
【0043】
また、図面表示部215では、各鉄骨製品、或いは部品の製造の進捗状況を、当該鉄骨製品、或いは部品を用いて建築する建築物の建築図面上に対応付けて表示してもよい。より具体的には、受付部212で取得した各鉄骨製品、及び各部品の製造の進捗状況を、取得部211で取得した建築物の建築図面上の各鉄骨製品、及び各部品が使用される位置に表示することができる。具体例を図9に示す。図9の太線部分は各鉄骨製品(ここでは梁等)が配置される位置であり、I、及びIIは工区を示している。工区Iでは、必要な鉄骨製品の製造が完了しているか、ほぼ完了している状況である。工区IIでは、製造が完了した鉄骨製品が存在していないか、或いは非常に少ない状況である。当該図面表示部215で表示された図面は、生成部213で作成されてもよく、また出力部214によってリストと対応付けられて出力されてもよい。
【0044】
(順位付部216)
第1実施形態において、サーバー20は、鉄骨製品、及び部品の製造の進捗状況に関する情報とは別に、鉄骨製品、及び部品の製造の優先順位に関する情報を受け付ける順位付部216を有していてもよい。現場で鉄骨製品が使用される予定日であり、事実上、納期を表す建方日は、優先順位に関する情報の一つである(図6)。優先順位に関する情報は、ユーザー端末10を介して順位付部216にて受け付けられ、生成部213にてリスト上の各鉄骨製品、及び各部品と対応付けられ、出力部214によって出力されてもよい。例えば、生成部213では製造の優先順位が高い順に鉄骨製品、或いは部品を表示するリストを生成することができる。もしくは、優先順位に応じて、各鉄骨製品、或いは各部品を表示する色を変えてリストに表すこともできる。
【0045】
(通知部217)
第1実施形態において、サーバー20は、鉄骨製品、及び部品の製造の状況に関する進捗情報をユーザーに通知する通知部217を有していてもよい。通知部217は、例えば、テキストの電子メールをユーザー端末10に送信することで進捗状況をユーザーに通知することができる。より具体的には、例えば、通知部217は各鉄骨製品の納期や製造完了予定日などの期限から一定の期間前に進捗状況を電子メール等で通知することができる。通知部217による通知の方法は、電子メールに限らず、種々のメッセージアプリケーションを用いてテキストでの通知、URLなどリンクの通知を行うことができる。
【0046】
(警告表示部218)
第1実施形態において、サーバー20は、鉄骨製品、或いは部品の製造の進捗状況に異常が生じた場合に、警告を表示する警告表示部218を有していてもよい。例えば、所定の期間内に鉄骨製品の製造が完了していない場合に、警告表示部218は、リストにアラートを表示することができる。より具体的には、サーバー20は、鉄骨製品の納期や製造完了予定日などの期限より一定の期間前に、製造が完了したという進捗情報を受付部212が受け付けていない場合に、生成部213にて警告表示をしたリストを生成し、出力部214にて出力することができる。
【0047】
<設計システム30>
図10は、設計システム30の概略構成を示すブロック図である。
【0048】
図10に示すように、設計システム30は、制御部31、記憶部32及び通信部33を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。設計システム30の制御部31、記憶部32及び通信部33は、ユーザー端末10の制御部11、記憶部12及び通信部13と同様の機能を有するため、さらなる説明を省略する。
【0049】
設計システム30は、鉄骨の設計に用いられるシステムであれば、特に制限されないが、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)機能を有するソフトウエアを搭載したコンピュータである。当該ソフトウエアは、3次元コンピュータ支援設計(3D CAD)機能を有するものであってもよく、この場合、サーバー20は、設計システム30からネットワークを介して3DCADデータを取得することができる。
【0050】
なお、上記システムの各構成は、それぞれ上記の構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。また、ユーザー端末10、サーバー20、及び設計システム30の各々は、複数の装置によって構成されてもよく、一体的に構成されてもよい。また、ある構成が実施するものとして説明した機能を、他の構成が代わりに実施するようにしてもよい。
【0051】
<サーバー20における処理の概要>
以下、サーバー20における処理の概要について説明する。図11~13は、サーバー20において実行される鉄骨製品、及び部品の製造管理処理に関する第1実施形態における第1~第3の手順をそれぞれ示すフローチャートである。なお、フローチャートに示されるサーバー20の処理は、サーバー20の記憶部22にプログラムとして記憶されており、制御部21が各部を制御することにより実行される。
【0052】
まず図11を用いて第1実施形態における第1の手順を説明する。図11に示すように、サーバー20がネットワークを介して設計システム30に設計情報を要求し(S101)、設計システム30から当該情報がサーバー20へ送付されることにより(S102)、サーバー20は設計情報を取得する(S103)。サーバー20は取得した設計情報に基づきリストを生成し(S104)、当該リストをユーザー端末10に対して出力し(S105)、当該リストはユーザー端末10の表示部14に表示される。
【0053】
次に図12を用いて第1実施形態における第2の手順を説明する。S201~S203は、図11に示した第1の手順のS101~S103と同様であるため説明を省略する。設計情報を取得したサーバー20は、ユーザー端末10を介して入力された進捗情報(S204)を受け付ける(S205)。続いて、サーバー20は、取得した設計情報と、受け付けた進捗情報に基づき、それぞれの情報を対応付けたリストを生成し(S206)、当該リストをユーザー端末10に対して出力し(S207)、当該リストは、当該リストはユーザー端末10の表示部14に表示される(S208)。
【0054】
次に図13を用いて第1実施形態における第3の手順を説明する。S301~S306は、図11に示した第1の手順のS101~S106と同様であるため説明を省略する。サーバー20は、ユーザー端末10を介して入力された進捗情報(S307)を受け付ける(S308)。続いて、サーバー20は、S303で取得した設計情報と、S308で受け付けた進捗情報に基づき、それぞれの情報を対応付けたリストを再び生成し(S309)、当該リストをユーザー端末10に対して再度出力する(S310)。出力された当該リストは、当該リストはユーザー端末10の表示部14に表示される(S311)。
【0055】
上記の第1~第3の手順が実行されることを含む第1実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0056】
サーバー20は、取得部211により鉄骨部材の設計に関する設計情報を取得する。そして、生成部213により、当該設計情報に基づいて製造すべき鉄骨製品、或いは鉄骨製品に用いられる部品のリストを生成し、出力部214によって当該リストを出力する。これにより、従来、設計情報を紙に打ち出し、その紙の情報に基づいたアナログな手段で管理されていた鉄骨製品、及び部品の製造が、ネットワークやコンピュータを用いたデジタルな手段で管理することが可能となる。すなわち、従来の手法と比して、本発明では、ユーザーが、より多くの鉄骨製品、及び部品の設計情報を容易にかつ正確に管理することが可能となり、さらに設計情報を利用し、鉄骨製品、及び部品の製造を適切にかつ効率的に管理することが可能となる。鉄骨製品、及び部品の製造管理を適切かつ効率的に行うことにより、鉄骨製品、及び部材の製造の効率化や納期遅延の防止などの効果も期待される。
【0057】
