(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046239
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】型枠装置
(51)【国際特許分類】
E04G 17/00 20060101AFI20230327BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
E04G17/00 E
E04G21/16
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094386
(22)【出願日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】110135145
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522075427
【氏名又は名称】王 建和
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 建和
【テーマコード(参考)】
2E150
2E174
【Fターム(参考)】
2E150BA32
2E150BA52
2E150BA53
2E150BA62
2E150BA72
2E150DA14
2E150GA14
2E174AA04
2E174BA01
2E174DA34
2E174DA63
(57)【要約】
【課題】回転駆動の回転軸方向を変換する転向連結機構を備えた型枠装置を提供する。
【解決手段】型枠と型枠に取り付けられる転向連結機構とを備えた型枠装置であって、型枠8は、板体81と、型枠本体82とを有し、型枠本体82には、挿通孔821と、螺合穴822と、が形成されており、転向連結機構は、型枠本体82に固定されている保持手段と、第1の軸線補に延伸する入力軸及び第1の軸線に直交する第2の軸線L2に延伸する出力軸を有し、保持手段に保持される駆動軸転向手段と、駆動軸転向手段は、出力軸により回転駆動可能に保持手段に保持される第1の連結具を備えることにより、入力軸が第1の軸線を回転軸として回転駆動される際、出力軸の連動により第1の連結具は第2の軸線L2を回転軸として回転する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠と前記型枠に取り付けられる転向連結機構とを備えた型枠装置であって、
前記型枠は、板体と、前記板体の一面に取り付けられる型枠本体と、を有し、且つ、前記型枠本体には、前記型枠本体の所定の表面に開口を有するように前記型枠本体を貫通する挿通孔と、前記表面に開口を有するように前記型枠本体に凹設されている螺合穴と、が形成されており、
前記転向連結機構は、
前記挿通孔に隣接するように前記型枠本体に固定されている保持手段と、
入力軸及び出力軸を有する駆動軸転向手段と、
前記駆動軸転向手段の前記出力軸により回転駆動可能に前記保持手段に保持される第1の連結具と、を備えており、
前記駆動軸転向手段の前記入力軸は、
両端に入力端部と第1の噛合端部とをそれぞれ有するよう、前記表面に略平行する第1の軸線に沿って延伸し、且つ、前記第1の軸線を回転軸として回転可能に前記保持手段に保持されており、
前記出力軸は、前記入力軸の前記第1の噛合端部と噛み合う第2の噛合端部と出力端部とをそれぞれ有するよう、前記第1の軸線に略直交する第2の軸線に沿って延伸し、且つ、前記第2の軸線を回転軸として回転可能に前記保持手段に保持されており、
前記第1の連結具は、
前記第2の軸線に沿って移動可能、且つ、前記出力軸の前記出力端部により前記第2の軸線を回転軸として回転駆動されるように前記出力軸に取り付けられる受動部材と、
前記受動部材から所定の一部まで、前記第2の軸線に沿って更に延伸する位置決め部と、
前記第1の位置決め部から更に前記第2の軸線に沿って延伸し、且つ、前記螺合穴にねじ込み可能なネジ山が形成されている第1の螺合部と、を有する上、
前記第2の軸線に沿って、
前記第1の位置決め部及び前記第1の螺合部が前記型枠に形成される前記挿通孔を挿通して前記第1の螺合部及び前記第1の位置決め部の前記所定の一部が前記挿通孔外に露出する前進位置と、前記第1の螺合部が前記挿通孔内に収容される後退位置と、の間に往復移動可能に構成されている、ことを特徴とする型枠装置。
