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特開2023-46399多層薄膜の干渉信号および偏光解析信号の同時測定のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023046399
(43)【公開日】2023-04-04
(54)【発明の名称】多層薄膜の干渉信号および偏光解析信号の同時測定のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20230328BHJP
   G01B 9/02001 20220101ALI20230328BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20230328BHJP
【FI】
G01B11/06 G
G01B9/02001
G01B11/24 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022150896
(22)【出願日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/261,540
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522375501
【氏名又は名称】アラギ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Allagi Inc.
【住所又は居所原語表記】10130 SW nimbus Avenue, Suite D-8, Portland, OR 97223, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ. ダーウィン
(72)【発明者】
【氏名】ランディー ジェームズ
【テーマコード(参考)】
2F064
2F065
【Fターム(参考)】
2F064CC04
2F064DD08
2F064EE01
2F064FF01
2F064FF07
2F064GG02
2F064GG23
2F064GG31
2F064GG38
2F065AA30
2F065AA53
2F065BB17
2F065CC31
2F065DD03
2F065FF50
2F065FF52
2F065GG04
2F065GG24
2F065HH13
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL04
2F065LL22
2F065LL37
2F065LL57
2F065QQ21
2F065QQ28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】偏光解析法および干渉法の同時(並行)利用によって、試料の光学特性を測定する。
【解決手段】光学系は、2つの直交する偏光状態に偏光された偏光を発するように構成された広帯域光源と、2つの直交する偏光状態に偏光された偏光を結合および分割するように構成された複数のビームスプリッターと、試料の表面に対して、偏光の干渉パターンを生成するように構成された干渉セルと、偏光を所定の箇所にフォーカスするように構成された複数のレンズと、角度および波長に応じて変化する前記偏光を分析するように構成された複数の検出器と、を含む。また、光学系は、光チョッパーの操作によって、参照アームを変調するよう構成された制御部を備え、これにより、光学系により生成されたデータにそれぞれ異なるデータ分析モードを使用することを可能にしている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉法および偏光解析法を同時実行するための光学系であって、
2つの直交する偏光状態に偏光された偏光を発するように構成された広帯域光源と、
前記2つの直交する偏光状態に偏光された前記偏光を結合および分割するように構成された複数のビームスプリッターと、
試料の表面に対して、前記偏光の干渉パターンを生成するように構成された干渉セルと、
前記偏光を所定の箇所にフォーカスするように構成された複数のレンズと、
角度および波長に応じて変化する前記偏光を分析するように構成された複数の検出器と、を含むことを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記広帯域光源は、光音響デバイスまたは偏光ビームスプリッターによって偏光される光を伝送するように構成されており、さらに、
前記広帯域光源は、第1の偏光の第1のビームおよび前記第1の偏光に直交する第2の偏光の第2のビームを生成する分光計である請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記複数のレンズは、第1のレンズと、第2のレンズと、第3のレンズと、を含み、
前記第1のビームは、第1のミラーで反射され、前記第1のビームをコリメートする前記第1のレンズを通過し、
前記第2のビームは、第2のミラーで反射され、前記第2のレンズを通過し、開口を通過し、さらに、前記第3のレンズを通過し、
前記第2のレンズおよび前記第3のレンズ、並びに、前記開口は、前記第2のビームからケーラー照明を生成するように、構成および配置されている請求項2に記載の光学系。
【請求項4】
第1の偏光ビームスプリッターをさらに含み、
前記第1のレンズを通過した後、コリメートされた前記第1のビームは、前記第1の偏光ビームスプリッターを通過し、これにより、コリメートされた前記第1のビームは、前記第1の偏光ビームスプリッターによって反射される前記第2のビームから生成されるケーラー照明と同軸になる請求項3に記載の光学系。
【請求項5】
前記干渉セルは、前記第1のビームおよび前記第2のビームから入射光を受けるように構成されており、
前記干渉セルは、第1の偏光ビームスプリッターと、測定アームと、参照アームと、を含み、
前記測定アームは、前記複数のレンズのうちの第4のレンズと、前記試料と、を含み、
前記第4のレンズは、前記第1の偏光ビームスプリッターと前記試料との間に配置されており、
前記参照アームは、前記複数のレンズのうちの第5のレンズと、第3のミラーと、を含み、
前記第5のレンズは、前記第1の偏光ビームスプリッターと前記第3のミラーとの間に配置されている請求項2に記載の光学系。
【請求項6】
前記干渉セルは、前記第1のビームおよび前記第2のビームのそれぞれを、前記参照アーム内での第1の通過レベルで、非偏光ビームスプリッターを通過させ、さらに、前記測定アーム内での第2の反射レベルで、前記非偏光ビームスプリッターで反射させるように構成されており、
前記参照アームおよび前記測定アームのそれぞれからの入射光は、前記非偏光ビームスプリッターにおいて再結合され、干渉する請求項5に記載の光学系。
【請求項7】
前記第4のレンズは、前記第1のビームの前記非偏光ビームスプリッターからの入射光を、コリメートされた光の第1のスポットで、前記試料の前記表面上にフォーカスし、
前記第5のレンズは、前記第2のビームの前記非偏光ビームスプリッターからの分岐光を、前記第1のスポットのサイズより大きいサイズの均一なケーラー照明の第2のスポットにする請求項6に記載の光学系。
【請求項8】
前記非偏光ビームスプリッターから発せられる前記第1のビームおよび前記第2のビームの干渉光を受けるように構成された第2の偏光ビームスプリッターと、
前記複数のレンズのうちの第6のレンズおよび第1の検出器を備える第1の検出アームと、
前記複数のレンズのうちの第7のレンズおよび第2の検出器を備える第2の検出アームと、をさらに含み、
前記第1の検出器および前記第2の検出器は、プロセッサーと通信する請求項6に記載の光学系。
【請求項9】
前記第1の検出アームは、前記第1の検出器上に光をフォーカスする前記第6のレンズを介して前記第2の偏光の前記干渉光を受けるように構成されており、
前記第2の検出アームは、前記第2の検出器上に光をフォーカスする前記第7のレンズを介して前記第1の偏光の前記干渉光を受けるように構成されている請求項8に記載の光学系。
【請求項10】
対物レンズの瞳面内の光および前記対物レンズの焦点面内の光の偏光状態を同時に画像化することによって、試料を画像化するための光学系であって、
2つの直交する偏光状態に偏光された偏光を発するように構成された広帯域光源と、
前記偏光状態を結合および分割するように構成された複数のビームスプリッターと、
前記対物レンズおよび画像化される前記試料を含む測定アーム、並びに、参照アームを含む干渉セルと、
前記偏光を所定の箇所にフォーカスするように構成された複数のレンズと、
前記対物レンズの前記焦点面内の光を検出するように構成された第1の検出アームと、
前記対物レンズの前記瞳面内の前記光の前記偏光状態を検出するように構成された回転分析器を備える第2の検出アームと、を含むことを特徴とする光学系。
【請求項11】
前記複数のレンズは、
コリメートされた光ビームを生成するように構成された第1のレンズと、
ケーラー照明を生成するように構成された第2のレンズおよび第3のレンズと、
前記対物レンズである前記測定アーム内の第4のレンズと、
前記参照アーム内の第5のレンズと、
前記第1の検出アーム内の第6のレンズと、
前記第2の検出アーム内の第7のレンズと、を含む請求項10に記載の光学系。
【請求項12】
前記第1の検出アームは、固定偏光子と、第1の検出器において検出される第1の偏光のケーラー照明を結像するように構成された第6のレンズと、を含み、
前記第2の検出アームは、前記回転分析器と、第2の検出器において検出され、前記回転分析器の偏光軸に沿った偏光のコリメートされた光を結像するように構成された第7のレンズと、を含む請求項11に記載の光学系。
【請求項13】
前記回転分析器は、第1の条件および第2の条件で動作するように構成されており、
前記第1の条件では、前記回転分析器は、前記偏光軸の1つまたは複数の離散的な箇所が直線状に並ぶ軸に沿った前記瞳面からの光を通過させ、
前記第2の条件では、前記回転分析器は、前記偏光軸を一定の周波数で回転させることにより、前記瞳面からの光を画像化する請求項12に記載の光学系。
【請求項14】
前記第2の検出器において検出された前記回転分析器の偏光軸に沿った偏光のコリメートされた光の信号は、前記瞳面の前記偏光状態のモデルなしの角度の関数として分析される請求項12に記載の光学系。
【請求項15】
光学系のための方法であって、
直行偏光の2つの偏光ビームに偏光される、広帯域光源からの光を伝送する工程と、
複数のビームスプリッターによって、前記直交偏光を結合および分割する工程と、
対物レンズおよび画像化される試料を含む測定アーム、並びに、参照アームによって、前記2つの偏光ビームのそれぞれからの光を干渉セルにおいて干渉させる工程と、
複数のレンズによって、偏光を、所定の箇所にフォーカスする工程と、
前記光学系の前記干渉セルの前記参照アーム内の光チョッパーによって、前記参照アーム内の光信号を変調する工程と、
プロセッサーにおいて、第1の検出アーム内の第1のセンサーから光検出信号の第1のセットおよび第2の検出アーム内の第2のセンサーから光検出信号の第2のセットを受信する工程と、
データ取得システムを備える前記プロセッサーによって受信された前記光検出信号の第1のセットおよび前記光検出信号の第2のセットにそれぞれ異なるデータ分析モードを使用することを可能にする工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記データ分析モードは、
前記光チョッパーが一定の周波数で回転し、前記プロセッサーが、第1の偏光の光学顕微鏡信号として、前記第1のセンサーから前記光検出信号の第1のセットを受信し、さらに、前記プロセッサーが、第2の偏光の干渉のない偏光解析信号として、前記第2のセンサーから前記光検出信号の第2のセットを受信する第1のモードと、
前記光チョッパーが、オフ状態にあり、前記プロセッサーが、前記第1の偏光の干渉信号として、前記第1のセンサーから前記光検出信号の第1のセットを受信し、さらに、前記プロセッサーが、前記第2の偏光の偏光解析信号として、前記第2のセンサーから前記光検出信号の第2のセットを受信する第2のモードと、を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記光チョッパーの回転は、前記プロセッサーの前記データ取得システムと同期されている請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のモードにおいて、前記プロセッサーの前記データ取得システムは、前記第1の偏光の前記干渉信号および前記第2の偏光の前記偏光解析信号を、順次または同時に、一緒に回帰するように構成されている請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の偏光の前記干渉信号および前記第2の偏光の前記偏光解析信号の前記回帰は、前記試料の膜厚およびトポグラフィを記述するための一般化モデルにフィッティングされる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記光検出信号の第1のセットは、前記第1のモードおよび前記第2のモードで比較され、
