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特開2023-46214噴霧式再加熱型蒸気反応装置及びそれを使用した発電設備
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  • 特開-噴霧式再加熱型蒸気反応装置及びそれを使用した発電設備 図1
  • 特開-噴霧式再加熱型蒸気反応装置及びそれを使用した発電設備 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046214
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】噴霧式再加熱型蒸気反応装置及びそれを使用した発電設備
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/02 20060101AFI20230327BHJP
   F22B 1/28 20060101ALI20230327BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230327BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20230327BHJP
   H02S 10/00 20140101ALI20230327BHJP
【FI】
F22B1/02 Z
F22B1/28 Z
H02J3/38 130
H02J15/00 H
H02J15/00 D
H02S10/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029610
(22)【出願日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】110135040
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】513092545
【氏名又は名称】太陽光電能源科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BIG SUN ENERGY TECHNOLOGY INC.
【住所又は居所原語表記】No. 458-9, Sinsing Rd., Hukou Township, Hsinchu County 303, Taiwan
(71)【出願人】
【識別番号】511271982
【氏名又は名称】羅 家慶
【氏名又は名称原語表記】CHIA CHING LUO
【住所又は居所原語表記】No. 458-9, Sinsing Rd., Hukou Township, Hsinchu County 303, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】羅 家慶
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
5G066
【Fターム(参考)】
5F151JA30
5F251JA30
5G066HA13
5G066HB06
5G066HB08
5G066JB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】霧状液体を噴霧し、液体を多段階に加熱して、高温蒸気を生成して蒸気発電機に提供して発電する噴霧式再加熱型蒸気反応装置及びそれを使用した発電設備を提供する。
【解決手段】噴霧式再加熱型蒸気反応装置が、保温炉と、保温炉に設置される蒸気反応炉と、蒸気反応炉を保温炉外部に連通し、高熱容量材料を保温炉中に収容するとともに蒸気反応炉及び再加熱管路を包囲する再加熱管路と、高熱容量材料を加熱するヒータと、蒸気反応炉中に設置される噴霧器と、保温炉の構造壁及び蒸気反応炉の構造壁を通過し噴霧器に連通して、液体を外界から噴霧器に供給する液体供給管であって、噴霧器が液体を霧状に噴霧し高熱容量材料の熱エネルギーを吸収して低温蒸気を生成し、低温蒸気が再加熱管路に進入し高温蒸気に加熱されて吐出される、液体供給管と、を含む。発電設備もまた提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保温炉と、
前記保温炉中に設置される蒸気反応炉と、