【請求項2】
前記転向連結機構は、両端が前記保持手段と前記第1の連結具とに取り付けられ、前記第1の連結具に対し、前記後退位置へ移動させる付勢力を常に与える弾性手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の型枠装置。
【請求項3】
前記転向連結機構の前記保持手段は、前記駆動軸転向手段と前記第1の連結具の前記受動部材とが収容される収容空間を囲む筐体を有しており、
前記筐体には、前記第2の軸線に平行する案内溝が形成されており、
前記転向連結機構は、前記第1の連結具の前記受動部材に取り付けられる操作手段を更に備え、
前記操作手段は、前記第1の連結具の前記受動部材に対し、前記第2の軸線を回転軸として相対回転可能、且つ、前記第2の軸線に沿った相対移動が不可能に取り付けられるリング部と、前記リング部から突起して前記筐体に形成される前記案内溝を通過する係合突起と、を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の型枠装置。
【請求項4】
前記第1の連結具の前記受動部材は、
前記第2の軸線に沿って移動可能、且つ、前記出力軸の前記出力端部により前記第2の軸線を回転軸として回転駆動されるように前記出力軸に取り付けられるよう、中空に形成される後端スリーブと、
前記第1の位置決め部に接続されている前端スリーブと、
前記後端スリーブと前記前端スリーブとを接続する接続ユニットとにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の型枠装置。
【請求項5】
前記後端スリーブは、前記出力軸の前記出力端部により挿入される挿入空間を囲むように中空に形成されると共に、
前記出力軸の前記出力端部及び前記挿入空間は、いずれも前記第2の軸線に直交する断面形状が互いに嵌め合い可能な非円形であるように形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載の型枠装置。
【請求項6】
前記前端スリーブには、前記接続ユニットに向かって開口する挿入穴が形成されており、
前記接続ユニットは、前記後端スリーブに固定される固定端部と、前記前端スリーブに向かって突起して前記挿入穴に挿入する挿入端部と、を有するように形成されており、
前記挿入穴及び前記挿入端部は、いずれも前記第2の軸線に直交する断面形状が互いに嵌め合い可能な非円形であるように形成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の型枠装置。
【請求項7】
前記第1の位置決め部は、
前記受動部材に隣接する第1の大径部分から前記出力軸の反対側にある第1の小径部分まで、前記第2の軸線に沿って漸次狭まる錐台形状に形成されており、前記第1の小径部分は、前記第1の位置決め部の前記所定の一部に該当しており、
前記挿通孔は、前記第1の連結具の前記前端スリーブに対応して前記前端スリーブを受け入れて収容可能なスリーブ収容部と、前記第1の連結具の前記第1の大径部分に対応して、該第1の大径部分を受け入れると共に、該第1の大径部分の形状に対応する大径テーパ状孔部と、を有するように、前記第1の連結具に対応する形状に形成されており、
前記螺合穴は、前記挿通孔を挿通する前記第1の連結具とは異なる他の1つの前記第1の連結具の前記第1の螺合部と螺合するネジ穴部と、前記他の1つの前記第1の連結具の前記第1の小径部分に対応して該第1の小径部分を受け入れると共に、該第1の小径部分の形状に対応する小径テーパ状孔部と、を有するような形状に形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載の型枠装置。
【請求項8】
前記第1の大径部分と前記第1の小径部分とは、一体に形成されている、ことを特徴とする請求項7に記載の型枠装置。
【請求項9】
所定方向に沿って一端部から他端部まで延伸する略円柱体に形成されたヘッド部材と、
前記ヘッド部材の前記一端部から前記所定方向に沿って延伸し、前記ヘッド部材に隣接する第2の大径部分から前記ヘッド部材の反対側にある第2の小径部分まで、前記所定方向に沿って漸次狭まる錐台形状を有し、且つ、前記挿通孔を挿通可能に形成されている第2の位置決め部と、
