(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046317
(43)【公開日】2023-04-03
(54)【発明の名称】ピックアンドプレース装置のための可撓性のピックアーム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20230327BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20230327BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20230327BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/60 311T
H05K13/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022150390
(22)【出願日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】17/481,390
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504133796
【氏名又は名称】エーエスエムピーティー・シンガポール・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャク・トン・ツェ
(72)【発明者】
【氏名】ペイ・ウェイ・ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィン・ツェ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ワイ・ヒン・ユン
【テーマコード(参考)】
5E353
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
5E353GG21
5E353HH61
5E353JJ28
5E353QQ12
5F044PP16
5F047FA01
5F047FA08
(57)【要約】
【課題】可撓部を利用するピックアンドプレース装置のための向上させたピックアームを提供する。
【解決手段】電子デバイスのためのピックアンドプレース装置のためのピックアームは、ピックアームをピックアームサポート上に取付け可能にする近位端と、電子デバイスを保持するためのコレットが取り付けられる遠位端と、を有する主本体を有する。第1の剛体は、ピックアームの近位端に隣接して位置し、第2の剛体は、ピックアームの遠位端に隣接して位置する。第1の可撓部および第2の可撓部は、第1の剛体を第2の剛体に接続する。第1の可撓部は、第2の可撓部から離間されており、第1の可撓部および第2の可撓部は、互いに実質的に平行に配置された対向面を有する。作動器は、ピックアームのコレットを付勢して移動させるために、第1の可撓部および第2の可撓部を第1の剛体に対して曲げるべく、第2の剛体上に付勢力を加えるように動作可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスのためのピックアンドプレース装置のためのピックアームであって、
前記ピックアームをピックアームサポート上に取付け可能な近位端、および、コレットが電子デバイスを保持するために取り付けられる遠位端、を有する主本体と、
前記ピックアームの前記近位端に隣接して位置する第1の剛体、および、前記ピックアームの前記遠位端に隣接して位置する第2の剛体と、
前記第1の剛体を前記第2の剛体に接続する第1の可撓部および第2の可撓部であって、前記第1の可撓部は前記第2の可撓部から離間され、前記第1の可撓部および前記第2の可撓部は、互いに実質的に平行に配置された対向面を有する、第1の可撓部および第2の可撓部と、
前記ピックアームの前記コレットを付勢して移動させるために、前記第1の剛体に対して前記第1の可撓部および前記第2の可撓部を曲げるべく、前記第2の剛体の上に付勢力を加えるように動作可能な作動器と、
を備えるピックアーム。
【請求項2】
前記ピックアームサポートは回転タレットを備え、前記回転タレットは、前記回転タレットの周縁に沿って複数のピックアームを取り付けるように構成される、請求項1に記載のピックアーム。
【請求項3】
前記作動器は、電子デバイスをボンディングするために配置位置の上方に固定されて位置する配置作動器を備え、前記ピックアームは、前記配置作動器に隣接して位置するように前記配置作動器に対して移動可能であり、それにより、前記配置位置において前記配置作動器により付勢される、請求項1に記載のピックアーム。
【請求項4】
