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特開2023-46295スティック形態の化粧物品およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046295
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】スティック形態の化粧物品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20230327BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230327BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/86
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022148168
(22)【出願日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】102021000024155
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】522369050
【氏名又は名称】クロマヴィス ソチエタ ぺル アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100161997
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 大一郎
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ コスト ルッコ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ ルカ インダコ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AC091
4C083AC092
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC581
4C083AC582
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD072
4C083CC11
4C083CC13
4C083DD01
4C083DD11
4C083EE03
4C083FF04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】透明な外部製品と、固体装飾要素が分散された液体の内部製品とを含む、スティック形態の化粧物品、特にメイクアップ用化粧物品を提供する。
【解決手段】スティック形態の化粧物品、好ましくはメイクアップ物品であって、前記化粧物品20は、少なくとも1つの内部空洞を画定する、室温で実質的に固体またはペースト状の稠度を有する、スティック形態の第1の化粧製品12A、および少なくとも1つの内部空洞に収容された第2の化粧製品14、14Aを含有し、前記第2の化粧製品は、i)第2の製品の重量に対して、95重量%までの水、ii)ポロキサマーを含む感熱性増粘剤、およびiii)装飾的な固体要素、もしくは脂溶性染料、またはそれらの組み合わせを含有し、第1の化粧製品は、前記内部空洞の内容物を外部から使用者に見えるようにするために、室温で、好ましくは透明または半透明である、前記化粧物品とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スティック形態の化粧物品(20)、好ましくはメイクアップ物品であって、
前記化粧物品(20)は、
-少なくとも1つの内部空洞(13)を画定する、室温で実質的に固体またはペースト状の稠度を有する、スティック形態の第1の化粧製品(12A)、および
-少なくとも1つの内部空洞(13)に収容された第2の化粧製品(14、14A)を含有し、
前記第2の化粧製品(14、14A)は、
i)第2の製品14、14Aの重量に対して、95重量%までの水、
ii)ポロキサマーを含む感熱性増粘剤、および
iii)装飾的な固体要素、もしくは脂溶性染料、またはそれらの組み合わせを含有し、
第1の化粧製品(12A)は、前記内部空洞(13)の内容物を外部から使用者に見えるようにするために、室温で、好ましくは透明または半透明である、前記化粧物品(20)。
【請求項2】