前記光検出信号の第2のセットは、前記第1のモードおよび前記第2のモードで比較される請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される技術の実施形態は、一般的に、偏光解析法(ellipsometry)および干渉法(interferometry)の同時(並行)利用(concurrent application)によって、試料の光学特性を測定するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの従来の光学系は、調査対象の薄膜の光学特性(例えば、膜厚、光学吸収等)を測定するために、反射率計(reflectometers)、偏光解析器(ellipsometers)、または分光計(spectrometers)を利用する。他の光学系は、干渉計(interferometers)または回折計(diffractometers)を使用して、薄膜の材料特性を推測する。これらの光学系の多くは、光およびモデルを使用し、薄膜の膜厚、トポグラフィ(topography)、または他の特性を推定する、本質的に非破壊的なものであると考えられている。
【0003】
いくつかのケースにおいて、光学系は、測定アプローチの一部として、広帯域光(例えば白色光)を利用し、測定結果を、波長に応じてフィッティングすることができる。他のアプローチは、単一波長の光を使用する。これにより、モデリングおよび光学系を、単純化することができる。多くのケースにおいて、従来の光学系は、測定中の薄膜に対するプローブとして、偏光(polarized light)を使用する。これらの手法の多くは、薄膜との相互作用によって誘起される位相シフトを測定しながら、プローブ光の位相を変調する。
【0004】
薄膜の測定は、半導体、ディスプレイ、レンズなどの製造において、一般的に行われる工業的行為である。従来の技術は、通常、接触技術を超える測定速度を有していることから、本質的に光学的なものである。しかしながら、光学技術を用いて、多層膜、複合膜、薄膜のトポグラフィまたは膜厚を測定するためには、いくつかの課題が存在する。具体的には、薄膜がリソグラフィーでパターン化された特徴物上に堆積されている場合、これらの埋め込み構造は、試料からの光学応答を変更させ得るため、測定における課題となっている。いくつかの従来の測定技術は、測定値をモデルに一致させるために、繰り返される表面下の構造(repeated subsurface structure)に依存している。他のアプローチは、いくつかの技術の逐次的な組み合わせを使用する。これは、孤立した、非反復的な基礎構造への適用可能性を拡張する。結果として、これらのアプローチは、一般に、システム設計およびモデリングをより複雑にしてしまい、望ましくないコストおよび時間を増加させる。
【0005】
さらに、従来の干渉法測定は、典型的には、試料表面のトポグラフィ特徴を解釈するための物理的モデルを利用しない。代わりに、測定値は、直接測定値(direct measurement)であるとされ、較正処理を必要とする。対照的に、偏光解析法測定は、間接的またはモデル化された結果であると言われており、膜厚を抽出するために、材料の物理的光学特性(複素屈折率)の回帰またはモデルを必要する。これは、複雑な薄膜の干渉データおよび偏光解析データ(interferometric and ellipsometric data)の統合を、より困難にする。
【0006】
1つの例では、上述の問題は、干渉法および偏光解析法を同時(並列)実行するための光学系によって対処され得る。該光学系は、2つの直交偏光状態に偏光された偏光を発するように構成された広帯域光源と、2つの直交偏光状態に偏光された偏光を結合および分割をするよう構成された複数のビームスプリッターと、試料の表面に対して干渉パターンを生成するように構成された干渉セルと、偏光を所定の箇所にフォーカスするように構成された複数のレンズと、角度および波長に応じて偏光を分析するように構成された複数の検出器と、を備える。特に、開示される技術は、一般に、試料と参照表面との間における、s偏光状態とp偏光状態との間の位相差である波長依存性の偏光解析位相(wavelength dependent ellipsometric phase)と、s偏光状態またはp偏光状態の位相差である干渉位相(interferometric phase)とを同時(並列)に測定するためのシステムおよび方法を提供する。表面上に複雑な薄膜を有する試料では、干渉位相が、支配的とは見なせない薄膜の光学特性によって変化され、表面下での干渉に起因する、および/または、複雑な膜の材料特性(具体的には、導電率または複雑な分散)によって、いくらかの量だけ遅延または位相シフトされる。さらに、試料表面上の複雑な繰り返し構造は、格子のように作用し、明確に定義された様式で、光を散乱させる。偏光解析位相および干渉位相を、(任意の複素振幅情報とともに)同時に(並列して)測定することによって、試料のより詳細な光学特徴を得ることができる。
【0007】
s偏光状態およびp偏光状態の相対位相、並びに、s偏光状態および/またはp偏光状態のいずれかにおいて誘起される位相シフトの両方を測定することによって、試料からの光学応答を記述するための一般化モデルが、作成され得る。偏光特性と干渉特性の両方を順次または同時に、一緒に回帰することによって、制約が無く、浮動変数の数を減らすことができ、これにより、膜厚およびトポグラフィの信頼できる結果が得られる。1つの例では、回帰処理は、測定値を取得することと同時に(並列して)、行われてもよい。別の例では、回帰処理は、実際の測定の前に行われてもよく、その後、ルックアップテーブルが、薄膜特性を特定するために使用される。他の例では、ルックアップテーブルと回帰処理との組み合わせを使用して、所望の薄膜特性を解明することができる。
【0008】
測定は、1つまたは複数の波長にわたって行うことができる。複数の波長にわたるデータを組み合わせて、試料の光学特性を記述することができる。データは、システムおよび試料の広帯域光学応答を使用することによって、モデル化され得る。システムの較正(キャリブレーション)は、光学特性およびトポグラフィ特性が既知の試料を使用することによって実行されてもよい。試料の波長応答は、モデリングプロセスに含まれてもよく、または浮動パラメーターとして使用されてもよい。
【0009】
薄膜の干渉信号および偏光解析信号を同時測定することによって、薄膜のより詳細な光学的特徴付けを達成できるという技術的効果を効率的に得ることができる。さらに、薄膜の干渉信号および偏光解析信号を同時測定することにより、試料を機械的に移動させることなく、および/または、光学系に要素(component)を追加または光学系から要素を除去することなく、膜厚特性およびトポグラフィを同時に判別することができる。加えて、開示される技術は、少数の浮動変数を有する一般化モデルにフィッティングするための複雑な多層透明フィルム積層光学特性を測定する能力を可能にし、より単純で正確なモデリングプロセスを可能にする。さらに、開示された技術は、有利には、試料表面からの反射によって生成される位相変化を補償し、高速製造のための薄膜特性評価のための信頼できるソリューションを容易にする。
【0010】
上記の概要は、発明を実施するための詳細な説明においてさらに説明されるコンセプトの一部を簡略化された形で紹介するために提供されていることを理解されたい。特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意味するものではなく、本発明の範囲は、詳細な説明に続く特許請求の範囲によって一意的に規定される。さらに、特許請求される主題は、上記または本開示の任意の部分において言及される任意の欠点を解決する実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、偏光解析器の概略的な例を示す。
【0012】
図2図2は、Linnik型干渉計の概略的な例を示す。
【0013】
図3図3は、本発明に係る、偏光解析法および干渉法を同時に行うためのシステムの第1の例示的な実施形態を示す。
【0014】
図4図4は、本発明に係る、偏光解析法および干渉法を同時に行うためのシステムの第2の例示的な実施形態を示す。
【0015】
図5図5は、本発明に係る、偏光解析法および干渉法を同時に行うためのシステムの第3の例示的な実施形態を示す。
【0016】
図6図6は、本発明に係る、偏光解析法および干渉法を同時に行うためのシステムの第4の例示的な実施形態を示す。
【0017】
図7図7は、本発明に係る、試料の光学特性を測定するための図3のシステムを利用する例示的な方法のフローチャートを示す。
【0018】
図8図8は、本発明に係る、試料の光学特性を測定するための図4のシステムを利用する例示的な方法のフローチャートを示す。
【0019】
図9図9は、本発明に係る、試料の光学特性を測定するための図5のシステムを利用する例示的な方法のフローチャートを示す。
【0020】
図10図10は、本開示に係る、試料の光学特性を測定するための図6のシステムを利用する例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態は、一般に、製造された製品の薄膜特性を測定するために使用される方法および装置に関する。様々な産業は、典型的には、製品の品質管理および製造行為の正当さを保証するために、複数の薄膜測定に頼っている。いくつかのケースにおいては、これらの薄膜測定は、プロセスフローに組み込まれ、例えば、準備組立(プレアセンブリ)または統合(インテグレーション)のために、ユニットレベル仕様が満たされることを保証する。薄膜の測定される典型的な特性は、表面トポグラフィ(surface topography)および膜厚である。(他の光学特性に加えて)薄膜の表面トポグラフィを測定する標準的な方法は、偏光解析器(ellipsometer)によって提供することができる。図1は、偏光解析器の概略的な例を示している。それに対応して、薄膜の厚さは、干渉法(interferometry:干渉分光法ともいう)によって測定することができる。図2は、Linnikタイプのスペクトル干渉計の概略的な例を示している。干渉法と偏光解析法の両方は、単一の光学系において組み合わされてもよい。干渉法と偏光解析法が組み合わされた単一の光学系において、光学系の第1の検出アームにおいて受信された信号の測定によって、干渉信号(interferometric signal)を取得することができ、さらに、光学系の第2の検出アームにおいて受信された信号の測定によって、偏光解析信号(ellipsometric signal)を取得することができる。第1の実施例では、干渉信号および偏光解析信号が、偏光ビームスプリッターによって分離される。さらに、第1の検出アームで取得された信号は、1つの偏光のケーラー照明(Koehler illumination)の干渉信号である。一方、第2の検出アームで取得された第2の信号は、直交偏光のコリメートされたビームの偏光解析信号である。図3は、光学系のそのような例示的な実施形態を示している。代替的に、干渉の遮断を可能とし、純粋な偏光解析信号または純粋な偏光された光学顕微鏡信号の取得を可能にするために、図3の光学系の参照アームに、光チョッパーが設けられてもよい。図4は、光学系のそのような例示的な実施形態を示している。図3の光学系に対するさらなる変更は、非偏光ビームスプリッターによって、第1の検出アームおよび第2の検出アームにおいて受信される信号を分離することを含み、さらに、第1の検出アーム内の固定偏光子と、第2の検出アーム内の回転検光子(rotating analyzer)と、を含む。これは、コリメートされたビームの偏光の回転を測定することによって、偏光解析信号のさらなる特徴付けを可能にすることができる。図5は、そのような光学系を示している。図6は、参照アーム内に、追加の光チョッパーを有する図5のシステムを示している。したがって、図7図10は、それぞれ図3図6の光学系の動作のための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0022】
図1は、米国特許第11,269,204号に含まれる構成に従う偏光解析器100を示している。偏光解析器100は、表面上に形成された1つ以上の層114を有する試料112を評価する目的で使用される。典型的には、層114は、誘電体層または金属層である。
【0023】
偏光解析器100は、プローブビーム122を生成するための光源120を含む。1つの例では、光源120は、安定した狭波長ビームを生成するレーザーである。光源の他の変形例を、以下に説明する。別の例では、光源120の出力は、偏光される。代替的に、偏光子をビームの経路に配置して、偏光制御を提供してもよい。
【0024】
この場合、プローブビーム122は、ビームスプリッター124によって、試料に向けられている。ビームは、フォーカス要素126によって、試料上にフォーカスされる。フォーカス要素126は、偏光解析信号の測定のために、試料に対する入射角の大きな広がりを作り出すために、比較的高い開口数(NA)を有している。1つの例では、フォーカス要素126は、少なくとも0.5、より好ましくは0.9程度のNAを有している。0.5のNAを有するフォーカス要素は、法線に対して0~30度の入射角を作り出す。0.9(またはそれ以上)のNAは、法線に対する入射角の範囲が、約64度(およびそれ以上)となる。
【0025】