前記第2の位置決め部から更に前記所定方向に沿って延伸し、且つ、前記螺合穴にねじ込み可能なネジ山が形成されている第2の螺合部と、を有する第2の連結具を更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の型枠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は型枠装置に関し、特に、建築用の型枠を連結して固定する型枠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、例えば建設工事のコンクリート打設の際用いられる仮設の型枠は、一枚の板材と横に延伸するように該一枚の板材に取り付けて補強する複数本のバタ角とを有する構成になっており、このような型枠を複数枚用意して連結具で連結して固定することにより、一枚の大きな型枠として利用できる発明が提案されている。
【0003】
また、型枠は、それぞれのバタ角の反対側にある面がコンクリートの打設に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、型枠のバタ角の反対側にある面はコンクリート打設面として用いられるので、複数枚の型枠を一枚の大きな型枠に組み立てる際、通常は面一にすることが理想的である。
【0006】
しかし、特許文献1に記載される技術では、複数枚の型枠を連結具で連結して固定する技術が開示されているものの、複数枚の型枠それぞれが有するコンクリート打設面を面一にする技術に関しては記載されていない。
【0007】
更に、連結具を用いて例えば2枚の型枠を水平方向に連結して固定する際、通常は利き手で連結具を回す手工具もしくは電動ドライバーを操作し、利き手ではない手で連結具を保持する姿勢で行うが、連結具を利き手の方向に押し込んで連結作業を実行する場合では、利き手で電動ドライバーを操作するのは不自然となり、利き手ではない反対側の手で連結具を保持する動きも困難である。無論、利き手ではない手で電動ドライバーを操作するやり方も考えられるが、高い技量が求められる。
【0008】
上記問題点に鑑みて、連結作業が困難であると各型枠のコンクリート打設面が面一になるという高水準な成果が期待しにくくなることを考慮して、本発明は楽な姿勢で連結具を操作できる型枠装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、
型枠と前記型枠に取り付けられる転向連結機構とを備えた型枠装置であって、
前記型枠は、板体と、前記板体の一面に取り付けられる型枠本体と、を有し、且つ、前記型枠本体には、前記型枠本体の所定の表面に開口を有するように前記型枠本体を貫通する挿通孔と、前記表面に開口を有するように前記型枠本体に凹設されている螺合穴と、が形成されており、
前記転向連結機構は、
前記挿通孔に隣接するように前記型枠本体に固定されている保持手段と、
入力軸及び出力軸を有する駆動軸転向手段と、
前記駆動軸転向手段の前記出力軸により回転駆動可能に前記保持手段に保持される第1の連結具と、を備えており、
前記駆動軸転向手段の前記入力軸は、
両端に入力端部と第1の噛合端部とをそれぞれ有するよう、前記表面に略平行する第1の軸線に沿って延伸し、且つ、前記第1の軸線を回転軸として回転可能に前記保持手段に保持されており、
前記出力軸は、前記入力軸の前記第1の噛合端部と噛み合う第2の噛合端部と出力端部とをそれぞれ有するよう、前記第1の軸線に略直交する第2の軸線に沿って延伸し、且つ、前記第2の軸線を回転軸として回転可能に前記保持手段に保持されており、
前記第1の連結具は、
前記第2の軸線に沿って移動可能、且つ、前記出力軸の前記出力端部により前記第2の軸線を回転軸として回転駆動されるように前記出力軸に取り付けられる受動部材と、
前記受動部材から所定の一部まで、前記第2の軸線に沿って更に延伸する第1の位置決め部と、
前記第1の位置決め部から更に前記第2の軸線に沿って延伸し、且つ、前記螺合穴にねじ込み可能なネジ山が形成されている螺合部と、を有する上、
前記第2の軸線に沿って、
前記第1の位置決め部及び前記螺合部が、前記型枠に形成される前記挿通孔を挿通して、前記螺合部及び前記第1の位置決め部の前記所定の一部が前記挿通孔外に露出する前進位置と、螺合部が前記挿通孔内に収容される後退位置と、の間に往復移動可能に構成されている、ことを特徴とする型枠装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