前記作動器は、ピックアップ位置において、電子デバイスの供給部の上に固定されて位置するピックアップ作動器をさらに備え、前記ピックアームは、前記ピックアップ作動器に隣接して位置するように前記ピックアップ作動器に対して移動可能であり、それにより、前記ピックアップ位置において、前記ピックアップ作動器により付勢される、請求項3に記載のピックアーム。
【請求項5】
前記第1の可撓部は、前記第1の剛体および前記第2の剛体の上部分に取り付けられ、前記第2の可撓部は、前記第1の剛体および前記第2の剛体の下部分に取り付けられる、請求項1に記載のピックアーム。
【請求項6】
前記第1の剛体における前記第1の可撓部と前記第2の可撓部との間の距離は、前記第2の剛体における前記第1の可撓部と前記第2の可撓部との間の距離に実質的に等しい、請求項5に記載のピックアーム。
【請求項7】
前記第1の可撓部の可撓性の軸は、前記第2の可撓部の可撓性の軸と一致する、請求項6に記載のピックアーム。
【請求項8】
前記第1の可撓部および前記第2の可撓部ならびに前記第1の剛体および前記第2の剛体は、可撓性のある4バー機構として構成され、前記第2の剛体は、前記コレットの垂直運動を制御するために前記作動器により付勢されるように構成される、請求項5に記載のピックアーム。
【請求項9】
前記第1の剛体および前記第2の剛体のそれぞれは、前記第1の可撓部および前記第2の可撓部を分離するスペーサと、前記第1の剛体および前記第2の剛体のそれぞれに前記第1の可撓部をロックするための第1のロッキングプレートと、前記第1の剛体および前記第2の剛体のそれぞれに前記第2の可撓部をロックするための第2のロッキングプレートと、を含む、請求項5に記載のピックアーム。
【請求項10】
前記第1の可撓部および前記第2の可撓部を、前記第1のロッキングプレートおよび前記第2のロッキングプレートに固定することは、前記第1の可撓部および前記第2の可撓部にリベット留めすることにより、または接着剤を塗布することにより行われる、請求項9に記載のピックアーム。
【請求項11】
前記作動器により付勢力が加えられない場合の前記ピックアームの待機方向において、前記第1の可撓部および前記第2の可撓部の面は、それぞれの水平面上に配置される、請求項1に記載のピックアーム。
【請求項12】
前記第2の剛体上に、前記作動器により前記付勢力を加えることは、前記第2の剛体が前記水平面から反れるように、前記第1の可撓部および前記第2の可撓部を湾曲させる、請求項11に記載のピックアーム。
【請求項13】
前記作動器は、前記作動器が前記第2の剛体上に付勢力を加えない後退位置と付勢力を加え前記第2の剛体を押して移動させる延長位置との間で所定の距離だけ移動可能である、請求項1に記載のピックアーム。
【請求項14】
前記作動器により押されたとき前記第2の剛体によって移動される距離は、4mm未満に制限される、請求項13に記載のピックアーム。
【請求項15】
前記第1の可撓部および前記第2の可撓部は、それぞれ板ばねを備える、請求項1に記載のピックアーム。
【請求項16】
前記第1の可撓部および前記第2の可撓部は、オーステナイト系ステンレス鋼シート、または炭素繊維シートから製作される、請求項15に記載のピックアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスをボンディングのためにピックアップする、電子デバイスのためのボンダーなど、ピックアンドプレース装置のためのピックアームに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージング産業において使用される電子デバイスに対するボンダーは、半導体ダイまたはチップなど、電子デバイスをボンディングするための1つまたは複数のピックアームを有する。通常、ピックアンドプレース動作の過程における回転/直線運動と垂直運動との両方に対して、ピックアームを設計する必要があり、それは、1つの場所において、電子デバイスの供給部から電子デバイスを拾い上げて、電子デバイスを別の場所にある基板上にボンディングすることを含む。
【0003】
具体的に、ピックアームを垂直軸に沿って移動させる機構に関しては、このような運動をガイドするために、従来、軸受デバイスが使用される。軸受デバイスは、例えば、クロスローラガイド、直線運動ガイド、またはケージ軸受を備えることができる。このような軸受デバイスは、垂直軸に沿って、ある程度のコンプライアンスを導入するために、片持ち梁アーム上のばねの枢動部と共に使用され得る。他の進んだピックアーム設計はまた、垂直軸に沿った運動のための軸受デバイス、ならびにピックアームにおいてさらにわずかな微小垂直動作を可能にするように設計されたリニアモータを使用することができる。
【0004】