また、サーバー20は、鉄骨製品、及び部品の製造の状況に関する進捗情報の入力を受け付ける受付部212をさらに有し、生成部213は、受付部212によって受け付けられた進捗情報を、当該鉄骨製品、或いは部品に対応付けてリストを生成し、出力部214は当該リストを出力することができる。これにより、従来は鉄骨製品、或いは部品の設計情報を紙に打ち出し、その紙に製造の進捗状況を記入するというアナログな手法で管理されていた鉄骨製品、及び部品の製造の進捗状況に関する情報が、ネットワークやコンピュータを用いたデジタルな手段で管理することが可能となる。すなわち、従来の管理方法と比して、本発明では、鉄骨部製品、及び部品の進捗状況に関する情報を、ユーザーが容易に、かつ効率的に管理することが可能となる。それにより、例えば、製造の効率化や納期遅延の防止などの効果を得ることができる。また、リストと共に出力された進捗情報を複数人でシェアすることも容易となり、例えば、当該リストを製造現場の担当者以外の者とシェアすることで、鉄骨製品、及び部品の製造の管理をより確実なものにできる。また顧客に対しても進捗状況のシェアが可能となるため、顧客に対する進捗状況の説明にも用いることが可能となる。
【0058】
また、生成部213は、鉄骨製品、或いは部品の製造の進捗状況ごとに異なる表現を用いてリストを生成することができる。進捗状況ごとに異なる表現を用いてリストを生成することにより、ユーザーに対し、リストに掲載された各鉄骨製品、或いは部品の進捗状況を視覚的にわかりやすく伝えることができる。また、各鉄骨製品と部品間での製造の進捗状況を容易に比較することも可能となり、例えば、ユーザーが製造の遅れている鉄骨製品、或いは部品を把握することも容易となる。
【0059】
また、受付部212は、鉄骨製品の製造の状況に関する進捗情報として、部品である仕口の取り付けの進捗状況を受け付けることができる。鉄骨製品である柱における仕口の取り付けは、仕口の組立、ロボット溶接、仕口を含む部品の仮付け、本溶接、UT、受入検査など多くの工程を有するものである。そのため、従来の紙による製造管理方法で仕口の取り付けの進捗状況を把握することは煩雑であったが、受付部212が仕口の取り付けに関するこれら工程の進捗情報を受け付け、さらに生成部213によってリスト化されることにより、容易に仕口の取り付けを含む柱の進捗状況を管理することが可能となる。
【0060】
また、取得部211は、3次元コンピュータ支援設計ソフトウエアによって生成された3次元の設計データを取得して解析することによって設計情報を取得することができる。当該3次元の設計データを取得し解析して設計情報として取得することにより、従来の紙による管理では不可能であった、3次元の設計情報を含んだ製造管理が可能となる。3次元の設計情報を含むことにより、ユーザーがより容易且つ正確に鉄骨製品、及び部品の製造を行うことが可能となる
【0061】
また、生成部213は、設計情報に基づいて、鉄骨製品、或いは部品を示す画像を生成し、出力部214は、リストの各鉄骨製品、或いは各部品に関連付けて当該鉄骨製品、或いは部品を示す画像を出力することができる。これにより、リストに記載された鉄骨製品、或いは部品の形状等を画像で確認することが可能となるため、ユーザーはより容易に正確な鉄骨部製品、或いは部品の形状を把握することができる。
【0062】
また、製造管理装置は鉄骨製品、或いは部品を、それを用いて建築される建築物の図面に対応付けて表示する図面表示部215をさらに有していてもよい。当該図面表示部215を有することにより、ユーザーは、鉄骨部製品、或いは部品が建築物(鉄骨)のどの部分に使用されるかを容易に把握することができる。
【0063】
また、図面表示部215は鉄骨製品、及び部品の製造の進捗状況を、当該鉄骨製品、及び部品が用いられる建築物の建築図面上に対応付けて表示してもよい。これにより、個々の鉄骨製品、及び部品の進捗状況だけでなく、必要な鉄骨製品、及び部品の全体的な製造の進捗状況も視覚的に把握することができる。
【0064】
サーバー20は、順位付部216により、鉄骨製品、或いは部品の製造の進捗状況に関する情報とは別に、鉄骨製品、或いは部品の製造の優先順位に関する情報を受け付けることができる。これにより、生成部213で生成するリストに当該優先順位に関する情報を反映できるため、ユーザーは各鉄骨製品、或いは部品の製造の優先順位を容易に把握することができる。
【0065】
サーバー20は、通知部217により、鉄骨製品、或いは部品の製造の状況に関する進捗情報をユーザーに通知することができる。これにより、ユーザーに対して製造の状況をより確実に伝えることができるため、製造の効率化や納期遅延の防止などの効果をより確実に得ることができる。
【0066】
サーバー20は、警告表示部218により、鉄骨製品、或いは部品の製造の進捗状況に異常が生じた場合に、警告を表示することができる。これにより、製造すべきものを製造していない未製造や、納入数量が不足する欠品といったミスを未然に防ぐことができる。結果、納品すべき鉄骨製品の納品をより確実に行えるように支援することができる。
【0067】
なお、本発明は、上述した第1実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0068】
例えば、上記の第1実施形態では、取得部211において、設計システム30より設計情報を取得する例を示したが、これに制限されない。例えば、設計システム30を介さずに、予めハードディスクやクラウド上に保存されている設計情報を直接的にサーバー20が取得してもよい。
【0069】
また、受付部212においては、ユーザー端末10より進捗情報を受け付ける例を示したが、これに制限されず、例えば、ユーザー端末10を介さずに、予めハードディスクやクラウド上に保存されている進捗情報を直接的にサーバー20が取得してもよい。つまり、ユーザー端末10よりの進捗情報を、サーバー20が間接的に受け付けるようにしてもよい。
【0070】
また、上述の第1実施形態では出力部214が出力したリスト等はネットワークを介してユーザー端末10の表示部14に表示される例を示したが、これに制限されず、サーバー20に直接的に接続されたディスプレイ等に出力されてもよい。ユーザー端末10は、製造担当者が使用しないモニター等であってもよい。
【0071】
また、上記の第1実施形態では、サーバー20が一つの独立した装置として構成される例について説明したが、装置の構成はこれに限定されない。サーバー20は、複数の装置から構成されてもよく、あるいは他の機能を有する装置に含まれて構成されてもよい。例えば、サーバー20は、多数のサーバーから構成されるクラウドサーバー上に分散して構成されてもよい。あるいは、サーバー20の機能を実現させるアプリケーションがユーザー端末10にインストールされ、ユーザー端末10においてサーバー20の処理が実行されてもよい。
【0072】
また、上記の第1実施形態では、ユーザー端末10は、ユーザーによって携帯されるスマートフォンやタブレット端末等を例に挙げて説明したが、ユーザー端末10の実施態様はこれに限定されない。ユーザー端末10は、例えば、ユーザーの頭部に装着される眼鏡型の情報端末や腕部に装着されるリストバンド状の情報端末等のウェアラブル端末であってもよく、あるいはユーザーの体内に埋め込まれる埋込型の情報端末等であってもよい。
【0073】
また、上記の第1実施形態におけるフローチャートの処理単位は、サーバー20の処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方や処理の順序によって、本願発明が制限されることはない。サーバー20において行われる処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよく、各処理ステップの順序は第1実施形態のフローチャートと異なってもよい。
【0074】
上述した第1実施形態に係るシステムにおける各種処理を行う手段及び方法は、専用のハードウェア回路、又はプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、フレキシブルディスク及びCD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、システムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【0075】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態も例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
図14は、本発明の第2実施形態に係る製造管理装置が鉄骨製品の製造上の進捗状況を管理する範囲の例を説明する図である。
図14に例を示す管理の範囲は、図1に概略構成例を示すシステムによって可能になるものである。それにより、第2実施形態でも、そのシステムが用いられるのが前提となっている。
【0076】