上記構成により、本発明の型枠装置における転向連結機構は、駆動軸転向手段で第1の連結具を駆動する構成を有するので、第1の連結具の延伸方向である第2の軸線方向と略直交する第1の軸線方向で駆動軸転向手段の入力軸を駆動すると、第1の軸線方向に延伸する入力軸の回転が第2の軸線方向に延伸する出力軸の回転に変換されて第1の連結具を回転駆動することができるので、作業者はより自然な姿勢で第1の連結具を回して型枠同士を連結することができる。これにより連結作業に求められる技量のレベルを下げられ、型枠同士をきれいに連結するという作業成果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の型枠装置の全体的構成が示される斜視図である。
【
図2】4つの本発明の型枠装置が連結される様子が示される説明図である。
【
図3】本発明の型枠装置における転向連結機構の外部構成が示される斜視図である。
【
図4】本発明の型枠装置における転向連結機構の内部構成が示される分解斜視図である。
【
図5】本発明の型枠装置における転向連結機構の内部構成が示される縦断面図である。
【
図6】
図5における第2の軸線L2に沿った一部断面図である。
【
図7】
図5におけるVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図5におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】本発明の型枠装置における転向連結機構が作動する様子が示される縦断面図である。
【
図10】本発明の型枠装置における転向連結機構が作動する様子が示される縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は各図面を参照して本発明の型枠装置について詳しく説明する。
【0013】
図1に示されるように、本発明の型枠装置は、型枠8と、型枠8に取り付けられる複数の転向連結機構10と、複数の第2の連結具9と、を備える。
【0014】
型枠8は、板体81と、板体81の一面(
図1における手前側の面)に取り付けられる型枠本体82と、を有する。
【0015】
型枠本体82には、型枠本体82の所定の表面に開口を有するように型枠本体82を貫通する挿通孔821と、該所定の表面に開口を有するように型枠本体82に凹設されている螺合穴822と、が形成されている。
【0016】
より具体的に説明すると、この実施形態において、板体81は板状体であり、型枠本体82が装着固定される型枠装着面811と、型枠装着面811の反対側にあって、建設工事のコンクリート打設に用いられるコンクリート打設面812と、を有する。また、この実施形態において、型枠8には該型枠8を搬送する機械と接続するためのフック手段83が装着されている。
【0017】
型枠本体82は、図中の左右に縦方向で延伸する1本ずつの縦枠部801と、図中の上下に横方向で延伸する1本ずつの横枠部802と、十字状に形成されて2本の縦枠部801と2の本横枠部802とを接続して支持するサポーター部803と、により構成されており、ここでは、各縦枠部801もしくは各横枠部802それぞれのサポーター部803側に臨む面を内側面とし、該内側面の反対側の面を外側面とし、この外側面は、上記所定の表面に該当する。
【0018】
すなわち、型枠本体82における各縦枠部801それぞれの外側面には、該縦枠部801を貫通する挿通孔821と、該外側面に開口を有する螺合穴822と、が形成されている。挿通孔821は対応する縦枠部801の外側面から内側面まで貫通するのに対して、この実施形態では、螺合穴822は外側面にのみ開口を有するが、螺合穴822を挿通孔821と同じように対応する縦枠部801を貫通する構成にすることも可能である。
【0019】
また、この実施形態において、型枠本体82における各横枠部802にも挿通孔821と螺合穴822とが形成されており、型枠本体82における各縦枠部801に形成される各挿通孔821の隣、すなわち対応の縦枠部801の内側面には、1つの転向連結機構10が配置されるのに対して、型枠本体82における各横枠部802に形成される各挿通孔821は、1つの第2の連結具9に対応し該第2の連結具9により挿通される構成になっている。