1つの例では、フォーカス要素126は、複合顕微鏡対物レンズ(compound microscope objective)である。フォーカス要素126は、レンズ、ミラー、またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。さらに別の例では、プローブビームは、スポットサイズが約10ミクロン以下となるようフォーカスされ、いくつかのケースでは、プローブビームは、より好ましくは、約1ミクロン程度のスポットサイズにフォーカスされる。
【0026】
試料から反射された光は、レンズ126によって集光され、光検出器(photodetector)130に向けられる。光検出器130に到達する前に、プローブビーム122は、補償器(compensator)を通過する。この場合、補償器は、ビームの偏光状態の1つの位相を遅延させるための1/4波長板140である。1/4波長板は、プローブビームが試料に当たる前のビーム経路内に配置されている。後者のアプローチは、レンズ126によって生じる収差を低減することにおいて、いくつかの利点を有し得る。好ましい実施形態では、補償器は、90度の位相遅延を生じさせることができるが、より大きいまたはより小さい位相遅延も可能である。
【0027】
次に、ビームは、ビームの2つの偏光状態を互いに干渉させるように機能する直線偏光子144を通過する。所望の信号を最大化するために、偏光子の軸は、1/4波長板140のファスト軸(fast axis)およびスロー軸(slow axis)に対して45度の角度で傾いて配置される。試料状態に応じて変わるが、偏光子の最適な傾き(配向)は、1/4波長板のファスト軸およびスロー軸に対して30度~60度の間のいずれかとなるであろう。
【0028】
光検出器130は、好ましくは、光検出素子またはピクセル132の2次元アレイから構成される。このような構成は、市販の電荷結合素子(CCD)アレイにおいて典型的である。光検出器130の素子からの出力は、プロセッシングユニットを含む制御部150に供給される。また、制御部150は、1/4波長板140の位置を(場合によっては、直線偏光子144の位置も)制御し、モニタリングすることができる。
【0029】
図1に見られるように、プローブビーム122の一部は、ビームスプリッター124を直接通過して、入射パワー検出器(incident power detector)156に入射する。入射パワー検出器156は、プローブビーム光源の出力パワーの変動をモニタリングするために設けられている。また、入射パワー検出器156の出力は、正規化を提供するために、制御部に供給される。
【0030】
状況によっては、2つ以上の波長で測定値を得ることが望ましい場合がある。レーザー光源がコヒーレントビームを生成するようになるように、非常に小さいスポットサイズで測定することが望まれる場合、光源120は、それぞれが異なる波長で出力する2つ以上のレーザーを備えてもよい。これらのレーザーは、複数の異なる波長のデータを生成するために、順次励起される。代替的に、光源120は、チューナブルレーザーを含んでもよい。
【0031】
光源120は、多色プローブビームを生成する白色光源であってもよい。次に、光源と検出器との間の光路の任意の箇所に、波長選択フィルター160(図1に破線のボックスで示す)が配置される。フィルターは、ビームの経路内において選択的に移動される単純なバンドパス(カラー)フィルターであってもよい。代替的に、狭い波長領域を順次選択するために、モノクロメーター(monochrometer)を使用することもできる。
【0032】
図2は、Linnik干渉計200の概略的な例を示す。Linnik干渉計200の構成は、2018年4月20日発行のApplied OpticsのVol. 57, No. 12に示されている構成に従う。Linnik干渉計200を使用して、試料260を評価することができる。試料260は、例えば、基板の上面上に薄膜を備えている。Linnik干渉計200は、試料260の厚さの測定値を提供するために利用される。
【0033】
Linnik干渉計200は、光源280を含む。図2に示す例示的な実施形態では、光源280は、光ファイバーケーブルを通過することができる白色光源を含んでいてもよい。好ましい実施形態では、光源280は、ハロゲンランプであってもよく、光がレンズ275を通過した後に、白色光のコリメートされたビームが生成される。
【0034】
次に、レンズ275によって投影されたコリメートされた白色光は、第1のビームスプリッター235を通過し、コリメートされた白色光の2つのビームに分割される。2つのビームのうちの第1のビームは、Linnik干渉計200の参照アーム257の第1の対物レンズ240に入る。2つのビームのうちの第2のビームは、Linnik干渉計200の参照アーム257内のLinnik干渉計200の測定アーム256の第2の対物レンズ255に入る。好ましくは、参照アーム257の第1の対物レンズ240および測定アーム256の第2の対物レンズ255は、共通の光学特性(例えば、一致した開口数)を有する。第1の対物レンズ240は、第1のビームスプリッター235からの入射コリメート光を、参照ミラー245上にフォーカスさせるように機能する。第1のビームスプリッター235と参照ミラー245との間の距離は、制御部285によって制御される機械アクチュエーター250によって、調整可能である。1つの例では、機械アクチュエーター250は、チタン酸ジルコン酸鉛またはPZTで作られた圧電デバイスである。
【0035】
第1のビームスプリッター235からの光の第2のビームは、測定アーム256の第2の対物レンズ255に入り、ステージ265上に取り付けられた試料260上にフォーカスされる。ステージは、ステッピングモーター270に連結されており、試料260の面内での試料260の位置の任意の機械的操作を可能にし、試料260上の複数の異なる点に沿った試料厚さの画像化を可能とする。
【0036】
試料260において散乱および/または回折された測定光は、第2の対物レンズ255を通過して、第1のビームスプリッター235を通過し、第2のビームスプリッター220で受けられる。同様に、参照ミラー245で反射された参照光は、第1の対物レンズ240を通過して、第1のビームスプリッター235で反射され、第2のビームスプリッター220で受けられる。次に、試料260からの光および参照ミラー245からの光は、第2のビームスプリッター220で干渉し、干渉信号を生成する。次に、干渉信号の一部は、フォーカスレンズ215において集光され、光ファイバー210を介して光ファイバー分光計205において取得される。次に、光ファイバー分光計205において取得された干渉信号の一部は、A/D変換後に、制御部285に送信される。さらに、干渉信号の他の部分は、任意選択に、チューブレンズ225で集光され、さらに、電荷結合素子(CCD)カメラ230を使用して撮像される。これにより、干渉信号の強度プロファイルの画像化を可能とすることができる。
【0037】
機械的アクチュエーター250は、参照ミラー245をクローズドループ方式(closed-loop manner)で操作するように、駆動される。1つの例では、機械的アクチュエーター250は、制御部285によってクローズドループ方式で操作され、参照ミラー245を駆動させ、CCDカメラ230における受信信号のヌル状態を維持する。別の例では、機械的アクチュエーター250は、光ファイバー分光計205で受信される干渉信号のフォーカスを維持するために、クローズドループ方式で操作される。
【0038】
白色光スペクトル干渉信号を直接判別する参照光と測定光との間に、位相差が存在する。光ファイバー分光計205で得られた干渉信号を処理した後では、白色光スペクトル干渉信号は、波長ごとに、測定光と参照光との間の位相差に応じて変化する関数として表すことができる。次に、より正確な膜厚測定のために、例えば、第1の対物レンズ240および第2の対物レンズ255の光学特性の不整合に起因する位相誤差を補正し、さらに、第1のビームスプリッター235の均質性に起因するさらなる位相誤差を補正するために、白色光干渉信号のさらなる分析が実施される。
【0039】
図3は、試料352の干渉法および偏光解析法の同時実行のための光学系300の第1の例示的な実施形態を示す。試料352は、薄膜、例えば、リソグラフィーでパターニングされた特徴物上に堆積された多層薄膜を含む。光学系300において、第1の偏光のケーラー(Koehler)照明を用いて試料352を撮像することにより、波長に応じて変化する干渉信号が得られる。一方、コリメートされた光信号を撮像するにより、瞳面(pupil plane)357内における角度位置および波長に応じて変化する偏光解析信号が得られる。
【0040】
光学系300は、広帯域光を生成する光源304を含む。光源304は、例えば、白色光スペクトルを生成し得るハロゲンランプである。次に、光源304からの光は、偏光装置308を通過し、第1の偏光の第1のビーム312と、第1の偏光に直交する第2の偏光の第2のビーム316と、を生成する。偏光装置308は、例えば、光音響偏光装置(opto-acoustic polarizing device)または偏光ビームスプリッターである。
【0041】
次に、2つの直交偏光ビームは、光学系300の2つの別個の光学アームを通って伝送する。第1のビーム312は、第1のミラー320で反射して、第1のレンズ328を通過し、コリメートされた、または、ほぼコリメートされた光ビームを生成する。第2のビーム316は、第2のミラー324で反射し、第2のレンズ332、開口336、および第3のレンズ340を通過する。第2のレンズ332および第3のレンズ340は、ケーラー照明を生成するために適切に設計されている。ケーラー照明は、光源304の画像が、試料352の面と一致する焦点面358内においてデフォーカスした際に得られ、試料の均一な照射を提供する。1つの例では、第1のビーム312は、試料352の入射面に対してp偏光を有する一方、第2のビーム316は、試料352の入射面に対してs偏光を有する。開口336は、第2のレンズ332および第3のレンズ340の間に配置され、さらに、第4のレンズ356に対して、第4のレンズ356の後側焦点距離から適切な距離を維持する。したがって、第1のビーム312は、p偏光状態のコリメートされたビームとして維持される。一方、第2のビーム316は、s偏光状態のケーラー照明として維持される。
【0042】
次に、第2のビーム316は、第3のミラー348で反射される。次に、第1のビーム312および第2のビーム316が、第1の偏光ビームスプリッター344において再結合され、同軸にされる。第1のビーム312は、第1の偏光ビームスプリッター344を通過する。一方、第2のビーム316は、第1の偏光ビームスプリッター344で反射する。
【0043】
次に、第1の偏光ビームスプリッター344で同軸にされた第1のビーム312および第2のビーム316は、干渉計セル349に送られる。この実施形態における干渉セル349は、Linnikタイプのものである。Linnikタイプの干渉セル349において、測定アーム355は、第4のレンズ356を備えている。第4のレンズ356は、非偏光ビームスプリッター360と試料352との間で保持されている。参照アーム365は、第5のレンズ364を備えている。第5のレンズ364は、非偏光ビームスプリッター360とフラット(平坦)ミラー368との間で保持されている。測定アーム355および参照アーム365は、測定アーム355の光路長と参照アーム365の光路長との間のわずかな差異を生じさせる試料352の存在に起因する、非偏光ビームスプリッター360において干渉パターンが生成されることを可能にするために、試料352がない場合に、同じ光路長を維持するように構成される。第4のレンズ356および第5のレンズ364は、対物レンズである。これら対物レンズは、偏光解析信号を増強する適切なNA値で選択される。さらに、より大きなNA値は、角度情報の分析を可能にする。好ましくは、測定アーム355の第4のレンズ356および参照アーム365の第5のレンズ364は、共通の光学特性(例えば、一致したNA)を有する。
【0044】
干渉セル349は、第1のビーム312および第2のビーム316を受けるように構成されている。次に、第1のビーム312および第2のビーム316は、非偏光ビームスプリッター360において、それぞれ反射および通過する。2つのビーム312、316のそれぞれは、参照アーム365内での第1の通過レベル(強度)で、非偏光ビームスプリッター360を通過し、さらに、測定アーム355内での第2の反射レベルで、非偏光ビームスプリッター360で反射する。1つの例において、50/50ビームスプリッターが通過光パワーおよび反射光パワーのバランスをとるように選択される。しかしながら、他のビーム分割比も、測定中の試料を考慮して選択され得る。参照アーム365では、ビーム312、316は、第5のレンズ364を通過し、フラットミラー368で反射し、非偏光ビームスプリッター360に戻る。フラットミラー368の表面は、その表面平坦度が、予め較正された許容範囲内に収まっていることを特徴とする。測定アーム355において、ビーム312、316は、第4のレンズ356を通過する。第4のレンズ356は、第1のビーム312のコリメートされた光を試料352上でスポットにフォーカスし、さらに、試料352から散乱および/または反射された光をフォーカスする。1つの例では、試料上の第1のビーム312のスポットのサイズは、第4のレンズ356の回折限界である。ビーム312、316と試料352との相互作用は、第1のビーム312および第2のビーム316のそれぞれの偏光を、直線偏光から楕円偏光に変化させる。偏光変化の量は、試料352の光学特性、および、試料352に対する各ビームの入射角に依存する。参照アーム365において、ビーム312、316は、フラットミラー368で反射する。次に、測定アーム355内において、試料352から散乱および/または反射したビーム312、316は、非偏光ビームスプリッター360において、同じ偏光状態と干渉する。