前記蒸気反応炉を前記保温炉外部に連通する再加熱管路であって、高熱容量材料が前記保温炉中に収容されるとともに前記蒸気反応炉及び前記再加熱管路を包囲する、前記再加熱管路と、
前記高熱容量材料を加熱するヒータと、
前記蒸気反応炉中に設置される噴霧器と、
前記保温炉の構造壁及び前記蒸気反応炉の構造壁を通過して前記噴霧器に連通し、液体を外界から前記噴霧器に供給する液体供給管であって、前記噴霧器は前記液体を霧状に噴霧するとともに前記高熱容量材料の熱エネルギーを吸収して低温蒸気を生成し、前記低温蒸気は前記再加熱管路に進入して高温蒸気に加熱され吐出される、前記液体供給管と、
を有することを特徴とする噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項2】
前記蒸気反応炉は、片側に偏ったテーパー形チャネルを有し、前記再加熱管路の第1端部に連通して、前記低温蒸気を前記再加熱管路にガイドすることを特徴とする請求項1記載の噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項3】
前記再加熱管路は、螺旋状管路であり、複数の螺旋湾曲部を有し、前記螺旋湾曲部は、全て前記高熱容量材料中に没入され、前記低温蒸気が前記再加熱管路中において前記高熱容量材料の前記熱エネルギーを引き続き吸収して前記高温蒸気となすことを特徴とする請求項2記載の噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項4】
前記再加熱管路の一部が前記保温炉中に設けられるとともに、第1端部及び第2端部を有し、前記第1端部は前記蒸気反応炉に連通し、前記第2端部は前記保温炉の前記構造壁を貫通して前記保温炉の外部に到達することを特徴とする請求項1記載の噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項5】
前記高熱容量材料が液体状に加熱され、且つ温度は450から580℃であり、且つ前記高熱容量材料の上方には膨張空間を残し、前記再加熱管路の前記第2端部が前記膨脹空間から前記保温炉の前記構造壁を貫通し前記保温炉の外部に到達することを特徴とする請求項4記載の噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項6】
選択的に前記保温炉の内部に連通し、回収蒸気を前記保温炉に回収して再加熱する蒸気回収管路を更に含むことを特徴とする請求項1記載の噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項7】
太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電装置と、
前記ヒータが前記電気エネルギーを熱エネルギーに変換して、前記高熱容量材料を加熱する、請求項1記載の噴霧式再加熱型蒸気反応装置と、
前記再加熱管路に連通するとともに、前記高温蒸気を受けて発電した後に回収蒸気を生成する蒸気発電機と、
を含むことを特徴とする発電設備。
【請求項8】
前記回収蒸気が前記噴霧式再加熱型蒸気反応装置の蒸気回収管路を通過して前記保温炉に回収されて再加熱されることを特徴とする請求項7記載の発電設備。
【請求項9】
蒸気貯蔵装置を更に含み、前記蒸気発電機が前記蒸気貯蔵装置を介して前記再加熱管路に連通することを特徴とする請求項7記載の発電設備。
【請求項10】
前記太陽光発電装置と前記噴霧式再加熱型蒸気反応装置と電力系統とに連接して電力を管理し、前記太陽光発電装置が生産装置上方に設置される電力管理装置と、
前記蒸気発電機に連通して、前記回収蒸気を凝縮して凝縮液体を生成する蒸気凝縮装置と、
前記液体を提供する液体供給源と、
前記蒸気凝縮装置と前記生産装置に連通して、水力を管理する水力管理装置と、
を更に含むことを特徴とする請求項7記載の発電設備。
【請求項11】
前記生産装置は農作物生産装置であり、前記水力管理装置は選択的に前記凝縮液体を前記生産装置中に提供して前記生産装置の環境の加温効果を向上させることを特徴とする請求項10記載の発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気反応装置及びそれを使用した発電設備に関し、特に、噴霧式再加熱型蒸気反応装置及びそれを使用した発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電は、省エネ、二酸化炭素削減の技術である。太陽電池を介して光エネルギーを電気エネルギーに転換することができるが、しかし太陽光発電は太陽の照射時間に制限される。夜間時、太陽光発電は何ら作用することがない。太陽電池の著しい発展に伴い、各地区に設置された太陽光発電設備もまた次第に増加しており、昼間に非常に多くの電力を地域電力供給システムの全てに提供することができる。これにより、遠くない将来、昼間、太陽光発電設備が生成する電力は過剰となる可能性がある。この場合、電池により電気エネルギーを蓄えることができるが、これら電池は価格が高いのではなく、効率が低く且つ環境汚染をもたらす。