【0020】
更に、型枠本体82に形成される挿通孔821及び螺合穴822の数量に関しては、特に制限はなく、型枠8全体の寸法や求められる構造的強度に応じて適切に設定することができるが、挿通孔821の近くに螺合穴822が形成されることが好ましい。
【0021】
図2に示されるように、各転向連結機構10及び各第2の連結具9を用いて、例えば4つの本発明の型枠装置を連結することができる。
【0022】
すなわち、各転向連結機構10を利用し、図中の左右に隣接する2つの型枠装置の互いに向かい合う縦枠部801同士を連結し、そして各第2の連結具9を利用して、図中の上下に隣接する2つの型枠装置の互いに向かい合う横枠部802同士を連結することにより、1枚の大きな型枠として、建設工事のコンクリート打設に用いることができる。無論、
図2に示される4つの型枠装置に限らず、左右にも上下にも他の型枠装置を更に追加することができる。
【0023】
本発明において、型枠本体82における各横枠部802に形成される挿通孔821に対応する各転向連結機構10は、いずれも
図3~
図7に示される構成を有する。
【0024】
すなわち、転向連結機構10は、主に、対応する挿通孔821の内側面における開口に隣接するように、該横枠部802(型枠本体82)に固定されている保持手段1と、入力軸21及び出力軸22を有する駆動軸転向手段2と、駆動軸転向手段2の出力軸22により回転駆動可能に保持手段1に保持される第1の連結具3と、操作手段4と、弾性手段5と、を備えている。
【0025】
保持手段1は、駆動軸転向手段2と第1の連結具3の受動部材31とが収容される収容空間13を囲む筐体11を有する。
【0026】
具体的に説明すると、
図4に示されるように、筐体11は、収容空間13を囲むと共に、収容空間13に連通する前方開口111と後方開口112と上方開口113と案内溝114と下方開口115とが形成されている筐体本体110と、下方開口115を覆うように筐体本体110に取り付けられる下方蓋部12と、下方蓋部12を筐体本体110に固定するための複数のボルト14と、上方開口113を覆うように筐体本体110に取り付けられる上方蓋部15と、上方開口113の隣において設置されるバネ設置用突起16と、後方開口112を覆うように筐体本体110に取り付けられる後方蓋部17と、により構成される。
【0027】
上方開口113及び下方開口115は、第1の軸線L1において上下に互いに向かい合い、そして下方開口115は筐体本体110の下方側だけでなく、筐体本体110の側面側にも開口している。前方開口111と後方開口112は、第1の軸線L1に略直交する第2の軸線L2において前後に互いに向かい合う。また、筐体11の筐体本体110には、上方開口113の前側において第2の軸線L2に平行する案内溝114が形成されている。
【0028】
なお、ここでの上方、下方、前方、後方に関する呼称は、単に
図3及び
図4に対応するものであり、本発明の型枠装置を実際に利用する際においては、例えば
図2や
図5に示されるように、上方開口113が地面に面する場合もある。
【0029】
バネ設置用突起16は弾性手段5に対応する構成であるので、その詳しい構成に関しては弾性手段5と共に後述する。
【0030】
駆動軸転向手段2の入力軸21は、両端に入力端部212と第1の噛合端部211とをそれぞれ有する。この実施形態において、第1の噛合端部211にはかさ歯車が形成されている。
【0031】
このように構成された入力軸21は、入力端部212の先端が下方開口115の下方側において露出し、且つ、第1の噛合端部211が保持手段1の収容空間13内に位置するよう、上方開口113から保持手段1に挿入され、第1の軸線L1に沿って延伸し、且つ、第1の軸線L1を回転軸として回転可能できるように、筐体本体110と下方蓋部12により筐体11に保持され、保持手段1に保持される。また、入力軸21の回転をサポートするために、入力軸21と筐体本体110及び下方蓋部12との間に、第1の軸受け231が介在している。従って、図示のように、下方蓋部12及び筐体本体110において下方蓋部12に向かい合う箇所には、入力軸21を保持する構造が形成されている。