【0045】
次に、干渉ビーム312、316は、非偏光ビームスプリッター360をさらに通過し、第2の偏光ビームスプリッター372で作用する。次に、s偏光の光は、第2の偏光ビームスプリッター372によって第1の検出アーム375に入射するよう、反射される。第1の検出アーム375は、第6のレンズ376および第1のセンサー380を備えている。第1の検出アーム375は、試料352との相互作用のためにs偏光に回転されたコリメートされたビームの一部と共に、ケーラー照明を、主に受ける。第2の偏光ビームスプリッター372で反射された光は、第6のレンズ376で集光され、第1のセンサー380に伝送される。次に、p偏光の光は、第2の偏光ビームスプリッター372を通過して、第2の検出アーム385内に入る。第2の検出アーム385は、第7のレンズ384および第2のセンサー388を備えている。第2の検出アーム385は、試料352との相互作用のためにp偏光に回転された第2のビーム316からのケーラー照明の一部と共に、第1のビーム312からのコリメートされた光を、主に受ける。次に、第2の偏光ビームスプリッター372を透過した光は、第7のレンズ384で集光され、第2のセンサー388に伝送される。センサー380、388は、例えばCCDカメラである。次に、センサー380、388は、受信された信号を、プロセッシングユニットを含む制御部397に送信する。
【0046】
第1のセンサー380で得られる光信号は、非偏光ビームスプリッター360におけるs偏光の干渉による干渉信号である。これによって、第6のレンズ376は、試料352からケーラー照明を集光し、フォーカスする。第1のセンサー380で受信された干渉信号の変調は、第1のセンサー380で受信された光信号の波長の走査(スキャニング)によって得られる。第1のセンサー380で受信された干渉信号の一部は、コリメートされたビームによるものである一方、コリメートされたビームからの寄与は、バックグラウンド信号または強度シフトを生成し、これにより、干渉信号における縞コントラスト(fringe contrast)を減少させる。最終結果として、ケーラー照明およびその干渉が、コリメートされた照明ではなくなり、第1のセンサー380においてフォーカス(合焦)することになる。
【0047】
第2のセンサー388で得られる光信号は、インターフェログラム(interferogram)でインプリントされた偏光解析信号である。これによって、第7のレンズ384は、瞳面357からのコリメートされた光を集光し、フォーカスする。第2のセンサー388で受信された偏光解析信号の変調は、第2のセンサー388で受信された光信号の波長の走査(スキャニング)によって得られる。偏光解析信号は、波長依存性の偏光解析位相を測定することができる。波長依存性の偏光解析位相は、試料352との光の相互作用によって生成されるp偏光とs偏光との間の位相差である。第2のセンサー388で受信される偏光解析信号の一部は、ケーラー照明によるものである一方、ケーラー照明の寄与は、偏光解析信号におけるバックグラウンド信号または強度シフトを生成する。最終結果として、コリメートされた照明光およびその干渉が、ケーラー照明ではなくなり、第2のセンサー388においてフォーカスすることになる。
【0048】
次に、第1のセンサー380および第2のセンサー388でそれぞれ受信された干渉信号および偏光解析信号は、制御部397のプロセッシングユニットを用いて分析され、回帰によって一般化モデルにフィッティングされ、試料352の光学応答を記述する。コリメートされた照明された第2の直交偏光の偏光解析信号およびケーラー照明により照明された第1の偏光の干渉信号は、順次または同時に回帰されてもよく、回帰処理は、測定と同時に行われてもよい。代替的に、回帰処理は、実際の測定の前に行われてもよく、その後、ルックアップテーブルが、特性を特定するために使用されてもよい。ルックアップテーブルと回帰処理の組み合わせを使用して、試料352の所望の特性を確認することができる。
【0049】
図4は、試料452の偏光多波長顕微鏡法(polarized, multi-wavelength microscopy)および偏光解析法の同時実行のための光学系400の第2の例示的な実施形態を示す。試料452は、薄膜、例えば、リソグラフィーでパターニングされた特徴物上に堆積された多層薄膜を含む。光学系400では、第1の偏光のケーラー照明を用いて試料452を撮像することにより、波長に応じて変化する偏光された光信号が得られる。一方、第2の偏光のコリメートされた光信号を撮像することにより、瞳面457内における角度位置および波長に応じて変化する偏光解析信号が得られる。
【0050】
光学系400は、広帯域光を生成する光源404を含む。光源404は、例えば、白色光スペクトルを生成し得るハロゲンランプである。次に、光源404からの光は、2つの直交偏光ビームを生成することができる波長選択偏光装置408を通過する。波長選択偏光装置408は、例えば、光音響偏光装置または偏光分光計である。
【0051】
次に、2つの直交偏光ビームは、光学系400の2つの別個の光学アームを通って伝送する。第1のビーム412は、第1のミラー420で反射して、第1のレンズ428を通過し、コリメートされた、または、ほぼコリメートされた光ビームを生成する。第2のビーム416は、第2のミラー424で反射し、第2のレンズ432、開口436、および第3のレンズ440を通過する。第2のレンズ432および第3のレンズ440は、ケーラー照明を生成するために適切に設計されている。1つの例では、第1のビーム412は、試料452の入射面に対してp偏光を有する一方、第2のビーム416は、試料452の入射面に対してs偏光を有する。開口436は、第2のレンズ432と第3のレンズ440の間に配置され、かつ、第4のレンズ456の後側焦点距離から適切な距離を維持するよう、第4のレンズ456に対して配置されている。したがって、第1のビーム412は、p偏光状態のコリメートされたビームとして維持される。一方、第2のビーム416は、s偏光状態のケーラー照明として維持される。
【0052】
次に、第2のビーム416は、第3のミラー448で反射される。次に、第1のビーム412および第2のビーム416が、第1の偏光ビームスプリッター444において再結合され、同軸にされる。第1のビーム412は、第1の偏光ビームスプリッター444を通過する。一方、第2のビーム416は、第1の偏光ビームスプリッター444で反射する。
【0053】
次に、第1の偏光ビームスプリッター444で同軸にされた第1のビーム412および第2のビーム416は、干渉計セル449に送られる。本実施形態における干渉セル449は、Linnikタイプの干渉計である。Linnikタイプの干渉計449において、測定アーム455は、第4のレンズ456を備えている。第4のレンズ456は、非偏光ビームスプリッター460と試料452との間で保持されている。参照アーム465は、第5のレンズ464を備えている。第5のレンズ464は、非偏光ビームスプリッター460とフラット(平坦)ミラー468との間で保持されている。測定アーム455および参照アーム465は、試料452の存在に起因する、非偏光ビームスプリッター460において生成される干渉パターンを最大化するように構成されている。しかしながら、図3の光学系300とは対照的に、光学系400は、非偏光ビームスプリッター460と第5のレンズ464との間に配置された、参照アーム465内の光チョッパー463を含んでいる。光チョッパー463は、一定の周波数で回転することができ、測定アーム455内のビーム412、416を周期的に遮断するように働く。そのため、光チョッパー463は、測定アーム455内の光と参照アーム465内の光との間の干渉を除去するように働く。第4のレンズ456および第5のレンズ464は、対物レンズである。対物レンズは、偏光解析信号を増強する適切なNA値で選択される。さらに、より大きなNA値は、角度情報の分析を可能にする。好ましくは、測定アーム455の第4のレンズ456および参照アーム465の第5のレンズ464は、共通の光学特性(例えば、一致したNA)を有する。
【0054】
干渉セル449は、第1のビーム412および第2のビーム416を受けるように構成されている。次に、第1のビーム412および第2のビーム416は、非偏光ビームスプリッター460において、それぞれ反射および通過する。2つのビーム412、416のそれぞれは、参照アーム465内での第1の通過レベル(強度)で、非偏光ビームスプリッター460を通過し、さらに、測定アーム455内での第2の反射レベルで、非偏光ビームスプリッター460で反射する。1つの例において、50/50ビームスプリッターが通過光パワーおよび反射光パワーのバランスをとるように選択される。しかしながら、他のビーム分割比も、測定中の試料を考慮して選択され得る。参照アーム465では、ビーム412、416は、第5のレンズ464を通過し、フラットミラー468で反射し、非偏光ビームスプリッター460に戻る。フラットミラー468の表面は、その表面平坦度が、予め較正された許容範囲内に収まっていることを特徴とする。測定アーム455において、ビーム412、416は、第4のレンズ456を通過する。第4のレンズ456は、第1のビーム412のコリメートされた光を試料452上でスポットにフォーカスし、さらに、試料452から散乱および/または反射された光をフォーカスする。1つの例では、試料452上の第1のビーム412のスポットのサイズは、第4のレンズ456の回折限界である。ビーム412、416と試料452との相互作用は、第1のビーム412および第2のビーム416のそれぞれの偏光を、直線偏光から楕円偏光に変化させる。偏光変化の量は、試料452の光学特性に依存する。参照アーム465内のビーム412、416は、フラットミラー468で反射する。次に、測定アーム455内の試料452から散乱および/または反射するビーム412、416は、非偏光ビームスプリッター460で再結合する。
【0055】
次に、ビーム412、416は、非偏光ビームスプリッター460をさらに通過し、第2の偏光ビームスプリッター472で作用する。次に、s偏光の光は、第2の偏光ビームスプリッター472によって第1の検出アーム475に入るよう、反射される。第1の検出アーム475は、第6のレンズ476および第1のセンサー480を備えている。第1の検出アーム475は、試料452との相互作用のためにs偏光に回転されたコリメートされたビームの一部と共に、ケーラー照明を、主に受ける。第2の偏光ビームスプリッター472で反射された光は、第6のレンズ476で集光され、第1のセンサー480に伝送される。次に、p偏光の光は、第2の偏光ビームスプリッター472を通過して、第2の検出アーム485内に入る。第2の検出アーム485は、第7のレンズ484および第2のセンサー488を備えている。第2の検出アーム485は、試料452との相互作用のためにp偏光に回転された第2のビーム416からのケーラー照明の一部と共に、第1のビーム412からのコリメートされた光を、主に受ける。第2の偏光ビームスプリッター472を透過した光は、第7のレンズ484で集光され、第2のセンサー488に伝送される。センサー480、488は、例えばCCDカメラである。次に、センサー480、488は、受信された信号を、プロセッシングユニットを含む制御部497に送信する。
【0056】
光チョッパー463の導入による干渉の除去により、第1の検出アーム475は、s偏光のための多波長偏光顕微鏡として機能する。これにより、第1の検出アーム475は、角度および波長に応じた、第1のセンサー480での試料452の画像化(撮像)を可能にする。第6のレンズ476は、試料452から得られた光を、焦点面458にフォーカスする。第1のセンサー480で受信された信号の波長依存性は、偏光装置408の波長の走査(スキャニング)によって得られる。
【0057】
第2のセンサー488で得られる光信号は、純粋な偏光解析信号である。第7のレンズ484は、瞳面457から得られる光を集光する。第2のセンサー488で受信された偏光解析信号の変調は、偏光装置408からの光の波長の走査(スキャニング)によって得られる。偏光解析信号は、波長依存性の偏光解析位相を測定することができる。波長依存性の偏光解析位相は、試料452との光の相互作用によって生成されるp偏光とs偏光との間の位相差である。第2のセンサー488で受信された偏光解析信号の一部は、ケーラー照明によるものであるが、レンズ484によって、第2のセンサー488にフォーカスされない。さらに、光チョッパー463による光学系400内の干渉の除去により、第2のセンサー488で受信される偏光解析信号のモデル化は、測定結果に対する干渉アームの影響をモデル化する必要がないため、簡略化される。
【0058】