受注製造会社500は、依頼主から建築物の鉄骨製造を受注して、鉄骨を設計し、鉄骨を構成する各部を鉄骨製品535として製造し納品する企業である。そのために、受注製造会社500には、設計部門510、発注部門520、製造部門530、塗装部門540、及び出荷部門550が設けられている。
【0077】
設計部門510は、建築物の鉄骨を設計する部門である。この設計結果は、後述するように、各種のファイルの形でサーバー20に入力され、鉄骨製品535の製造における進捗管理に用いられる。図14中の破線の矢印は、サーバー20との間で行われる情報の入出力の関係を表している。設計部門510、及び発注部門520以外の破線の矢印には、進捗管理用の情報の入出力が含まれる。
【0078】
進捗管理とは、鉄骨製品535の製造上の進捗状況を特定してデータ化し、進捗状況の見える化を可能とさせることである。この進捗管理は、サーバー20に搭載の発注・進捗管理機能41により実現される。管理結果提示機能42は、進捗管理により生成されたデータを視覚的に提示させる機能である。図5図9に例を示す各画面は、この管理結果提示機能42によってユーザー端末10に表示される。なお、発注・進捗管理機能41、及び管理結果提示機能42はそれぞれ、第2実施形態における進捗状況更新部、及び画面生成部を実現させる機能に相当する。
【0079】
鉄骨製品535の製造には、普通、複数の部品が用いられる。必要な部品が製造されていなければ、鉄骨製品535の製造は不可能である。また、部品の製造には、一つ以上の部材が必要であり、部材が製造されていなければ部品の製造も不可能である。このことから、図5、及び図6に示すように、鉄骨製品535レベルだけでなく、部品レベル、及び部材レベルでの進捗管理も行われる。
【0080】
ここでの部品とは、鉄骨製品の製造に用いられる物の総称であり、部材が部品になる場合もある。また、部材は、部品の製造に用いられる物の総称であり、部材として別の部品が用いられる場合もある。特に断らない限り、鉄骨製品、部品、及び部材の各用語は、このような意味で用いる。最も簡単な部材は、鋼材販売業者610から納品された鋼材か、或いはその鋼材の一部である。
【0081】
発注部門520は、設計結果を検討し、鋼材を含む必要な資材の購入のための発注を行う。鋼材販売業者610に対しては、鉄骨製品535の製造に必要な量の鋼材を発注する。その一方、発注部門520は、外注企業620に製造を依頼すべき鉄骨製品を決定し、決定した鉄骨製品の製造を依頼する。そのために、発注部門520は、鋼材販売業者610に対し、自社分、外注企業620分に分け、鋼材の搬入を依頼する。
【0082】
鋼材の発注内容を表す情報は、サーバー20に登録される。それにより、サーバー20は、発注された鋼材の納品(搬入)を含め、鉄骨製品の製造の進捗を管理する。このため、結果として、サーバー20は、鋼材の発注から鉄骨製品の出荷までの進捗を管理する。
【0083】
外注企業620は、鋼材販売業者610から納品された鋼材を用いて、受注製造会社500から依頼された鉄骨製品を製造し、製造した鉄骨製品を納品製品625として受注製造会社500に納品する。外注企業620における納品製品625の製造の進捗管理もサーバー20によって行われる。それにより、図1に示すネットワークは、外注企業620で用いられるユーザー端末10と接続可能なものであり、外注企業620で使用される各ユーザー端末10とサーバー20との間の通信を可能にする。なお、外注企業620は1社でなくともよい。
【0084】
製造部門530は、1つ以上の加工組立工場531により、鉄骨製品535を製造する部門である。製造部門530に設けられた検査部署532は、製造された鉄骨製品535が適切なものか否かを確認するための検査を行う部署である。UTは、この検査部署532によって行われる。それにより、適切と確認された鉄骨製品535のみが塗装部門540に渡され、鉄骨製品535の塗装、或いはメッキが行われる。出荷部門550は、塗装、或いはメッキが行われた鉄骨製品535を出荷する。以降、符号としての535は、加工組立工場531での製造が完了した鉄骨製品にのみ付し、製造開始前、及び製造中の鉄骨製品と区別する。
【0085】
破線の矢印は、設計部門510、及び製造部門530だけでなく、発注部門520、塗装部門540、及び出荷部門550にも示されている。このことから、製造が開始された鉄骨製品の進捗状況を特定する工程としては、製造部門530での鉄骨製品の各製造工程だけでなく、製造終了後の塗装工程、及び出荷工程も含まれる。受注製造会社500では、第2実施形態に係る製造管理装置であるサーバー20は、これらの部門をカバーして、鉄骨製品の製造上の進捗管理を行い、ユーザー端末10を介して、その管理結果を必要に応じて提示する。これは、外注企業620でも同様であることから、説明は受注製造会社500にのみ着目する形で行う。
【0086】
ユーザー端末10は、進捗管理のための情報の送信に用いることが可能である。その情報を含む進捗処理要求の送信には、進捗状況が変化する鉄骨製品、或いは部品の指定が必要である。その指定は、製造すべき鉄骨製品、若しくは部品のリスト上での選択、或いは鉄骨製品、若しくは部品に取り付けられた媒体の読み込みにより行われる。その指定により、進捗状況が変化する鉄骨製品、部品、或いは部材の識別情報である符号(図6等参照)を含む進捗処理要求のサーバー20への送信が可能となる。なお、媒体とは、例えば二次元コード等が形成された印刷媒体、或いはICタグである。
【0087】
サーバー20は、進捗処理要求の受信により、符号で指定される鉄骨製品、部品、或いは部材の製造上の進捗状況を更新する。この更新により、ユーザー端末10を使用する作業者は、任意の鉄骨製品、任意の部品、及び任意の部材の進捗状況を確認できるようになる。このような進捗状況の更新がユーザー端末10を用いて行えるため、リアルタイムでの進捗状況の更新が可能になるとともに、現在の状況の確認も可能となる。全体的には、進捗状況の更新のための作業員の負荷は分散される形となり、進捗状況の不適切な更新も回避させることが可能となる。このようなことから、鉄骨製品の製造を適切かつ効率的にリアルタイムで管理できるようになる。
【0088】
図15は、第2実施形態に係る製造管理装置上に実現された機能構成の一例を示すブロック図である。
第2実施形態では、製造管理装置であるサーバー20の概略構成は、第1実施形態と同じ、つまり図3に示すようなものである。このことから、図15に例を示す機能構成は、図3に例を示す概略構成を前提としたものである。これは、ユーザー端末10、及び設計システム30でも同様である。
【0089】
図15に示すように、第2実施形態では、制御部21上に、機能的な構成要素として、設定部701、ファイル登録部702、認証部703、発注処理部704、進捗処理部705、位置特定部706、出来高算出部707、加工費算出部708、及びページ生成部709が実現されている。記憶部22には、社員情報格納部801、明細ファイル格納部802、及び加工図ファイル格納部803が確保されている。なお、制御部21上の各部701~709は何れも、サーバー20上に発注・進捗管理機能41、及び管理結果提示機能42を実現させるために開発されたアプリケーション・プログラムを制御部21が実行することで実現される。このアプリケーション・プログラムは、第2実施形態における製造管理プログラムに相当する。
【0090】
設定部701は、各種情報の設定、登録、及び編集を可能にする。登録可能な情報の一つが、社員情報である。この社員情報は、例えば氏名、社員ID、配属部署、配置場所、担当製造工程、認証用のID、認証用のパスワード、及び保有資格、等の各種情報を含む管理用情報である。社員情報の保存用に、記憶部22上に社員情報格納部801が確保されている。
【0091】
ID、パスワードは、サーバー20の利用のための認証用である。ユーザー端末10を用いたサーバー20へのアクセスには、ID、パスワードを入力しての認証を必須とさせている。それにより、社員である担当者は、任意のタブレット、或いはスマートフォン等をユーザー端末10として使用することができる。
【0092】
ファイル登録部702は、各種明細ファイル、及び各種加工図ファイルを含む各種ファイルの登録に対応する。
明細ファイルは、鉄骨の設計により、鋼材別、部品別、及び鉄骨製品別にそれぞれ作成されるファイルである。通常、鋼材、部品、及び鉄骨製品のそれぞれで複数の明細ファイルが作成される。各明細ファイルには、少なくとも第1~第3格納領域が論理的に確保されている。