しかし、前述のものなどの軸受デバイスは、ボンダーのボンドヘッドモジュールにより担持される負荷を増加し、かつボンドヘッドモジュールの慣性モーメントを増加することが避けられず、それは、ボンドヘッドモジュールが、高速のダイボンディングシステムで使用される場合、重大な欠点になる。さらに、これらの軸受デバイスは、軸方向に隙間を有することになり、それは、ピックアンドプレース動作中に横方向の遊び、または端点の振動を誘起することになり、劣った位置精度を生ずる。さらに、このような軸受デバイスは、定期的な保守を必要とし、それは、不適切な保守に起因してボンドヘッドの寿命長さが低減され得るので望ましくない。生産および設計の観点からすると、このような軸受デバイスを実装することは、ボンドアーム構造の複雑さをさらに高め、また保守もしくは交換する必要のあるボンドアームモジュールで使用される部品の合計数をさらに増加し、動作コストを増加させる。
【0005】
このような軸受デバイスを利用する従来のピックアンドプレース装置により直面する少なくともいくつかの前述の欠点を回避するために、ピックアームにおける軸受デバイスの使用を低減できると有益なはずである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、ピックアームの性能を向上させるために、少なくとも1つの従来の軸受デバイスに代えて、可撓部を利用するピックアンドプレース装置のための向上させたピックアームを提供することを求めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、電子デバイスのためのピックアンドプレース装置のためのピックアームを提供し、それは、ピックアームをピックアームサポート上に取付け可能な近位端、およびコレットが電子デバイスを保持するために取り付けられる遠位端を有する主本体と、ピックアームの近位端に隣接して位置する第1の剛体、およびピックアームの遠位端に隣接して位置する第2の剛体と、第1の剛体を第2の剛体に接続する第1の可撓部および第2の可撓部であって、第1の可撓部は第2の可撓部から離間され、第1の可撓部および第2の可撓部は、互いに実質的に平行に配置された対向面を有する、第1の可撓部および第2の可撓部と、ピックアームのコレットを付勢して移動させるために、第1の剛体に対して第1の可撓部および第2の可撓部を曲げるべく、第2の剛体の上に付勢力を加えるように動作可能な作動器と、を備える。
【0008】
これらのおよび他の特徴、態様、および利点は、記述セクション、添付の特許請求の範囲、および添付図面を考慮すればよく理解されよう。
【0009】
本発明の実施形態が、例示のために過ぎないが、次に添付図面を参照して述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による複数のピックアームを組み込むボンディング装置の等角図である。
【
図2】
図1で示されたボンディング装置の側面図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態によるピックアームの等角図である。
【
図4】
図3で示されたピックアームの側面断面図である。
【
図5】電子デバイスのピックアップを行うとき、電子デバイスに接触するピックアームのコレットを示す図である。
【
図6】
図6Aは、待機位置にあるピックアームを示す図であり、
図6Bは、コレットを電子デバイスに接触させるように垂直力がピックアームに加えられた後のピックアームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面では、同様の部品は、同様の参照数字により示される。
【0012】
図1は、本発明の好ましい実施形態による複数のピックアーム12を組み込むピックアンドプレース、またはボンディング装置の等角図である。ボンディング装置は、複数のピックアーム12が、半導体チップなどの電子デバイス56(
図5を参照)を基板14上にボンディングするように回転可能に構成されたボンドヘッドモジュール10を備えるダイボンディング装置とすることができる。基板14は、基板位置決めテーブル16上に配置され、かつ固定され、テーブル16は、ベース20上に積み重ねられ、かつ互いに直交するように配置された2つのガイドレール18上に取り付けられる。ガイドレール18は、ピックアーム12の下の基板14上の複数のボンディング位置を正確に特定するために、基板位置決めテーブル16を、水平面上の様々な位置へと移動するようにガイドする。基板14のボンディング位置がピックアーム12の下に位置決めされた後、ピックアーム12は、保持している電子デバイス56をボンディング位置上にボンドすることができる。
【0013】