【0032】
ちなみに、組み立てられた転向連結機構10が型枠本体82に配置される際、入力軸21の延伸方向である第1の軸線L1は、型枠本体82の前記所定の表面に略平行するようになる。
【0033】
出力軸22は、入力軸21の第1の噛合端部211と噛み合うことができる第2の噛合端部221と出力端部222とをそれぞれ有する。この実施形態において、第2の噛合端部221は第1の噛合端部211のかさ歯車と噛み合って連動的に回転できるかさ歯車が形成されている。このように構成された出力軸22は、第2の噛合端部221が入力軸21の第1の噛合端部211と噛み合うことができるよう、後方開口112からの収容空間13内に挿入され、第1の軸線L1に略直交する第2の軸線L2に沿って延伸し、且つ、第2の軸線L2を回転軸として回転可能に保持手段1に保持される。また、出力軸22の回転をサポートするために、出力軸22と筐体本体110との間に、第2の軸受け232が介在している。
【0034】
第1の連結具3は、第2の軸線L2に沿って移動可能、且つ、出力軸22の出力端部222により第2の軸線L2を回転軸として回転駆動されるように出力軸22に取り付けられる受動部材31と、受動部材31に隣接する第1の大径部分321から出力軸22の反対側にある第1の小径部分322まで、第2の軸線L2に沿って漸次狭まる錐台形状に形成された第1の位置決め部32と、第1の位置決め部32から更に第2の軸線L2に沿って延伸し、且つ、型枠本体82の螺合穴822にねじ込み可能なネジ山が形成されている第1の螺合部33と、を有する。
【0035】
また、この実施形態において、第1の位置決め部32の第1の大径部分321と第1の小径部分322とは、一体に形成/作成されている。
【0036】
図6に示されるように、第1の連結具3の受動部材31は、第2の軸線L2に沿って移動可能、且つ、出力軸22の出力端部222により第2の軸線L2を回転軸として回転駆動されるように出力軸22に取り付けられるよう、中空に形成される後端スリーブ311と、第1の位置決め部32の第1の大径部分321に接続されている前端スリーブ312と、後端スリーブ311と前端スリーブ312とを接続する接続ユニット313とにより構成されている。これにより、受動部材31は複数の部品により組み立てられる構成となり、各部品の役割に応じて適切な材料を用いてそれぞれ独自に作成してから組み立てることにより、製造コストを節約することができる。また、
図6に示されるように、この実施形態において、前端スリーブ312の直径D1は、第1の位置決め部32の第1の大径部分321の最も幅が広い箇所の直径D2より長く形成されている。
【0037】
図7に示されるように、後端スリーブ311は、出力軸22の出力端部222により挿入される挿入空間317を囲むように中空に形成されると共に、出力軸22の出力端部222及び挿入空間317は、いずれも第2の軸線L2に直交する断面形状が互いに嵌め合い可能な非円形であるように形成されている。これにより、後端スリーブ311は出力軸22の出力端部222と共に回転可能、すなわち出力軸22の出力端部222からの駆動力により回転駆動されると共に、第2の軸線L2に沿って出力軸22の出力端部222に対して相対移動することが可能となる。
【0038】
前端スリーブ312には、接続ユニット313に向かって開口する挿入穴3121が形成されており、接続ユニット313には、後端スリーブ311に固定される固定端部3131と、前端スリーブ312に向かって突起して挿入穴3121に挿入する挿入端部3132と、挿入端部3132に形成されている係合穴3133と、が形成されている。固定端部3131は、後端スリーブ311の前端に形成される受入スロット3111内に挿入して例えば溶接により固定される。
【0039】
また、前端スリーブ312には、接続ユニット313の係合穴3133の両端開口にそれぞれ対応する係合孔3122とねじ孔3123とが形成されている。前端スリーブ312に形成される係合孔3122と接続ユニット313の係合穴3133とを挿通し、前端スリーブ312に形成されるねじ孔3123と螺合する係合ボルト7を用いることにより、前端スリーブ312は接続ユニット313に固定される。
【0040】
そして