【0093】
第1格納領域には、名称、加工内容、形状、重量、数量、及び材質等の明細が種類別に表形式でまとめられた画像が格納される。ここでの種類とは、例えば部材では、同じ種類の鋼材から製造されることは同じであっても、行うべき加工の種類、或いは加工箇所等に違いがあることを指している。つまり、ここでの種類とは、全体としては同じ種類とされる分類の更に下位の分類に着目したものである。
【0094】
第2格納領域には、種類別にまとめられた明細情報が格納される。図5に項目として示される材質、サイズ等の各情報は、第2格納領域に格納された明細情報中から抽出される情報である。第3格納領域には、明細情報が格納された物のうちで製造が完了した物を表す情報が格納される。その情報は、例えば明細情報のうちから抽出した情報(抽出明細情報)に、担当者名、終了日時、及び製造場所等の情報を加えたものである。
【0095】
このような情報が第3格納領域に格納されることにより、鋼材を含む部品レベルで製造上の進捗状況が特定可能になる。このことから、第3格納領域に格納される情報は、以降「進捗状況情報」と呼ぶことにする。進捗状況情報は、進捗処理要求の受信により生成される。
【0096】
このような明細ファイルの登録により、部材、部品、及び鉄骨製品の進捗管理を各レベルで行うことができる。進捗状況情報の保存場所も自動的に確保され、関連する情報が明細ファイル単位で集約されることになる。このようなことから、進捗管理を行ううえでの情報の扱いが容易となるだけでなく、進捗状況情報の内容の確認も容易となる。
【0097】
加工図ファイルは、鉄骨製品、或いは部品の加工内容、及び組立方法等を説明する図が加工図として格納されたファイルである。このため、加工図ファイルも、鉄骨の設計により、鉄骨製品毎、及び部品毎にそれぞれ作成される。図8にポップアップとして示された柱の画像は、加工図ファイルに格納された加工図である。このような加工図の表示を可能とするために、各加工図ファイルには、符号が特定可能に入力されているか、或いは符号と対応付けられる。
【0098】
登録対象となるファイルには、他に、画像として伏図が格納された伏図ファイルがある。図9に例を示したものは、伏図ファイルに格納された伏図である。
記憶部22には、明細ファイルの保存用として、明細ファイル格納部802が確保され、加工図ファイルの保存用として、加工図ファイル格納部803が確保されている。明細ファイル格納部802、及び加工図ファイル格納部803では、建築物別に分けて、明細ファイル、及び加工図ファイルが格納される。伏図ファイルは加工図ファイルの一つとして扱われる。
【0099】
各種ファイルの登録は、ページ生成部709によって生成されるページである明細登録画面上で行うようになっている。図16、及び図17は、明細登録画面の一例を説明する図である。
明細登録画面には、図16、及び図17に示すように、サイドメニューが配置された表示エリア910、及び登録する各種ファイルの指定用のファイル指定エリア921~925が配置された表示エリア920が確保されている。明細登録画面920は、サイドメニュー中の「原寸」をクリック操作することにより表示させることができる。この表示エリア920には他に、建築物を指定するための指定エリアも確保されている。
【0100】
サイコロDXFファイル指定エリア921は、DXF形式のサイコロ加工図ファイルの登録用のエリアである。この指定エリア921には、ページ頭追加番号を入力用のテキストボックス931、及び「ファイルを選択」ボタン932が配置されている。
ページ頭追加番号は、登録される各種ファイルの先頭ページに割り当てられる識別情報である。加工図ファイルの表示は、ここで指定されるページ番号によって管理される。ここでのページは、例えば仮想的なものである。「ファイルを選択」ボタン932は、任意の保存場所に格納されたファイルの選択を可能にさせる。なお、サイコロは、仕口を製造するうえでの部品である。
【0101】
仕口,柱出来高明細ファイル指定エリア922は、サイコロ、仕口、及び柱等の柱の製造に関係する各部位の明細ファイルの登録用のエリアである。このファイル指定エリア922には、複数のテキストボックス931、複数のチェックボックス933、及び一つの「ファイルを選択」ボタン932が配置されている。
【0102】
各種明細ファイルは、各種リストに表示させる情報の抽出用である。この情報の抽出を適切に行えるように、各種指定用に複数のテキストボックス931、及び複数のチェックボックス933は設けられている。より具体的には、複数のテキストボックス931は、タイトルの位置の認識用文字列、タイトルの配列順序、無視すべきブランケットを表す記号、無視すべきでないブランケットを表す記号等の入力に用いられる。このことから明らかなように、登録されるファイルの内容が確認され、柱を構成する部品、その部品を構成する部材等も製造対象とされる。このような製造対象は、登録される加工図ファイルにより確認することが可能となっている。
【0103】
第1形式明細ファイル指定エリア923、及び第2形式明細ファイル指定エリア924はともに、上記ファイル指定エリア922で対象にしない各部位の明細ファイルの登録用のエリアである。何れのファイル指定エリア923、924にも、リストボックス表示用のボタン935aが配置されたコンボボックス935、及び「ファイルを選択」ボタン932が配置されている。それにより、これらファイル指定エリア923、924では、リストボックス内に配置された部位名のうちから、登録する明細ファイルが対応するものを選択するようになっている。
【0104】
これらファイル指定エリア923、924間では、対象とする明細ファイルの形式が異なっている。それにより、作業員は、明細ファイルの形式に応じて、これらファイル指定エリア923、924のうちの一方を選択し、登録すべき明細ファイルを指定(選択)して登録させる。
【0105】
発注する鋼材の決定により、発注部門520は、明細ファイルを作成する。この明細ファイルも、明細登録画面上から登録させる対象となっている。しかし、発注した鋼材は、部材とも異なり、納品されたか否かの管理を行えばよい。このことから、発注部門520で作成される明細ファイルは、設計部門510で作成されるものとはファイル構成が異なっているだけでなく、進捗管理上の扱いも異なっている。その扱いとしては、例えば明細ファイルが表される鋼材が搬入されたか否かの入力を行えばよいようになっている。
【0106】
伏図ファイル指定エリア925は、図9に例を示すような伏図を画像として格納した伏図ファイルの登録用のエリアである。このファイル指定エリア925では、「ファイルを選択」ボタン932のみが配置されている。
【0107】
図18は、登録確認画面の一例を説明する図である。
この登録確認画面は、登録された各種ファイルの確認を可能にする。上記明細登録画面上で登録が指示されたファイルは、実際には、この登録確認画面上での登録の指示により登録される。そのため、この確認画面は、明細登録画面上でファイルの登録が指示された場合に、表示されるか、或いは表示可能になる。この確認画面では、表示エリア920は、登録された各種ファイルのうちで対象となるファイルの内容の表示に用いられる。なお、明細登録画面の再表示は、表示エリア910に配置されたサイドメニュー中の「原寸」へのクリック操作により行うことができる。
【0108】
表示エリア920の左上方には、「登録」ボタン961、「全表示」ボタン962、及び「絞込み表示」ボタン963が配置されている。
「登録」ボタン961は、明細登録画面上で登録が指示されたファイルの登録を指示するためのボタンである。
【0109】
「全表示」ボタン962、及び「絞込み表示」ボタン963はともに、登録が指示されたファイルの内容の表示を指示するためのボタンである。具体的には、「全表示」ボタン962は、登録が指示されたファイルの全ての内容(ページ)の表示を指示するためのボタンである。「絞込み表示」ボタン963は、指定された内容(ページ)のみ、その内容の表示を指示するためのボタンである。
【0110】
表形式の画像950は、ファイルの内容として表示されたものである。この画像950は、明細ファイルの第1格納領域に格納されたものである。このような画像950を各明細ファイルの第1格納領域に格納させることにより、登録を指示した明細ファイルの内容を担当者がより容易に確認することができる。
【0111】
