(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046357
(43)【公開日】2023-04-04
(54)【発明の名称】払い出し機構を備えた巻取機
(51)【国際特許分類】
B65H 19/30 20060101AFI20230328BHJP
B65H 18/20 20060101ALI20230328BHJP
B65H 23/16 20060101ALI20230328BHJP
A47K 10/16 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
B65H19/30
B65H18/20
B65H23/16
A47K10/16 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021154963
(22)【出願日】2021-09-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】510152585
【氏名又は名称】比奈鉄工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆
(72)【発明者】
【氏名】西家 昌邦
【テーマコード(参考)】
2D135
3F055
3F064
3F104
【Fターム(参考)】
2D135AA21
2D135AB02
2D135AB06
2D135AB13
2D135AD04
3F055AA02
3F055DA26
3F055EA01
3F055FA05
3F064AA01
3F064CA10
3F064EB17
3F104AA01
3F104EA00
(57)【要約】
【課題】ログの排出を容易に行うことが可能な払い出し機構を備えた巻取機の提供。
【解決手段】原反ロールR1から巻き出して抄紙S1を巻き取る巻取機300において、巻き取った抄紙S1で構成されるログR2を保持するスリッター100を備え、ログR2の浮き上がりを押さえるライダーローラー131と、ログR2を支持する第1支持ローラー111A及び第2支持ローラー111Bと、を備え、ログR2の下側を支持し、巻き終わったログR2を排出するにあたって、排出側に配置される第1支持ローラー111Aを第2支持ローラー111Bの高さより低く変更することで、巻き終わったログR2を排出する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反ロールから巻き出して抄紙を巻き取る巻取機において、
巻き取った前記抄紙で構成されるログを保持するロール保持部に、
前記ログの浮き上がりを押さえるライダーローラーと、
前記ログを支持する一対の支持ローラーと、を備え、
前記支持ローラーは、第1支持ローラーと第2支持ローラーよりなり、前記ログの下側を支持し、
巻き終わった前記ログを排出するにあたって、排出側に配置される前記第1支持ローラーを前記第2支持ローラーの高さより低く変更することで、巻き終わった前記ログを排出すること、
を特徴とする巻取機。
【請求項2】
請求項1に記載の巻取機において、
前記第1支持ローラーと前記第2支持ローラーは、回動可能に支持された支持ベースにそれぞれ回転可能に保持され、前記第1支持ローラー側が前記第2支持ローラー側より低くなるように前記支持ベースを傾斜することで、巻き取った前記ログを排出すること、
を特徴とする巻取機。
【請求項3】
請求項2に記載の巻取機において、
前記支持ベースに、前記第1支持ローラー及び前記第2支持ローラーを回転させる回転駆動機構を備えていること、
を特徴とする巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取機についての技術に関する。詳しくは、紙製品の巻き取りを行う巻取機の払い出し機構についての技術である。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパーロールやキッチンペーパーロールなどの紙製品は、パルパーを用いて溶解した紙繊維を、抄紙機を用いてシート状にし、原反ロールと呼ばれる巨大な巻回体が最初に作られる。この原反ロールをワインダーに載置して巻き出し、ログと呼ばれるより小径の巻回体に巻き直し、ログカッターによって幅方向に切断して最終製品へと姿が変えられる。
【0003】
特許文献1には、トイレットロールの製品の製造方法及びトイレットロール製品に関する技術が開示されている。抄紙設備で製造した一次原反ロールをプライマシンにて薬液が付与された二次原反ロールとし、二次原反ロールを用いてワインダーにて二次原反ロールから薬液が付与された二次連続シートを巻き出している。
【0004】
特許文献2には、トイレットロールの製造方法及びトイレトロール製品に関する技術が開示されている。抄紙設備で製造した複数の一次原反ロールを、ワインダーにて積層した後、薬液付与、エンボス付与、製品径への巻き取りを行い、ログと呼ばれる小径のロールを製造し、この後の工程で幅方向のカットを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-170659号公報