図8に示されるように、挿入穴3121及び挿入端部3132は、いずれも第2の軸線L2に直交する断面形状が互いに嵌め合い可能な非円形であるように形成されている。
【0041】
操作手段4は、第1の連結具3の受動部材31に対し、第2の軸線L2を回転軸として相対回転可能、且つ、第2の軸線L2に沿った相対移動が不可能に取り付けられるリング部41と、リング部41から突起して筐体11に形成される案内溝114を通過する係合突起42と、を有するように構成されている。
【0042】
具体的には、後端スリーブ311の後端、すなわち出力軸22の出力端部222側に隣接する端部には、設置管部3112と螺合接続部3113とが出力軸22の出力端部222側に向かって突起するように形成されており、操作手段4のリング部41は設置管部3112に回転可能に設置され、そして螺合接続部3113に環状のストッパー3134が取り付けられることにより、リング部41の第1の連結具3の受動部材31に対する第2の軸線L2に沿った相対移動が阻止されるので、リング部41は第1の連結具3の受動部材31に対し、第2の軸線L2を回転軸として相対回転可能、且つ、第2の軸線L2に沿った相対移動が不可能に取り付けられるようになる。
【0043】
以上の構成により、本発明の型枠装置における転向連結機構10が有する第1の連結具3は、
図9に示される第2の軸線L2に沿って、第1の位置決め部32及び第1の螺合部33が型枠8に形成される挿通孔821を挿通して第1の螺合部33及び第1の位置決め部32の第1の小径部分322が挿通孔821外に露出する前進位置と、
図10に示される第1の螺合部33が挿通孔821内に収容される後退位置と、の間に往復移動可能に構成されている。
【0044】
また、操作手段4が構成されることにより、操作手段4のリング部41から突起して筐体11に形成される案内溝114を通過する係合突起42をつまんで案内溝114に沿って操作することにより、操作手段4が装着される第1の連結具3の第2の軸線L2に沿った動き、すなわち第1の連結具3の
図9に示される前進位置と、
図10に示される後退位置と、の間の往復移動を手動で操作できるようになる。
【0045】
そして操作手段4が第1の連結具3の受動部材31に対し、第2の軸線L2を回転軸として相対回転可能になっているので、第1の連結具3の第2の軸線L2に沿った動きを手動で操作する際、第1の連結具3は出力軸22の出力端部222から駆動力を受けて回転し続けることができる。
【0046】
弾性手段5は、両端が保持手段1と第1の連結具3とに取り付けられ、第1の連結具3に対し、後退位置へ移動させる付勢力を常に与えるものであり、この実施形態において、弾性手段5は引張コイルバネであり、該引張コイルバネは両端がそれぞれ保持手段1の筐体11に固定されるバネ設置用突起16と操作手段4の係合突起42とに取り付けられるので、操作手段4を経由して第1の連結具3に対して後退位置へ移動させる付勢力を常に与えることができる。
【0047】
これにより、操作手段4が外力(手動による操作)を受けず、且つ、第1の連結具3の第1の螺合部33の螺合などによる係合を受けない限り、本発明の型枠装置における転向連結機構10が有する第1の連結具3は、
図10に示される第1の螺合部33が挿通孔821内に収容される後退位置に保持される。
【0048】
なお、
図9に示されるように、型枠本体82に形成される挿通孔821は、第1の連結具3の前端スリーブ312に対応して、前端スリーブ312を受け入れて収容可能なスリーブ収容部823と、第1の連結具3の第1の大径部分321に対応して、該第1の大径部分321を受け入れると共に、該第1の大径部分321の形状に対応する大径テーパ状孔部824と、を有するように、第1の連結具3に対応する形状に形成されている。
【0049】
また、型枠本体82に形成される螺合穴822は、第1の連結具3の第1の螺合部33と螺合するネジ穴部825と、第1の連結具3の第1の小径部分322に対応して該第1の小径部分322を受け入れると共に、該第1の小径部分322の形状に対応する小径テーパ状孔部826と、を有するような形状に形成されている。
【0050】
すなわち、転向連結機構10が有する第1の連結具3が操作手段4に対する操作によって、
図10に示される後退位置から、