【0003】
この他、従来のボイラーは火力を利用してボイラー中の水を加熱し水蒸気を発生させることにより蒸気発電機は発電を行っていた。しかし、ボイラーの監視制御をしっかりと行わなければ、ボイラーの爆発が容易に発生する恐れがある。
【0004】
従って、安全であり、安定したエネルギー蓄積方法及びエネルギー変換方法を如何に提供するかが本発明が解決しようとする課題である。本発明は、本願出願人のUS 10,256,636 B2に開示した噴霧式保温型蒸気供給装置及びそれを使用した発電設備をさらに改良したものであり、更に安定した高温蒸気を蒸気発電機に供給して発電する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、噴霧式再加熱型蒸気反応装置及びそれを使用した発電設備を提供することであり、霧状液体を噴霧し、液体を多段階に加熱して、高温蒸気を生成して蒸気発電機に提供して発電する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、噴霧式再加熱型蒸気反応装置を提供する。前記蒸気反応装置は、保温炉と、保温炉中に設置される蒸気反応炉と、蒸気反応炉を保温炉外部に連通する再加熱管路であって、高熱容量材料が保温炉中に収容されるとともに、前記蒸気反応炉及び前記再加熱管路を包囲する、前記再加熱管路と、高熱容量材料を加熱するヒータと、蒸気反応炉中に設置される噴霧器と、保温炉の構造壁及び蒸気反応炉の構造壁を通過して噴霧器に連通され、液体を外界から噴霧器に供給する液体供給管であって、前記噴霧器が液体を霧状に噴霧し、高熱容量材料の熱エネルギーを吸収して低温蒸気を生成し、低温蒸気が再加熱管路に進入して加熱されて高温蒸気となり吐出される、前記液体供給管と、を含む。
【0007】
本発明はまた発電設備を提供し、前記発電設備は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電装置と、ヒータが電気エネルギーを熱エネルギーに変換して高熱容量材料を加熱する前記噴霧式再加熱型蒸気反応装置と、再加熱管路に連通して、高温蒸気を受けて発電した後回収蒸気を生成する蒸気発電機とを含む。
【0008】
前記の実施例により、保温炉の気化に加えて加熱管路の再加熱により、高熱容量材料の温度に近い高温蒸気を有効且つ安定して蒸気発電機に提供して発電効率及び高熱容量材料の熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に基づく発電設備の概略図である。
図2図1の噴霧式再加熱型蒸気反応装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
図1は、本発明の実施例に基づく発電設備の概略図である。図1に示すように、本実施例は、太陽光発電装置60と、噴霧式再加熱型蒸気反応装置10と、蒸気発電機30と、を含む発電設備100を提供する。
【0011】
図2は、図1の噴霧式再加熱型蒸気反応装置10の概略図である。図2図1に示すように、噴霧式再加熱型蒸気反応装置10は、保温炉11と、蒸気反応炉12と、再加熱管路13と、噴霧器14と、液体供給管15と、ヒータ16とを含む。
【0012】
保温炉11には、断熱または熱絶縁材料を含むことが好ましく、保温炉11の構造壁11A中に設けて、保温炉11内の熱エネルギーが外部環境に発散することを減少できる。熱絶縁材料は、熱流伝達を妨げることができ、例えば、ガラスファイバー、石綿、岩綿、シリケート、エアロゲル断熱ブランケット、バキュームプレートなどである。
【0013】
蒸気反応炉12は、保温炉11中に設置される。再加熱管路13は、熱交換管であり、蒸気反応炉12を保温炉11外部、例えば蒸気貯蔵装置20または蒸気発電機30に連通する。高熱容量材料17は保温炉11中に収容されるとともに、蒸気反応炉12及び再加熱管路13を包囲する。一実施例において、蒸気反応炉12はステンレス製の槽体を含む。