【特許文献2】特開2013-70954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される製造方法を用いる場合には一次原反ロールを加工して二次原反ロールにした後、二次原反ロールを次の工程に移載する方法について記載されていない。二次原反ロールの直径は1000mm~5000mmとなるため、人手で搬送することは困難で、天井クレーンなどを用いて移動させることが想定される。天井クレーンなどを用いて作業する場合には、作業者のスキルに依存して作業時間が大きく異なる等の事情もあるため問題となっている。
【0007】
一方、特許文献2ではログを次工程に搬送する際に、ベルトコンベアを用いて後工程に搬送しているが、ログは幅が広いために直線で搬送する必要がある。したがって、一次原反ロールを巻き出すところからログを製品幅にカットする工程までを一続きの装置として工場内に配置する必要があり、スペースを必要とする。そうすると、製紙装置のレイアウトにも制限がでるため、できるだけ簡易な方法で二次原反ロール或いはログの排出ができる方法が望ましい。
【0008】
そこで、本発明はこの様な課題を解決し、ログの排出を容易に行うことが可能な払い出し機構を備えた巻取機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による払い出し機構を備えた巻取機は、以下のような特徴を有する。
【0010】
(1)原反ロールから巻き出して抄紙を巻き取る巻取機において、
巻き取った前記抄紙で構成されるログを保持するロール保持部に、
前記ログの浮き上がりを押さえるライダーローラーと、
前記ログを支持する一対の支持ローラーと、を備え、
前記支持ローラーは、第1支持ローラーと第2支持ローラーよりなり、前記ログの下側を支持し、
巻き終わった前記ログを排出するにあたって、排出側に配置される前記第1支持ローラーを前記第2支持ローラーの高さより低く変更することで、巻き終わった前記ログを排出すること、
を特徴とする。
【0011】
上記(1)に記載の態様により、原反ロールから巻き出した抄紙を巻き取って形成されたログの排出をスムーズに行うことが可能である。巻取機にて抄紙を巻き取るにあたっては、駆動部に接続された第1支持ローラーと第2支持ローラーを回転させることで、抄紙をログとして巻き取り、これを排出する際に第1支持ローラーを第2支持ローラーの高さより低くする。この結果、巻き終わったログをスムーズに排出することが可能となる。
【0012】
特許文献1の二次原反ロールにあたるログは、直径が大きくなるために持ち運びが困難である。しかし第1支持ローラーの高さを第2支持ローラーより低くすることで、巻き終えたログを排出することができるため、例えば移載用の台車を用意すれば、ロール保持部から台車の方に第1支持ローラーの高さを変えることで移載が容易に行える。この際には、ログを持ち上げる必要がないため作業性が向上する上、作業時間を短縮することができる。
【0013】
(2)(1)に記載の巻取機において、
前記第1支持ローラーと前記第2支持ローラーは、回動可能に支持された支持ベースにそれぞれ回動可能に保持され、前記第1支持ローラー側が前記第2支持ローラーより低くなるように前記支持ベースを傾斜することで、巻き取った前記ログを排出すること、
が好ましい。
【0014】
(3)(2)に記載の巻取機において、
前記支持ベースに、前記第1支持ローラー及び前記第2支持ローラーを回動させる回転駆動機構を備えていること、
が好ましい。
【0015】
上記(2)または(3)に記載の巻取機により、支持ベースを回転させることで一体的に傾斜するため、スムーズにログの排出を行うことができる。作業性が向上し安全性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の、巻取機に関する模式図である。
【
図5】本実施形態の、キャンセラでの巻回開始の様子を示す説明図である。
【
図6】本実施形態の、キャンセラでの巻回終了の様子を示す説明図である。
【
図7】本実施形態の、キャンセラでの払い出しの様子を示す説明図である。
【
図8】本実施形態の、ログを巻回する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明の実施形態について、図面を用いて説明を行う。
図1に、本実施形態の、巻取機300に関する模式図を示す。
図2に、スリッター100の側面図を示す。巻取機300は、スリッター100とワインダー200よりなり、スリッター100には、キャンセラ110と、軸支持機構部120、押さえ機構部130、そしてスリット機構部140を備えている。巻取機300は、ワインダー200にセットした原反ロールR1から抄紙S1を巻き出し、キャンセラ110で抄紙S1を巻き取ってログR2を形成する装置である。
【0018】
ワインダー200は
図1に示すように、第1ワインダー200Aと第2ワインダー200Bの2基からなる。そして、第1ワインダー200A及び第2ワインダー200Bには、それぞれに原反ロールR1がセットされる。そして、原反ロールR1から抄紙S1は重ねられて2プライ(いわゆるダブル)にしてスリッター100に搬送される。なお、ワインダー200は2つではなく3つ用意することで抄紙S1を3プライ(いわゆるトリプル)とすることも可能であるし、ワインダー200を1つだけ用意して抄紙S1を1プライ(いわゆるシングル)とすることも可能である。