前記空洞(13)が、前記スティックの長さの少なくとも半分にわたって延び、前記内部空洞(13)の断面の面積が、前記第1の製品の断面の面積よりも小さい、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第2の製品(14、14A)が、前記ポロキサマーを、前記第2の化粧製品の重量の、0.2~15重量%、より好ましくは0.4~12重量%、さらにより好ましくは1~10重量%の濃度で含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記増粘剤において、前記ポロキサマーがポロキサマー338である、請求項1または2に記載の物品。
【請求項5】
前記増粘剤が、ポロキサマー338およびPPG/SMDI共重合体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
ポロキサマー338とPPG/SMDI共重合体が、2:1~10:1の重量比である、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
前記増粘剤が、70~90重量%のポロキサマー338、および10~30重量%のPPG-51/SMDI共重合体から成る、請求項5に記載の物品。
【請求項8】
前記第1の製品が、
-トリメリト酸トリデシル、水素化ポリイソブテンおよび/またはオクチルドデカノールの1つまたは複数を含む脂質マトリックス、
-前記脂質マトリックス中に分散したジブチルエチルヘキサノイルグルタミドとジブチルラウロイルグルタミドの混合物を含むゲル化剤
を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
以下の工程を含む、化粧物品(20)、好ましくは、メイクアップ用化粧物品の調製方法。
i.空洞(22)を含むモールド(10)を準備する。
ii.コア(11)をモールド(10)の空洞(22)に挿入して、空洞(22)を画定するモールド(10)の壁と、コア(11)の外周との間に、第1の注型空洞(16)を画定する。
iii.第1の化粧製品(12)を第1の注型空洞(16)に注ぎ、前記第1の製品が固化するのを待つ。
iv.第1の化粧製品(12)が固化したら、コア(11)を取り出し、コア(11)を収容した第1の固化製品(12A)の部分が、内部空洞(13)を画定する。
v.本質的に液体の形態の第2の化粧製品(14)を内部空洞(13)に注ぐ。ここで、前記第2の化粧製品(14)は、第2の製品の重量に対して、95重量%までの水、ポロキサマーを含む感熱性増粘剤、第2の化粧製品(14)に分散されている、固体装飾要素もしくは脂溶性染料またはそれらの組み合わせを含有する。
vi.第2の化粧製品(14)を内部空洞(13)内に分離する。
vii.モールドから化粧物品(20)を取り出す。
【請求項10】
前記内部空洞(13)が、充填される前に、前記モールド(10)の表面上で開口している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記内部空洞(13)が、円、楕円、三角形、正方形、長方形、ハート型、星型から成る幾何学的形状の一つによる断面を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記コア(11)は、モールド(10)への挿入前に、潤滑剤で散布される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧物品、特にメイクアップ用化粧物品、およびその製造方法に関する。
【0002】
具体的には、それは、例えば、10mmからの直径を有するスティック形態の物品(例えば、唇、目、顔、または体のための製品、より詳細には、リップスティック、リップバーム、ファンデーション、コンシーラー、プライマー、アイシャドー、チーク、ハイライター、ブロンザー、またはデオドラント)を指す。
【背景技術】
【0003】
多くの化粧物品、特にメイクアップ用物品は、スティック形態、つまり円筒形で、上下にねじれる機構を備えたチューブの形式で販売されている。このため、これらは、固体である。(特に、リップスティック、リップバーム、ファンデーション、およびデオドラントを考えよ。)この形式では、化粧品を手で触れずに、目的の領域により正確に適用できるため、化粧品が使いやすくなるという利点がある。
【0004】
消費者を惹きつけるために、これらの物品の機能性を向上させることに加えて、その美観への注目が高まっている。したがって、時間の経過とともに、消費者にとってますます魅力的であり、および/または適用時に特定の美的効果を生み出す化粧物品が設計されてきた。
【0005】
絶え間なく変化するトレンドの影響を受けて、消費者は、ますます厳格になっている。実際、消費者は、人々がそれらを選択して購入することを奨励するために、特にメイクアップに関して革新的であり、独自のまたは特定の視覚効果を提供し、同時に美しさの点で人目を引く製品を探している。
【0006】