【0014】
ヒータ16は、高熱容量材料17を加熱し、保温炉11の内部または外部に設置することができる。噴霧器14は、蒸気反応炉12中に設置される。液体供給管15は、保温炉11の構造壁11A及び蒸気反応炉12の構造壁12Bを通過して噴霧器14に連通され、液体LQを外界から噴霧器14に供給する。噴霧器14は、液体LQを霧状に噴霧するとともに高熱容量材料17の熱エネルギーを吸収して低温蒸気LVを生成する。低温蒸気LVは、再加熱管路13に導入され高温蒸気HVになるように加熱され吐出される。
【0015】
例において、高熱容量材料17は、硝酸塩を含み、例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム又は亜硝酸ナトリウムである。別の例において、高熱容量材料17は、多成分混合の硝酸塩であり、例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム及び亜硝酸ナトリウムからなる4種混合の硝酸塩であり、試料質量配合比がNaNO:KNO:LiNO:NaNO=0.23:0.407:0.106:0.257である場合、4種混合塩類の融点は、92℃という低い温度であり、沸点が559.3℃の硝酸塩である。質量比及び種類(2種または3種成分)を調整することにより、異なる融点及び沸点の多成分混合硝酸塩が製造可能であり、融点範囲が87~97℃の間であり、沸点範囲が540~580℃の間である。
【0016】
本実施例において、電磁加熱方式を利用して高熱容量材料17を加熱するので、保温炉11の構造壁11Aの全部又は一部は、導磁性材料(例えば、鉄)を採用して製造されてもよく、又は加熱効率を向上させるために、電磁加熱される範囲16A内の構造壁11Aの一部は断熱材料を使用しなくてもよく、故に、この場合の構造壁11Aは複数の異なる材質の部分を有する。電磁加熱方式は、構造壁11Aを貫通することなく、高熱容量材料17に対して非接触式加熱を提供することができ、且つ加熱温度は物理の加熱管の動作温度に制限されない。例えば、ヒータ16の加熱パワーは、高熱容量材料17を液体状に加熱するように制御することができ、且つ温度が450~580℃の間、特に、500~600℃の間である。別の実施例において、ヒータ16は保温炉11に接続されることにより高熱容量材料17を加熱する。高熱容量材料17の熱エネルギーは蒸気反応炉12の構造壁12Bを通過して蒸気反応炉12中に伝達される。ヒータ16は、ステンレス電気加熱管を採用し、金属管を外ケースとし管内中心軸に沿ってネジ巻き状電熱合金線(ニクロム、鉄クロム合金)が設けられ、その隙間に良好な絶縁熱伝導性を有する砂状酸化マグネシウムが圧縮されて充填され、管口両端は、シリコン又はセラミックにより密封される。ステンレス電気加熱管の熱効率は高く、使用において便利であり取り付けが簡単で、環境を汚染することなく、各種加熱用途に広く用いられている。
【0017】
実施例において、標準コンテナを保温炉11の主要部分として使用し、断熱材料を標準コンテナの内ケース及び外ケースに付着させ、又は標準コンテナのケース中に充填して、保温の効果を提供することができる。蒸気反応炉12は、保温炉11内部の右側に近く、再加熱管路13は保温炉11内部の左側に近く、従って、蒸気反応炉12を片側に偏った(本実施例では、右下側から左上側に偏る)テーパー形チャネル12Aのように設計することができ、蒸気を左上に向けて射出するノズルチャネルを提供し、再加熱管路13の第1端部13Aに連通し、低温蒸気LVを再加熱管路13にガイドする。
【0018】
再加熱管路13は、螺旋状管路に設計され、複数の螺旋湾曲部13Cを有し、これら螺旋湾曲部13Cは全て高熱容量材料17中に没入(浸漬)して、低温蒸気LVが再加熱管路13において高熱容量材料17の熱エネルギーを継続して吸収し高温蒸気HVになる。本実施例において、高熱容量材料17の熱エネルギーは、上下に取り囲み且つ左側に延伸する螺旋状管路を介して蒸気を加熱し加速する管道に提供することができる。この他、再加熱管路13の一部が保温炉11中に設けられるとともに第1端部13A及び第2端部13Bを有し、第1端部13Aが蒸気反応炉12に連通し、第2端部13Bが保温炉11の構造壁11Aを貫通して保温炉11の外部に到達する。この他、高熱容量材料17の上方に膨張空間11Bを残しておき、膨張空間11Bは高熱容量材料17の膨張用に提供され、また再加熱管路13の第2端部13Bが膨張空間11Bから保温炉11の構造壁11Aを貫通して保温炉11の外部に達し、高熱容量材料17が第2端部13Bに圧力を与えないように、又は高熱容量材料17が第2端部13Bと保温炉11の接続箇所から漏れるリスクを防止する。