次に、第1のセンサー480および第2のセンサー488でそれぞれ受信された光信号および偏光解析信号は、制御部497のプロセッシングユニットを用いて分析され、回帰によって一般化モデルにフィッティングされ、試料452の光学特性を記述する。光信号および偏光解析信号は、順次または同時に回帰されてもよく、回帰処理は、測定と同時に行われてもよい。代替的に、回帰処理は、実際の測定の前に行われてもよく、その後、ルックアップテーブルが、特性を特定するために使用されてもよい。ルックアップテーブルと回帰処理の組み合わせを使用して、試料452の所望の特性を確認することができる。さらに、光学系400の結像(イメージング)能力は、干渉の存在下(光チョッパー463が非アクティブ化されたとき)における検出アーム475、485内で受信された光信号と、干渉の非存在下(光チョッパー463がアクティブ化されたとき)における検出アーム475、485内で受信された光信号とを比較することによって、強化される。
【0059】
図5は、試料552の干渉法および偏光解析法の同時実行のための光学系500の第3の例示的な実施形態を示す。試料552は、薄膜、例えば、リソグラフィーでパターニングされた特徴物上に堆積された多層薄膜を含む。光学系500において、第1の偏光のケーラー照明を用いて試料552を撮像することにより、波長に応じて変化する干渉信号が得られる。一方、第2の偏光のコリメートされた光信号を撮像するにより、瞳面557における角度位置および波長に応じて変化する偏光解析信号が得られる。
【0060】
光学系500は、広帯域光を生成する光源504を含む。光源504は、例えば、白色光スペクトルを生成し得るハロゲンランプである。次に、光源504からの光は、2つの直交偏光ビームを生成することができる波長選択偏光装置508を通過する。波長選択偏光装置508は、例えば、光音響偏光装置または分光計である。
【0061】
次に、2つの直交偏光ビームは、光学系500の2つの別個の光学アームを通って伝送する。第1のビーム512は、第1のミラー520で反射して、第1のレンズ528を通過し、コリメートされた、または、ほぼコリメートされた光ビームを生成する。第2のビーム516は、第2のミラー524で反射し、第2のレンズ532、開口536、および第3のレンズ540を通過する。第2のレンズ532および第3のレンズ540は、ケーラー照明を生成するために適切に設計されている。1つの例では、第1のビーム512は、試料552の入射面に対してp偏光を有する一方、第2のビーム516は、試料552の入射面に対してs偏光を有する。開口536は、第2のレンズ532および第3のレンズ540の間に配置され、さらに、第4のレンズ556に対して、第4のレンズ556の後側焦点距離から適切な距離を維持する。したがって、第1のビーム512は、p偏光状態のコリメートされたビームとして維持される。一方、第2のビーム516は、s偏光状態のケーラー照明として維持される。
【0062】
次に、第2のビーム516は、第3のミラー548で反射される。次に、第1のビーム512および第2のビーム516が第1の偏光ビームスプリッター544において、再結合され、同軸にされる。第1のビーム512は、第1の偏光ビームスプリッター544を通過する。一方、第2のビーム516は、第1の偏光ビームスプリッター544で反射する。
【0063】
次に、第1の偏光ビームスプリッター544で同軸にされた第1のビーム512および第2のビーム516は、干渉計セル549に送られる。この実施形態における干渉セル549は、Linnikタイプの干渉計である。Linnikタイプの干渉計549において、測定アーム555は、第4のレンズ556を備えている。第4のレンズ556は、第1の非偏光ビームスプリッター560と試料552との間で保持されている。参照アーム565は、第5のレンズ564を備えている。第5のレンズ564は、第1の非偏光ビームスプリッター560とフラット(平坦)ミラー568との間で保持されている。測定アーム555および参照アーム565は、試料552の存在に起因する、第1の非偏光ビームスプリッター560において生成される干渉パターンを最大化するように構成されている。レンズ556、564は、対物レンズであり、偏光解析信号を強化するように選択されたNAを有する。好ましくは、測定アーム555の第4のレンズ556および参照アーム565の第5のレンズ564は、共通の光学特性(例えば、一致したNA)を有する。
【0064】
干渉セル549は、第1のビーム512および第2のビーム516を受けるように構成されている。次に、第1のビーム512および第2のビーム516は、第1の非偏光ビームスプリッター560において、それぞれ反射および通過する。2つのビーム512、516のそれぞれは、参照アーム565内での第1の通過レベル(強度)で、第1の非偏光ビームスプリッター560を通過し、さらに、測定アーム555内での第2の反射レベルで、第1の非偏光ビームスプリッター560で反射する。50/50ビームスプリッターは、干渉計セルの2つのアーム間の光パワーのバランスをとるように選択され得るが、試料の特性を得るために他の組み合わせを用いることもできる。参照アーム565では、ビーム512、516は、第5のレンズ564を通過し、フラットミラー568で反射し、第1の非偏光ビームスプリッター560に戻る。フラットミラー568の表面は、その表面平坦度が、予め較正された許容範囲内に収まっていることを特徴とする。測定アーム555において、ビーム512、516は、第4のレンズ556を通過する。第4のレンズ556は、第1のビーム512のコリメートされた光を試料552上でスポットにフォーカスし、さらに、試料552から散乱および/または反射された光をフォーカスする。1つの例では、試料552上の第1のビーム512のスポットのサイズは、第4のレンズ556の回折限界である。ビーム512、516と試料552との相互作用は、第1のビーム512および第2のビーム516のそれぞれの偏光を、直線偏光から変化させる。偏光変化の量は、試料552の光学特性に依存する。参照アーム565内のビーム512、516は、フラットミラー568で反射する。次に、測定アーム555内の試料552から散乱および/または反射するビーム512、516は、第1の非偏光ビームスプリッター560において同じ偏光状態と干渉する。
【0065】
次に、第1の非偏光ビームスプリッター560で干渉したビーム512、516は、第1の非偏光ビームスプリッター560をさらに通過し、第2の非偏光ビームスプリッター572に入る。次に、光は、第1の検出アーム575内に、第2の非偏光ビームスプリッター572によって反射される。第1の検出アーム575は、第6のレンズ580および第1のセンサー584を含む。図3図4の光学系300、400のそれぞれとは対照的に、第1の検出アーム575は、p偏光をフィルタリング除去するために、第2の非偏光ビームスプリッター572と第6のレンズ580との間に配置された固定偏光子576を任意選択に含む。次に、固定偏光子576を通過した光は、コリメートされたビームの一部と共に、ケーラー照明を主として含む。次に、固定偏光子576を通してフィルタリングされたケーラー照明は、第6のレンズ580によってフォーカスされ、第1のセンサー584に伝送される。第6のレンズ580を通過するコリメートされた光は、第1のセンサー584にフォーカスされない。また、光は、第2の非偏光ビームスプリッター572を透過して、第2の検出アーム585内に入る。第2の検出アーム585は、第7のレンズ592および第2のセンサー596を含む。図3図4の光学系300、400のそれぞれとは対照的に、第2の検出アーム585は、第2の非偏光ビームスプリッター572と第7のレンズ592との間に配置された回転偏光子(rotating polarizer)588を含む。次に、瞳面557の偏光状態に関するさらなる情報を得るために、回転偏光子588が回転される。次に、回転偏光子588を通してフィルタリングされたコリメートされた光は、第7のレンズ592によってフォーカスされ、第2のセンサー596に伝送される。レンズ592を通過するケーラー照明は、第2のセンサー596にフォーカスされない。センサー584、596は、例えばCCDカメラである。次に、センサー584、596は、受信された信号を、プロセッシングユニットを含む制御部597に送信する。
【0066】
第1のセンサー584で得られる光信号は、第1の非偏光ビームスプリッター560におけるs偏光の干渉から得られる干渉信号である。第6のレンズ580は、焦点面558の試料552からの光を集光する。第1のセンサー584で受信された干渉信号の変調は、偏光装置508の波長の走査(スキャニング)によって取得される。第1のセンサー584で受信された干渉信号の一部は、コリメートされたビームによるものである一方、コリメートされたビームの寄与は、干渉信号の干渉縞におけるバックグラウンド信号として機能し、干渉縞コントラストを減少させ、ビーム512、516の互いに異なる光路設計のため、ケーラー照明と相互作用しない。
【0067】
第2のセンサー596で得られる光信号は、回転偏光子588の偏光軸に沿った偏光の偏光解析信号である。第7のレンズ592は、瞳面557からの光を集光する。回転偏光子588の回転は、瞳面557の偏光状態の全てをサンプリング可能とし、図3図4の光学系300、400のそれぞれと比較して、さらに多くの偏光解析データを提供することができる。第2のセンサー596で受信された偏光解析信号の変調は、偏光装置508の波長の走査(スキャニング)によって取得される。偏光解析信号は、波長依存性の偏光解析位相(wavelength dependent ellipsometric phase)を測定することができる。波長依存性の偏光解析位相は、試料552との光の相互作用によって生成されるp偏光とs偏光との間の位相差である。第2のセンサー596で受信された偏光解析信号の一部は、ケーラー照明によるものであるが、第2のセンサー596にフォーカスされず、そのため、偏光解析信号内のデフォーカス(out-of-focus)バックグラウンドに寄与する。
【0068】
次に、第1のセンサー584および第2のセンサー596でそれぞれ受信された干渉信号および偏光解析信号は、制御部597を用いて分析され、回帰によって一般化モデルにフィッティングされ、試料552の光学応答を記述する。干渉信号および偏光解析信号は順次または同時に回帰されてもよく、回帰処理は測定と同時に行われてもよい。代替的に、回帰処理は、実際の測定の前に行われてもよく、その後、ルックアップテーブルが、特性を特定するために使用されてもよい。ルックアップテーブルと回帰処理の組み合わせを使用して、試料552の所望の特性を確認することができる。
【0069】
図6は、試料652の偏光多波長顕微鏡法および偏光解析法の同時実行のための光学系600の第4の例示的な実施形態を示す。試料652は、薄膜、例えば、リソグラフィーでパターニングされた特徴物上に堆積された多層薄膜を含む。光学系600では、第1の偏光のケーラー照明を用いて試料652を撮像することにより、波長に応じて変化する偏光された光信号が得られる。一方、第2の偏光のコリメートされた光信号を撮像することにより、瞳面657内の角度位置および波長に応じて変化する偏光解析信号が得られる。
【0070】
光学系600は、広帯域光を生成する光源604を含む。光源604は、例えば、白色光スペクトルを生成し得るハロゲンランプである。次に、光源604からの光は、2つの直交偏光ビームを生成することができる偏光装置608を通過する。偏光装置608は、例えば、光音響変更装置または分光計である。
【0071】
次に、2つの直交偏光ビームは、光学系600の2つの別個の光学アームを通って伝送する。第1のビーム612は、第1のミラー620で反射して、第1のレンズ628を通過し、コリメートされた、または、ほぼコリメートされた光ビームを生成する。第2のビーム616は、第2のミラー624で反射し、第2のレンズ632、開口636、および第3のレンズ640を通過する。第2のレンズ632および第3のレンズ640は、ケーラー照明を生成するために適切に設計されている。開口636は、第2のレンズ632と第3のレンズ640の間に配置され、かつ、第4のレンズ656の後側焦点距離から適切な距離を維持するよう、第4のレンズ656に対して配置されている。したがって、第1のビーム612は、直線偏光状態のコリメートビームとして維持される。一方、第2のビーム616は、直交直線偏光状態)のケーラー照明として維持される。
【0072】
次に、第2のビーム616は、第3のミラー648で反射される。次に、第1のビーム612および第2のビーム616が、偏光ビームスプリッター644において再結合され、同軸にされる。第1のビーム612は、偏光ビームスプリッター644を通過する。一方、第2のビーム616は、偏光ビームスプリッター644で反射する。
【0073】