これらのニーズに応えるスティック化粧品は、例えば、きらめく効果(「グリッター」とも呼ばれる)を備えたリップスティックである。当該リップスティックは、さまざまな虹色または真珠光沢のある材料の断片をバルク製品に組み込むことによって得られる。また、さまざまな透明な化粧品スティックが市販されており、この化粧品スティックは、例えば、外から視認できる、花、ハート、星などの形の、異なる形状の装飾要素を含む。
【0007】
リップグロス(すなわち、その中にグリッターが分散され得る、さまざまな程度の色を特徴とする透明なゲル)のような、よく知られた製品もある。リップグロスは、ジェルの稠度に応じて、さまざまな形で製造できる。特に、より多くの液体製剤は、例えば、柔らかくスポンジ状のアプリケーター、もしくは回転塗布式のアプリケーターを備えたボトルに、またはワンドアプリケーターを備えた(ガラスまたはプラスチック製の)硬いケースに詰めることができる。より多くの固形製剤は、さまざまな直径を有するスティック形態で提供されるか、瓶に入れられる。後者の形式を適用するには、適切なアプリケーター(ブラシ、スポンジなど)を使用するか、または製品を指に塗り付けて、目的の領域に適用する必要がある。
【0008】
後者は、審美的および商業的な観点から明らかにより魅力的ではあるが、より多くの液体リップグロスは、残りにくい傾向があることを考慮する必要がある。というのも、液体リップグロスは、リップスティックとは異なり、一般的にワックス状の構造を有さないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、公知技術に対して改善された、化粧物品、特にメイクアップまたはスキンケア用の化粧物品を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらおよび他の目的は、添付の特許請求の範囲の技術的教示に記載された、化粧物品、特にメイクアップ用化粧物品によって達成される。
【0011】
したがって、本発明による化粧物品、特にメイクアップ用化粧品の利点の1つは、固形スティック製品の利点を維持しつつ、流体製品に懸濁することによって動的にされる装飾要素を通して、魅力的な審美的特性を提供することである。
【0012】
さらなる利点は、水溶性活性成分および/または水性マトリックス中の脂溶性染料および/または水溶性染料をスティックによって運ぶことである。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、本明細書に添付の図面に非限定的な例として示される、本発明の好ましいが排他的ではない実施形態の説明において、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、スティックを形成するために使用できるモールドの概略的な側断面図である。
図2図2は、本発明によるスティックの製造における様々なステップを概略的な断面図として示すものである。
図3図3は、本発明によるスティックの製造における様々なステップを概略的な断面図として示すものである。
図4図4は、本発明によるスティックの製造における様々なステップを概略的な断面図として示すものである。
図5図5は、本発明によるスティックの製造における様々なステップを概略的な断面図として示すものである。
図6図6は、本発明によるスティックの製造における様々なステップを概略的な断面図として示すものである。
図7図7は、本発明によるスティックの製造における様々なステップを概略的な断面図として示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
したがって、本発明は、下記の化粧物品20に関する。
スティック形態の、化粧物品20、特に、メイクアップ物品であって、
前記化粧物品20は、
-少なくとも1つの内部空洞13を画定する、室温で実質的に固体またはペースト状の稠度を有する、スティック形態の第1の化粧製品12A、および
-少なくとも1つの内部空洞13に収容された第2の化粧製品14、14Aを含有し、
前記第2の化粧製品14、14Aは、
i)第2の製品14、14Aの重量に対して、95重量%までの水、
ii)ポロキサマーを含む感熱性増粘剤、および
iii)装飾的な固体要素、もしくは脂溶性染料、またはそれらの組み合わせを含有する、前記化粧物品20。
【0016】
第1の化粧製品12Aは、前記内部空洞(13)の内容物を外部から使用者に見えるようにするために、室温で、好ましくは透明または半透明である。
【0017】
第1の化粧製品12、12A、および第2の化粧製品14、14Aは、メイクアップ製品であることが好ましいが、機能性製品であってもよい。
【0018】
以下の説明において、第1の化粧製品12、12Aを参照する場合、参照番号12は、前記製品が、液体、またはいずれにせよ流体形態(すなわち、注がれるのに十分な流体)であるときに使用され、したがって室温より十分に高いとき(例えば、65℃)に使用される。