明細ファイルの第1格納領域には、表形式の画像950が一つ以上、格納される。各画像950にはそれぞれ、ページ頭番号として指定されたページ番号から昇順に変化させたページ番号が割り当てられる。画像950の上方に配置された一覧表940は、登録が指示された明細ファイルの第1格納領域に存在する各画像950の一覧を表している。そのために、各行には、チェックボックス、割り当てられたページ番号、及び画像950が表す各種情報が配置されている。それにより、「絞込み表示」ボタン963は、チェックボックスへのチェックにより指定されたページに対応する画像950のみの表示を指示するためのものとなっている。「全表示」ボタン962は、全てのページの画像950を表示させるのを指示するためのものとなっている。
【0112】
このようにして、第2実施形態では、登録すべきファイルは、個別に、再度の確認を担当者に行わせる形で登録させるようにしている。これは、進捗を管理するための情報に誤りがあれば、進捗を適切に管理できなくなるからである。再度の確認を行わせることにより、登録すべきファイルをより確実に登録させられるようになる。
【0113】
図15の説明に戻る。
認証部703は、ユーザー端末10からの認証要求に対応する。その認証要求には、ID、及びパスワードが含まれている。そのため、認証部703は、認証要求に含まれるID、パスワードの組を有する社員情報の有無を確認することにより認証を行う。この認証により、ユーザー端末10を使用する担当者が特定される。
【0114】
発注処理部704は、外注企業620への発注に対応する。具体的には、製造すべき鉄骨製品のうちで外注企業620に発注した分を特定可能にするための処理を行う。この処理により、製造すべき鉄骨製品は、実際に製造する会社別に、製造上の進捗状況を確認することが可能となる。
【0115】
進捗処理部705は、ユーザー端末10から送信される進捗処理要求を処理する。その進捗処理要求が受信された場合、進捗処理部705は、鉄骨製品、部品、或いは部材の進捗状況を特定し、対象となる明細ファイルに格納すべき進捗状況情報を生成して格納する。進捗処理部705は、塗装部門540、及び出荷部門550から進捗処理要求が送信された場合、対応する鉄骨製品の明細ファイルに対し、生成した進捗状況情報を追加する形で格納する。このとき、格納される進捗状況情報は、例えば工程名、担当者名、及び終了日時等を含む情報であってもよい。検査部署532では、符号に対応付け、UT等による検査結果を進捗状況情報として記憶部22に別に保存する。検査結果は、検査結果入力用のページ上で担当者に入力させるようになっている。
【0116】
部品、及び部材でも、製造に複数の製造工程での作業が必要なものが存在する場合がある。その場合、製造工程別に生成された進捗状況情報が同じ明細ファイルの第3格納領域に保存される。この結果、図7に例を示すようなリストの表示が可能となっている。このことから明らかなように、進捗状況情報は、製造対象を製造するうえで行われた製造工程の履歴を表すものともなっている。
【0117】
位置特定部706は、進捗処理要求を送信したユーザー端末10の位置を特定する。上記のように、認証によってユーザー端末10を使用する担当者が特定される。担当者の配置場所を示す情報は社員情報に含まれている。このことから、位置特定部706は、進捗処理要求を送信したユーザー端末10を使用する担当者を特定し、特定した担当者の社員情報を参照して、その社員情報が示す配置場所をユーザー端末10の位置として特定する。特定された位置を表す位置情報は、進捗状況情報の一部として保存される。この位置情報が、第2実施形態における場所情報に相当する。なお、ユーザー端末10の位置は、ユーザー端末10から位置情報を送信させることにより、特定するようにしてもよい。位置情報は、特に限定されないが、例えば衛星測位システムにより得られるもの、ユーザー端末10が通信するアクセスポイントを示すもの等であってもよい。
【0118】
出来高算出部707は、指定された条件で、鉄骨製品の製造に係わる統計的な情報である出来高を算出する。条件の指定は、専用のページ上で行うようになっている。図7に示される例は、出来高算出部707による算出結果が配置されたページの例である。このページ、条件を指定するためのページ、及びUTの検査結果の入力用のページを含む各種ページの生成は、ページ生成部709によって行われ、通信部23を介して送信される。
【0119】
加工費算出部708は、指定された部位の指定された種類の加工に要する加工費を算出する。算出される加工費は、鉄骨製品を製造するうえでの負荷、作業量、或いは必要とされる製造能力等を表す指標と云える。このことから、第2実施形態では、外注企業620に製造を依頼する鉄骨製品の決定を支援できるようにする意味でも有用な情報として、加工費を算出可能にさせている。
なお、部位の指定等は、ページ生成部709により生成される専用のページ(画面)上で行われる。そのページ上では、想定対象とする加工の種類、及び単価、等も併せて指定できるようにしてもよい。ここでは、それらの指定も可能と想定する。
【0120】
ページ生成部709は、ユーザー端末10に表示させる各種画面をページとして生成する。そのページの生成には、進捗処理部705によって生成され保存される進捗状況情報、位置特定部706による位置の特定結果、出来高算出部707によって算出された出来高、及び加工費算出部708によって算出された加工費が必要に応じて用いられる。ここで図19図22にそれぞれ一例を示す各種画面を参照し、各種画面でそれぞれ表示される内容、及びその画面の生成方法について具体的に説明する。
【0121】
図19は、実況表示画面の一例を説明する図である。
この実況表示画面は、検査の対象となる物が発生する製造工程のうちで、作業が終了した製造工程が終了日時の順序に沿って配置されたリストである。図19に示す一例では、終了日時が最も遅い、言い換えれば終了日時と現在日時との間の時間が最も短い製造工程を最も上に配置する降順で製造工程の情報が配置されている。製造工程についての情報として、終了日時の他に、場所、部位、符号、工程、担当者名、物件名の各項目の情報が示されている。
【0122】
各項目名の下方には、テキストボックス、或いはコンボボックスが配置されている。各テキストボックス、及び各コンボボックスは何れも、対象とする製造工程を絞り込むためのものである。このため、作業員は、1つ以上のテキストボックス、或いはコンボボックスへの入力により、表示される製造工程を絞り込むことができる。
【0123】
検査を担当するのは、検査部署532に配属された作業員(以降、他の作業員と区別するために「検査員」とも表記する)である。このことから、絞込みを行うことが可能な実況表示画面では、検査員による閲覧も想定されている。表示させるユーザー端末10としては、次の検査のために検査員が待機する場所等にモニターとして設置されるようなユーザー端末10に常時、表示されることも想定されている。
【0124】
そのような場所に配置のユーザー端末10に実況表示画面を表示させることにより、検査員は、検査すべき物の発生に対し、より迅速な検査の実施が可能となる。より具体的には、検査すべき対象となる物が発生した場所に、より早く移動できるようになる。この結果、検査すべき物が発生してから検査が終了するまでの平均時間はより短くできることから、検査のために製造が停止する停止時間の平均もより短くなって、鉄骨製品535の製造もより迅速に行えるようになる。また、検査員にとっては、ユーザー端末10に表示される実況表示画面の確認により、検査すべき物の発生を認識できることから、検査すべき物が発生したか否かの確認のための移動は基本的に不要となる。それにより、検査員の作業効率を向上させるという利点もある。
【0125】
実況表示画面上に配置される場所は、位置特定部706によって特定された位置である。位置特定部706は、検査員の移動すべき場所へのより迅速な移動を可能にさせる。また、この位置特定部706により、鉄骨製品、及び部品等の製造場所に着目した管理、及び出来高を含む各種情報提示が可能になる。後述する図21は、このことを表している。
【0126】
検査すべき物は、随時、発生する。このことから、ページ生成部709は、実況表示画面を表示させているユーザー端末10が存在する場合、各明細ファイルに格納される進捗状況情報を監視して、新たに格納された進捗状況情報を特定する。特定できた進捗状況情報が存在する場合、ページ生成部709は、その進捗状況情報が終了を示す製造工程で検査すべき物が発生するか否かを確認する。そのようにして、検査すべき物が発生する製造工程での作業の終了が確認できた場合、ページ生成部709は、製造工程を新たにリストに追加した実況表示画面を生成し、通信部23を介して、新たに生成した実況表示画面を送信させる。