ボンドヘッドモジュール10は、複数のピックアーム12を基板位置決めテーブル16に対して回転させるための、ボンドヘッドモジュール10上に中心に位置するピックアーム回転モータ22をさらに含む。したがって、電子デバイス56を保持する各ピックアーム12は、電子デバイス56を基板14上にボンディングするために、基板位置決めテーブル16上の位置へと回転され得る。さらに、基板位置決めテーブル16上の配置位置の上方にある各ピックアーム12の停止位置の上方に位置する垂直作動器24がある。垂直作動器24は、電子デバイス56のボンディング中に、基板位置決めテーブル16上に位置するピックアーム12の上部を押して付勢力を加え、ピックアーム12を偏向させて基板14の方向に移動させるように動作可能である。
【0014】
図2は、
図1で示されたボンディング装置の側面図である。この図では、ロータ取付け部26が、回転タレット28の周縁に沿って取り付けられた複数のピックアーム12をサポートする回転タレット28の形態であり得るピックアームサポートを、ピックアーム回転モータ22に接続することが分かる。ピックアーム回転モータ22は、ピックアーム12が基板位置決めテーブル16の上の位置へと順次回転できるように、ロータ取付け部26およびタレット28を駆動して回転させる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態において示されるボンドヘッドモジュール10は、半導体デバイスなどの電子デバイスを基板にボンディングするためのタレット式ボンダーに対するものであり、基板は、事前にプリントされた半田またはフラックスを備えたPCB回路板の形態とすることができる。しかし、好ましい実施形態によるピックアーム12はまた、単一のピックアームを備えるボンダーなど、他のタイプのピックアンドプレース装置に対しても使用可能であることを理解されたい。
【0016】
電子デバイスの供給部30は、ボンドヘッドモジュール10の1つの側部に位置し、一方、基板位置決めテーブル16は、ボンドヘッドモジュール10の反対側に位置する。電子デバイスの供給部30は、半導体ウェーハから分離された半導体チップなど、分離された電子デバイスの母材(matrix)を保持するウェーハリングを備えることができる。したがって、電子デバイスの供給部30の下に位置する排出器32は、各電子デバイス56を上方に押して電子デバイス56を排出し、電子デバイス56の上に位置するピックアーム12によるそのピックアップを容易にすることができる。ピックアップ作動器24aは、ピックアップ位置における電子デバイスの供給部30の上に固定されて位置し、ピックアップ作動器24aに対してピックアップ位置へと移動されたピックアーム12に付勢力を加える。
【0017】
電子デバイス56が拾い上げられ、ピックアーム12により保持された後、ピックアーム回転モータ22は、別の電子デバイス56をピックアップするために隣接するピックアーム12を電子デバイスの供給部30の上に配置するように、タレット28を所定角だけ回転させる。その間に、ピックアーム12によりピックアップされた電子デバイス56は、ピックアーム12が、基板位置決めテーブル16上に固定されている基板14の上の配置位置に達するまで、ピックアーム回転モータ22の回転により、徐々に移動される。配置作動器24bは、電子デバイス56を付勢するために、配置位置の上に固定されて位置し、配置作動器24bに対して配置位置へと移動されたピックアーム12に付勢力を加える。この配置位置において、電子デバイス56は、基板14上へと下ろされ、そこで、電子デバイス56はボンディングされる。電子デバイス56を運ぶ次のピックアーム12は、次いで、基板14上に次の電子デバイス56をボンディングするために、基板14上の配置位置へと運ばれ、基板14上のすべてのボンディング位置が、ボンドされた電子デバイス56により占められるまで、以下同様に行われる。
【0018】
図3は、本発明の好ましい実施形態によるピックアーム12の等角図である。ピックアーム12の主本体は、近位端を有し、そこで、ピックアーム12は、タレット28上に取り付けられる、または取付け可能である。第1の、または近位の剛性取付け部40は、ピックアーム12の近位端に隣接して位置する。ピックアームはまた、遠位端を有し、そこに、コレット44が、電子デバイス56を保持するために取り付けられる。第2の、または遠位の剛性取付け部42は、ピックアーム12の遠位端に隣接して位置し、また遠位の剛性取付け部42は、近位の剛性取付け部40および遠位の剛性取付け部42の上部に存在する上部板ばね34、および近位の剛性取付け部40および遠位の剛性取付け部42の下部に存在する下部板ばね36など、可撓部の形態の1対の弾力性のある支持部材により、近位の剛性取付け部40に接続され、かつそれにより支持される。
【0019】