【0019】
しかしながら、第2の化粧製品に言及する場合、参照番号14は、液体形態の前記製品を示すために使用される。参照番号14Aは、例えば、温度上昇によって構造を与えられた後の、固体/ゲル形態の前記製品を示すために使用される。
【0020】
ここでいう室温とは、20~25℃、好ましくは約25℃程度の温度を意味する。
【0021】
したがって、驚くべきことに、下記のスティック形態の化粧物品を製造することによって、前述の技術的問題を克服することが可能であることが見出された。
前記スティック形態の化粧物品においては、室温で固形またはペースト状(バルク)である、好ましくはメイクアップまたはスキンケア用の第1の化粧製品12Aが、少なくとも部分的に、化粧物品の最も外側の部分を形成し、且つ、少なくとも部分的に、液体状の第2の製品14を含む空洞の範囲を定め、そして、前記第2の製品14においては、固体装飾要素もしくは脂溶性染料、またはそれらの組み合わせのいずれかが、自由に移動できる方法で分散される。
【0022】
特に、(第2の製品14、14Aにおける)ポロキサマーを含む感熱性増粘剤の存在により、液体マトリックスに分散した、装飾要素および/または脂溶性染料の液滴の動きによって提供される美的効果を利用することが可能になった。同時に、スティックの適用中にチャンバー13が壊れて、そこに含まれる要素が放出される場合、後者が出てくるのを防止する。
【0023】
しかしながら、実際、室温で液体またはいずれにしても非常に流動的である感熱性増粘剤は、例えば、皮膚の暖かさと接触して、温度が上昇するにつれて、(例えば、14Aで示される表面上で)ゲル化する傾向がある。
【0024】
したがって、透明/半透明のリップスティックなどの従来のスティックの特性および実用性と、液体配合物(例えば、グリッターが分散し、その中に自由に浮遊している従来のリップグロス)に典型的な動的美的効果、および/または水性マトリックスとの接触時に着色液滴を形成する、脂溶性染料の封じ込めチャンバー13への添加に関連する機能的効果とを組み合わせた物品が有利に得られた。
【0025】
第2の製品14は、95重量%までの水と、室温より高い温度でそれと共にゲルを形成することができる感熱性増粘剤とを含む。好ましくは32~40℃の温度で、前記感熱性増粘剤は、水を完全にゲル化し、それによってチャンバーの最も外側の部分で第2の製品を固体にし、前記水/ゲルが出てくるのを防ぐ。(本質的には、プラグまたはプラグ層として機能する。)
【0026】
32~40℃の温度は、本質的に、使用時に、第2の製品14が使用者の皮膚と接触するときに到達する温度である。
【0027】
このように、本発明による物品では、第1の製品12、12Aの内側の本体の空洞13に含まれる第2の製品14は、室温で液体状態であり、装飾要素/脂溶性染料は、懸濁され、その中を移動することができる。物品の使用時、すなわち皮膚または唇への適用時に、第1の製品が徐々に摩耗して薄くなり、したがって2番目の製品が出現するため、2つの製品の複合効果(おそらくメイクアップ効果)が得られる。一方、皮膚や唇の暖かさは、第2の製品の温度を上昇させ、したがって、前記適用が完了するとすぐに、前記製品は、ゲル化し、それによって後者が物品から出ることを防止する。
【0028】
温度上昇や空気との接触により一旦ゲル化した第2の製品14Aは、温度が下がってもゲルの粘稠度を保ち、室温に戻ると言わざるを得ない。次に、ゲル化した第2の製品14Aの層は、空洞13に含まれるまだ液体の第2の製品14を分離し、前記製品を液体状態に保つ。
【0029】
好ましくは、感熱性増粘剤は、室温で10~60mPa・sの粘度、45℃で30~70Pa・sの粘度を有する。
【0030】
上述のように、感熱性増粘剤は、ポロキサマーを含む。
【0031】
ポロキサマーは、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖が隣接するポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央疎水性鎖で構成される非イオン性トリブロック共重合体である。ポリマーブロックの長さは、カスタマイズできるため、わずかに異なる特性を有する複数のポロキサマーがある。これらの共重合体は、通常、文字P(ポロキサマーの略)の後に3桁の数字が続く。
【0032】
ポロキサマー溶液の重要な特徴の1つは、温度変化に関連するその自己組織化および熱ゲル化挙動である。ポロキサマーの濃縮水溶液は、低温では液体であり、高温では固化する。これらのシステムで発生する遷移は、主に、ポリマーの組成(分子量と親水性/疎水性のモル比)に依存する。
【0033】