【0019】
図3に、スリッター100の断面図を示す。
図3は
図2の第1側板105Aを外して見せた筐体150の内側の様子を示す図となっている。
図4に、スリッター100の正面図を示す。原反ロールR1から巻き出された抄紙S1を重ねて2プライにする(以降、2プライにされたものも区別せずに抄紙S1と記す)。
【0020】
キャンセラ110には、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bが回動可能に駆動側支持板112A及び側面支持板112Bに支持されている。駆動側支持板112A及び側面支持板112Bは、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bの幅方向両端側に1枚ずつ設けられる板材であり、ベース101に固定された支持マウント102にそれぞれ回動可能に支持されている。
【0021】
駆動側支持板112A及び側面支持板112Bは棒状の連結部材113によって連結されている。同径とされた第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bは駆動側支持板112A及び側面支持板112Bに固定された支持ローラー軸受114によって回転可能に保持されている。ログR2は、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bによって下面を支持される構造となる。
【0022】
第1支持ローラー111Aの駆動側支持板112Aに保持された側の端部には、第1従動プーリーP2が固定され、第2支持ローラー111Bの駆動側支持板112Aに保持された側には、第2従動プーリーP3が固定される。駆動側支持板112Aに固定されている駆動モータ103の軸に取り付けられた駆動プーリーP1と、駆動側支持板112Aに回動可能に保持されるアイドラープーリーP4とテンショナープーリーP5、及び前述した第1従動プーリーP2と第2従動プーリーP3に駆動ベルト115が巻き掛けられる。この駆動ベルト115によって駆動モータ103からの駆動力が伝達される。このため、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bは、同じ速度で同方向に回転する。
【0023】
軸支持機構部120は、ログR2を軸支持する目的で設けられた巻取軸121と、それを回動可能に支持する中心軸受122及び中心軸受122が固定される第1昇降ガイド板123A及び第2昇降ガイド板123Bよりなる。第1昇降ガイド板123Aと第2昇降ガイド板123Bは板状の部材であり、中心軸受122及び中心軸受122の間に配置される支持柱124によって接続されて支持されている。
【0024】
軸支持機構部120は、キャンセラ110に隣接して配置される筐体150に昇降可能に保持される。筐体150は、第1側板105Aと第2側板105Bの2枚の板状部材とその間を繋ぐ2本の梁106によって構成される。第1側板105Aと第2側板105Bの下面はベース101に接して位置決めされて固定される。上部は平行に配置された梁106によって連結される。
【0025】
この筐体150には、第1リニアガイド107及び第2リニアガイド108がそれぞれ垂直方向に設置されて、第1昇降ガイド板123Aと第2昇降ガイド板123Bをガイドしている。第1リニアガイド107は、筐体150に隣接して配置されているキャンセラ110側の第1昇降ガイド板123Aと第2昇降ガイド板123Bの側面に固定され、第2リニアガイド108は、筐体150の内側に配置されるように第1側板105Aと第2側板105Bの表面に固定される。したがって、軸支持機構部120は、2本の第1リニアガイド107と2本の第2リニアガイド108の合計4本のリニアガイドによってガイドされ、筐体150の内部を昇降する。
【0026】
第1側板105A及び第2側板105Bの外側には、それぞれ昇降シリンダ104のヘッド側端部が支持されており、第1昇降ガイド板123A及び第2昇降ガイド板123Bに、それぞれ昇降シリンダ104のロッド側端部が支持されている。つまり、第1昇降ガイド板123Aは、第1側板105Aに端部が支持された昇降シリンダ104によって、第2昇降ガイド板123Bは、第2側板105Bに端部が支持された昇降シリンダ104によって、昇降される。すなわち2本の昇降シリンダ104によって軸支持機構部120が昇降される。
【0027】
巻取軸121は、
図4に示すように第2側板105Bの側に張り出して支持されている軸外し機構126によって、取り外しが可能である。軸把持ブラケット128によって巻取軸121の端部を保持した状態で、ガイド付きシリンダ127を作動させることで、ログR2からその中心を貫通する巻取軸121を取り外すことができる。この際に、巻取軸121の両端を保持している中心軸受122からは巻取軸121が取り外されている。
【0028】