次に、偏光ビームスプリッター644で同軸にされた第1のビーム612および第2のビーム616は、干渉計セル649に送られる。この実施形態における干渉セル649は、Linnikタイプの干渉計である。Linnikタイプの干渉計セル649において、測定アーム655は、第4のレンズ656を備えている。第4のレンズ656は、第1の非偏光ビームスプリッター660と試料652との間で保持されている。参照アーム665は、第5のレンズ664を備えている。第5のレンズ664は、第1の非偏光ビームスプリッター660とフラット(平坦)ミラー668との間で保持されている。測定アーム655および参照アーム665は、第1の非偏光ビームスプリッター660において干渉パターンが生成されることを可能にするために、試料652がない場合に、同じ光路長を維持するように構成される。しかしながら、図3図5の光学系300、500のそれぞれとは対照的に、光学系600は、第1の非偏光ビームスプリッター660と第5のレンズ664との間に配置された、参照アーム665内の光チョッパー663を含んでいる。光チョッパー663は、一定の周波数で回転することができ、測定アーム655内のビーム612、616を周期的に遮断するように働く。そのため、光チョッパー663は、測定アーム655内の光と参照アーム665内の光との間の干渉を除去するように働く。レンズ656、664は、対物レンズであり、偏光解析信号を強化するように選択されたNAを有する。好ましくは、測定アーム655の第4のレンズ656および参照アーム665の第5のレンズ664は、共通の光学特性(例えば、一致したNA)を有する。
【0074】
干渉セル649は、第1のビーム612および第2のビーム616を受けるように構成されている。次に、第1のビーム612および第2のビーム616は、第1の非偏光ビームスプリッター660において、それぞれ反射および通過する。2つのビーム612、616のそれぞれは、参照アーム665内での第1の通過レベル(強度)で、第1の非偏光ビームスプリッター660を通過し、さらに、測定アーム655内での第2の反射レベルで、非偏光ビームスプリッター660で反射する。50/50ビームスプリッターは、干渉計セルの2つのアーム間の光パワーのバランスをとるように選択され得るが、試料の特性を得るために他の組み合わせを用いることもできる。参照アーム665において、ビーム612、616は、第5のレンズ664を通過し、フラットミラー668で反射し、第1の非偏光ビームスプリッター660に戻る。フラットミラー668の表面は、その表面平坦度が、予め較正された許容範囲内に収まっていることを特徴とする。測定アーム655において、ビーム612、616は、第4のレンズ656を通過する。第4のレンズ656は、第1のビーム612のコリメートされた光を試料652上でスポットにフォーカスし、さらに、試料652から散乱および/または反射された光をフォーカスする。1つの例では、試料652上の第1のビーム612のスポットのサイズは、第4のレンズ656の回折限界である。ビーム612、616と試料652との相互作用は、第1のビーム612および第2のビーム616のそれぞれの偏光を、純粋な直線偏光から変化させる。変化の量は、試料652の光学特性に依存する。参照アーム665において、ビーム612、616は、フラットミラー668で反射する。次に、測定アーム655内の試料652から散乱および/または反射したビーム612、616は、第1の非偏光ビームスプリッター660において、再結合する。
【0075】
次に、第1の非偏光ビームスプリッター660で干渉したビーム612、616は、第1の非偏光ビームスプリッター660をさらに通過し、第2の非偏光ビームスプリッター672に入る。次に、光は、第1の検出アーム675内に、第2の非偏光ビームスプリッター672によって反射される。第1の検出アーム675は、第6のレンズ680および第1のセンサー684を含む。図3図4の光学系300、400のそれぞれとは対照的に、第1の検出アーム675は、特定の偏光状態の光をフィルタリング除去するために、第2の非偏光ビームスプリッター672と第6のレンズ680との間に配置された固定偏光子676を任意選択的に含む。次に、固定偏光子676を通過した光は、コリメートされたビームの一部と共に、ケーラー照明を、主として含む。次に、固定偏光子676を通してフィルタリングされたケーラー照明は、第6のレンズ680によって第1のセンサー684上にフォーカスされる。また、光は、第2の非偏光ビームスプリッター672を透過して、第2の検出アーム685内に入る。第2の検出アーム685は、第7のレンズ692および第2のセンサー696を含む。図3図4の光学系300、400のそれぞれとは対照的に、第2の検出アーム685は、第2の非偏光ビームスプリッター672と第7のレンズ692との間に配置された回転偏光子688を含む。次に、瞳面657の偏光状態に関するさらなる情報を得るために、回転偏光子688が回転される。次に、回転偏光子688を通してフィルタリングされた光は、第7のレンズ692によって、第2のセンサー696上にフォーカスされる。センサー684、696は、例えばCCDカメラである。次に、センサー684、696は、受信された信号を、プロセッシングユニットを含む制御部697に送信する。
【0076】
光チョッパー663の導入による干渉の除去により、第1の検出アーム675は、直線偏光のための多波長偏光顕微鏡として機能する。これにより、波長に応じた、第1のセンサー684での試料652の画像化(imaging)を可能にする。第6のレンズ680は、試料652から得られた光を、焦点面658にフォーカスする。第1のセンサー684で受信された信号の変調は、偏光装置608の波長の走査(スキャニング)によって得られる。
【0077】
第2のセンサー696で得られる光信号は、回転偏光子688の偏光軸に沿った偏光の偏光解析信号である。第7のレンズ692は、瞳面657からの光をフォーカスする。偏光子688の回転は、瞳面657内のすべての偏光のサンプリングを可能にし、図3図4の光学系300、400のそれぞれと比較して、さらに、多くの偏光解析データを提供することができる。第2のセンサー696で受信された偏光解析信号の変調は、光偏光装置608の波長の走査(スキャニング)によって得られる。偏光解析信号は、試料652との光の相互作用によって生成される波長および角度依存の偏光解析位相を測定することができる。第2のセンサー696で受信される偏光解析信号の一部は、ケーラー照明に起因し、偏光解析信号のバックグラウンドに寄与するが、ケーラー照明ではなく、コリメートされた光であり、第2のセンサー696にフォーカスされる。さらに、光チョッパー663による干渉の除去により、偏光解析信号のモデリングが簡略化され得る。
【0078】
次に、第1のセンサー684および第2のセンサー696でそれぞれ受信された光信号および偏光解析信号は、制御部697を用いて分析され、回帰によって一般化モデルにフィッティングされ、試料652の光学応答を記述する。光信号および偏光解析信号は順次または同時に回帰されてもよく、回帰処理は測定と同時に行われてもよい。代替的に、回帰処理は、実際の測定の前に行われてもよく、その後、ルックアップテーブルが、特性を特定するために使用されてもよい。ルックアップテーブルと回帰処理の組み合わせを使用して、試料652の所望の特性を確認することができる。さらに、光学系600の結像(imaging)能力は、干渉の存在下(光チョッパー663が非アクティブ化されたとき)における検出アーム675、685内で受信された光信号と、干渉の非存在下(光チョッパー663がアクティブ化されたとき)における検出アーム675、685内で受信された光信号とを比較することによって、強化される。
【0079】
このようにして、図5の光学系500および図6の光学系600の両方は、それぞれ、対物レンズの瞳面内の光および対物レンズの焦点面内の光の偏線状態を同時に画像化することによって、試料を画像化するための光学系の実施例を提供した。図5の光学系500および図6の光学系600の両方は、それぞれ、2つの直交偏光状態に偏光された偏光を発するように構成された広帯域光源と、偏光状態を結合および分割するように構成された複数のビームスプリッターと、対物レンズおよび画像化される試料を含む参照アーム、並びに、測定アームを備える干渉セルと、偏光を所定の箇所にフォーカスさせるように構成された複数のレンズと、対物レンズの焦点面内の光を検出するように構成された第1の検出アームと、回転分析器を備え、対物レンズの瞳面内の光の偏光状態を検出するように構成された第2の検出アームと、を含む。図3の光学系300および図4の光学系400のそれぞれは、第1の偏光の干渉信号、および、第1の偏光と直交する第2の偏光の偏光解析信号を画像化するよう構成されており、第1の偏光および第2の偏光のそれぞれは、固定されている。一方、図5の光学系500および図6の光学系600の両方は、角度に応じた瞳面内の偏光解析信号の偏光状態を画像化するように構成されており、瞳面内におけるケーラー照明の偏光状態の直接画像化を可能にする。
【0080】
図7は、図3の光学系300を用いて、干渉信号および偏光解析信号を同時取得するための方法700を示す。方法700は、図3において本明細書で説明された光学系を参照して記述されるが、本発明の範囲から逸脱することなく、同様の方法が、他の光学系に適用され得ることは理解されるであろう。方法700は、制御部397において実行および非一時的メモリーに記憶されてもよい。方法700を実行するための命令は、図3を参照して記述したセンサーなどの光学系のセンサーから受信された複数の信号と共に、制御部397によって実行される。制御部は、光学系のアクチュエーターを用いて、以下に説明する方法に従って、光学系の動作を調整する。
【0081】
710において、方法700は、光源(図3の光源304など)からの光を、偏光装置(図3の偏光装置308など)に通過させる。偏光装置は、2つの交差偏光ビーム(cross-polarized beams)を生成する。1つの例では、交差偏光ビームは、直線偏光(図3の試料352など)の第1のビーム(図3の第1のビーム312など)と、第1のビームに直交する直線偏光の第2のビーム(図3の第2のビーム316など)と、を含む。
【0082】
720において、方法700は、第1のセンサー(図3の第1のセンサー380など)において受信された干渉信号を収集し、分析する。第1のビームおよび第2のビームは、図3に関連して説明したように、光学系を通過し、第1のセンサーで受信される干渉信号を生成する。第1のセンサーで受信された信号は、プロセッサー(図3の制御部397のプロセッサーなど)によって、A/D変換を受ける。次に、プロセッサーは干渉信号を、試料の厚さのデータを生成するための一般化モデルにフィッティングするために、後処理された信号(post-processed signal)の回帰を実行する。回帰は、波長に対するものであり、第1のセンサーにおける信号の測定と同時に行われてもよい。代替的に、回帰は、測定の前に行われてもよく、後処理された信号は、試料の厚さのデータを得るために、プロセッサーの非一時的メモリーに記憶された複数の値のルックアップテーブルと比較されてもよい。1つの例では、第1のセンサーから受信された信号は、露出時間にわたって時間平均される。別の例では、第1のセンサーから受信された信号は、リアルタイムでアップデートされ、第1のセンサーのサンプリング期間ごとに、別個のデータセットを生成する。
【0083】
730において、方法700は、第2のセンサー(図3の第2のセンサー388など)において受信された偏光解析信号を収集し、分析する。第1のビームおよび第2のビームは、図3に関連して説明したように、光学系を通過し、第2のセンサーで受信される偏光解析信号を生成する。第2のセンサーで受信された信号は、プロセッサーによって、A/D変換を受ける。次に、プロセッサーは、偏光解析信号を、試料のトポグラフィのデータを生成するための一般化モデルにフィッティングするために、後処理された信号の回帰を実行する。回帰は、角度および波長に対するものであり、第2のセンサーにおける信号の測定と同時に行われてもよい。代替的に、回帰は、測定の前に行われてもよく、後処理された信号は、試料のトポグラフィのデータを取得するために、プロセッサーの非一時的メモリーに記憶された複数の値のルックアップテーブルと比較されてもよい。1つの例では、第2のセンサーから受信された信号は、露出時間にわたって時間平均される。別の例では、第2のセンサーから受信された信号は、リアルタイムでアップデートされ、第1のセンサーのサンプリング期間ごとに、別個のデータセットを生成する。730の後に、方法700は、終了する。
【0084】
図8は、図4の光学系400を用いて、干渉信号および偏光解析信号を同時取得するための方法800を示す。方法800は、図4において本明細書で説明された光学系を参照して記述されるが、本発明の範囲から逸脱することなく、同様の方法が、他の光学系に適用され得ることは理解されるであろう。方法800は、制御部497において実行および非一時的メモリーに記憶されてもよい。方法800を実行するための命令は、図4を参照して記述したセンサーなどの光学系のセンサーから受信された複数の信号と共に、制御部497によって実行される。制御部は、光学系のアクチュエーターを用いて、以下に説明する方法に従って、光学系の動作を調整する。
【0085】
810において、方法800は、光源(図4の光源404など)からの光を、偏光装置(図4の偏光装置408など)に通過させる。偏光装置は、2つの交差偏光ビームを生成する。1つの例では、交差偏光ビームは、直線偏光(図4の試料452など)の第1のビーム(図4の第1のビーム412など)と、第1のビームに直交する直線偏光の第2のビーム(図4の第2のビーム416など)と、を含む。
【0086】