低温および低濃度(臨界ミセル温度および臨界ミセル濃度未満)では、単一ブロック共重合体(ユニマー)が溶液中に存在する。これらの値を超えると、ミセル化と呼ばれるプロセスを通じて、個々のユニマーの凝集が発生する。この凝集は、ポリオキシプロピレンの疎水性ブロックの脱水によって引き起こされ、ポリマー濃度または温度が上昇するにつれて次第に溶解しにくくなる。異なるユニマーの凝集は、PPOブロックと溶媒間の相互作用を最小限に抑えるために発生する。したがって、凝集体のコアは、不溶性ブロック(ポリオキシプロピレン)で構成される。一方、可溶性部分(ポリオキシエチレン)は、ミセルのシェルを形成する。
【0034】
適切なポロキサマーは、米国特許出願(US 2005/175573 A1)に開示されている。
【0035】
第2の製品14は、好ましくは、第2の製品の重量に対して、0.2~15重量%、好ましくは0.4~12重量%、さらに好ましくは1~10重量%の濃度の前記ポロキサマーを含む。
【0036】
好ましい実施形態では、増粘剤において、前記ポロキサマーは、ポロキサマー338(CAS:9003-11-6)である。
【0037】
特に好ましい実施形態では、前記増粘剤は、ポロキサマー338およびPPG/SMDI共重合体を含み、ここで、PPGは、ポリプロピレングリコールであり、SMDIは、メチレンジフェニルジイソシアネート脂肪族である。
【0038】
最も好ましい実施形態では、ポロキサマー338とPPG/SMDI共重合体は、2:1~10:1の重量比である。
【0039】
前記増粘剤が、70~90重量%のポロキサマー338と10~30重量%のPPG-51/SMDIの共重合体からなる実施形態は、特に好ましい。
【0040】
好ましくは、第2の化粧製品14、14Aは、第2の製品の重量に対して、50~80重量%の水を含む。
【0041】
場合によっては、第2の生成物14は、水混和性溶媒、より好ましくはエタノールなどのアルコール溶媒をさらに含む。
【0042】
上述のように、第2の製品14は、iii)装飾固体要素もしくは脂溶性染料、またはそれらの組み合わせを含む。
【0043】
第2の製品14は、第2の製品の重量に対して、好ましくは、35重量%までの、より好ましくは1~30重量%のiii)装飾固体要素もしくは脂溶性染料、またはそれらの組み合わせを含む。
【0044】
「固体装飾要素」という用語は、顔料などの装飾要素を、そのままで、または固体媒体上に、小球体またはグリッターの形で含むものとして理解される。
【0045】
「球体」または「小球体」という用語は、完全な球形の固体形態だけでなく、本質的に球形であるか、球体などの形が球形に類似している固体も含む。
【0046】
好ましくは、第2の製品に分散された装飾固体要素は、本質的に同じ直径もしくは同じ形状、または異なる直径もしくは形状を有することができる。この選択は、最終製品に求められる美的効果次第である。
【0047】
前記固体装飾要素は、好ましくは、天然または合成雲母(フッ素金雲母)、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム、またはホウケイ酸カルシウムチタン、シリカなどの基材上の真珠光沢顔料であってもよい。
【0048】
上記固体装飾要素は、上記のように、グリッターであってもよい。グリッターは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂コポリマー、イソブチルフェノキシ-アクリレート、ポリエチレンテレフタレート-ポリブチレンテレフタレート、イソブチルフェノキシエポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート-ポリウレタン-11からなる合成グリッター、または、例えば、レーヨン、セルロースアセテートからなるバイオグリッターである天然グリッター(バイオグリッター)であってもよい。
【0049】
前記固体装飾要素は、好ましくは、純粋な形の、またはタルクや雲母などのミネラルキャリアに分散された、酸化鉄(INCI:CI 77492、CI 77499、CI 77491)、酸化チタン(CI 77891)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(CI 77007)、酸化クロム グリーン(CI 77288)、水酸化クロム グリーン(INCI:CI 77289)、レッドナトリウム塩6(CI 15850)、イエローラッカー5(CI 19140)、レッドラッカー22(CI 45380)、レッドラッカー21(CI 45380)、レッド7(CI 15850)、レッドラッカー7(CI 15850)、ラッカーレッド40(CI 16035)、カルミン(CI 75470)、ラッカーレッド28(CI 45410)、ラッカーレッド27(CI 45410)、ラッカーイエロー6(CI 15985)、フェロシアン化鉄アンモニウム(CI 77510)、ラッカーレッド30(CI 73360)、ラッカーブルー1(CI 42090)、アルミニウムパウダー(CI 77000)であってもよい。