押さえ機構部130は、ライダーローラー131と、ライダーローラー131を支持する左右に備えられたライダーアーム132を備えている。ライダーローラー131は図示しない軸受けなどを介して2枚のライダーアーム132の先端側に回転可能に支持されており、ライダーアーム132は左右に備える第1昇降ガイド板123A及び第2昇降ガイド板123Bにライダーアーム132の中央辺りで回転可能に保持されている。
【0029】
また、2枚のライダーアーム132の間には、アーム支持柱134が備えられている。ライダーアーム132の後端部には、アーム回動シリンダ125のロッド側端部が回動可能に固定され、一方で、第1昇降ガイド板123A及び第2昇降ガイド板123Bにアーム回動シリンダ125のヘッド側端部が回動可能に固定されている。つまり、ライダーアーム132の一端側にアーム回動シリンダ125のロッド側先端が接続され、他端側にライダーローラー131が保持されているので、アーム回動シリンダ125を伸縮することで、ライダーアーム132を回動させ、ライダーローラー131を昇降させることができる。この結果、ライダーローラー131でログR2の上面を押さえるように機能させる。
【0030】
キャンセラ110と、筐体150を構成する第1側板105A及び第2側板105Bとは、傾斜シリンダ109で接続されている。第1側板105A及び第2側板105Bには、傾斜シリンダ109のヘッド側端部が回動可能に支持されて、キャンセラ110を構成する駆動側支持板112A及び側面支持板112Bには、傾斜シリンダ109のロッド側端部が回動可能に支持されている。
【0031】
筐体150には、テンションコントロール機構151とグリップ機構152が備えられていて、テンションコントロール機構151の働きによって抄紙S1の巻き取りをコントロールしている。詳細は割愛するが、テンションコントロール機構151は第1側板105Aと第2側板105Bに保持されているローラーを備えて抄紙S1に負荷をかけることでテンションをコントロールしており、グリップ機構152はログR2を巻き終えた際に、抄紙S1を保持しておくために抄紙S1を上下から挟み込むことが可能な構成となっている。ログR2が巻き終わった段階で抄紙S1を挟み込み、ログR2の端部でカットする。
【0032】
本実施形態の巻取機300は上記構成であるため、以下に説明するように動作する。
図5は、キャンセラ110での巻回途中の様子を示している。
図6は、キャンセラ110での巻回終了時の様子を示している。
図7は、キャンセラ110でのログR2の払い出しの様子を示している。
図8は、抄紙S1を巻き取ってログR2が成長する様子を示す。
図8は側面からの断面図となっている。
【0033】
原反ロールR1は図示しない抄紙機で作られた抄紙S1が大径に巻き取られたものであり、作業者が持ち上げることが困難なので、天井クレーンなどを用いて第1ワインダー200A及び第2ワインダー200Bにセットする。この際に、第1ワインダー200A及び第2ワインダー200Bの幅方向両側に配置されるV字プレート201の、対向して略V字状に形成される斜面部201aに原反ロールR1の軸部がガイドされる。斜面部201aが略V字状に形成されて原反ロールR1の軸をガイドする。
【0034】
原反ロールR1から抄紙S1を引き出して、スリッター100に通して行く。本実施形態では、第1ワインダー200A及び第2ワインダー200Bにそれぞれ原反ロールR1をセットして、原反ロールR1に巻かれた抄紙S1を引き出し、2枚重ねて2プライにして、軸支持機構部120に支持される巻取軸121に固定する。
【0035】
そして、キャンセラ110に備えた第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bを、駆動モータ103を回転させることで駆動し、
図5及び
図6に示すようにログR2を形成する。ログR2は、駆動モータ103の回転速度にもよるが数分で巻き終わる。ログR2は、
図8に示すように上部からライダーローラー131によって押さえられながら形成される。ライダーローラー131のログR2に対する負荷は、アーム回動シリンダ125によって制御されている。
【0036】
ログR2が出来上がった段階で、巻取軸121を中心軸受122から外して軸外し機構126を用いて巻取軸121をログR2から取り外す。そして、ライダーローラー131をアーム回動シリンダ125によって持ち上げた状態で、傾斜シリンダ109を用いてキャンセラ110を傾けることで、ログR2を図示しない荷台に払い出す。
【0037】
本実施形態の払い出し機構を備えた巻取機300は上記構成であるため、以下に示すような作用及び効果を奏する。
【0038】
まず、本実施形態の巻取機300によって、二次原反ロールにあたるログR2の排出を容易に行うことが可能となることが効果として挙げられる。これは、原反ロールR1から巻き出して抄紙S1を巻き取る巻取機300において、巻き取った抄紙S1で構成されるログR2を保持するロール保持部に相当するスリッター100を備え、ログR2の浮き上がりを押さえるライダーローラー131と、ログR2を支持する一対の支持ローラーである第1支持ローラー111A及び第2支持ローラー111Bを備え、ログR2の下側を支持し、巻き終わったログR2を排出するにあたって、排出側に配置される第1支持ローラー111Aを第2支持ローラー111Bの高さより低く変更することで、巻き終わったログR2を排出することができるためである。