上部板ばね34および下部板ばね36は、近位の剛性取付け部40における上部板ばね34と下部板ばね36との間の距離が、遠位の剛性取付け部42における上部板ばね34と下部板ばね36との間の距離に実質的に等しいように分離される。
【0020】
このピックアーム構成では、1対の弾性のある支持部材(上部板ばね34および下部板ばね36の形態)は、実質的に互いに平行に配置されたそれらの各対向面を有する。上部および下部板ばね34,36ならびに第1の剛性取付け部40および第2の剛性取付け部42は共に、可撓性のある4バー(four-bar)機構として構成される。このような可撓性のある4バー機構は、それぞれが、等しい距離で可撓性の板ばねの間隔を空けるように構成され、かつ1対の可撓性の板ばねの両端に隣接して固定された2つの剛体を含む。剛体の一方(近位の剛性取付け部40)は、タレット28を介してロータ取付け部26に固定して取り付けられ、他方の剛体(遠位の剛性取付け部42)は、ピックアーム12のコレット44の垂直運動を制御するために他方の剛体の上に垂直作動器24からの押し付け力を加えることによって付勢されるように構成される。コレット44は、可撓性の板ばね34,36の遠位端に取り付けられ、したがって、それは、コレット44の隣の剛体上に垂直作動器24によって加えられる付勢力により作動され得る。
【0021】
図4は、
図3で示されたピックアーム12の側面断面図である。近位の剛性取付け部40および遠位の剛性取付け部42の上部および下部を分離するために、スペーサ50,51が使用され、したがって、上部板ばね34および下部板ばね36は、固定された分離距離で、互いに離間される。近位の剛性取付け部40および遠位の剛性取付け部42は、それぞれ、上部ロッキングプレート46,47、および下部ロッキングプレート48,49を用いて構成される。
【0022】
上部ロッキングプレート46,47、および下部ロッキングプレート48,49は、上部板ばね34および下部板ばね36を間に挟むように、近位の剛性取付け部40および遠位の剛性取付け部42において、各スペーサ50,51に固定される。このような固定は、各部品を共にリベット留めするためにリベット52を使用する、またはエポキシ接着剤もしくは同様のものなど、上部板ばね34および下部板ばね36に接着剤を塗布することによるなど、任意の適切な取付け手段により達成することができる。スペーサ50,51は、一方の板ばね34,36の可撓性の軸を、他方の板ばねのものと一致するように維持するために、等しい厚さを有する。こうすることは、軸方向およびねじり方向強度の望ましい特性を有する組立体を生成する。
【0023】
図4で示される待機方向において、垂直作動器24がその後退した位置にあり、遠位の剛性取付け部42に対して付勢力を加えていない場合、上部板ばね34の面は、概して水平面54上に配置され、また下部板ばね36の面は、上部板ばね34の面が存在する水平面54に対して平行な別の水平面上に配置される。
【0024】
図5は、電子デバイスの供給部30から電子デバイス56のピックアップを行うとき、電子デバイス56に接触するピックアーム12のコレット44を示す。電子デバイス56に接触するようにコレット44を付勢するために、下方の付勢力58が、遠位の剛性取付け部42に加えられる。下方の力58は、上部板ばね34および下部板ばね36を曲げるようにし、したがって、遠位の剛性取付け部42が、近位の剛性取付け部40に対して、水平面から離れるように偏向され、コレット44が電子デバイス56に接触するまで、コレット44をさらに水平面54の下に下方に偏向させる。この時点で、コレット44の口部に真空の吸引力が生成され、したがって、コレット44は、電子デバイス56を保持し、かつそれを電子デバイスの供給部30から拾い上げることができる。
【0025】
図6Aは、その待機位置におけるピックアーム12の図である。この位置では、上部板ばね34および下部板ばね36は、平行な水平面上に存在する。コレット先端の待機高さ60は、コレット44の先端が電子デバイスから、ピックアップされた位置まで離間されている。この位置では、ボンドヘッドモジュール10に取り付けられた垂直作動器24は、後退位置にあり、遠位の剛性取付け部42に対して付勢力58を加えていない。
【0026】
図6Bは、垂直力がピックアーム12に加えられて付勢力を与え、遠位の剛性取付け部42を押して、コレット44を電子デバイス56に接触するように移動させた後のピックアーム12の図である。垂直力を加えるために、垂直作動器24が、所定の距離だけ垂直下方に作動されて、遠位の剛性取付け部42を押し下げる。垂直作動器24は、上部板ばね34および下部板ばね36が曲がり、コレット44の先端を、十分にコレット先端の待機高さ60の下方になるような所定の距離だけ移動させるように構成され、したがって、それは、ピックアップされる電子デバイス56に接触するようになる。任意選択で、排出器32は、同時に、電子デバイス56をコレット44に向けて上方に押すことができ、その場合、コレット44は、より少なく下方に移動することができる。