図9に示される前進位置に移動しようとすると、まず第1の連結具3の先端にある第1の螺合部33が該対応の挿通孔821を通過し、隣接する他の1つの型枠装置の型枠本体82に形成される螺合穴822の中にねじ込まれると、第1の連結具3の第1の螺合部33と他の1つの型枠装置の型枠本体82に形成される螺合穴822内にあるネジ穴部825との螺合が進行し、第1の螺合部33が該螺合穴822内に深く進入する程、第1の位置決め部32の第1の大径部分321が対応する挿通孔821内にある大径テーパ状孔部824に当接し、そして前端スリーブ312は挿通孔821内にあるスリーブ収容部823に当接するので、該転向連結機構10が取り付けられる型枠本体82は、他の1つの型枠装置の型枠本体82側へきつく押し付けられて固定されるようになる。
【0051】
また、第2の連結具9は、所定方向に沿って一端部から他端部まで延伸する略円柱体に形成されたヘッド部材91と、ヘッド部材91の一端部から所定方向に沿って延伸し、ヘッド部材91に隣接する第2の大径部分921からヘッド部材91の反対側にある第2の小径部分922まで、所定方向に沿って漸次狭まる錐台形状を有し、且つ、挿通孔821を挿通可能に形成されている第2の位置決め部92と、第2の位置決め部92から更に所定方向に沿って延伸し、且つ、螺合穴822にねじ込み可能なネジ山が形成されている第2の螺合部93と、ヘッド部材91の他端部から所定方向に沿って延伸する受動部94と、を有する。
【0052】
このように、第2の連結具9は、転向連結機構10が有する第1の連結具3に類似する構成を有する上、ヘッド部材91の他端部から延伸する受動部94は入力軸21の入力端部212に準ずる役割を持つので、駆動力を伝動する方向を変換する必要がない箇所、例えば型枠本体82の横枠部802に形成される挿通孔821に対応して利用することができるので、第2の連結具9を転向連結機構10と併用することにより、生産コストを節約することができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾及び均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0054】
このように、本発明の型枠装置における転向連結機構は、駆動軸転向手段で第1の連結具を駆動する構成を有するので、第1の連結具の延伸方向である第2の軸線方向と略直交する第1の軸線方向で駆動軸転向手段の入力軸を駆動すると、第1の軸線方向に延伸する入力軸の回転は第2の軸線方向に延伸する出力軸の回転に変換されて第1の連結具を回転駆動することができるので、作業者はより自然な姿勢で第1の連結具を回して型枠同士を連結することができる。これにより連結作業に求められる技量のレベルを下げられ、型枠同士をきれいに連結するという作業成果が期待できる。
【符号の説明】
【0055】
1 保持手段
10 転向連結機構
11 筐体
110 筐体本体
111 前方開口
112 後方開口
113 上方開口
114 案内溝
115 下方開口
12 下方蓋部
13 収容空間
14 ボルト
15 上方蓋部
16 バネ設置用突起
17 後方蓋部
2 駆動軸転向手段
21 入力軸
211 第1の噛合端部
212 入力端部
22 出力軸
221 第2の噛合端部
222 出力端部
231 第1の軸受け
232 第2の軸受け
3 第1の連結具
31 受動部材
311 後端スリーブ
3112 設置管部
3113 螺合接続部
312 前端スリーブ
3121 挿入穴
3122 係合孔
3123 ねじ孔
313 接続ユニット
3131 固定端部
3132 挿入端部
3133 係合穴
3134 ストッパー
317 挿入空間
32 第1の位置決め部
321 第1の大径部分
322 第1の小径部分
33 第1の螺合部
4 操作手段
41 リング部
42 係合突起
5 弾性手段
8 型枠
801 縦枠部
802 横枠部
803 サポーター部
81 板体
811 型枠装着面
812 コンクリート打設面
82 型枠本体
821 挿通孔
822 螺合穴
823 スリーブ収容部
824 大径テーパ状孔部
825 ネジ穴部
826 小径テーパ状孔部
83 フック手段
9 第2の連結具
91 ヘッド部材
92 第2の位置決め部
921 第2の大径部分
922 第2の小径部分
93 第2の螺合部
94 受動部
D1 直径
D2 直径
L1 第1の軸線
L2 第2の軸線