【0039】
これは、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bは、回転可能に支持された支持ベースとなる駆動側支持板112A及び側面支持板112Bにそれぞれ回動可能に保持され、第1支持ローラー111A側が低くなるようにキャンセラ110を傾斜することで、巻き取ったログR2を排出することを実現している。キャンセラ110の傾斜は傾斜シリンダ109の伸縮を行うことによって実現されている。つまり傾斜シリンダ109の先端が前進端にあるときはキャンセラ110が傾斜し、第1支持ローラー111Aが第2支持ローラー111Bより相対的に低くなることで、ログR2の排出が人手に頼らず可能となる。
【0040】
キャンセラ110には、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bを回転駆動させるための駆動モータ103と、駆動プーリーP1、第1従動プーリーP2、第2従動プーリーP3、及びアイドラープーリーP4とテンショナープーリーP5に駆動ベルト104が巻き掛けられてログR2を回転させる機能を備えている。このような駆動機構を備えながら、駆動側支持板112Aにコンパクトにまとめて取り付けられていることで、駆動ベルト104のテンションなどに影響を与えずにキャンセラ110ごと傾斜することが可能となっている。この傾斜は近くに設けられた作動ボタンを押すことで可能となる。
【0041】
課題にも示したが、ログR2は形成の過程で直径が大きくなるため、人手で排出することは困難である。しかし、キャンセラ110を傾斜させることでログR2の排出を可能にすることで、天井クレーンなどの設備を使って搬出する場合に比べて、大幅な作業時間の短縮が可能となる。キャンセラ110の隣に搬送用の台車をおいて、キャンセラ110を傾斜させればログR2の自重で排出が可能となるためである。また、作業者はログR2を持ち上げるなどの作業が不要となり、安全性の向上を図ることが可能となる。何より、作業の単純化によって作業者の習熟度を高める必要がなくなることが、作業の効率化に貢献する。
【0042】
以上、本発明に係る巻取機300に関する説明をしたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、本実施形態で示した機械の構造に関して、別の機能で置き換えることを妨げない。例えば、キャンセラ110は、傾斜シリンダ109の伸縮によって傾斜されているが、本質的には第1支持ローラー111Aの高さが第2支持ローラー111Bの高さに対して低くなれば良い。従って、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bの高さを変更するためにそれぞれ駆動機構を設けて昇降することを妨げない。尤も、駆動モータ103からの動力を伝達して第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bを回転させているため、その関係性を変更せずに傾斜させることが望ましく、本実施形態の態様が望ましい。
【符号の説明】
【0043】
100 スリッター
110 キャンセラ
111A 第1支持ローラー
111B 第2支持ローラー
130 押さえ機構部
131 ライダーローラー
300 巻取機
R1 原反ロール
R2 ログ
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反ロールから巻き出して抄紙を巻き取る巻取機において、
巻き取った前記抄紙で構成されるログを保持するロール保持部に、
前記ログの浮き上がりを押さえるライダーローラーと、
前記ログを支持する一対の支持ローラーと、を備え、
前記支持ローラーは、第1支持ローラーと第2支持ローラーよりなり、前記ログの下側を支持し、
前記第1支持ローラーと前記第2支持ローラーは、支持ベースにそれぞれ回転可能に保持され、
前記支持ベースは支持マウントに回動可能に支持され、
前記支持ベースの支軸は、前記第1支持ローラーの支軸より前記第2支持ローラー側に設けられ、
巻き終わった前記ログを排出するにあたって、排出側に配置される前記第1支持ローラーを前記第2支持ローラーの高さより低くなるように前記支持ベースを傾斜することで、巻き終わった前記ログを排出すること、
を特徴とする巻取機。
【請求項2】
請求項1に記載の巻取機において、
前記支持ベースの前記第2支持ローラー側と筐体を構成する側板との間に傾斜シリンダを備え、該傾斜シリンダを伸長させることで、前記支持ベースを傾斜させること、
を特徴とする巻取機。
【請求項3】
請求項2に記載の巻取機において、
前記支持ベースは、駆動側支持板及び側面支持板よりなり、
前記駆動側支持板の一面に前記第1支持ローラー及び前記第2支持ローラーを回転させる回転駆動機構を備え、前記一面の対向面に駆動モータを備えていること、
を特徴とする巻取機。