【0019】
非限定的な実施例では、溶融塩(高熱容量材料)を約560℃に加熱し、水(液体LQ)をミスト状で蒸気反応炉12に噴霧して、100℃~120℃の低温蒸気LVを生成し、再加熱管路13の複数の螺旋湾曲部13Cを通過して、低温蒸気LVを、例えば、150℃、250℃、350℃、450℃まで徐々に上昇させ、最後に、出口に近い第2端部13Bの高温蒸気HVの温度を溶融塩の温度560℃に近づける。水は純水又は純水に近い水が好ましい。その他の実施例においても、その他の液体により加熱することができる。
【0020】
任意選択で、噴霧式再加熱型蒸気反応装置10は、保温炉11内の圧力が高くなりすぎることを防ぐために、保温炉11の内側と外側を選択的に連通し、保温炉11上に配置された安全弁18をさらに含む。蒸気反応炉12は、下部チャンバ12D、中間チャンバ12C、および上部チャンバ(テーパー形チャネル12A)を有する。下部チャンバ12Dは、テーパー形チャンバであり、テーパー面12Eを有する。液体供給管15は、下部チャンバ12Dを通過して中間チャンバ12Cに進入し、噴霧器14は中間チャンバ12C中に位置し、噴出する霧水は下部チャンバ12D、中間チャンバ12C及び/又は上部チャンバ中で気化することができ、気化されなかった霧水も、高温のテーパー面12Eに落ちて迅速に気化される。最後に、水蒸気が上部チャンバを通過して再加熱管路13に進入する。
【0021】
また、任意選択で、噴霧式再加熱型蒸気反応装置10は、保温炉11の内部に選択的に連通し、回収蒸気RVを保温炉11に回収して再加熱する蒸気回収管路19をさらに含む。蒸気回収管路19は、中間チャンバ12C中に位置してもよいし、テーパー形チャネル12A中又は下部チャンバ12D中に位置してもよく、且つ蒸気が逆流しないように逆止弁を含むことができる。更に、再加熱管路の再加熱効率を利用して、蒸気反応炉の設計を簡略化することができ、例えば、US 10、256、636 B2が提供する皺状の分離層が必要なく、蒸気反応炉の構造壁はいずれも非常に簡単な構造である。
【0022】
非限定的な実施例において、蒸気反応炉12は圧力安全弁を設置する必要がない。なぜなら保温炉内の圧力が大きすぎる場合、液体供給管の液体が保温炉中に噴出することができないので、液体源を自動的に切断する効果を有し、液体が蒸気反応炉の内チャンバに進入することがなければ、膨張して爆発する恐れがない。従って、前記保温炉及び蒸気反応炉は非常に安全である。
【0023】
液体供給管15の材質は、金属または断熱材料により製作され、且つ液体供給管15中の水が液体供給管15内で気化して危険が発生しないように、液体供給管15は高熱容量材料17と直接接触しないことが好ましい。
【0024】
発電設備100において、太陽光発電装置60は太陽エネルギーを電気エネルギーに変換し、例えば、固定式太陽エネルギー電池モジュール又は太陽追尾式太陽エネルギー電池モジュールである。ヒータ16は電気エネルギーを熱エネルギーに変換して、高熱容量材料17を加熱する。蒸気発電機30は、例えば蒸気タービン発電機であり、再加熱管路13に連通するとともに、高温蒸気HVを受けて発電した後、回収蒸気RVを生成する。回収蒸気RVは噴霧式再加熱型蒸気反応装置10の蒸気回収管路19を通過して保温炉11に回収されて再加熱され、繰り返し循環する。
【0025】
また、任意選択で、発電設備100は、蒸気貯蔵装置20をさらに含み、例えば、蒸気貯蓄槽であり、蒸気発電機30は、蒸気貯蔵装置20を通過して再加熱管路13に連通する。
【0026】
また、任意選択で、発電設備100は、電力管理装置70と、蒸気凝縮装置40と、液体供給源80と、水力管理装置90とをさらに含む。
【0027】