【0050】
「脂溶性染料」という用語は、それ自体が水に不溶であり、したがってその中で着色液滴を形成する、1つまたは複数の親油性染料を指す。
【0051】
適切な脂溶性染料は、ヒマシ油などの天然由来、またはオクチルドデカノールおよびオクチルドデシルステアロイルステアレートなどの合成由来のいずれかであり得る。
【0052】
場合によっては、水溶性染料を第2の製品14の水に添加することもできる。これにより、固体装飾要素もしくは脂溶性染料のいずれか、またはそれらの組み合わせとの快適な色のコントラストを形成できる。
【0053】
適切な水溶性染料は、例えば、CI 19140[イエロー5]100%、CI 15985[イエロー6]100%、CI 42090[ブルー1]100%、CI 17200[レッド33]100%、CI 45410[レッド27]100%、CI 45410[レッド28]100%、CI 45380[レッド22]100%、CI 45380[レッド21]100%である。
【0054】
好ましい実施形態では、第2の製品14は、ビタミン(特にビタミンC)、植物抽出物、抗菌剤、抗刺激剤、湿潤剤、抗酸化剤、保湿剤、紫外線吸収剤、およびそれらの混合物などの水溶性有効成分をさらに含む。
【0055】
特に好ましい態様によれば、第1の製品12は、透明または半透明であり、有色または無色である。好ましくは、前記第1の生成物は、脂質マトリックスと、前記脂質マトリックス中に微細繊維のネットワークを形成し、冷却中に固体の完全に透明なゲルを生成することができるゲル化剤とを含む固体ゲルである。
【0056】
好ましくは、前記脂質マトリックスは、トリデシルトリメリテート、水素化ポリイソブテン、および/またはオクチルドデカノールのうちの1つまたは複数を含むか、または本質的にそれらから成る。
【0057】
好ましくは、前記ゲル化剤は、脂質マトリックス中(好ましくは、オクチルデカノールエステルなどの極性エステルを含む、またはからなる脂質マトリックス中)に分散されたジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、ジブチルラウロイルグルタミドの混合物を含むか、または本質的にそれらから成る。
【0058】
好ましくは、前記第1の製品は、(前記脂質ゲルに溶解または懸濁された)以下の1つまたは複数をさらに含む:親油性活性成分、香味料、芳香剤、懸濁成分、および顔料。後者は、第2の製品に関して上述した通りであってもよい。
【0059】
場合によっては、前記第1の製品は、少なくとも1つの水混和性溶媒、好ましくはエタノールなどのアルコール溶媒をさらに含むことができる。
【0060】
特に好ましい、本発明のスティック形態の化粧品は、リップスティック、バーム、またはグロスなどのリップスティック、アイシャドー、ファンデーション、コンシーラー、プライマー、ブロンザー、ブラッシャー、ハイライターなどの目および顔用のスティック、デオドラントなどのボディ用スティックを含んでもよい。
【0061】
第2の製品の物理的特性は、本発明の物品の製造にも特に有利である。なぜなら、以下で述べるように、第2の製品は、室温で液体であるため、第1の固化製品の内部空洞13に有利に注入することができるからである。
【0062】
異なる観点から、本発明は、上記化粧物品を調製するプロセスにも関する。このプロセスは、次の工程を含む。
i.空洞22を含むモールド10を準備する。
ii.コア11をモールド10の空洞22に挿入して、空洞22を画定するモールド10の壁と、コア11の外周との間に、第1の注型空洞16を画定する。
iii.第1の化粧製品12を第1の注型空洞16に注ぎ、前記第1の製品が固化するのを待つ。
iv.第1の化粧製品12が固化したら、コア11を取り出し、コア11を収容した第1の固化化粧製品12Aの部分が、固化化粧製品12A内において内部空洞13を画定する。
v.本質的に液体の形態の第2の化粧製品(14)を内部空洞(13)に注ぐ。ここで、前記第2の化粧製品14は、(第2の製品の重量に対して、)95重量%までの水、ポロキサマーを含む感熱性増粘剤、および第2の化粧製品14に分散されている、固体装飾要素もしくは脂溶性染料またはそれらの組み合わせを含む。
vi.第2の化粧物品14を内部空洞13内に分離する。
vii.モールドから化粧品20を取り出す。
【0063】
有利には、モールド10は、(少なくとも部分的に)シリコーンまたはスティックを形成するのに適した別の材料(例えば、別の弾性材料、または金属および/またはセラミック)で製造することができる。
【0064】