820において、方法800は、光学系から光信号の干渉を除去するために、光チョッパー(図4の光チョッパー463など)を作動させる。光チョッパーは、光学系の第1のセンサー(図4の第1のセンサー480など)および第2のセンサー(図4の第2のセンサー488など)で受信される信号の干渉を除去する。これにより、第1のセンサーで受信された信号を、試料の偏光光学顕微鏡信号に、効果的に変換することができる。
【0087】
830において、方法800は、第1のセンサー(図4の第1のセンサー480など)で受信された偏光された光信号を収集し、分析する。第1のビームおよび第2のビームは、図4に関連して説明したように、光学系を通過し、第1のセンサーで受信される偏光された光信号を生成する。第1のセンサーで受信された信号は、プロセッサー(図4の制御部497のプロセッサーなど)によって、A/D変換を受け、波長に応じて変化する試料の偏光された光学顕微鏡データを提供する。1つの例では、第1のセンサーから受信された信号は、露出時間にわたって時間平均される。別の例では、第1のセンサーから受信された信号は、リアルタイムでアップデートされ、第1のセンサーのサンプリング期間ごとに、別個のデータセットを生成する。
【0088】
840において、方法800は、第2のセンサー(図4の第2のセンサー488など)において受信された偏光解析信号を収集し、分析する。第1のビームおよび第2のビームは、図4に関連して説明したように、光学系を通過し、第2のセンサーで受信される偏光解析信号を生成する。第2のセンサーで受信された信号は、プロセッサーによって、A/D変換を受ける。次に、プロセッサーは、偏光解析信号を、試料のトポグラフィのデータを生成するための一般化モデルにフィッティングために、後処理された信号の回帰を実行する。第2のセンサーにおいて受信される信号における干渉がないため、モデルが簡略化される。回帰は、角度および波長に対するものであり、第2のセンサーにおける信号の測定と同時に行われてもよい。代替的に、回帰は、測定の前に行われてもよく、後処理された信号は、試料のトポグラフィのデータを取得するために、プロセッサーの非一時的メモリーに記憶された複数の値のルックアップテーブルと比較されてもよい。1つの例では、第2のセンサーから受信された信号は、露出時間にわたって時間平均される。別の例では、第2のセンサーから受信された信号は、リアルタイムでアップデートされ、第1のセンサーのサンプリング期間ごとに、別個のデータセットを生成する。840の後に、方法800は、終了する。
【0089】
このようにして、図7の方法700および図8の方法800のそれぞれは、光学系(図3の光学系300および図4の光学系400のそれぞれなど)のための方法を提供する。これによって、光学系のそれぞれは、広帯域光源によって、直交偏光の2つの偏光ビームに変更される光を照射し、複数のビームスプリッターによって、直交偏光を結合および分割し、対物レンズおよび撮像される資料を含む参照アーム、並びに、測定アームを含む干渉セルによって、2つのビームからの光を干渉させ、複数のレンズによって、偏光を所定の箇所にフォーカスし、プロセッサーによって、第1の検出アーム内の第1のセンサーから、光検出信号の第1のセット、および、第2の検出アーム内の第2のセンサーから、光検出信号の第2のセットを受信し、プロセッサーのデータ取得システムによって、プロセッサーにおいて受信された光検出信号の第1のセットおよび光検出信号の第2のセットに対してそれぞれ異なるデータ分析モードを使用することを可能とする。図3の光学系300とは対照的に、図4の光学系400は、干渉セルの参照アーム内に光チョッパーを含む。これにより、参照アーム内の光信号を変調することができる。
【0090】
データ分析モードは、図8の方法800で使用される第1のモードを含む。この第1のモードでは、光チョッパーは、一定の周波数で回転し、プロセッサーは、第1の偏光の光学顕微鏡信号として、第1のセンサーから光検出信号の第1のセットを受信し、さらに、プロセッサーは、第2の偏光の干渉がない偏光解析信号として、第2のセンサーから光検出信号の第2のセットを受信する。図7の方法700で使用される第2のモードは、光チョッパーによる参照アーム内の光の変調を含まない。この第2のモードでは、プロセッサーは、第1の偏光の干渉信号として、第1のセンサーから光検出信号の第1のセットを受信し、さらに、第2の偏光の偏光解析信号として、第2のセンサーから光検出信号の第2のセットを受信する。
【0091】
図9は、図5の光学系を用いて、干渉信号および偏光解析信号を同時取得するための方法900を示す。方法900は、図5において本明細書で説明されたシステムを参照して記述されるが、本発明の範囲から逸脱することなく、同様の方法が、他のシステムに適用され得ることは理解されるであろう。方法900は、制御部597において実行および非一時的メモリーに記憶されてもよい。方法900を実行するための命令は、図5を参照して記述したセンサーなどの光学系のセンサーから受信された複数の信号と共に、制御部597によって実行される。制御部は、光学系のアクチュエーターを用いて、以下に説明する方法に従って、光学系の動作を調整する。
【0092】
910において、方法900は、光源(図5の光源504など)からの光を、偏光装置(図5の偏光装置508など)に通過させる。偏光装置は、2つの交差偏光ビームを生成する。1つの例では、交差偏光ビームは、直線偏光(図5の試料552など)の第1のビーム(図5の第1のビーム512など)と、第1のビームに直交する直線偏光の第2のビーム(図5の第2のビーム516など)と、を含む。
【0093】
920において、方法900は、分析器(図5の回転偏光子588など)を回転させることができる。1つの例では、回転分析器は、制御部によって、固定された周波数で回転される。別の例では、回転分析器は、手動で、または、制御部によって、離散的な偏光角で固定されるように調整される。
【0094】
930において、方法900は、第1のセンサー(図5の第1のセンサー584など)において受信された干渉信号を収集し、分析する。第1のビームおよび第2のビームは、図5に関連して説明したように、光学系を通過し、第1のセンサーで受信される干渉信号を生成する。第1のセンサーで受信された信号は、プロセッサー(図5の制御部597のプロセッサーなど)によって、A/D変換を受ける。次に、プロセッサーは、干渉信号を、試料の厚さのデータを生成するための一般化モデルにフィッティングするために、後処理された信号(post-processed signal)の回帰を実行する。回帰は、角度および波長に対するものであり、第1のセンサーにおける信号の測定と同時に行われてもよい。代替的に、回帰は、測定の前に行われてもよく、後処理された信号は、試料の厚さのデータを得るために、プロセッサーの非一時的メモリーに記憶された複数の値のルックアップテーブルと比較されてもよい。1つの例では、第1のセンサーから受信された信号は、露出時間にわたって時間平均される。別の例では、第1のセンサーから受信された信号は、リアルタイムでアップデートされ、第1のセンサーのサンプリング期間ごとに、別個のデータセットを生成する。
【0095】
940において、方法900は、回転分析器の回転角に応じた、第2のセンサー(図5の第2のセンサー596など)で受信された偏光解析信号を収集し、分析する。第1のビームおよび第2のビームは、図5に関連して説明したように、光学系を通過し、第2のセンサーで受信される偏光解析信号を生成する。第2のセンサーで受信された信号は、プロセッサーによって、A/D変換を受ける。次に、プロセッサーは、偏光解析信号を、試料のトポグラフィのデータを生成するための一般化モデルにフィッティングするために、後処理された信号の回帰を実行する。回帰は、角度、回転偏光子の配向角度、および波長に対するものであり、第2のセンサーにおける信号の測定と同時に行われてもよい。代替的に、回帰は、測定の前に行われてもよく、後処理された信号は、試料のトポグラフィのデータを取得するために、プロセッサーの非一時的メモリーに記憶された複数の値のルックアップテーブルと比較されてもよい。1つの例では、第2のセンサーから受信された信号は、露出時間にわたって時間平均される。これは、例えば、回転分析器が、複数の離散的な角度で配置された場合に行われる。別の例では、第2のセンサーから受信された信号は、リアルタイムでアップデートされ、第1のセンサーのサンプリング期間ごとに、別個のデータセットを生成する。これは、例えば、回転分析器が、一定の周波数で回転される場合に行われる。940の後に、方法900は、終了する。
【0096】
図10は、図6の光学系を用いて、干渉信号および偏光解析信号を同時取得するための方法1000を示す。方法1000は、図6において本明細書で説明された光学系を参照して記述されるが、本発明の範囲から逸脱することなく、同様の方法が、他の光学系に適用され得ることは理解されるであろう。方法1000は、制御部697において実行および非一時的メモリーに記憶されてもよい。方法1000を実行するための命令は、図6を参照して記述したセンサーなどの光学系のセンサーから受信された複数の信号と共に、制御部697によって実行される。制御部は、光学系のアクチュエーターを用いて、以下に説明する方法に従って、光学系の動作を調整する。
【0097】
1010において、方法1000は、光源(図6の光源604など)からの光を偏光装置(図6の偏光装置608など)に通過させることができる。1つの例では、交差偏光ビームは、直線偏光(図6の試料652など)の第1のビーム(図6の第1のビーム612など)と、第1のビームに直交する直線偏光の第2のビーム(図6の第2のビーム616など)と、を含む。
【0098】
1020において、方法1000は、回転分析器(図6の回転偏光子688など)を回転させることができる。1つの例では、回転分析器は、制御部によって、固定された周波数で回転される。別の例では、回転分析器は、手動で、または、制御部によって、離散的な偏光角で固定されるように調整される。
【0099】
1030において、方法1000は、光学系から光信号の干渉を除去するために、光チョッパー(図6の光チョッパー663など)を作動させる。光チョッパーは、光学系の第1のセンサー(図6の第1のセンサー684など)および第2のセンサー(図6の第2のセンサー696など)で受信された信号の干渉を除去する。これにより、第1のセンサーで受信された信号を、試料の偏光された光学顕微鏡信号に、効果的に変換することができる。
【0100】
1040において、方法1000は、第1のセンサー(図6の第1のセンサー384など)において受信された干渉信号を収集し、分析する。第1のビームおよび第2のビームは、図6に関連して説明したように、光学系を通過し、第1のセンサーで受信される偏光された光信号を生成する。第1のセンサーで受信された信号は、プロセッサー(図4の制御部497のプロセッサーなど)によって、A/D変換を受け、波長に応じて変化する試料の光学的な偏光データを提供する。1つの例では、第1のセンサーから受信された信号は、露出時間にわたって時間平均される。別の例では、第1のセンサーから受信された信号は、リアルタイムでアップデートされ、第1のセンサーのサンプリング期間ごとに、別個のデータセットを生成する。
【0101】
1050において、方法1000は、回転分析器の回転角に応じた、第2のセンサー(図6の第2のセンサー696など)で受信された偏光解析信号を収集し、分析する。第1のビームおよび第2のビームは、図6に関連して説明したように、光学系を通過し、第2のセンサーで受信される偏光解析信号を生成する。第2のセンサーで受信された信号は、プロセッサーによって、A/D変換を受ける。次に、プロセッサーは、偏光解析信号を、試料のトポグラフィのデータを生成するための一般化モデルにフィッティングするために、後処理された信号の回帰を実行する。第2のセンサーにおいて受信される信号における干渉がないため、モデルが簡略化される。回帰は、角度、回転偏光子の配向角度、および波長に対するものであり、第2のセンサーにおける信号の測定と同時に行われてもよい。代替的に、回帰は、測定の前に行われてもよく、後処理された信号は、試料のトポグラフィのデータを取得するために、プロセッサーの非一時的メモリーに記憶された複数の値のルックアップテーブルと比較されてもよい。1つの例では、第2のセンサーから受信された信号は、露出時間にわたって時間平均される。これは、例えば、回転分析器が、複数の離散的な角度で配置される場合に行われる。別の例では、第2のセンサーから受信された信号は、リアルタイムでアップデートされ、第1のセンサーのサンプリング期間ごとに、別個のデータセットを生成する。これは、例えば、回転分析器が、一定の周波数で回転される場合に行われる。1050の後に、方法1000は、終了する。
【0102】