【0127】
この一方、ページ生成部709は、特定できた進捗状況情報が終了を示す製造工程が検査工程か否かを確認する。検査工程の終了により、検査された物に対する検査は不要となる。このことから、ページ生成部709は、その検査された物を発生させた製造工程をリスト上から削除するか、或いは表示形態を変更させた実況表示画面を生成し、通信部23を介して、新たに生成した実況表示画面を送信させる。なお、情報を配置するうえでの製造工程の更新順の向きは、図19とは逆であってもよい。
【0128】
図20は、建方日警告表示画面の一例を説明する図である。
受注製造会社500が納品する鉄骨製品の何れにも、納期が存在する。その納期は、鉄骨製品が現場で組み立てられる建方日に依存する。このことから、各鉄骨製品には、納期として建方日が設定される。建方日警告表示画面は、物件毎に、建方日までの時間が短い方から、つまり納期までの時間的な余裕が小さい方から、その建方日、及び鉄骨製品に係わる情報を配置させたリストである。鉄骨製品に係わる情報の項目は、図20に向かって左から、工区、符号、及び主材の3つである。建方日は、更にその右、つまり最も右に配置されている。
1つの鉄骨製品に係わる3つの情報、及び建方日は、物件名の下の各行に配置される。それにより、情報が配置された行は、一つの鉄骨製品、及びその建方日を表している。
【0129】
建方日、及び後述する設定時間はともに、設定部701により設定され、例えば記憶部22に確保された不図示の格納領域上に格納される情報である。納品のための出荷を含む製造上の進捗状況は、進捗状況情報の参照により特定することができる。このことから、建方警告表示画面では、進捗状況に応じた表示形態で各鉄骨製品の情報を配置するようになっている。出荷した鉄骨製品535は対象外であるから、基本的に配置の対象となる鉄骨製品は、出荷前のもの、或いは製造が完了していない鉄骨製品である。
【0130】
図20に示すように、建方日までの時間が設定時間より短い鉄骨製品では、複数の表示形態で情報を表示させるようになっている。符号のみ、他とは異なる表示形態で表示させるようになっている。これは、建方日までの時間が設定時間以下であることの警告に加え、鉄骨製品の現在の進捗状況を確認できるようにするためである。表示形態の違いは、網掛けで表している。このことから、図20では、物件名として「△△△物流センター」が表示された列の上から4行に情報が配置された鉄骨製品が警告されていることを表している。なお、警告表示画面としては、建方日とは異なる設定情報に着目したものであってもよい。警告表示画面は、例えば建方日とは別に設定した製造期限日等に着目したものであってもよい。なお、網掛けで表す表示形態は、例えば一次加工済み、二次加工済み、及び溶接済み等で異ならせることが考えられる。
【0131】
建方日警告表示画面の生成は、物件毎に、各鉄骨製品に設定された建方日、現在日時、及び進捗状況情報を参照して生成される。時間の経過に伴い、各鉄骨製品535の進捗状況は変化する。また、建方日は変更される場合がある。このことから、ページ生成部709は、実況表示画面と同様に、建方日警告表示画面を表示させているユーザー端末10が存在する場合、建方日警告表示画面を必要に応じて生成し、生成した表示画面をユーザー端末10に送信させる。
【0132】
このような建方日警告表示画面は、鉄骨製品の製造を管理する立場の人の閲覧も想定されている。これは、そのような立場の人であれば、現状、或いは予測される未来の状況に応じて、製造部門530のリソースの使い方を変更する等の対応を取ることが可能だからである。つまり、現状を認識させることにより、より早い段階で望ましい対応を取ることが比較的に容易となって、鉄骨製品の製造を管理するうえでのより高い質の実現を支援できるからである。そのようなより高い質をより確実に実現させるためには、建方警告表示画面を常時、表示させるようにするユーザー端末10を用意することが望ましい。
【0133】
図21は、工場別出来高グラフ表示画面の一例を説明する図である。
この工場別出来高グラフ表示画面は、出来高表示画面の一つであり、図7に示す別の一例と同じく、条件を指定するためのページ(画面)上で指定された条件に沿って生成される。この工場別出来高グラフ画面の場合、条件として、出来高を算出する対象期間、出来高を算出するうえで単位となる期間として日別、出来高の種類として鉄骨製品635の総重量(累算値)、及び出来高を算出する対象として各工場、出来高の表示形態としてグラフ(棒グラフ)等が指定される。それにより、このグラフ表示画面では、対象期間内に各工場で製造された鉄骨製品535の総重量が日別に棒グラフにより示されている。縦軸の単位はt(トン)である。
【0134】
出来高算出部707は、このような条件が指定された場合に、対象期間内に製造された鉄骨製品535の総重量を工場別に集計して算出する。それにより、ページ生成部709は、この算出結果を用いて、図21に一例を示すような工場別出来高グラフ表示画面を生成する。生成された表示画面は、送信すべきユーザー端末10に対し、通信部23を介して送信される。
【0135】
上記のように、進捗状況情報には、位置情報、終了日時を表す情報等が含まれる。また、鉄骨製品535の重量を表す情報も、進捗状況情報に含まれる(図18参照)。このことから、出来高算出部707は、対象期間内に製造が終了した進捗状況情報を参照し、対象期間内に製造された鉄骨製品535の総重量を工場別、日別に算出する。
【0136】
図7に一例を示すリストでも、同様にして出来高算出部707による出来高の算出が行われる。それにより、ページ生成部709は、その算出結果を用いてそのリストを生成する。しかし、図7に示すようなリストの生成の場合、出来高算出部707は、必要な明細ファイルの第2領域、及び第3領域に格納された情報を参照して、部位別に総台数を算出するとともに、加工の種類別に、その加工が終了した総台数を算出することが行われる。この結果、ページ生成部709は、出来高算出部707による出来高の算出結果を用いて、図7に示すようなリストを生成する。
【0137】
図7図21に示すような出来高表示画面上に表示される出来高は、現状を確認可能にするだけでなく、様々な製造実績を確認するうえでも有用な情報である。図21に示す例のように表示される出来高は、物件の受注が可能か否かの判断、他と比較して加工能力が低い工場の特定、等を行ううえでも有用である。このことから、物件の受注、鉄骨製品の製造計画、各工場における改善点の特定等を支援することが期待できる。
【0138】
なお、生成可能な出来高に係る画面は、図7図21、及びそれらの類型に限定されない。出来高の算出上の条件を指定可能にさせているのは、望ましい画面を任意に表示可能にさせることにより、各種確認、或いは各種検討等をより容易に行えるようにして、より高い利便性を実現させるためである。表示形態では、グラフの他に表等がある。グラフだけでも、指定可能な種類が複数、存在する。
【0139】
図22は、外注見積表画面の一例を説明する図である。
この外注見積表画面は、指定された部位の製造を外注企業620に依頼することを想定し、指定された部位の溶接に要する費用を加工費として鉄骨製品(納品製品)毎に示す画面である。見積表示画面の一つである。このため、主に発注部門520に配属された作業員による閲覧が想定されている。ページ生成部709は、加工費算出部708による加工費の算出結果を用いて、この見積表画面を生成する。
【0140】
図22に示すように、この画面には、鉄骨製品に係わる情報の項目名として、工区、符号、台数、部位、サイズ、ページ、全長、総重量、スリーブ1~スリーブ4、切欠き、完全溶け込み溶接長、部分溶け込み溶接長、金額(円)及びその他が示されている。合計の項目では、台数の累算値、総重量の累算値、完全溶け込み溶接長の累算値、部分溶け込み溶接長、及び金額の累算値が少なくとも示されている。溶接長を溶接の種類によって分けられているのは、溶接の種類によって単価が異なるからである。なお、溶接長の単位はm(メートル)である。
【0141】
加工費の算出では、加工法、つまり加工の種類を指定する他に、部位を指定するようにさせている。図22中の部位を表す「大梁」は、指定された部位の名称である。なお、部位の指定、言い換えれば指定対象の選択は、名称の他に、ページ、符号等を用いることができる。