それは、モールド10を使用して製造されたスティック20をそこから取り出すために、モールドの外側に真空を適用することができる真空チャンバー21内に収容または配置することができる。
【0065】
モールドを挿入する前に、コア11を離型剤で覆うことができる。あるいは、前記コアは、内部空洞13を形成するためにコアを容易に引き抜くことを可能にする自己潤滑性材料で製造することができる。
【0066】
第1の化粧製品12は、前記製品が本質的に液体の稠度になるまで、注型前に、室温より高い温度に加熱することができる。例えば、第1の化粧製品12は、約65℃まで加熱される。
【0067】
モールド10内の第1の化粧製品12は、その固化を加速するために、(例えば冷風によって)室温未満まで冷却することができる。
【0068】
第2の化粧製品14Aの層を固化するために、その表面を熱源にさらすことによって、もしくはいずれにしても前記露出面を固化させることによって、第2の化粧製品14を、内部空洞13内に分離することができる。
【0069】
あるいは、第1の液体化粧品12または室温で固体である別の製品を、第2の化粧製品14の露出面に注ぐことが可能である。
【0070】
スティック20は、従来の方法に従って、例えば、真空チャンバー21の内部に真空を適用することによって、モールドから取り出すことができる。
【0071】
モールドからの取り出し前または取り出し中に、スティック20を(例えば、口紅またはデオドラント用)デバイス15に結合させることが可能である。
【0072】
コア11の形状およびモールド10に対するコア11の配置に応じて、内部空洞13は、充填前に前記モールド10の表面によって区切ることができる。このようにして、スティック20を取り出した後、第2の化粧製品14の(適切に固化した)部分が、活性な(したがってメイクアップに使用できる)スティック20の表面に露出する。
【0073】
明らかに、内部空洞13は、コア11の構成に対応する構成を有することができる。
【0074】
この構成は、円、楕円、三角形、正方形、長方形、ハート型、星型から成る幾何学的形状の一つによる断面を有することができる。
【0075】
内部空洞13は、スティック20の最終的な長さのすべてまたはほとんどに沿って延長し得る。
【0076】
有利には、(第1の固化した化粧製品12Aから形成される)スティックの壁は、室温で液体である第2の化粧製品14を、スティック20の通常の使用中に壊れたり損傷したりすることなく、効率的に収容できるほど十分に厚い。
【0077】
図1~7は、本発明の好ましい態様による、リップスティック(したがって、この場合、化粧物品はメイクアップ物品である。)の製造のための工程を示す。
【0078】
化粧物品にとって好ましく有利であると特定されたすべての態様は、その使用および製造方法についても同様に好ましく有利であるとみなされるべきであることもまた理解されたい。
【0079】
同様に、本発明で想定される化粧物品の好ましい態様のすべての組み合わせ、ならびにその使用およびその製造工程は、本明細書に記載されているとみなされるべきであると理解されたい。
【0080】
以下のセクションでは、説明の目的で、本発明の実施形態の例を提供する。
【実施例0081】
例1
本発明に従って、リップスティックを調製した。
以下の組成物を含む第1の製品12を、モールド10の内壁とコア11の外周との間の、モールド10内の第1の注型空洞16に流し込んだ。
【0082】
【表1】
【0083】
第1の製品12は、液体、したがって注ぐことができる稠度を呈するために十分に加熱された。より具体的には、第1の製品を65℃に加熱した。
【0084】
コア11は層状であるため、その断面は長方形である。
【0085】
第1の製品12Aが固化したら、コア11を取り出し、次の組成を含む第2の製品14を、このように(コアの構成に対応する構成で)形成された内部空洞13に注いだ。
【0086】
【表2】
【0087】
次に、その自由表面を加熱することによって、第2の製品14を、内部空洞13内に分離し、その表面層を固化した。
【0088】
次に、図7に示すように、化粧品20を装置15と結合し、モールド10から取り出した。
【0089】
例2
例1の第1の製品12を含むリップクリームを調製し、モールドの内壁と長方形断面を有するコアの外周との間の、モールドの第1の注型空洞に注入した。
【0090】
第1の製品12Aが固化したら、コアを取り出し、次の組成を含む第2の製品を、このように形成された内部空洞13に注いだ:
【0091】
【表3】
【0092】
第1の製品12の層を第2の製品14の露出部分に流し込み、第1の製品12Aの層の固化を待つことによって、第2の製品14を、第1の固化製品に完全に組み込んだ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】