このようにして、図3図6の光学系を利用して、試料の干渉情報および偏光解析情報を同時取得することができる。試料の干渉信号および偏光解析信号を同時測定する技術的効果は、試料を機械的に移動させることなく、および/または、光学系に要素を追加または光学系から要素を除去することなく、試料の膜厚およびトポグラフィ特性を同時取得できることである。換言すれば、試料を静止位置に維持しながら、および/または、光学系に要素を追加または光学系から要素を除去することなく、干渉測定および偏光解析測定によって、試料の膜厚およびトポグラフィ性質を同時取得することができる。図4図6の光学系は、より多くの結像(imaging)能力のための追加の特徴を含むことができる。例えば、図4、6の光学系における光チョッパーの追加は、受信信号における、干渉のユーザー制御された適用/除去を可能にし、試料のさらなる特徴付けのための非干渉信号と干渉信号との比較を可能にする。さらに、図5図6の光学系は、瞳面内の光の偏光状態のさらなる特徴付けを可能にする回転偏光子を含む。単一の光学系内で偏光解析法および干渉法を同時実行する能力の実現により、より少ない浮動パラメーターを用いた偏光解析法および干渉法の一般化モデルへのフィッティングによる、試料の光学的特徴付けの簡略化を行うことができる。また、単一の光学系内において偏光解析法および干渉法を同時実行する能力は、試料の光学的特徴付けに費やされる時間を低減し、試料の光学的特性のより効率的な特徴付けを可能にする。
【0103】
本発明は、干渉法および偏光解析法を同時実行するための光学系のためのサポートを提供する。該光学系は、2つの直交する偏光状態に偏光された偏光を発するように構成された広帯域光源と、2つの直交する偏光状態に偏光された偏光を結合および分割するように構成された複数のビームスプリッターと、試料の表面に対して、偏光の干渉パターンを生成するように構成された干渉セルと、偏光を所定の箇所にフォーカスするように構成された複数のレンズと、角度および波長に応じて偏光を分析するように構成された複数の検出器と、を備える。システムの第1の実施例では、広帯域光源は、光音響デバイスまたは偏光ビームスプリッターによって偏光される光を伝送するように構成されており、さらに、第1の偏光の第1のビームおよび第1の偏光に直交する第2の偏光の第2のビームを生成する分光計(spectrometer)である。第1の実施例を任意選択的に含むシステムの第2の実施例では、複数のレンズは、第1のレンズと、第2のレンズと、第3のレンズと、を含む。第1のビームは、第1のミラーで反射され、第1のビームをコリメートする第1のレンズを通過する。第2のビームは、第2のミラーで反射され、第2のレンズを通過し、開口を通過し、第3のレンズを通過する。第2のレンズおよび第3のレンズの構成および開口の位置決めは、第2のビームからのケーラー照明を生成するよう適切に設定されている。第1の実施例および第2の実施例の一方または両方を任意選択的に含むシステムの第3の実施例では、光学系は、第1の偏光ビームスプリッターをさらに備えている。第1のレンズを通過した後、コリメートされた第1のビームは、第1の偏光ビームスプリッターを通過し、これにより、第1の偏光ビームスプリッターによって反射される第2のビームから生成されるケーラー照明と同軸になる。第1~第3の実施例のうちの1つまたは複数を任意選択的に含むシステムの第4の実施例では、干渉セルは、第1のビームおよび第2のビームから入射光を受けるように構成され、さらに、第1の偏光ビームスプリッター、複数のレンズのうちの第4のレンズおよび試料を含む測定アームのそれぞれを含む。第4のレンズは、偏光ビームスプリッターと試料との間に配置されている。参照アームは、複数のレンズのうちの第5のレンズおよび第3のミラーを含む。第5のレンズは、偏光ビームスプリッターと第3のミラーとの間に配置されている。第1~第4の実施例のうちの1つまたは複数またはそれぞれを任意選択的に含むシステムの第5の実施例では、干渉セルは、第1のビームおよび第2のビームのそれぞれを、参照アーム内での第1の通過レベルで、および、測定アーム内での第2の反射レベルで、非偏光ビームスプリッターを通過または非偏光ビームスプリッターで反射させるように構成されている。参照アームおよび測定アームのそれぞれからの入射光は、非偏光ビームスプリッターにおいて再結合され、干渉する。第1から第5の実施例のそれぞれの1つ以上を任意選択的に含む光学系の第6の実施例では、第4のレンズは、第1のビームの非偏光ビームスプリッターからの入射光を、コリメートされた光の第1のスポットで、試料の表面上にフォーカスする。第4のレンズは、第2のビームの非偏光ビームスプリッターからの分岐光(diverging light)を、第1のスポットのサイズより大きいサイズの均一なケーラー照明の第2のスポットにする。第1~第6の例のうちの1つまたは複数を任意選択的に含む光学系の第7の実施例では、光学系は、非偏光ビームスプリッターから発せられる第1のビームおよび第2のビームの干渉光を受けるように構成された第2の偏光ビームスプリッターと、複数のレンズのうちの第6のレンズおよび第1の検出器を備える第1の検出アームと、複数のレンズのうちの第7のレンズおよび第2の検出器を備える第2の検出アームと、をさらに含む。第1の検出器および第2の検出器は、プロセッサーと通信する。第1~第7の実施例のうちの1つまたは複数を任意選択的に含む光学系の第8の実施例では、第1の検出アームは、第6のレンズによって第1の検出器上にフォーカスされた第2の偏光の干渉光を受けるように構成されている。第2の検出アームは、第7のレンズによって第2の検出器上にフォーカスされた第1の偏光の干渉光を受けるように構成されている。また、本発明は、対物レンズの瞳面内の光および対物レンズの焦点面内の光の偏光状態を同時に画像化(imaging)することによって、試料を画像化するための光学系を提供する。この光学系は、2つの直交する偏光状態に偏光された偏光を発するように構成された広帯域光源と、偏光状態を結合および分割するように構成された複数のビームスプリッターと、対物レンズおよび画像化される試料を含む測定アーム、並びに、参照アームを含む干渉セルと、偏光を所定の箇所にフォーカスするように構成された複数のレンズと、対物レンズの焦点面内の光を検出するように構成された第1の検出アームと、対物レンズの瞳面内の光の偏光状態を検出するように構成された回転分析器を備える第2の検出アームと、を含む。光学系の第1の実施例では、複数のレンズは、コリメートされた光ビームを生成するように構成された第1のレンズと、ケーラー照明を生成するように構成された第2のレンズおよび第3のレンズと、対物レンズである測定アーム内の第4のレンズと、参照アーム内の第5のレンズと、第1の検出アーム内の第6のレンズと、第2の検出アーム内の第7のレンズと、を含む。第1の実施例を任意選択的に含む光学系の第2の例では、光学系は、固定偏光子および第1の検出器において検出される第1の偏光のケーラー照明を結像(resolve)するように構成された第6のレンズを備える第1の検出アームと、回転分析器および第2の検出器において検出され、回転分析器の偏光軸に沿った偏光のコリメート光を結像(resolve)するように構成された第7のレンズを備える第2の検出アームと、を含む。第1の実施例および第2の実施例の一方または両方を任意選択的に含む光学系の第3の実施例では、回転分析器は、第1の条件および第2の条件で動作するように構成されている。第1の条件では、回転分析器は、偏光軸の1つまたは複数の離散的な箇所(positions)が直線状に並ぶ(align)軸に沿った瞳面からの光を通過させる。第2の条件では、回転分析器は、偏光軸を一定の周波数で回転させることにより、瞳面からの光を画像化する。第1~第3の実施例のうちの1つまたは複数またはそれぞれを任意選択的に含む光学系の第4の実施例では、第2の検出器において検出された回転分析器の偏光軸に沿った偏光のコリメート光の信号は、瞳面の偏光状態のモデルなしの角度の関数として分析される。
【0104】
また、本発明は、光学系のための方法のサポートを提供する。該方法は、広帯域光源からの光を、2つの直交偏光ビームに偏光させる工程と、複数のビームスプリッターによって、直交偏光を結合および分割する工程と、対物レンズおよび画像化される試料を備える測定アーム、並びに、参照アームによって、2つのビームのそれぞれからの光を干渉セルにおいて干渉させる工程と、複数のレンズによって、偏光を、所定の箇所にフォーカスする工程と、光学系の干渉セル内の光チョッパーによって、参照アーム内の光信号を変調する工程と、プロセッサーにおいて、第1の検出アーム内の第1のセンサーから光検出信号の第1のセットおよび第2の検出アーム内の第2のセンサーから光検出信号の第2のセットを受信する工程と、データ取得システムを備えるプロセッサーによって、受信された光検出信号の第1のセットおよび光検出信号の第2のセットにそれぞれ異なるデータ分析モードを使用することを可能にする工程と、を含む。本方法の第1の実施例では、データ分析モードは、光チョッパーが一定の周波数で回転し、プロセッサーが、第1の偏光の光学顕微鏡信号として、第1のセンサーから光検出信号の第1のセットを受信し、さらに、プロセッサーが、第2の偏光の干渉のない偏光解析信号として、第2のセンサーから光検出信号の第2のセットを受信する第1のモードと、光チョッパーが、オフ状態にあり、プロセッサーが、第1の偏光の干渉信号として、第1のセンサーから光検出信号の第1のセットを受信し、さらに、プロセッサーが、第2の偏光の偏光解析信号として、第2のセンサーから光検出信号の第2のセットを受信する第2のモードと、を含む。任意選択的に第1の実施例を含む本方法の第2の実施例では、光チョッパーの回転は、プロセッサーのデータ取得システムと同期されている。第1の実施例および第2の実施例の一方または両方を任意選択的に含む本方法の第3の実施例では、第1のモードにおいて、プロセッサーのデータ取得システムは、第1の偏光の干渉信号および第2の偏光の偏光解析信号を、順次または同時に、一緒に(jointly)回帰するように構成されている。第1~第3の実施例のうちの1つまたは複数またはそれぞれを任意選択的に含む本方法の第4の実施例では、第1の偏光の干渉信号および第2の偏光の偏光解析信号の回帰は、試料の膜厚およびトポグラフィを記述するための一般化モデルにフィッティングされる。第1~第4の実施例のうちの1つまたは複数またはそれぞれを任意選択的に含む本方法の第5の実施例では、光検出信号の第1のセットは、第1のモードおよび第2のモードで比較され、さらに、光検出信号の第2のセットは、第1のモードおよび第2のモードで比較される。
【0105】
開示された態様は、いくつかのケースにおいて、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せで実施され得る。また、開示された態様は、1つまたは複数のプロセッサーによって読み取られ実行され得る、1つまたは複数のまたは非一時的コンピューター可読媒体によって保持または記憶された命令として実装され得る。そのような命令は、コンピュータープログラム製品と呼ばれることがある。本明細書で述べられたコンピューター可読媒体は、演算装置によってアクセスされ得る任意の媒体を意味する。限定的ではない例として、コンピューター可読媒体は、コンピューター記憶媒体および通信媒体を備え得る。
【0106】
加えて、本記述は、特定の特徴を参照する。本明細書における開示は、それらの特定の特徴のすべての可能な組み合わせを含むことを理解されたい。例えば、特定の特徴が特定の態様の文脈において開示される場合、その特徴は、他の態様の文脈においても、可能な範囲で使用することもできる。
【0107】
また、本出願において、2つ以上の定義された工程または動作を有する方法に言及する場合、定義された工程または動作は、文脈がそれらの可能性を除外しない限り、任意の順序で、または、同時に、実行され得る。
【0108】
さらに、用語「含む(comprises)」およびその文法的等価物は、本開示では他の要素、特徴、工程、プロセス、操作などが随意に存在することを意味するために使用される。例えば、成分A、B、およびCを「含んでいる」または「含む」という用法は、成分A、B、およびCのみを含むことができ、または、1つまたは複数の他の成分とともに、成分A、B、およびCを含むことができる。
【0109】
また、「右」および「左」などの方向は、便宜上、および図面として提供される図を参照して使用される。しかしながら、開示される主題は、実際の使用において、または、異なる実施形態において、いくつかの配向を有し得る。したがって、図において垂直、水平、右、または左側である特徴は、すべての実施形態において、同じ向きまたは方向を有していなくてもよい。
【0110】
図示された実施形態を参照して本発明の原理を説明し、図示したが、図示された実施形態はそのような原理から逸脱することなく、配置および詳細を変更することができ、さらに、任意の所望の方法で組み合わせることができることは理解されるのであろう。また、前述の議論は特定の実施形態に焦点を当ててきたが、他の構成も考えられる。
【0111】
特に、「本発明の実施形態による」などの表現が本明細書で使用されたが、これらの語句は、一般に、実施形態の可能性を参照することを意味し、本発明を特定の実施形態の構成に限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、これらの用語は、他の実施形態に組み合わせ可能な、同じまたは異なる実施形態を参照するものである。
【0112】
本発明の特定の実施形態を例示の目的で図示し説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されるのであろう。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲による場合を除き、限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】