電力管理装置70は、太陽光発電装置60と、噴霧式再加熱型蒸気反応装置10と、電力系統200とに電気的に接続され、電力管理を提供する。例えば、電力管理装置70は、制御器、インバータ等を含み、太陽光発電装置60が電気エネルギーの生成を停止した時、噴霧式再加熱型蒸気反応装置10が高温蒸気を蒸気貯蔵装置20に供給して発電を行うように制御することができ、また、太陽光発電装置60が電力系統200に送電する又は噴霧式再加熱型蒸気反応装置10が加熱するように制御することもできる。蒸気発電機30が電力系統200に電気的に接続できる、また電力管理装置70により電力系統200に電気的に接続できることも理解できる。蒸気凝縮装置40は、回収蒸気RVを凝縮して凝縮液体CLを生成するために蒸気発電機30に連通されている。液体供給源80は液体LQを供給する。水力管理装置90は、制御器と、制御弁等を含むとともに、蒸気凝縮装置40及び生産装置50に連通され、水力を管理する。
【0028】
本実施例において、太陽光発電装置60は生産装置50上方に設置される。生産装置50は、例えば農作物生産装置であり、水力管理装置90は選択的に凝縮液体CLを生産装置50に提供して、生産装置50の環境の加温効果を向上させ、寒波による農作物の被害を避ける。この他、水力管理装置90は、逆浸透軟水機を含み、凝縮液体CLを軟化処理して、軟水を得て、噴霧式再加熱型蒸気反応装置10に供給して再利用する。水力管理装置90はまた逆止弁、三方弁など流体制御装置も含み、選択的な水力流動管理を提供する。
【0029】
前記実施例の噴霧式再加熱型蒸気反応装置及びそれを使用した発電設備により、日照時の太陽光発電装置が生成した電力が過剰な場合は、電力管理装置は太陽光発電装置の電力をヒータに供給して高熱容量材料を加熱するように制御する。日照がない場合は、電力管理装置は、液体供給源を制御して液体を蒸気反応炉の内チャンバ中に供給して蒸気を生成し、蒸気発電機に蒸気を利用して発電させることができ、これにより電力の最適化された分配ができる。この他、保温炉の気化に加えて再加熱管路の再加熱により、高熱容量材料の温度に近い高温蒸気を蒸気発電機に効率よく安定して提供し、発電効率及び高熱容量材料の熱効率を向上させることができる。
【0030】
例及び好ましい実施形態により本発明を説明したが、本発明は、これらに限定されない。本発明には、様々な変形が含まれる。したがって、添付する特許請求の範囲は、そのようなすべての変更を包含するように、最も広い解釈を与えられるべきである。
【符号の説明】
【0031】
CL 凝縮液体
HV 高温蒸気
LQ 液体
LV 低温蒸気
RV 回収蒸気
10 噴霧式再加熱型蒸気反応装置
11 保温炉
11A 構造壁
11B 膨張空間
12 蒸気反応炉
12A テーパー形チャネル
12B 構造壁
12C 中間チャンバ
12D 下部チャンバ
12E 高温のテーパー面
13 再加熱管路
13A 第1端部
13B 第2端部
13C 螺旋湾曲部
14 噴霧器
15 液体供給管
16 ヒータ
16A 範囲
17 高熱容量材料
18 安全弁
19 蒸気回収管路
20 蒸気貯蔵装置
30 蒸気発電機
40 蒸気凝縮装置
50 生産装置
60 太陽光発電装置
70 電力管理装置
80 液体供給源
90 水力管理装置
100 発電設備
200 電力系統
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保温炉と、
前記保温炉中に設置される蒸気反応炉と、
前記蒸気反応炉を前記保温炉外部に連通する再加熱管路であって、高熱容量材料が前記保温炉中に収容されるとともに、前記高熱容量材料が前記蒸気反応炉及び前記再加熱管路を直接的に包囲する、前記再加熱管路と、
前記高熱容量材料を加熱するヒータと、
前記蒸気反応炉中に設置される噴霧器と、
前記保温炉の構造壁及び前記蒸気反応炉の構造壁を通過して前記噴霧器に連通し、液体を外界から前記噴霧器に供給する液体供給管であって、前記噴霧器は前記液体を霧状に噴霧するとともに前記高熱容量材料の熱エネルギーを吸収して低温蒸気を生成し、前記低温蒸気は前記再加熱管路に進入して高温蒸気に加熱され吐出される、前記液体供給管と、
を有し、
前記蒸気反応炉は、片側に偏ったテーパー形チャネルを有し、前記再加熱管路の第1端部に連通して、前記低温蒸気を前記再加熱管路にガイドする、ことを特徴とする噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項2】
前記再加熱管路は、螺旋状管路であり、複数の螺旋湾曲部を有し、前記螺旋湾曲部は、全て前記高熱容量材料中に没入され、前記低温蒸気が前記再加熱管路中において前記高熱容量材料の前記熱エネルギーを引き続き吸収して前記高温蒸気となすことを特徴とする請求項1記載の噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項3】