図22に項目名が示された情報において、例えば完全溶け込み溶接長、部分溶け込み溶接長、及び金額を除く項目名の情報は全て、指定された部位に関係する何れかの明細ファイルの第2格納領域から抽出されるか、或いは抽出した情報を用いて生成可能な情報である。総重量の累算値は、鉄骨製品別に抽出された総重量を累算することで算出される。
【0142】
完全溶け込み溶接長、及び部分溶け込み溶接長は、鉄骨製品の製造で行われる各溶接作業での溶接長の累算値である。そのため、鉄骨製品の製造に複数の部材を含む部品が用いられる場合、種類別の溶接長には、各部品の溶接作業で溶接が行われた長さが含まれている。各部品の製造に必要な溶接長、及び部品の一体化のために必要な溶接長は、例えば鉄骨設計のために設計部門510に導入されたソフトウェア、或いはそのソフトウェアによって使用されるデータベースから情報として取得される。ここでは説明上、便宜的に、溶接長はデータベースから取得されるものと想定する。データベースが構築された記憶装置は、サーバー20がアクセス可能であればよい。このことから、記憶装置が存在する場所、その記憶装置へのアクセス方法等についてのより詳細な説明は省略する。つまりサーバー20がデータベースから直接的に必要な情報を取得できるものと想定する。各溶接長は全て加工情報の一つである溶接長情報に相当する。
【0143】
加工費算出部708は、このような情報収集を行うことにより、鉄骨製品毎の各溶接長の算出、算出した各溶接長の累算値の算出を行う。なお、各明細ファイルの第2格納領域に、必要な溶接長を情報として格納させるようにしてもよい。
溶接の種類によって異なる単価は、発注時の状況等により変化させる必要が生じる場合があり得る。このこともあり、各単価は、加算値を算出するうえでの演算条件として設定させるようになっている。それにより、各金額は、算出された溶接長に単価を乗算することにより算出される。部位は、加算値を算出する対象となる部位を指定する抽出条件として設定される。
【0144】
鉄骨製品の製造では、製造可能な鉄骨製品の量は、行うべき加工の種類、及び各種類の加工量に大きく依存する。特に複数の金属を接合させて一体化させる溶接は、他の加工法とは異なり、作業時間が非常に長くなることが少なくない。このことから、溶接は、鉄骨製品の製造に用いられる主な加工法であり、且つ製造上の負荷を考慮するうえで特に重視すべき加工法となっている。それにより、各溶接長の累算値、及び金額の累算値は何れも、鉄骨製品の製造上の負荷を適切に予想するうえでの有用な指標となる。この有用性から、加工費を算出する対象の加工法として重要性が高いのは溶接となる。そのため、溶接は必須の加工法として位置付けられ、指定可能な加工法としては除外されている。
【0145】
図14に示すように、製造すべき鉄骨製品の少なくとも一部の製造を外注企業620に依頼するのを想定する受注製造会社500は、外注企業620の製造能力を考慮する必要がある。図22に示すような外注見積表表示画面には、上記のように、鉄骨製品の製造上の負荷を適切に予想するうえでの有用な指標が情報として示される。このことから、この表示画面の生成・表示を通して、受注製造会社500における外注企業620への適切な発注作業を支援することができる。そのために、閲覧を主に想定するのは発注部門520に配属された作業員となる。
【0146】
図14に示すように、サーバー20上には、発注・進捗管理機能41、及び管理結果提示機能42が実現されている。図15に示す機能的な構成要素が制御部21上に実現される場合、発注・進捗管理機能41は、出来高算出部707、及び加工費算出部708を除く各部701~706、及び709によって提供される。狭義には、発注処理部704、進捗処理部705、及びページ生成部709によって提供される。管理結果提示機能42は、出来高算出部707、加工費算出部708、及びページ生成部709によって提供される。
【0147】
図23、及び図24は、第2実施形態に係る情報処理装置であるサーバーに搭載の制御部によって実行される全体処理の一例を示すフローチャートである。この全体処理は、ユーザー端末10からの各種要求に対応するためにサーバー20が主に実行する処理である。サーバー20上に発注・進捗管理機能41、及び管理結果提示機能42を実現させるために開発されたアプリケーション・プログラムを制御部21が実行することで実現される。次に図23、及び図24を参照し、この全体処理について詳細に説明する。処理を実行する主体としては制御部21を想定する。
【0148】
先ず、S401では、制御部21は、ユーザー端末10から設定に係わる設定要求を受信したか否か判定する。この設定要求は、各種設定用画面のうちの何れかで入力された情報の登録が作業員によって指示されることで送信される要求であり、入力された情報、及びその情報を用いた操作内容も併せて送信される。
【0149】
何れかのユーザー端末10から送信された設定要求を通信部23が受信した場合、S401の判定はYESとなってS402に移行する。そのS402では、制御部21は、入力された情報を操作内容に沿って保存する設定処理を実行する。この設定処理の実行後は上記S401に戻る。この設定処理の実行により、社員情報の登録、編集、建方日の設定、或いは設定された建方日の変更等が可能になる。
【0150】
一方、何れのユーザー端末10からも設定要求を受信しなかった場合、S401の判定はNOとなってS402に移行する。そのS402では、制御部21は、ユーザー端末10から登録要求を受信したか否か判定する。この登録要求は、図16図17に一例を示す明細登録画面上で選択されたファイルの登録のために行われるものであり、選択されたファイル、及びその種類等も併せて送信される。
【0151】
何れかのユーザー端末10からこの登録要求を通信部23が受信した場合、S402の判定はYESとなってS404に移行する。そのS404では、制御部21は、送信されたファイルをその種類に応じて明細ファイル格納部802、及び加工図ファイル格納部803のうちの何れかに格納する登録処理を実行する。この登録処理の実行後は上記S401に戻る。
【0152】
上記のように、各種ファイルの登録は個別に行われる。明細登録画面上で一つのファイルの登録が指示された場合、そのファイルは、明細確認画面上での登録指示により、最終的に登録される。このことから、S404の登録処理は、明細確認画面の生成と送信、明細確認画面上での登録指示以外の指示等にも対応するものとして示している。
【0153】
一方、何れのユーザー端末10からも登録要求を通信部23が受信しなかった場合、S403の判定はNOとなってS405に移行する。そのS405では、制御部21は、ログイン要求を受信したか否か判定する。このログイン要求は、上記のように、ユーザー端末10を介したサーバー20の利用を可能にするための要求であり、認証用のID、及びパスワードが併せて送信される。
【0154】
何れかのユーザー端末10から送信されたログイン要求を通信部23が受信した場合、S405の判定はYESとなってS406に移行する。そのS406では、制御部21は、ログイン要求に含まれるID、及びパスワードの組を有する社員情報の有無を確認する認証処理を実行する。その認証処理の実行後のS407では、制御部21は、ログイン要求を受信したユーザー端末10に対し、その認証結果を送信する。この送信後は上記S401に戻る。なお、認証処理では、ID、及びパスワードの組を有する社員情報の存在を確認できた場合、ユーザー端末10に対し、それを使用する社員である作業員を対応付けることも行われる。
【0155】
一方、何れのユーザー端末10からもログイン要求を受信しなかった場合、S405の判定はNOとなってS408に移行する。そのS408では、制御部21は、ユーザー端末10からページ(画面)の送信要求を受信したか否か判定する。この送信要求は、作業員が指定した画面の表示を可能にする要求であり、その送信要求には、画面を指定するURL(Uniform Resource Locator)等も含まれる。図5図9図16図22にそれぞれ示す例を含む各種画面は、この送信要求によってサーバー20からユーザー端末10に送信され表示される。
【0156】
何れかのユーザー端末10から送信された送信要求を通信部23が受信した場合、S408の判定はYESとなってS409に移行する。そのS409では、制御部21は、送信要求によって指定された画面が見積表の画面か否か判定する。見積表の画面が指定されていた場合、S409の判定はYESとなって図24のS421に移行する。見積表の画面以外の画面が指定されていた場合、S409の判定はNOとなってS410に移行する。S410では、制御部21は、送信要求で指定された画面を生成してユーザー端末10に送信させる。