【0027】
コレット44が、電子デバイス56を保持できるように、この時点で、コレット44の口部に真空吸引力が生成される。その後、垂直作動器24は、再度後退することができ、したがって、上部板ばね34および下部板ばね36を曲げるために、付勢力58をもはや加えることなく、したがって、上部板ばね34および下部板ばね36は、平行な水平面54上に配置されたその待機位置へと戻る。上部板ばね34および下部板ばね36がもはや付勢されず、水平面へと戻った後、ピックアーム回転モータ22は、タレット28を駆動して、電子デバイス56を基板14上にボンディングするために、電子デバイス56を保持するピックアーム12を、基板位置決めテーブル16に向けて増加させた回転位置へと回転することができる。
【0028】
可撓性の板ばねは、安定した性能が求められる指定範囲内で動作できることを保証するために、組立中に、2つの板ばね34,36の軸の位置合せに注意すべきである。板ばね34,36は、一定の限度を超える角度的な偏向に起因して損傷を受けやすいので、4mm未満の遠位の剛性取付け部42の垂直方向の変位は、許容可能であることが好ましく、また変位の程度は、ソフトウェアにより制御可能である。板ばね34,36は、オーステナイト系ステンレス鋼シート(SUS301またはSUS304)、または炭素繊維シートなど、任意の適切な弾性材料から作ることができる。炭素繊維シートが使用される場合、ピックアーム12の慣性モーメントは、ケージ軸受設計を組み込む従来のピックアームと比較して、約20%低減することができる。要約すると、この可撓性ボンドアームは、軽い質量、小さい慣性モーメント、およびより安定な端点設定を提供することができ、電子デバイスに対するより正確なピックアンドプレース動作が得られる。この可撓性設計のより高い剛性に起因して、より小さい横断方向および長手方向振動が得られるので有益である。
【0029】
本発明の好ましい実施形態で述べられたように、ピックアーム12には他の多くの利点がある。まず、ピックアーム12の製作コストは、部品の削減、ならびに複雑な組立作業の必要性を回避することにより下がる。さらに、ピックアーム12の可撓性の構成に起因して、従来のピックアームと比べて損傷を受けにくい傾向がある。その組立体は、従来の軸受ガイドで一般に経験される不必要な横方向の遊びをなくすので、可撓性の軸に対して高い精度および剛性が達成される。さらに、ピックアーム12の長手方向と横断方向とは共に、比較的強度があり、従来技術と比較して、ねじりおよび長手方向振動が減少する。
【0030】
単一の、または複数のピックアーム設計に対して1対の板ばねを使用することは、本発明を限定するものではなく、例示のためにだけ述べられていることを理解されたい。このようなピックアーム12を使用することは、ダイボンダーにおける用途に限定されるものではなく、デバイスを操作するために、正確なジョイント接続を必要とする任意の機械設計において使用され得る。1対の板ばねに代えて、2対の板ばねを使用することができ、各平面に沿って1つに代えて2つの板ばねが展開される。当然ではあるが、当業者であれば、上記で開示されたピックアーム12の特有の構成および配置の他の変形形態を、添付の特許請求の範囲で定義された本発明から逸脱することなく、製作することも可能である。
【0031】
本発明が、いくつかの実施形態を参照してかなり詳細に述べられてきたが、他の実施形態もまた可能である。
【0032】
したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲は、本明細書に含まれる実施形態の記述に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0033】
10 ボンドヘッドモジュール
12 ピックアーム
14 基板
16 基板位置決めテーブル
18 ガイドレール
20 ベース
22 ピックアーム回転モータ
24 垂直作動器
24a ピックアップ作動器
24b 配置作動器
26 ロータ取付け部
28 回転タレット
30 電子デバイスの供給部
32 排出器
34 上部板ばね
36 下部板ばね
40 近位の剛性取付け部
42 遠位の剛性取付け部
44 コレット
46 上部ロッキングプレート
47 上部ロッキングプレート
48 下部ロッキングプレート
49 下部ロッキングプレート
50 スペーサ
51 スペーサ
52 リベット
54 水平面
56 電子デバイス
58 下方の付勢力
60 待機高さ
【外国語明細書】