前記再加熱管路の一部が前記保温炉中に設けられ、かつ前記再加熱管路が第2端部を有し、前記第1端部は前記蒸気反応炉に連通し、前記第2端部は前記保温炉の前記構造壁を貫通して前記保温炉の外部に到達することを特徴とする請求項1記載の噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項4】
保温炉と、
前記保温炉中に設置される蒸気反応炉と、
前記蒸気反応炉を前記保温炉外部に連通する再加熱管路であって、高熱容量材料が前記保温炉中に収容されるとともに、前記高熱容量材料が前記蒸気反応炉及び前記再加熱管路を直接的に包囲する、前記再加熱管路と、
前記高熱容量材料を加熱するヒータと、
前記蒸気反応炉中に設置される噴霧器と、
前記保温炉の構造壁及び前記蒸気反応炉の構造壁を通過して前記噴霧器に連通し、液体を外界から前記噴霧器に供給する液体供給管であって、前記噴霧器は前記液体を霧状に噴霧するとともに前記高熱容量材料の熱エネルギーを吸収して低温蒸気を生成し、前記低温蒸気は前記再加熱管路に進入して高温蒸気に加熱され吐出される、前記液体供給管と、
を有し、
前記再加熱管路の一部が前記保温炉中に設けられるとともに、第1端部と第2端部を有し、前記第1端部は前記蒸気反応炉に連通し、前記第2端部は前記保温炉の前記構造壁を貫通して前記保温炉の外部に到達し、
前記高熱容量材料が液体状に加熱され、且つ温度は450から580℃であり、且つ前記高熱容量材料の上方には膨張空間を残し、前記再加熱管路の前記第2端部が前記膨脹空間から前記保温炉の前記構造壁を貫通し前記保温炉の外部に到達することを特徴とする噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項5】
保温炉と、
前記保温炉中に設置される蒸気反応炉と、
前記蒸気反応炉を前記保温炉外部に連通する再加熱管路であって、高熱容量材料が前記保温炉中に収容されるとともに、前記高熱容量材料が前記蒸気反応炉及び前記再加熱管路を直接的に包囲する、前記再加熱管路と、
前記高熱容量材料を加熱するヒータと、
前記蒸気反応炉中に設置される噴霧器と、
前記保温炉の構造壁及び前記蒸気反応炉の構造壁を通過して前記噴霧器に連通し、液体を外界から前記噴霧器に供給する液体供給管であって、前記噴霧器は前記液体を霧状に噴霧するとともに前記高熱容量材料の熱エネルギーを吸収して低温蒸気を生成し、前記低温蒸気は前記再加熱管路に進入して高温蒸気に加熱され吐出される、前記液体供給管と、
前記保温炉の内部に連通し、回収蒸気を前記保温炉に回収して再加熱する蒸気回収管路を含むことを特徴とする噴霧式再加熱型蒸気反応装置。
【請求項6】
太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電装置と、
前記ヒータが前記電気エネルギーを熱エネルギーに変換して、前記高熱容量材料を加熱する、請求項1又は請求項4記載の噴霧式再加熱型蒸気反応装置と、
前記再加熱管路に連通するとともに、前記高温蒸気を受けて発電した後に回収蒸気を生成する蒸気発電機と、
を含むことを特徴とする発電設備。
【請求項7】
前記回収蒸気が前記噴霧式再加熱型蒸気反応装置の蒸気回収管路を通過して前記保温炉に回収されて再加熱されることを特徴とする請求項6に記載の発電設備。
【請求項8】
蒸気貯蔵装置を更に含み、前記蒸気発電機が前記蒸気貯蔵装置を介して前記再加熱管路に連通することを特徴とする請求項6に記載の発電設備。
【請求項9】
前記太陽光発電装置と前記噴霧式再加熱型蒸気反応装置と電力系統とに連接して電力を管理し、前記太陽光発電装置が生産装置上方に設置される電力管理装置と、
前記蒸気発電機に連通して、前記回収蒸気を凝縮して凝縮液体を生成する蒸気凝縮装置と、
前記液体を提供する液体供給源と、
前記蒸気凝縮装置と前記生産装置に連通して、水力を管理する水力管理装置と、
を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の発電設備。
【請求項10】
前記生産装置は農作物生産装置であり、前記水力管理装置は前記凝縮液体を前記生産装置中に提供して前記生産装置の環境の加温効果を向上させることを特徴とする請求項9に記載の発電設備。