【0157】
何れのユーザー端末10からも送信要求を受信しなかった場合、S408の判定はNOとなってS411に移行する。そのS411では、制御部21は、ユーザー端末10から進捗処理要求を受信したか否か判定する。この進捗処理要求は、上記のように、指定された鉄骨製品、或いは部品の進捗状況を変更(更新)する処理を要求するものであり、その進捗処理要求には、鉄骨製品、部品、或いは部材に割り当てられた符号が少なくとも含まれている。
【0158】
何れかのユーザー端末10から送信された進捗処理要求を通信部23が受信した場合、S411の判定はYESとなってS413に移行する。一方、何れのユーザー端末10からも進捗処理要求を受信しなかった場合、S411の判定はNOとなってS412に移行する。そのS412では、制御部21は、ユーザー端末10からの他の要求に対応するためのkを実行する。その他の処理の実行後は上記S401に戻る。
【0159】
記憶部22に確保された社員情報格納部801には、全ての社員の社員情報が格納されている。このことから、その他の処理には、社員の各種管理、例えば残業時間を含む勤怠管理、各種施設の予約管理、及び日報の保存管理等に対応するための各種処理を含めてもよい。
【0160】
S413では、制御部21は、進捗処理要求を送信させたユーザー端末10から、そのユーザー端末10を使用する作業員を送信者として特定する。特定される送信者とは、そのユーザー端末10からログイン要求を送信させた作業員である。送信者を特定後はS414に移行する。
【0161】
S414では、制御部21は、送信者として特定した作業員の社員情報を参照して、送信者の氏名、配置場所、及び担当製造工程等を特定し、これら特定結果、現在日時、及び符号を用いて進捗状況情報を生成し、生成した進捗状況情報を登録する。送信者の氏名は担当者名、配置場所は製造場所、担当製造工程は終了した製造工程として扱われ、現在日時は終了日時とされる。進捗状況情報が登録される明細ファイルは、担当製造工程、及び符号から特定される明細ファイルであり、その明細ファルの第3格納領域に進捗状況情報は格納される。進捗状況情報の格納による登録後は上記S401に戻る。
【0162】
このように、進捗状況情報の生成には、社員情報が用いられる。社員情報を用いることにより、進捗処理要求に含ませる情報の数は最低限に抑えることが可能になる。情報の数が抑えられることにより、ユーザー端末10に対して行うべき操作の数も抑えられるようになる。このことから、ユーザー端末10を使用する担当者にとっては、ユーザー端末10の操作がより容易となって負荷もより軽いものとなる。進捗処理要求の送信は容易に行えるものとなる。
【0163】
上記のように、図22に一例を示す外注見積表表示画面のような見積表表示画面を表示させる場合、抽出条件、及び演算条件を指定する必要がある。抽出条件として指定するのは、対象となる物件、部位、及び加工法等である。演算条件として指定するのは、加工費を算出する対象、加工作業の単価、及び加工費の演算方法等である。指定された抽出条件、及び演算条件は、送信要求に格納されてサーバー20に送信される。図24のS421以降では、このような送信要求に対応するための一連の処理が実行される。
【0164】
S421では、制御部21は、送信要求に格納された抽出条件、及び演算条件に沿って、抽出条件、及び演算条件を設定する。ここで設定される演算条件の内容は、送信要求に格納された演算条件の内容と同じか、或いはほぼ同じである。しかし、抽出条件の内容は、通常、送信要求に格納された抽出条件の内容の情報量よりも大きいものである。これは、データベースから溶接長等の必要な情報を取得する必要がある、演算条件によって抽出条件で指定されていない他の情報が必要になる場合がある、等の理由からである。例えば部位として大梁が指定され、梁全体の溶接長に対する大梁全体の溶接長の割合の算出が指定された場合、大梁以外の梁の情報も抽出対象となる。
【0165】
S421の次に移行するS422では、制御部21は、設定した抽出条件に沿って必要な情報を抽出する。続くS423では、制御部21は、演算対象の演算を行う。この演算対象は、図22に一例を示す外注見積表表示画面では、各鉄骨製品では完全溶け込み溶接長、部分溶け込み溶接長、及び金額が含まれ、合計では、総重量の累算値、完全溶け込み溶接長の累算値、部分溶け込み溶接長の累算値、及び金額の累算値が含まれる。これらを算出する演算が終了した後はS424に移行する。
【0166】
S424では、制御部21は、S422で抽出した情報の一部、及びS423での演算結果を配置した見積表画面(ページ)を生成する。その後、S425に移行して、制御部21は、生成した見積表画面を通信部23によりユーザー端末10宛てに送信させる。この送信後に上記S401に戻る。
【0167】
全体処理では、上記のように、ユーザー端末10から受信された要求の種類を判定し、その判定結果に応じて、受信された要求に対応するための処理が実行される。それにより、制御部21上には、図15に例を示す各部701~709が実現され、鉄骨製品の製造に係わる進捗の管理、及びその管理結果の見える化等が可能になる。
【0168】
図19に例を示す実況表示画面のような随時、更新する必要のある画面を表示させているユーザー端末10が存在する場合、制御部21は、その画面を必要に応じて生成して送信させる。その画面の生成、及び送信は、例えば割り込み処理により行われる。このことから、その画面の生成、及び送信のための処理は全体処理内に含まれていない。
【0169】
なお、第2実施形態では、進捗状況情報の保存に明細ファイルを利用しているが、進捗状況情報の保存用の格納領域を別に確保し、確保した格納領域に進捗状況情報を保管するようにしてもよい。このこともあり、進捗状況情報の保存の仕方は特に限定されない。進捗状況情報を構成する情報についても特に限定されるものではない。それらは何れも、様々な変形が可能である。
【0170】
進捗状況の特定では、進捗処理要求が進捗状況の移行を表していることから、その進捗処理要求を送信させた担当者の担当製造工程を終了した製造工程としている。しかし、鉄骨製品、部品、及び部材がそれぞれ、その種類により製造工程の順序が固定されているような場合、担当者の担当製造工程を確認することなく、それまでの進捗状況から終了した進捗状況を特定するようにしてもよい。また、比較的に時間を要する製造工程、例えば溶接工程では、溶接工程の作業開始時、及びその作業終了時にそれぞれ進捗処理要求を送信させるようにして、より詳細に製造工程の進捗状況を管理するようにしてもよい。つまり、通常、一つに区分される製造工程を複数の進捗状況で管理するようにしてもよい。
【0171】
また、進捗状況の管理のために、各種明細ファイルの登録を行わせるようにしているが、各種明細ファイルの登録以外の形での必要な情報入力により、進捗状況の管理を可能にさせてもよい。このことから、進捗状況の管理を可能にする情報の入力、言い換えれば、受注した物件における鉄骨の設計結果の扱い方にも、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0172】
10 ユーザー端末、11 制御部、12 記憶部、13 通信部、14 表示部、15 操作受付部、20 サーバー、21 制御部、22 記憶部、23 通信部、211 取得部、212 受付部、213 生成部、214 出力部、215 図面表示部、216 順位付部、217 通知部、218 警告表示部、30 設計システム、31 制御部、32 記憶部、33 通信部、41 発注・進捗管理機能、42 管理結果提示機能、500 受注製造会社、510 設計部門、520 発注部門、530 製造部門、531 加工組立工場、532 検査部署、535 鉄骨製品、540 塗装部門、550 出荷部門、610 鋼材販売業者、620 外注企業、625 納品製品、701 設定部、702 ファイル登録部、703 認証部、704 発注処理部、705 進捗処理部、706 位置特定部、707 出来高算出部、708 加工費算出部、709 ページ生成部、801 社員情報格納部、802 明細ファイル格納部、803 加工図ファイル格納部。

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